スウォークス・スウォークスはマケン・テの原住種族である。彼らは突き出た鋭利な歯を生やしており、青白い頭部には王冠状の角が並んでいる。また、顔には3つの鼻孔があり、体毛は一切ない。そして、スウォークス・スウォークスは見た目で人間の年齢を当てることが非常に下手である。
スウォークス・スウォークスは失った手足を再生できる能力を持ち、狂信的に戦いを好むのもその理由によるためだと考えられている。事実、彼らの中には戦場でかなりの虚勢を張る者も多く見られるのだ。また、彼らは宝石をステータス・シンボルとして見ていることが知られており、体の重要な臓器に近い部分によく宝石を移植している者がいる。
マケン・テの社会は発展途上であり、高度なテクノロジーはほとんど存在していない。都市も繊細な外観をしているが、未だ頑丈な鋳造鉄を用いて構築されている。また、移動手段も飼い慣らされたスキンガと呼ばれる巨大な蛇のような生物を使用している程度である。
スカコアンは電子機器や宇宙船工学など、最先端の製造技術に特化した、高度な科学技術を発展させた種族である。
旧共和国時代、スカコアンはテクノ・ユニオンに最も大きな影響力を持つ種族として知られていた。テクノ・ユニオンは銀河元老院にも代表を送り込む、銀河系規模の超巨大企業連合体である。他のテクノ・ユニオン高官の不安をよそに、スカコアンのワット・タンバー代表はドゥークー伯爵の指揮する分離主義勢力への支持を誓約した。それに対して元老院はテクノ・ユニオンの代表を除名することで応じたのだった。このことはスカコアンの出身惑星を共和国から脱退させ、分離主義運動に参加させる大きな原動力となるのだった。
スカコアンはクローン大戦全般におけるテクノ・ユニオンの成功のなかで中心的な役割を果たしていた。しかし、テクノ・ユニオンの時代も長くは続かない。灰と化した旧共和国に変わり、帝国と皇帝の新秩序が台頭したのである。テクノ・ユニオン、コマース・ギルド、通商連合のような貪欲で利己的な官僚機構はことごとく寿命を迎え、これまで中心的役割を果たしていたエイリアンの監督者たちは新政府からの信用を得ることができなかった。テクノ・ユニオンにおけるスカコアンの地位も、人間たちによって力づくで奪われていったのである。スカコアンの人々は故郷に撤退する以外に何もできず、帝国がテクノ・ユニオンを解体し、構成企業(バクトイド・アーマー・ワークショップ、ホアシュ=ケッセル・ドライブワークス、バルモラン・アームズなど)を帝国の監視下に置いていく有様をただどうすることもなく見守るしかなかったのだ。
帝国の終焉とそれに続く新共和国の誕生も、スカコアンの隔離観念の増大を抑制することができなかった。彼らの人間嫌いな性質は新共和国との希薄な取引きをさらに鈍らせる原因となり、テクノロジーの進歩の共有を大きく妨げたのだった。やがてユージャン・ヴォングによる既知銀河系への侵略が開始されると、スカコアンは他の多くの種族から秘密主義で最も作為的な外界人嫌いの種族として見られるようになったのである。
スカコアンの故郷スカコは気圧の高い独特の大気に覆われている。このため彼らは特殊な気圧スーツを着用しなければ標準的な大気圧の下で生きていくことができない。スカコアンの気圧スーツは着用者の顔と体を完全に覆い隠しており、破れたり壊れたりするようなことがあれば、着用者はほどなくして死んでしまうのだ。
スカコアンはユーモアのセンスはないが自己防衛本能だけは強い、冷静で抜け目のない種族である。彼らには故郷を離れる勇気を持つ者はほとんどいない。また、彼らは銀河大戦の画策であろうと、効率的なハイパードライブの設計であろうと関係なく、問題解決の際には直感ではなく、常に論理に頼っている。通常、他の種族は気圧スーツを着たスカコアンしか見る機会がなく、彼らはスーツの内側に感情を隠しているため、他種族はスカコアンを冷酷な機械と見なす傾向がある。だが実際には彼らもありとあらゆる種類の感情を持っているのだ。
