イェヴェサはクアノッチ星団で独自の発達を遂げた種族である。クアノッチ星団は、辺境のファーラックス・セクターの端に位置するおよそ2,000の恒星系からなり、そのなかには固有の生命体を有するおよそ100の惑星が含まれている。これらの惑星のうちの6つには知的生命体も存在しており、そのなかでも1つだけ宇宙文明を迎えた種族が存在する。それがヌゾス星系の原住種族イェヴェサである。
イェヴェサは細身の骸骨のようなヒューマノイドであり、顔には頬、顎、頭部に沿った紺色の鶏冠が生えている。男性は激しい運動をすると鶏冠が充血し、繁殖の準備を行うと頭頂部にある大きな鶏冠が充血する。一方で、女性には頭頂部の鶏冠が生えていない。
また、イェヴェサは大きな黒い目をしており、両手首の内側に伸縮自在の長い爪を生やしている。こめかみ部分の起伏に沿った一連の孔には聴覚に関連した微細な毛細胞が隠されており、皮膚は首の後ろと脊髄の下を保護する鎧の代わりとして働いているが、すでに退化している。指は片手に6本生えており、脳は胸部にある厚い脳骨の中で守られている。
イェヴェサは哺乳類型卵生種族の一種である。胎児は外部子宮(内側に子供がいるときはマラ=ナス樽(あるいは誕生樽)と呼ばれ、子供が生まれた後は「巣」と呼ばれる)に運び込まれ、血液を与えられて育っていく。血液は母親のものが最適とされているが、マラ=ナス樽はあらゆるイェヴェサの血液を摂取することができ、いずれの場合でも同じように生き長らえることができる。また、マラ=ナス樽はごく少量の血液さえ与えられていれば生き続けることができ、夜になると多くのイェヴェサが寝るために戻ってくる。通常、1つのマラ=ナス樽からは複数の子供が生まれ、同じマラ=ナス樽から生まれた子供たちは「連続した双子」と呼ばれている。この奇妙な生態はイェヴェサの文化に大きな影響を与えており、もはや血液は彼らの人生と宗教における中心的な役割を担っているのだ。
イェヴェサは厳格な階級制度に基づく文化を持った、忠実で用心深い運命論的な種族である。イェヴェサの社会では目下の者が罪を犯した場合や、あるいは目上の者にとって単にそれが必要だった場合に、目上の者が目下の者を殺害することが許されている。そのためイェヴェサの男性の多くは常に目上の者によって殺される可能性があるのだ。したがって下位の者は目上の者を満足させることに熱心であり、常に自分が死なずに生きていることの価値を示そうと努めている。一方で、それと同時に下位の者の失敗にも目を光らせているのだ。しかし、まだ生まれていないより上位の者に属するマラ=ナス樽を養うために自らを犠牲とすることは、イェヴェサにとって最高の名誉であると考えられている。
イェヴェサは銀河系の他の種族と比べて歴史の浅い種族であり、彼らが知性を手に入れたのはおよそ50,000年前のことである。それ以後、彼らは急速にテクノロジーを発達させたが、その文化はまだ未熟な段階にある。ヌゾスは全天を覆うクアノッチ星団の輝きによって夜間でも他の星を見ることができず、そのためイェヴェサは自分たちの星がこの宇宙で唯一の世界であると信じていた。事実、イェヴェサの最も偉大な思想家でさえ、この宇宙に他の知的種族がいるという可能性を一度として考慮しなかったのだ。この点からも、彼らの文化がいかに異常なものであったかが伺えるだろう。やがて知性と野心を備えたイェヴェサは惑星規模の階級型政治システムを築き上げ、その直後に宇宙への進出を開始する。当時はまだハイパードライブ・テクノロジーを確立していなかったが、彼らは長距離型リアルスペース航行船を用いて11の惑星を植民地化し(これはハイパードライブを持たない文化としては、未だかつてない最高の数字である)、ダスカン連盟と呼ばれる連合国家を作り上げた。そして、これらの惑星にも他の知的種族が一切存在していなかったため、後に帝国との接触を経験するまで、イェヴェサの文化は自分たちの知性をこの世で唯一のものであると見なしていたのである。こうした歴史的背景から、彼らは外界人を「害獣」と称して極度に嫌悪し、他の知的生命体を自分たちより下位の存在であると考えるようになったのだ。
帝国とイェヴェサ領との接触は、帝国軍による速やかな占領へと進展した。イェヴェサがかなり有用な技術適性を有していることを発見した帝国は、彼らを労働者として徴兵し、この星系にブラック・ソード部隊の造船所を設立する。初期の頃には破壊工作にも見舞われたが、イェヴェサが新秩序を受け入れたことでこの造船所は素晴らしい名声を獲得し、やがては帝国軍における最も効率的な徴兵施設となったのだった。
イェヴェサの政治体制は極めて未成熟である。イェヴェサ領の統治者である「総督」は宗教的指導者としての役割を表して「祝福されし者」とも呼ばれており、さらに下位の者を支配する多くの部下を従えている。また、軍事指導者は「大主教」と称され、行政指導者は「代理官」と呼ばれている。
帝国と接触した初期の頃、イェヴェサは情報化時代の末期にあり、宇宙時代のテクノロジー・レベルを迎える矢先にあった。だが、彼らは外界の惑星との取引きを一切行わず、貿易には全く関心を示さなかった。やがてハイパードライブ・テクノロジーを確立したとき、領域内での貿易が大幅に活性化したのである。そして、イェヴェサは彼らが「故郷」と呼ぶクアノッチ星団を超えて宇宙を旅することに全く関心を抱いていないのだ。
