キャラクター・ガイド / 帝国軍

イセイン・アイサード Ysanne Isard

種族:
人間
出身:
不明
職業:
帝国軍情報部長官
性別:
身長:
1.8メートル
愛機:
スーパー級スター・デストロイヤー<ルサンキア>

Ysanne Isard

若きイセイン・アイサードは、帝国軍情報部の長官を務めていた父アーマンド・アイサードの後継者である。彼女はその地位と氷のように冷酷で執念深い性格から、「アイスハート」というニックネームで呼ばれるようになった。彼女は確かに美しいが、片方の目は青く、もう片方は赤いという顕著な顔つきをしており、その恐ろしい物腰は決して魅力的ではない。上流階級の出身であり、しかも女性であるにも関わらず、アイサードはアカデミーで素晴らしい功績を収め、有能な学生であると同時に注目すべきスパイであることを証明してみせた。事実、彼女は自分の能力の証として父の失脚を企み、彼の地位と命を脅かしたのだった。

初代デス・スターの完成を前に、反乱軍のスパイはデスペイアの座標が入力されたデータパックを盗むことに成功した。この不毛の惑星こそが帝国軍の誇る巨大戦闘ステーションの建造地だったのだ。奪われたデータを奪回するために派遣されたアイサードは任務に失敗してしまうが、彼女は罰せられる前に自分にこの任務を割り当てた父に責任を押し付けた。アイサードは父が率先して反乱軍にデータを漏らしたのだと主張し、アーマンドは帝国上層部によって手短に処刑されることになる。こうしてイセインは父に代わり、帝国軍情報部長官の地位を手に入れたのである。

アイサードの提案を受け、パルパティーン皇帝は彼女に洗脳施設としても機能する恐ろしい囚人収監所の建造許可を与える。<ルサンキア>と命名されたこの施設の正体は、皇帝の緊急脱出に備えてコルサントの摩天楼の地下に隠されていた巨大なスーパー級スター・デストロイヤーだった。アイサードはその内部に岩でできた人工の洞窟を造らせ、さらに人工重力によって上下を反転させて囚人たちを強制労働に就かせていたのである。囚人たちは不毛な岩石惑星に幽閉されているという錯覚を抱きながら働かされており、万が一脱出を企てたとしても、重力異常によって自由の待つ地上とは逆の方向へと進むことになるのだ。もちろん、彼らはせわしないコルサントの大都市に取り囲まれているのだが、こうした事実には決して気が付かぬまま、死ぬまで働き続けるのだった。

エンドアの戦いにおけるパルパティーン皇帝の死後、アイサードは後継政権の首班に任命された皇帝の顧問、大高官セイト・ペスタージと同盟を結ぶ。しかし、絶えず策略的なアイサードはブレンタルで新共和国軍がペスタージを捕獲する段取りを整え、彼を失脚させることに成功したのだった。次に権力を掌握したのは帝国軍司令官たちによる指導部だったが、彼女が帝国の支配権を手に入れるために彼らを殺害するにはそれほど時間が掛からなかった。アイサードによる支配は絶対的というわけではなく、その後も銀河系の隅々から自称皇帝の後継者や大将軍を名乗るペテン師たちが続々と登場しては、一斉に帝国の亡骸の所有権を要求するという事態が続いていた。しかし、アイサードは彼らにはない重要な鍵、コルサントを掌握していたのだ。コルサントの支配権を盾に彼女がライバルたちを次々と葬り去り、パルパティーン亡き後の帝国を一時的に統一していたことは紛れもない事実である。同時に、彼女はコルサントが成長しつつある新共和国の標的となるであろうことも理解していたのだ。

アイサードは自らの帝国にとっての最大の障害は、新共和国の最精鋭部隊とされる伝説のローグ中隊だと考えていた。そのため彼女は部下のカータン・ルーアにローグ中隊の抹殺を命じる。ほどなくしてローグ中隊の目標がパイリア星系の惑星ボーレイアスであることが判明すると、彼女はこれが新共和国によるコルサント奪回計画の足がかりであることを見抜くのだった。アイサードはインペリアル・センターの防衛が困難を極めてきたことに気付くと、邪悪な贈り物を添えてコルサントを新共和国に明渡す計画を実行に移す。彼女は科学者でもあるエヴァー・デリコート将軍に新種の生物兵器の開発を命じた。クライトス・ウイルスと名付けられたこの兵器は、人間以外の種族に感染して死をもたらす細菌兵器である。アイサードはこの恐ろしい病原体をコルサントの給水所に放ち、新共和国に混沌の種を残したのだった。

コルサントを手に入れたものの、帝国の反エイリアン政策に反対していた新共和国にとって、クライトス・ウイルスに感染したエイリアン種族の救済は無視できない問題だった。彼らにとって唯一の救いは、この病原体の駆除にバクタが極めて有効に働くことだったが、これこそがアイサードの真の狙いだったのだ。彼女は地下に埋められた旗艦<ルサンキア>に乗り込み、都市景観もろとも多数の住人たちを引き裂きながらコルサントを脱出する。彼女はバクタ・カルテルの本拠地であるタイフェラに向かい、革命を支援することでこの惑星とバクタの供給を掌握した。これによってバクタ市場は異常な高騰を見せ、新共和国の財政を直撃したのである。アイサードは戦いによって新共和国にダメージを与えるのではなく、財政的に破産させることで内部から崩壊させることを目論んでいたのだ。

