銀河帝国の誕生よりおよそ5,000年前、アーバ・ザ・ハットは惑星コロス・メジャーの主要都市シナガーに居を構えていた。やがて、コロス・メジャーはこの星系を統一した大将軍の名誉を称え、エンプレス・テタと改名されることになる。
他のハットと同様に、アーバは硬い脂ぎった皮膚、オレンジ色の目、よだれを垂らした大きな口を持つ巨大なナメクジのような生物である。彼は移動の際にリパルサーリフト・クレドールを利用し、シンプルなベストと円筒形の房の付いた帽子を着用していた。
アーバはシナガーで修理および廃品回収用のドックを経営しており、限られた保障で迅速かつ静かに、そして手ごろな価格で宇宙船の修理を行っていた。ハットについての一般的な固定観念に反して、アーバは利他主義者であり、その一方で才覚あるビジネスマンとしての評判も高かったのだ。彼は泥棒から機器を守るための洗練された保安システムを所有していたが、信用できる者たちには思慮深く価格を引き下げ、クレジットの信用貸しに応じることも多かったのである。
彼の顧客である補給品輸送業者、ホックとティマーのダラゴン夫妻は、コロス星系で最後まで統一に抵抗していた惑星、カーレクで包囲されている親衛隊に、緊急援助物資を運んでいた。そこで、アーバは彼らの船<シャドウ・ランナー>の修理費用を立替えし、仕事用の代替船として<スターブレイカー12>を用意したのだった。
しかし、ホックとティマーがカーレクでの戦争で死んだという知らせが届くと、アーバは<スターブレイカー12>をダラゴンの2人の子供、ギャヴとジョリに譲渡する。ダラゴン夫妻の死に悲しみを抱いたアーバは、彼らが血によってすべての負債を清算したと解釈したのである。その後、ダラゴンの子供たちはハイパースペース探検家としてのキャリアを築き上げようとし、星図にあまり詳しく記載されていない領域で新しい航法ルートを切り開いていったのだった。
それから間もなく、一連の不幸な出来事によって、若きダラゴン姉弟はアーバからの負債を抱えるようになった。そのため、アーバは再び<スターブレイカー12>を手にすることになる。さらに、ダラゴン姉弟は不完全な航法データを提供してしまったことから、大実業家の復讐の的となり、逃走を余儀なくされていた。そのため、ジョリとギャヴは<スターブレイカー12>を盗み出し、未知領域へと逃走したのである。こうして、2人は共和国が未探査だった領域の奥深くでシス帝国を発見したのだった。
アーバは彼らの犯罪行為についての報告書を提示したが、その一方で当局に対し、自分がダラゴン姉弟を信用していることを忘れないで欲しいと懇願する。彼にとっては評判など最も些細な心配事でしかなかったのだ。やがて、ジョリ・ダラゴンがシスの魔の手から脱出し、共和国へと戻ってきた。だが、裏切りの失望に暮れたアーバには、忘れられた邪悪な帝国に関する彼女の話に忍耐を示すことができなかった。
しかし、アーバと共和国の人々は彼女の警告に従うべきだった。強大なシスによる侵略に引き続き、ハイパースペース大戦が巻き起こったのである。この戦いによって多くの惑星と文明がばらばらに引き裂かれたのだった。邪悪なマサッシの戦士たちはコロス・メジャーへの包囲作戦を実行し、その中にはギャヴ・ダラゴンの姿もあった。激怒したアーバはギャヴと再会するや、彼に唾を吐きかける。すると、ダラゴンのマサッシの衛兵は研ぎ澄まされた刃でアーバの厚い皮膚を切り裂き、ハットを殺害したのだった。
惑星タリスのロウアー・シティで生き延びることは決して容易なことではない。特に若いトゥイレックの少女が自分自身の力で生き抜くとなればなおさらである。しかし、ミッション・ヴァオはこのスウープ・ギャングたちの溢れる危険な惑星で生き延び、さらに成長したのだった。ヤヴィンの戦いのおよそ4,000年前、この路上生活に長けたルーシアン・トゥイレックの少女は、ロウアー・シティにおける隠された路地や裏道、そして秘密の入り口を知り尽くしていた。さらに、彼女は危険な生物たちがはびこるアンダーシティの下水道を探検することでも知られていたのだった。
