濃紺の瞳に漆黒の髪をした少年ザナトスは、惑星テロスの裕福な家庭に生まれ、気楽で贅沢な少年時代を送っていた。事実、彼の父親クライオンはこの惑星で一番の富豪であり、息子が望むものは何でも与えることができたのだった。しかし、クライオンの富を持ってしても、ザナトスが最も欲しがっていたものを与えてやることはできなかった。すなわち、ジェダイ・ナイトにしてやることである。だが、ザナトスは生来強いフォースに恵まれており、そのエネルギーはジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンの関心を引きつけるのに十分だった。クワイ=ガンはフォースに導かれるままにテロスを訪れ、訓練を与えるべくザナトスをコルサントへ連れて行きたいと申し出る。クライオンは即座にその要求を受け入れ、ザナトスはついに銀河系を越えて旅立っていったのである。
ジェダイ聖堂で暮らすようになったザナトスは、最高のマスターたちの下で修行に励み、ついにクワイ=ガンの2番目のパダワンとして選ばれた。ところが、かつて贅沢な暮らしを謳歌していた彼は、質素な生活を強いられるジェダイとしての人生に、次第に不満を募らせていく。やがて、ザナトスはジェダイ聖堂で共に学ぶ友人たちに、自分の富や地位を誇示するようになり、不幸な生い立ちを持つ級友たちから尊敬の眼差しを得るために、絶えず多くのエネルギーを費やすようになったのだった。また、彼は怒りっぽく、自分がからかわれたときの反応にも不手際が目立っていた。だが、そんな彼も訓練に対してだけはひたむきさを見せており、クワイ=ガンもザナトスを秀でた訓練生であると感じていたのである。彼はいつの日か、ザナトスが偉大なジェダイ・ナイトになると信じており、こうした欠点すべてをなんとか大目に見ようと努力していたのだ。しかし、ジェダイ評議会はそれほど寛大ではなかった。偉大なマスターたちは若きパダワンの修行の成果を厳しく見極めるよう、頻繁にクワイ=ガンを急き立てていたのである。
やがて、ザナトスはジェダイ・ナイトの地位に昇格するための試験を受けることになるが、その準備ができる直前に、マスター・ヨーダは師弟をザナトスの故郷であるテロスへの任務へと派遣する。だが、任務にあたっての詳細は告げられず、2人はテロスに到着した際に目的が明らかにされるだろうと考えていた。しかし、2人がそこで見たものは、惑星を飲み込む大きな騒乱の渦だったのである。
ザナトスの父クライオンは、惑星を支配するべく密かに近隣惑星への攻撃を計画していた。彼はザナトスが帰ってきたことを知ると、息子をこの計画に引き込もうと考える。一方のザナトスも、再び裕福な暮らしに戻れると確信し、父への協力を志願するのだった。親子はクワイ=ガンを闇に閉じ込めると、攻撃計画の準備を開始した。しかし、マスター・クワイ=ガンは彼らの目論みを察知し、テロスの民衆にすべてを暴露すると通告する。クワイ=ガンはクライオンとザナトスに反対する人々から支持を得ようとするが、結果的にはテロス政府内に派閥間抗争を引き起こしただけだった。彼の目論みは完全に裏目に出てしまったのである。
最終的に、この戦いはクワイ=ガンがやむを得ずクライオンを殺害することで終結する。彼はクライオンに留めを刺す前に、彼の指を手から切り離したのだった。そして、師が父を殺害する光景を目の当たりにしたザナトスは、ジェダイへの厳格な復讐を胸に誓う。彼は父の指から指輪を外し、それを頬に擦り付けた。まだ熱が抜けきっていないこの金属片には、三日月型の傷跡が残されており、それはクワイ=ガンへの見せ掛けの不信を思い起こすための証として使われることになる。ザナトスはテロスから逃走し、一方で、クワイ=ガンはコルサントへ戻ると、ジェダイ評議会に弟子がこの戦いで死んだと報告するのだった。
