ナクノグは短気で知性に欠けた、小柄なヒューマノイドである。彼らは2足歩行の爬虫類であり、長くて細い首、丸まった鼻、ずんぐりとした足を持ち、頭の中心線にはでこぼこした起伏が並んでいる。彼らの故郷サンプは湿気の多い荒廃したアウター・リムの惑星であり、訪れようとする者もほとんどいない。一方で、外界の採鉱企業は古くからこの惑星の資源に関心を示しており、多くの工場を進出させている。こうした工場からの廃液が自然環境を激しく汚染し、数多くの生態系に深刻な被害が生じてしまった。しかし、ナクノグたちは必死に生き延びている。
そしてヤヴィンの戦いのおよそ1,000年前、ナクノグの指導者たちは仕事や食糧、その他適度な見返りと引き換えに、悪徳採鉱業者団体に故郷の惑星を売り払ってしまった。それ以来、彼らは鉱山や処理工場で、外界の人々には危険極まりないとされる作業を行うようになる。彼らは賃金なしで働き、残飯を食べ、組み立て式の軍事用兵舎で熟睡した。安物の装備品と鉱山での事故によって無数のナクノグが犠牲になったが、彼らは企業が自分たちを搾取し、虐待していることについて何も感じていなかったのだ。
鉱山の所有者が変わり、雇い主の企業が変わっても、ナクノグたちは何世紀にもわたって無意識の奴隷であり続けた。そしてこの状態は、2人のジェダイがサンプに訪れたとき、ようやく終わりを告げたのである。彼らはお尋ね者の犯罪者を探しにこの惑星にやって来たのだが、結果的に悪徳企業によるナクノグへの虐待の実態を銀河社会に公表することになった。共和国元老院は直ちに採鉱企業に対してナクノグの惑星におけるすべての事業を停止するよう命じ、数世紀分に相当する未払いの賃金を賠償させたのだった。しかし、企業は議論の最中に倒産してしまい、ナクノグには無人の鉱山、無人の工場、そして空っぽの胃袋だけが残された。すると彼らに対する同情論が盛り上がりを見せ、共和国の救援団体が飢えたナクノグたちに非常用食糧の援助を開始し、同時に荒廃したサンプの農業の再建支援を申し出たのである。だが、ナクノグは共和国も所詮は悪徳企業と同じように一時的なうまい話で自分たちを操ろうとしているのではないかと考えた。彼らは無償で食糧を手に入れたが、既存の唯一の生活を奪ったとして共和国を非難しはじめたのである。ナクノグの指導者たちは共和国に対して食糧と生活必需品を永久的に無償で援助するよう要求した。こうして彼らが援助を気に入っていないことが明らかになり、あらゆる同情が消え失せてしまったのである。
分離主義運動が激化し、クローン大戦の勃発が近づくと、共和国はあらゆる局面で政治的混乱に直面するようになった。そのためナクノグの苦境も、もはや元老院や銀河社会の関心を掴むに至らなくなってしまう。こうして、彼らは共和国に対して憤慨するもう1つの理由を手にしたのだった。
クローン大戦が終結し、共和国が崩壊しても、ナクノグの社会はほとんど何も変わることがなかった。一方で、極僅かしかいない裕福なナクノグは故郷を離れ、およそ2倍の平均寿命を謳歌していた。勇敢なナクノグは平凡な人生から脱却しようとする意思を持ってはいるが、実際の行動に移す者は稀であり、成功する者も限られている。なかには自分たちを奴隷として売り払い、客船で他の惑星に渡ることに成功した者も少数ながら存在するが、その反面、彼らはほとんど役立つ技術を持っていないのだ。ただ、こうしてサンプを離れることに成功したナクノグが、決して故郷に帰ってこないのも事実である。
ニクトはハットと長い関係を持つ種族である。ハットの奴隷として仕える彼らは、ハットがシクラッタ星団から集めた3種族、クラトゥイニアン、ニクトそしてヴォドランの内の一種族であり、なかでもニクトはもっとも危険な存在として知られている。彼らは銀河全域にわたって屈強の戦士としての名を馳せており、自然の摂理が反抗していたにも関わらず、自分たちの惑星を征服したため、ニクトは自分たちを無敵の存在だと信じているのである。歴史の大部分は暴力と流血の繰り返しとした彼らは、極めて戦闘的な種族となった。
