ムーンは長身の細い体をした、他に何の特徴もないヒューマノイドである。ムーンの故郷ムーニリンストは、アウター・リムにありながらも一千年にわたって銀河系の金融の中心地として君臨している温暖な惑星である。共和国が標準通貨の必要性に気づいたとき、ムーンがその分配と取扱いの陣頭に立ったのは自然な選択の結果だった。そのため、ムーニリンストには貨幣となるべき貴重な金属が秘密の場所に数多く保管されている。さらにこの惑星は軌道上に設置された一連の防衛プラットフォームによって厳重に守られ、周辺にも共和国の戦艦が容易に展開できるようになっている。こうしてムーンは多くの部門において、自分たちの責務を難なくこなしていったのだった。
やがて旧共和国が崩壊し、銀河系はパルパティーン皇帝による新秩序の時代を迎えるが、帝国の反エイリアン政策の中にあって、ムーンは迫害を避けた数少ないエイリアン種族の1つとなっていた。帝国軍には金融危機を回避したいという思惑があり、同時にムーン以上に銀河系規模の経済動向を監視できる種族は存在しないということも認めていたのだ。帝国の行政官にはムーンの監視任務が与えられ、間違っても帝国クレジットが反乱軍の金庫の中に入るようなことがないように管理がなされていた。しかし、ムーンは不正行為を妨げる揺ぎ無い誠実さを備えており、新秩序にとってなんの脅威にもなり得なかったのである。
ムーンは一般的に、ビジネスにおいても日常生活においても貪欲である。彼らは自分たちを過大評価するようなことをせず、常に軽率な行動による危険性を計算している。実際に、ムーンは数学を非常に得意としており、統計、確率、複雑な計算式などを素早く、ほとんど努力無しに解いてしまうのだ。
多くのムーンは故郷を離れようとせず、危険に事欠かない銀河系を徘徊するムーンは彼らの中でも極めて珍しい存在である。ムーニリンスト以外の場所にいるムーンは大概が仕事中であり、可能な限り早く故郷に帰りたいと願っているのだ。若く冒険心の強いムーンでも、一度何かに失敗するだけですぐ、外界に出たことを後悔し始める。そしてホームシックにかかるのも早く、ムーニリンストに戻る手段を手に入れるべくあらゆるエネルギーを費やすことになる。
火山の惑星ムスタファーは極端な環境ではあるが、多様な生態系を生み出しており、その中には知覚種族も存在している。その1つであるムスタファーリアンは、惑星外との関係をまったく気にしていない。彼らは溶岩流に含まれる鉱石を集めることで、単に忙しいだけなのだ。
生きていくために水をほとんど必要としない好極限性節足微生物から進化したムスタファーリアンは、休眠状態の火山にある涼しい洞窟の中で暮らしている。彼らはこの惑星に固有のラーヴァ・フリーによって燃やされた跡を追いながら、ムスタファーの地表を冒険したのだった。様々なムスタファーリアンのコロニーは、フリーたちが脱ぎ捨てた殻を外装として再利用することで作られており、それぞれが互いに接触を保っている。彼らは平和的な取引を通じて、緩やかな集落を築き、惑星の厳しい環境に一致団結して直面しているのだ。
北部に暮らすムスタファーリアンは、2つの主な亜種のうちの細身の方であり、ラーヴァ・フリーを乗用動物として利用していることが多い。一方で、南部に住むずんぐりとした体型のムスタファーリアンは、北部の弱々しい親類と比べて、より高い温度に耐えることができる。彼らは浮遊型採鉱プラットフォームに乗り、棒の先に付けられた重い釜で溶岩を掬っていることが多い。テクノ・ユニオンがこの惑星にやってきたとき、ムスタファーリアンは外界からの開発者との協定に署名した。この銀河交易によって、ムスタファーリアンは先端テクノロジーを手に入れることができ、その見返りとして、テクノ・ユニオンの技術者たちが燃えたぎる炎の脅威から身を守る際に援助を与えたのである。
ムスタファーリアンは昆虫型種族に特有の、羽音のような言語を使用している。また、彼らは極めて体が丈夫である。ムスタファーリアンの皮膚や装甲服は、一般的なブラスターから発射される熱に十分耐えうることができるため、彼らは標準的なレーザー武器ではまったく傷付かないのだ。その代わりに、彼らは機械的な力を収束させて放出する、固有のブラスターを携帯している。
メタン・ガスが豊富な大気の中でのみ生きられる、4本の腕と2本の足を持つモアシーリアンは、銀河系で最も謎の多い種族の1つである。なぜなら、他の種族で環境スーツを着ていないモアシーリアンを見たことのある者がほとんどいないのだ。彼らはヘルメットの下に長い先細った頭部を持っており、環境スーツの下には脈打つ血管や内臓がかすかに見える半透明の皮膚を隠しているという。また、大きな黒い目には瞳孔がなく、口は小さい逆三角形をしている。体形は男女共にちょうど10代の人間のようである。
モアシーリアンはおよそ12,000年にわたって銀河文明の周辺で暮らしてきたが、彼らの居住地や出身惑星は謎に包まれており、彼ら自身もその情報を厳重に隠している。事実、「モアシーリアン」という名前も、本当の種族名ではないらしい。この名前は彼らが築いた既知の植民地の1つに由来しているのだ。
