クリーグ・ラーズはアンカーヘッドの郊外で暮らす水分農夫の家庭に生まれた。ラーズ一家は厳しいタトゥイーンの砂漠で何世代にもわたって水分農園を経営している。そして多くの青年たちと同じく、彼も宇宙への旅に対する強い願望を抱いていた。都会での生活は若いクリーグにとって余りにも魅力的だったのだ。やがて彼はコア・ワールドの惑星エイターに希望の光を見出し、両親の住む家を出て行く。彼はそこでアキアという若い女性と出会い、結婚し、息子のオーウェンを授かったのだった。
しかし、クリーグは窮屈な都会の家では息子を育てる場所がないということに気付き、ついにはかつて父が与えてくれた責任と重労働についての教えを理解するに至った。そして、アキアの死という不幸が訪れる。クリーグは息子と共にタトゥイーンへ戻り、不仲だった両親と和解したのだった。彼は息子に家族への強い忠誠心を植え付け、自らの若き日の過ちを修正すべく必死に働いた。オーウェンにはエイターでの記憶はほとんどなく、アキアの思い出はさらに少ない。彼が考え得る限り、水分農業はラーズ一族が知る唯一の生活なのだ。
やがてオーウェンが一人前の青年に成長した頃、賑やかなモス・エスパの宇宙港を訪れたクリーグは、トイダリアンのジャンク商人ワトーの奴隷だったシミ・スカイウォーカーと恋に落ちる。クリーグはシミの自由を獲得し、その後すぐに彼女と結婚した。2人は家庭で何年もひっそりと暮らし、砂漠の厳しい環境を生き延びたのである。クリーグと息子のオーウェン、そしてそのガールフレンドのベルー・ホワイトサンがいるラーズ家は、シミにとって果てしない砂漠の荒野の中で家庭の温かさを感じさせてくれる小さなオアシスだったのだ。
しかし、平穏は長く続かなかった。ある日の早朝、シミが野蛮なタスケン・レイダーたちによる襲撃を受け、誘拐されたのだ。激怒したクリーグは彼女の捜索のため砂漠へ向かう決意をし、水分農夫たちによる追跡隊を召集した。だが、30人の農夫の内、生きて帰れたのはたったの4人だった。クリーグ自身も砂漠の蛮族たちの待ち伏せに遭い、片足を失ってしまう。彼は妻を愛していたが、傷のためこれ以上の捜索を続けることができず、やがてシミが死んだという事実を受け入れたのだった。クリーグはもはや歩くこともできず、動くときは浮遊式メクノ=チェアに頼らざるを得なくなっていた。
この悲劇の1ヵ月後、母の身に危機が迫っているという悪夢に駆られ、アナキン・スカイウォーカーが突如としてラーズ家にやってきた。クリーグはアナキンに恐ろしい事実を告げたが、反抗的な若いジェダイはシミの死を受け入れようとはしなかった。彼は母を捜すため、砂漠へと旅立っていく。
アナキンがシミを発見したのは翌朝のことだった。彼女の遺体はラーズ家の近くに静かに埋葬された。最後にクリーグは愛する妻に対し、彼女こそがあらゆる男にとって最高の伴侶だったと告げるのだった。
オーウェン・ラーズは若い頃からタトゥイーンで生活するため、苦労を重ねてきた。水分農夫の息子として生まれた彼は、伝統的な規律や厳しい仕事に大きな価値感を抱いており、甥のルーク・スカイウォーカーにもこうした価値感を受け継がせようとしていた。オーウェンは面倒見の良い保護者ではあるが、無愛想で厳格な一面もあり、夢見がちな甥との間には衝突も絶えなかった。そしてオーウェンとルークとの仲裁を努めるのは、決まって妻ベルーの仕事だったのだ。
当時の銀河系で暮らす多くの人々とは違い、オーウェンはジェダイ・ナイトを尊敬していなかった。アナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービに対する消えぬ怒りが彼の思いに影響を与えていたのだろう。オーウェンは唐突にアナキンの子供を委ねられるが、ジェダイが滅び、帝国が栄えている時代のなか、それは極めて重大な危険と責任が要求されることだったのだ。
オーウェンはルークを普通の若者として育てようとした。彼がジェダイの血を引いていることや、彼の「死んだ」父親が単なる貨物船の航法士ではなかったことなどの事実は、一切伝えようとしなかった。
