一見したところ、この男からは何の悪意も感じられない。この男は身長も低く、そして注意深くもあり、極めて慎重かつ正確な動きをする小男である。だが、そのベルトに掛けられた2丁のブラスターを見れば、彼の人を惑わす無表情な素顔の下に隠された本性の一端を垣間見ることができるだろう。事実、銀河帝国が誕生するおよそ4,000年前のアウター・リムでは、銀河系で最も悪名高い賞金稼ぎ、カロー・ノードの名以上に恐ろしいものは存在しなかったのだ。
まだ幼い少年だったころ奴隷として買われたカローは、16歳の誕生日に所有主を虐殺することによって血生臭い人生を歩み始めた。そして、その伝説は継続していくことになる。カローの次の獲物は、彼を奴隷として売りに出した人物、すなわち彼自身の両親だった。だが、こうした血まみれの復讐が報復の連鎖を生むことは避けられない。ついに若きカローの首にも賞金が掛けられたのである。
しかし、カローには生き延びるための、そして殺すための本能があった。彼は自分を追ってきた賞金稼ぎたちをからかい、情け容赦ない手際の良さで一掃する前に、彼らのトリックやテクニックをすべて学んでいった。やがて、カローの首に残されたわずかな賞金を狙う者たちが何十人となく失敗していくと、彼を抹殺しようという試みも潰えてしまう。彼に賞金を掛けることは、彼の激しい怒りに触れるも同然の行為だった。もはやカローは獲物ではなく、ハンターの1人となったのだ。そして、彼は集めた賞金の額によってさらに大きな名声を獲得することになる。
カローは懸賞金や狩りのスリル以上に忠実なものを知らなかった。彼はタリスではエクスチェンジ、アウター・リムではシス、そしてコアでは共和国のためにも働いている。カローが最終的に強敵と呼べる相手と遭遇したのは、シスから仕事を請け負っていたときのことである。この恐るべき賞金稼ぎは、共和国のエージェントが伝説のスター・フォージを探していたとき、彼らとの戦いに敗れ、倒されたのだった。
ダージという名で知られるこの巨大な賞金稼ぎは、古代の復讐によって突き動かされた無慈悲かつ不死身の戦士である。彼は銀色の装甲服姿であらゆる惑星に出現し、何世紀にもおよぶ暴力と戦争の歴史を切り抜けてきた。彼は自らを賞金稼ぎと称しているが、いかなるギルドにも属さず、後ろ盾も持たず、富にも関心を示していないように思われる。ダージは飽くなき流血の欲望を満たすためだけに狩猟を続けており、およそ2,000年にわたって文字通り何百もの惑星を股に掛けてきたのだ。だが、彼は傷ついた耐衝撃アーマーで完全武装しているため、その真の姿を見た者は1人も存在しない。外観こそ人間とよく似ているが、ダージこそは一説によると4,000年生きたという報告があるほどの長寿命な種族ジェンダイの1人なのである。
ジェンダイの特殊な神経系および循環器系は、肉体的な損傷に対して極めて効果的な耐性を有している。彼らの体内には何百万にもおよぶ神経節が備わっており、心臓無しでも全身の血管に血液を送り届けることができるのだ。多くのヒューマノイドが持つ傷つきやすい重要な体内器官を失った状態でもジェンダイは複数の裂傷に耐えることができ、噂によれば完全に5体バラバラになった状態でも生存可能であるという。さらにこの極端な耐久性に加え、彼らは分断された神経系によって驚異的な反射神経を実現している。また、ジェンダイは非常に多くの損傷に耐えられるため、長い冬眠期間に入ることができ、その間に傷を癒し、疾患から回復し、加齢プロセスを減速させることができるのだ。
このようにジェンダイは恐ろしい肉体機能を有しているが、広く銀河系にとって幸運なことは、彼らが本質的に攻撃的な種族ではないということである。彼らは放浪の種族であり、故郷を何世代もの昔に失っている。また、彼らは出生率が極めて低いため、他種族と遭遇する確率が非常に少なく、仮に遭遇したとしても極力対立を避けるようにしているのだ。ジェンダイは確かに長寿命に適した肉体をしているが、一方でその精神は年齢と共に衰弱していき、鬱病やヒステリー、その他の精神病に罹りやすくなる。
