予言から生まれた子、アナキン・スカイウォーカーは、おそらくフォースの意思そのものによって産み落とされたと考えられている。彼は銀河系の歴史に光と闇の時代をもたらし、決して忘れられない功績と汚点を残したのだった。
少年時代をタトゥイーンで奴隷として過ごしたアナキンは、母シミと共にガーデュラ・ザ・ハットからトイダリアンのジャンク商人ワトーへと売却された。彼はワトーの店で様々な機械や技術に関する知識を身に付け、どんな機械でも修理できるという評判を得る。その能力を生かし、9歳のアナキンは母親の仕事を手伝わせるためにプロトコル・ドロイドのC-3POを組み立てた。彼は親切で無私無欲な少年だったが、決して素直というわけではなく、頭に血が上るとついつい競争心が沸き立つこともあった。ポッドレースのような無謀な競技への執着心もその現れの1つである。
アナキンはポッドレーサーを操縦できる唯一の人間だった。彼は小柄な体格からレーサーの小さなコクピットにも座ることができ、驚異的な反射神経によってエイリアン種族と対等に戦うことができたのだ。この反射神経はフォースによってもたらされたものである。彼は物事が起こる前にそれを予見し、行動することができたのだ。
アナキンのフォースへの感受性とレースの才能は、彼をジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンと、ナブーの若き女王、アミダラに引き合わせた。通商連合によるナブー封鎖を逃れた彼らは、連合の攻撃によって損傷した船を修理するための部品を必要としていた。そこでアナキンは複雑な賭けの対象となったブーンタ・イヴ・クラシックのレースで見事優勝し、クワイ=ガンが必要としていた宇宙船の部品のみならず、自由を手にすることになる。しかし、母親を奴隷から解放することはできなかった。
クワイ=ガンはこの少年のフォースに才能を見出し、信じられないほどのミディ=クロリアン値を検出していた。アナキンはジェダイになる夢をかなえるべくクワイ=ガンと共にコルサントへ修行に向かうが、それは母との別れを意味する。しかし、彼はいつか母を解放するためタトゥイーンに戻ると誓い、シミとC-3POを残して旅立っていったのである。
ジェダイ評議会の前で、クワイ=ガンはアナキンが古代の予言でフォースにバランスをもたらすとされる「選ばれし者」であると主張した。だが、彼の未来が曇っていることを予見した評議会は、修行を始めるには歳を取りすぎていると断言し、アナキンの訓練を禁止する。しかし、アナキンの勇敢な活躍によって通商連合軍が敗退し、ナブーが解放されると、評議会は前言を撤回してアナキンの修行を認めるのだった。このとき既にクワイ=ガンは謎のシス卿によって倒されており、アナキンは彼の弟子だったオビ=ワン・ケノービのパダワンとなったのである。
その後約10年にわたって、師弟は強い絆で結ばれていた。オビ=ワンは慎重に訓練を与えていたが、衝動的で冒険心の強い19歳のアナキンは自信に溢れた頑固な青年へと成長していった。彼の無謀さは何度も師匠を悩ませたが、それでも2人は親友だった。多くの点で、アナキンはオビ=ワンを自分にいなかった父親として見ていたのである。
そのころ、共和国は一大事件に揺れていた。元ジェダイ・マスターのドゥークー伯爵による分離主義運動をきっかけとし、有力企業をはじめとする数千の星系が共和国からの脱退を宣言したのである。この政治的緊張状態はやがて武力衝突へと発展し、ジェダイ・オーダーだけでは共和国の平和を守りきることができなくなりつつあった。そのため、銀河元老院はパルパティーン最高議長の指揮の下、分離主義勢力の武力に対抗すべく独自の軍隊を設立しようという法案を審議しはじめたのだった。
そのころナブー選出の元老院議員となっていたパドメ・アミダラは、この法案に反対票を投じるためコルサントへと到着するが、謎の暗殺者による襲撃を受ける。囮作戦によって一命は取り留めたものの、暗殺の脅威は失われていなかった。パルパティーンはジェダイ評議会を通じてオビ=ワンとアナキンに議員の警護を要請する。アナキンはこの10年間、ことあるごとにパルパティーンに助言を求め、彼を心から尊敬するようになっていた。そしてオビ=ワンが暗殺者の黒幕を捜索している間、アナキンはパドメを守るため彼女と共にナブーへと向かう。やがて2人の間には禁断の愛が芽生えていくのだった。
そのときアナキンは母の身に危険が起こっていることを察知する。不安と衝動に駆られた彼はタトゥイーンへ急行し、シミの捜索を開始した。アナキンは母が既にワトーのもとから解放され、モス・アイズリーの外れの水分農場に嫁いでいたことを知る。しかし、彼女はタスケン・レイダーたちにさらわれていた。アナキンはシミを救出するため単身でタスケンのキャンプに侵入し、母と10年ぶりの再会を果たす。だが、それがスカイウォーカー親子にとって最後の瞬間となるのだった。母を殺された怒りで自我を失ったアナキンは、ライトセイバーでサンド・ピープルたちを皆殺しにしてしまう。アナキンの心の中にダークサイドが増した瞬間、遠く離れたコルサントではヨーダが若きスカイウォーカーの未来に暗雲を感じていたのだった。
シミの嫁ぎ先だったラーズ家の水分農場で母に最後の別れを告げたアナキンは、オビ=ワンがパドメ暗殺の首謀者を突き止め、分離主義者たちに捕らえられたことを知る。アナキンとパドメは評議会の命令を無視してオビ=ワンのいるジオノーシスへと向かうが、逆に師と共に捕らえられ処刑闘技場へと送られてしまう。だが、彼らは難を脱し、増援に駆けつけたジェダイ・オーダーと共に壮絶な戦いを繰り広げる。分離主義勢力のドロイド軍は圧倒的な数でジェダイたちを追い詰めるが、何者かによって密かに製造されていた共和国のクローン部隊が到着したところで形勢逆転となった。アナキンとオビ=ワンは逃走するドゥークーを追跡し、かつてのジェダイ・マスターと対峙する。だが、伯爵は2人をフォースで圧倒し、アナキンは右腕を斬り落とされてしまう。絶体絶命の危機に瀕した2人を救ったのはヨーダだった。ドゥークーは敗走し、ジオノーシスの戦いは共和国の勝利で幕を下ろすことになる。だが、この戦いを皮切りに、銀河系はクローン大戦という暗黒の時代へと突入するのだった。
失った右腕を機械の腕に置き換えたアナキンは、アミダラ議員の護衛として再びナブーへと向かう。このとき2人は、初めて禁断の愛を育んだ湖畔にナブーの聖者を招き、C-3POとR2-D2の祝福を受けながら秘密の結婚式を挙げたのである。これは2人にとっての新しい人生の始まりだったが、同時に、アナキンにとってはやがて訪れる破滅への第一歩となるのだった。
パダワンとしての訓練期間を抑制の辛い演習であると見なしていたアナキンは、クローン大戦が自身の人間性を形作るより大きな挑戦であることを思い知らされた。この数百年の間に共和国を襲った最も激しい戦争を通じてオビ=ワンに師事していた彼は、事実上絶えることのない戦いに晒されていたのである。だが平和と忍耐を重んじるジェダイ規範も、アナキンがクローン大戦の戦闘を通じて活力を得ていくことを妨げることはできなかった。彼は戦いの中に生きがいを感じ、強大なフォースに更なる磨きをかけていく。様々な局面で不可避と思われた敗北を、独力で勝利へと変えていったのもアナキンだった。ケイト・ニモイディアをはじめとする多くの惑星での戦いで、アナキンとオビ=ワンは伝説的な名声を得ることになる。市民たちは共和国の至るところで2人のジェダイの英雄を褒め称え、アナキンはその大胆な功績によって「恐れを知らない英雄」の異名で知られるようになった。ジェダイの禁欲主義はこのような状態を決して良しとしないが、彼は既に銀河にその名を轟かせる英雄となっていたのである。