そして数年後、ザナトスはバンドメアで再び姿を現した。彼は欺瞞と陰謀を通じてオフワールド採鉱会社の主導権を奪い取っていたのである。彼はオフワールド社とアルコーナ・ミネラル・ハーヴェスト社との間に、全面的な平和をもたらそうと主張したが、その裏では密かにアルコーナたちを抹殺し、バンドメアのイオナイト資源を独占しようと目論んでいたのである。しかし、ザナトスの野望は再びクワイ=ガン・ジンと、今度はその弟子オビ=ワン・ケノービの助力によって阻止される。2人のジェダイはザナトスの計画を打ち破ったが、このかつてのジェダイ・パダワンを捕らえることはできなかった。彼は再び惑星を脱出し、姿を隠すために逃走したのである。
その後、ザナトスはテロスへと戻り、そこで多額のクレジットを手に入れるため、惑星の資源を根こそぎ採掘しはじめていた。彼はユニファイ社の上層部を懐柔し、カターシスと呼ばれる大衆娯楽の収益を不正な採掘事業に運用していたのである。だが、クワイ=ガンとオビ=ワンが再びテロスでザナトスと対峙し、カターシスやユニファイ社の事業における彼の役割を暴くことに成功する。ザナトスは民衆からの圧倒的な支持を得ていたが、かつてのマスターにすべてを暴露されてしまい、ついには戦いを挑むものの、敢え無く敗れてしまうのだった。しかし、彼は生きたまま捕らえられることを恥とし、猛毒性の廃棄物に汚染された酸の泉に身を投じることで、自らの人生に幕を引くことになる。その泉もかつてはテロスの聖なる泉と呼ばれていた場所だったが、不法採掘による環境汚染によって、ザナトス自身が毒の沼地へと作り変えてしまった場所だったのである。
コマリ・ヴォサはかつてドゥークー伯爵に師事していた伝説的なパダワンである。彼女は鋭く尖った顎を持つ人間の女性であり、色白で髪は短く、顎の線から上半身に掛けて小さな傷が無数に刻まれている。訓練生だった彼女はジェダイ・オーダーの仲間に対して驚くほど攻撃的な性質を示し、特にライトセイバーの二刀流に熟練していた。
ジェダイがマンダロアの軍隊をほぼ制圧したとき、ヴォサはガリドランでドゥークーと共に戦っていた。そのとき彼女は手馴れた20人の戦士を殺害している。ジェダイはこの抗争を後悔していたが、ドゥークーはヴォサの成長を絶賛し、若き弟子の波乱に満ちた将来を予期したのである。
やがて、ドゥークーが彼女にナイトの称号を与えるための試験を拒否したとき、裏切りが起こった。ドゥークーや他のマスターたちは、彼女が偉大な師に対して思い上がっていることを懸念していたのだ。さらにヴォサには性格が不安定なところもあり、ジェダイ評議会は彼女の訓練を中止するよう命じたのである。これに激怒したヴォサはコルサントから逃走し、恐るべきバンド・ゴラ・カルトの略奪からバルタイザーの人々を守るために派遣されたジェダイの一団に加わった。この任務では多くのジェダイが死亡し、ヴォサも同じように死んだと思われたのだった。
しかし、彼女は生き延びていた。そして拷問や虐待に晒されたヴォサは、ダークサイドに屈服していたのである。彼女は自分を捕らえた敵に再び激しい戦いを挑み、バンド・ゴラの指導者を倒した。ヴォサは新たに手に入れた力を大いに楽しみ、バンド・ゴラの支配権を掌握する。彼女はボグデンを巡る墓地衛星コルマの老朽化した砦から、このカルト集団を指導したのだった。
共和国の衰退期に、バンド・ゴラ・カルトは恐ろしい暴力行為によって多くの人々を震撼させていた。このカルト集団は犯罪組織を利用して恐ろしいデス・スティックをばらまき、この麻薬を使用した人々を自分たちの奴隷として利用していたのである。デス・スティックで心を歪められた人々はヴォサのフォースの力によって洗脳され、カルトの敵に対する攻撃に使われていたのだ。