モアシーリアンは拡張領域よりコア側へ旅することがほとんどないため、極めて稀にしか遭遇しない種族である。宇宙航路を頻繁に利用するモアシーリアンは彼ら独自の設計による卵型宇宙船(シャトル級のものから大型貨物船まで様々な大きさがある)や、他種族が製造した旧式の改良型貨物船に搭乗している。ただし、彼らの宇宙船の内部にはメタン・ガスしか供給されないようになっている。
モアシーリアンは貿易で生計を立てているが、通常、彼らは過去に一緒の仕事でうまくいったことのある商人としか取引きを行わない。彼らは引きこもりがちな性質だが、意外にもスクイブの商人たちと良好な関係を築いており、他のどんな種族よりも彼らとの取引きを好んで行っている。
一方で、彼らが商取引以外の目的で銀河系と広く関わりを持つことは稀である。銀河内乱の間、モアシーリアンは帝国艦隊の動向やストームトルーパーの配置に関する情報を反乱軍スパイに提供していたが、それも皇帝の密使たちが反乱軍の基地の所在を突き止めるためにわざと情報を漏洩していたに過ぎないのだ。
また、モアシーリアンは物静かな種族でもあり、原則として自分たちに何か役立つものを持っている者以外とは関わりを持とうとしない。また彼らは平和的だが、脅威に対しては、それが現実であれ予兆であれ、迅速に反応することでも知られている。
なお、一部の間でフォース能力に長けたモアシーリアンがいるという噂が根強いが、ジェダイとモアシーリアンの間で交わされた文書は存在しておらず、モアシーリアンのジェダイがいたことを裏付ける記録も一切残っていない。
カラマリアンとも呼ばれるモン・カラマリは水掻きの付いた手、大きなドーム型の頭、大きな丸い目、サーモン色の肌を持つ、知的な水陸両棲ヒューマノイドである。彼らは一般には温厚で平和な種族であるが、ときおり伝説的とも言える決意と献身振りを発揮する。彼らは一度とるべき行動を決めると、そう簡単に決意を曲げることはないのである。
故郷カラマリの名をとって命名された彼らは、クオレンたちとその水の惑星を共有している。この惑星は地表の大半を水で覆われており、地殻変動も安定しているため山はほとんどなく、わずかに存在している島や小さな大陸さえも大きな沼や湿地帯、湖などに溢れている。彼らはその海岸部で生活する、水を好む陸上生物なのである。
彼らの遠い祖先は魚や甲殻類、果実を食べて長い間生活していたが、一千年以上前に魚の養殖や海草の栽培など基本的な水文化を素早く発展させた。しかし、惑星の地表から金属資源を抽出することが難しかったため、技術の進歩は人間の標準より遅かったのである(この開発の遅れがこの惑星の平和な歴史の要因となったと推測されている)。
その後、モン・カラマリは深海に住むクオレンを発見し、接触を行った。初期の混乱の後、彼らは共同文明社会を築き上げ、この惑星は真の黄金時代を迎えたのである。カラマリの発展にともなって彼らは次第に巨大な浮遊都市を建設し、教育や政治、文化の中心地とするようになった。そして、それらは深海火山に埋蔵された資源を採掘し、技術の発展に必要な金属を供給していたクオレンたちによって支えられていたのである。今日ではこうした機械式浮遊都市が海洋上に点在しており、普遍的な海の上に浮かぶ人工大陸となっている。カラマリの浮遊都市は海の上と下の両方に発展しており、魚の養殖や産業センター、生活施設に必要な空間を供給している。ウェーヴスピーダーが都市から都市へと走り、シャトルも惑星を周回する巨大な宇宙プラットフォームから波に浮かぶ都市までを往復しているのである。
水中での生活を好むクオレンが都市の最下層で暮らしている一方で、モン・カラマリは太陽に近い上層を好んでいる。彼らは高度に文明的な文化を作り上げ、芸術、音楽、文学、そして科学は規律を発展させた。初期の頃から、モン・カラマリの文学では、星を銀河の海に浮かぶ島々として描写しているが、それは夢と希望を共有できる他の文明を探すために宇宙へ進出したいというモン・カラマリの願望を表していたのである(しかし、クオレンはこの関係をいくぶん軽視していた)。事実、本来クオレンとモン・カラマリは共通の海洋言語を使っていたが、モン・カラマリはいち早く銀河系共通言語を習得している。こうした技術と文化の発展はついに彼らに銀河共同社会への夢を実現させる手段を与えたが、この水の惑星も戦争という黒雲に巻き込まれてしまったのだった。
クローン大戦が終結し、共和国が帝国に取って代わると、モン・カラマリは速やかに帝国への加盟を呼びかけられた。しかし、驚くことに彼らはこの申し出を拒否し、自治社会の道を選んだのである。しかし、反体制派の力が大きくなってきたため、帝国は戦争による荒廃からカラマリの人々を守るという名目でカラマリ星系に保安艦隊を常駐させていた。この艦隊がカラマリの発見直後に配置されたのは幸運だった。この惑星は反乱軍によって攻撃され、帝国軍は平和な人々の保護を強いられたのである。しかし、悲劇は起こった。この戦いの最中、傷を負った帝国艦船がカラマリの海に墜落し、有名な浮遊都市のうちの3つが破壊されたのだ。更なる被害を食い止めるべく、帝国艦隊は再編成のため惑星を離れたが、その間に反乱軍のメンバーは、銀河系に戦争をもたらしたのは帝国の方であるとモン・カラマリたちを説得することに成功する。そして、帝国艦隊がカラマリに戻ってくると、かつて平和的だったモン・カラマリたちは一転して暴力的になっていたのである。彼らは帝国軍に凄まじい威力を持つ弾幕を浴びせ、攻撃を予期していなかった保安艦隊を壊滅させたのだった。銀河内乱の最中、大多数のモン・カラマリが帝国に対する反乱軍の支持者になっていたのは、たとえ戦いに直接参加していなかったとしても、明白な事実である。その結果、より大きな被害が発生することを防ぐため、帝国軍はこの星系と住民たちに絶えず目を光らせていたのだ。
