第2デス・スターの司令官選出に当たって、皇帝は二度と同じ過ちを繰り返すまいと心に誓っていた。権力を振るうグランド・モフも不要であれば、その両腕となる将軍や提督も一切必要はなかったのだ。
初代デス・スターのとき、皇帝は最も重要な兵器をそれぞれがその使用法に個人的な見解をもつ3人の男たちの手に委ねてしまった。彼らは野心に満ち溢れ、皇帝の意志に対して完全な独立心を抱いていたのである。彼らは絶えず互いに口論しあい、本来の任務に従わず、結果としてデス・スターを滅ぼし、反乱軍の延命を招いてしまった。
もはや二度と失敗は許されなかった。デス・スターの司令官は1人であるべきで、その男は意志が弱く、自分を重要な存在だと信じつつも、実際には操り人形でなければならない。ジャジャーロッドをこの役に抜擢したのはまさに完璧な選択だった。
クァンタ・セクターの総督だったジャジャーロッドはティネルIVに邸宅を構えていたが、トンバットと呼ばれる悪名高い宝石泥棒に強盗に入られるという侮辱を味わっている。彼は行政官としては有能だが創造性と気力に欠けており、皇帝の計画の実行に対して脅威になり得るはずもなかった。彼はすべての帝国軍兵士と同様に大望を抱いてはいたが、視野と精神力が欠けているため、それを実行に移すことができないでいる。この任務に就く以前の彼はまさに机上の将軍であり、戦術論理と補給が専門だった。そのため、部隊の管理技術には熟練していたが、実戦経験には乏しかったのだ。
これはまさしく皇帝が求めていた種類の人材だった。皇帝は新しい戦闘ステーションを素早く効率的に建造できる人材を必要としていたが、その男に完成した超兵器の利用法を思い付かせてはならなかったのだ。ジャジャーロッドは皇帝の命令に文字通りに従い、第2デス・スターでの主導権を完全に皇帝の下に委ねていた。
彼はダース・ヴェイダーに少なからぬ刺激を与えられ、ほぼ予定通りに第2デス・スターを運用可能な状態にすることができた。ジャジャーロッドには皇帝が完成の最終期限を早めた理由が理解できなかったが、彼にとって皇帝の命令は絶対だった。彼は皇帝に忠誠を尽くし、そのまま一生を捧げることになったのである。
なお、第2デス・スターの存在は厳重に保護された機密事項だったため、公式記録によるとジャジャーロッドは帝国軍のエネルギー・システムの責任者に過ぎない。これはエネルギー省に新設された一部門であり、災害時に使用する大規模移動発電所の生産ラインを管轄するとのことだった。
パルパティーン皇帝の政治顧問の1人であるジェイナス・グリージェイタスは、エンドアの戦いの立案および実行計画についての助言を行っていた。彼は権力欲が極めて強く、他人に対して冷酷非情である。しかしその反面、皇帝にとっては行動が予測しやすく、操りやすい男でもあった。
パルパティーン皇帝の政治顧問を務めるシム・アローは、物静かで忍耐強い人物である。大声で怒鳴ることなど滅多になく、驚異的な知性と自制心で知られている。
マイン・カイニューはパルパティーン皇帝と共に第2デス・スターに同行したロイヤル・ガードの1人である。彼には若き日の記憶がまったくなく、すべての思い出は帝国に仕えるようになってからのものだった。また、カイニューはカノア・ジャックスやカー・ケイノスの初期教官を務めていたこともある。
TIEファイター・パイロットだったキラヌーは、ピエット提督の要請によって一挙に異例の昇進を遂げた帝国軍の高官である。エンドアの戦いのとき、ピエットは彼を深宇宙通信の専門家としてスーパー級スター・デストロイヤー<エグゼキューター>に乗艦させ、個人的な相談役としても重宝していた。
ゴッドハード大佐は有能な艦船技術者およびセンサー士官である。彼はセンサー監視官としてスーパー級スター・デストロイヤー<エグゼキューター>に搭乗し、磁器センサーを用いて艦の装甲強度に関するデータを監視していた。
サークリィ大尉は、事実上ありとあらゆる任務を遂行してきた恐れ知らずのスパイである。彼はピエット提督の甥であったため、かつて一度だけパルパティーン皇帝との謁見の機会を与えられたこともあり、更なる昇進も約束されていたのだった。