スカコでは一般的に訪問者は歓迎されない。そのため、全身気圧スーツを脱いだスカコアンの姿を知る外界人はほとんどいないのだ。気圧スーツを脱いだスカコアンは細い骨格の上に病的な灰白色の皮をだらりとかぶせたような、痩せこけた人間に似ている。また、彼らの狡猾な顔には暗い沈んだ目、平らな鼻、歯のない裂け目のような口が並んでおり、いつもしかめっ面をしている。一方で、スカコアンの気圧スーツは着用者の言語パターンを意図的に歪める音声合成装置を内蔵しており、彼らはこれを使って会話に種族特有の神秘性を加えている。
コア・ワールドに属する惑星スカコは、惑星全域がメトロポリスに覆われており、スケールと人口のどちらの点でもコルサントに匹敵する大都市である。しかし、コルサントのように優雅で魅力ある建造物には恵まれていない。また、標準的な大気圧に慣れた種族は、スカコの密集した大気圧の中では短時間しか耐えることができず、すぐに致命傷を負ってしまう。
スカコアンの言葉スカコヴァーバル語は、ボッチ語に似た2進法の機械的な言語である。一方、記述用の言語はスカコフォーム語と呼ばれ、しばしば技術的な図式や回路図に間違われる。
スカコアンは窒息や急激な減圧による死の苦痛を非常に恐れている。そのため、彼らは滅多にスカコを離れないのだ。外界に出るときには常に全身を気圧スーツで隈なく覆い、声を歪めるために音声合成装置を使用する。故郷を離れたスカコアンは技術的な専門職に就いていることが多く、概して裕福である。また、未だかつてフォースを使えるスカコアンが存在したという報告はなされていない。
スクリリングは腐肉食種族である。彼らは通常料理されることのない痛んだ肉を好み、ぼそぼそと泣き言のような声をこぼすため、一般に他人からは不愉快な相手として見られている。だが、廃品から役立つものを拾い集める天性の才能は、銀河社会に徐々に受け入れられるようにもなってきている。
スクリリングは袋のような皺の寄った灰色の皮膚と3本指の腕を持つヒューマノイドである。彼らの目は小さく、そして深く刻まれており、顔の中央には鼻の代わりとなる8本の呼吸管が付いている。口には針のように鋭い歯が何列も並んでおり、毛のない頭には前頭部からうなじまで走る骨でできた短いたてがみのようなものが付いている。これらの特徴は卵から孵化したばかりの幼生のころから確認できるが、彼らは孵化する際にもともと鋭利だった頭頂部のギザギザを削って鈍くしてしまうのだ。
スクリリングの呼吸管には嗅覚器官と何本かの分泌腺が備わっており、彼らが好む腐肉を溶かすための弱酸を分泌させている。これらの管は防衛用の武器としても用いることができるが、この酸は刺激が弱いため、相手の目を直撃しない限りダメージを与えることはできない。
スクリリングは農業惑星2079として知られる平地の多い草原惑星の出身である。彼らは足の速い放牧動物の死骸を常食とし、腐肉食種族の頂点を極めた。彼らの代謝機能は傷んだ肉や腐敗した肉の消化に特化されており、死後一週間以内の肉を食べた場合、逆に消化不良を起こしてしまうのだ。
スクリリングは食料となる腐肉を探すために発達した嗅覚を駆使するが、一方で視覚には乏しいものがある。食糧を探すとき、彼らは呼吸管を使って単純に息を深く吸い込むだけだが、そのとき数キロメートル先でもはっきりと聴こえる高音の鼻笛が発せられる。また、スクリリングの太い指には相当な力があり、万力のような握力を生じさせることができる。それぞれの指先には粘着性の吸盤のようなものが付いており、指自体は不器用だが、繊細で精密な作業を行うことも可能である。