後にダージとなるジェンダイが生まれたのは共和国の崩壊のおよそ2,000年前のことである。彼は若き日に長老たちによってジェンダイの中でも特に例外的な肉体を持つ者として認められていた。暴力を偏愛していたダージは、偶然にも獲物を追う賞金稼ぎを目撃し、暴力的な人生へと永遠に駆り立てられることになる。血の取引きの魅力は彼を種族から引き離し、遥か銀河系へと導いたのだ。そして彼は自分で探し出した最も経験豊かで危険な賞金稼ぎたちのもとで修行を行い、何世紀にもわたって知識と技術を磨き続けていったのである。
ダージの武器は恐ろしく強力な肉体的能力だけではない。彼は文字通りの歩く武器貯蔵庫であり、長距離戦用の2丁のブラスター、格闘戦用のスパイク付き棍棒、そしてエネルギー・ボールのような投てき武器を装備しているのだ。さらに、彼の装甲服にはリスト・ダートも装備されており、前腕部分には短時間であればライトセイバーによる攻撃さえ防ぐことのできるエネルギー・シールド発生装置が組み込まれている。また、ダージは移動の際に高度な改造を施したスウープ・スピーダー・バイクを利用するが、速射式ロケット・パックによって空を飛ぶことも可能である。
ナブーの戦いのおよそ1,000年前、銀河系がジェダイ・オーダーとシス卿との戦争によって破壊されていたとき、ダージは数少ないシスの生き残りの1人に雇われていた。このとき彼は多くのジェダイと対戦し、彼らの戦闘技術を学ぶと共に、彼らの動きに対抗するための武器や格闘技術を開発していった。やがてルーサンの戦いでシスが滅亡すると、ダージはジェダイの報復を避けるため姿を消す。だがその後も、ダージは無数の別名を使って賞金稼ぎの仕事を続けており、ついには巨万の富を築き上げたのだった。
そして900年後、ダージはマンダロリアンのリーダーを殺害するために雇われた。彼はこの仕事に成功したが、マンダロリアンたちは反撃としてダージにうまく対処し、彼の肉体を支配することに成功する。彼らはジェンダイの肉体構造を調べ上げ、その驚異的な機能を逆手に取る方法を考案したのだ。それはダージの不死身の肉体を彼に敵対させる手法だった。マンダロリアンたちはダージの体中すべての神経節に苦痛を与え、彼は言葉に表せないほどの苦痛を味わいつつも、決して死ぬことができなかったのである。
やがてマンダロリアンの呪縛から逃れることに成功したダージは、損傷を回復させるための長い眠りについた。傷を完治させるにはおよそ1世紀を要し、肉体は元通りに戻ったが、既に危険な域に達していた精神は正気の境界を遥かに越えてしまう。彼は無意識の状態から目覚めると、マンダロリアンへの復讐を求めた。しかし、彼らは既にほとんど絶滅しており、復讐心をそがれてしまう。だが、彼はすぐに新しい目標を見つけた。彼が目を覚ましたのは共和国のクローン兵士たちを率いるジェダイ・オーダーが、独立星系連合のドロイド軍と戦う戦争の真っ只中だったのだ。分離主義勢力のカリスマ的指導者ドゥークー伯爵はダージを雇い入れ、この報復に飢えた古代の賞金稼ぎに皮肉な目標を与えることになる。共和国のクローン兵士たちはマンダロリアンの末裔であるジャンゴ・フェットの遺伝子を受け継いでいた。マンダロリアンは銀河系から一掃されたかもしれないが、彼らの遺産はクローン・トルーパーの形で生き続けているのだ。ダージは亡きジャンゴ・フェットの後継者としてドゥークー伯爵の右腕となり、圧倒的多数の仇敵を殺害できる喜びに大満足するのだった。
また、ダージは通商連合の高官ギラモス・リブカスを殺害するためにジャバ・ザ・ハットに雇われた多数の賞金稼ぎの1人でもあった。彼は当時まだ10歳だった若きボバ・フェットと共にモス・エスパ近郊で焼け焦げたシード・クルーザーにリブカスを追い詰め、ブラスターで獲物の動きを封じる。そしてフェットは法冠のようなリブカスの帽子を盗んで<スレーヴI>へと逃走するが、その一方でダージはリブカスに最後の留めを刺していた。しかし、彼の放ったブラスターの一撃は船の武器庫を直撃し、2人は巨大な炎に包まれてしまう。このときダージもリブカスと共に爆発の中で死亡したと思われていた。だが、ジェンダイの賞金稼ぎは驚異的な生命力で生き延びていたのである。