ハットによって支配された種族は多いが、なかでもニクトは彼らによって雇われた「サイン」のような種族である。銀河のどこかでニクトと遭遇すれば、そこはハットの影響力が強い場所ということである。しかし、わずかに私設工場や海賊船、密輸船などで独立したニクトを見つけることもでき、なかには反乱軍に身を投じたニクトも数人いるという。
ニクトはシクラッタ星団の奥深くに位置する惑星キンタンに起源をもつ爬虫類型種族である。この惑星で遠い過去に起こった劇変的な出来事によって、ニクトはいくつかの亜種にはっきりと分裂した。彼らは外見的には異なっているが、遺伝子的には同一の種族であり、交配することもできる。二種の異なる種族のニクトが交配すると、その子供の93%は片方の種族だけの特徴を継承するが、残りの7%は希に両親の物理的特徴を混在させることになる。ただし、砂嵐やそれと同様の状態下にあっても眼の水分を保護することのできる、薄い透明な膜によって守られた冷淡な黒曜石色の瞳は、すべてのニクトに共通の特徴である。
カジェインサニクト、別名レッド・ニクトは、俗に「永遠に続く荒地」と呼ばれるワンスコックのおよそ数千キロの幅を持った広大な砂漠を起源としている。彼らには8本の目立った角が目を囲むように生えており、それらが額と眉に伸びる一連の隆起した縞のように見える。また、彼らは顎からも2本の角を生やしている。呼吸をする際、鼻は口の上の皮膚にある動くはねぶたの下に隠されるが、口の上に浸透性のある膜をゆっくりと広げることもできる。皮膚のたれぶたはわずかながらも目に見えて広がるが、この動きは注意深く観察していなければ分からない。彼らの鼻の穴はほとんど無防備だが、この膜によって砂や塵、その他の汚染物質の吸入を防ぐことができる。また、カジェインサニクトは首の両側にも一対の呼吸膜を備えており、それらは長く薄い呼吸管によって保護されている。顔の膜と同様にこれらの膜も汚染物質をろ過することができ、さらに両方の膜はニクトが排出した水分を捕らえ、 体内に再循環させることによって、過酷な砂漠環境の中で生き残ることを可能にしている。
カダッサニクト、別名グリーン・ニクトは、キンタンでも樹木に覆われたより温暖な海岸地域に起源を有する。彼らは目の周りにはっきりとしたウロコと小さな角を持っており、鼻も明確に見ることができる。また、彼らの爪は、長時間にわたって木を登ることに適している。
エスラルサニクト、別名マウンテン・ニクトは青灰色の皮膚をしており、カジェインサニクトと同様の鼻を覆う皮膚のたれぶた、口の真上にある浸透性の膜に加え、独自の頬から広がる顔ヒレを有している。この長いヒレには2つの役割がある。1つはこれらに並んで生えている振動する小さな頭髪によって聴力を増加させることができること。もう1つはこれらによって体温を一定に保つことである。冬の氷が解け、山がぬかるむ夏になると、この温度調節機能が極めて重要となる。ヒレを全開にすることによって余分な熱を発散させ、逆に頭や首に張り付かせることによって断熱効果を持たせ、体内に熱を閉じ込めておくこともできるのである。さらに、彼らは首に伸縮可能な一連の空洞も持っており、そこで熱を拡散させたり、中に余分な水分を貯えることもできる。また、彼らは指の奥まったところに小さな爪も持っている。
グラッサニクト、別名ペイル・ニクトは12の島からなるグラッセルタ諸島に住む、白灰色の肌をしたニクトである。グラッサニクトはカダッサニクトに良く似た目の周りを囲む角の縞模様と、エスラルサニクトのヒレに似た小さなヒレを持っている。
ムシェントスニクト、別名サザン・ニクトは、白黄色がかったオレンジ色の皮膚をしている。彼らは他の亜種より明らかに角が少ないが、多数の呼吸管を持っている。一般的に頭の後ろにある管は通常の呼吸管よりずっと長く、原始的な超音波センサーになっている。これらの管は進化の適合の過程にあるため、感覚器官は非常に原始的である。理論的には、キンタンに棲む野生肉食獣の絶滅が、このニクトの器官の発達を妨げているのだという。