ミッション・ヴァオは常に路上生活者だったわけではなく、初期のころは唯一の肉親である兄グリフと共に暮らしていた。だが、若い妹は無節操な悪党に過ぎなかった兄によって見捨てられてしまう。ミッションは長い間、兄を外界へ誘い出し、自分を見捨てさせたグリフの恋人レナを憎んでいた。しかし、実はグリフは場当たり的な一攫千金の企てでレナのクレジットを浪費した、寄生虫のような男だったのだ。最終的にグリフはレナと別れ、タトゥイーンへとたどり着く。やがて、彼はザーカ社での働き口を見つけたのだった。
シスが支配する惑星タリスでは、非人類が人間のみによるエリート文化から蔑まれており、エイリアン種族はみな都市の下層レベルへと追いやられていた。ミッションはそこで生き延びていたが、同時に多くの敵も作っていた。特にブラック・ヴァルカーと呼ばれる凶暴なスウープ・ギャング団は、ミッションの冒険を永遠に終わらせようとたくらんでいたのだった。だが、常に危険な状況に身をさらしながらも、この活発なトゥイレックの少女は、その場にそぐわない明るい性格でなんとか危機を脱する方法を見つけ出していた。そして、彼女は素早い反射神経と素早い機転、さらに達者な口でも窮地を脱することができない場合に備え、さらなるカードを隠し持っていた。彼女が愛情を込めてビッグZと呼ぶ巨大なウーキーの相棒、ザルバーである。
この奇妙なペアはザルバーがタリスに到着して以来ずっと密接な関係にあり、両者の明らかな差異に反して、その友情は双方に大きな利益をもたらしていた。ザルバーは、ミッションが腹を満たすための食料や安全に過ごすための隠れ家を得るための計画を立ててくれることを知っており、その一方でミッションは、自分たちの計画がどんな災難に見舞われようとも、背後でビッグZが常に目を光らせていてくれることを知っていたのである。
タリスが破壊される直前に、ザルバーはガモーリアンの略奪者たちの一団と揉め事を起こし、アンダーシティの深くにある下水道に捕らわれてしまう。必死のミッションは破壊された共和国のクルーザーへと向かい、そこから脱出してきた屈強な乗員たちに相棒のウーキーの救助を手伝ってほしいと懇願した。その後、共和国との排他的同盟関係を約束したミッションとビッグZは、バスティラ・シャン、カース・オナシら、共和国の英雄たちの仲間に加わり、銀河系の支配を目論むダース・マラックの計画を阻止するための冒険へと向かったのである。
都市惑星タリスでウーキーを見かけることは稀だが、力強いザルバーは故郷に原生する何キロメートルもの高さのロシールの木から遠く離れたこの場所で、自分の生計を立てようと努力している。ザルバーの過去の人生は悲痛な思い出に満ちており、そのため彼はもっとも親密な友人たちにさえ、キャッシークでの過去については何も明かしていないのだった。
帝国の誕生からおよそ4,000年前、ジェダイとシスとの間で壮絶な戦いが繰り広げられていたとき、キャッシークはザーカ社によって支配されていた。道徳心に欠けるこのビジネス巨体はウーキーたちを奴隷とし、企業施設として神聖な森林を汚していたのである。だが、この横暴を実現させたのはウーキーの内部にいた裏切り者、ザルバーの兄、チューンダーの存在によるものだったのだ。
チューンダーは仲間を売り、その見返りに新しいザーカ社によって支配されたキャッシークで高い地位を得ていた。ついに彼は父フレイアーさえも裏切り、父を年老いた愚か者であると宣言することで、民衆を彼に敵対させたのだった。だが、これに激怒したザルバーは兄を痛烈に非難し、この横暴を阻止するために古代のウーキーの規範を破る行為に出た。ザルバーは決して戦いのために使用してはならないとされる木登り用の鉤爪でチューンダーを攻撃したのである。この背信行為によって、ザルバーは「マッドクロウ」と罵られるようになり、ついにはキャッシークから追放されたのだった。
