コルサント入国管理局の大臣の座は、コルサントの安全と、この惑星が外界の人々に対して限りない機会を提供するという名声を守るため、命令を下す際にしばしば厳しい決断を強いられてきた。戦争のひずみによって物事が複雑化するなか、この2つの目的が互いに相反する方向へと進みだしたのだ。共和国政府の決め事の中で活動していくための組織再編も、大臣の地位にあるタノン・プラージの決断ひとつに委ねられていたのである。
クローン大戦とそれに先立つ分離主義危機の恐怖のなか、プラージは議事堂の安全と信頼を守るため、疲れ知らずの働きを見せていた。彼のオフィスに課せられた使命は、共和国に忠誠を誓った市民のみが議事堂に入れることを保障し、反逆者の疑いのある者を拘束または惑星から追放することだったのである。
コア・ワールドの有力な創始者であり、コルサントで長年にわたって大きな影響力を振るっている高名な一族、プラージ家は、コア銀行の大株主として、政府の上層部にも多くの人材を輩出している。そしてタノン・プラージも、パルパティーンの政権下において早期にコルサント入国管理局の大臣に任命されたのだった。何年もの間、彼は首都惑星で入植者集団と移民集団との間にある安定した均衡を維持してきた。しかし、分離主義危機が明るみに出ると、プラージは新規の入植希望者に対してコルサントを閉鎖する。何十億もの故郷を追われた人々が追い払われ、難民であふれるコルサントの宇宙港へと導かれたのだ。これをきっかけに、彼は難民救済運動などの利他的組織から恒常的な政敵として見られるようになる。彼らは自分たちの資産を使い、非情な大富豪が公民権を奪われた銀河系の多くの貧しい人々の運命を冷酷に決定している様子を絵に描いている。こうした扇動者たちはプラージを痛烈に批判したが、プラージ自身が自分が下した厳しい決断を決して賞賛してはいなかったことも事実である。
クローン大戦勃発後、プラージは他の無数の政府高官と共に、新設された共和国防衛委員会(COMPOR)からの圧力に屈することになった。彼らは分離主義勢力に加担した惑星の出身者たちを追放し始めたのだ。そして、文字通りの安全対策が実行に移されるが、それはクオレン、アクアリッシュ、クーリヴァー、ニモイディアン、ゴッサムなどの大規模なコミュニティを首都惑星から排除することを意味していたのである。
プラージはコルサントの平和と安全を保障したことでパルパティーンからの賞賛を浴びたが、反対派からは幾度となく暗殺の標的にもされている。彼はこのようなストレスからの唯一の逃避先として、オペラやバレエの鑑賞に楽しみを見出したのだった。洗練された趣味を持つプラージは、仕事のスケジュールが許す限り、ギャラクシーズ・オペラ・ハウスに通い詰めている。しかし、命を狙われた後は、常に偽装したボディガードを伴って外出するようになった。
テス出身のジャヌー・ゴダルヒーは数々の勲章を受け取った保安官であり、故郷の行政当局の間で幅広い尊敬を得ていた。テスは分離主義勢力に対する包囲網や、ハット・スペースの無法地帯からそう遠くないアウター・リムに位置しているため、治安を維持することが困難な状態だった。しかし、ゴダルヒーはテスを脅かす犯罪組織や戦争主義者たちを壊滅させることに専念していたのである。
彼の働きはコルサントの関心を引き寄せ、クローン大戦前に海賊討伐のためテスへ派遣されていたジェダイ・マスター、プロ・クーンも、彼に尊敬の念を抱いていた。ゴダルヒーとクーンは無法な犯罪者たちを捕らえるため、互いに情報共有を行うようになったのだ。
このような努力と成功にも関わらず、ゴダルヒーは決して保安官を自称しなかった。彼は銀河系の歴史に情熱を捧げていたのだ。特に保安プログラムや戦略を考案しているとき、彼はよく銀河系の端から歴史的な事例や先例を引用していた。そして、保安計画を考案し、実施するこの華麗な手法によって、ゴダルヒーはコルサントの保安機関が主催する一週間の講習会に、講演者として招待されたのである。
しかし皮肉なことに、コルサントの警備体制はその瞬間に瓦解することになる。分離主義勢力が共和国の首都を攻撃したのだ。自衛部隊は未知の要素を信用せず、ゴダルヒーや他の外界の専門家の助けを拒絶した。彼らは侵略の間、講習会の来客たちを隔離したのである。そのため、ゴダルヒーらは講習会をキャンセルし、週の残りをコルサントの様々な娯楽でのんびりと過ごすためのアテンダント・パスや招待券を受け取ったのだった。