エイング=ティはケイソル・リフト付近に居住する、エイリアンの修道僧たちによる集団である。彼らの信仰の体系は、すべての出来事は必ずしも運命によって定められているわけではなく、導かれる余地があるというものだった。ジェダイやシスとは異なり、エイング=ティはフォースには光も闇もなく、虹に似た多くの色に満ちていると信じているのだ。また、概して彼らは奴隷制度こそが銀河系に存在する最大の罪悪の1つであると考えており、それで成功した者を無情に迫害してきたのだった。
多くの点でエイリアンであるエイング=ティは、特異な形態のテクノロジーを有しており、その最も顕著な例は、ハイパースペースを経由した移動を必要としないスター・ドライブである。彼らの宇宙船はハイパースペースを利用する代わりに、選んだ場所へどこでも瞬間的にジャンプすることができるのだ。また、彼らの船は有機体の外観をしており、それを見た者は、エイング=ティと彼らの宇宙船があたかも同一の存在であるかのような幻想を抱くという。
エイング=ティの持つ特別なフォースの力の1つは、フロー・ウォークと呼ばれる能力である。彼らは自分が存在する痕跡をいつでもどこにでも残すことができるのだ。事実、彼らは瞬間移動によって時空を旅することができるため、エイング=ティがフォースで時空を操っているのだと信じている者もいる。
彼らとより大きな銀河社会との接触は限られたものだったが、エイング=ティはときおり姿を現している。彼らはジョージ・カーダスを健康な体へと治療し、彼に見たままのフォースを教え、エクソクロンを襲撃した奴隷商人レイカスを滅ぼした。また、ユージャン・ヴォング戦争後の5年におよぶフォース探求の旅の間、ジェイセン・ソロはエイング=ティと共に研究を行ったのだった。
銀河系全域に存在する多数の文化の言語において、「カーマシ」という名称は「遠方から来た友人」や「信用できる見知らぬ人」という意味を持っており、人々はそれ以上適切な言葉で彼らを表現することができていない。カーマシは青緑色の目を持つ長身のヒューマノイドであり、体の大部分を金色の綿毛で覆われているが、目の周りと頭の後ろから背中に掛けてだけ紫色の縞模様が並んでいる。長い手には指が3本しかなく、繊細で誰に対しても親切である。
カーマシは芸術的かつ賢明で自由思想家でもあり、道徳的な力を通じての平和を信奉している。彼らの伝説によると、何世代も前に初期のジェダイ・ナイトが彼らの惑星を訪れ、フォースの道徳的な使用法を学んだのだという。また、カーマシは厳格な平和主義者でもあり、多くは商人、外交官、あるいは学者などの職に就いている。
彼らは自分たちの言葉でメムニィと呼ぶ永久的かつ鮮明な記憶力を持っており、テレパシーを通じて同種族間で記憶を共有することができる。氏族内では単にメムニィを広めることによって婚姻を結ぶことも多い。また、彼らはジェダイともメムニィを共有することが可能である。
旧共和国の熱心な支持者だったカーマシは、その英知によって晩年に共和国が完全に分裂することを阻止した。そのためクローン大戦が終結すると、パルパティーン皇帝は報復として惑星カーマスの破壊を計画する。このときの激しい爆撃によってカーマスのすべての植物が滅ぼされ、大多数のカーマシが殺害されてしまう。ケリルトでは大規模な集団が生き残っていたが、後にスゼヴフィに移住した者たちもいる。そしてカーマスを逃れた難民たちは、自分たちの世界を再興する望みを託し、他のいくつかの惑星へと逃れていったのである。そのなかにはオルデランも含まれており、彼らはオルデランの南方の島に難民の共同社会を築いたのだった。
カーマスのシールド発生装置を爆破するパルパティーンの工作隊を支援したのは、ボサンのグループだった。彼らは惑星中を焦がす炎の嵐を巻き起こすため、突然の破壊的な攻撃を許したのである。後にこの悲劇におけるボサンの関与が詳細に記されたカーマス・ドキュメントのコピーがウェイランドで発見されると、ボサンに対して残された難民の故郷となる居住可能な惑星を購入せよという要求が大々的に沸き起こった。だがこれまでのところ、ボサンはこの要求を受け入れていない。
その間も残されたわずかなカーマシたちは、新たなる故郷が手に入るときを静かに辛抱強く待ち続けている。彼らはボサンとも共に働き続け、銀河系に寛大さの模範を示しているのである。
キリックは社会性を持った昆虫型種族であり、繁殖者、戦士、看護者、そして恐ろしいアサシン・バグなど、いくつかの異なるタイプに分かれている。彼らは種族全体としてはフォースを感知することができないが、特定のタイプのキリックだけは特殊な方法によってフォースを使えるように育てられている。
すべてのキリックは小さな幼虫として誕生する。その後、彼らは様々な大きさへと成長するが、通常、ハイブの大きさは一定である。彼らの光沢のある外殻は数千年を経過しても劣化しないほど丈夫であり、事実、彼らが姿を消した後にオルデランへやって来た入植者たちも、まったく劣化していないキリックの外殻を発見している。また、大部分のキリックはそれぞれに3本の鉤爪の付いた4本の腕と、力強い2本の脚を生やしており、それらを使って長距離を跳ぶことが可能である。
キリックは共同社会を形成しており、個々のキリックは別の個体との精神的な接触を行っている。このハイブ・マインドによって、すべてのキリックの巣はあたかもそれらが個々の存在であるかのように活動しているのだ。そして、各ハイブは回文のような名称を有している。ハイブの総数を正確に発見した者はいまだかつて1人もいないが、少なくとも375個の存在が確認されている。また、キリックは本質的に平和な種族である。他の種族がときおりキリックに恐怖を感じる一面は、彼らとの広範囲な接触が「ジョイナー」となる存在へと帰着することである。ジョイナーは実際に脳の構成を変化させるフェロモンによって、キリックの意思から影響を受け、支配されるのだ。