やがてザルバーはタリスにたどり着く。彼はこの惑星に数多く存在するスウープ・ギャング団の1つから用心棒として雇われ、一時はこのまま人生を終えるのかと考えたこともあった。しかし、ミッション・ヴァオと名乗る若いトゥイレックの少女との偶然の出会いが、彼を非情な暴力に満ちた人生から救うことになる。ミッションはザルバーが愚鈍な獣以上の存在であることを見抜き、2人は急速に親交を深めていった。ミッションは愛情を込めてザルバーを「ビッグZ」と呼ぶようになったのだ。
やがて、この奇妙なペアはタリスのロウアー・シティでもよく知られた顔となり、好奇心旺盛なトゥイレック少女がトラブルに巻き込まれると、いつでもすぐに助け出せるよう、ザルバーは常に彼女の近くに控えていた。一方で、ミッションも十二分にその恩を返している。ザルバーがタリスのアンダーシティの奥深くにある下水道でガモーリアンの奴隷商人に捕らえられたとき、ミッションは新たに親しくなった共和国難民の友人たちの助けを得て、彼を救助することに成功したのである。その後、ミッションがダース・マラックとその邪悪なスター・フォージ計画を打倒するための冒険に加わると、ザルバーもそれに随行する。この銀河系規模の旅によって、最終的にザルバーはキャッシークに帰還することになるが、そこで彼は再び自分の暗い過去と直面するのだった。
レイス・シーナーにとって、人生とは技術的な問題でしかなかった。激しい感情も設計上の欠陥でしかないのだ。積極的な悪意こそないが、シーナーは冷静かつ道徳的な中立を保っており、それが結果的に彼を悪への幇助に駆り立てたのだった。
ベヴェル・レメリスクやユマック・レスとは異なり、レイス・シーナーは巨大なデス・スターや恐るべきワールド・デヴァステーターを自分の限界として認めようとしなかった。彼の発明品の多くはより小型の兵器だが、TIEファイターやインターディクター級クルーザー、そしてシス・インフィルトレーターのように、十分な恐ろしさを保持している。実際に彼の開発した戦争兵器のレーザーによって何十億もの人々が命を奪われているが、それでもシーナーは銀河系の歴史の中で最も優秀な技術者の1人であると考えられているのだ。
シーナーの家系は長年続いた宇宙船製造業者である。クローン大戦のおよそ5,000年前、彼の祖先は統一大戦の最中に、エンプレス・テタ軍の使用する宇宙船を製造しており、そのときに得た巨万のクレジットによって、シーナー家の血統を代々裕福に保っているのだという。そしてヤヴィンの戦いのおよそ100年前、シーナー家はサンテ・セキュリティ社のオーナーである、同じく裕福なサンテ家と政略結婚を通じて1つになった。こうして更なる力を得たシーナー家は、あらゆるライバル企業を凌駕する財力と技術力を手に入れることができたのである。
ヤヴィンの戦いのおよそ60年前に生まれたレイス・シーナーは、この謎めいた一族にあって最も不可解な人物の1人である。若いころは一族のビジネスに背を向け、ハイパースペース探検家になったこともあった。彼は相続した財産を使って小規模な探査事業に投資し、未知領域で何十にもおよぶハイパーレーンの地図を作成したり、開発可能な星系を発見していたのである。やがて20歳になるころまでには、シーナーは自身の財産を築いていた。こうして自身の実力を証明し、満足すると、ようやく彼は家に戻ったのである。
息子の成功に気を良くしたレイスの父ナローは、彼をシーナー・テクノロジー社の最高経営責任者にするべく準備を開始する。ファミリー企業の中で最も業績の良いシーナー・テクノロジー社は、マローダー級クルーザーをはじめとする、共和国や通商連合のための大型車両を製造していた。また、レイスは経営責任者としての重圧に備えるため偽りの身分を装い、コレリアン・エンジニアリング社、バクトイド・アーマー・ワークショップ社、インコム社といった数々の有力なライバル企業から自身の存在を隠していたのだった。