やがて彼女の行動は共和国だけでなく、共和国の転覆を目論む闇の勢力にとっても脅威となっていく。シス卿ダース・シディアスはヴォサの暴走を食い止めるべく、新たなる協力者ダース・ティラナスことドゥークー伯爵にバンド・ゴラの排除を命じた。そしてドゥークーはかつての弟子に巨額の懸賞金を賭け、賞金稼ぎのジャンゴ・フェットを呼び寄せたのである。この困難な任務の遂行は、シディアスからドゥークーに与えられたもう1つの指示に対するテストとしても大いに役立つことになる。ヴォサを倒した戦士となれば、謎のクローン軍団に使われる遺伝子サンプルの提供者として理想的な存在となるだろう。そしてジャンゴは任務を果たし、その資格が十分にあることを証明したのである。
クローン大戦の戦場に姿を現した最も恐ろしい戦士の1人アサージ・ヴェントレスは、フォースのダークサイドの信奉者であり、ジェダイにとっても恐るべき敵である。長く続いた残酷かつ辛辣な人生は彼女の冷酷な心からあらゆる哀れみの感情を奪い去り、血塗られた故郷にはびこる絶え間ない危険の中で養われた激しい生存本能は、彼女を暗黒の道へと導いたのだった。
ヴェントレスの過去は大部分が謎に包まれている。彼女は暴力による流血が日常を支配する野蛮な惑星ラタータックで生まれたが、この原始的な惑星は共和国の境界から遠く離れていたため、凄惨な状況が改善される兆しはなかった。だが、クローン大戦が勃発する10数年前、この惑星にどういうわけか若きジェダイ、カイ・ナレックが漂流してきたのだった。ジェダイ評議会から追放されたナレックは、この惑星でアサージ・ヴェントレスという名の強いフォースを持った少女と出会い、彼女の訓練を引き受ける。やがて彼女はフォースにおける粗野で不確かな才能を手に入れ、ジェダイとしての能力を身に付けたのである。しかし、ヴェントレスは本能的な凶暴性を制御しようとせず、師が他界すると、彼を見捨ててラタータックの悲惨な現状を無視し続けた共和国に激しい怒りを抱いたのだった。
ヴェントレスは怒りを力の源とし、苦難を超えて無法惑星ラタータックの権威の地位にまで上り詰めていった。彼女はこの惑星で定期的に開催されていた格闘競技大会で怪物のような対戦相手をことごとく撃破していったのだ。そしてクローン大戦の勃発直後、ドゥークー伯爵が分離主義勢力の配下に加わる新たな惑星を求めてラタータックを訪れた。彼はここで期待を遥かに上回る成果を手に入れることになる。
ヴェントレスの粗野な才能と激しい決意は、ドゥークーに強い印象を植え付けた。そして独立星系連合のカリスマ的指導者は、彼女がジェダイと共和国に対して抱く嫌悪感に訴え、この果敢な女戦士を雇い入れることに成功する。ドゥークーは言葉巧みにヴェントレスを迎え入れ、ジェダイが倫理と信念を破棄したという彼女の痛烈な意見を確信へと変えていったのだ。彼女はドゥークーに決闘を挑むことによって自分の力量を示した。ドゥークーはこの戦いに勝利し、彼女を自身の個人的なボディガードとして同行させることにしたのである。
ヴェントレスは攻撃と防御のために2本の光刃を使うライトセイバー戦を完全にマスターしていた。彼女はドゥークー伯爵から、前任者であるコマリ・ヴォサの使用していた2本の赤い光刃を持つライトセイバーを与えられる。それらはかつての師カイ・ナレックが所持していた古風な曲型グリップのライトセイバーとよく似た形状をしていたが、さらに彼女の2本のライトセイバーはS字型の双刃の武器になるようにグリップ部分を結合させることができるのだ。
ヴェントレスはシスの1人として名乗ることを強く望んだが、シスの訓練を受けることは許されなかった。ドゥークーには同時期に3人以上のシス卿が存在してはならないという掟を破ることができなかったのだ。そのため、彼はヴェントレスの才能を研ぎ澄ませる手伝いはしたが、彼女にシス特有の知識を与えることは一切しなかった。彼女の能力は、不完全なジェダイとしての訓練と、彼女自身が持つ天性の技術の組み合わせに過ぎない。ヴェントレスは粗野な才能と、底知れぬ怒りと苦痛の源泉によってダークサイドの能力を支えており、怒りに身を任せることによって更なる力を得ていったのである。