だがこうした事実も、決してこの戦争が生易しいものだったことを示しているのではない。分離主義勢力は幾度となく攻勢を強め、アナキンはジェダイ・オーダーへの誓いが自らの力を抑制していると考えるようになっていたのだ。彼はこの暗黒の思想(これはかつてタスケンの集落で彼を襲った感情と同じものである)を決して仲間のジェダイには打ち明けなかった。アナキンはこの道のりが更なる力への入り口であることを知っていたが、同時にそれがダークサイドへ至る道であることも心得ていたのである。だが、彼にはこうした悩みを気兼ねなく打ち明けることのできる人物が1人だけ存在していた。ナブーの英雄となった日から彼の良き理解者であり続けたパルパティーン議長である。パルパティーンはアナキンの才能を無条件に褒め称え、アナキンも彼をあらゆる点で自分を認めてくれる唯一の理解者であると感じていたのだ。
アナキンにとってのもう1つの悩みは、愛する妻の不在だった。クローン大戦の間、パドメと会うことのできない日々が何週間、何ヶ月と続いたのである。彼女も献身的な元老院議員としてこの戦争を注視していたが、進行中の戦いに関する散発的な報告が寄せられるなか、彼女の関心の的は極めて個人的なものとなっていく。特に5ヶ月続いたアウター・リムでの激戦は、2人の心を大きく引き裂いたのだった。
そしてクローン大戦最後の年、アウター・リムに派遣されていたアナキンとオビ=ワンのもとに衝撃的な知らせが届けられる。コルサントが攻撃されているというのだ。愛する妻と最も信頼すべき友人であるパルパティーン議長のいる惑星が、無慈悲なグリーヴァス将軍とその配下のドロイド軍による猛攻に晒されていたのである。共和国の心臓部への打撃を回避するため、オビ=ワン、アナキン、そして彼らの率いる共和国軍がコルサントへ向かう。この行動の背後には、アナキンの激しい決意が伴っているのだった。グリーヴァス将軍の旗艦<インヴィジブル・ハンド>に侵入したオビ=ワンとアナキンは、明らかな罠と知りつつも目的に向かって進んでいく。そして、彼らは捕らわれのパルパティーン議長を発見し、そこで再びドゥークー伯爵との対決を迎えるのだった。
2人のジェダイはシス卿とライトセイバーを交えるが、オビ=ワンはドゥークーの強大なフォースに屈し、意識を失ってしまう。ドゥークーは1人になったアナキンを執拗に挑発し、ダークサイドへと誘惑するのだった。だが、両者は激しく光刃をぶつけ合い、ついにアナキンがシス卿の両腕を切断することで決着をつける。アナキンは無防備なドゥークーに止めを刺すことをためらうが、パルパティーンは彼を殺せと命令し、若きジェダイは湧き上がる力によってシス卿の首を切り落とした。アナキンは自分の行為について後悔するが、パルパティーンは必要な行動だったと賞賛する。議長曰く、ドゥークーは生かしておくにはあまりにも危険すぎる男だったのだ。
アナキンはオビ=ワンとパルパティーンを連れて<インヴィジブル・ハンド>からの脱出を図るが、ドゥークーの死によってドロイド軍の実質的リーダーとなったグリーヴァス将軍に捕らえられてしまう。しかし、ジェダイたちとドロイド軍との乱闘の末、グリーヴァスは船を放棄して逃走し、アナキンは共和国軍からの攻撃によって後方が大破した<インヴィジブル・ハンド>で、コルサントへの不時着を強いられることになる。だが、このときも彼は驚異的な操縦能力を披露し、首都の無人の滑走路に大胆な着陸を成功させたのだった。ドゥークーを倒し、議長を救出したアナキンは、共和国最大の英雄として大勢の議員たちに迎えられたのである。
また、コルサントでアナキンはようやく愛するパドメとの再会を果たした。2人は待ち焦がれていた愛を確かめ合うが、状況は極めて複雑な方向へと展開していく。パドメが夫に妊娠したことを告げたのだ。これが2人にとって新たなる喜びとなったことは間違いないが、同時にこの結婚をどのように秘密のまま保っていくかという難問を提起することになる。アナキンはプラスの方向へと考えようと努力するが、フォースの意志は逆だった。母を失ったときと同じ悪夢が訪れ、パドメの出産による死のビジョンを映し出したのだ。
妻を案じるアナキンの肩に、さらに大きな重しがのしかかる。謎のシス卿ダース・シディアスを追跡していたメイス・ウィンドゥが、パルパティーン議長の周辺にシスの存在を確信しており、彼を父親として慕うアナキンは複雑な立場に追い込まれていたのだ。クローン大戦が長引くなか、パルパティーンの政権はますます独裁色を強めていき、評議会も彼の動機に疑いの目を向けるようになる。彼らはパルパティーンがジェダイ評議会を議長オフィス専用の道具にしようとしていると感じていたのだ。そのため、評議会は早急に議長から非常時特権を剥奪する必要があると考え、戦争の終結、すなわちグリーヴァス将軍の逮捕を最優先課題としたのだった。
一方で、パルパティーンはアナキンを信頼していた。彼はアナキンを私的な代理人としてジェダイ評議会に推薦し、評議会もその意向を受け入れる。評議会の真意はアナキンをスパイとして議長オフィスに出入りさせ、パルパティーンの行動を監視するというものだったのだ。これはアナキンにとって明らかな背信行為だった。オビ=ワンから非公式にこの任務を聞かされたアナキンはますます混乱し、評議員となった自分をジェダイ・マスターに昇格させない評議会への不満を増大させていく。アナキンは評議会に在籍する時代遅れのマスターたちよりも自分のほうがはるかに強いと考えており、この処遇はマスターたちによる自分への嫉妬だと受け止めたのだった。
そして、パルパティーンに呼ばれ、ギャラクシーズ・オペラ・ハウスを訪れたアナキンは、最大の混乱を生じさせることになる。議長はアナキンにグリーヴァス将軍の居場所を突き止めたことを伝えるが、その中でアナキンの扱いについて評議会を痛烈に批判したのだった。彼はアナキン以外のジェダイが保身のために彼を排除しようとしていること、ジェダイとシスの間には本質的違いがないことなどを話し、若きジェダイに次々と動揺を与える。彼の混乱を決定的なものにしたものは「賢者ダース・プレイガスの悲劇」と呼ばれるシスの伝説に関する話だった。パルパティーン曰く、ダース・プレイガスはミディ=クロリアンを操作して生命を作り出し、愛する者を死から救うことができたという。これはシスのみが知る神秘的な力であり、ジェダイからは決して学ぶことのできないものだというのだ。パドメの死を予見していたアナキンは、この伝説を真剣に聞き、彼女を救う手がかりを手にしたのである。
評議会に戻ったアナキンは、またしても屈辱的な扱いを受けた。パルパティーンは彼をグリーヴァス討伐任務に就かせるよう推薦していたが、評議会はその役目をオビ=ワンに与えたのである。アナキンは力をもてあましたままコルサントに残され、オビ=ワンとグリーヴァスが交戦をはじめると、そのことを議長へ伝えるよう命じられる。しかし、パルパティーンは戦争のことには触れようとせず、再びアナキンに評議会への批判を植え付け、ついに自らの正体にまで言及したのだった。パルパティーンこそが評議会の追い求めていたダース・シディアスだったのである。シディアスはシスの側に付けば妻を救うための秘術を手に入れることができると告げ、アナキンをダークサイドへと誘惑する。彼は悩める若きジェダイに、規則も規範も境界もない、自由なフォースへの道を示したのだった。
アナキンはさっそくこの事実をメイス・ウィンドゥに伝え、議長の逮捕に自分も同行すると訴える。しかし、ウィンドゥはアナキンの判断力に迷いを感じ、同行を禁じるのだった。ウィンドゥは聖堂に残っていた屈強の剣士3人を従えて元老院へと向かい、アナキンは1人で評議会の会議室に残される。だが、メイスがパルパティーンを殺害すれば、パドメを救う唯一の道が閉ざされてしまう。アナキンは自制心を失い、元老院へと急ぐのだった。