彼はホロメディア(これはコルサントの状況を得るための唯一の情報源だった)のみに基づく判断で、パルパティーンの選択と方法論を評価していたが、コルサントへの旅は驚くべき発見の連続だった。彼の鋭い視線は、自衛軍が壊滅し、あるいはクローン軍によって無用の長物となる様を見抜いていたのだ。また、彼は分離主義勢力の侵略を許した驚くべき過失と無能さを目の当たりにする。そして、議長の誘拐の責任は政府の最上層部の腐敗にあると考えたのだった。
しかし、彼は告発には証拠が必要であることを知っていた。そこで、ゴダルヒーは素早く主張を組み立てると、自分の考えを聞いてもらう約束を取り付けるため、ベイル・オーガナ議員との接触を試みる。だが、オーガナは一度も返事を返してはくれなかった。
気持ちを楽にするため、ゴダルヒーは無料チケットの特典を利用して、「スクイッド・レイク」の御前興行が行われているコルサント・ギャラクシーズ・オペラ・ハウスを訪れた。だが、彼はそこでも保安上の欠陥を無数に発見し、失望したため、落ち着くことができなかった。なかには最高議長と同等の要人の席で見つかった欠陥もあったのだ。ゴダルヒーは自分の発見にうんざりし、公演を後にすると、手短にテスへ戻ると告げたのだった。
その後、ジャヌーはオーダー66による虐殺と、架空の「ジェダイの反乱」に大きなショックを受けることになる。彼はプロ・クーンとの親密な関係から、ジェダイ・オーダーへの深い見識を持っており、この知識によってパルパティーンが見た目どおりの人物ではないことを見抜いていたのだ。彼は歴史上のパターンから、パルパティーンの顔が彼自身を皇帝とするための巨大な陰謀の一部であると確信するようになっていた。だが、ジャヌーはその事実を静かに隠し続けていたのである。
コーディ・サン=チルドやガーム・ベル・イブリスなどによる早期の反乱の成功に勇気付けられたジャヌーは、テスタンによるレジスタンス活動のため、秘密裏に武器の供給を開始した。この動きは、帝国がテスにまで及び、ゴダルヒーの早期退職と防衛軍の駐留を強要したときに活発となった。そして初期の反乱の最中、ベイル・オーガナもようやくゴダルヒーに返事を送り、苦戦の反乱軍に優れた人材を供給することができたのである。ゴダルヒーの息子であり、テスタン・レジスタンスの将校でもあるパロブもその1人だった。
皇帝の死後、ジャヌーとパロブは兵役を引退し、多くの歴史書や銀河内乱に関する本を執筆した。歴史家たちのサークルでも、彼らの仕事はアーフル・ヘクストロフォンやヴォレン・ナールと同様に高く評価されている。
ロメオ・トレブランクは、コルサントの主要な大型娯楽施設の1つである、豪華絢爛なギャラクシーズ・オペラ・ハウスのオーナー兼支配人だった。元ホログラム俳優でもあるトレブランクは、一連の人気と成功を残した後、早期に引退すると、財産を投じて高名な劇場をオープンしたのである。
トレブランクは世間体を非常に気にする男だった。もはや新しい作品に出演することはないが、それでも常に脚光を浴びた状態を維持するよう心がけていた。そのため、彼はコルサント社会の上流階級に身をおき、常に尊敬され、注目されるよう努力していたのである。こうした行為は名声へ向けられた彼の愛情の一部に他ならない。だが同時に、トレブランクは自らの汚点を隠すため、財産のほとんどを危険にさらしていたのである。
トレブランクは単なるカードやダイスには飽き飽きした、重度のギャンブル中毒者だったのだ。彼はポッドレースのスピードと興奮に取り付かれ、この危険な競技の大ファンになると、熱狂的な勢いでトーナメントを追いかけはじめた。別人を装ったり、あるいは単純な変装を行ったりして、アウター・リムのハットの犯罪王のように、暗黒街の君主として旅をすることさえもあった。だが、何度も繰り返された隠密旅行と、そのたびに被った損失によって、トレブランクは次々と負債を重ねることになる。そして、財政上の問題が表面化し、ついに劇場を失いかけたとき、彼はパルパティーン議長という思いもよらぬ救世主を迎えたのだった。
芸術の後援者を自称するパルパティーンは、ギャラクシーズ・オペラ・ハウスに思慮深い融資を申し出る。これは大衆の目からトレブランクの苦難を覆い隠す絶好のチャンスだった。パルパティーンはその見返りとして、決して盗聴されない警戒厳重なプライベート鑑賞ボックスを設置するよう要求する。もちろんパルパティーンは、その作業に必要な警備専門家も提供した。この信じられないほど素晴らしい提案に感激したトレブランクは、即座に彼の申し出を受け入れたのだった。