やがてヴェントレスは狡猾な軍司令官としての才能を開花させ、ドゥークーによって分離主義勢力の軍隊における指揮官へと抜擢される。そして、ジェダイ・マスター、メイス・ウィンドゥがジェダイ・オーダーを離れたソーラ・バルクと話し合うため衛星ルールを訪れるという情報を得たドゥークーは、彼女をその衛星に派遣し、バルクを殺害するよう命じたのだった。ドゥークーは自分の目的を達するためには彼女を騙して利用することにも良心の呵責を抱いておらず、ヴェントレスにはメイスこそが彼女のかつての良き師を追放した張本人であると告げていたのだ。彼女はバルクに手傷を負わせ、彼の弟子ミラの殺害に成功した。さらに彼女はメイスとも対峙するが、この戦いでは敗走を余儀なくされる。しかし、メイスはこの事件によってジェダイに対する新たなる暗黒の脅威が野放しにされている事実を認識したのだった。
その後、ヴェントレスの指揮する軍はナブーの衛星オマー=ダンを攻撃し、スワンプ・ガスと呼ばれる死の化学兵器を解き放ってこの衛星に入植していたグンガンたちを全滅させる。これは共和国のクローン軍に対する化学戦争プログラムの初期テストだったのだ。彼女とこの作戦に関与した連合軍の賞金稼ぎダージはナブーでも同様のテストを試みたが、ジェダイの機動部隊によって阻止される。2人はオマー=ダンから逃走するものの、オーダーに対して手強い敵であるという強烈な印象を植え付けたのだった。そしてオビ=ワン・ケノービ将軍はヴェントレスを追い、クウェイタの化学兵器製造工場を突き止める。彼女はダージと共にここで4人のジェダイを殺害し、ドゥークーの命令に従ってオビ=ワンに再び分離主義勢力へ加わるよう語りかけた。だがオビ=ワンはそれを拒否し、ヴェントレスは他の戦場で共和国に打撃を与えるべく、その場を逃走したのである。
そして、ジオノーシスの戦いから4ヵ月後、ケノービ将軍の指揮する共和国のクローン軍は、インターギャラクティック銀行グループの本拠地ムーニリンストへ侵攻し、独立星系連合のドロイド工場を攻撃していた。アサージもこの戦いに加わり、賞金稼ぎのダージが地上でオビ=ワンの部隊と戦っている間に、彼女はファンブレード・スターファイターで軌道上の戦闘機部隊に攻撃を開始する。そして、彼女の凄まじい操縦テクニックは宇宙戦の指揮を執っていたアナキン・スカイウォーカーの注意を引き付けた。アナキンは追うなと命令されたにも関わらずアサージを追撃するが、狡猾な彼女は未熟なジェダイを罠へと誘っていたのである。
アナキンはハイパースペースを経てアサージを追跡し、古代シスの神殿のあるヤヴィン4へと辿り着く。彼はクローン・トルーパーの助けを借りてジャングルの中まで彼女の追跡を続けるが、アサージはフォースを使ってクローンたちを一掃すると、アナキンに壮絶なライトセイバー戦を挑むのだった。熟練した彼女はジェダイの伝説にある「選ばれし者」と互角の戦いを見せ、アナキンも彼女を打ち負かすためには怒りに身を任せなければならなかった。最終的に若きスカイウォーカーは怒り狂った反撃によってアサージを破るが、彼女はこの戦いでも辛うじて生き延びていたのだった。
その後、オビ=ワンとアルファの愛称で知られるARCトルーパーの1人がジャビムで捕らえられ、ラタータックのアサージの要塞へと連行されてきた。彼女は2人を拷問し、オビ=ワンの精神を破壊させようと試みる。アサージは彼を戦利品としてドゥークー伯爵へ差し出そうと考えていたのだ。しかし、オビ=ワンは彼女の計画の裏をかき、アルファと共に脱出することに成功する。そして、散々な目にあったオビ=ワンは、アサージが昔の思い出として保管しておいたカイ・ナレックのライトセイバーを盗み出し、彼女のファンブレードを1機奪って逃走したのである。
やがてクローン大戦がさらに激化すると、アサージは共和国犯罪捜査局の承認を得ることなく、82人ものジェダイに対して莫大な懸賞金を賭けた。この結果、銀河中の賞金稼ぎたちが賞金首の獲得に乗り出すことになる。これは彼女にとって2つの目的にかなっていたのだ。1つは多くのジェダイを排除することに役立つということ。もう1つは、残りのジェダイたちを賞金稼ぎから仲間を守るための戦いに集中させることで、この戦争を終わらせようとする努力を妨害できるということである。