だが、コルサントの解放によってアイサードの動きに集中できるようになったローグ中隊は、バクタの輸送船団をたびたび襲撃し、アイサードを挑発していた。彼女はこれまで以上にローグ中隊の壊滅に執念を燃やすようになり、独自の情報網を使って彼らの徹底的な捜索を開始する。しかし、アイサードはかつての繊細さを微塵も感じさせない愚かな作戦によってことごとく失態を演じ、ついにはバクタ戦争と呼ばれる戦いでタイフェラの支配権を失ってしまう。その後、アイサードは<ルサンキア>と2隻のインペリアル級スター・デストロイヤー<アヴァリス>と<ヴィラランス>を率いて出撃し、ヤグダルの宇宙ステーションでローグ中隊と交戦するが、完全なる敗北を喫するのだった。彼女は<アヴァリス>を失い、<ルサンキア>と<ヴィラランス>も新共和国によって拿捕されてしまう。だが、アイサードは<ルサンキア>に捕らわれていた囚人の大半を別の場所に隠しており、自らもシャトルで逃走を試みるのだった。しかし、彼女を乗せたシャトルはローグ中隊のコラン・ホーンとタイコ・ソークーによって遮られ、爆破されてしまう。このとき誰もがアイサードの死を確信していたが、実は彼女はこのシャトルに乗っていなかったのだ。遠く離れた場所にいたアイサードは難民を装って姿を隠し、再起を図るのだった。

やがて敗北から復帰したアイサードは、スローン大提督による新共和国への反抗計画を傍観していた。そしてスローンが失敗すると、彼女はかつての憎むべき敵ローグ中隊に接近し、残存帝国軍の大将軍たちを阻止する手助けを求める。ケルネル第一提督がイセイン・アイサードのクローンと同盟を結んでいたのである。このクローンは彼女自身がタイフェラを失った際に特別に製造したものであり、<ルサンキア>の囚人たちを隠したのも、彼女の艦隊を率いて敗北したのも、すべてこのクローンの仕業だったのだ。ローグ中隊は新共和国の囚人たちを解放することと引き換えに、アイサードへの支援を申し出る。アイサードもこれに同意し、新共和国の機動部隊はケルネルのキュートリック・ヘゲモニーへの攻撃を開始した。やがて彼らはアイサードのクローンを倒し、囚人たちの解放にも成功するが、本物のアイサードは依然として新共和国を裏切るチャンスを探しており、ビルブリンギで修復されつつあった愛すべき<ルサンキア>の奪回を試みる。だが、彼女の裏切りはミラックス・テリックとアイエラ・ウェジリによって暴かれ、アイサードは<ルサンキア>内での激しい格闘の末、アイエラによって射殺されるのだった。

スローン大提督 Grand Admiral Thrawn

種族:
チス
出身:
シラ
職業:
帝国軍大提督
性別:
身長:
1.8メートル
愛機:
インペリアル級スター・デストロイヤー<ヴェンジャンス>、<アドモニター>、<キメラ>

Grand Admiral Thrawn

完成された戦略家であるスローン大提督は戦闘を芸術に例え、その両方を熱愛していた。彼は直感的な思い付きを引用し、動機を分析し、敵が気付いて行動を起こす前に何を行うべきか決定することができたのだ。

スローンの最大の武器は心だった。チスの人々がミスローニュルオド(スローンの本名)の思想を危険であると見なして追放したのは大昔のことである。シラのチスは統率の取れた種族であり、24以上の惑星に大規模な艦隊と帝国を築くほどにまで発展している。スローンの戦略はその大胆さにおいて物議を醸しており、チス拡張領域防衛艦隊における彼の活動も心配のこもった多くの燃えるような赤い目を引き寄せたのだった。

銀河系が初めてチスとの接触を持ったのは、パルパティーン最高議長によって派遣された機動艦隊が偶然にもスローンの艦隊を発見したときのことである。青い肌をした若き司令官は武力と数では劣っていたが、侵略者を撃退することに成功したのだ。

機動艦隊の司令官キンマン・ドリアーナはスローンに和平交渉を申し込む。2人は対話を行い、ドリアーナはスローンの論理と道理に満ちた冷静な感情に訴えることができた。彼はスローンに自分の任務、すなわちアウトバウンド・フライトの破壊について説明し、ジェダイ・マスターを満載したこの船がチスの人々に与える脅威について詳細を語った。そしてスローンはドリアーナが失敗した任務を成し遂げ、アウトバウンド・フライト計画を壊滅させたのである。

シラに帰還したスローンは、その戦争行為によって叱責を受けた。彼は自分の行動をシラとチスを防衛するための先制攻撃の一環であると説明したが、政治家たちは彼の急進的な考えを受け入れることができなかった。スローンは監視下に置かれ、やがてチスから完全に追放されてしまう。

だが、チスの損失はパルパティーンの利益となった。新しい皇帝の側近たちは不毛のジャングル惑星でスローンを発見し、彼を軍人として召還する。帝国宇宙軍には非人類の士官に対する強い差別政策が敷かれていたが、スローンはそれでも軍の高官へと上り詰めていった。