議長のオフィスでは、3人のジェダイを殺害したパルパティーンが、最後の1人となったウィンドゥに追い詰められていた。両者は互いに相手を反逆者だと叫ぶが、アナキンの目には、パルパティーンはもはや戦う力を失った弱々しい老人でしかなかった。しかし、メイスはシスを生存させることの脅威を訴え、パルパティーンを殺そうとする。若きジェダイは双方の忠誠の間で激しく動揺するが、彼の中で最後に勝ったのはパドメへの果てしない愛情だった。彼は2人の戦いを終わらせるべく、ライトセイバーを起動させ、議長に振り下ろされたメイスの腕を切断する。すると、突如としてパルパティーンが反撃へと転じた。彼はダークサイドの電撃によってもはや抵抗できないウィンドゥを殺害し、このときアナキンは戻ることのできない一線を越えてしまったことに気づいたのである。
メイス・ウィンドゥの死によって、アナキンはダークサイドへの道を開いたのだ。彼はシスへの忠誠を宣言し、ダース・シディアスの前に跪く。これを喜んだシディアスは、アナキンに新しい名前、ダース・ヴェイダーを与えると、新しい力と知識を約束するのだった。また、シディアスは、ジェダイこそが共和国の平和を乱す元凶であると告げ、新たなる弟子にジェダイ聖堂への奇襲と分離主義勢力の幹部たちの抹殺を命じる。シスこそがこの戦争を終結させ、銀河系に平和と秩序をもたらすことになるのだ。
シス卿となったアナキンはクローン・トルーパーの大軍を率いてジェダイ聖堂へと向かう。彼は聖堂に残っていたジェダイを容赦なく斬り捨て、幼い子供たちさえも一人残らず葬っていった。ダース・ヴェイダーには、もはやかつての友人からの説得も、愛する者からの懇願も、まったく意味をなさない。そして、彼はムスタファーに潜伏していた分離主義勢力の幹部たちを全滅させ、クローン大戦に終わりをもたらしたのだった。彼を制止しようとしたパドメは、夫がダークサイドに堕ちたことに衝撃を受け、生きる希望を失ってしまう。皮肉にも、ダークサイドの激しい怒りによってパドメの死の悪夢を実現させたのは、アナキン自身だったのだ。
最後の望みをもってアナキンの堕落を阻止しようとするオビ=ワンは、ライトセイバーでかつての弟子との激しい戦いを繰り広げる。最終的に、ヴェイダーはこの戦いで肉体の多くを失う損傷を受け、パルパティーンから生命を維持するためのサイボーグ移植を施されることになった。このとき、アナキン・スカイウォーカーの純粋かつ無邪気な個性は外見上から永遠に失われ、ダース・ヴェイダーが銀河系を闇で覆ったのである。彼はパルパティーン皇帝の第1の従者となり、皇帝の厳格な新秩序を公布させるためのあらゆる責任を負ったのである。
そして約20年後、タトゥイーンで隠遁生活を送っていた老オビ=ワンは、ジェダイにとっての新たなる希望、ルーク・スカイウォーカーにフォースの修行を開始する。彼はアナキンがダークサイドに転向する前に残していた息子だった。ルークは運命に従って銀河内乱に参加し、ヤヴィンの戦いで反乱軍の英雄となる。だが、自分の本当の素性を知らないルークはクラウド・シティでヴェイダーと対戦し、相手が父親だったという衝撃の事実を知らされる。そして、父をダークサイドから救い出そうと考えた彼は、ヴェイダーとの再対決に挑み、ついに父を屈服させたのである。
この戦いの直後、パルパティーンは自らの誘いを敢然と断ったルークの抹殺を試みる。しかし、皇帝の攻撃に苦しむルークが父に助けを求めると、改心したアナキンはジェダイへの帰還を果たし、最後のシス卿を滅ぼした。こうしてフォースにバランスがもたらされ、選ばれし者アナキンはクワイ=ガンの予見を成就させたのである。この戦いで重傷を負ったアナキンは息子の見守るなか、静かにその激動の人生を終えるが、反乱軍の祝勝会でルークの前に現れた彼の魂は、紛れもなく若き日のジェダイ・ナイト、アナキン・スカイウォーカーのものだった。
多くのジェダイと同様に、オビ=ワン・ケノービは幼いころにコルサントのジェダイ聖堂へ連れてこられ、訓練を開始している。彼は努力家で真面目な訓練生だったが、13歳になるまでジェダイ・パダワンとして受け入れられなかった。ジェダイ聖堂を訪れたクワイ=ガン・ジンはヨーダから彼を弟子にするよう薦められるが、これを拒否する。他に選択肢はなく、ジェダイ評議会はオビ=ワンの能力が活かされることを期待して、彼を農場に預けたのだった。これは、オビ=ワンのジェダイへの道を絶つことを意味していたのである。
しかし、幸運にも運命が彼の味方をする。惑星バンドメアへ向かう貨物船に乗船していたオビ=ワンは、偶然にもクワイ=ガンが同乗していることに気づいた。すると宇宙船が何者かに攻撃を受け、彼は勇敢な行動を披露する。だが、クワイ=ガンはそれでもこの少年をパダワンとすることを拒否したのだった。
バンドメアで、オビ=ワンはジェダイ評議会の指示に従い、農場に加わった。洞察力に優れた彼は、すぐにこの惑星を脅かす危険な企みのことを察知する。オビ=ワンはクワイ=ガンにこの事実を伝え、クワイ=ガンがかつての弟子であるザナトスを打ち破ることに助力した。クワイ=ガンはこの功績を認め、ついにオビ=ワンを訓練することに同意したのである。
その後12年間、クワイ=ガンとオビ=ワンは無数の冒険を共にしてきた。そして25歳となり、まさに一人前のジェダイ・ナイトになろうとするとき、師弟はナブー星系の貿易紛争を解決すべく派遣される。そこで2人は通商連合と、続いて謎のシス戦士との戦いに巻き込まれた。そして、彼らは極めて強いフォースを持った少年、アナキン・スカイウォーカーと出会う。だが、この少年の未来は不確かなものであり、オビ=ワンもそれに気づいていた。彼にはクワイ=ガンの持つ他の生命への深い共感が欠けていたのだ。
ナブーで、オビ=ワンとクワイ=ガンは再びシス卿ダース・モールと対決する。数では勝っていたが、2人は獰猛なモールに圧倒されていた。モールはクワイ=ガンを殺害し、オビ=ワンを窮地にまで追い詰める。だが、若きジェダイはフォースを呼び起こし、不意をつく一撃でモールを切り裂いたのだった。クワイ=ガンは最期のとき、オビ=ワンにアナキンをパダワンとするよう懇願する。ジェダイ評議会が抱くアナキンへの不安など、もはや彼らには関係のないことだったのだ。
評議会の許可が下り、オビ=ワンは正式にアナキンの訓練を開始する。2人は10年以上にわたって行動を共にし、両者の関係は師弟から親友へと変わっていった。オビ=ワンは自分がヨーダのような優れた指導者になれると考えていたが、前途は多難だった。自分をはるかに凌ぐ資質を持ちながらも短気で衝動的な部分のあるアナキンは、いつしかオビ=ワンの修行のペースに不満を抱くようになっていったのだ。
やがて銀河系と共和国の歴史を揺るがす大事件が引き起こされる。かつてのクワイ=ガンの師匠であり、ナブーの戦い直後にジェダイ・オーダーを去ったドゥークー伯爵が、数千の星系を率いて共和国からの分離主義運動を展開したのである。元老院はこの脅威に対抗し得る軍隊の設立を審議していた。だが、この法案に反対を表明していたナブーの元女王アミダラ議員の暗殺未遂事件が起こったことで審議は中断され、オビ=ワンはこの事件の黒幕を捜索するための任務に赴くことになる。
ジェダイ聖堂のライブラリから記録が削除されている惑星カミーノに手掛かりがあることを知ったオビ=ワンは、そこで信じられない光景を目の当たりにする。10年前に殺害されたはずのジェダイ・マスター、サイフォ=ディアスの要請に従い、カミーノアンたちが大規模なクローン軍を製造していたのである。彼はこの事実をジェダイ評議会に伝えると、クローンの素材である賞金稼ぎジャンゴ・フェットを追ってジオノーシスへと向かう。だが、ジオノーシスにはドゥークーら分離主義者が集っていた。オビ=ワンは捕らえられ、救出にやってきたアナキンとパドメと共に処刑闘技場へと運ばれる。
ドゥークー伯爵は既にダークサイドに落ちていた。ジオノーシスにはジェダイの援軍とカミーノのクローン軍が到着し、分離主義者のドロイド軍と熾烈な戦いを繰り広げる。オビ=ワンはアナキンを伴って逃走するドゥークーを追跡するが、かつてのジェダイ・マスターは圧倒的な力で2人を翻弄する。危機に瀕したジェダイの師弟を救ったのはドゥークーのかつての師であるヨーダだった。