青い肌に燃えるような赤い目を持つチスの出身惑星シラは辺境の未知領域にある。この惑星で生まれ育ったセヴランス・タンは、ジェダイの力と技を習得した闇の従者だった。彼女は故郷で豊富な戦術知識を養った有能な軍事指導者であり、実戦でも将軍としての実力を幾度となく証明している。
タンの功績が彼女の持つジェダイの力によるものだと主張する人々もいるが、この説には何の根拠もない。ただ1つ確かなことは、彼女が敵の動きを事前に察知し、それに対処するという神秘的な能力を持っているということである。かつてタンがチス・アカデミーで学ぶ若き士官候補生だったころ、担当教官から調教不能な恐ろしい生物イレシリーニの一群を与えられ、自軍の兵士として使うよう命じられたことがある。彼女はその中から司令官を抜擢し、基本的な命令をいくつか覚えさせることに成功した。この司令官は他のイレシリーニと共に彼女を嘲笑ったが、タンが司令官を処刑して次の司令官を選ぶと、イレシリーニたちは彼女の命令に従うようになり、彼女もアカデミーで高い評価を得るようになったのだった。
やがてドゥークー伯爵に見出されたタンは、独立星系連合に忠誠を誓い、目覚しい勝利を繰り返すことによって伯爵から大きな信頼を与えられるようになる。彼女は連合軍側の刺客としてジオノーシスの戦いにも参加し、ジェダイ・マスター、エチュウ・シェン=ジョンのパダワン、スタム・リースを殺害した。その後も、タン将軍は連合軍の司令官として共和国とジェダイを苦しめ、惑星クラントでエチュウの新しい弟子ナト(スタムの双子の妹)を捕らえることに成功する。だが、復讐の怒りに燃えるエチュウが弟子を救出するためタンの前に姿を現し、激しい戦いの末、彼女は打ち破られるのだった。
太古の昔に最強のテーアズ・カジ・マスターとして恐れられた女性戦士アーデン・リンは、惑星カシ・マーの追放者ゼンダーを支援するために集まったパラワの門弟たちの一員である。ナブーの戦いの何千年もの昔、ジェダイ・オーダーが歴史上で初めてライトサイドとダークサイドの使い手に分裂したとされる「第1次大分裂」のとき、リンはジェダイ・マスター、オードリスタ・ピナのモリクローの技によって心臓を止められ、戦いに敗れたのだった。そして月日が流れ、パルパティーンによるジェダイの大虐殺が行われると、彼女の持つダークサイドとの繋がりが活性化し、リンは再び目覚めたのである。
その後、アーデン・リンはフォース感知者として帝国軍の高位調査官トレメインに捕らえられるが、逆に彼女はトレメインに重症を負わせ、アミーザ・ダリス調査官を殺害して逃走する。しかし、次もまた彼女はトービン調査官に捕らえられ、格闘の末、右腕を失ったのだった。トービンは、彼女がフォースのダークサイドとの接触を保っていることに気づき、彼女を生かしておいた。そして、彼はリンをパルパティーンのもとへ連れて行ったのである。
彼女は「皇帝の手」と呼ばれる密使の1人となり、同盟軍に対する攻撃部隊の指揮官としてダース・ヴェイダーに召還される。彼らの目的は、1対1の戦いによって同盟軍の指導者たちを打ち破ることだった。しかし、ヤヴィンの戦いが終わると、リンは帝国軍から脱退し、自らの弟子たちの訓練を開始する。その後、彼女はパルパティーンに反旗を翻したザーリン大提督への手助けを試みるが、その企てはトレメイン調査官によって阻止されるのだった。
アーデン・リンは再び逃走し、かねてから追い求めていたカシ・マーの古代護符の捜索を開始した。この魔よけを手にすれば、彼女は帝国を滅ぼす力を手に入れることができるのだ。