キリックは銀河共和国が形成されるはるか以前から存在する古代種族である。彼らはオルデランに起源を持ち、ヤヴィンの戦いのおよそ35,000年前、キャッスル・ランド(キリックたちはこれをオロボーロと呼んだ)を築き上げた。その後、彼らは近隣のアルサーカンに入植する。そして、キリックの主張によると、彼らはセンターポイント・ステーション(彼らはこれをクオララロックと呼ぶ)を建造し、同時期にモー星団の生成を目撃したのだという。次に起こった出来事は、時間の霧に覆われている。しかし、ルーク・スカイウォーカーによって仮定された推論によると、ヤヴィンの戦いの30,000年前に、キリックはセレッシャルによってオルデランとアルサーカンから追放され、未知領域へと渡ったことになっている。彼らはそれ以前にオルデランの資源をすべて消費し、既に居住者がいる別の惑星へと移動する準備を行っていたのである。
そこで、キリックは数千年にわたって隔離された状態を保っていた。しかし、ヤヴィンの戦いから27年後、レイナー・スールをはじめとする3人のフォース感知力を持つ人間を乗せた宇宙船<タキオン・フライヤー>が、彼らのコロニーの1つだったヨゴイに墜落する。レイナーは燃え盛る残骸から残りの生存者であるダーク・ジェダイのロミ・プローとウェルクを引きずり出すが、2人は大火傷を負い、瀕死の状態だった。キリックは彼らを救助し、生存者の治療を行ってくれたのである。
しかし、最終的には3人とも、キリックのハイブ・マインドへと吸収されてしまう。レイナー・スールはアヌサルとなり、一方でロミとウェルクはダーク・ネスト、すなわち秘密のキリック・ハイブ、ゴーログのリーダーとなった。レイナーがキリック・ハイブ・マインドに吸収されたため、彼の価値は彼ら全体の価値、特に個々の生命に関する価値となったのだ。そして、レイナーは姿を現すと、ヨゴイの巣の管理を行い、それをキリックにとってさらに役立つよう変化させ始めた。やがて、ヨゴイの巣は自身を養い、種の一員であるレイナーの「贈り物」を共有するため、周辺地域へと広がっていったのである。
だが、そのプロセスは容易なものではなかった。キリックは平和的な種族だが、他のハイブを形成する種族と同様に、個々の生命に価値を認めていないのだ。拡張の間に少なくとも1つの敵対する巣がヨゴイ・ハイブを攻撃してきたが、ハイブは生き残り、攻撃してきた巣を撃退、または吸収していった。そして、これまでにキリックが一度も経験したことのなかった周期的な食糧不足は、彼らに他の惑星や種族との交易の開始を余儀なくさせたのである。しかし、彼らは同様にキリック以外の種族をハイブ・マインドへと吸収し始めた。そのため、ヤヴィンの戦いの35年後にキリックが銀河同盟によって再発見されたときも、彼らはまだ辛うじて生存していたのだった。同時に、コロニーは375ヶ所の巣へと拡大していたが、キリックの総人口は不明のままである。一方で、ダーク・ネストの存在も大多数のキリックにとっては未知のままだった。
ヤヴィンの戦いの35年後、ダーク・ネストによって操られたキリックは、チス・アセンダンシーの境界へと拡大し始め、銀河同盟はこの抗争についての調停を余儀なくされる。そして、クオリブ休戦協定のもと、キリックはチス・スペースへの拡大を取りやめ、その代わりとしてウォテバを含むウテゲッチュ星雲の14の惑星をコロニーとすることで合意した。ウォテバには芸術的なサラス・ハイブが入植することになったのだった。
だが、キリックにとっての不運は、ウォテバや他の惑星に存在する古代自然環境の防衛システムだった。ウテゲッチュ星雲で生成される超新星が定常的にこれらの惑星に対して打撃を与えており、そのたびに動植物が絶滅していたのである(ただし、植物は防衛システムによって2年以内に復元していた)。当初、ウォテバはキリックのコロニー社会にとって楽園かと思われていたが、この惑星はキリックが生態系に触れるたびに彼らを攻撃し、建造物と彼ら自身の両方をフィズとして知られる腐敗性物質によって滅ぼしたのだった。フィズは侵入者や侵入物を分子レベルで破壊するナノ・マシンである。その結果、キリックはジェダイが自分たちをフィズの犠牲にするため、この惑星へ故意に送り込んだのだと考えるようになった。しかし、これは真実ではなく、ダーク・ネストのもたらした欺瞞に過ぎなかったのである。
そして入植から1年後、キリックはタスケン・アイで造られた14隻のネスト・シップによって、ダーク・ネストのネスト・シップと共に星雲から離れた。この艦隊はチス・アセンダンシーへの侵略を準備していた銀河同盟のヴィクトリー級スター・デストロイヤー<アドミラル・アクバー>を拿捕し、この事件によって群虫戦争が勃発したのである。
ジェダイ・ナイト、ジェイセン・ソロがチス拡張防衛軍の船を攻撃し、彼らをキリックへの先制攻撃へと駆り立てようとしたことで、この戦争を阻止しようとする試みは失敗に終わった。一方、キリックは他の多くの昆虫型種族に同盟を呼びかけ、フェフツェ、フラカックス、ジオノーシアン、ハック、スナティブ、ヴァーパイン、ヴラティックスらが素早くそれに加わった。
