シム・ザ・デスポット(暴君シム)は、銀河共和国の樹立以前にタイオン星団の星間帝国を支配していた独裁君主である。彼の在位はヤヴィンの戦いのおよそ25,000年前から、約30年間にわたって続いていた。
アーガイで生まれたシムは、クロニーズ・スイープに自らの領域、クロン王国を切り開いた海賊の息子である。シムは犯罪組織の首領として台頭し、後には政治の世界にも足を踏み入れた。彼はビーム管、カイリウム、マイタグ、ウォー・ドロイドなど、当時の最先端テクノロジーを駆使した軍隊と艦隊によって、多くの惑星を征服する。そして、彼は征服した惑星を最も恐れられた秘密警察、ジェノハラダンや、大量処刑などの恐怖戦略を使うことによって統制していたのである。シムは君臨した最初の10年間(彼の拡張期)で、デゼヴロを含むリヴィアン連盟など、タイオン星団のほぼ全域を征服した。やがて、シムの帝国はラダマ・ヴォイドからモーへと広がり、ついには数千もの惑星を従えるに至ったのだった。
そしてついに、シムとハットとの抗争が開始される。それはシクラッタ星団内における犯罪利益や、領域拡張についての野心に関する対立だったのだ。ヤヴィンの戦いの25,105年前、シムはハットの草原惑星コ・ヴァリを荒廃させた。一方で、第1次ヴォンターの戦いでは、ハットがシムの艦隊を壊滅させる。そして5年後、第3次ヴォンターの戦いで、シムはコサック・ザ・ハットの前に敗退した。彼の軍隊はハットが直前に従属させていたクラトゥイニアン、ニクト、ウィークェイ、ヴォドランの連合軍による奇襲を受けたのである。最終的に、シムはエヴォカーにあるコサックの地下迷宮で奴隷として最期を遂げることになる。しかし、タイオンの歴史家によると、ヴォンターで反逆を起こし、処刑されたのだという。一方、シムの宝物船<クイーン・オブ・ランルーン>は惑星デラルトへと逃れていた。そこで、この船は大量のウォー・ドロイドと、「生存者」として知られる秘密の同胞たち、すなわち当時乗船していた船員とエリート衛兵たちの子孫によって、およそ一千年の間、守られることになる。
シムが君臨した期間はわずか30標準年でしかないが、彼が歴史に及ぼした影響は決して小さくない。シクラッタ星団の種族たちは、当初はシム打倒のために同盟国として招集されていたに過ぎないが、ヴォンター協定の条文に従い、新共和国の時代までハットに貢献し続けていた。また、失われたシムの財宝に関するロマンスは、その後の歴史の中で一攫千金を求める多くの人々を魅了し続けた。だが、この財宝は何世紀も後に、ハン・ソロとルーリアンの歴史学者スカインクスによって発見されることになる。そして、ジェノハラダンが強大な犯罪組織として、ジェダイの内乱の時代まで密かに存続していたという噂も囁かれている。
偉大なボガ・ザ・ハットは、シス大戦の時代にステネス星系の暗黒街を支配していたハットの犯罪王である。彼は自分を裏切った者にもう一度だけ取り巻きに復帰できるチャンスを与えることで知られており、自らを「慈悲深き者」と称していた。実際、多くのハットは気に入らない者を即座に処刑するが、ボガは通常、最も罪深い裏切り者にも死か極めて危険な重労働に就くかという2つの選択肢を与えており、これはハットとしては意外な事実だったのだ。
ボガは惑星タブーンの小さな衛星に本拠地を置き、金と引き換えに海賊たちからネッシーの採鉱植民地を守る用心棒のような存在だった。だが、彼はフォースのダークサイドに魅了されていたため、ステネス星系の惑星アンブリアにジェダイ・マスター、ソンが住んでいることを不快に感じていたのである。そこでソンの元へ向かうジェダイ訓練生の噂を聞きつけたボガは、その一行を襲撃するためアンブリアへ向かうハイパースペース・ビーコンで待ち伏せを行った。ボガはこのジャンプ・ステーションで休憩をとっていたアンデュア・サンライダーを発見し、彼がソンに届けることになっていたアデガン・クリスタルを奪うと、部下に殺害を命じるのだった。そして、ハットの部下たちは猛毒性のゴーム・ワームを放ってアンデュアを無慈悲に毒殺したのである。