原住惑星で暮らしているスクリリングは土中の巣に皮のような卵を産卵することによって繁殖を行い、親はおよそ30標準日後に卵の孵化が始まると巣に戻ってくる。一方で宇宙空間や他の惑星にいるスクリリングは人工孵化装置を使用している。通常、一度の産卵では3個から4個の卵が産み落とされる。
スクリリングは進化の歴史の初期に、肉の分配に関する複雑かつ儀式的なシステムを確立させた(それまでは誰が最も古い部分を食べるかを巡る議論の末、互いにバラバラに引き裂き合うこともあった)。彼らの慣習を良く知らない人間には、この儀式的要求と妥協のシステムが泣き言のように聞こえる。
スクリリングは何かが欲しくなると、何度でも要求を繰り返し、頻繁に質問を言い直し、それを手に入れるまで気乗りしない試みを何度でも繰り返す。その間、対象物の分配を求める様々な戦略が繰り出され、交換条件としてささやかな贈り物や好意が提供されることもある。そして通常は、最終的に欲しいものを手に入れることに成功するのだ。スクリリングは他人の弱点を見つける達人なのである。
スクリリングには誰もが我慢の限界を持っているということを認識するだけの知能があり、人々を怒りの頂点にまで押しやることは避けようと考えている。彼らは抗争を避け、その代わりに嘆願と慰謝を繰り返すことによって目的を達しようとするのだ。
スクリリングの故郷での名前が何なのか、あるいは彼らが自分たちを何と呼んでいるのかは定かでない。実際、「スクリリング」と言う名(「骨拾い」と訳される)は、彼らの惑星に入植したムシーニたちによって付けられた差別的な名称である。
ムシーニとの接触があったとき、スクリリングは道具さえもほとんど持たない、極めて技術水準の低い遊牧民だった。ムシーニは彼らの惑星を発見したとき、この惑星が土壌に恵まれた肥沃な土地であることに気付いた。彼らは早急に大地を広大な農業区画へと分割し、大規模なドロイド労働力を用いた強力なハイテク農業を導入した。これによって惑星の生態系は一変し、動物たちの群が塀に囲まれたことによって、スクリリングは遊牧の断念を強いられたのだった。しかし、相手の機嫌を取る天性の能力によって、スクリリングはすぐにムシーニの植民地に取り入り、自分たちを近代的な宇宙社会へ順応させていったのだ。
スクリリングの原住惑星は完全にムシーニの管理下に置かれており、彼らはこの惑星を農業惑星2079と命名した。スクリリングの多くは銀河系に拡散しているが、この惑星にも未だに多くが暮らしている。大半は惑星を支配するムシーニ・ルートラインズ社で働く使用人や下級労働者だが、近年になって一握りの集団が自由を求める運動を開始している。スクリリングにはあからさまな抗争を避けようとする習性があるため、これが武装した反乱にまで発達する可能性はほとんどないが、外部勢力の扇動によって自分たちの利益のために立ち上がる可能性は常に存在している。
農業惑星2079では工業レベルのテクノロジーが普及しているが、ムシーニたちの農業計画ではドロイドや高度な農作機械が使用されていることが多い。この惑星はムシーニが所有する農業惑星のなかでも有数の拠点の1つである。豊かな土壌と安定した気候によって様々な野菜、果物、穀物が収穫され、これらは銀河系全域に輸出されている。この惑星は重度に機械化されているが、工業地帯はほとんど見られない。存在する工場は宇宙港の周辺に集中しており、そのすべてが競い合っているムシーニ・ルートラインズ社の所有物である。工業コンビナートでは農業ドロイド、収穫ドロイドなどが生産されており、農作物の梱包作業も行われている。