その後、彼は秘伝ともいえる精密技術を習得するため、チャロスIVのカイ・チャーたちと多くの時間を費やすようになる。しかし、信心深いカイ・チャーたちは自分たちの中に「不信心者」がいることに気づくと、4人の賞金稼ぎを雇い、スパイの殺害を依頼したのだった。シーナーは暗殺者たちを従えてハイパースペースでの長い追跡劇を繰り広げるが、やがて星図に記されていないブラック・ホールの近郊でリアルスペースに離脱する。このブラック・ホールは彼が数年前に発見した(だが、意図的に報告しなかった)ものだった。不意を突かれた賞金稼ぎたちは一瞬にしてブラック・ホールに飲み込まれ、そのまま消失してしまったのである。
レイスはシーナー・テクノロジー社に戻ると、その子会社であるシーナー・デザイン・システムズ(SDS)社のトップとして迎えられた。そして、彼の実務的なリーダーシップのもと、SDS社は裕福な顧客向けの独自契約に特化した企業として成長していったのである。SDS社の秘密のアドバンスト・プロジェクト研究所では、貨物船を高速な独自の宇宙船へと改良することで、イオン・ドライブの限界に挑戦する研究が行われていた。また、このころシーナーは共和国辺境宙域警備隊の有望な士官、ウィルハフ・ターキンと知り合い、親交を深めていったのだった。
ナブーの戦いの6年前、カイ・チャーが再びレイスの殺害を企てた。娯楽用クルーザーでダントゥイーン近郊を航行中だったレイスとその父ナローが、傭兵部隊による襲撃を受けたのである。レイスは脱出船で危機を逃れたが、ファミリーの船は爆破され、ナロー・シーナーが命を奪われた。そして、ナローの死の知らせがシーナー・テクノロジー社に届くと、経営幹部たちは満場一致でレイスに全権を委譲したのである。
最高経営責任者(CEO)となったレイスは、シーナー・テクノロジーからシーナー・デザイン・システムズへと資産を移し、共和国との「魅力的でない」契約に不満を漏らしつつも、大いに実験的な開発を楽しんでいた。その後、彼は一握りの技術者を使って、謎めいたダース・シディアスの依頼に従い、ダース・モールのクローキング機能を持った宇宙船、シス・インフィルトレーターを開発する。また、彼はターキンからコンセプトを与えられ、理論上は月ほどの大きさのある戦闘ステーション、言うなれば「遠征型戦闘用惑星体」の開発にも着手したのだった。
そしてナブーの戦いから3年後、ターキン中佐がシーナーのもとを訪れ、惑星ゾナマ・セコートから生きた宇宙船を手に入れるための機動部隊の指揮を依頼してきた。しかし、シーナーはこの任務におけるターキンの権威を傷つけてしまい、ジェダイ・ナイト、オビ=ワン・ケノービとそのパダワン、アナキン・スカイウォーカーによる妨害も手伝って、最終的にこの遠征任務は失敗に終わってしまう。その結果、生きた惑星ゾナマ・セコートは未知領域へと逃走し、ターキンはシーナーが既に関心を失った戦闘用惑星体に関する研究成果を受け取るのだった。やがてこの成果は多くの改良を加えられ、デス・スターとして実用化されることになる。
シーナーはその後もイオン・ドライブ・テクノロジーの開発を続け、ついにシス・インフィルトレーターから得た発想をもとに、ツイン・イオン・エンジン(T.I.E)・スターファイターを完成させる。やがて、皇帝の玉座へと昇ったパルパティーンは、シーナー・テクノロジー社の国営化を行った。このシーナー・フリート・システムズ社として知られる新しい企業のもとで、レイスのT.I.Eは後の主力機種となるTIEファイターへと進化し、その後もTIEボマー、インターセプター、アドヴァンスト、その他のバリエーションへと発展していくことになる。また、SFS社の他の成功を収めた製品には、帝国宇宙軍に採用されたスキップレイ・ブラストボート、インターディクター・クルーザー、そしてシグナス・スペースワークス社との共同開発によって生まれたラムダ級シャトルなどもある。