その後、オビ=ワンとアナキンは激化したクローン大戦に身を投じることになり、将軍となったオビ=ワンは、数々の歴史的な戦いにおいて元老院と共和国に英雄的な貢献を果たした。彼は不安を抱きつつも、常軌を逸したパダワンからいくつかのトリックを学び、卓越した戦闘機パイロットとなる。2人は分離主義勢力の戦線を打破し、勝利の道を切り開いていったのだ。こうしてオビ=ワンとアナキンの功績は共和国の至るところで伝説を作り上げていく。アナキンはその大胆な行動から「恐れを知らない英雄」と称されるようになり、オビ=ワンはより洗練された戦略から「交渉者」としての名声を手に入れたのだった。同時に、オビ=ワンは幾度となくブラスターの一撃で敵を倒しているが、外交策が失敗して暴力が必要となっても、彼は決してひるまなかったのだ。また、ケノービ将軍はクローン軍と彼らが使用する最新兵器を完全に制御していた。一方で、彼の最も信頼するクローン兵、コマンダー2224(通称、コーディ)も、ケイト・ニモイディアへの接近任務の間、オビ=ワンに忠実に仕えていたのである。
またクローン大戦の間、オビ=ワンはジェダイ・マスターに昇格し、ジェダイ評議会の席を与えられた。彼はジェダイの最上層部における戦略に貢献できるようになり、この名誉ある地位から、ジェダイ・オーダーと元老院議長との間の確執を目撃することになる。しかし、パルパティーンがグリーヴァス将軍に誘拐され、その救出の任務を与えられるとき、ケノービは議長に関するあらゆる先入観を捨て去らなければならなかった。彼は、クローン大戦を通じて師弟から無二の親友となったアナキンと共に、アウター・リムから混沌とした首都上空へと呼び戻され、議長の捕らえられたグリーヴァスの旗艦へと向かったのである。
オビ=ワンとアナキンはクローン宇宙戦闘機部隊の第7中隊による援護を受け、グリーヴァスの<インヴィジブル・ハンド>へと急いだ。途中、オビ=ワンのジェダイ・スターファイターがバズ=ドロイドの大群に襲われ、大きなダメージを受けてしまう。だが、アナキンの自殺行為とも受け取れる助けによって危機を乗り切り、2人は敵艦のドッキング・ベイへとたどり着いたのだった。そして、彼らは待ち受けていたバトル・ドロイドをなぎ倒し、パルパティーン議長を目指して進んでいく。この船の中にはドゥークー伯爵の気配も感じられ、敵の罠であることは明らかだった。しかし、2人のジェダイは互いの能力に絶対的な信頼をおいており、敢えてこの危険な罠に飛び込んでいったのである。
やがてオビ=ワンたちはパルパティーンが捕らえられている、グリーヴァス将軍の展望室へ到着する。だが、そこには予期したとおり、ドゥークー伯爵が待ち構えていた。2人は確かに前回の対戦時から大きく力を上げていたが、それでも老練なシス卿は手ごわい相手だった。オビ=ワンは伯爵のフォースによる攻撃によって階下に投げ飛ばされ、気絶させられてしまう。しかし、ドゥークーは彼の予想をはるかに上回る成長を遂げていたアナキンによって倒され、パルパティーンも解放されたのだった。オビ=ワンはアナキンの肩の上で目を覚まし、3人は脱出のためドッキング・ベイへと急ぐことになる。しかし、彼らの敵はドロイドたちだけではなかった。共和国の戦艦からの激しい攻撃によって、<インヴィジブル・ハンド>は致命的な損傷を被っており、既にコルサントへの墜落も避けられない状況に陥っていたのだ。3人はさらに脱出を急ぐが、途中でレイ・シールドに捕らえられ、グリーヴァスの待つ艦橋へと連行されるのだった。
ついに邪悪なサイボーグと対面したオビ=ワンとアナキンは、拘束を破り、将軍との対決へと突入した。しかし、船が墜落を開始すると、グリーヴァスはジェダイたちを置き去りにしたまま旗艦を放棄し、逃走してしまう。だが、コルサントの重力に引かれた<インヴィジブル・ハンド>は、アナキンの超人的な操艦術によって見捨てられた工業地帯の滑走路に不時着することができたのだった。
ドゥークーが死んだことによって、共和国はこの戦争に勝利したかと思われた。しかし、パルパティーンはグリーヴァスが生きている限り元老院も戦争の続行を支持するはずだと主張し、自分の持つ権限を手放そうとしなかった。そのため、グリーヴァスを逮捕し、裁きを受けさせることがジェダイ評議会にとっての最優先事項となる。やがてこの任務はオビ=ワンに与えられることになるが、その前に彼にはさらに難しい任務が与えられたのだった。
パルパティーン議長が自身の代理としてアナキンを評議会に加えるよう要請してきたとき、評議会への政治家の介入を嫌ったジェダイの上層部は、彼を評議会に受け入れはしたものの、マスターの称号を与えることを見送った。これはアナキンに無用な怒りを駆り立たせる結果となる。さらに、評議会はオビ=ワンを通じて、彼に記録に残せない任務、すなわち議長の監視を命じたのだった。共和国の最高指導者をスパイしなければならないという事実に、アナキンは心を大きく引き裂かれる。彼にとってはパルパティーンもオビ=ワンも、極めて大切な友人だった。だが、その双方が互いをスパイするよう依頼してきたのである。
重責の板ばさみとなり、精神状態が不安定になったアナキンを心配するオビ=ワンは、パドメの部屋を訪れ、彼の支えになってくれるよう彼女に相談した。しかし、この2人の接触は、図らずも邪悪な陰謀を画策している者によって利用されることになる。グリーヴァス将軍討伐の任務がオビ=ワンに与えられたとき、パルパティーンはアナキンの理性のない懐疑心を煽るため、パドメとオビ=ワンが不適切な関係になりつつあるとほのめかしたのだ。議長はナブーの聖職者を介した情報から、アナキンとパドメが秘密裏に結婚していることを知っていたのである。
クローンの情報部による報告によると、グリーヴァス将軍はアウター・リムの惑星ウータパウに潜伏しているという。オビ=ワンはクローンの3個大隊を率いてウータパウへと向かい、単身で惑星の縦穴都市へと乗り込んだのだった。そこで彼は宙港管理官ティオン・メイドンの協力を得ることができ、グリーヴァスが都市の10階に本拠地を置いていることを突き止める。さらに、彼は相棒のR4-G9にジェダイ・スターファイターを自動操縦させ、囮として軌道まで飛ばさせると、ボーガと呼ばれる巨大な爬虫類に乗ってグリーヴァスのいる10階へと向かったのだった。
オビ=ワンとグリーヴァスの戦いが始まると、コマンダー・コーディ率いるクローン部隊が地上に到着した。劣勢に立たされたグリーヴァスは逃走し、その一方でクローン軍とウータパウの戦士たちがドロイド軍と激戦を繰り広げる。ケノービ将軍は卑劣なサイボーグを追跡し、機械の体から繰り出される強烈な攻撃に苦しめられるものの、最終的にはブラスターでグリーヴァスを滅ぼしたのだった。分離主義勢力の司令官が死んだことによって、事実上、クローン大戦は終結したのである。だが、その直後にはクローン兵たちの裏切りが待っていた。オビ=ワンには知る由もなかったが、はるか遠くのコルサントではパルパティーン議長、すなわちダース・シディアスが、ついに邪悪な計画の最終段階に着手していたのだ。
パルパティーンによるオーダー66が発令されたとき、直前までオビ=ワンに忠実だったコーディは、ジェダイが共和国に陰謀を企てたと信じた。彼は元上官に対して容赦ない攻撃命令を下したのである。だが、オビ=ワンは辛くもクローンたちの裏切りから逃れることに成功し、グリーヴァスの宇宙船でウータパウを脱出したのだった。