だが、ヤヴィンの戦い後のあるとき、サークリィは一転して同盟軍への入隊を志す。やがて、彼は新設されたローグ中隊にパイロットの1人として加わることができ、ルーク・スカイウォーカーやウェッジ・アンティリーズの指揮下で様々な任務を遂行することになる。その後、彼はヤヴィン4からジャン・ドドンナ将軍を救出するという大役を与えられ、救助部隊の一員として活躍した。しかし、元帝国軍人だったサークリィは、この任務を成功させても評価や信頼を得ることはできなかったのである。
何とかして名声を手にしたいと考えたサークリィは、ローグ中隊のパイロット数人の殺害を企て、彼らを待ち伏せする。彼はこの襲撃を帝国軍の奇襲だったとして報告し、自分が唯一の生存者であると訴えるつもりだったのだ。だが、この「英雄的行為」も報われず、サークリィは帝国への「逃亡」を決意することになる。今回の一連の行動が、彼を真の主人たちのもとへと返す口実となったのだ。
サークリィが帝国にもたらした情報は高く評価され、エスコート・キャリアーの指揮官に任命されたのも、そのときの褒章だったと考えられている。その後、第2デス・スターの建造が開始されると、彼はその計画が予定通りに進むことを確実なものとすべく、森林衛星エンドアのシールド発生装置を守るためのチームに配属させられた。しかし、ハン・ソロと彼の襲撃チームがバンカーに侵入し、爆弾のセットに成功した。バンカーから出たサークリィは、反乱軍部隊に見覚えのある顔を発見するが、その直後、ハンの放ったブラスターに胸を貫かれてしまう。彼の着ていた装甲服はこのときの攻撃で大きく屈折し、その断片の一部がサークリィの心臓を突き刺したのだった。
デイヴォッド・ジョンは偵察員としての資質と勇敢さによって大佐の地位を得た帝国軍将校である。熟練した指導者としても評価が高く、エンドアの戦いではピエット提督の指揮下にある特別部隊の司令官を務めていた。帝国軍が有する明白な技術的優位性に反し、兵士たちに対する荒野での偵察およびサバイバル訓練の必要性を強く主張している。
ヨーア大佐はダース・ヴェイダー専用のラムダ級シャトルのパイロットである。かつては皇帝直属の実行部隊に所属していたこともあり、その後パイロットに転進して様々なTIEプロトタイプのテスト飛行を行っていた。ジェンドン大佐の射撃手として多くの実戦経験も積んでおり、24回の勝利記録を有している。
帝国軍のテスト・パイロットだったジェンドン大佐は、開発を終えたばかりのTIEディフェンダーを初めて操縦したパイロットである。エンドアの戦い前には、ダース・ヴェイダー専用のラムダ級シャトルのパイロットを務めていた。
帝国軍の偵察員を務めるメリジク中佐は優れたスパイである。彼は反乱軍や他の犯罪者たちの動向を調査するため、しばしば民間貨物船の船長を装ってアウター・リムの通常航路を飛行している。
孤児だったエンディコットは、カリダの帝国アカデミーをクラスで3番目の順位で卒業している。この名誉は即座に上官の目に止まり、彼は中尉に昇進させられたのだった。このときエンディコットは第2デス・スターに配置され、ドッキング・ベイの士官を任されている。
ジョナス大佐は恐るべき死の小艦隊で大佐の地位を獲得したTIEファイター・パイロットである。爆撃任務でTIEボマーに搭乗することが多く、反乱軍のブロッケード・ランナーを数隻撃墜したことで知られている。その昔、航行中にスペース・スラッグに攻撃されたこともあるが、何とか逃れて生き延びることができた。
ミアンダ少佐は建造中の第2デス・スター防衛のために編成されたTIEファイター部隊サイス中隊の指揮官である。彼自身もパイロットであり、常に随行するパイロットを厳選している。
ライマー少佐は、地上の敵勢力からエンドアのシールド発生装置を防衛するために編成されたエリート爆撃部隊シミター中隊の指揮官である。
ヘブスリィ中尉はアノート・セクターに配属された有能なTIEファイター・パイロットである。彼は戦闘時にTIEファイターの持つ優れた機動性を活かし、自分を優位にする術に長けている。
史上最年少で帝国宇宙軍大佐に抜擢され、戦艦の指揮権を与えられたスーンター・フェルは、帝国軍の兵員募集ポスターに謳われている通りの逸材である。彼は肩幅が広くハンサムなコレリアンであり、かつては農夫をしていたが、やがて伝説的なTIEファイター・パイロットとして数々の勲章を手にすることになる。