モン・カラマリは非常に能率的な代表制政治によって自治を行っているが、このシステムは堕落する前の旧共和国元老院によく似ている(ただし、この体制が完全なものであるかは、モン・カラマリが反乱軍と同盟を結んだときから疑問視されている)。
モン・カラマリは最近発見された中では唯一、独自ではあるが広大な銀河系レベルの技術を発展させた種族である。事実、設計や開発の哲学にかなりの違いはあるものの、彼らの宇宙船は建造が極めて困難であるにも関わらず、帝国のものより性能が優れている場合が多かった。
不幸なことに、銀河内乱の時代のカラマリ星系は完全に貿易禁止令を引かれていた。これは帝国軍と反乱軍の戦いが終わったときに改められたが、それまでの間、カラマリの平和を回復するためという口実の下、多数のモン・カラマリが帝国艦隊の様々な場所で軍事支援のために働かされていたのである。
ヤーコラはすべてにおいて謎の多い、長身の有蹄類型ヒューマノイドである。彼らの手には大きな指が3本生えており、それらの先端には黒い爪が生えている。目は幅が広く開いており、長くて大きな鼻には特大の鼻孔が付いている。また、鼻の周りや頬からはふさふさした髭を生やし、全身を滑らかな短い体毛で覆われている。これらの特徴はすべて、彼らの先祖が蹄を生やした生物であることを物語っているが、ヤーコラは原始的な生物に見られる反芻を行わない。
彼らは人ごみの中でも非常に目立つ外見をしているが、何らかの方法を用いて巧みに人目を避け、ひっそりと行動している。ヤーコラは銀河社会の周辺で社会の最もみすぼらしい階層の人々から情報を収集し、それを仲介しながら暮らしているのだ。ヤーコラの存在が初めて確認されたのは、ヤヴィンの戦いのわずか3年前のことだった。しかし、その後も誰一人としてヤーコラの出身惑星はおろか、彼らの文化についてさえ多くを知り得ていない。だが、生物学者たちは彼らが乾燥した気候の中で、故郷を支配する種族となるべく進化を遂げたのだと推測している。また、ヤーコラはハイパードライブ・テクノロジーを利用しているが、それも彼ら自身で開発したものなのか、あるいは合法または違法な取引きによって手に入れたものなのかさえ、明らかになっていないのだ。これまでのところ彼らが自分たちの生態に関する仮説を一掃したり、文化に関する基本的な情報を進んで提供したりしたことは一度もない。何者かがそうするか、あるいは彼らの秘密の故郷が発見されるまで、人々はヤーコラを銀河系の悪党として認識し続けるだろう。
銀河内乱の最中、多数のヤーコラが防諜活動を通じて反乱軍に貢献していた。だが、彼らは見返りに莫大な報酬を受け取っており、その一方で、反乱軍や帝国軍でスパイとして働いていた者もいる。新共和国の設立以来、こうしたヤーコラの数は増え続けているが、彼らが真に忠誠を誓い、関心を寄せているものが何なのかは依然として謎のままである。
ヤーコラは独自の言語をもっているが、他の種族の前では決してそれを使おうとしない。だが、銀河系で見かけるヤーコラは全員、流暢なベイシックを話すことができる。
ヤーコラは狡賢い詐欺師として賞賛に値するほどの名声を得ている。彼らは横暴な振る舞いで他人から情報を詮索し、その一方で自分たちの過去や文化、あるいは興味などに関する情報は決して漏らそうとしない。普段から彼らは控えめな態度で他人と接しており、相手を不快にさせたり、脅迫したりする姿と見事に食い違っている。ヤーコラにとって友情とはほとんど何の意味も成しておらず、彼らはただ操ることで食い物にできる人々にのみ関心を示しているのだ。
また、ヤーコラはこそ泥や情報ブローカーとしても名声を集めている。彼らは自分の利にかなう限り小規模なグループで行動することが多いが、こうした関係は得てして長続きしない。彼らには献身という概念が欠如しており、それでいてジェダイの伝統を追求、あるいは評価するという変わった一面を持ち合わせている。しかし、これも獲物の弱点を観察し、自分たちの都合にいいように利用するための訓練でしかない。通常、ヤーコラは大胆な物腰や体の大きさによって相手を怯えさせているが、実際に彼らが獲物を騙すときは、ジェダイのような何らかの感情移入の術を使っているのだと信じている人々も多い。
エンドアの月に原住するヤズムは、知性を持ってはいるが原始的な種族である。丸みを帯びた体は全身が毛皮に包まれており、足は長細く、大きな口からは歯が突き出している。彼らはグループ単位で行動し、主な食糧源であるラガーと呼ばれる齧歯類を捕獲している。