やがてオビ=ワンはベイル・オーガナ議員の<タンティヴィIV>に救助され、ヨーダと合流することができた。オーガナによると、クローン軍の突然の反乱によってジェダイ聖堂が襲撃され、すべてのジェダイにコルサントへ戻るよう告げるビーコンが発せられているという。2人のジェダイ・マスターはそのビーコンを停止させ、真実を突き止めるべく、危険を覚悟でコルサントへと向かうのだった。しかし、既に壊滅していたジェダイ聖堂で発見された事実は、オビ=ワンの想像をはるかに超えるほど衝撃的なものだった。監視ホロカムに記録されていた映像によると、アナキンがジェダイを裏切り、シス卿ダース・ヴェイダーとなって殺戮を繰り広げていたのである。そして、パルパティーン議長こそが、ジェダイの追い求めていたシスの暗黒卿の正体だったのだ。
オビ=ワンはこの恐ろしい知らせをパドメに伝えるため、再び彼女の部屋を訪れた。パドメは強いショックを受けるが、彼の次の任務がアナキンを殺すことだと察知し、夫の行き先を黙秘する。そして、彼女はお腹の中の子供の父親、すなわち愛する夫を運命から救うため、ムスタファーへと向かうのだった。このときパドメは宇宙船にオビ=ワンが忍び込んでいることに気づいていなかったのだ。
ムスタファーで2人の夫婦が再会したとき、オビ=ワンは彼女の背後から姿を現した。パドメは夫の変化に動揺し、彼をダークサイドから引き戻そうとしていたが、アナキンはオビ=ワンの姿を見た瞬間に激しい怒りをあらわにした。元マスターとパドメが自分を裏切ったと信じ込んだ彼は、妻に手を伸ばすと、彼女の首を絞め、気絶させる。そして、アナキンの中に邪悪を見たケノービは、かつての弟子に戦いを挑んだのだった。
伝説として語り継がれる戦いが始まった。クローン大戦の2人の英雄が、宿敵同士としてライトセイバーをぶつけ合う。ダース・ヴェイダーは力量においてオビ=ワンを圧倒していたが、彼にはシス卿として傲慢さという決定的な弱点があった。ムスタファーの燃えたぎる溶岩流の上での死闘の末、オビ=ワンはついに有利な立ち位置を得ると、ヴェイダー卿の義手以外の手足を切断したのである。もはや動くこともできなくなったアナキンは、激しい憎しみの言葉を残し、そのまま溶岩の炎に包まれた。「選ばれし者」はジェダイ・オーダーに致命的な打撃を与え、自らも消え去ったのである。アナキンを弟同然に愛していたオビ=ワンは激しく憔悴し、彼のライトセイバーを拾うと、パドメと共にムスタファーを後にしたのだった。
彼は近隣にあった中立の惑星ポリス・マサで、オーガナ、ヨーダと合流する。医療ドロイドは必死にパドメの命を救おうと努力するが、それは無駄な結果に終わった。彼女は双子の赤ん坊、ルークとレイアを出産し、その直後に息を引き取ったのである。子供たちの運命を知る存在は、ヨーダ、ベイル、オビ=ワンの3人だけだった。この子たちがやがて皇帝にとって脅威になると考えた彼らは、2人を別々の場所で育てようと決意し、レイアはオーガナ夫妻に、ルークはタトゥイーンで暮らすラーズ夫妻に預けられることになる。
その後、オビ=ワンはベン・ケノービと名前を変え、タトゥイーンで隠遁生活を行いながら、幼いルークを見守り続けていた。しかし、タトゥイーンの人々は彼を狂気じみた老隠者と罵り、彼を砂漠の外れへと追いやった。ルークの叔父であるオーウェン・ラーズも、ルークをアナキンの二の舞にしたくないと言い張り、彼を甥っ子から遠ざけていたのである。だがその間、オビ=ワンはパダワンだったころのようにフォースと親しむことができた。彼は瞑想によってかつてのマスター、クワイ=ガン・ジンの意思との接触を行い、シスが決して到達することのできないフォースの冥界に潜む不老不死の秘密を学んだのである。オビ=ワンはおよそ20年の歳月を掛け、この能力を研究したのだった。
やがて、再び運命の日が訪れた。皮肉にもレイアを追ってタトゥイーンの軌道にやってきたヴェイダーは、彼女の持つデス・スターの設計図を奪還するため2体のドロイドの捜索を命令する。偶然にもこのドロイドを購入していたラーズ夫妻は帝国軍に殺害され、運命の波はルークを銀河内乱へと巻き込んでいった。オビ=ワンはルークと共にドロイドたちをオルデランに運ぶためタトゥイーンを発ち、彼にアナキンの残したライトセイバーを与えると共にフォースの教えを説く。しかし、オルデランは既にデス・スターによって破壊されており、彼らもデス・スターに収容されてしまう。脱出のためこの宇宙要塞のトラクター・ビームを解除しにいったオビ=ワンは、彼の存在を察知し待ち受けていたヴェイダーと対面した。かつての師弟は再び対決を向かえるのだった。
しかし、長い隠遁生活で年老いたオビ=ワンはヴェイダーの敵ではなかった。彼はルークにその後の希望を託し、自らかつての弟子の刃に身を任せると、肉体を消滅させたのだった。このときオビ=ワンは死亡したが、彼の魂はいつでもルークの心に助言を与え続けることになる。ヤヴィンの戦いではルークがデス・スターを破壊することに助力し、ホスでは彼にヨーダの下での修行を指示した。ヨーダはルークへの修行に懐疑的だったが、これを説得したのもオビ=ワンである。
そしてエンドアの戦いの直前、オビ=ワンはルークにスカイウォーカーの血統の秘密を打ち明ける。彼はヴェイダーとパルパティーン皇帝の死によってのみ、ダークサイドを打ち破ることができると考えていたが、ルークには父がまだ善の心を宿しているという強い信念があった。そして、ルークはアナキンをダークサイドの淵から救い出し、彼の邪悪な心をアナキン・スカイウォーカーへと改心させることに成功する。だが、アナキンは皇帝との最後の戦いの後、光を取り戻してこの世を去った。その後、帝国の崩壊を祝う反乱軍の祝宴が開かれている最中、フォースと一体となった若き日のアナキンが、オビ=ワンとヨーダと共にルークの前に姿を現すことになる。
クワイ=ガン・ジンのジェダイとしての初期の経歴には1つの大きな汚点が残されており、その失敗を克服するために、このジェダイ・マスターは多くの年月を費やすことになった。あるパダワンを一人前のジェダイ・ナイトとして訓練することに成功したクワイ=ガンは、ザナトスという名の有望なジェダイを次の弟子とすることに同意した。惑星テロスの富豪、クライオンの息子であるザナトスは、高いミディ=クロリアン値をもって生まれた少年だった。クワイ=ガンがこの少年を見つけると、かねてから息子をジェダイにしたいと願っていたクライオンは、即座にクワイ=ガンが息子を訓練のためコルサントに連れて行くことを許可したのである。
ザナトスはジェダイ聖堂の他の訓練生たちに自分の高貴な家柄を自慢しようとし、訓練が困難であることを露呈させた。だがこのような明らかな欠点があるにもかかわらず、彼はひたむきにフォースの道について学び、師匠を喜ばせていた。ついにヨーダも、ザナトスが最終テストを受ける準備ができていると判断し、クワイ=ガンとそのパダワンに、テロスへ戻るよう命じた。そこではクライオンが惑星を支配するため、息子に自分と共に軍に加わるよう懇願してきた。ザナトスは父の要求に応え、クワイ=ガンは自分の弟子と、テロスの危険な内乱を戦うことになったのである。
クワイ=ガンは戦いの中でクライオンをやむなく殺害する。ザナトスは父の死を目撃し、即座に師匠に襲い掛かってきた。クワイ=ガンはザナトスを打ち負かすが、少年を殺すことはできなかった。ザナトスは逃亡し、姿を消した。ザナトスの裏切りと自らの失敗に取り付かれたクワイ=ガンは、以後、他のパダワン見習いを持つことを拒否するようになったのだった。
数年後、クワイ=ガンはザナトスと突如として再会する。かつてのパダワンは自ら設立したオフワールド企業で影の指導者として君臨しており、クワイ=ガンをタトゥイーンで罠にはめようと企んでいたのだ。だが、クワイ=ガンはオビ=ワン・ケノービの助けを得てザナトスの計画を打ち砕くことに成功する。オビ=ワンは有望なジェダイであり、ヨーダの強い推薦にもかかわらず、クワイ=ガンがパダワンとすることを拒否した少年だった。ザナトスはジェダイから逃げ出したが、クワイ=ガンは自分の失敗を克服し、オビ=ワンを鍛えることを承諾する。その後数年にわたり、2人は銀河中を旅して多くの冒険を繰り広げることになった。