ニクトの文化の中ではムドウェッシュ・カルトと呼ばれる恐ろしい宗派がますますその影響力を増大させている。
何千年もの昔、シクラッタ星団の中心にあったムドウェッシュと呼ばれる不安定な惑星が死を迎える前に大量の放射線を放出した。この放射線はムドウェッシュに最も近い小さな黄色い恒星を巡る青緑色の惑星キンタンにまで到達した。放射線は惑星の生物圏にまで浸透し、惑星の土着生物のいくつかに影響を及ぼした。多くは死んだが、ダソミアのランコアやオンダロンのバトル・ビーストに匹敵するような巨大かつ恐ろしい怪物に姿を変えたものもあった。以後、数千年にわたって起きた天変地異によって、スパイナル・ドラゴンや灰色の眼をした巨大な牙獣、角の生えた巨大なトロッグホエールも生まれた。そして、ニクトたちもこれらの変化によって誕生したのである。肉食獣による恒常的な恐怖はニクトたちを団結させ、強くしていった。牙獣の攻撃を警告するために築かれた監視キャンプから文明が広がり、武器や防具も発達していき、ニクトは過酷な状況にも関わらず生き残ったのである。彼らは食物連鎖の最上位に君臨し、事実上、この惑星を征服した。彼らは標準的な文化規範に続いてテクノロジーを発展させ、ついには原子レベルのテクノロジーをも開発した。彼らの社会は多くの孤立都市群によって構成されており、そのすべてが野生生物の進入を防ぐための壁で囲われていた。さらに、キンタンの森林と沼の多くは、危険な生物たちを絶滅させるために燃やされてしまったのである。ニクトは自分たち自身を守るためにその生活圏を破壊してしまい、今や惑星の多くは不毛な荒地となっている。
ニクトはテクノロジーの発達に併せて天文学も進化させていき、4回目の惑星破壊の直後、科学者のある一グループはついにムドウェッシュ新星を発見した。怪物たちの源が発見されたというニュースは、戦乱の惑星にたちまちに広がった。奇怪なムドウェッシュ・カルトが興ったのも、この発見がきっかけだったのである。
その信仰がどこから来たか、あるいはその初めの関心が何であったかを知る者は1人もいない。しかし、ムドウェッシュ・カルトが力と数を増すと、その恐怖は惑星全体に及んでいった。ムドウェッシュの子孫でないとされた者たちが浄化されていくと、多くの者が信仰に加わるようになり、さらに多くの者が恐怖の影に隠れ、そしてなおも多くの者が純粋でないがゆえに多額の代価を払うことになった。信仰は新しい星間技術の開発がキンタンを揺るがすまで、30年間にわたって君臨したのである。
旧共和国の台頭に先立ち、自分たちの宇宙をシクラッタ星団にまで拡大しようとしたハットたちがキンタンに到着すると、この領域はハットとシム大将軍の帝国との間で論争の的となった。ハットたちは既にうまくこの星団の他の二種族、クラトゥイニアンとヴォドランを従属させており、他の二種族よりテクノロジーが発達していたニクトは、ハットにより多くの可能性を証明したのである。ハットの使節団のリーダー、チュラバ・ザ・ハットは狡猾なビジネス心を持った女性(ハットはすべて雌雄同体だが、チュラバはメスの立場を取っている)であり、彼女はキンタン星系に到着すると、どのようにしてその信仰が惑星全体を完全に支配し、人々をどれほど恐れさせているのかを悟った。チュラバは信仰に敬意を払ったが、それは圧倒的少数で多数のニクトを支配するためだったと言われている。しかし、彼女は信者たちの凶暴性と不測性も垣間見ており、軌道上からムドウェッシュ・カルトの主要拠点を砲撃したときも、まったく後悔しなかったという。信者の多くが殺され、ニクトたちはハットを救世主と見なすようになった。こうしてニクトはハットと、自分たちを強制的に隷属させるというヴォンター協定を結んだのである。
伝説によると、ニクトとヴォドラン、そしてクラトゥイニアンは、ハットがヴォンターでシムを破る手助けをしたという。ハットはこのエイリアンたちをハット宇宙における支配力の維持に利用し、ついに旧共和国から帝国の時代へと続く強大な犯罪帝国を築き上げたのである。