トレブランクは、パルパティーン議長がアナキン・スカイウォーカーに賢者ダース・プレイガスの伝説を話した運命の夜、ギャラクシーズ・オペラ・ハウスのプライベート鑑賞ボックスに座っていた。トレブランクのプライベート鑑賞ボックスはパルパティーンのボックスと直に接していたが、彼はほんの数メートル離れた場所での出来事にまったく気づいていない。しかし、この出来事はその後何年にもわたって銀河系に多大な影響を及ぼすことになるのだった。
スパイや暗殺者のはびこる恐ろしい内乱に満ちた銀河系で、政治家たちは真に命の危険を感じ始めていた。たとえば、コルサントの下層レベルに潜む執念深いアクアリッシュの分離主義者を巻き込んだ一触即発の事件の後、入国管理局のタノン・プラージ大臣(CMoI)は、プラージ家の信頼できる友人であり、コア銀行の特別査察官でもあるオッテグルー・グレイを頼るようになった。
グレイの専門分野は、紛失資金、横領犯、あるいはその他の悪人を追跡することである。プラージは銀行に対する多額の投資家だったため、コア銀行は彼が気にも留めないようなわずかな料金で、身辺警護サービスを申し出た。また、グレイは有能な会計士でもあり、身辺警護と同様にプラージの資産管理も行っていた。
グレイは極めて有能であり、生涯を通じて物理的かつ電子的保安措置に精通していた。事実、より良い収入を求めて実業界に誘惑される以前の彼は、秘密工作員としてコルサント防衛軍に在籍していたのである。また、クローン大戦の最中、銀行で働いていたグレイは、銀行から資金を盗もうとする分離主義者たちを憎み、同様にギヴィンのスライサーによる組織的な電子侵入を嫌悪していたのだった。
コルサントの戦いが始まるまでに、グレイは自分の配下で働く50人の工作員を訓練していた。そのため、彼は重要な顧客をこの一大事変から安全かつ快適に保護することができたのである。
プラージと組んでからというもの、グレイは絶えず彼を尾行し続けたが、プラージは彼が真に忠誠を誓っている相手が誰なのか、ほとんど疑いを抱いていなかった。しかし、グレイは、プラージの資産の一部をパルパティーンの軍事資金へ密かに横流ししていたのである。同様に、パルパティーンもこの資金をギャラクシーズ・オペラ・ハウスのオーナー、ロメオ・トレブランクのギャンブルによる負債の肩代わりに流用していた。この巧妙な資金流用は、プラージの無関心な視線から完全に隠蔽されていたのだ。一方で、グレイはオペラ・ハウスの来賓として、トレブランクのプライベート観覧ボックスに入ることができる生涯パスを手に入れることができ、銀行の代表者として、その権利をプラージにまで拡大していた。こうしてタノン・プラージは仕事の大半をこの場所で行うようになり、お気に入りの隠れ家としても重宝するようになったのである。
クローン大戦後、グレイはプラージ家を利用して帝国軍のプロジェクトに資金を提供し、非人類の難民たちのために仕事の斡旋を行っていた。だが、こうした難民たちはプラージの知らないところで奴隷として取引されており、彼らへの給与として組まれた予算も、皇帝の数限りない邪悪な計画へと流用されていたのである。
外界の人々にとって、クワットの政治は複雑で残酷なように思える。縁故採用、収賄、腐敗、身内びいきが横行し、貴族階級、企業幹部、そして政治家の間の線引きが不明瞭なのだ。
この点において、共和国の晩年におけるオナーラ・クワットほど顕著な例はない。彼女はクワット家の家長であり、クワット・ドライブ・ヤード社の最高経営者でもあった。オナーラの由緒正しき一族はコア創設者の一員であり、新旧のシス大戦を戦った大規模な艦隊を建造するなど、祖国を長きにわたって共和国の重要な声としてきたのである。ヴァローラム政権の時代まで、クワットの銀河元老院議員は彼女の一族によって選出され、ひいてはその選択が常にクワット・ドライブ・ヤード社とクワット家の利益となるよう保証されていたのだった。
リシ・レノアン議員は故郷に忠実に仕えていた政治家だったが、その後、彼女の個人資産とKDY社の資金に関する疑問が湧き上がると、オフィスから追放されてしまった。オナーラはレノアンの代わりとしてギディーン・ダヌーを指名するが、彼女は彼を従順な政治的指導者であると誤解していたのだった。不幸にも、ダヌーは権力の集中化と戦争を主導するジェダイへの支持に反対し、オフィスにおける火種となったのである。
オナーラは彼をリコールしようとしたが、彼女の甥、クワット・オブ・クワットをはじめとする一族の他のメンバーは、ダヌーがクワッティの独立に向けた効果的な支持者であると信じており、この目論見は失敗したのだった。さらに悪いことに、ダヌーはクワットの政治も同様に改善するべきだという意思を表明し、手始めにオナーラの一族に対する調査を行ったのである。