この戦争では、ペレオン最高司令官が銀河同盟軍の指揮を執り、ルーク・スカイウォーカーが新ジェダイ・オーダーを導くことになる。そして、最終的には同盟軍が勝利を収めたものの、タイフェラにおけるキリックのクーデターによって多くのバクタが失われたのだった。
グーピンは森林衛星エンドアの草原地帯の外側でのみ暮らす不思議な種族である。そこには広大な火山地帯が広がっており、花や滝、段状に生い茂る植物などが満ち溢れているが、グーピンたちは主に洞窟で生活を営んでいる。小柄で妖精に似た彼らは、背中から小さな羽根を生やしており、身に危険が迫ると空を飛んで逃げることができる。また、彼らは他人や動物の姿に変身する能力を持つが、そのためには自分と相手が互いに深く信じあわなければならない。
しかし、グーピンたちは常にこのような特殊な能力を使えるわけではない。彼らはグニーパル・チェストと呼ばれる箱を持っており、定期的に開催されるリニューアル・セレモニーの際にその箱を開くことで、飛んだり姿を変えたりするために必要となる、不思議な生命エネルギーを補充することができるのだ。この儀式はグーピンたちの魂の復活を祝うものであり、最も若いグーピンたちはこのときに初めて翼を手に入れることになる。
通常、グニーパル・チェストは特殊な鍵で封印されているが、グーピンたちの伝説によると、この鍵を使わずにチェストを開ける力を持つ者もいるという。
地底で暮らす鮮やかな灰色の毛に覆われたヒューマノイド種族コーウェイは、サーカパス星系の第5惑星ミンバンの原住種族である。彼らは小さな目に大きな瞼を持ち、地底での生活に適応しているため赤外線を見ることができる。また、消化器系に極めて強力なアミノ酸を利用しており、未調理の肉や地衣類、さらには人間にとって有毒な菌類をも消化してしまう。
コーウェイは極めて攻撃的な種族であり、地表の住人に対して強い嫌悪感を抱いている。やがて帝国軍がミンバンを侵略すると、彼らはさらに地下深くへと移住することによって帝国との衝突を避けていた。しかし、不幸にも帝国軍の採鉱事業が彼らの生活圏を脅かすようになり、コーウェイたちは予想外の暴力を噴出させて反乱を起こしたのだった。
ミンバンには既に絶滅した種族スリラーたちが造った底なしに近い縦坑が数多く存在している。これらからはさらにいくつもの横穴が伸びており、コーウェイたちの地下社会に通じていることから俗にコーウェイ・シャフトと呼ばれている。発光性の菌類によって照らされた、ある特別なコーウェイ・シャフトには広大な地底湖があり、コーウェイたちはそこに浮かぶ巨大な葉の上を歩いて移動している。また、この湖には危険な不定形のアメーバ状生物も生息しており、はるか先端には廃墟と化したスリラーの古代都市が残されている。この縦坑で暮らす200人のコーウェイは巨大な天然の円形闘技場に原始的な部落を建造した。彼らの部族は3人の指導者によって統治されており、重要な問題に関する裁定はカヌー神の判断を仰ぐことになっている。
森林衛星エンドアに原住する巨大なヒューマノイド、ゴラックスは、長く黒い体毛に覆われ、ふさふさした大きな耳と豚のような鼻を付けた、猿人のようなエイリアンである。彼らは獰猛な肉食種族であり、その巨大な手で掴めるものなら、どんな生物でも餌食にしてしまう。
平均的なゴラックスの身長はおよそ30メートルもあり、樹上に築かれたイーウォックの村でも簡単に襲撃し、彼らを捕らえることができる。また、ゴラックスは食料としてではなく、単にペットとするためにイーウォックを襲うことも多い。だが、ゴラックスの多くは森から遠く離れたサラマ砂漠の先にある、石灰岩の土手の中で暮らしているため、森林で生活するイーウォックたちを襲うことは極めて稀である。
あるゴラックスが人間のジェレミット・トワニとその妻カタリーナを捕らえ、後で食べるためにカゴに入れていたことからも分かるように、彼らには食料を備蓄しておく習性がある。だが、このときのゴラックスはその行為が仇となり、トワニ夫妻の2人の子供、シンデルとメイスがイーウォックたちを連れて両親を救出しに来た際に殺されたのだった。
また、多くのゴラックスはボア=ウルフ狩を好んで行い、特に母親のボア=ウルフが仔を産んだ直後に、好みの仔を1匹だけ残して母親と他の仔を皆殺しにする。彼らは生き残った仔を捕らえ、それをペットとして飼うのである。
惑星サニーアーサに起源を持つマローダーは、2メートルを超す身長を持つ野蛮なヒューマノイドであり、森林衛星エンドアで暮らす平和な原住民たちを苦しめていた。彼らはウロコの付いた猿のような顔、灰色の皮膚、4本指の手を持っており、拾った道具や捨てられたぼろぼろの衣服を身に付けている。
エンドアのマローダーは、宇宙船がこの森林衛星に墜落したことによって出て行くことができなくなってしまった部族である。彼らは自分たちを海賊であると信じていたが、最後に奪い取った船はあまりにも高度な技術を利用したものであり、また異なる文化の創造物だったため、操縦することができなかったのだ。その後、彼らはエンドアの平原に薄暗い城を建て、テラク王とその副官シャラルによって支配されることになった。マローダーは概して長寿命の種族であり、彼らも既に1世紀もの間、エンドアで立ち往生しているのだ。