そして、4,000年前、ムドウェッシュの信仰が蘇った。ナル・ハッタのような他のハットの惑星に多くのニクトたちが連れて行かれるようになると、彼らには自分たちの仕事に対する意見を言える機会もますます少なくなり、ハットが自分たちの命にどれだけの価値を抱いているのか疑問に思うようになってきた。何百万ものニクトが故郷から移住させられ、そして、何百万ものニクトがハットの関心を引くこともなく死んでいったのである。
ついにニクトは過去を調査し、信仰がハットに反対していたことを知った。こうして、彼らは自由を勝ち取ることを望み、信仰を抱擁したのである。信仰は急速に支持を集め、ようやくキンタンにおけるハットの最小拠点を打破した。ハットは傭兵部隊を送り込むことによってそれに応じたが、その間、共和国はシス大戦による疲労のため、不介入の立場を守っていた。
ニクトの反乱に対するハットの残忍な抑圧が行われた後も、争いがなくなったわけではなく、ほぼ毎年、少なくとも一回は記録に残されるような小規模な反乱が起こっていた。ハットにとって幸運だったのは、これらの努力がしばしば混乱を招き、わずかな信頼を招くことだった。外界のニクトのほとんどは故郷に関する忠誠心に乏しかったのである。しかし、そうしたニクトの周りにも常に危険な雰囲気は残っており、ハットも彼らを短い鎖の上で養っていた。
ムドウェッシュ・カルトによる最後の反乱の後、ハットはニクトの政府を完全に排除した。現在、ニクトはハットの古代部族の大使館員によって支配されている。ニクトはハットにどのように統治されているか意見を述べてはいない。
ニクトはハイパースペース航行艦船や近代兵器、ドロイド、コンピュータを含む、ハットによって与えられたテクノロジーに適合しているが、それに先立ち、彼らは巨大な工業センターと原始的な電気通信によって、原子レベルのテクノロジーを開発していた。彼らは原子力をエネルギー源として使用するが、決して自分たちでは原子力兵器を使用することはない。ハットは彼らが銀河系レベルのテクノロジー、特に兵器へ接触することを厳しく規制しており、キンタンの多くの地域には原始的技術が集まっているのである。
また、ニクトは単独では決して多種族間貿易を行えず、常にハットを通さなければならい。ニクトに認められた唯一の品物は、ニクタと呼ばれるつまらない強力なアルコール性飲料だけなのだ。
惑星ニモイディアの原住種族であるニモイディアンは、かつてこの惑星に移民してきたデュロスに起源をもつ種族である。そのため、彼らの身体的特徴はデュロスと共通する部分が多いが、約25,000年におよぶ生活環境の違いによって、僅かな差異が確認できるようになった。例えばニモイディアンはデュロスにくらべて顎の輪郭が広く、体系も細身で長身である。これはニモイディアの重力がデュロスの浮遊都市の平均と比べて大きいことに起因している。さらにデュロスは青紫色の肌に輝く赤い眼をしているが、ニモイディアンは緑灰色の肌に暗赤色の眼をしており、この違いはニモイディアの大気中に含まれる特殊な化学物質による長期的な変化に基づくものとされている。
ニモイディアンたちは若い頃から貪欲かつ利己的な考え方について教えられる。彼らは爬虫類と昆虫の中間に位置する種族であり、卵から生まれた直後は多くの昆虫と同じく幼生(グラブ)と呼ばる期間を過ごすことになる。グラブたちは共同の巣に集められ、極僅かな食料しか与えられない。結果として多くのグラブたちは餓死し、一方で生き残った子供たちは食料を蓄える術を学ぶ。ニモイディアンが巣から出されるのは7歳に達したときであり、この体験によって彼らは死を極度に恐れる、強欲な生物となるのである。
こうしたことから彼らは必然的に商業を生業とする種族となり、決して戦士ではない。戦闘が起こり、傷ついたり死んだりする可能性が出てくると、ニモイディアンは戦う前に降伏するか、あるいは逃走してしまう。事実、通商連合でも彼らはドロイドのみの軍隊を編成しており、自分たちは安全な場所で戦略を立案することに集中しているのだ。