ブラックホールと呼ばれる人物の正確な姿や素性を知るものはごくわずかしか存在しない。彼は話をする際にも映像を歪める装置を使い、人間の形をした星塊の姿を現すだけなのだ。エージェント・ブラックホールは強大な力を持つ「皇帝の手」の1人であり、事実上、帝国ホロネット全体に対する無制限のアクセスと制御が可能だった。そして、彼の配下にあるブラックホール・トルーパーは、彼の命令を実行する忠実な兵士たちである。
預言者として、彼は自身の娘であるサリスと、ダーク・ジェダイ、ジェレクの双方の修行を手伝った。後に、彼はパルパティーン自らの手によって、帝国情報部の長官に抜擢される。ブラックホールはかつて元老院でパルパティーン派に属していた側近ではないかという噂もあった。また別の噂によると、彼はフォースのダークサイドに完全に魅せられた、コルサントのジェダイ公文書館の助手であるという。だが、ブラックホールの本当の正体は、ニモイディアン製のメクノ=チェアがなければ動くこともできない、極めてひ弱な老人、クロナルだったのである。
ヤヴィンの戦いの数ヵ月後、ブラックホールはダース・ヴェイダーと共に、同盟軍艦隊を探し出す任務を与えられた。この捜索の間に、彼はヴァージッドVで任務についていた反乱軍を発見するが、ルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナに出し抜かれてしまったのだった。
ダークサイドの最高預言者カダーンは、パルパティーンの死とジェダイの復活を予言していたが、クロナルは彼の信仰には加わらず、追放者となり、ついには預言者たちから裏切り者として見られるようになった。そして、実際にエンドアの戦いでパルパティーンが死亡すると、ブラックホールも一切の痕跡を消して消息を絶ってしまう。実は、皇帝がビィスで復活を遂げたとき、彼は皇帝に真の忠誠を誓っていたのだ。ブラックホールは皇帝への献身として、ダークサイド教会の設立を支援し、失われたジェダイの谷を探し出すべく、ジェレクを仲間に加える。だが、パルパティーンが最終的な死を迎えてからのブラックホールの消息は不明のままだった。
カノア・ジャックスがパルパティーン後の帝国支配を目論んだ際に、数名のストームトルーパーが黒い装甲服を着用していたが、彼らがクロナルのエリート兵の一部なのか、さらにはクロナル自身がこの陰謀に加担していたのかは、一切分かっていない。新共和国情報部は、彼は純粋に死んだと結論付けていたが、その後、イリク・イズマレンをナイアックス卿へと改造したダーク・ジェダイがクロナルであるという事実が確認されている。しかし、その後の彼の行方は謎のままである、
ブラックホールはシス魔術のマスターであり、遺伝子工学専門の科学者でもあった。彼はゴークやピックなどのシススポーンを創造し、新共和国を打ち破る力を持った闇の戦士たちの軍隊を作り出すべく、トレイリアンで生体実験を行っている。ブラックホールはその恐るべき能力から、「パルパティーンのモンスター・メーカー」の異名を手に入れたのだった。
ホスの戦いに続く数ヶ月は、反乱軍の英雄たちにとって試練の日々だった。エコー基地が失われ、ハン・ソロが捕らえられるという状況によって士気が低下するなか、反乱軍兵士たちはルーク・スカイウォーカーが仲間のパイロットを殺害するという、信じられない事態に直面したのである。
反乱同盟軍がアーブラに設営した臨時基地に移動したとき、ルークはローグ中隊のメンバーの1人シラ・ブリーと親しくなっていた。彼女は明るく、才能に溢れた美女であり、2人の友情はより親密なものへと発展していく。そして、ローグ中隊に帝国軍の秘密艦隊を攻撃する任務が与えられると、彼らは拿捕した改良型TIEファイターで敵艦隊の真っ只中に突入したのだった。
このTIEファイターには自動応答装置が取り付けてあり、ローグたちは敵機の中でも互いを認識することができた。しかし、激しい戦いのなかで、ルークの応答装置が機能不全となる。彼は周囲を飛ぶ戦闘機のどれが仲間なのかを判断することができなかった。そこでルークはヤヴィンの戦いのときと同じように、機械を使わずフォースに頼った。彼は本能に従って標的を捉え、高性能な敵機を撃墜したのである。しかし、ルークが撃墜した機体のなかにシラ・ブリーの機が含まれていたのだ。