その後も輝ける発展の月日が続いたが、シーナーは社内の嫉妬に駆られたライバルによって画策されたと思われる暗殺にかかり、命を奪われてしまう。彼の死後、会社の経営権は妻の属するサンテ一族へと移り、エンドアにおける帝国の崩壊後も、レディ・ヴァリーズ・サンテはリアナにある彼女の本拠地からSFS社の操業を続けたのだった。そして、復活した皇帝による反抗の間も、レディ・サンテは帝国軍の陸戦部隊に新型戦闘車両を供給し続けていた。「センチュリー・タンク」の異名をとるTIEクローラーは、シーナー・ブランドからリリースされた最後の製品の1つである。
パキシー・サイロの家族は、10世代にわたってダントゥイーンの奥地で広大な農場を経営している農業一家である。彼の両親、グリゲン・サイロとタシュナ・サイロは、この辺境の惑星でトリタックルとヨット豆を収穫するために懸命に働いており、7人の子供たちを養いながら、収穫した作物を外界へも輸出するため、食糧貯蔵庫を満たしている。
家族の中でも末っ子のパキシーは空想家だった。物静かで穏やかなしゃべり方をするこの少年は、遠くの惑星を冒険する英雄たちの物語について夢を膨らませながら、いつも黙ってデータパッドや予備のフリムジプラストに落書きを行っているのだ。彼はジェダイ・ナイトの物語についても断片的に聞いたことがあり、彼らがクローン大戦と呼ばれる勇壮な戦いの最中にあることも知っていた。しかし、ダントゥイーンはこれらの物語が作り話だと思えるほどに銀河系の中心から遠く離れていたのである。
しかし、パキシーは9歳のとき、これまでの人生を一変させる運命の日を迎えることになる。独立星系連合はムーニリンスト近郊の防衛を強化するべく、ダントゥイーンにその足がかりを求めていた。一方で、それに対するジェダイも彼らの誇る最強の戦士の1人、メイス・ウィンドゥを派遣し、彼の指揮するクローン軍を連合軍に対抗させたのだった。
パキシーは、ウィンドゥとその軍勢が分離主義勢力を打ち破る光景を、畏敬の念を持って見守っていた。彼はまさしく呪縛に絡まれた状態となり、その後の数週間におけるデータパッドの落書きは、単身でサイズミック・タンクを破壊したメイス・ウィンドゥのありのままの姿で埋め尽くされることになる。事実、この少年に話せることは、それがすべてだったのだ。
パキシー・サイロのその後については、歴史に一切記録されていない。帝国の時代には、既にサイロ家の農場も完全に放棄され、無人となっていたのである。しかし、パルパティーン皇帝による新秩序が絶頂期を迎えたとき、ホロネットの闇の部分で、1本の密造されたホログラム・ビデオが広められていた。これこそは、20年前のダントゥイーンにおけるメイス・ウィンドゥの英雄的活躍を描写したドキュメンタリーだったのである。
帝国保安局はこのような「有害な」メディアの拡散を防ぐために策を講じたが、このビデオは自称反逆者たちの間である種のカルト的な崇拝の対象となっていた。結局、このホロビデオは作者不詳のまま闇に葬られることになる。その内容が若きパキシー・サイロの描いた初期の実例とまったく同じだったことは、誰にも知られていない。
ハーラは惑星ミンバンで暮らす変わり者の老婆である。彼女は地元の採鉱村の人気者だった。ハーラはポモジェマの神殿に安置されているという伝説のカイバー・クリスタルの捜索に7年を費やしていたのだ。
フォース感知能力を持つハーラは偶然にもこの惑星を訪れていたルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナを集い、この人造クリスタルの捜索への協力を依頼した。彼らは無事、神殿の中でクリスタルを発見する。その後、ハーラはルーク、レイアらと共にミンバンを離れ、反乱同盟軍に加わるのだった。