秘密が暴露される可能性を恐れたオナーラは、厄介者の元老院議員を排除する他の方法を考慮し始めた。そして、オペラ・ハウスでの晩、彼女は自分の苦境に同情的な態度を示してくれた友人、タノン・プラージから、彼の同僚オッテグルー・グレイを紹介される。ここで、グレイは彼女の抱える問題への解決策があると告げ(だが、詳細には触れなかった)、その見返りにパルパティーンへの永久的な忠誠を要求したのだった。
人間に近い種族のデルヴァ・ラシーンは、コルサントの高級住宅街に住む数多くの名士の1人である。彼女はコルサントの大気では生きることができないため、外出するときは目を奇妙なゴーグルで覆い、鼻と口にも角のようなマスクを着用しなければならない。旧共和国の晩年、彼女はギャラクシーズ・オペラ・ハウスにたびたび足を運んでいた。
コルサントの実力者、ノットルウィスキー・パパノイダ男爵の存在を知る者は多いが、彼の過去や目的について、詳細を知る者はほとんどいない。ルーナの控えめな脚本家だった彼は、想像力を駆使した一連の爆発的ヒット作によって、祖国を巨大な娯楽帝国へと変貌させたのだった。この地位によって、パパノイダは同業界の中でも最も影響力のある実業家の1人へと上り詰めたが、その間も、彼は自分の過去や私生活を世間の目から注意深く隠し続けていたのである。
パパノイダが秘密の状態を保っていなかったものは、演劇に対する愛情と、パルパティーン議長の政策に対する軽蔑だけである。パパノイダはギャラクシーズ・オペラ・ハウス・シアターに代表される、コルサントの素晴らしい劇場やホロ・エンターテイメント施設によく足を運んでおり、こうした場所で、パルパティーンについて率直に批評していた。しかし、彼は議長に対するこれ以上のあからさまな政治的行動は避けており、このような配慮から、パパノイダは帝国が台頭してからも当時の地位を保持することができたのである。
パパノイダ男爵は銀河系の全域に情報源を保持しており、クローン大戦における数多くの情報を手に入れていたが、その信憑性は様々だった。そのため、彼はこれらの情報を若きチー・イクウェイのような良心的な元老院議員や、ジェダイ評議会など、社会の上層部へと提供し、正確さの判定を受取人に任せていた。彼がどれだけ正確な情報ネットワークを構築していたかは依然として謎のままだが、有力な噂によれば、それはボサンの情報網に匹敵するものだったという。
ジェダイ評議会がグリーヴァス将軍の追跡を行っていたとき、パパノイダの情報源は、ウータパウが既に分離主義勢力の隠れ家ではないことを示唆していた。しかし、パパノイダはこれが不完全なデータなのか、あるいは意図的な情報の欠落なのかという判断を回避し、結果として、彼が狡猾な人物であるという評判を増大させることになるのだった。
テタ女王の末裔とされるテタは、エンプレス・テタ星系のかつての前君主である。無数の薬物治療と生体移植によって、テタは驚くべき長寿を手に入れた。クローン大戦の晩年に、ギャラクシーズ・オペラ・ハウスで「スクイッド・レイク」を鑑賞していたときの彼は、およそ300歳だったという。
テタはその美貌に惹かれ、若きコイ・マテイルと結婚した。しかし、マテイルの目的は彼の莫大な財産であり、夫が早く死んでくれることを期待しているのだ。
コイ・マテイルはコルサントのギャラクシーズ・オペラ・ハウスで「スクイッド・レイク」のプレミア公演に招かれていた賓客の1人である。若く美しいトゥイレック女性である彼女はテタ公爵の妻だが、彼女は夫が早く死ぬことを願っていた。それが実現すればマテイルはテタ公爵の莫大な遺産を手に入れることができ、それこそが彼女の結婚理由だったのだ。マテイルのレックはセックス・アピールを増すため、人工的に着色されていた。
オピュラ・ディゲットは、クローン大戦末期にコルサントのギャラクシーズ・オペラ・ハウスで「スクイッド・レイク」を鑑賞していた、売出し中のスター歌手である。しかし、彼女はライバルを傷つけることで自分のキャリアを上げており、メディアをスキャンダルで賑わしていた。
サイ・マーシアンのブルキッシュ・ブーンは、政治評論家であり、放送司会者でもある。クローン大戦の最中、共和国政府の腐敗が深刻な状況にあったとき、彼自身も収賄をはじめとした腐敗に溺れ、豪勢な生活を送っていた。
共和国最後の年、ブーンはギャラクシーズ・オペラ・ハウスで「スクイッド・レイク」を鑑賞する。このとき彼のマンティラの下には秘密の録音装置が隠されていたが、彼がその装置で何をするつもりだったのかは、誰にも知られていない。