何年もの昔、マローダーは森林で迷っていたサラクという名の偵察員を捕らえ、彼の口から森林に隠された宇宙船のことを聞いていた。サラクは、船を星間移動させるには、「パワー」が必要であると話したのである。彼は今日の銀河系の多くの場所で日常的に使われている技術のことを言ったに過ぎないが、マローダーは原始的な種族であり、エンドアから脱出することを切望していた。そのため、彼らは宇宙へ脱出するための「パワー」を必死になって捜索し始めたのである。その探索の過程で、テラクとその部下たちはトワニ一家の宇宙船をサラクのものと勘違いし、「パワー」を奪うために乗員を殺害してしまうのだった。
マローダーは使い古しのブラスター・ピストルやライフルを使用し、それらと同様に剣やナイフ、槍も使っている。また、彼らはブラーグと呼ばれるトカゲ型生物に乗って移動を行っている。
ジェンダイは非常に稀な、謎めいた種族であり、ある個体は4,000標準年以上生きたという報告もあるほど、極めて長い寿命を誇っている。彼らの長寿は、外傷に対して極めて強い耐性を持った独自の神経系と循環器系に起因しているといえる。ジェンダイの神経系は体全体に広がる何百万もの神経房の集合体であり、それらによって彼らには異常なまでの反射神経が備わっているのだ。さらに、ジェンダイには心臓というものがなく、その代わりに広大な血管系が直接、血液を循環させている。集約された重要器官が存在しないため、ジェンダイは他のヒューマノイドにとって致命傷となるような多数の外傷にも耐えることができるのだ。また、検証されたことはないが、ジェンダイは完全に切断された状態でも生存可能だと言われている。さらに、彼らは長期におよぶ冬眠状態に入ることができ、その間に傷や病気を癒し、加齢プロセスを遅らせることも可能である。
ジェンダイは長期にわたって銀河系をさまよっている放浪種族であり、その本来の出身惑星はもはや忘れ去られている。彼らは極めて出生率が低いため、数の上では少数派種族だが、その理由はおそらくその長寿命と高度な再生能力にあるのだろう。しかし、この長寿命は年齢と共に精神を弱体化させる原因にもなる。ジェンダイは鬱病や興奮状態のような精神的混乱に敏感なのだ。銀河系にとって最も幸運なことは、ジェンダイが本来、攻撃的な種族ではないことである。
シ=ルウクはトカゲの姿をした温血種族である。シ=ルウクの出身惑星ルウィックは、たなびく銀河系の渦巻きの先端部に位置する球形星団内にあり、彼らはこの惑星をプウィックと呼ばれる他のトカゲ型種族と共有している。
大人のシ=ルウクは体長がおよそ2メートルに達し、巨大な胴体からは太い筋肉質の尻尾が生えている。腕は短いが力強く、その先端にある爪の生えた3本の指で器用に物を掴むこともできる。また、彼らは肉食であり、嘴状の鼻面には獲物を引き裂くことのできる鋭いナイフのような歯が並んでいる。
シ=ルウクの両方の鼻孔には、「嗅覚舌」と呼ばれる感覚器官が存在する。これによって彼らは人間よりはるかに優れた嗅覚を感じることができ、この極めて敏感な付属肢を使うことによってほとんど触れることなく相手の緊張状態を知ることができるのだ。したがって、シ=ルウクが一旦人間の体臭と生理機能を熟知してしまえば、人間が彼らを欺くことは現実的に不可能となる。
また、シ=ルウクは視覚も極めて敏感だが、彼らの感覚は人間ほど視力に強く依存していない。彼らは珍しい3重の瞼を持っており、明るさの変化にとても素早く反応することができる。そのため、人間のように突然の閃光によって一時的に目が見えなくなるようなこともほとんどないのだ。
シ=ルウクの言語シ=ルウヴィは、警笛や口笛のような鳥の鳴き声と音楽的な和音を組み合わせた複雑な発音によって構成されている。彼らの和音を用いた言葉は、ほんのわずかな鳴き声で大量の情報を表すことができるのだ。彼らの言葉を物理的に発することのできる人間はほとんど存在しない。
シ=ルウクには服を着るという習慣はなく、実際、彼らは服飾という概念を奇妙な文化として認識している。ただし、道具や武器を持ち運ぶためのポーチ類やベルトを着用していることは多い。彼らの全身を覆うウロコの色は個々人によって様々だが、一般に各個体のウロコはすべて同じ色をしている。また、シ=ルウクは爬虫類特有の極めて不快な体臭をしており、敏感な嗅覚があることから、各人の識別は主に体臭を嗅ぎ分けることによって行われる。逆に、彼らは人間の体臭を嗅ぐと、攻撃的になる。
初期のシ=ルウクは開発と発展によって天然資源の枯渇に見舞われた。彼らは核融合技術による飛躍的な発展を経験しなかったため、宇宙探索には大量の燃料を運ばなければならず、他の星への到達による銀河系規模の文明発達が望めなかったのだ。この障害を克服するため、彼らは「エンテクメント」と呼ばれる独自のテクノロジーを開発した。プウィックや、やがては人間をエネルギー源として利用するエンテクメントを使用することによって、シ=ルウクは非常に安定したエネルギー・レベルを維持できるようになったのである。彼らはこの1世紀の間に拡張期を迎え、アウター・リムで暮らす人間社会からできるだけ多くのエネルギー源を集めようと努力しているのだ。
シ=ルウクは非常に厳格な名誉の規範を有している。名誉はどんな対価を払ってでも維持しなければならず、名誉を得たり失ったりする無数の方法がヌーチと呼ばれる古代の象形文字によって示されている。ヌーチの主要部分は、シ=ルウクそのものと、この宇宙における彼らの居場所に関するものであり、彼らがあらゆる生物の頂点に位置する存在であることが繰り返し力説されている。彼らにとって他のすべての種族は家畜以上の何物でもなく、役には立つが、おそらくそれ以上のことは何もないのだ。この考えは厳格な軍国主義と拡張社会の形成に役立っており、同時に人間社会に対する真の脅威にもなっているのである。