やがて、メイス・ウィンドゥによって、クワイ=ガンとオビ=ワンはナブー星系の貿易論争の調停へと派遣された。通商連合のドロイド司令船でジェダイたちは攻撃を受けるが、彼らはなんとか脱出に成功する。その直後、クワイ=ガンはジャー・ジャー・ビンクスという奇妙なグンガンを救出することになり、命の借りを与えた。その後、クワイ=ガンとオビ=ワンはシードの街を訪れ、アミダラ女王を解放し、安全なコルサントへと送り届けることになる。
コルサントへ向かう途中、女王とその側近たちはタトゥイーンでの足止めを余儀なくされ、クワイ=ガンはそこでアナキン・スカイウォーカーと名乗る少年と出会った。彼はその瞬間、アナキンにフォースとの強力な繋がりを感じ、ついには彼を奴隷から解放することに成功したのである。クワイ=ガンはアナキンをジェダイ評議会に紹介するため、コルサントへと急いだのだった。
しかし不運にも、コルサントのジェダイ評議会は、クワイ=ガンがアナキンを訓練することを認めなかった。少年の未来が曇っており、はっきりと見えなかったのだ。クワイ=ガンはそれでもアナキンを側におき、彼にとって最後となる、ナブーでの運命の闘いへと連れて行ったのである。
ナブーで、クワイ=ガンとオビ=ワンはシス卿ダース・モールと対戦する。モールは冷酷非情の戦士だった。クワイ=ガンとオビ=ワンはなんとか2人でシス卿の容赦ない攻撃をかわすが、やがて師弟は分断されてしまう。このわずかの合間に、モールは優位に立ち、クワイ=ガンの一瞬の隙を突いて彼に致命傷を与えたのだった。オビ=ワンはその直後にモールを仕留めるが、クワイ=ガンを救う手立ては残されていなかった。死の瀬戸際、クワイ=ガンはオビ=ワンにアナキンを訓練してくれと懇願する。オビ=ワンはそれを快く承諾したのだった。3日後、ジェダイ・マスター、クワイ=ガンはアナキン、オビ=ワン、ジャー・ジャー、そしてジェダイ評議員たちの見守るなか、丁重に荼毘に付されたのである。
共和国の末期に絶大な功績を残したヨーダは、8世紀以上にわたって数多くのジェダイを育て上げた最高位のジェダイ・マスターである。彼は12人の評議会メンバーのなかでも最年長者であり、メイス・ウィンドゥやキ=アディ=ムンディと同等の重要な地位に身をおいている。ジェダイ・オーダーにおいて彼の果たすべき役割は重く、これから修行に臨む若いパダワンたちに重要なガイダンスを与えていた。幼いジェダイ候補生たちは修行の最初の段階を集団で過ごし、10代になった時点で1対1の修行を受けるべく、1人のマスターに配属されるのだ。
また、ヨーダは人生を通じて何百という惑星を旅し、フォースの理解を深めている。そのため、彼の知恵と洞察力は銀河系全域を通じて尊敬されていた。彼は専用の小型ライトセイバーを所有しており、銀河系最強の剣士としても知られているが、最後にこのジェダイの象徴ともいうべき武器を使ったのははるか昔のことである。フォースを完全に自分のものとしたヨーダは、武力を使わずに紛争を解決する術も十分に心得ているのだ。
予言にある「選ばれし者」の可能性を秘めたアナキン・スカイウォーカーと初めて対面したとき、ヨーダはこの少年がジェダイの訓練を開始するには歳を取りすぎているという決定を下す。ヨーダにはアナキンの曇った未来を予見できず、彼を訓練するには大きな危険が伴うと判断したのだ。しかし、ナブーの戦いにおけるアナキンの活躍を知った評議会は彼の訓練に賛成し、ヨーダも他の評議員の総意に押されて以前の決定を撤回する。結果として、この判断は銀河の歴史を暗黒の時代へと変えてしまうことになるのだった。
ナブーの戦いから10年後、晩年の共和国に再び激震が訪れた。かつてのジェダイ・ナイト、ドゥークー伯爵による分離主義運動が銀河系の至る所で巻き起こり、コルサントではパドメ・アミダラ議員を狙った暗殺未遂事件が発生したのである。共和国をダークサイドが覆い尽くし、ヨーダはますます不安を増大させていった。ダークサイドの出現がフォースに乱れを生じさせ、重要事項に対するジェダイの洞察を曇らせていたのだ。ヨーダは未来に大きな不確実性を感じ、それに対する答えを得る必要を認識する。ジェダイ評議会はアミダラ議員の暗殺を企てた人物が分離主義勢力に関わっていると考え、事件の真相を調査するべくオビ=ワン・ケノービを派遣した。だが、彼が発見したものは、ジェダイにさらなる不安を投げかけることになる。
辺境の惑星カミーノで、かつてのジェダイ、サイフォ=ディアスの発注に基づき、共和国のための大規模なクローン軍が密かに製造されていたのである。評議会のメンバーは誰一人としてこの事実を知らず、予測さえもしていなかった。そして、さらなる調査によって、分離主義勢力が戦争の準備を進めていることが判明する。ドゥークー伯爵が共和国に不満を持つ大企業にドロイド軍の統合を呼びかけ、巨大な軍隊を組織していたのだ。共和国はこれに対処する必要があった。
この危機に対して新たに非常事大権を得たパルパティーン最高議長は、議会でクローン軍の獲得を宣言し、彼らの指揮官としてジェダイを任命する。ヨーダはクローン軍を引き取るためカミーノへと向かい、その後、不運にも禍に見舞われたジェダイの機動部隊の生存者を救出するべく、ジオノーシスへと向かった。そこで共和国のクローン軍と分離主義勢力のドロイド軍が激突し、クローン大戦が開始されることになる。将軍となったヨーダは前線司令部で戦いを監督していた。やがてクローン軍は分離主義軍を打ち破るが、ドロイド軍の大半はジオノーシスから脱出してしまう。そして、ヨーダは直感にしたがって、オビ=ワンとアナキンがドゥークー伯爵と対決している暗い洞窟へと向かうのだった。
ヨーダとドゥークーの戦いが開始される。フォースの勝負では互角だと判断したドゥークーはライトセイバーを起動させるが、ヨーダの剣技はかつてのパダワンをわずかに上回っていた。そこでドゥークーは気を失っているオビ=ワンとアナキンに狙いを変え、彼らの上に巨大な支柱を倒そうとする。ヨーダは2人の若きジェダイを守るため、柱にフォースを集中させるが、ドゥークーはその隙にジオノーシスを脱出したのだった。
クローン大戦の最初の戦いは共和国の勝利に終わった。しかし、ヨーダはダークサイドの暗雲があまりにも強くなっており、ジェダイ・オーダーが自己満足と傲慢によってその判断力を鈍らせていることに大きな不安を抱いていた。ジオノーシスで多くのジェダイが死んだという事実だけでなく、死という概念の本質そのものが、この賢明な老マスターにとって理解しがたい問題となっていたのである。ヨーダは数日前の瞑想中に、想像し難い出来事がアナキン・スカイウォーカーを襲ったことを思い出した。ちょうどその瞬間に、彼は10年前に殺害されたジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンの声を聴いたのだった。彼の認識では、フォースと1つとなったジェダイがその後も自己の存在を保つことは不可能なはずである。しかし、彼は確かにクワイ=ガンの声を聴いたのだ。
周囲で共和国が崩壊していくなか、この謎を解決することは、ヨーダにとってもう1つの危険であり、平静を乱す難問でもあった。だが、彼はついに瞑想によってクワイ=ガンの精神と接触することに成功する。死んだはずのジェダイ・マスターは、死後も自らの意識を持続させるという強力な技術を発見していたのだ。このジェダイ・オーダーの知りえないところで研かれたフォース能力は、ホイルスのシャーマンによって見出されたものである。ヨーダはこの神秘の技術を研究し、会得するため、何世紀にもわたって経験していなかった役割、すなわちパダワンとなることを決意したのだった。