彼はまもなくダーク・ジェダイ、ジェレクの旗艦であるインペリアル級スター・デストロイヤー<ヴェンジャンス>の指揮官に抜擢される。しかし<アドモニター>に転属されると、一転して広大な未知領域の星図を作成するという報われない任務を与えられた。銀河の最僻地にいたスローンは再びチスと接触を持ったが、そのとき彼らはあらゆる差し迫った脅威に包まれていた。かつては大胆なリーダーシップによって追放されたスローンだったが、現在では逆に賞賛される結果となる。多くのチスは彼の帰還を望んでおり、スローンは辺境の惑星ニラーンに密かに秘密基地を設立したのだった。

帝国軍に復帰したスローンは目覚しい昇進を重ねる。彼は副提督に抜擢され、ヴェイダーの信頼と彼が密かに組織していたノーグリの軍隊を手にした。そして反逆的なザーリン大提督の失脚に一役買った後、スローンはその後任として大提督に昇進したのだった。

ホスの戦い後、スローンは再びアウター・リムの星図作成任務に戻った。そのため、彼の大提督への昇進は反乱同盟軍の注意を引くに至らず、彼の存在さえも知られることはなかった。そして、エンドアでパルパティーンが滅びた後、スローンはニラーンに帰還する。彼はパルパティーンの敗北から4年が経過するまで、一度も帝国には戻ってこなかった。

やがてスローンはギラッド・ペレオン艦長と接触し、帝国艦隊に復帰する。そして彼はコルサントを奪回することによって銀河系を奪い返すという組織的反抗計画を開始させた。彼は情報の断片から素晴らしい戦略を生み出すことで、その才能を証明してみせた。スローンはパルパティーンの作り上げた秘密貯蔵庫の位置を突き止め、そこでクローン軍隊の製造を開始する際に必要となるテクノロジーを発見する。さらに長く行方不明になっていたカタナ艦隊の発見によって、その軍隊に必要な艦船をも手中に収めた。スローンは狂気のダーク・ジェダイ、ジョルース・スボースを仲間に加え、彼のフォース能力を多方面攻撃の調整のために利用する。また、彼はいつでも要請に応えられるようにクローン兵の隠れ家を銀河系全域に確保していた。

スローンの最大の過ちは、レイア・オーガナ・ソロの強いリーダーシップを見落としていたことだった。レイアはスローンの放った襲撃者をノーグリであると特定し、密かに友好関係を築いていたのだ。彼らの汚染された惑星で、彼女は帝国がノーグリの名誉に対して長年にわたる背信を行っていたことを証明する。彼女は惑星に毒を撒いているのは帝国であって、決して救助しているのではないのだということを示した。事実に憤慨したノーグリたちは帝国軍に対して敵対心をあらわにする。ビルブリンギの戦いの終盤で、スローンの忠実なボディ・ガードだったルクは暗殺者のナイフによって大提督を殺害したのである。

権力の真空状態が続く中、帝国軍は分散すれば再結集し、また分散するの繰り返しだった。ところが10年後、スローンが奇跡的生還を遂げたという知らせが広がり始める。実際にはこれはスローン自身ではなく、帝国内の共謀者たちがスローンに似ている男を利用していただけだった。しかし、スローンは現実にある種の復活計画を用意していたのである。この事件の最中、ルーク・スカイウォーカーとマラ・ジェイドはニラーンで恐ろしい発見をした。スローン本人のクローンが培養されていたのだ。しかし、このクローンは目覚める前に殺され、スローンの遺産を復活させる試みは失敗に終わったのだった。

ギラッド・ペレオン艦長 Captain Gilad Pellaeon

種族:
人間
出身:
コレリア
職業:
帝国軍大佐、中将、提督、大提督
性別:
身長:
1.70メートル
愛機:
インペリアル級スター・デストロイヤー<キメラ>

Captain Gilad Pellaeon

ペレオンは旧共和国時代から50年以上にわたって忠実に職務を果たしてきた帝国軍の老将校である。

コルサント陥落時に新共和国の手に渡った機密書類の中から、帝国軍将校に関する数多くの調査書類や個人記録が発見された。これらの資料によると、ペレオンはヤヴィンの戦いの15年前に年齢を偽って帝国宇宙軍アカデミーに入学したコレリアンであり、そこで信頼できる能力を発揮させたのだという。特に注目すべきことではないが、彼はクラスの上位から3分の1に入る立派な成績でアカデミーを卒業したのだった。

彼は惑星ギャヴリンへ向かう輸送船団の護衛という最初の任務でその名を馳せた。ギャヴリンの軌道に突入したときの海賊たちとの戦闘の最中、当時少尉に過ぎなかったペレオンは惑星の磁極に向けて艦を動かすことによって捕獲されることを防ぎ、敵艦のセンサーを妨害した。海賊船が他の護衛船に乗り込もうと移動したとき、彼はそれらを攻撃し、一掃したのである。彼は直ちにスター・デストロイヤー<キメラ>の司令部要員として抜擢された。その後も副司令官にまで昇進し、キャッシークにおけるウーキーの奴隷化任務などを経て、エンドアの戦いまでその地位に就いていた。そして、エンドア上空での帝国艦隊と反乱軍との戦いで<キメラ>の艦長が戦死したとき、ペレオンが後任として指揮を執ることになったのである。