さらにボガはアンデュアの妻ノーミ・サンライダーの後を追い、アンブリアにあるソンのジェダイ訓練施設を襲撃した。彼の部下たちはソンの弟子オス・ウィラムを抑えつけるが、突如としてソンが戦いに加勢し、撃退されてしまう。このときボガはアンデュアから強奪したアデガン・クリスタルをも奪回されてしまうのだった。その後も、ボガはさらに多くの手勢と武器を従えて、アデガン・クリスタルを奪い返すべく再びアンブリアを襲撃する。そのとき、彼らはマスター・ソンを捕らえることに成功した。だが、ジェダイになることを拒んでいたノーミが夫の死の悲しみを乗り越え、彼の形見のライトセイバーを奮ってボガの一党を撃退したのだった。
ヤヴィンの戦いのおよそ4,000年前、カンデラス・オードーは傭兵として生計を立て、最も高い金を払ってくれる顧客に対して奉仕していた。彼の顧客の多くは、戦士、戦略家、そして単なる暴漢としてのオードーの技能を利用したいと望む暗黒街の黒幕たちだった。しかし、こうした犯罪者の顧客たちも、彼がどこで取引きの術を学んだかを知れば、さすがにオードーを雇うことについて再考するようになるだろう。
カンデラス・オードーはマンダロリアンであり、したがって共和国とのマンダロリアン大戦における敗戦勢力の側にいたのだ。しかし、彼は決して一介の歩兵ではなく、共和国を苦しめた多くの戦いで、作戦の立案およびその実行を担っていたのである。オードーは共和国にとって重要な戦犯の1人であり、事実、その手を多くの血で染めてきたのだった。歴戦の兵士としての客観的見地から、彼は共和国の人々が自分の行ってきた行為を忘れるには、まだ時間が足りないと考えていた。逆に、彼自身は同胞たちの敗北をまったく悔やまない実践的な男である。結局のところ、彼にとって戦いは単なるビジネスでしかなかったのだ。
やがて、カンデラスはタリスの暗黒街全域に影響力を持つ犯罪王デイヴィック・キャングに雇われるようになる。このとき、共和国市民の目はシス卿レヴァンとマラックによる反逆的行為、そしてシスによる継続的な侵略行為の方へと向いており、敗北したマンダロリアンはもはや関心の外にあった。そのため、カンデラスは平穏な状態でビジネスに専念できたのである。
だが、生まれながらの戦士であるカンデラスは、いつまでも三流の用心棒を続けていられなかった。彼の関心を引くさらに興味深い申し出がきたのも必然だったのだ。タリスの上空で共和国クルーザー<エンダー・スパイア>が撃墜されると、この惑星はシスの支配下に置かれるようになる。カンデラスは足止めされることを嫌い、この惑星を離れたいと切望した。そして、彼は同じく惑星から脱出しようとしている共和国の難民数名を発見すると、彼らにタリスのコンピュータ・ネットワークに進入するためのスライス・コードを提供する。彼らはそれを使って、この隔離された惑星から脱出するために必要となるアクセス・コードを検索することができたのだった。
共和国の逃亡者を満載したカース・オナシの<エボン・ホーク>がタリスから離陸すると、シスはこの惑星を完全に破壊しつくした。やがて、カンデラスはこの宇宙により多くの冒険が満ちていること、そしてマンダロリアンにとっても更なる活躍の舞台が用意されていることを知ると、この奇妙な組み合わせの逃亡者たちに加わることを決意するのだった。
共和国以前の時代から、犯罪帝国は繁栄をし続けている。古くは、シム・ザ・デスポットも絶えず独裁によって多くの惑星を支配していた。だが、やがて彼はハットによって滅ぼされ、ハットたちは自らが統治する惑星に、独自の方法による圧制と不正をもたらすことになる。そして銀河内乱のおよそ4,000年前、共和国がはるかに高い理念で銀河系を統治していたときでも、セクター全域で人々の命を左右する犯罪シンジケートという汚点が存在していたのだった。
エクスチェンジは、当時、アウター・リムのほぼ全域で活動していた最も力のある犯罪組織の1つである。この影の集団はコンピアと呼ばれる神秘的な存在によって導かれていたが、その実体は有益な惑星を支配する犯罪王たちによって構成された司令系統だったのだ。そして、このエリート集団に受け入れられる唯一の方法は、他の数人の犯罪王に指名されることである。惑星タリスを支配していたのがデイヴィック・キャングであり、彼の組織は、禁制品の密輸、奴隷売買、そして高利貸しに特化した集団だった。