アーブラに戻ったスカイウォーカーを迎えたのは重苦しい無言の歓迎だった。そして反乱軍の分析チームがこの事件についての調査を終えるまで、ルークは任務を解かれることになる。動揺した彼はフォースへの信頼について自問自答を繰り返し、チューバッカを伴って独自の調査を行うべくアーブラを発った。2人はシラの故郷と言われていたシャリヴァーンへと向かい、そこでこの謎めいた女性に関する真実を知ったのだった。
シラ・エラン・コーラ・ブリーはコルサントで生まれ、帝国軍の腕利きスパイとしての人生を歩んできた。彼女をスパイとして鍛えるべく帝国情報部の訓練生に抜擢したのはダース・ヴェイダーだった。彼女の頭脳は記憶力増強剤で強化されており、肉体は風変わりな格闘技の特訓によって鍛えられている。ブリーは実戦のなかで自分が有能なスパイであることを証明し、ヴェイダーによって反乱同盟軍の中に送り込まれたのだった。
彼女に与えられた主な任務の1つは、ルークの信用を失墜させることだった。ヴェイダーは息子が同盟軍の中で居場所を失い、やがては自分を求めてやって来ることを望んでいたのだ。ブリーはルークが彼女の戦闘機を撃墜したときに任務を果たせたかと思ったが、彼はブリーの過去を暴くことによって自分の無実を証明したのである。
シラはTIEファイターの事故で死んではいなかった。重傷を負った彼女の肉体はヴェイダーの密使によって回収され、スーパー級スター・デストロイヤー<エグゼキューター>内の秘密の部屋で手当てを受けていたのだ。ヴェイダーは彼女の肉体が人工擬似生体装置によって再構築されていく様子を間近で観察する。バクタ・タンクから上がったブリーは激怒とフォースによって得た力に満ちており、別人と化していた。彼女は憎悪に屈服し、ダーク・レディ・ルミヤと改名されたのである。ヴェイダーは弟子の成長に満足し、彼女のフォース感知能力の訓練を始めたのである。
ヴェイダーは師であるパルパティーン皇帝に隠し事は一切できないことを心得ていた。彼は皇帝への贈り物として、新しい「皇帝の手」ルミヤを差し出す。パルパティーンはこれを受け取り、ヴェイダーは彼女の訓練を続けた。やがてエンドアの戦いで帝国の運命が永遠に変わると、ルミヤは古代シスの惑星ジオストに身を隠す。彼女が独自の武器、カイバー・クリスタルの破片とマンダロリアン鉄で造られたライトウィップを作り上げたのもこの氷の惑星でのことだった。
その後、ルミヤは惑星ハーデッサの奴隷ギルドでサイボーグ保安主任を務めていた。この惑星をレイア・オーガナが訪問したとき、ルミヤは彼女を捕らえようとするが、ギルドへの反乱が勃発して阻止されてしまう。ルミヤはブラスターによる損傷を受けたがなんとか生き延び、反乱同盟軍への復讐を誓うのだった。
やがて彼女は恐ろしいナガイの侵略者と同盟を結んだ帝国軍の残党を召集し、惑星キヌイーンに姿を現した。キヌイーンではついにルークと再会を果たし、2人は壮大な戦いへと突入する。最初の戦いでは、ルミヤはルークを打ち負かし、彼の仲間ダニとキロを無残に負傷させた。だが2度目の戦いでルークはルミヤの装甲服を切り裂き、彼女の正体がシラ・ブリーであることを暴いて勝利したのである。
ナガイによる侵略の間、帝国の残党を悩ませていたこの奇妙で不可解な同盟に乗じて、ルミヤは自身の帝国軍艦隊(3隻のスター・デストロイヤー、2隻の巡航艦、4隻のコルヴェット)をトフのエイリアン艦隊に提供している。やがてトフによる襲撃が撃退されると、ルミヤはこの銀河系から姿を消したのだった。その後の彼女の行方は知られていない。だが、彼女は少なくとも2人の弟子を遺産として解き放っている。1人はフリントと名付けられた若者、もう1人は裏切り者のロイヤル・ガード、カノア・ジャックスである。