ペレオンはエンドアの戦いに参加した帝国軍将校の中でも、破滅より慎重な撤退を選んだ数少ない人間の1人だった。スター・デストロイヤー<キメラ>の艦橋から、彼はこなごなに砕け散ったかつての強大な帝国軍を一まとめにしようと5年間にも渡って奮闘していたのだ。彼はそうすることがあらゆる訓練と自負に反していると知りながらも、反乱軍と遭遇するたびに撤退に次ぐ撤退を命令し、野心的なモフや貪欲な士官たちを同調させていたのである。当初の4分の1にも及ばない規模だが、少なくとも帝国は生き残った。エンドアの戦い後、ペレオンは残党を1つにまとめるべく最善を尽くした。しかし、彼のこうした努力にも関わらず、帝国軍は一度として反乱軍に対する主導権を取り戻すことができなかった。帝国はかつて支配していた領域の4分の1程度にまで押しやられ、彼はたじろぐような撤退命令を余儀なくされるだけだった。しかも、かつては帝国の片田舎と言われていた場所を必死に守ることを強いられたのである。強大な帝国がこのような弱小国家にまで衰退する様を目の当たりにすることは苦痛であり、ペレオンにとっても不愉快なことだった。アカデミーからの乗員供給も途絶え、彼は徴兵のために艦に惑星の襲撃を命じた。こうした命令は乗員たちを服従させ、彼らを補充するために新たに募られた志願兵たちは訓練を積まなければならなかった。ペレオンはこのような状況に嫌気が差していたが、現状では必要なことだったのである。

スローン大提督が未知領域から帰還すると、ペレオン艦長は大喜びで帝国の指揮権を偉大な司令官に引き渡した。もちろん非人間が大提督の制服を着用している姿に慣れるには時間がかかったが、ペレオンはスローンの側近として働くようになり、大提督の戦術に対する考え方、精密な計算の上で展開される複雑な作戦に敬意を払うことを学んでいった。大提督がどのようにして結論に達したのか、彼にはいつも理解できたわけではないが、スローンの導きに疑問を抱かないことも学んだのである。

スローン大提督の死後、新共和国情報部はペレオン艦長の行方を見失い、彼の行動や<キメラ>に関する報告は長い間途絶えたままだった。ペレオンはスローンの所有していた残りの船を使ってコア・ワールドへと逃亡し、テラドク高位提督と接触していたのである。

ペレオンはテラドクの所有するヴィクトリー級スター・デストロイヤーの大規模な艦隊を指揮し、テラドクとそのライバルであるハースク上位大将軍との抗争に加担させられていた。しかし、ダーラ提督が反目しあう帝国軍司令官たちの合流を呼びかけるために現れたとき、ペレオンの心が大きく傾いた。彼はダーラの理想に共感してテラドクを裏切り、全司令官たちによる会合を開く計画を支持したのである。だが会合は決裂し、ダーラとペレオンは出席した6人の司令官全員を毒殺するという最悪の決断を強いられる。こうしてダーラは帝国軍の残存勢力を率いて反乱軍を壊滅させるための作戦を実行に移せるようになり、ペレオンも彼女の部下として17隻のインペリアル・スター・デストロイヤーを与えられたのだった。

ペレオンの最初の任務は新共和国の象徴とも言うべきジェダイ・アカデミーの破壊だった。ジェダイ訓練生たちの不意をつくヤヴィン4への襲撃は完璧なものだったが、ペレオンにはフォース・パワーに対抗する準備ができていなかった。訓練生の1人ドースク81が自らの命と引き換えにアカデミーに残された訓練生たちのフォースを集中させ、ペレオンの艦隊をヤヴィン星系の遥か彼方にまで吹き飛ばしたのである。ダーラの旗艦であるスーパー・スター・デストロイヤー<ナイト・ハンマー>が到着したときには、ペレオンの艦隊の機影は既になく、新生帝国軍は応戦に駆けつけた新共和国軍の前に再び敗退を余儀なくされる。なんとか脱出したダーラは相次ぐ失敗に戦意を喪失し、帝国軍最高司令官の地位をペレオンに譲るのだった。

彼にとってこの状況はまさにエンドアの戦い後と同じものだった。ペレオンは残存戦力を再びコア・ワールドに集結させ、あらゆる可能性を考慮し始めた。彼は数年にわたってクローキングの装置の改良やコンピュータ式の戦術照準装置の実用化を試みたが、すべては失敗に終わり、もはや自分たちに新共和国と戦う力が残されていないことを実感する。ペレオンはついに意を決してモフたちを招集し、新共和国との和平締結、すなわち降伏を提案したのである。多くのモフたちはこの提案に不快感を示したが、最終的には現実が受け入れられ、ペレオンはガーム・ベル・イブリスとの交渉を行うことになった。しかし、野心家として知られるモフ・ディズラには、彼だけの秘密の計画があったのだ。

ディズラは亡きスローン大提督の影武者を用意し、銀河系各地でスローンが生きていたというデマを流布し始めた。同時にペレオンの和平交渉を妨害し、新共和国に内乱を仕向けることによって帝国の再興を画策したのである。しかし、ペレオンは密輸業者であり情報ブローカーでもあるタロン・カードと接触し、ディズラの計画の全貌を掴むことに成功する。ディズラの計画は失敗に終わり、ついに帝国と新共和国との和平協定が結ばれた。パルパティーン皇帝の誕生以来、長年にわたって続けられた銀河内乱が終結したのである。

やがて外銀河からの侵略者ユージャン・ヴォングが新共和国を脅かすようになると、新共和国はペレオン率いる帝国軍の残党に協力を要請した。そしてペレオンもこのかつてない脅威から銀河系を守るため、戦争協力に同意したのである。