ヤズムは実に様々な外見をしており、鋭い牙を生やした者もいれば、丸まった歯を生やした者もいる。また、厚い柔毛に覆われた者もいれば、短い毛皮の者もいる。したがって、ヤズムという単語は森林衛星エンドアに原住する毛皮に覆われた遊牧哺乳類全般を指す種族名といった感がある。
彼らは同じエンドアに住むイーウォックと同レベルに発展途上であり、槍などの原始的な武器を使って肉食獣や外界人から身を守っている。だが、ヤズムが食糧を調達し、生存する際の優位性は主として体の大きさにある。全般的に大柄な彼らは肉食獣を怯えさせ、追い払うことに役立っているのだ。
ヤズムは音楽的要素を含んだ言語によって会話を行っており、喋っているというよりむしろ歌っているという印象を受ける。彼らの音声には耳障りなトーンが含まれているが、多くのヤズムが素晴らしい歌手として迎えられているのも事実である。極少数だが、エンドアを離れたヤズムには晩餐会で活躍している歌手もいるのだ。
ヤムリ、別名ハックは惑星ハック出身の昆虫型種族である。ヤヴィンの戦いの37年前、ヤムリは外界の種族によって奴隷とされたが、その翌年には自らの反乱によって自由を得ている。そして約10年後、彼らは隣接する惑星カリーのカリーシュたちと、恒常的な戦争状態へと突入することになった。この戦争の時代はクローン大戦の直前までの間、長年にわたって続き、ハック戦争と呼ばれるようになったのだった。この戦争で銀河共和国はハックを支援しており、その結果、カリーシュの歴史の多くは彼ら自身を迫害者として記録することになったのである。
数十年後、ヤムリは銀河連合自由同盟の一員となった。しかし、群虫戦争が勃発すると、彼らは銀河系における昆虫型種族の一員としてジョイナーとなり、キリックと共に戦うことを選んだのだった。
ユビーズは傭兵や賞金稼ぎとして招かれることの多い、人間に近いエイリアン種族である。通常、彼らは極めて好戦的な種族だが、同族間では非常に義理堅い。典型的なユビーズの戦士は保護用の密閉型環境スーツ、または装甲服を着用し、マスクを被っている。そのため、他種族でマスクを外したユビーズの姿を見た者はほとんどいない。同様に、ユビーズの故郷の惑星についても、銀河系の他の地域にほとんど知られておらず、彼らも仲間同士以外には厳格な秘密主義を貫いているのだ。
実際のところ、ユビーズの出身惑星はユバIVと呼ばれる快適だが孤立した惑星である。彼らはそこで洗練された社会を構築していたが、テクノロジーは銀河系の他の地域と比べて遅れていた。そのため、ついに外界からの貿易商が彼らとの接触を果たしたとき、ユビーズは技術水準の拡大に大きな関心を抱いたのだった。当初、これらは工業的生産力と公衆衛生の向上を招き、彼らの社会に利益をもたらしていた。その結果、人口が急激に増加し、ユバI、II、III、Vを含む、ユバ星系の他の部分への入植が開始されたのである。しかし、このあまりにも急激な技術革新は、ユビーズの社会に破綻を導くことになった。ユビーズの指導者たちはより好戦的になり、より大きな影響力と権力を手にするための手段として、征服を追及しはじめたのである。
ヤヴィンの戦いの3,951年前、ユビーズ戦士の一団が流浪のジェダイを抹殺するため、クオレンの犯罪王ヴィスキス(ナー・シャダーの闇取引を取り仕切る副首領)に雇われた。このユビーズたちはジェダイに対する明らかな憎悪を抱いており、ダブル・ブレード・コートシス震動ソードと、ライトセイバーへの耐性を持った他の武器で武装していた。そして、後の時代のユビーズ戦士と同様に、彼らは頭部から足の先までマスクと環境スーツ、装甲服で覆っていたのである。
新シス大戦の最中、ユビーズのセクターにいたジェダイたちは、彼らが禁制兵器の製造を行っていることを発見する。ユビーズは行動を開始するときだと悟っていたのだ。そして、ユバIVの戦いのなか、ジェダイの先制攻撃によってユバ星系内で大規模な戦略兵器が始動し、ユバI、II、Vの植民地は核の炎によって滅びた。さらに、ユバIIIの武器貯蔵庫も爆発し、惑星を小惑星帯へと変えてしまう。ユビーズの人口は激減し、生存者の多くが難民となって本来の故郷の残骸をさまようことになった。セクター当局も彼らの行動の結果を恥じたが、責任を受け入れることも、援助を申し出ることもできなかった。その代わりに、彼らは大規模な隠蔽工作を約束し、ユバ星系を隔離すると、公式宇宙航法チャートからその存在を消し去ったのだった。滅び行くユバIVに残ったユビーズは、テクノロジーをかき集め、汚染され滅びた故郷から必要なものすべてを補充すると、好戦的な放浪の民となったのである。
一方、隔離が不当であると信じる者たちによって、惑星外に連れ出されたユビーズも少数ながら存在する。彼らが送られた惑星ユバーティカの末裔たちは、徐々に銀河系の他の場所へも進出していった。そしておよそ1,000年後、ユバ星系のユビーズも外界での生活を悪くはないと考えるようになり、暴力の才能を活かし始めたのだった。やがて、遠く離れた親類たちと遭遇したユバ星系の「真の」ユビーズたちは、彼らを臆病で不純な生まれという意味を持つ「イラク・プーチュック・ユビーズ」と呼んだのである。