ニモイディアンたちは故郷の惑星に巨大な複合都市群を形成して広大な菌類農場を営んでおり、これらはニモイディアンたちの並外れた組織力の形成にも一役買っている。この事実と、彼らが本来備えている強欲さによって、ニモイディアンたちは通商連合の中に大きな影響力を台頭させたのだった。
ニモイディアンの社会では、富と権力が外見上の装飾に反映される。したがって、彼らは高価なローブやガーブなどの華麗な衣装を好んで身に付けている。また、通商連合のヌート・ガンレイ総督のような高官は法外な価格のメクノ=チェアを所有しているが、これも高官の地位と怠慢さを誇示する以外に使い道の無い、不要品のきわまりである。
ハットに征服され、奴隷化されたエイリアン種族の中でも、ニンバニーズは特に積極的にハットに懇願し、自らを奴隷奉公に捧げた唯一の種族として認識されている。彼らは既に優れた経営者や官僚として自己を確立しており、その強い信頼を奉仕に捧げているのである。
ニンバニーズは吸熱性の新陳代謝を行う(彼らは温血動物である)、ウロコのない青白い肌をした爬虫類型ヒューマノイドである。彼らは瞼のない大きな丸い目、突き出た鼻をしており、頬やときには頭頂部から房状の髪を伸ばしている。ニンバニーズは卵生種族であり、卵はおよそ3標準ヶ月で発育し、孵化する。
種族全体として、ニンバニーズは知識と仕事上の倫理に重きを置いており、ビジネスや銀河系金融、経営上の関心事、組織関係、およびそれらに似た分野にうまく適応している。彼らはよく気取り屋で横柄だと言われており、ハット組織や銀河系企業、船舶サービス事務局(BoSS)や第一帝国銀行といった法人全体の中でも極めて目立った存在になっている。ニンバニーズは自分たちを売り込んではいるが決して自慢しているつもりはなく、それでいて仕事に対する適切な誇りを示しているのである。
ニンバニーズは故郷ニンバンの草原を植物を求めて放浪していた草食爬虫類から進化した種族である。これらの植物は種子を守る方法をより洗練されたものに発展させたため、ニンバニーズもこれに並んで発達し、ついにみずみずしいボイロ草の実を手に入れるための道具を作り出し、パズルフラワーの花弁をこじ開ける方法も開発したのである。
ニンバンはこれらの草食動物が食物連鎖の頂点に立つ、非常に温暖で平和な惑星である。ニンバニーズの子供たちは卵から産まれるが、女性は一生に一度だけ、成人期に達したときに3個から5個の卵を産む。卵は共同生活を行う集団によって保護され、子供は孵化するとすぐに正規の教育を受け始める。ニンバニーズの文化と社会は共同生活を行う氏族集団として発達し、こうした集団はニンバンの9つの大陸すべてに広がった。
ニンバニーズの歴史の初期には氏族間抗争が日常的に行われていたが、彼らは決して自分たちを全面戦争には導かなかった。むしろ、こうした抗争はマンディーズと呼ばれる競争であり、それぞれの氏族が他の氏族に1年以内に解かなければならない思考や数字のパズルを出し合っていたのである。やがてこれは年に一度のマンディーズに発展し、何度も繰り返されるうちに氏族間抗争は多かれ少なかれ友好的な競争へと変化していった。
故郷の敵意ある気候を生き延びるために複雑な数学を使うギヴィンと違って、ニンバニーズは意図的に意味をあやふやにするために数字を使う。彼らはハイパースペースでの行き先や企業データ、ちょっとしたジョークなどといった意図した真実に到達するために冗長な数値データを複雑に組み合わせ、解決の糸口を作り出すことに喜びを感じる。何世紀にも及ぶ氏族間マンディーズを通じて、ニンバニーズは複雑な官僚機構などの最も発達した文明の特徴を身に付け、それを健全に維持していた。情報、規則、そして要求の無数のトンネルは氏族間競争の礎石を形成した。他の惑星ではそれぞれの地域が武器を備蓄して争っているなか、ニンバニーズの氏族は互いに信じがたいほどの机上作業に挑んでいたのである。