スクリリングは既知宇宙の全域でその姿を見ることができ、雑務労働や、彼らの生業である腐肉回収などを行っている。彼らは指導者よりむしろ従業者であることが多く、戦いが発生し、十分に腐敗した(誰も欲しがらない)死体が見つかる惑星に出没する点では、まさに天性の能力を発揮している。こうした傾向は、「敵はすぐスクリリングの餌になる」という諺を流布させるに至った。スクリリングは妥協の多い性質から、信頼できない種族として見られており、犯罪組織のアジトなど、死体が安定して供給される場所ならどこにでも姿を現す。しかし、彼ら自身は本来は邪悪な存在ではなく、反乱同盟軍の中でもその姿を見かけることがある。スクリリングは相手を口車に乗せて情報を引き出すことに長けているため、極めて優れたスパイになり得るのだ。
スクリリングは生まれながらの腐品回収業者であり、遊牧民である。そして、彼らはたくさんの廃品から得られたパーツで宇宙船を組み立て、銀河系を徘徊している。彼ら自身のテクノロジーは一切なく、したがって通常は中古品や破棄された設備を入手している。スクリリングは必要なものだけを持ち運び、余り物や破損した品物を集めて修理や部品取りを行って生計を立てている。多くのスクリリングは多少の修理技術を身に付けているが、一般には外れたものを継ぎ接ぎし、(一時的に)元に戻す程度の能力でしかない。
スニヴィアンは背の低いずんぐりとした、皮膚の硬いヒューマノイドである。髪の毛は薄く、鼻は突き出ており、特徴的な犬歯が生えている。
スニヴィアンの故郷はとても寒いが、住人たちは身体を温めるための厚い毛皮を発達させなかった。その代わりに、彼らは故郷の亜寒帯環境で生き残るために独特な皮膚構造を発達させている。スニヴィアンの皮膚は密度が高く、気孔の開閉を制御する特別な皮膜細胞を有しているのだ。この皮膜網は暖かい気候の下では体温を逃がし、寒いカドマイの冬になると熱を閉じ込める働きをする。この皮膜網のおかげで熱エネルギーが効率的に身体を循環し、体温は常に一定に保たれ、その結果、スニヴィアンは汗をかかない。また、硬い外皮は死んだ皮膚細胞でできているため、凍傷に苦しむこともないのである。
スニヴィアンは気の優しい洞察力に富んだ種族である。カドマイの長く寒い冬は、彼らに長期にわたる地下生活を余儀なくさせている。この長い期間に、スニヴィアンは絶賛された美しい芸術作品を創作しているのだ。特にカドマイのトランス小説は銀河系全域に知られている。
スニヴィアンは紳士的かつ内向的な種族だが、その歴史は血で塗られている。彼らは通常、男女共に1名ずつで生まれてくる。スニヴィアンは何千年もの間カドマイのツンドラ平原で活動するハンターとして進化してきたため、これは彼らにとっての遺伝的ノルマだったのだ。しかし、過去には「血の掟」の欠陥によって突然変異が起こり、男の双子が生まれたこともあった。このような実例は過去2,000年の間に200件だけである。
男の双子が誕生すると、1人は標準的で健康な子供になり、もう1人は特殊な遺伝子的欠陥を伴う。この欠陥は生まれたときには発見されないが、3分の1の確率で突然変異を起こし、精神障害を引き起こす。ときには反社会的行動を扇動したり、平和な人々の中に殺人鬼を生み出すといったケースもあった。過去には、この欠陥が原因となって3人のカリスマ的だが真に邪悪な支配者が台頭している。最初の2人は一般大衆の反乱によって滅ぼされ、最後の1人ゼアルドスパイダーは旧共和国軍によって打倒された。
遺伝子工学が発達するまでは、男の双子を投獄し、監視するという事実もあった。そして反社会的傾向が発現した場合、法を犯した双子は人格改造処理を与えられていたのである。このようなスニヴィアンはかつての面影を失った愚か者に変わってしまう。
やがてスニヴィアンは遺伝子工学を習得し、こうした双子の誕生率を最小限に抑えることができるようになった。彼らは血の掟を解放し、安定させ、星系の4つの居住可能惑星に文明を広げることによって種族の繁栄を促した。しかしその後、彼らはサラシアンの奴隷商人による禍に遭遇することになる。