真のユビーズたちは1,000年以上にわたって故郷の厳しい環境に適応しており、極限の環境下でも生存できる特別な能力を発展させた。だが不幸にも、彼らはもはや標準的なタイプIの大気中(窒素と酸素が主)では正常な呼吸ができなくなっており、完全な状態で活動するには、呼吸マスクや全身型環境スーツを着用しなければならない。通常、これらの呼吸マスクには、本来の耳障りな囁き声を抑揚のある音声へと変調させる、音声変調装置が取り付けられている。一方、イラク・プーチュック・ユビーズもやや荒廃した故郷における希薄な酸素に適応している。これによって、彼らはタイプIの環境下で持久力を高めることができるのだ。
やがて、ユバーティカのユビーズは銀河共和国、後には銀河帝国の一部として受け入れられるようになった。このことは外界への進出を果たし、長く離れ離れになっていた従兄弟たちと出会った「真の」ユビーズを激怒させた。彼らはイラク・プーチュック・ユビーズたちを、銀河系における自分たちの正当な地位を奪い、快適に暮らしている裏切り者とみなしたのである。この対立はすぐに流血の争いとなった。そして、ヤヴィンの戦いの3年後、南荒地のウォー=マスターの称号を名乗るユバIVの指導者、ヴォーサグ氏族のサヴァックスは7つの氏族を統率し、ユバーティカを攻撃する。彼はハットから供給を受けた大型艦船の一団を率い、ユバーティカの戦いで複数の都市を破壊した。だが、彼の艦隊は帝国軍によって完全に滅ぼされたのだった。
また、銀河内乱の最中には、「マース・バーカの腸内復讐」として知られる致死ウイルスの犠牲となったユビーズの入植者もいた。イブン・Q3・バオバブは、自著の「ギャラクティック・フレーズ・ブック&トリビア・ガイド」の中でこの病気について述べており、感染者は急激に体重が減るという。過去に一時期、ニモイディアンの専門医師として働いていたバオバブは、この疫病がニモイディアンに起源を持つものだと信じていた。だが実際には、入念に計画された貿易紛争に絡む攻撃か、または偶発的に発生したもののどちらかであるという推測が存在するだけである。
ラナットは小さな「準知的生物」ではあるが、知的生物の一角を担うほどに強力な害獣である。その筋骨逞しい肉体は細く引き締まっており、ウロコ状の尻尾以外は薄汚れた黄色から錆茶色の毛皮に覆われている。淡黄色の鼻には長く黒い髭が生えており、小さな丸い目は黒く、頭頂部には毛の生えていないピンク色の耳が立っている。
ラナットの腕と脚は短いが筋肉質で、手足には器用な爪が生えている。しかし、彼らの最大の特徴はその門歯である。ラナットの下唇の裏からは、あたかも1対のセイバーのような2本の黄茶色の歯石に覆われた歯が伸びているのだ。
ラナットは決して詩人でも、哲学者でも、科学者でもないが、確実に狡猾な敵対者を作っている。他の知的種族は齧歯類に似た風貌から彼らを「ラナット」と呼ぶが、彼らはその名を無条件に拒否しており、自分たちの言葉で「征服者」の意味を持つ「コン・クィーコン」と名乗っている。
他の知的種族は高度な精神的プロセスを発展させることによって洗練された感情を抱くことができる。だが、ラナットはそうしたプロセスを発展させていないため、彼らの性格を他の多くの種族の性格と同じ言葉で判断するのは不公平である。実際、ラナットの執着心はただ1つ、食糧のみに向けられている。彼らは戦争や社会的貢献などの他の活動にも重要性を見出しているが、それは食糧の入手に反映される限りの重要性でしかないのだ。
ラナットの出身惑星はアンドロン星系に属する小さな亜熱帯惑星アラリアである。彼らの実際の起源はライダー星系の第2惑星ライダーIIにあるが、数世紀前にライダーのヒューマノイドは自分たちの子供を食糧として誘拐しているラナットの習性を強く非難し、彼らを害獣と見なして排除を試みたのだった。現在アラリアに生息しているラナットは、そのときの種族の絶滅を辛うじて生き延びた3人のラナットの末裔たちである。
この3人(男2人、女1人)はライダーIIに停泊していたスパイス密輸船に侵入した。ラナットの伝説によると、この船は3人の密航者が乗員を食べ尽くした後、アラリアに墜落したという。アラリアに着いた3人の「英雄」は、岩の多い海岸や、ジャングルの山岳地帯、草の多い内陸部など、様々な地形を発見した。彼らは海岸に近いジャングルを好み、数が増えるにしたがって居住範囲は山岳地帯へと広がっていったが、現在でも大半のラナットがこの地に生息している。そして、現在では多くのラナットが定期的な雪埃を受ける高地にも住んでいる。
ラナットは門歯で土や岩を掘り起こし、地下に住居を造っている。この作業は歯を磨耗させるが、彼らの門歯は1標準時間に1センチの割合で成長するため、急速に再成長を遂げるのだ(ものを齧ることによってラナットの顎の中では成長ホルモンの分泌腺が刺激され、歯の成長が促される。そして、歯が成長すると再びそれを磨耗させるためにものを齧る必要が生じ、口の中で歯が大きくなりすぎるのを防いでいる。この悪循環は彼らの絶え間なくもの齧る習性を旨く説明している)。