原始的な星間航法が確立されると、ニンバニーズはニンバン星系内のいくつかの惑星に入植するようになった。彼らは旧共和国に発見され、それに加わると、ニンバニーズの素晴らしい官僚社会を知らない人々への銀行業務を扱うビジネスを開始した。回りくどい非効率的な方法であるにも関わらず、ニンバニーズの銀行業務とデータ・ライブラリは驚くほどに効果的だった。これは長年にわたって自身の官僚社会に鍛えられたニンバニーズが、旧共和国で用いられている「単純で整理された」社会構造から来るトラブルにほとんど遭遇しなかったからに他ならない。結果として、ニンバニーズは政府の計画の頼みの綱となった。
数世紀前、ボヴァーク氏族はBoSSの第一データ保有者という名誉ある地位を勝ち取ったが、彼らは官僚社会にあるすべてのニンバニーズに見られる競争本能に没頭し、実際に暴力的な脅迫によって仲間のBoSSの氏族に挑んでいた。BoSSは即座に状況に反応し、すべてのニンバニーズ氏族がBoSSのデータ保有者から排除され、銀河の他の人々のように予約講読することを強いられたのである。競合に参加していたクロヴァリス氏族はそのことに憤慨し、BoSSでのシェアを再申請しながらナル・ハッタのハット古代氏族にも接近した。ニンバニーズの人々はハット・スペースが自分たちの領域を侵害していることに気づき、戦うべきか、逃げるべきか、主導権を握ってハットに接触したのである。クロヴァリス氏族の指導者は自由な関係と標準的な生活を楽しみ続ける権利と引き換えに、ハットに自分たちのデータバンクおよび所有財産への完全なアクセス方法を提供すると申し出た。ハットはニンバニーズのデータバンクに価値ある情報が含まれていること(そして、彼らが無害で簡単に支配できること)を知り、彼らの意見に同意した。ゾチーブ・ザ・ハットのような影響力のある指導者の支持を得て、クロヴァリス氏族はBoSSへの参加権を得ることに成功したのである。現在、ニンバニーズはかつてと同規模の生活を続けているが、ハットへの忠実な奴隷状態にある。
ニンバニーズは氏族国家を形成して生活し、氏族長たちはニンバン暦で5年に一度開かれる選抜マンディーズによって氏族評議会への参加権を競い合う。
ニンバニーズはハイパードライブ、ドロイド、高度なコンピュータ・システムなど銀河系で標準的な科学技術を有している。また、彼らは銀河に提供するための数多くの高度な情報蓄積施設とコンピュータ・システムも保有している。彼らを構成する氏族の1つはBoSSの氏族であり、BoSSのオフィスもこの惑星にある。さらに、ドロイド製造会社であるデルバン・ファキシコープ社もニンバニーズの所有である。
ニンバニーズはハットとその同盟者の使いとして働いていることが多く、しばしば犯罪組織の会計を処理している。彼らは他にも無数の合法的ビジネスにも参入しており、銀河系規模の企業のある惑星では頻繁に見かけることができる。
コア・ワールドのニュー・プリンプトに原住するノーサウリアンは、人間に激しい敵意を抱いた2足歩行の爬虫類型種族である。この敵意は帝国による彼らへの征服と、抑圧に原因があるのだ。
ノーサウリアンはこの苦痛によく耐えたが、古代からの風習に誇りを持ち、それを忘れることはできなかった。例えば、故郷ニュー・プリンプトの地平線に太陽が沈むとき、彼らは日没を歌うために精一杯の声を出す。ノーサウリアンは屋内にいても日没を感じることができ、なかには他の惑星に行ってもこの奇妙な儀式を行う者がいる。だが、他の大抵の種族にとって理解できない不適切なタイミングに叫びだすことが多い。
ノーサウリアンは白黒のはっきりした視力を持っており、この視力が衰弱することは滅多にない。また、彼らは口の内側を発光させるという珍しい能力を持っているが、これは彼らが昆虫を常食とする爬虫類から進化した種族であることを示す証拠の1つである。ノーサウリアンの祖先たちはこの特徴を利用して小さな昆虫や他の獲物を集めていたのだ。