彼らはウロコの色と模様に基づく厳格な階級構造を有している。それぞれのシ=ルウクは1つの主要なウロコの色を持ち、ウロコの色が異なる者との結婚も禁止されている。そのため、色と模様は天然の「氏族の紋章」を表すようになり、各氏族はわずかな種類しかない紋章を継承させることになる。したがって、シ=ルウクの氏族の家系図は、大部分がメンバーのウロコの色と模様によって記されているのだ。
シ=ルウクの社会では、ウロコの色によって身分が決定される。例えば、サファイヤ・ブルーのシ=ルウクは階級構造の頂点に位置し、政治構造を支配している。金色のシ=ルウクは極めて珍しい地位にあり、宗教階級の大部分を構成している。また、赤茶色のシ=ルウクは軍隊の大部分を構成し、他の階級よりも下劣で、腕力が強くなる者が多い。
ほとんどのシ=ルウクは明るいエメラルド・グリーンをしている。この色は彼らの社会における最下層の身分を表しており、ある程度の名誉と名声しか認められていない。一方で、暗茶色のシ=ルウクは「神聖でない」存在とされている。というのも、互いに色の異なるシ=ルウクの間からでなければ茶色の個体が生まれることはなく、こうした者たちは極めて不名誉な行為の結果であると考えられているのだ。そのため、茶色のウロコを持つシ=ルウクはほとんど存在しないが、彼らは汚らわしいとされ、他のシ=ルウク社会から避けられている。また、黒いシ=ルウクの存在も知られているが、彼らに関する情報は限られたものしかない。黒いシ=ルウクは生まれると同時に家族から取り上げられ、指導者たちに仕えるボディガードや暗殺者として訓練されるのだ。
シ=ルウクの帝政はシュリーフタットと呼ばれる絶対君主によって支配されている。シュリーフタットの側近の助言者たちは長老評議会と呼ばれ、通常はルウィックで最も尊敬される市民によって構成されている(他の惑星で生まれたシ=ルウクは評議会のメンバーとして相応しくないとされている)。長老評議会の権勢は彼らの社会において絶対的であり、長老たちによる命令はシュリーフタットによる命令と同等の効力を有しているのだ。
また、シ=ルウクの社会には秘密会議と呼ばれる別グループも存在する。秘密会議は主に宗教的指導者たちによって構成され、理論的には長老評議会と同等の権力を持っている。秘密会議のメンバーは政治方針の宗教的な部分に関わるすべての決定権を握っているのだ。
スクイブは全身を短い毛に覆われた小型2足歩行種族であり、ふさのついた耳と、それぞれに5本の指を生やした器用な手足を持っている。頭部の両側に位置する目は、体の大きさと比べて非常に大きく、瞳の色は個体によって黄色から輝くような赤色まで様々であり、体毛の色も濃赤色の個体から明るい青色の個体まで幅広く存在している。また、彼らの尖った顔の先端には2つの黒い鼻孔があり、口の中には鋭い歯がびっしりと並んでいる。
一般に、スクイブは自信過剰で活発かつ利己的であり、迷惑なほどに強い好奇心を持った種族である。彼らには身の回りにあるすべてのものを調べようとする習性があり、それが明らかに危険なものであっても、関係なく手を出してしまうことが多い。
スクイブの文化には2、3の神聖な概念があるが、その実態については銀河系における彼らの最大のライバル、ウーゴアたちが嫌というほど聞かされている。その第1の概念は、値切ることへの愛着であり、スクイブたちの定義によると、値切り交渉とはあらゆる種類の共謀を意味しているのだ。値切り交渉では、(少なくとも1回は)売る側と買う側が互いに相手を出し抜こうと考えることを強いられ、こうしたやりとりの積み重ねこそが値切り交渉なのである。スクイブにも生殖や、探検、征服、さらには入手といった他のあらゆる種族が楽しんで行う概念を持っているが、彼らはそれらすべてを値切り交渉への愛着よりも下位の楽しみとして位置付けているのだ。
通常、彼らが好む取引には、容易に比較できず、迅速に決着できない要素が含まれており、極めて複雑である。スクイブにとっては、複雑な取引であるほど良い取引であり、彼らは他の事柄と同じように、純粋な複雑さまで契約事項に盛り込んでいるのだ。一方で、スクイブを踏みとどまらせている唯一の行為は、あからさまな窃盗である。だが、彼らも取引に熱中している間に明らかな嘘をつかない限り、買い手を欺くこと(これは銀河系のほかの種族が定義する欺きと同意である)は完全な許容範囲内としている。
スクイブは、小さな赤い恒星スクアブを巡る小型過密惑星スコアIIで進化した種族である。スコアIIは無尽蔵な資源に恵まれた豊かな惑星だが、様々な気候特性と地形構造上の問題によって、これらの資源は極めて偏った分布をしている。例えば、木材は温暖な地域に存在し、食塩は熱い沿岸部の平野、貴金属は山岳地帯でのみ、見ることができるのだ。こうしたことから、初期のスクイブたちは生活に必要となる物資を求めて惑星上を徘徊する怖いもの知らずの遊牧民として栄えていた。彼らの貪欲な好奇心と強い物欲がこうした不安定な遊牧生活を反映したものであることは、疑うまでもない。彼らの好奇心に対する興味深い肉体的適応の1つは、彼らの体毛が嗅覚と味覚を感じる鋭敏な器官として働くことである。彼らは品物を体毛に当ててこすりつけるだけで、その品物の様々な特質を見抜くことができるのだ。