しかし、オーウェンは厳格な表情を保ちつつも、ルークの将来を密かに案じていたのである。ルークが見失った道具を探そうともせず、直感だけで見つけると、それを叱責することさえもあった。また、ルークは10代の頃、友人のウィンディと共にヒューイと名付けたデューバックに乗って砂漠への無謀な旅に出かけたことがある。2人はクレイト・ドラゴンに遭遇し、荒地で立ち往生してしまうが、そこを通りかかったオビ=ワン・ケノービに助けられた。オビ=ワンは2人をラーズ家へと連れ帰ったが、激怒したオーウェンはルークではなくオビ=ワンに二度と来るなと怒鳴りつけたのだった。
しかし、オーウェンにはルークの冒険心を抑えることができなかった。宇宙での暮らしに憧れる若きスカイウォーカーは、タトゥイーンを離れて帝国アカデミーへ入学したいという願望を抱く。だが、オーウェンは農場にはルークの力が必要だと説得し、それを拒否した。毎年ルークの友人の多くが輝く未来に向かってこの砂漠の惑星を離れていく。ルークはオーウェンが自分の可能性を滞らせているとさえ思っていた。だが実際には、オーウェンは甥がアナキンの運命の犠牲となるのを見たくなかっただけなのだ。
やがてルークは農場を離れることになるが、それは悲劇の結果によるものだった。帝国軍が行方不明のドロイドを探すため農場を破壊し、そのときオーウェンとベルーも殺害されてしまう。タトゥイーンに残る理由のなくなったルークは砂漠の惑星を離れ、ジェダイへの道を歩むことになるのだった。
3世代にわたって乾燥した空から水分の抽出を続けてきたホワイトサン家は、周囲の農園の間でもタトゥイーンの厳しい砂漠気候に最もよく適応した一家だと言われていた。ベルーはモス・アイズリーの近郊で生まれ育ったが、夫であるオーウェンとの出会いはアンカーヘッドへ旅したときのことである。彼女はラーズ家に完全に溶け込むことができたのだった。
内気な少女、ベルー・ホワイトサンはタトゥイーンの地平線を超えるほどの大きな願望を抱いてはいなかった。彼女はオーウェン・ラーズとの結婚に満足し、水分農場の農婦として厳しい生活を送っていた。何シーズンもの間、ベルーは夫と共にこの過酷な環境で乾ききった大地から水分を抽出する努力を続けてきた。これは彼女にとって誇りでもあったのだ。
埃にまみれた惑星での生活は孤独だが、ラーズ夫妻には全く友人がいないわけではなく、ルークの友人ウィンディの両親がときおり訪ねてきていた。ベルーは家計が苦しいときにも決して不満を言わず、決して多くを求めなかった。彼女はたった一度、家事を手伝わせるためにボッチ語を話すドロイドを頼んだだけである。
ベルーはまた、若いルーク・スカイウォーカーの保護者であり母親の役目も務めていた。ルークのアカデミーに入学したいという夢を繰り返し支持してきたのも彼女である。しかし、帝国軍のストームトルーパーが農場を襲ったとき、ベルーは犠牲となってしまう。彼らはデス・スターの最高機密を持っていると思われるドロイド、C-3POとR2-D2を探していたのだ。
少年時代のフィクサーこと、レイズ・ロヌーズナーは、何をやってもルーク・スカイウォーカーやビッグズ・ダークライターには敵わず、いつも嫌気が差していた。そのため、彼は独自のスポーツである「サンドサーフィン」を考案し、優位に立とうとしたのだった。このスポーツでは、選手は足にリパルサー・ディスクを付け、細いコードでサンド・スキッフに繋がれたハンドルを握る。そして、スキッフが進むと、「サーファー」はあらゆる方法で飛び跳ねたり、曲芸を演じたりするのだ。しかし、ルークとビッグズはサンドサーフィンでも卓越した腕前を披露した。ビッグズが連続して3回のダブル・フリップを決めると、ケイミーさえもが感嘆し、祝勝するためにトシ・ステーションに戻ったとき、彼の腕にしがみついたのである。これはフィクサーを絶望に追いやった。ケイミーは彼の恋人だったのだ。翌朝、フィクサーは「この世で最高のスタント」を披露すると豪語し、彼らは大砂丘海へと出発する。彼はスキッフを自動運転させるようにプログラムしたのだった。