しかし、ヨーダはその前にシスの復活を生き延びる必要性に駆られることになる。何年にもわたる入念な策略の後、ダース・シディアスがジェダイ抹殺の最終計画を実行するべく出現したのである。数十年もの間、ジェダイの関心から逃れていた闇のシス卿の正体は、パルパティーン最高議長だった。クローン大戦さえも、増大する権力を背景にジェダイを滅ぼそうとするパルパティーンの策略だったのである。クローン軍を率いてアウター・リムに広がっているジェダイに対し、シディアスはオーダー66を発令した。命令を受けた軍隊はジェダイを共和国に対する反逆者として認識し、彼らを冷静に処刑していく。多くのジェダイがこの奇襲によって命を失ったのだった。
ヨーダはフォースを通じて、銀河系の彼方で起こった生命の突然の喪失を感じ取る。これは決定的な一撃だったが、ヨーダは自分の命を守るためすぐに立ち直った。このとき彼はクローン大戦の数多くの前線の1つであるキャッシークで指揮を執っており、忠実なクローン・コマンダー、グリーの裏切りに直面する。しかし、彼は素早くクローンに反撃し、ウーキーのターフルとチューバッカの助けを借りると、キャッシークから逃れ、オルデランのベイル・オーガナ議員に救助されたのである。
ヨーダ、オビ=ワン、そしてオーガナは、パルパティーンによる恐るべきジェダイ抹殺計画を目撃した。クローン部隊によって制圧されたジェダイ聖堂から、生き残ったジェダイにコルサントへ戻るよう、暗号化されたシグナルが発せられていたのである。2人のジェダイはさらに多くのジェダイが罠によって殺されることを阻止するため、このシグナルを止めることを決意した。そして彼らはコルサントへ戻ると、ジェダイ聖堂へと侵入し、そこで留守中に首都で起こった恐ろしい出来事の数々を知ることになる。パルパティーン議長はいまや皇帝となり、かつてオーダーに忠誠を誓ったはずのアナキンがシス卿ダース・ヴェイダーと化していたのだ。ヨーダはオビ=ワンにかつての弟子の行方を追わせると、自らパルパティーン皇帝の執務室を訪問するのだった。
広大な銀河元老院議事堂の内部で、ヨーダが皇帝に挑む。光と闇の頂点に立つ2人は壮絶な戦いを繰り広げるが、皇帝の力はあまりにも強大だった。ヨーダはなんとか持ち堪えるものの、シス卿は彼に打ち勝っていた。ヨーダはシスとの正面対決に勝算はないと悟り、敗北を認めると、ベイルが待機させていたスピーダーでその場から逃走する。ちょうどそのころ、オビ=ワンはムスタファーでヴェイダーを破っていたが、結果的にジェダイにはシスを止めることはできなかったのだ。しかし、新たなる希望は新生児の双子として出現する。スカイウォーカーの妻、パドメ・アミダラが強力なフォースを持つ子供たちを宿していたのである。パドメはポリス・マサの医療センターで息を引き取るが、その直前にルークとレイアを出産した。この事実を知る者はヨーダ、オビ=ワン、ベイルの3人だけであり、彼らはさっそく将来の計画について話し合うのだった。
ジェダイはこの子供たちが皇帝にとって脅威となり得ると認識し、存在を隠すことを決心する。双子は別々に育てられることになり、ルークはタトゥイーンのラーズ家へ、レイアはオルデランのオーガナ家へ、それぞれ養子として預けられることになった。そしてオビ=ワンはルークを見守るためタトゥイーンへ同行し、ヨーダは薄暗い未開のジャングルが広がる惑星ダゴバへと降り立った。やがて帝国に反旗を翻すべき瞬間が訪れるまで、ジェダイはその時代の到来を待つことになる。またその合間に、ヨーダとオビ=ワンは肉体を失ったクワイ=ガン・ジンから、ホイルスのシャーマンの知識を学ぶのだった。
新たなる希望はヤヴィンの戦いの3年後にダゴバを訪れた。アナキンの息子ルーク・スカイウォーカーは、かつて父を訓練した老ジェダイ・マスター、オビ=ワン・ケノービに導かれてこの惑星を訪れたのだった。オビ=ワンによって簡単な修行を与えられてはいたが、既に20歳を過ぎているルークの訓練は困難を極めた。だが、これはヨーダの長い人生において最も重要な訓練だったのである。
ルークはヨーダのテストに対して度重なる失敗を犯し、彼を失望させるが、父親譲りのフォースの強さに助けられ、次第にその実力を増していく。しかし、彼はヨーダとオビ=ワンの希望であると同時に、皇帝とヴェイダーの注目を引く存在でもあった。彼らはルークを後継者にするべく互いに暗躍するが、ヴェイダーは友人たちを捕らえてルークを誘い出すことに成功する。マスターたちの制止を振り切ってベスピンに向かったルークはヴェイダーと対決し、彼が実の父だったことを知るのだった。
ヴェイダーとの最初の対決に敗れたルークは友人たちを救出した後、再びダゴバを訪れる。病によって衰弱したヨーダは最後の弟子に対して事実を打ち明け、肉体を消滅させることによって静かに900年の生涯を終えるのだった。
やがてエンドアの戦いでルークはヴェイダーに打ち勝ち、父を改心させることに成功する。善の心を取り戻したアナキンはパルパティーンを滅ぼし、「選ばれし者」の予言を成就させた。この戦いの祝賀会の最中、ルークは自分を見守るヨーダとオビ=ワン、そしてアナキンの魂を垣間見るのだった。
幼い頃、まだ自分の名前さえも与えられていなかったメイスは、故郷ハルーン・コルの危険なジャングルで両親を失い、孤児となる。やがてメイスは彼の属するゴーシュ(ハルーン・コルに原住する遊牧民族コルナイの各部族の総称)の名前、ウィンドゥを与えられ、ちょうど生後6ヶ月のときにジェダイ・オーダーに引き渡されたのだった。ハルーン・コルはそこに住むすべての人々が生来フォースとの強い結びつきを持っており、正規の訓練を積ませるべき人材を求めて、ジェダイの使節がたびたびこの惑星を訪問していたのである。メイスもこうしたジェダイの1人に見出され、コルサントへと招かれたのだった。その後、彼は30歳という異例の若さでジェダイ評議会の重職に抜擢されることになる。
やがてメイス・ウィンドゥは、威厳と確信に満ちた言葉を発するジェダイ評議会の長老メンバーの1人となった。共和国の晩年に評議会の議長を務めていたメイスは、ヨーダと同等の発言力を持ち、彼と同様に深い英知と卓越した業績によって銀河系全域で尊敬を集めていたのである。また、彼はジェダイの歴史や哲学を深く探求しており、既に人生の大半をコルサントのジェダイ聖堂で過ごしている。彼がコルサントを留守にすることは極めて稀なことだった。
しかし、長期にわたるコルサントでの滞在も、決して彼の戦士としての意識や力を鈍らせてはいなかった。メイスはジェダイ・オーダーで最高の剣士であり、フォーム7の戦闘スタイルを習得した数少ないジェダイの1人でもあるのだ。フォーム7はその攻撃的な本質から危険なダークサイドに近づきやすく、真に才能あるジェダイだけが到達することのできる最高のスタイルとされている。共和国末期の評議会に籍を置いたジェダイの中でも、メイスはおそらく最も勇敢かつタフな戦士であり、事実、過去に無数の戦いを勝ち抜いているのだ。
ジェダイ聖堂で学ぶパダワンたちの間で語り継がれる逸話に、メイスによるギャング・キラーズの逮捕劇がある。彼はライトセイバーを一度も使うことなく、この犯罪集団を一網打尽にしたのだ。その他にも、彼は2人のジェダイの死の原因を調査するため、共和国の要請でインチョアへの調査任務に赴いたこともある。メイスは死と直面しても冷静さを失わず、落ち着きを保ち、危険に立ち向かうことを決して恐れない。数え切れないほどの大胆な冒険を切り抜けてきた彼は、どんな過酷な状況にあっても弱者を守るため、無条件に自らを犠牲にする。そして、あらゆる敵を倒すため、完全にマスターしたジェダイの戦闘スタイルを貫くのだ。
だが、評議会に籍を置くようになって約10年後、マスター・クワイ=ガン・ジンがタトゥイーンでシス卿と思われる戦士、ダース・モールと交戦したという報告を受けたマスター・ウィンドゥは驚きを隠せなかった。彼は他のジェダイたちと同様に、1,000年前にシスが絶滅したと信じていたのである。また、彼は「選ばれし者」の予言を信奉しており、クワイ=ガンがその可能性のあるアナキン・スカイウォーカーのテストを要求したときにもためらいを見せた。予言では選ばれし者がフォースにバランスをもたらすとされているが、それはダークサイドの一時的な増大をも意味していたのである。メイスはアナキンの巨大なミディ=クロリアン値を認めたが、この少年が歳を取りすぎていることを理由に一度は訓練を禁止する。しかし、クワイ=ガンの死後、ナブーの戦いにおけるアナキンの活躍を知ると、彼が選ばれし者であるという確信は強まり、アナキンをオビ=ワン・ケノービの弟子とすることに同意したのだった。