やがて、スクイブの貪欲な好奇心は彼らの遊牧民としての生活を妨害し始めた。一部のスクイブたちが恒久的な住居を設立し、遠くで得られる品物を入手するべく、果てのない放浪の自由の代替手段として、物々交換による刺激を導入したのである。だが、他の者たちは取引を行うためにこうした小規模な集落を訪れつつ、遊牧の商人として旅することを続けたのだった。その結果、スクイブたちは群居性と狡猾な知性を発達させ、他の種族との物々交換にその能力を大いに利用するようになったのである。
スコアIIに初めて降り立った外界人は、あるドーシンの商人だった。彼はスクイブと長期にわたる取引交渉を行ったが、結果的にこの1,000年の間で最大規模の値切りを受け入れることになる。スクイブたちは氷結した荒地での採鉱権と引き換えに、彼から宇宙船技術の秘密を手に入れたのだ。今日では、スクイブたちは再利用船で銀河系を徘徊しており、他の種族がゴミだと思うような廃品をトラクター・ビームで回収する銀河系の廃品収集家として活躍している。そして、彼らは廃品を崇拝するウーゴアの最大の敵となったのだった。
スクイブ社会の政治構造はスクイブ商品販売者協会を中心に成り立っており、この巨大な権力を持った政府公認企業は、宇宙空間で岩屑(通常は他の船から廃棄された廃品である)を回収し、それらを再利用できるようにしたり、再梱包した上で、再販売している。あらゆるスクイブは生まれたときからこの協会の従業員であり(ただし、その大半は会社の事業と無関係なところで働いている)、最高経営責任者、すなわち「廃品置場の偉大なる指導者」の願望に屈服することを義務付けられているのだ。
また、スクイブたちはようやく自分たちの力で大量生産時代に移行しはじめたところだが、そうした事実にもかかわらず、彼らは近代テクノロジーからの恩恵を余すところなく享受している。
スクイブには交渉能力以外に特に何のとりえもなく、彼らにとって取引は紛れもない技術の一種である。彼らはあらゆる交渉でほぼ確実に利益を得ているため、交渉に関しては無敵の存在であるといえるだろう。その主な理由は、彼らが交渉を複雑なものとすることに関して、銀河系で随一のテクニックを誇っているからである。スクイブが妥当と思える合意に達するまでには、非常に多くの人々が取引に関わり、同様に多くの物品が交換されるため、(スクイブを除く)関係者全員が損害を被ったとしても、1人あたりの損害は微々たるものでしかない。しかし、こうした微々たる損失も、寄せ集めればスクイブにとっては莫大な利益となり得るのだ。この結果、スクイブたちは幸せになり、他の人々はわずかながらに困惑することになる。
スクイブたちが唯一誇れるテクノロジーの分野は、トラクター・ビームの設計である。彼らのトラクター・ビームは銀河系でもっとも高性能な製品の1つであり、多くのスクイブの宇宙船は、防衛用にエネルギー兵器ではなく、トラクター・ビームを使用している。
スクイブは廃品のある場所ならどこにでも存在している。スクイブの再利用協定は、極めて人口の多い惑星での廃品処理(彼らはそれをすることで実際にクレジットを稼いでいる)から、深宇宙の清掃(事実、可能な限り役立つ装備品の残骸を探すために、彼らの宇宙船は何もない空間にセンサー・アレイを集中させている)にまで及んでいるのだ。さらに、多くの有名な宇宙港で質屋やアンティーク用品店を経営しているスクイブもおり、こうしたことから、彼らは銀河系のほぼすべての文明惑星との接点を維持している。
一般的に、スクイブたちは銀河系社会に広く受け入れられており、その理由の1つは、多少やかましいところがあるものの、誠実で友好的な性格によるところが大きい。そして、もう1つの理由は、大多数の人々が彼らの能力を過小評価しており、スクイブとの取引で自分たちが利益を得ていると勘違いしているからである。
また、帝国のために働いているスクイブたちも少なくない。彼らは天性の能力を駆使して巨大な帝国軍艦船の中で廃品回収を行っており、それらを一堂に集めて処分している。多くの司令官はスクイブたちがこうして集めた廃品の一部を横領している事実を認識しているが、実際にはそれを黙認している。彼らはこうした行為もスクイブたちと交わした雇用契約の一部であると理解しているのだ。
セルジアンは大いなる知識と叡智によって知られる古代のエイリアン種族である。海洋性無脊椎動物から進化したセルジアンの祖先は、長い歳月を経て陸上での生活に適応したのだった。彼らの故郷は拡張領域に浮かぶ古代の海洋惑星セルジアだが、この惑星の大気には他の多くの生命体にとって猛毒となるシアン化ガスが豊富に含まれている。逆に、セルジアンにとっては、通常の生物にとって必要不可欠な酸素が致命的な物質となるのだ。
クラゲに似た巨大な体を動かすため、セルジアンはリパルサーリフト発生装置に良く似た天然の移動手段を発達させている。また、彼らの柔らかいブヨブヨとした体からは多数の触手が生えており、通常の居住可能惑星ではシアン化ガスを封じ込めた生命維持装置への依存が不可欠であることから、彼らの姿は常に水中で浮遊しているかのような印象を与えている。
およそ300標準年の寿命を持つセルジアンは聡明で思慮にあふれた種族であり、常に問題に対する論理的な解決法を求めている。彼らは謎解きやパズル、パラドックスを解き明かすことに喜びを感じており、自らを危険な状況に晒すことは滅多にない。セルジアンは可能な限り抗争を避けて暮らしているのだ。