サラシアンはスニヴィアンを捕らえ、彼らの毛皮を産業目的に使用したいと考える種族に売り渡すという卑劣な商売を開始したのである。彼らを絶滅の危機から救ったのは、旧共和国による調停だけだった。
スニヴィアンの混乱と動乱の歴史は、もう1つの試練を迎えようとしている。ハイパースペース航行の時代となった現在、過去に行われた遺伝子修正が打ち破られ、血の掟が再興されつつあることが示されたのだ。スニヴィアンの科学者たちは双子の兄弟が再び隆起する可能性を注意深く観察している。
スニヴィアンは彼らの惑星で参加型民主主義社会を築いており、チェヴラムと呼ばれる統治評議会のメンバーを選出している。そこでは完全に芸術的能力に基づいた投票が行われ、最高行政官が選ばれている。チェヴラムはスニヴィアンの暦で12年毎に改選されるが、行政官はその内で毎年改選されている。
スニヴィアンは特に芸術分野における業績で名声を得ており、その作品は銀河系全域で売買されている。また、学問の発達は遺伝子工学の分野に集中しており、ビスやルーリアンと激しい競争を繰り広げている。両者の違いは、スニヴィアンの遺伝子技術がすべて自然界に存在する化学反応であるということである。彼らの遺伝子科学は種族特有の欠陥を克服するために形成されたものであり、知識の探求自体を目的としているのではないのだ。結果的にスニヴィアンの研究内容の多くはさらに大きな可能性を残しているが、特定の問題が解決されればそこで中止されてしまっている。そのため、他の種族たちはより大きな研究と発見に向けた出発点として彼らの科学を利用しているのである。
スリアンは既知宇宙の端に位置する惑星スリアに起源をもつ、教養溢れた文化的なヒューマノイド種族である。彼らは細長い頭部によって他の多くのヒューマノイドから識別される。また、性質はいたって温厚であり、理性的かつ極めて論理的な種族としても知られている。
スリアンの伸張した頭蓋骨には複雑に二重化された脳が入っており、情報処理と問題解決を素早く行うことが可能である。また、スリアンの胸内では2つの心臓が鼓動を上げている。
スリアンが銀河系の他の地域と接触を持ったのは、共和国が帝国に変遷する直前のことである。その後、彼らは宇宙飛行士、暗号作成者、経済学者などあらゆる分野に進出し、迅速に銀河系規模の名声を獲得していった。どんなに複雑かつ不明瞭な分野であっても、スリアンの関心を逃れる模範や流行はほとんど存在しないのだ。
スリアンの故郷スリアは広大な未開の楽園であり、その社会には女性氏族長制度が敷かれている。また、スリアンの文化における伝統的価値は自然との調和を重視しており、人々は自然環境がテクノロジーから受ける影響を最小限に抑えようと努力している。同様にジェダイの平和的哲学はスリアンの心に強い訴えを示しており、冒険に憧れる者たちはジェダイ・オーダーの教義と理想を魅力的なものとして理解している。
スリアンにとって冒険に赴くことは、それ自体が伝統と信念に真っ向から反した行為となる。そのため、やむを得ずその道を歩む必要性が生じると、彼らはスリアンの純粋な信念を可能な限り多く実践した生活に近づこうと努力する。例えば、攻撃はあらゆる平和的解決を試みた後で行われるべき最後の手段とされている。スリアンは2つの脳によって2者の異なる意見を絶えず秤に掛けることができ、2つの視点に同等な考察を与えることができるのだ。もちろん、この能力はフォースを取り巻く問題にも適用され、フォースを使えるスリアンはよくライトサイドとダークサイドに関する熟考を同時に行っている。