ドージャ艦長 Captain Dorja

種族:
人間
出身:
コルサント
職業:
帝国軍大佐
性別:
身長:
1.80メートル
愛機:
インペリアル級スター・デストロイヤー<リレントレス>

Captain Dorja

ドージャ艦長は帝国軍のインペリアル級スター・デストロイヤー<リレントレス>の司令官である。彼はエンドアの戦い以前からこの艦の指揮を執っているが、彼の艦はこの不名誉な戦いにおいて1人の犠牲者も出さなかったという名声を得ている。もちろん、彼の用心深い指揮方針や、戦闘で敵と直接対峙するのを極力避けるというやり方が、結果としてエンドアにおける主要戦線から<リレントレス>を遠ざけていただけだという見方もある。ドージャはこうした意見を苛々しげに払拭しているが、記録の上でも彼の用心深さは拭いきれない。事実、皇帝やダース・ヴェイダーが生きていたとした場合、彼のこうした後方戦略が賞賛として認められるかという点については疑問の声も多いだろう。

ドージャは帝国および旧共和国の伝統的に裕福な軍人家庭に生まれた。彼の父も、祖父も、さらに4世代遡るまで、全員が宇宙軍の将校だった。戦艦の司令官を務めていた先祖も複数おり、少なくともその1人は提督の地位にあったという。ドージャは家系の伝統を受け継ぎ、宇宙への召還、命令することの興奮、そして新秩序の主張を喜んで取り入れたのだった。

ドージャは下級将校であるペレオンが<キメラ>の艦長となって艦隊の指揮を執ると宣言したとき、彼に従うことを拒否しようと考えた。しかし、彼にはペレオンの状況判断力と撤退命令を無視することができなかった。ドージャはペレオンより年上だったが、その後も彼から権力を奪い取ることはますます困難になっていったのである。残存艦隊の司令官たちはペレオンを信頼し、彼に従う価値を見出していた。しかし、この5年の間には何度かドージャが帝国の覇権を掌握する機会もあったのだ。事実、スローン大提督の帰還の際にも、彼は行動を起こしかけていたのである。

ドージャはスローン大提督を嫌っていた。彼の帰還はドージャが権力を手にするという計画を行き詰まらせてしまったのだ。<リレントレス>がスローンの個人的な艦隊から外されたときも、彼はこの落ち度を自分に対する侮辱として受け止めている。さらに、スローンは明らかに人間ではない。新秩序の教義に対する強い信念を持つドージャにとって、エイリアンが帝国の主導権を握ることなど到底考えられなかったのだ。しかし、スローンは皇帝やヴェイダーと同様に恐ろしい存在だったため、彼はスローンに対する嫌気を表面に出さないよう最善を尽くしていた。そして、ニュー・コヴでハン・ソロとルーク・スカイウォーカーを捕らえ損ねたときも、この手痛いミスを見過ごされることはなかった。そのため、彼は態度を低く保ち、自分の意見を隠し通したまま、自らの行動を起こす機会を伺うようになったのである。そのときこそ、新秩序(これは彼にとってあらゆる意味での真の栄光だった)が復活するのだと彼は確信していた。そして、彼はペレオンとスローンを排除し、帝国の頂点に立つつもりなのである。ドージャはこれこそが皇帝の望む真の姿であると信じているのだ。

やがて新共和国との一連の戦いによって帝国は再び敗退し、スローンもこの世を去る。だが、ドージャはその後の10年を生き延び、残存帝国軍でスター・デストロイヤーの指揮を執る13人の司令官の1人となっていた。彼はモフ・ディズラの命令によってモリシムでペレオン提督を妨害する任務を与えられるが、ディズラの計画の詳細までは知らされていなかった。この任務の説明を受けていたとき、彼はスローン大提督の突然の出現に仰天する。このスローンはディズラに雇われたペテン師フリムの変装した姿だったのだが、ドージャはその演技に完全に騙されたのだった。彼は命令どおりモリシムへ向かい、ガーム・ベル・イブリスと接触するべく出発したヴァーメル大佐のコルヴェットを拿捕したのである。

カー・ケイノス Kir Kanos

種族:
人間
出身:
不明
職業:
ロイヤル・ガード
性別:
身長:
1.83メートル
愛機:
不明

Kir Kanos

帝国が滅びて久しい時代でも、新秩序の教義に固執する愛国者カー・ケイノスの信念は彼を銀河系で最も恐ろしい逃亡者に仕立てている。ケイノスは皇帝のロイヤル・ガードの一員だった。ロイヤル・ガードは真紅のローブに身を包み、銀河系の支配者を警護するエリート近衛兵たちである。

ケイノスはインチョアにある秘密の訓練場で最高の成績を収め、エカーニの戦闘では達人技を披露し、フォース・パイクの腕前も見事なものだった。だが、彼の最大かつ最も危険な武器はその絶対的な忠誠心である。エンドアでパルパティーンが敗北を喫した後でさえ、ケイノスとその仲間のロイヤル・ガードマンたちは帝国の理想を忠実に守っていた。帝国軍のモフや提督たちは自らの野心を満たすために帝国を貪欲に分解し始めていたが、ケイノスは新秩序の規範を必死に支えようと努力していたのだ。

数年後、パルパティーンがダークサイドのエネルギーに染まったクローン体として蘇ると、目的を取り戻したロイヤル・ガードマンたちは彼のもとに群がった。しかし、この復活も長くはもたず、パルパティーンは最終的にオンダロンで死に屈してしまう。しかも彼の死に部分的に関与したのは1人のロイヤル・ガードマンであり、これは思いも寄らない背信行為だった。