その後、ダージはドゥークー伯爵によって見出されたダーク・ジェダイ、アサージ・ヴェントレスと共にクローン大戦を戦っていた。ジオノーシスの戦いからおよそ2ヶ月後、2人はグンガンの植民地となっていたナブーの衛星オマー=ダンを攻撃し、スワンプ・ガスと呼ばれる化学兵器で住人たちを皆殺しにしている。さらに彼らはナブーをも標的とするが、この計画はオビ=ワン・ケノービ将軍とアナキン・スカイウォーカーの活躍によって阻止されてしまう。そして邪悪な戦士たちはドゥークーの命令でスワンプ・ガスの解毒剤を守るため惑星クウェイタへと帰還し、オビ=ワンを含む5人のジェダイがその後を追うのだった。そこでダージはジョン・アンティリーズやニコ・ディアスなど、4人のジェダイを殺害したが、最終的にクウェイタの基地は共和国軍の圧倒的な力によって溶岩の中に沈められてしまう。ダージはその直前にアサージの救出に成功したが、オビ=ワンに解毒剤を奪われ、そのまま彼を取り逃がすのだった。その後、2人はジェダイから逃走し、ドゥークー伯爵のもとに帰還している。
さらに2ヵ月後、ダージとアサージは依然として共和国の恐ろしい敵であり、不死身の賞金稼ぎは激しい熱意で数多くのジェダイを殺害していった。そして、彼はドゥークーの命令でインターギャラクティック銀行グループ(IBC)の本拠地、ムーニリンストの防衛に派遣される。そしてオビ=ワン・ケノービ将軍率いる共和国の大規模な機動部隊がムーニリンストへの攻撃を開始すると、ダージは自ら組織したIGランサー・ドロイドによるエリート部隊を指揮し、共和国のクローン軍に襲い掛かった。戦いは当初から共和国側の優勢だったが、ダージとIGドロイド軍は共和国のウォーカー部隊に甚大な被害を与え、形勢は一気に逆転する。そしてついにダージとオビ=ワンによる1対1の死闘が開始され、2人は二度にわたって激しい戦いを繰り広げるが、最終的にこの死闘を制したのはオビ=ワンだった。ダージの敗北によってムーニリンストの戦いは共和国側の勝利に終わり、IBCのサン・ヒル会長も共和国の捕虜となったのである。
無慈悲で狡猾な男とされるジョドー・カストは、ボバ・フェットと酷似したマンダロリアン・ショックトルーパー・アーマーを身に着ける賞金稼ぎである。だが、彼がその装甲服に独自の改良を加えているかは定かでない。
カストは主に、ボバ・フェットを雇う金はないが、獲物に対してフェットに追われているという恐怖心を植えつけたいと考える依頼主から仕事を得ていた。彼の初期の獲物の1人は、度重なる殺人行為によって多数の星系で死刑判決を受け、遺族からも1,000,000クレジットという多額の懸賞金が賭けられていたドクター・エヴァザンだった。そして、カストはコレリアン星系の宇宙港トゥルーザンでエヴァザンを追い詰め、ブラスターで彼の右頬を焼き払うが、止めを刺す寸前で軽貨物船のレーザー・キャノンに阻まれる。カストを妨害したのは、かつて彼に相棒を殺害された経験を持つ密輸業者ポンダ・バーバだった。バーバはエヴァザンを連れてその場を去るが、カストは死んでいなかった。彼はトゥルーザンを飛び立ってバーバの追跡を開始する。しかし、その後も彼を捕らえることはできなかった。また、カストはパーラン船長からエイダー・トーロンの追跡を依頼された際に、パグリス・トロッドや、ハン・ソロのかつての友人である女性密輸業者ザードラとも協力関係を結んだことがある。
もちろん彼のこうした暗躍が永遠に続くはずはなく、やがて偽者の存在はボバ・フェットの知るところとなる。フェットは自分の偽者をこの世から排除する計画、すなわちカストの殺害を実行に移したのだった。新規に設立された賞金稼ぎギルドの1つを訪れたフェットは装甲服を脱ぎ去り、誰にも彼がボバ・フェットであることを悟られないようにしていたのだ。
エンドアの戦い後、新共和国からジェリスクの海賊を捕らえたことによる賞金を受け取ったカストは、フェットの仲間だったデンガーに発見される。サーヴァ・ブレック・マダックという偽名を名乗っていたフェットは、サニック・ハイクロップという架空の人物を捕らえて欲しいとカストに依頼した。カストはハイクロップを追跡するが、彼が追う獲物の正体こそがボバ・フェットだったのである。やがてフェットは激しい戦いの末、ナル・ハッタでカストを捕らえ、神経毒が仕込まれた矢で彼を麻痺させた。フェットはカストの装甲服をすべて剥ぎ取り、ロケットパックを爆破させて彼の倒れたビルごと破壊すると、<スレーヴI>でその場を去っていった。ボバ・フェットの偽者はこうして永遠に葬り去られたのである。