ラナットの各部族はおよそ100人で構成され、自分たちの街を形成して守っている。多階層の地下迷宮と化した街は3平方キロメートルの広さを誇り、トンネルの全長は50キロメートルを超える。部族は安全策としていくつかの出口を設けており、これらは木の葉や雑木林で隠されている。居住空間には広大な寝床、託児所、会食所があり、他には貯蔵室やゴミ捨て場なども用意されている。
複雑なトンネル網は部屋同士を連結するだけでなく、防衛にも活かされている。その街の住民は迷宮を熟知しているが、侵入者は道に迷い、容易に「行き止まり」へと誘導されてしまう。そこでは住民たちが侵入者に対して死ぬまで石を投げつけ、ついには餌食にしてしまうのだ。
ラナットには特定の配偶者や子供と一緒に暮らす習慣がない。女性は少なくとも年に2回の「盛り」を迎え、その間、可能な限り多くの男性と繁殖を行う。彼女はおよそ120標準日後に3人から5人の子供を産み、直ちに託児所へ運び込む。そこでは母親たちが交代で街のすべての子供たちに最低限の世話、すなわち餌付けを行っている。この方法によって、女性たちは地上で狩りや戦いを行う時間を最大限に確保できるのだ。もし母親が死んでも、その子供が悲しむことはない。なぜなら、彼らは数多くの子守女のなかの誰が自分の母親なのかを知らないのだ。
子供たちは手足がしっかり成長するとすぐに地下都市の上に広がる惑星の探索を開始し、託児所には常に新生児だけが残される。思春期のラナットは互いを押し退けたり、蹴ったり、叩いたりしながら遊んでいるが、大人が干渉することは滅多になく、若いラナットが死亡することも珍しくはない。しかし、思春期に達するまでは危険な門歯が生えてくることもないため、噛み付きが致命的な結果をもたらすことは稀である。こうした死亡事故や、少数の短気な子守女によってラナットの人口が減少することはないのだ。
ラナットは3標準年に相当する歳で大人になり、利口であれば20標準年の歳まで生き延びることがある。彼らはほとんど何でも食べるが特に肉を好み、なかでも大好物はローバの肉である。ローバは巨大な牙を生やした豚に似た稀少動物であり、ラナットは5人以上のグループでローバの狩猟を行っている。恐れを知らない彼らは一旦獲物を見つけるとそれを取り囲み、噛み付いては逃げるという攻撃を繰り返す。各襲撃者は素早く肉片を噛み千切り、ローバの恐ろしい鋭利な牙を回避するために退却する。ついには体重900キロの猛獣も倒れ、戦士たちは満腹になるまで食べ尽くし、残骸は街の貯蔵庫へと運ばれていく。
ラナットの持つこのような肉への渇望、特に哺乳類の肉に対する執着心は、アラリアの動物相に深刻な被害をもたらした。同様にこの事実はラナットの部族間での争いの大きな原因にもなっている。死闘によって疲弊した狩猟隊は、別の部族のラナットたちにとって格好の標的となり得るのだ。彼らには降伏という概念が存在せず、逃げるか、死ぬまで戦うかのどちらかしかない。そして襲撃者、防御者など抗争を生き延びて街に生還したラナットは、「名誉」を奪還するために復讐部隊を組織することになる。この復讐部隊はすべてのラナットが楽しむ祝祭である。実際に復讐に赴くのは街のメンバーから選ばれた数人に過ぎないが、全員がその準備を手伝うのだ。
最近までラナットの全部族は互いに敵意を抱き、協力的ではなかったが、現在ではラナットの社会も変わりつつある。2標準年前、銀河旅行者のための惑星遊園地の建設に着手していた企業家の一団がアラリアを発見し、その「無人」の惑星を理想的な建設地であると考えた。企業家たちはセクター当局との間で適切な契約を結び、迅速にアラリア計画を進行させたのだった。
しかし、建設業者が作業を開始すると、1つの問題が浮上した。邪魔なトンネルを掘っている大きな齧歯類型生物の存在である。建設業者は「害虫駆除業者」を雇ったが、驚いたことにこの生物たちは軍隊を組織して反撃に転じ、駆除業者を皆殺しにしてしまったのだ。このニュースは急速に広がり、ラナットたち以上に厄介な法的問題を引き起こした。帝国法では知的種族はそれが好ましくないという根拠を示さずに絶滅させてはならないとしており、ラナットを絶滅させる公式な許可の取得は極めて難しいのである。
環境保護論者をなだめ、上級官庁による視察を回避するため、セクター政府はラナットを準知的種族であると宣言した。これは彼らがいかなる権利も有しておらず、したがって自己防衛のために殺戮しても構わないということを意味していた。こうして闘争は続けられたのである。戦争におけるラナットの技術は新しいセクター法、特にアラリアではラナットを武装させてはならないという法を制定させた。しかし、セクター政府は軍隊、もしくは武装した大規模なグループをアラリアへ派遣することも禁止した。政府は豊かな惑星を破壊する行為は望まないが、純粋に「準知的種族」による支配から環境を保護することは希望すると主張したのだ。
ラナットは自分たち自身のテクノロジーを一切生み出さず、銀河系の他のテクノロジーもほとんど使用していない(だが、彼らは安っぽい「光り物」に興味深い愛着を示し、伝統的衣装の一部を誇らしげに装飾している)。しかし、極僅かなラナットは彼らの惑星で賞金稼ぎや雇われの殺し屋から手にしたエイリアンのテクノロジーの使い方を学び、極めて危険な存在となっている。