新共和国は帝国の占領下にあったニュー・プリンプトの厳しい時代の爪痕を回復させるべく支援を行っているが、ノーサウリアンが帝国の領主から受けた不当な被害を正すことができず、後に行われたユージャン・ヴォングによる侵略から彼らを守ることもできなかった。ユージャン・ヴォングはニュー・プリンプトを攻撃した際に、ノーサウリアンに対して甚大な被害を与えている。そして、彼らからの報復に失望したユージャン・ヴォングは、ニュー・プリンプトに対して生命体を食い尽くすウイルスを投入し、この惑星を無人の星にしてしまったのである。こうしてニュー・プリンプトは新共和国から完全に隔離されてしまった。ただし、幸運にも多くのノーサウリアンは破壊される前に故郷から避難していたため、難を逃れている。
ノーサウリアンは社交的で落ち着いた種族である。しかし、権力を持つ人間によってなされた自分たちへの不正義に気づくと、多くのノーサウリアンは激しい敵意と憎悪を抱く。したがって、人間でないユージャン・ヴォングによるニュー・プリンプトへの無慈悲な攻撃は、ノーサウリアンを心底落胆させたが、それでも一種の失望感が増大しただけのようにしか見えないのだ。
ノーサウリアンは両手には器用な指を4本持ち、鳥のような足にはそれぞれに3本の指を生やしている。厚い皮膚は明るい緑色から黒まで様々な色をしており、最大の特徴として前頭部から野蛮な被り物のような角を何本も生やしている。これらの角は敵対者に突き刺せるほど鋭利だが、大抵のノーサウリアンは予期せぬ破損から角を大事に保護している。一部の年寄りや好戦的な者は角が破損していることも多く、ぎざぎざの切り株状の頭部で識別可能である。
また、彼らは鳴き声、ささやき声、歯軋り音の組み合わせからなる独自の言語を使って会話を行う。文字は2種類の太古のアルファベットの組み合わせでできており、自然と天候、季節の移り変わりを表現する多数のメタファが含まれている。
ノートラン(別名、ノーティロイドとも呼ばれる)はまだら模様の緑色の肌に鮫のような目を持ち、髪の代わりに頭部から長い緑色の触手を生やした両生類型ヒューマノイドである。一般に、彼らは陸上よりも水中にいる方が快適に過ごすことができる。彼らの触手は主要な感覚器官として働き、水中ではこの触手を通じて匂いを嗅ぐことができるが、逆に陸上では余り役に立たないのだ。また、ノートランの骨格構造は多くの軟骨で補強されているため、極めて弾力性が高くなっている。
ノートランの原住するグリー・アンセルムはミッド・リムに属する海洋惑星である。この惑星の地表は大部分が海に覆われており、陸地の大半も沼や湖になっている。
通常のノートランは完全にフェロモンの変化によってのみ他人の感情の状態を知ることができ、この鋭敏さが彼らの言語を複雑なものとしている。彼らの会話能力は各個人に固有のフェロモンを認識することによって強化され、逆にこれがないと言葉が大量の意味を失ってしまうのである。
ノートランは独自の言語で会話を行うが、通常彼らは水の中でしか発音を行わない。陸上では1つ1つの言葉が詳細な意味を失い、多くのノートランはそれだけで苛々してしまうのだ。そのため、陸上ではベイシック、またはアンセルミから習った彼らの言語を使って会話を行うことが多い。同様に、これらの言語を習得したノートランは、銀河社会に適応することも可能である。
ノートランは数千年にわたって、陸上に住むもう1つの種族アンセルミと比較的平和に共存してきた。通常、両種族間の紛争は短期間で終わるが、ときとして多くの血が流れている。ノートランとアンセルミは漁業権、水中開発、ゴミの廃棄などの問題から、たびたび小規模な戦争を勃発させていた。余計な土地がなくなってくると、アンセルミはよくノートランの領域を侵害するようになる。だが、肉体的に勝るノートランはアンセルミの侵略を力で押し戻し、こうした長年にわたる摩擦が論争の種となっているのだ。共和国もこの紛争を解決するために何度もグリー・アンセルムに介入しているが、この水の惑星で暮らす2種族は互いに妥協できない差異を持っており、いつも一時的な和解で終わってしまうのである。
ノートランは周りの人々と接するとき、相手の心の状態を反映した態度で臨む。怒りや暴力に直面すると同じような反応で返し、逆に穏やかで礼儀正しいマナーに接すると、親切で丁寧な対応をとるのだ。