タニス・シャイアは帝国軍のスーパー級スター・デストロイヤー<エグゼキューター>を建造していたフォンドアの宇宙造船所で働く、物資補給用タグボートの運転手だった。この若き女性パイロットは反乱軍の破壊工作員として造船所に潜入したルーク・スカイウォーカーと出会い、一目惚れしてしまう。そして、ルークが帝国軍の罠にはまって捕らえられると、彼女は自動運転のドローン・バージを1隻奪い、星系から彼を運び出すことで脱出を手伝ったのだった。ルークもこのときばかりは、帝国軍を平然と裏切った彼女の向こう見ずな性格に多少の驚きを隠せなかった。もちろんルークもタニスの気持ちには気づいていたが、彼には反乱同盟軍のためにやり遂げなければならない重要な任務が待っていたのである。
その昔、タニスとその父ジョセンはサーペント・マスターたちによって支配されている砂漠の惑星オフィデランに不時着した。彼らはそこで即座に捕らえられ、グレート・ウェルの保守作業を行う奴隷として働かされることになる。タニスの仕事は難破した宇宙船から使えそうな部品を回収することだった。だが、シュプリーム・サーペント・マスターのタイランは次第に彼女に惹かれていき、彼女も働きながら絶えずこの惑星を出たいと懇願していたのだった。やがてタニスは自由を手にし、フォンドアへとたどり着いたのである。
フォンドアで物資補給用タグボートの運転手として働いていた彼女は、盗人というもう1つの顔を持っていた。実際、彼女は何隻ものドローン・バージを盗み、故郷に不時着するよう再プログラムを行っている。彼女とルークが脱走に使ったバージもこのとき再プログラムを行ったバージの1隻だった。そのため彼らはオフィデランへとたどり着き、そこで仲間たちと共に再びタイランの保護下に置かれてしまう。だが、タニスとルークはサーペント・マスターたちを打倒し、人々を奴隷状態から解放するのだった。
タニスはその後もルークがずっとこの惑星に留まることを切望するが、彼は反乱軍の任務に戻らなければならなかった。彼らは最後に別れのキスを交わし、それぞれの歩むべき道へと戻ったのである。
シヴァIV出身のアーロン・ピースブリンガーは伝説的なカリアンの英雄である。彼は漆黒の髪と暗い瞳を持ち、カリアン特有の赤いなめし皮を身に纏っている。そして、その肉体は筋骨逞しく、戦闘に駆り立てられるとカリアン独自の闘争本能を剥き出しにした恐ろしい戦士と化すのだ。特にアーロンは人々から最強の剣士として知られており、その名に反して極めて凶暴かつ残忍な戦士である。実際にこれまで彼と戦って生き残った者は1人もいないのだ。
また、アーロンにはアリサンデという名の美しい妻がおり、2人の間には多くの子供たちが授かっていた。しかし、最初に生まれた娘は彼自身をも苦しめた謎の病によって幼い頃に亡くなっている。
カリアンは生来好戦的な民族であり、アーロンもまた12歳のころから戦いと戦争に満ち溢れた冒険的な人生を送っている。しかし、彼はそんな人生にうんざりしていた。アーロンはカリアンの人々とサイリエルの12の氏族との間で繰り返されてきた暴力と流血の連鎖に嫌気が差していたのだ。彼はカリアン連合の政治の舞台で最高位にまで上り詰め、大将軍にも任命されたが、それと同時に和平協定を携えてサイリエルのデマーク、ケラル・ロングナイフと接触していたのである。両者はこの協定書に署名し、故郷の惑星に新しい平和をもたらしたのだった。
やがてホスの戦いの直後(和平協定の締結から1年後)には、帝国もカリアン連合の屈強の戦士たちに関心を示していた。スカー将軍率いる帝国軍の秘密部隊がシヴァIVを征服し、すべての戦士たちを強制的に帝国軍に徴兵しようと計画していたのである。そのころ、シヴァIVの郊外にある都市の1つカヴァーで爆発事件が起きていた。この都市にはおよそ50万人のカリアンたちが暮らしていたが、爆発は大地を平らにならし、すべての住人を消滅させてしまったのだ。事件の原因は定かではないが、アーロンは何者かが彼を権力の座から追放しようと画策しており、その一環としてカリアン連合の支配都市を攻撃したのだと考えている。