背信者のカノア・ジャックスは誓いを破り、パルパティーンのクローンを破壊した。そして他のロイヤル・ガードたちが皇帝の死を嘆くためインチョアに集まると、ジャックスは彼のストームトルーパー部隊を差し向ける。ロイヤル・ガードマンは1人を除き、全員殺害されてしまった。その唯一の生き残りがカー・ケイノスだったのだ。

目的を奪われたケイノスは復讐に目覚める。彼はパルパティーンの忘れ去られた理想を強奪するだけの自称帝国軍人たちにうんざりさせられた。ケイノスはジャックスを標的とし、裏切り者を殺したが、帝国軍暫定評議会と完全に敵対してしまう。

銀河系の縁で動きやすいように彼は賞金稼ぎを装い、名前をケニックス・キルと改めた。この偽名によって、ケイノスは彼を執拗に狙うハンターたちから隠れることができたのだ。そして彼は自称皇帝を名乗るザンデル・カリヴァスの暗殺にも成功する。しかし、ケイノスのその後の行方は定かでない。

ナターシ・ダーラ提督 Admiral Natasi Daala

種族:
人間
出身:
不明
職業:
帝国軍提督
性別:
身長:
1.73メートル
愛機:
インペリアル級スター・デストロイヤー<ゴルゴン>、スーパー級スター・デストロイヤー<ナイト・ハンマー>

Admiral Daala

蘇った皇帝による凄惨な戦いに続く数ヶ月の間に、他の帝国軍司令官たちは適切な戦略を欠いていたが、ナターシ・ダーラ提督だけは成長途上にある新共和国に対して真に危険な脅威を巻き起こした。

ダーラの階級は男性上位にある帝国軍にとって異例のものだった。学生時代、そして若き将校としても彼女は有望な成果を収めたが、女性であるがゆえに昇進の機会を無視され続けていたのだ。帝国アカデミーを卒業したダーラのキャリアは失望の連続だった。欲求不満から彼女はコンピュータを不正に使用し、戦闘に固執したベテランたちとの戦略コンテストに出場する。彼女はこの仮想対戦においてカリダで最高の教官たちを打ち負かしたのだった。

アウター・リムを統括するモフ・ターキンは、若いダーラの決断力と才能に目を付けた。彼はダーラの正体を暴き、個人的な軍事参謀として教育を開始する。彼女が提督に昇進できたのもターキンの影響力によるものだった。ターキンはダーラに4隻のスター・デストロイヤーを与え、アウター・リムのパトロール任務を与えたのである。

ターキンはダーラに極秘の軍事シンクタンク施設の護衛を命じた。それはモー研究所と呼ばれる兵器研究施設であり、うごめくモー星団のブラックホール群の中心にある安定した空間に置かれていた。この辺境の基地には帝国内で最も優秀な科学者たちが集められ、デス・スターを始めとする帝国軍の新型兵器の設計が行われていたのだ。

ダーラは与えられたポストを決して放棄せず、モー研究所に留まり、ターキンが帰還するまで一切の通信を絶っていた。だが、ターキンはデス・スターの破壊によって戦死しており、決して戻ることは無かったのだ。

10年以上もの間、ダーラと彼女の機動艦隊はモー研究所の監視を続けていた。モー研究所の存在はターキンが最も厳重に扱っていた機密事項だったため、他の帝国軍将校たちには一切知られていなかったのだ。さらに危険なブラックホールの集中によって、偶然発見されることもあり得なかった。そして11年が経過し、ダーラの戦力も衰えを隠せなかった。

インペリアル・シャトルの突然の到着は、この宇宙ステーションにいた全員に衝撃を与えた。これには隣接するケッセルの囚人施設からの逃亡者、ハン・ソロ、チューバッカ、そしてキップ・デュロンが乗っていた。ダーラは彼らから銀河系の情勢について興味深い情報を入手する。3人はテスト段階で最も強力な兵器の1つであるサン・クラッシャーを奪い、研究所から脱出した。ダーラは復讐と最終的な栄光を得るチャンスを求めて、モー星団から機動艦隊を発進させ、新共和国との戦争を開始したのである。

だが、10年間のブランクは長かった。ダーラは多くの戦術理論を学んでいたが、実戦経験の乏しさが努力を妨げていたのだ。モン・カラマリへの襲撃で10年前の古い戦術を披露したダーラは、アクバー提督によって容易に退けられてしまう。ついには彼女の4隻のスター・デストロイヤー部隊も、旗艦<ゴルゴン>を残すのみとなってしまった。敗北したダーラはディープ・コアで内輪揉めに明け暮れる帝国軍の大将軍たちと合流するのだった。

そこで自らを皇帝の後継者であると宣言する無能者たちを目の当たりにしたダーラは、再び激しい気性を燃やすことになる。そしてついに嫌気が差し、彼女は大将軍たちの大半を殺害すると、残存帝国軍に対する命令を強化した。味方となったギラッド・ペレオンと共に、彼女はスーパー・スター・デストロイヤー<ナイト・ハンマー>の指揮を執り、ヤヴィン4にあるルーク・スカイウォーカーのジェダイ・アカデミーに対して無差別攻撃を開始する。