銀河系でラナットを見かけることは稀だが、帝国軍や少数の個人警備会社はある種の軍事的才能を求めてラナットの利用の可能性を実験している。銀河を旅しているラナットはこのようなテクノロジーの使い方を学んだ例外的存在であり、故郷の外でそれを実践しているのだ。
ラニックはミッド・リムの同名の惑星に原住する背の低いヒューマノイドである。しかし、小柄な体に反して彼らは獰猛な戦士であり、野生の肉食獣があふれた危険な惑星環境や、長年続いた戦争によって技にも磨きが掛けられている。また、見た目以上の力とスピードも、彼らを危険な戦士としている要因である。そして、多くのラニックは性急で神経質だが、極めて危険な状況に直面したときでも明確な考えを打ち出すことのできる大胆さを合わせ持っているのだ。
ラニックは成人でも身長が1メートルをやや越える程度であり、体重もわずか35キロから45キロ程度である。身長に男女差はほとんどないが、体形は女性の方が明らかに細い。髪や目の色は暗赤色やオレンジから紫色、暗青色まで広範囲に及び、皮膚の色調も同様である。また、彼らは大きな尖った耳を持ち、遠くの音や小さな音を聴き取るためにその耳を回転させることができる。ラニックは感情をほとんど顔に出さないため、彼らをあまりよく知らない人々は、ラニックがいつも不機嫌で怒っている種族だという印象を受けるだろう。
ラニックはデュロスと人間の探検家によって発見され、宇宙進出への小さな第一歩を踏み出した。共和国が彼らを即座にメンバーとして迎え入ると、結果的にラニックの社会に新たなる貿易とテクノロジーが怒涛のように流れ込んだのだった。新しいテクノロジーを巡る合理的な貿易がどのような結果をもたらすかについて、ラニックの様々な政治派閥はそれぞれ異なる見解を持っていた。そして他のラニックのグループが作った政策について激しい議論を展開したのである。これは彼らの社会に決して抜け出せないほどの深刻な激変をもたらした。やがていくつかの海賊組織がこの政治的分裂状態を商売の絶好のチャンスとして捉えると、ラニックの惑星は悪党たちの隠れ家となり、違法な品物の売買がはびこる闇市場と化したのだった。この社会的変化を食い止める努力のなかで、コア・ワールドの多くの政府が発展途上にあるラニックへのテクノロジーの輸出を制限し始めた。当然、この措置によって、犯罪組織や海賊たちがラニックで影響力を得るために使う闇市場のテクノロジーの力はますます強くなるのだった。
やがてコレリアの外交官がラニックの惑星政府に、コア・ワールドと関わりのある合法的テクノロジーを強化するための契約締結を申し出る。多くの海賊から支援を受けていたラニックのテロ組織は、この契約が効果を発するようになることを全力で阻止しようと企んだ。特に、このような組織の中でも最も大きな力を持つレッド・イアロは、長年にわたってラニック最高評議会を悩ませ続けることになる。後に帝国による反エイリアン政策が実施されると、合法組織と非合法組織の両方がラニックに対するテクノロジーの分配を減少させ、彼らを銀河系の僻地のレベルにまで追いやった。結果として他の惑星への入植経験がないラニックは孤立してしまい、それ以後、ラニック以外の惑星で彼らの姿を見かけることもほとんどなくなったのだった。
ルーニアンは全身の皮膚が青い人間に近い姿をした、インナー・リムのベスティン星系と同じセクターに属する惑星ルーナの原住種族である。ルーニアンは青い肌と唇、黄色の虹彩で人間と容易に見分けることができる。ルーニアン社会は裕福で陽気であり、極度に精神的である。そのため、彼らは華美な衣装を纏い、タトゥーを入れていることが多い。また、ルーニアンは海や宇宙への旅を好んでいる。
ルーニアンは銀河共和国の一員だが、彼らを代表している議員はトゥイレックのチー・イクウェイであり、後には銀河帝国にも加わっている。また、ルーニアンの入植地はサルーカマイなどの他の惑星にも多数存在している。
ルーニアンの風貌はチスと非常によく似ており、両者に何らかの関係があるのではないかとも推測されている。だが、それを証明する事実は見つかっていない。
ローディアンはタイリアス星系に属する惑星ローディアの出身の、複眼にバクのような鼻、緑色の皮膚をした二足種族である。彼らの背中には頭骨まで一本の棘々しい隆起が走っており、指は長くしなやかで、先端には吸盤が付いている。ローディアンには外見的な個体差が限られた範囲でしか存在しないため、他種族がそれぞれのローディアンを識別することは非常に難しい。
大多数のローディアンは暴力と死に取り付かれている。彼らの多くはローディアの伝説的な武器業者の巨大工場で懸命に働きつつ、それにロマンを抱いており、その後、水で戻したプロテインを食べるために家に戻る。より一層熟練したハンター、すなわち望むなら惑星を離れる権利を勝ち取った者たちは、暴力に関してより実践的な存在であり、彼らは職と名声の中にそれを見出している。また、より知的なローディアンは暴力の哲学的な一面にも関心を抱いており、彼らは殺人こそ行うが、事前にその行動に関する本質を考慮するのである。