セルジアンの肉体は脳のような器官でできており、その下から無数の触手が伸びている。この脳の直径は平均しておよそ1.2メートルあり、触手の長さは1.8メートルから2.2メートルほどまで様々である。また、故郷を離れたセルジアンは常に透明に作られた可動式の生命維持装置に入っている。
セルジアンは洗練されたテレパシー的な手段によって互いの意思疎通を行っており、音声や文字として表現する言語を有していない。
また、セルジアンは天性の冒険家であり、同じような嗜好を持つ他の種族と共に働いていることもある。特殊な環境にのみ適応した種族ではあるが、実際にはセルジアから遠く離れた惑星にも多数のセルジアンが流出しており、偵察員や各種組織の要人として活躍している。だが、フォース感知者として生まれ、ジェダイとなったセルジアンは極めて少数である。
セロニアンはコレリアン星系に原住する知的哺乳類である。セロニアンの故郷はこの星系に属する5つの居住可能惑星の1つ、セロニアであり、この温暖な惑星の表面には何千もの島が点在しており、そのそれぞれが無数の海、入り江、港によって分離されている。
彼らの社会は「巣穴」を中心とした地下社会として組織されており、それぞれの巣穴は、女王と呼ばれる繁殖力を持つ女性1人と、同じように繁殖力のある数人の男性、そして圧倒的多数を占める繁殖力のない女性たちによって構成されている。また、巣穴の中には「セプト」と呼ばれる下位のグループも存在しているが、これらは繁殖力を持つ同一男性の子孫たちの集合体であり、それぞれに固有の特別な作業や仕事を行えるように訓練されている。女王は1年間に5回以上妊娠することができ、毎回、5人かそれ以上の子供を出産する。一方で、不妊の女性はセロニアン社会における役割の大部分を担っており、逆に女王や繁殖力のある男性は巣穴の中で安全に暮らしているのだ。実際に、セロニアンの「都市」はいくつかの巣穴の集合体でできており、その1つ1つが主として技能と技術を特化した存在となっている。そして、これらの巣穴は、複雑な物々交換や善意の交換のシステムを通じて、互いに助け合い、支えあっているのだ。
セロニアンは主として自分たちの巣穴と住人全体の安全のことを考えている。彼らはほぼ間違いなく、個々の希望よりも集団の需要の方が大切であると信じており、彼らが執るあらゆる行動は、巣穴の目的や、あるいは一般的な種の繁栄を促進させるためのものである。
彼らの社会は原始的に見えるが、セロニアンのテクノロジーは銀河系標準と同等レベルであり、事実、彼らの巣穴はコンピュータ・ネットワークと高速通信システムで相互に接続されている。また、セロニアンは独自の工業的生産能力によって、物資の不足したコレリアン・エンジニアリング社の造船所に、数多くのハイテク部品をもたらしたのだった。また、セロニアンは彼ら独自の宇宙船テクノロジーにも精通しており、彼らは自分たちで建造した宇宙船によって、コレリアン星系全域を行き来することができるようになった。しかし、セロニアンはハイパードライブを搭載した宇宙船を建造しない。なぜなら、彼らは個人的にコレリアン星系の外にまで、それほど大きな関心を抱いていないのだ。
セロニアンは銀河系に対する関心を大きく欠いており、他種族と接触する際にも慎重に訓練されたセロニアンだけを派遣するという方針があるため、帝国による支配からかなり安全な位置を確保することができた。同様に、コレリアン星系における帝国支配が崩壊した後の権力闘争からも、彼らは除外され、惑星が滅ぶかもしれないという極めて現実的な可能性に直面させられたのである。その結果、彼らはコレリアン星系の中でさえ、他の文化との干渉を避けるようになった。しかし、この衝撃はセロニアン社会を不安定なものとし、そのためごく一部のセロニアンの間では、自分たちの文化を変えようという試みもなされている。こうしたセロニアンたちは、より誠実な気持ちで他の種族と付き合うことができるようになったのだった。
大抵のセロニアンは故郷に留まることを望んでおり、進んで他種族と交流したいとは思っていない。人間や他のエイリアン種族との接触を訓練されているのは、ごく一部の不妊のセロニアン女性だけである。そして、こうした女性たちは選ばれたエイリアン種族に気楽にくつろいでもらうための礼儀作法や心構えを習得している。この事実から、多くの人々はセロニアンを親しみやすい、外交的で寛大な種族として捉えているが、実際には、彼らの大半は自分たちの巣穴にとって利となること以外には、全く関心を抱いていない。彼らが他種族との合意に達するには、深い心理学的要求が必要となるのだ。
2本、または4本の足で歩くことを好むセロニアンは、標準的な人間と比べて胴体が長く、逆に手足は短くなっている。また、肉球のついた手足からは、伸縮自在の鉤爪を生やしており、太い尻尾は直立歩行時のバランスをとる際に役立っている。さらに、全身が滑らかで艶のある黒または茶色の毛で覆われており、細い顔からは堅い髭を生やしている。彼らは故郷ではほとんど衣服を着ないが、その一方で、外界を訪れたり、そこで働く際には、仕事の内容に相応しい制服や他の衣装を着用する。また、女性は男性より概して大柄である。
セロニアンは読み書きや会話の際に独自の言葉を用いているが、外界人との取引きを行うこともあるため、ベイシックにも同様に順応している。また、故郷を後にしたごく僅かなセロニアンたちは銀河系の各地で様々な職業に就いているが、ジェダイだけは例外である。多くのセロニアンは限られた視野の展望しか持っておらず、他種族に対する思いやりにも欠けているため、ジェダイとしての訓練に対する適応性が著しく乏しいのだ。