しかし、<ナイト・ハンマー>はカリスタの破壊工作によってガス惑星のヤヴィンへと墜落し、この戦いはダーラにとって最悪の終わりを迎えることになる。疲弊したダーラはペレオンに指揮権を委ね、辺境の惑星ペデューキス・コリオスへと逃亡した。彼女はこの惑星の入植者たちをまとめ上げ、一市民としての生活を始めたのである。

だがその1年後、ダーラはモフ・ゲタリーズの残虐な計画によって引退生活から引き戻された。彼女はゲタリーズがメリディアン・セクターの支配権を得るためにデス・シード病を発生させたことを知り、仲間たちと共に彼に立ち向かったのだ。だが、やがてはこの対立も収まり、彼女はナム・コリオスのセティ・アシュガット総督の下でパイロットをしていたかつての恋人、ライジーアス・サーペイシャス・ヴォーンと久しぶりの再会を果たす。そしてダーラとその配下たちは、新共和国の介入を受けずに独自の道を歩む自由を与えられたのだった。

しかし、ダーラは引退後も平凡な市民生活に戻ろうとはしなかった。その後彼女は再びディープ・コアへ向かい、新共和国に対して再挑戦するべく兵士と艦船を収集する。そしてコレリアでの暴動の勃発する直前に新共和国への襲撃を試みるが、彼女の軍隊はガーム・ベル・イブリス将軍によって撃退されてしまうのだった。大きな代償を払ってダーラはこの戦いを逃れたが、その後の行方は一切不明のままである。

モフ・ディズラ Moff Disra

種族:
人間
出身:
不明
職業:
モフ
性別:
身長:
不明
愛機:
不明

Moff Disra

エンドアの戦い、スローン大提督の死、クローン皇帝の反抗、そしてダーラ提督の大敗、これらを狡猾に生き延びた老練な策士モフ・ディズラは、バスティオン・セクターを厳重に確保し、小規模な分遣隊を従えていた。そしてスローンの死から10年後、ディズラは自分が権力の座に手の届く位置にいることに気づいたのだった。彼はキャヴリルフの海賊団とそれを率いるゾシップ船長にプレイバード級スターファイター艦隊の製造を依頼し、その資金源として帝国のクレジットを流用する。同様に、ディズラは帝国軍の貯蔵施設からクローン兵をゾシップに提供し、さらなるプレイバードを入手していた。その後、彼はスローンに酷似したペテン師フリム、元ロイヤル・ガードのグロディン・ティアスと結託し、帝国艦隊の一部の指揮を執ることに成功したのである。

一方、帝国の衰退を悲観していた帝国軍最高司令官のペレオン提督は、新共和国に対して事実上の降伏とも受け取れる和平交渉を申し込もうとしていた。彼は新共和国軍のガーム・ベル・イブリス将軍との接触を希望し、彼宛てのメッセージを送信させるべく部下のヴァーメル大佐を送り出す。だが、スローンの復活を匂わせた独自の計画で帝国の再興を目論むディズラは、ペレオンのメッセージを妨害するため配下のスター・デストロイヤーを送り込み、ヴァーメルを拘束したのだった。

ディズラの政治力、ティアスの戦略、そしてフリムの変装の組み合わせは功を奏し、この微妙な三頭政治は素晴らしい成果を挙げていく。ディズラはカーマス事変に端を発する新共和国の内乱を扇動し、その間に偽スローンを使った陽動作戦を展開していた。フリムの完璧な変装にはかつてスローンの部下だった帝国軍将校を含む多くの者たちが騙され、帝国は次々と惑星を獲得していくことになる。だが、最終的に彼らの欺瞞はペレオン提督によって暴かれるのだった。クローンであることが発覚したティアスはシェイダ・デュカルによって殺害され、ついにはフリムもペレオンに降伏する。そして、ディズラは海賊団に帝国の資金を流用していた罪で、反逆者として逮捕されたのだった。

グロディン・ティアス少佐 Major Grodin Tierce

種族:
人間
出身:
不明
職業:
ロイヤル・ガード、ストームトルーパー、帝国軍少佐
性別:
身長:
不明
愛機:
不明

Major Grodin Tierce

戦士特有の鋭い眼光を放つグロディン・ティアス少佐は、かつてストームトルーパーとして、そしてロイヤル・ガードとして皇帝に仕えていた帝国軍将校である。ティアスはエンドアの戦いにおける第2デス・スターの破壊から、その場にいなかったという単純な理由で生き延びている。当時、ロイヤル・ガードマンだった彼は、任務の交代によってパルパティーン皇帝に随行していなかったのだ。その後、ティアスは自分の働く場を求めてスローン大提督の旗艦<キメラ>に乗艦し、この新司令官の下でストームトルーパーとして仕えることになる。だが、彼は裏切り者のノーグリ、ルクによるスローン暗殺を防ぐことができなかった。ティアスの部隊はスローンの死の報告を受けると、逃走中のルクを捉え、処刑したのである。

スローンの死から10年後、著しく衰退した残存帝国軍はバスティオンを中心とした領域に追い詰められ、ペレオン提督による主導のもと、新共和国との和平交渉の準備を進めていた。このときティアスはモフ・ディズラの配下で宇宙軍少佐として仕えており、かつての栄光を夢見ながらも、目立たない一将校としてディズラを補佐し続けようと考えていたのだった。だが、冷静かつ計算高いティアスの資質はディズラの関心の的となり、彼はこの老モフから、かつて皇帝のロイヤル・ガードだったという過去を暴かれてしまう。ディズラには帝国を再興させるための秘策があり、それはティアス自身の願望とも一致するものだった。ディズラはスローンに扮したペテン師フリムを紹介すると、ティアスに軍事面で主導権を執ることを依頼する。ディズラの外交手腕、ティアスの戦略、そしてフリムによって偽装されたスローン大提督という権威が合わさり、3人の手によって帝国の栄光を取り戻そうとする計画が開始されたのだ。