また爆破事件の直後には、反乱軍スパイのレイア・オーガナ姫もこの宙域における帝国軍勢力の増強の実態を調査するためシヴァIV付近を訪れていた。そして彼女はスカーの部隊から攻撃を受け、シャトルはシヴァIVへの不時着を余儀なくされる。こうして地上に降りたレイアは、カヴァーの被害状況の調査に向かっていたアーロンの一行と遭遇するのだった。
このときアリサンデがいるにも関わらず、彼はレイアと恋に落ちてしまう。アリサンデも夫の感情が自分から離れていくのを感じていたが、それでも彼の側を離れようとはしなかった。一方でレイアもまたアーロンに強く惹かれていたが、必死に自分の感情を抑え込んでいた。そしてその直後に、アーロンとレイアはスカー将軍によって捕らえられてしまう。だが、彼らはなんとか脱出し、カリアンの首都イリリアカムへの攻撃が開始されると、2人はルーク・スカイウォーカー、チューバッカ、ランド・カルリジアンらの助力を得て帝国軍を打ち負かしたのである。その後、アーロンは妻への愛を思い出し、アリサンデとの幸せな生活に戻っていった。
アンドゥヴィルは女性としては珍しい貿易商の1人である。アンドゥヴィルは強固な独立路線の貿易商である。彼女は鋭い決断力を持つ長身のオジェマイト(人間に似た種族)であり、羽毛に似た短いブロンドの髪の毛を生やしていた。幼い子供だったころ、父親をブレッドソウ病で失った彼女は、父の仕事を引き継ぐことになった。そして、多くのオジェマイトと同様に、アンドゥヴィルも銀河内乱の中で反乱軍と同盟関係を結んだのである。
アンドゥヴィルは積極的な調査を行い、帝国軍が反乱軍寄りの惑星に対する生物兵器としてブレッドソウ病を使用している可能性を突き止めていた。そして、タトゥイーンでその計画の証拠を発見した彼女は、近くにいる反乱軍エージェントに救難シグナルを送信し、モス・アイズリーの酒場で自分と接触するよう助言したのである。その呼びかけを傍受し、みすぼらしいバーで彼女と面会したのはルーク・スカイウォーカーだった。アンドゥヴィルはルークに自分の発見について説明する。彼女曰く、帝国軍による反乱軍の惑星への弾圧の前に、予定に無かった無人輸送カプセルが着陸し、その後、ブレッドソウ病の発生が記録されたというのだ。彼女が事実を告げている最中にも、近くにいたジャワの常連客が明らかなブレッドソウの兆候を見せ、崩れるように倒れた。ルークとアンドゥヴィルは疫病の蔓延を避けるため、混雑した宇宙港から逃走したのだった。
スカイウォーカーはアンドゥヴィルをジャンドランド荒地へと連れて行き、誰もいないベン・ケノービの家へと入った。そこで、彼らはサンド・ピープルの襲撃を受け、2人は身を守るために野蛮な遊牧民と戦うことになる。そして、ルークとアンドゥヴィルは砂漠に戻り、遺棄されたサンドクローラーを通り過ぎた。このとき、ルークは疫病を媒介する海葱に噛まれるのだった。
サンドクローラーを調査していたストームトルーパーは、スカイウォーカーとアンドゥヴィルを拘束し、タトゥイーンの帝国軍駐屯基地で働くドクター・カルダーのところへ連れて行った。彼はルークとアンドゥヴィルに、帝国が反乱軍基地の所在を突き止めるため、遺伝子操作を行ったブレッドソウ病の病原菌を使っていたことを暴露する。2人は拘束具を過負荷にし、ルークの病気を治療するべく、カルダーに抗体となる血清を投与させた。その後、彼らはコンバット・ランドスピーダーを奪い取り、駐屯隊から逃亡する。さらに、アンドゥヴィルは帝国へのお別れのプレゼントとして、1機のTIEファイターのエンジンに妨害工作を行った。その結果、大爆発が起こり、基地は大小さまざまな瓦礫へと姿を変えたのである。アンドゥヴィルの船は帝国に押収されていたため、彼女はルークと共にタトゥイーンを離れることになる。