しかし、彼は自ら進んで帝国アカデミーに入学したわけではない。故郷での祭りの夜、地元の有力者の息子が起こした犯罪を目撃したフェルは、口封じのために愛する農場を追われ、アカデミーに送られたのである。だが、彼はこの状況を最大限に活用しようと決心した。カリダの帝国アカデミーでは同期生のハン・ソロやロカ・ハースクらと出会い、互いに競い合うようになる。やがてフェルはクラスの首席となる優秀な成績でアカデミーを卒業し、帝国軍のドレッドノート艦<プライド・オブ・セネイト>の指揮を任された。しかし、彼はそこで上官のウィンステル・グリーランクス提督によるナー・シャダー攻撃計画に悩まされることになる。
モフ・サーン・シルドから彼らに与えられたベース・デルタ・ゼロと呼ばれる指令は、文字通り標的の殲滅を意味していた。しかし、フェルの部隊はこのような作戦に対する実地訓練を全く受けておらず、適性を欠いていたのである。さらに、彼自身もナー・シャダーを壊滅させることの合理性に疑いを持っていたのだ。それでもこの戦いは迅速にフェルにのしかかっていった。そしてグリーランクスによって示された最小限の戦闘計画は、密輸業者たちによる驚異的な反撃を予想しておらず、結果的に帝国艦隊を撤退へと導いたのだった。甚大な被害とグリーランクスによる撤退命令に驚いたフェルは、艦隊と再合流する前に可能な限りのパイロットを回収しようと努め、遅れをとっていた。グリーランクス提督はこれを軍規違反としてフェルに激怒したが、フェルは帝国軍上層部に対して敗北の原因が提督の作戦ミスであるという報告を送る。その結果、グリーランクスは処刑され、フェルも<プライド・オブ・セネイト>の指揮権を取り上げられたのである。
フェルは第37帝国軍戦闘機大隊に配属され、その後フライト・インストラクターとしてプレフスベルトIVに転属となった。彼はそこでも多大な勲章を獲得し、後に銀河の英雄となるタイコ・ソークー、ビッグズ・ダークライター、デレク・クリヴィアンらを指導する。さらにはモフ・ターキンから直々に彼の護衛部隊へと招かれたが、ビッグズとホビーが軍から逃走したことで責任を追及され、エヴァー・デリコート将軍配下の第181帝国軍戦闘機大隊へと左遷されてしまうのだった。
ヤヴィンの戦いと同じ日、フェルの部隊はオード・ビニアで名目だけの勝利を上げた。それでも彼は帝国軍の士気高揚に貢献したとされ、コルサントで表彰されたのである。フェルはそこでホロドラマ・スターのウィンサ・スターフレア(実はウェッジ・アンティリーズの実の妹だった)と出会い、やがて2人は強く愛し合うようになる。帝国情報部長官イセイン・アイサードがフェルの存在を知ったのもその直後のことだった。アイサードは彼を誘惑し、その忠誠心を試そうとする。フェルがそれを拒否するとアイサードは彼の帝国への忠誠心を誉め称えるが、それと同時にフェルに憎しみを抱くのだった。フェルは彼女の策略を通じて帝国の本質を知り、それを軽蔑するようになったのである。
また、スローンが瞬く間に出世を重ねていくと、フェルは皇帝による非人間蔑視政策がそれほど意味をなしていないと感じるようにもなった。事実、彼はデラIV付近で同盟軍の補給船団を壊滅させたスローンの作戦を絶賛していたが、それでも皇帝のエイリアン種族に対する疑念は解消されなかったのだ。
やがてフェルは大佐に昇進し、第181戦闘機大隊の全権を与えられた。エンドアの戦いでは自らもTIEインターセプターで出撃するが、帝国軍は大敗を喫し、彼の帝国に対する落胆はますます加速していく。ローグ中隊をブレンタルへおびき出すために戦闘機大隊をまるごと犠牲にするというアイサードの作戦も、彼には到底容認できるものではなかった。第181大隊がブレンタル防衛の援軍として派遣されると、フェルはついにこれで潮時だと決心したのである。ブレンタルの戦いが始まる直前、フェルは妻ウィンサのために戦死を装っていた。そしてこの戦いで新共和国は帝国軍を打ち破り、ソーム大佐がイオン・キャノンでフェルのTIEインターセプターを航行不能にしたことによって、彼は新共和国の捕虜となってしまうのだった。