噂によると、キャングはある天才技術者の命を救うことに同意したという。そして、この技術者は多額のクレジットと引き換えに、キャングにカスタム製の強力な装甲服を作り、提供したのだった。この装甲服はキャングに最高の防御能力を与えたが、それでいて極めて軽量かつ柔軟なものである。しかし、その後の言い伝えによると、キャングの装甲服は余りにも素晴らしい出来だったため、彼は結局この技術者を始末することにしたという。彼にとってこの装甲服の類似品を身に付けた者の存在は脅威であり、そのような可能性はどうしても排除しておかなければならなかったのだ。
タリスの上空で行われた共和国とシスの軍団との宇宙戦の後、共和国の工作員たちはこの辺境の惑星で立ち往生してしまう。だが、キャングの仲間だった元賞金稼ぎのカンデラス・オードーがキャングの居城に侵入し、彼の宇宙船<エボン・ホーク>を盗み出すことで、逃亡者たちがタリスから脱出するのを手助けした。キャングは彼らの逃亡を阻止しようとするが、そのときに殺害されるのだった。
クローン大戦が勃発する68年前、13歳の若きロリアン・ノッドは同世代のドゥークーと共にジェダイ・パダワンとなることを目指して修行に励んでいたジェダイ候補生である。2人はジェダイ聖堂で行われた初期の修業を通じて親友同士となり、数々の訓練と同様にいくつかの悪戯でも共に協力し合っていた。ロリアンにはドゥークーと比べて少々無謀なところがあるが、彼らの相反する性格は互いにうまくかみ合っていたのだ。しかし、ドゥークーがフォースに対する素晴らしい技能を開花させると、2人の関係にわずかな変化が生じるようになる。やがて、ドゥークーはジェダイ・マスター、セイム・セルリアンのパダワンとして選ばれたが、ロリアンはマスターたちから無視され続け、自身の将来について熟考を余儀なくされたのである。
パダワンになれないことで焦っていたロリアンは、ジェダイ公文書館からシス・ホロクロンを盗み出し、そこから新しい技術を学ぶことによって、自分をマスターたちに印象付けようと考える。だが、彼は自室でホロクロンから放たれるダークサイドのエネルギーに激しい恐怖を覚え、その場に立ちすくむのだった。恐怖に震えるロリアンはドゥークーにホロクロンを返してきて欲しいと依頼するが、ドゥークーはそれを拒否した。そのとき、シス・ホロクロンの異変に気づいたジェダイ・マスター、オポー・ランシセスが、2人を発見し、激しく叱責する。だが、ロリアンはすべてドゥークーの命令でやったと釈明し、親友に責任を擦り付けた。この事件によって2人の友情は完全に決裂し、両者はその後の修行生活においても激しく反目しあうようになる。やがて、ロリアンはマスター・ヨーダの決断によってジェダイ聖堂から追放されることになるのだった。
通常、ジェダイ聖堂を追放された若者には、農耕会社における一定の地位が与えられることになっていたが、ロリアンはそれを拒否し、自分の道を歩みはじめる。彼の心の中にはもはやジェダイに対する悪意と憎しみしか存在していなかったのだ。かねてからドゥークーの裕福な出自に強い嫉妬を抱いていたロリアンは、富を手に入れるため、自らの権力基盤を築くことに専念する。彼はフォースとの強い絆を利用して人々から融資を集めると、非合法活動の隠れ蓑となるキャラバン会社を設立した。そして、海賊となったロリアンは身代金目当ての誘拐に手を染めるようになり、当初は悪に徹しきれなかったため他の海賊たちを標的としていたが、思うほどに利益が上がらないことに気づくと、ついには共和国の腐敗した元老院議員に手を出すようになったのだった。そして、ロリアンがブリックス・アノン議員の誘拐を企てたとき、彼は事件の捜索にあたっていたドゥークーと思いがけない再会を果たすことになる。