ティアスはさっそくフリムの変装における欠点を見極め、スローンの遺伝子情報に関する記録をすべてフリムのものに改竄する。さらに、彼はディズラが個人的に行っていたキャヴリルフ海賊団とその首領ゾシップ船長へのクローンの供給を停止させ、ディズラに帝国が必要としているのは海賊団などではなく、むしろクローンの方であると主張した。ディズラはティアスが徐々に主導権を拡大させていくことに不安を抱くが、ティアスの目的はパルパティーン皇帝の死に対する復讐だけであり、それ以外のことには何の興味もなかったのである。

また、ティアスはかつてスローンが新共和国の惑星に多数のスリーパー・セルを配置していたことを知っており、更なる兵員増強のため、それらを覚醒させる。同時に、彼は破壊工作チームを徴兵してボサウイに潜入させ、カーマス事変に端を発する新共和国の一連の内乱を促進させていた。だが、彼ら3人の計画は、ペレオン提督によってティアスが本物のグロディン・ティアスのクローンであることが暴かれたとき、突然の終わりを告げることになる。帝国記録ライブラリにおける歴史ファイルによると、ティアスはカーマス事変のおよそ10年前、本物のスローンの配下で仕えていた際に、ジェネリスへの攻撃作戦で戦死していたのである。

スローンはティアスの強い忠誠心と戦士としての洞察力を高く評価しており、自分の知性と狡猾さにティアスの資質を織り交ぜることで、自身のさらに優れたクローンを作ろうとしていた。大提督は、このクローンたちによる新しい体制が愚劣な大将軍たちに取って代わり、帝国を支配することを望んでいたのである。一方、ペレオンはティアスが作られた時期がスローンの死のわずか2ヶ月前であることを突き止めていた。しかし、スローンは自分がリーダーを作っているのではなく、戦術的に優れた才能を持つストームトルーパーを作っているに過ぎないという事実を自覚し、この実験を中断したのである。ティアスはこの生産ラインで最初に作られたクローンであり、そして最後のクローンでもあったのだ。そして彼はこの事実を聞いたシェイダ・デュカル(彼女はペレオンと同行していた)によって、ゼンジ・ニードルで殺害されることになる。

フリム Flim

種族:
人間
出身:
不明
職業:
ペテン師
性別:
身長:
1.8メートル
愛機:
不明

Flim

一流のペテン師として銀河の裏社会で暗躍していたフリムは、スローン大提督に良く似ていることから熟練の役者としてモフ・ディズラに招かれた、ものまね芸人である。多少の外科手術と適切な染料の使用、そして2年以上におよぶ訓練によって、彼はスローンとまったく同じ外観と振る舞いを手に入れたのだった。また、顔の表面に特殊な自己発電式装置を挿入することで、彼は目を赤く輝かせることができ、さらに肉声を制御することで一瞬にして部屋を静まらせることもできる。そして、カーマス事変が新共和国を引き裂く脅威として湧き上がると、ディズラはついにフリムを銀河の表舞台に立たせたのである。

こうして銀河系でスローン大提督の復活の噂が囁かれるようになったが、根拠のある説明は一切なされず、新共和国上層部は不安を隠しきれずにいた。帝国軍によるカーマス事変を利用した一連の陽動作戦の裏で、フリムは持ち前の演技力と記憶できる限りの帝国に関する歴史的知識を利用し、首尾よく大提督の役割を演じていたのである。事実、彼はスローンの部下だったことのあるドージャ艦長とグロディン・ティアスの2人を見事に騙してみせた。また、インペリアル級スター・デストロイヤー<リレントレス>が<レディ・ラック>を拿捕したときは、ランド・カルリジアンとポロロ・ミアタミア元老院議員を前にスローンの健在を示すことに成功する。この予期せぬ会合で、フリムはスローンとして2人の前に姿を現し、新共和国にボサンに関する問題の解決策を提供すると申し出たのだった。ランドとミアタミアはこのメッセージをコルサントに持ち帰るが、スローンの恐ろしさを良く知る新共和国は、その申し出をきっぱりと拒否するのだった。その後もフリムはスローンを演じ続け、ルーリアやクロクターなど、多くの惑星を帝国側に取り込んでいったのである。

ハン・ソロとランド・カルリジアンがバスティオンで発見されたとき、フリムは2人の前でスローンを演じることによって、再びその能力を披露するチャンスを得る。彼はソロとカルリジアンにカーマス・ドキュメントのコピーを提供すると申し出て、氏族合同ビルへの攻撃にボースク・フェイリャを巻き込んだ。その後、フリムは2人を解放するが、2人は受け取ったドキュメントがカーマスの破壊に他のボサンを巻き込むために改竄されたものであることに気づいていた。やがて、フリムの欺瞞はペレオン提督によって解き明かされ、ティアス少佐もろとも素性をすべて暴露されることになる。ティアスはシェイダ・デュカルによって殺害され、ディズラは反逆者として逮捕されたが、フリムはただペレオンに降伏しただけだった。

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