フェルはウィンサの捜索を手伝うことを条件に新共和国への協力を提案し、新共和国の戦闘機部隊もそれに同意した。しかし彼は即座に共和国を裏切り、帝国軍へと帰還する。フェルはスローン大提督によって編成された軍に加わり、帝国の権利を主張する様々な大将軍たちを討伐するため、スローンによる真のリーダーシップの下で数年にわたって働いたのである。後に彼はその輝かしい経歴における最後の戦いで片目を失い、ニラーンに構築された「スローンの手」の司令官ヴォス・パークと合流するため、軍から退いたのだった。
また、フェルはスローンの要請で造られていたクローン部隊の親でもあった。クローンたちはいくつかのスリーパー・セルへと送られ、スローンによる再始動指令を待つ天才的パイロットとして待機していたのだ。彼らは人格こそフェルとは別人だが、パイロットおよび戦士としてのフェルの能力を豊富に継承していたのである。しかし、多くのスリーパー・セルは開放的な空気と農業への愛着を取り戻し、スローンの死から10年後に発せられた再始動指令には従わないことを決定したのだった。
やがてガーキの戦いの直後、スーンターとシャル(ウィンサの本名)との間に5人の子供がいることが発覚した。その1人ジャグド・フェルは残存帝国軍で権力の座に就いていた人物である。後にスーンターとジャグドはチス宇宙軍のリーダーとなり、ユージャン・ヴォングの猛威に晒されている銀河系の片隅で、チスの防衛に尽くすのだった。
ター・フェニア少佐は帝国軍を去ったスーンター・フェルの後任として、第181戦闘機大隊の指揮を執っていた帝国宇宙軍の将校である。彼はフェル男爵を深く尊敬しており、反乱軍および新共和国との戦いでは幾度となくフェルの射撃手を務めていた。
フェニアが帝国軍に参加したのは、ヤヴィンの戦いで兄がウェッジ・アンティリーズに撃墜された直後のことである。後に彼はフェルから直々に第181部隊の一員として選ばれ、デラIVの奇襲では4隻の反乱軍輸送艇を撃ち落とした功績によって少佐に抜擢された。そして大佐に昇格したフェルが大隊全体の指揮を執るようになったとき、フェニアは1個中隊の指揮権を与えられたのだった。
フェニアは当時の帝国首班だったセイト・ペスタージに忠誠を誓っておらず、フェルが独自の軍を組織するために帝国軍から離脱することを心待ちにしていた。そして当然、自身もフェルと共に軍を去るつもりでいたのだが、彼は男爵の計画から完全に除外されていたのである。この事実は、フェルへの深い憎悪として取り残されるのだった。
フェルの離脱によってフェニアは更に多くの勲章を得るようになり、惑星アダマーが銀河社会の一員となる決定を下したとき、彼は帝国の代表として指名される。アダマーにいる間、フェニアはウェッジ・アンティリーズ率いるローグ中隊と交戦していたが、自分に挑んでくるアダマリのパイロットを撃墜することにも良心の呵責は一切無かった。カータンがアダマー政府の座を要求したことによって勃発した内乱で、フェニアとその部下たちはカータン側を支持していたのである。しかし、彼らはウェッジとイェダゴニアン連合に雇われたパイロットたちによって全滅させられてしまう。フェニアはなんとかその場を凌ぎ、インペリアル級スター・デストロイヤー<アゴナイザー>へと逃走したのだった。
フェニアは新共和国からアダマーを奪回するべく<アゴナイザー>で帰還するが、新共和国の大規模な防衛艦隊と遭遇し、熾烈な応戦を受けてしまう。結果的に彼はこの戦いで撃墜され、救助が開始されるまで氷に閉ざされたまま宇宙空間を漂流することになるのだった。
帝国軍第181戦闘機大隊に所属するDS-181-3は、エンドアの戦いでTIEインターセプターのセイバー3に搭乗し、スーンター・フェルの射撃手を務めていたTIEファイター・パイロットである。プレフスベルトの帝国アカデミーでフェル男爵から訓練を受けたことがあり、それ以来、彼の背中を追い続けている。そのため「フェルの復讐」の異名で恐れられるようになった。
DS-181-4はエンドアの戦いでフェニア少佐の射撃手を務めていたTIEファイター・パイロットである。彼はカラマリ侵攻の際に12機の敵を撃墜し、スーンター・フェルの指揮する第181戦闘機大隊の一員として抜擢された。フェル男爵に心酔しており、彼の下に留まるために何度もこれ以上の昇進を固辞している。