このとき既にジェダイ・マスターとなっていたドゥークーは、16歳のパダワン、クワイ=ガン・ジンと共にロリアンの前に立ちはだかっていた。だが、ロリアンはドゥークーの旧友でありアノン議員の補佐官でもあるイリディアン・イーロを買収し、厳重な警備に守られていた議員を誘拐する。その直後にイーロによってジェダイたちも捕らえられるが、捕らわれの身だったアノンが心臓発作で死亡すると、殺人だけはするまいと誓っていたロリアンは一瞬の隙を見せ、逆にドゥークーによって追い詰められることになる。彼はドゥークーに戦いを挑むが、正規の修行を積んだドゥークーとの力の差は歴然だった。彼はかつての友人の手で逮捕され、コルサントに護送された後、投獄されたのである。
そして30年後、ロリアンは惑星ジャンクション5に姿を現し、そこで市民を監視するガーディアン警察軍の総指揮権限を与えられていた。当時、ジャンクション5はその衛星デラルナと軍事的緊張状態にあり、睨み合いを続けていたのである。そして、デラルナがアニヒレーターと呼ばれる超兵器を開発したという噂が流れると、ジャンクション5の住人たちは極度に不安な日々を過ごすようになった。だが、実際にはこの噂はロリアンが捏造した欺瞞であり、彼はこの不安状態を利用して効果的にこの惑星を支配しようと目論んでいたのである。このとき、クワイ=ガン・ジンとその弟子オビ=ワン・ケノービが彼の邪悪な計画を暴かなければ、ロリアンによる冷酷な権力の掌握は完璧に遂行されていただろう。欺瞞を暴かれたロリアンは再び投獄され、後に再び釈放された。その後、彼はジャンクション5へと戻り、かつて自分が征服しようとした惑星に平和を回復すべく、自身の能力を役立てるのだった。
やがて銀河系を二分するクローン大戦が勃発したとき、ロリアンはこの戦争の初期における共和国への支援を表明するためコルサントを訪れていた。共和国と対立する分離主義勢力を率いているのは、共和国とジェダイ・オーダーを裏切ったかつての宿敵ドゥークー伯爵だったのだ。ロリアンはジャンクション5とデラルナの和解を成立させ、共同でこの星系からミッド・リムへの足掛かりとなるステーション88宇宙港を設立していた。分離主義勢力はこの宇宙港を欲していたが、彼はこの宇宙港をクローン大戦における共和国側の軍事拠点とすることを望んでいたのである。だが、ロリアンの過去を知るオビ=ワンは彼の申し出に誠実さを認めようとせず、対するロリアンはオビ=ワンが間違っていることを示すため、懸命に働くことになる。そして、惑星ナルでドゥークー伯爵がステーション88宇宙港の設立者たちと面会していたとき、この会談に出席していたロリアンはドゥークーと分離主義運動を支援することは無いと断言した。ドゥークーは設立者たちをドロイドで抹殺し、逃走しようとしたが、それをロリアンが追跡する。この行動こそが、彼がこれまでの人生で犯してきたあらゆる犯罪行為に対する贖罪の表れだったのだ。ロリアンの真意に気づいたオビ=ワンとアナキンが、彼を救うべくその後を追う。しかし、ロリアンはドゥークーの逃走を阻止する直前に、彼のライトセイバーによって胸板を貫かれたのだった。ロリアンは最期の瞬間にフォースに看取られ、80年以上におよぶ数奇な人生の幕を下ろしたのである。
共和国は何世紀にもおよぶ平和の時代として知られていた。銀河系の端々でわずかな対立が火花を散らすことはあったが、これらが大規模な全面戦争にまで発展することは決してなかったのだ。こうした理由から、政府はジェダイ・オーダーに容易に頼るようになり、共和国の軍隊は縮小の一途を辿ることになる。実際、「共和国軍」という言葉は、もはや統一された銀河組織というものではなく、セクターや星系の資源を継ぎ接ぎした部隊を指すことが多かったのだ。
だが、この平和に浸った慢心は、イアコ・スタークと名乗る若き狡猾な海賊に利用されることになる。この大胆かつカリスマ的な海賊は、品物を奪って暗黒街の市場で売りさばく海賊艦隊を束ねており、大きな利益を上げていた。彼には通商連合の利益を減らすことができ、他の海賊たちからもある種の英雄として見られていたのである。スタークのリーダーシップのもと、多くの密輸業者、海賊、傭兵、賞金稼ぎ、殺し屋がアウター・リムに現われた。そして、常に世間の目を気にするスタークは、この犯罪組織をスターク商業団と名づけたのだった。