ゼクストはアウター・リムの惑星トロイケンに原住する痩せ細った無脊椎種族である。彼らには4本ずつ指の生えた6本の腕があり、そのうちの2本を足として使っている。皮膚の色は白墨色から淡い黄色で、長細い首の先端にある小さな頭には青いアーモンド型の目が大きく輝いている。だが、ゼクストの体における最も特筆すべき特徴は、脳が2つに分割されていることだろう。頭部にある通常の脳は原始的な運動と基本的な生理機能を制御し、一方で胸部に収まっている第2の脳がより高度な肉体機能を制御しているのだ。
彼らの故郷トロイケンは広大な自然を持つ野生の惑星である。都市部とポッドレース場の近くに作られた小数のみすぼらしい宇宙港を除けば、惑星の大部分が未開のジャングルや草原に覆われており、そこには恐ろしい肉食植物、獲物を探して徘徊する肉食獣、さらには肉食昆虫の大群などの生態系が存在している。ゼクストの基本的な肉体構造と稲妻のように早い反射神経は、こうした危険な野生環境から身を守るための手段として発達したものだと信じられていた。しかし、実際にはアーカニアンによる違法な遺伝子操作によって、進化の過程における発達が永遠に変化させられてしまった結果なのである。
太古の昔から旧共和国は知的種族に対する人体実験を禁止してきたが、無節操なアーカニアンの遺伝子学者は辺境の惑星で実験素材となる原始的な知的種族の捜索を続けていた。そしてヤヴィンの戦いのおよそ17,000年前、こうした捜索隊の1つがゼクストの祖先を発見する。彼らはトロイケンの木々の中に住居を造り、狩猟集団として大らかに組織された社会を築いていた。アーカニアンは彼らの一部をクワーミア星系の近郊に移住させ、両星系で何世代にもおよぶゼクストに対しての実験を開始する。この実験によってクワーミアンと呼ばれる新しい亜種が誕生し、彼らはこの田園惑星で独自の進化を遂げていったのである。だが、やがてアーカニアンも他の種族に関心を移すようになり、また旧共和国の怒りが無視できなくなったという危険性も手伝って、実験素材としてのゼクストに対する興味を失っていったのだった。
ゼクストとクワーミアンの社会はもはや原始的ではなく、両種族とも独自の科学技術による文明を発展させている。事実、共和国の偵察員が両種族を発見したとき、彼らは星間旅行を実現する直前の状態だったのだ。そしてその直後に、クワーミアンとゼクストは共和国の一員となったのである。
その後行われた遺伝子調査によって、一般的に広く言われていたクワーミアンとゼクストの進化における関連性が証明されることになった。当初、ゼクストはクワーミアンとの関連性を信じようとせず、旧共和国が2種族間の差異をトロイケン・ゼクストとクワーミアン・ゼクストという呼称で表していたことにひどく腹を立てていた。しかし、最終的には彼らも事実を受け入れるようになっている。このときまで、ゼクストはクワーミアンを偉大なる自分たちの痛ましい影のような存在でしかないと考えていたのだ。
ゼクストの故郷は厳しい地形と恐ろしい肉食獣に溢れており、彼らの多くが危険を覚悟の上で勇気をもった生活を営んでいる。彼らは本能的にスリルを追い求め、進んで危険に身を投じる性格なのだ。その反面、彼らは一般に礼儀正しく落ち着いた性質を持っているが、唯一自分たちの勇敢さに疑問を持つ者に対しては、激しい怒りをあらわにすることがある。
銀河系に進出したゼクストは様々な職業に就いているが、大多数は犯罪組織に身を置くか、または軍隊で兵士として働いている。彼らは専門技術における特定の分野を磨くことを好んでおり、その目的のために名誉ある職業を選ぶ傾向が強いのだ。また、彼らは様々な宗教的伝統を保持しており、ときとして強いフォース感知能力を発現させることがある。しかし、ゼクストには生まれもってのスリル嗜好があるため、クワーミアンのようにジェダイになろうと考える者は少数派である。