惑星ローディアの歴史はローディアンたちが自らの生き方をどのように、そしてなぜ考えているのかを多く説明してくれる。あらゆる文明種族が進化の最中に行うのと同じように、無力で小さな体だった彼らの祖先は道具と武器を発達させた。しかし、ローディアは生命に溢れる人口の密集した熱帯惑星だったため、ローディアンたちに農業技術を向上させる必要はなかったのである。その代わりに彼らは必要な食料を狩り、狩猟活動は文化の一部となって、勇敢な偉業やその技能に名誉を重んじるようになった。しかし、やがてこの惑星にいた巨大肉食獣の大部分が狩りによって滅ぼされ、狩猟への挑戦的要素がなくなると、ローディアンたちはお互いに狩猟し合うようになったのである。
小規模な戦争の口述として始められ、何世代も続けられた一連の武術大会によって、彼らは暴力的な生活を永続させることができた。共和国の最初の偵察隊がローディアに着陸したときも、ローディアンたちはローディアン・グランド・プロテクターがその行為の停止を呼びかけるまで、彼らを捕らえ、殺していた。彼らは肉食獣を狩る古典的手法を再現できると考えていたのである。
外界人たちの手助けによって、ローディアンたちは無限の宇宙を狩猟場にすることも可能になった。グランド・プロテクターの先見の明の結果、ローディアンたちの中で賞金稼ぎは名誉ある職業となり、毎年、「ベスト・ショット」(ほぼ常に相手を殺した場合のみ)、「最長の追跡」(しばしば距離と時間に対して)、「最も悪名高い捕獲」、「最短の捕獲」、「最も困難な狩猟」などのカテゴリーにおいて賞が与えられた。こうした制度も初期の頃は、多くの発展途上の星系で法的に行われてきた措置に似ていたが、特筆すべき点はローディアンは一般大衆の利益のためではなく、スポーツとして狩猟を行うということである。ローディアンたちは賞金稼ぎの装いで帝国主催の「大コンテスト」に参加するため宇宙へ進出するときも、スポーツではなく法の施行に参加しているのだということを理解していない。このため、ローディアンの賞金稼ぎは、しばしば獲物にさらに多くの罪を犯させ、最終的に捕らえたり殺したときの価値を高めて故郷での地位をより向上させる「水増し」逮捕を行うのである。
ローディアンの文化に関心を寄せている学者の多くはその暴力的な面だけに注目しているが、ローディアには単なる死や破壊以上に有益なものが存在している。というのも、驚くべきことにローディアンたちは銀河系で最も古くから続く印象的な習慣の1つを持っているのである。彼らは繁殖能力より先に殺傷能力を発展させ、他の多くの種族と同じようにその歴史の中で時間を費やしてきた。結果として、惑星ローディアはローディアンたちの絶滅こそが最も適切となる時代に直面したのである。この事態を食い止めようと、グランド・プロテクターのハリド・カヴィラはローディアンの暴力的な傾向を健全な方向、すなわちローディア劇文学の古代芸術へと注ぎ込む活動を展開した。こうしたエキシビジョンは単純な見世物試合として始まったが、劇作家たち、すなわち脚本と演出の両方を担当するローディアンたちは、戦いがより大きな全体要素として与えられれば劇の効果が大きくなるということを発見し始めていた。徐々に劇の内容は暴力がそうであったのと同じくらいの注目を受けるようになったのである。
ローディアンの劇文学は比較的暴力的ではあるが、あらゆる種族の大部分の人々に感動的な反応を与える典型的な感情と状況を扱っている。そのため、現在でも銀河系全域で高く評価されているのである。ローディアンの劇文学における最も興味深い点の1つは、彼らが暴力に栄光を与えている一方で、多くのホロビデオで描写されるような暴力の完全な効果を示しているということである。そのため、ローディアン以外の人々(出来の良い内容ならローディアンさえも)はその衝撃に圧倒されてしまう。
ローディアンは武器の製造に集約された重工業技術を持っている。ローディアでの技術の発展は、この惑星で栄えローディアンたちの狩猟能力の発達を促した野生動物たちを着実に滅ぼし、結果としてローディアンたちは食料の大半を輸入に頼らなければならなくなった。
ローディアンは科学技術の促進を武器の分野に集中させており、エレガントでなく、効率的でもなくても、おそらく銀河系で使われている有用な武器の大部分は彼らの手によるものである。
ローディアンは頻繁に銀河系全域を旅し、しばしば悪名高い犯罪者や賞金首、あるいはその両方となって戻ってくる。さらに、彼らは自由契約の職を選ぶことで有名である。ローディアンの賞金稼ぎは帝国軍の総督や犯罪王などに雇われ、銀河系全域で働いている。彼らは他の賞金稼ぎより安い賃金で働くが、その内容は平均よりも上である。ローディアンは銀河系のいたるところにいるが、コア・ワールドに属する星系で劇団の活動を行っている者を除けば、ローディア以外でお互いに近接して生活していることは希である。彼らは他のローディアンの怒りを触発する危険を冒すまでもなく、既に十分な危険に身をさらしていると決め付けているのだ。