ジェダイと銀河共和国の代表団はスタークの反抗を終わらせるべく、トロイケンでの会合を開催した。一方、パラノイドで権力欲の強いスタークは、航法コンピュータ・ウイルスを解き放ち、共和国が集めた数隻の戦艦に被害を与える。この事件は、銀河系が全面戦争に巻き込まれる以前に起こった最後の大規模な軍事的衝突、すなわちスターク・ハイパースペース大戦を導くことになるのだった。
ヴィルマー・グラークの片言のベイシックと悪魔のような微笑は間違いなく信頼を得る妨げとなっている。しかし、彼はこの銀河系の淵で働く無節操な天才詐欺師なのだ。彼は知人たち(この場合「友人たち」という言葉は当てはまらない)からヴィリーと呼ばれており、ナー・シャダーの雑踏に紛れて何年も詐欺を働いている。おそらく彼が正当な信用を得ることは生涯ないだろう。
グラークは共和国最後の数十年間を傭兵として過ごし、NTと呼ばれるドロイドが操縦する専用宇宙船<インフェルノ>で銀河系を飛び回っていた。ナラダン・デュリンが惑星ウートゥーラからフールークーラ王女を救助するのを助けた後、彼はシス卿ダース・シディアスに雇われ、インチョアの人々と隣接星系との抗争を扇動している。シディアスはインチョアにジェダイをおびき寄せ、罠にはめる計画だったのだ。しかし、グラークの従兄弟にあたる左角の折れたデヴァロニアン、ホルマー・グラークの落ち度によってこの計画は失敗に終わることになる。ホルマーはインチョアの戦士団をジェダイと衝突させるべく先導していたが、イシースでアディ・ガリアに捕らえられてしまったのだ。やがてジェダイたちがインチョアの司令センターの破壊に成功すると、ヴィリーとその友人は逮捕を避けるためインチョリ星系からの逃走を試みる。だが結局彼らは犯罪者の烙印を押され、共和国当局によって逮捕されるのだった。しかし、グラークの行動とは別に、ジェダイはインチョアの暴動の背後により強力な力が働いている気配を感じ取っていた。
その何ヶ月も後に、ヴィリーはナー・シャダーで記憶喪失のジェダイ、クインラン・ヴォスと出会う。このジェダイには暗黒街の犯罪組織から懸賞金が賭けられており、彼がこの衛星で何ヶ月間生き延びることができるかを正確に予想できた者に賞金が支払われることになっていた。ヴィリーは他の賭博で<インフェルノ>を含む全財産を失っていたため、この賞金を手に入れて船を買い戻したいと考えていたのである。ヴィリーに「助けられた」形になったクインランは、殺されるのを回避するため、ヴィリーに何が起こっているのか説明を求めるのだった。
2人はクインランの失われた記憶についてビブ・フォチューナと争った後、クインランのかつての弟子である行方不明のジェダイ、アイラ・セキュラを捜索すべくライロスへと向かう。そこで彼らは、共和国に大きな影響力を持つトゥイレックの元老院議員チョム・フレイ・カが、グリッタライルの密輸事業に関与しているという証拠を発見した。2人はコルサントへ戻り、ヴィリーは賞金首のクインランを捕らえたとチョムに連絡する。しかし、それはチョムを誘い出すためにメイス・ウィンドゥが考案した作戦だったのだ。チョム議員は逮捕され、法廷で裁かれることになるのだった。
ヴィリーとクインランの間には確かな友情が芽生えていた。クインランの首には莫大な賞金が賭けられていたが、ヴィリーは決して彼を裏切らず、その後も2人は互いに助け合って数々の困難を乗り越えていく。噂によると、ヴィリーはクローン大戦の騒乱を生き延び、やがてジャバ・ザ・ハットの手下の1人としてタトゥイーンに渡ったという。彼は年老いてからも若き日と同じように詐欺師として暗躍し、あらゆる手を講じてクレジットを獲得しているのだ。
宇宙航路で略奪を行う海賊は様々な動機を持っている。貪欲と力が最も一般的な理由だが、崇高な目的を持ち、名誉を重んじる盗賊たちも少なくない。ニムはまさにそうした一例と言えるだろう。
銀河系でも珍しい種族とされるフィーオリンのニムは、幼い日々を故郷ロックで孤児として過ごしていた。荒々しい犯罪者や海賊たちに囲まれて育った少年期は、彼の肉体能力や刺々しい性格の助長にも一役買っている。そして成年期に達するまでには、闇社会における凶暴な戦士、そして聡明な策略家としての評判を得ていた。それから間もなくして彼は海賊となり、宇宙航路でムチを振るうようになる。ニムは主に秘密基地からナブー星系付近を航行する船に対して奇襲を行っており、特に通商連合の護送船団に対する略奪行為では、その首に巨額の懸賞金を掛けられるまでになるのだった。