その後、メイスはかつての弟子デパ・ビラバを引き連れてマラステアに向かい、レッド・イアロのテロリスト組織とラニックの人々との間に休戦協定を結ばせるために尽力した。また、その直後にはナー・シャダーで行われていたアック・ドッグなどの違法な動物売買の実態を暴いている。アック・ドックはメイスの故郷に固有の愛すべき、そして恐ろしい猛獣だったのだ。メイスはビラバの他にもこれまでに数多くのパダワンを育てており、伝説のエチュウ・シェン=ジョンもその1人である。エチュウは後の暗黒の時代を生き延びる数少ないジェダイの1人となるのだ。
メイスは戦士であるだけでなく、天性の外交官としても知られており、言葉の力は武力にも勝ると確信している。ドゥークー伯爵によって先導された分離主義運動が銀河系に拡大していったときも、彼はパルパティーン議長による交渉を強く支持していた。しかし、この対立はやがて共和国と分離主義勢力との武力抗争へと発展し、メイスは囚われの身となったオビ=ワンを救出するため200人のジェダイを率いてジオノーシスへと向かう。彼はジオノーシアンの処刑闘技場で無数のバトル・ドロイド軍団と交戦し、その戦いのなかでドゥークーの雇った殺し屋ジャンゴ・フェットと対峙した。しかし、銀河系最強の賞金稼ぎもメイスの敵ではなく、最強のジェダイ・マスターは難なくフェットの首を斬り落としたのだった。やがて無尽蔵に現れるドロイド軍との戦いは劣勢となり、一時は追い詰められるが、共和国のクローン軍団を引き連れたヨーダの加勢によって形勢は逆転し、彼は無傷でこの戦いを生き延びたのである。だが、メイスはこのときもはや交渉の時代が終わりを告げたことを思い知らされたのだった。
軍事指導者というジェダイにとって新たな役割を演じなければならないクローン大戦は、メイスにとって辛い時代だった。事実、すべてのジェダイがこの戦争で将軍の地位に就くことを承諾したわけではなく、一部の異なる意見を持ったジェダイたちはオーダーを離れていったのである。メイスはこうした反対派のジェダイを説得するべく準備された会合に赴くが、それは彼の命を狙う狡猾な罠だった。ドゥークー伯爵が放った新たな刺客アサージ・ヴェントレスが彼に襲い掛かったのだ。この戦いはメイスの勝利に終わり、アサージは敗走するが、メイスはこの脅威を評議会に報告する。この出来事はダークサイドの潮流が台頭したことを示す更なる証拠となるのだった。
また、クローン大戦の開始から4ヵ月後、メイスはクローンの一団を率いて独立星系連合軍の集結するダントゥイーンへと向かった。分離主義勢力はムーニリンストの周辺宙域を防衛するため、ダントゥイーンを集合地点として確保する計画を進めており、共和国が同じ行動に出ることを防ごうとしていたのだ。メイスの軍勢はサイズミック・タンクの凄まじい威力によって壊滅してしまったが、彼は一時的に武器を失ったものの、独力でドロイド軍を一掃し、タンクをも破壊することに成功したのである。
そして、さらに2ヶ月後、メイスはかつてのパダワンであるデパ・ビラバが、彼の故郷ハルーン・コルの山中で正気を失ったという不穏な知らせを受けた。彼は行方不明となったビラバを捜索するため、故郷の不快なジャングルへと向かい、そこでこの戦争がもたらした恐怖の一面を垣間見ることになる。クローン大戦は銀河系各地の様々な部族間対立にも飛び火しており、ハルーン・コルの2つの種族、コルナイとバロワイの争いも激化していたのだ。このとき、メイスは彼の属するウィンドゥ・ゴーシュの人々が殺戮され、生き残りはもはや彼自身とカー・ヴァスターの2人だけとなっていたことを知らされる。しかし、メイスはジェダイの掟に従ってヴァスターを家族として受け入れることを拒否し、彼をドーシャライ(兄弟の意味)と呼ぶことさえも拒絶するのだった。だが、彼はビラバを捜索し、コルナイの人々をバロワイと分離主義者たちへの隷従から解放するため、ヴァスターの助力を受け入れたのである。
また、故郷にいる間、マスター・ウィンドゥはフォースを通じて未来に起こり得る衝撃的な出来事を予見していた。彼は何十億もの人々が死に、数多くの惑星が破壊されるであろう光景に恐怖を覚える。これはこのときからおよそ50年後に開始される、ユージャン・ヴォングによる侵略戦争のヴィジョンに他ならない。
ジェダイは銀河系の忠実な守護者だったが、クローン軍の指揮官として前線で戦争に直面する間、ウィンドゥは共和国の行く末に確信が持てなくなっていった。この戦争は何年も続いていたが、その間もパルパティーン最高議長は保安を名目に銀河憲法を修正し、さらに多くの権力を自らに集中させていた。用心深いメイスはパルパティーンに疑いの目を向け、彼がジェダイ評議会を直接の統制下におくのではないかという懸念を抱くようになったのである。
これを裏付けるパルパティーンの最初の行動は、ジェダイ評議会に彼の個人的な代理人を送り込むことだった。議長は彼と親しいアナキン・スカイウォーカーを評議員の1人として指名する。驚くべきことに、評議会もそれに同意したのだった。彼らは議長の動向を知るために、アナキンを情報源として使うことを望んでいたのだ。それは緊張の時代を反映する難しい決定でもあり、同時にメイスは深い懸念をも抱いていた。彼は、アナキンとパルパティーンを近づけたままにしておくことが極めて危険だと感じていたのである。
やがて、彼の懸念は現実のものとなる。パルパティーン議長こそ、ジェダイによるあらゆる捜索を回避してきたシス卿、ダース・シディアスだったのだ。この事実を忠実にウィンドゥへ知らせたのはアナキンだったが、メイスはこの若者をまだ完全には信用していなかった。メイスは議長を逮捕するため、聖堂に残っていた最高の戦士、セイシー・ティン、エージェン・コーラー、そしてキット・フィストーを召集する。スカイウォーカーも同行を求めるが、マスター・ウィンドゥはそれを禁止した。彼はアナキンに、この問題が解決するまで、評議会の会議室に留まるよう命じたのだった。
4人のジェダイが元老院にあるパルパティーンのオフィスに踏み込んだ。そして、メイスが議長に逮捕を宣告すると、パルパティーンは突如として反撃に出る。赤い光刃のライトセイバーを振りかざしたパルパティーンは、清廉潔白な政治家の仮面を脱ぎ捨て、邪悪なシス卿の正体を暴露したのである。シディアスはティン、コーラー、フィストーを一瞬にして葬り去ると、ウィンドゥに襲い掛かった。その直後、メイスの命令に背いたアナキン・スカイウォーカーが元老院に到着したのだった。
ウィンドゥはシディアスの武器を弾き飛ばし、シス卿を議長オフィスの窓枠の隅へと追い詰めた。しかし、この暗黒卿は未だに元老院と法廷を自在に操ることができ、このまま囚人とするにはあまりにも危険な存在だった。ウィンドゥは止めを刺すべくライトセイバーを振りかざす。一方、アナキンは忠誠の板ばさみにあっていた。彼は最愛の妻の命を救うために神秘的な知識の探求を成し遂げなければならず、パルパティーンを必要としていたのである。感情を爆発させたアナキンは、反射的に自分のライトセイバーを起動し、パルパティーンを襲うメイスの腕を斬り落としたのだった。
勝機を得たシディアスはジェダイ・マスターに恐るべきエネルギー流を解き放つが、丸腰となったメイスにはシスの電撃を防ぐ術はなかった。電撃は内側からメイスの肉体を焼き焦がし、全身へと浸透していく。最後に彼の体は空へ舞い上がると、コルサントの上空へと飛ばされ、身動きすることもなく広大な都市景観の彼方へと落ちていったのである。