彼は宙返りやハーフ・ムーン、さらにはこれまで誰も成しえなかったダブル後方ループを演じ、順調な滑り出しをきった。そして、演技が終わったとき、友人たちはこれまでだと思い、彼を祝福に行く。しかしその後、スキッフが加速し、急カーブしてカークーンの大穴へと向かっていったのだった。誰も彼を止めることはできず、友人たちは全員、見ていることしかできなかった。だが、これはすべてフィクサーの計画通りであり、彼は事前に穴の両側に砂で作った傾斜路を準備していたのである。しかし、彼は最初の傾斜路に完璧に到着したが、着地点に50センチ足りない場所に落ち、砂塵の爆発に巻き込まれながら穴に近いほうへと激突してしまう。ケイミーは顔に涙を滴らせ、ルークの制止を振り切ってフィクサーの後を追った。ビッグズも自分のスキッフを飛ばし、意識を失ったままゆっくりとサーラックの口へと落ちていくフィクサーへと急ぐ。サーラックがその触手の1本で砂を調べ始めると、事態はますます悪化していった。ビッグズは腰にロープを巻きつけ、砂を動かさないように注意しながら穴へと降りていき、フィクサーを素早く移動させる。だが、ビッグズが彼の場所に到着したちょうどそのとき、サーラックの触手がフィクサーの胸に巻きついた。ビッグズは震動ブレードを素早く取り出すが、触手を狙っても次々と別の触手が彼を襲ってくる。そして、ルークがパンチ・ガンを掴み、悪い角度かつ長距離にも関わらず、触手に命中させ、友人を救ったのだった。ルークは無事に2人を引き上げ、スキッフでその場を去ったのである。
フィクサーは軽い脳震盪に苦しみ、鼻を折っただけだった。前者は衝突事故によるものであり、後者は脳震盪から回復した後にケイミーに殴られたときのものである。彼は2週間後にはすっかり回復したが、あまりの無謀さを責められ、次の月も家に閉じこもっていた。ルークとビッグズも彼こそがサンドサーフィンの真の王者であることと、彼のスタントは決して真似できるものではないということを認めたが、フィクサー自身は不満を抱いていたのだった。
フィクサーはアンカーヘッドのトシ・ステーションで働いていた。オーナーのマール・トシは滅多にステーションを訪れず、多くの顧客も同様だったため、フィクサーはほぼすべての仕事を自分自身でこなしていたのである。彼や友人たちは、普段からここでスカイホッパーやランドスピーダーの整備を行っており、フィクサーも5気筒のランドスピーダーを所有していた。さらに、彼は密かに再構築したポッドレーサーをモス・エスパで売却する計画を立てており、その金で、ケイミーとの盛大な結婚式を催す予定だったのだ。
ある日、ビッグズ・ダークライターが帝国アカデミーでの訓練から故郷へと戻り、トシ・ステーションを訪れていた。フィクサーとケイミーもその場に居合わせており、砂漠の上空で宇宙戦が行われているのを目撃したルークも、そのことを告げるためステーションに姿を現した。4人はルークの話を確認するため外に出るが、3人がエレクトロバイノキュラーを覗く一方で、フィクサーだけは興味を示さず、ケイミーに神経を集中させていた。彼らがステーションの中に戻ると、フィクサーはルークに、帝国がこんな星系を守るために戦うはずがないと告げたのである。
それから何週間も過ぎた後、フィクサーとケイミーは結婚した。そして、タッグ社がタトゥイーンに進出し、水分農場の買収を始めると、彼はトシ・ステーションでの仕事を辞めたのだった。タッグはフィクサーとケイミーをダークライターの古い家に住まわせ、フィクサーを新しい土地の管理人に任命する。そこには老ラーズ夫妻の所有していた土地も含まれていた。そしてある日、彼は旧ラーズ家で何者かが物色しているところを目撃することになる。彼は侵入者にブラスターを突きつけるが、侵入者にブラスターを投げさせると、その男は一回転し、ライトセイバーでフィクサーの銃を破壊した。侵入者の正体は、彼の旧友、ルーク・スカイウォーカーだったのだ。フィクサーは新しい事業のことをルークに話すが、帝国軍が現れたことで、ルークは逃走を余儀なくされてしまう。フィクサーは政治にはほとんど関心を持っていなかったが、自分の仕事を守るためであれば何でもする覚悟でいた。彼はルークに警告するためモス・アイズリーへと向かう。フィクサーは旧友が反乱軍の一員であると疑っており、ケイミーと共に彼のことを帝国に通報していたのである。
ケイミーはルーク・スカイウォーカーのタトゥイーン時代の友人の1人である。彼女は友人たちに虐げられているルークを気の毒に思っていたが、それでも彼のことを「ワーミー(のろま)」と呼んでからかっている。フィクサーと交際中だったケイミーは、ビッグズが別れを告げるためアンカーヘッドに帰ってきたときもフィクサーとデート中だった。
ケイミーの家族は地下に造られた水耕農園を所有しており、必要な水の大半をラーズ家から購入している。ルークがタトゥイーンを発った後、彼女はついにフィクサーと結婚した。