ニムの恐ろしさは冷酷な暴力行為からくるものではない。事実、彼はあらゆる活動を通じて流血を最小限に抑えるよう努力し、むしろ素早く効果的に略奪を行っているのだ。また、ニムが誇りとしている戦利品の1つは大規模な改良を施されたスカーグH-6ボマーであり、彼はこの船を<ハヴォック>と名付けて自身の専用船としている。
ニムの成功は、やがて彼自身に勝利をもたらせた。ニムとその部下たちは通商連合からスカルプ=ハンター・ブラスターと呼ばれる秘密兵器の試作品を奪い取ることに成功した。彼らはこの武器を売却するため隠し場所を守ろうとしていたが、通商連合に雇われた傭兵ヴァナ・サージの罠に掛かり、捕らえられてしまう。ニムはしばらくの間、通商連合に拘留されていたが、忠実な部下たちによって速やかに救出されたのだった。
ロックの基地に戻ったニムは、通商連合による報復攻撃によって焼け野原にされた故郷を目の当たりにする。彼は新たなる敵に激怒し、この巨大企業に復讐の大打撃を与えるべく、2つの奇妙な同盟関係を結ぶのだった。1人目のライス・ダローズは故郷の防衛に専念するナブーのパイロット、そして2人目はまさにニムを捕らえた張本人であるヴァナ・サージだった。彼女は一転して通商連合に裏切られ、復讐の機会を求めてニムの仲間に加わったのである。
ナブーの戦いの最中、ニムは通商連合を撃退するために結ばれたナブーとグンガンの努力に大きな支援を提供した。彼の<ハヴォック>は通商連合の軍事機器を瓦礫の山に変えていったのだ。ニムはナブー解放に助力した功績を称えられ、パルパティーン元老院議長から過去の犯罪行為に対する恩赦を与えられる。しかし、彼は新しい1ページをめくろうとしなかった。彼は新しい友人たちを捨て、ならず者の人生に戻っていったのである。
再びロックに戻ったニムは、通商連合が彼のかつての基地をカーサック星系へ侵略するための集合拠点として利用していることを知る。しかし、彼にはクレジットも力もなく、連合軍と戦って勝利することは望めなかった。ニムは仕方なくボサン・スペースに身を隠し、仕事を探し始めるのだった。彼は片手間の仕事で数年間を費やし、やがて再び海賊団を結成することになる。
そしてナブーの戦いから6年後、ニムはメアのロアリィ・ロー大使に雇われ、通商連合による惑星マーラメアの支配を打倒する際の助力を依頼される。彼は嫌々ながらに同意するが、いつの間にか通商連合だけでなく、メアのソール・シクサの軍隊とも戦っていることに気づくのだった。しかし、最終的にニムとソールは手を結び、この惑星の通商連合軍を壊滅させたのである。
やがてクローン大戦が終結すると、故郷に戻ったニムはロックの指導者として人々から歓迎された。壮年期に差し掛かった彼はますます狡猾で利口な男となり、新秩序が施行されてからも人々から崇められる存在となっている。噂によると、彼はロックの秘密の隠れ家に、旧友であるジェダイ・マスター、アディ・ガリアの所有物をいくつか隠し持っているらしい。
危機に直面したとき、トイダリアンのレティはその薄汚れた翼を駆使して全速力で逃走するが、その後の語りの激しさは、逃走時の勢いも霞んでしまうほどである。この口やかましい機械工は、自分の成し遂げた偉業に関する多くの作り話を吹聴しており、中でも最大の口上の1つは、自分こそが通商連合による侵略からナブーを解放した立役者の1人であるというものだった。彼はこの戦いで12機のドロイド・スターファイターを撃墜したと言いまわっているが、それがありえないことなのは周知の事実である。それでもレティは一流の語り手であり、作り話だけでいつも1、2杯の飲み物をせしめているのだ。
救助船<ズーマー>で宇宙を駆けるレティは、ナブーの戦いで通商連合軍の封鎖に立ち向かったニム、ヴァナ・サージ、ブラボー中隊のライス・ダローズなど、数多くの英雄たちを救助したが、実際には彼自身はたいした救世主ではない。彼の才能はツール・キットを使う能力と遭難者を見つける眼力に基づいており、事実、レティは数多くの他人の破滅をクレジットへと変えてきたのだった。