ベイル・オーガナは祖国オルデランの愛される指導者となったが、その地位は論争なくして手に入れることはできなかった。彼が総督の地位を継承する直前に、その血統に優先権があるか否かを巡る議論が沸き起こったのだ。3回の投票が行われたが膠着状態は打開されず、ついに共和国政府は調停役としてジェダイの特使ジョラス・スボースを派遣することになる。そして彼の裁定によってオーガナは晴れてオルデラン総督、そして第一議長に任命されたのだった。また、後に彼は祖国を代表する共和国元老院議員にも選出され、活躍の場をコルサントへと広げたのである。
有力な政治家として知られるオーガナは、パルパティーン最高議長にも敢然と異を唱えることのできる忠実な元老院議員だった。そして忠誠派議員団の一員となった彼は、分離主義勢力による危機の最中、不安定な共和国の政局に深く関わるようになる。彼は分離主義勢力が銀河系を戦争へと押し進め続けるならば、抜本的な施策が必要となるだろうと考えていたのだ。しかしオーガナは、元老院が新しく発見されたカミーノのクローン軍の所有権を掌握する必要性について理解を示す一方で、それが政治的には不可能であることも認識していた。そのため、彼自身の発案ではなかったが、オーガナはこの未曾有の脅威から共和国を救うため、パルパティーンに非常時特権が与えられることに賛成し、その過程を見届けたのである。
ベイルは長引く戦いによって愛する共和国が変わっていく様子を、失意を持って見守ることになる。防衛力の増強を大義名分とし、元老院はパルパティーンに嬉々としてより大きな権限を与えていったのだ。だが、こうした決定に異議を唱えることは結果的に反逆行為と見なされるため、彼は注意深く自らの疑念を隠していた。そのため、彼は数少ない賛同者のみと慎重に意見交換を行っていたのである。
クローン大戦の最中、ベイルはオビ=ワン・ケノービ将軍と親睦を深め、この凄惨な戦いのなかで自分によく仕えてくれるジェダイ・ナイトたちを深く尊敬するようになっていた。そして、ケノービの弟子アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに屈すると、彼はケノービからアナキンの恋人だったパドメ・アミダラの庇護を頼まれる。アミダラは自分の双子の1人をオルデラン王室に匿い、この子供、レイア・オーガナは王室の養女として迎え入れられた。やがてレイアはベイルの政治家としての人生を受け継ぎ、最年少の帝国元老院議員となるのだった。
そしてクローン大戦の終結後、オーガナは戦争で荒廃した惑星を復興させるために尽力し、オルデランを繁栄の時代へと導いた。彼は祖国が平和と生命を愛する惑星であることを誇示するため、オルデランの完全非武装化を訴える。そして大量の兵器が貨物船<アナザー・チャンス>に積み込まれ、ハイパースペースを永遠にさまようことになった。これはいつの日かオルデランが再び武器を持って戦うときが来るまでの貯蔵庫にもなったのである。
オーガナとオルデランの教育相である妻は、養子のレイアを実の子のように育てていた。レイアは養父母から政治家としての生き方の本質を学び、叔母のルージュ、ティア、セリィからは上流階級の人間としての規範や礼儀作法について学んだ。タリクたちベイルの使用人は彼女を甘やかし過ぎないように注意を払い、政治学と歴史学はアーン・ホラーダから、格闘技は武器の達人ガイルズ・デュレインから学んでいた。レイアの英才教育を妨げるものは何も無かったのだ。
レイアはベイルの元老院議員としてのキャリアから多くを学んでいた。その頃、オーガナの皮肉な言動や現実主義は、チャンドリラ選出の若い理想主義の元老院議員モン・モスマとしばしば対立していた。しかし、2人はパルパティーンの野望を阻止しなければならないという意見で一致する。政治的ライバルであるにも関わらず、モスマは反乱同盟軍設立を実現させるためにベイルに信頼を寄せるのだった。
カンザム・ハウスで行われた一連の会合で、オーガナとモスマは反乱同盟軍構想を検討し、具体化していった。当初、オーガナはあからさまな革命構想に衝撃を受けたが、ゴーマンの虐殺などの数々の悲劇が彼の心を動かすことになる。このとき彼は共和国が滅んだことを改めて実感したのだった。彼はモン・モスマを政敵と公言する一方で、財政委員会、予算委員会、そして情報部長官の地位を利用し、生まれたばかりの反乱同盟軍に資金や武器、情報を提供していた。元老院軍事監視委員会にも在籍していたオーガナは、同盟軍の軍事構造を効率よく構築することができた。やがて、パルパティーンに忠実な元老院議員の1人が、彼に皇帝がモスマを逮捕するつもりだということを告げる。ベイルはこれをモスマに報告し、彼女が帝国保安局から逃れる手助けをしたのだった。
元老院を引退したベイルは故郷オルデランに凱旋し、総督および第一議長の地位に復帰した。彼はクローン大戦後に誓った平和主義を放棄するよう国民を説得する。初期の抵抗運動の組織が共和国再興のために結成された同盟軍へと進化していったとき、オルデランは密かに同盟軍を支援していたのである。ベイル自身は極力オルデランに留まるようにし、同盟軍との接触の際にはリック・ダルネイなどの代理人を送っていた。しかし、ダルネイが初期の反乱組織の代表者にオーガナの身分を明かすと、彼の提供する物資は疑いの目で見られてしまうのだった。レイアの幼馴染の当時17歳だったウィンターも、別の方法でベイルの活動に重要な役割を果たしていた。
ベイルは元老院議員在籍時代のパルパティーンに対する明らかな敵対心が、やがて帝国軍による報復の対象となることを知っていた。しかし、現在の彼の行動は秘密裏に行われ、慎重に画策されたものだった。熟練した警備隊は帝国軍の攻撃に備えてロイヤル・パレスの地下に単分子シールドで厳重に保護された洞窟を造っていた。また、オーガナは元老院時代に隠匿したオルデランの偵察遠征における機密データを使い、水晶惑星イジスに同盟軍の秘密戦闘機基地を設立した。
ラルティアへ向かう任務の最中、レイアは反乱軍のスパイからデス・スターの脅威に関する情報を受け取った。しかしその後、タイオン卿をもてなす外交上の会食の席で、彼女はトップ・シークレットだったデス・スターの情報を漏らしてしまい、罪に問われることになる。会食はその場で乱闘へと転じ、レイアは不慮の事故でタイオン卿を射殺してしまう。ベイルはこの事件をオルデランの禁猟区で起こった事故であると主張し、レイアのアリバイを捏造して彼女を庇うのだった。そして彼はオビ=ワン・ケノービを探し、デス・スターを攻撃する際の助力を求めるため、レイアを運命の任務へと送り出す。しかし彼女は失敗し、この任務は兄ルーク・スカイウォーカーへと引き継がれるのだった。そして、ルークはオビ=ワンと共にオルデランへと向かうが、オルデランは既にデス・スターによって破壊されており、ベイルも故郷と共に命を落としていたのである。
スライ・ムーアは片時もパルパティーン最高議長の側を離れることのない青白い肌をした印象的な助手である。
口数は少ないが刺すような厳しい視線をしたムーアは、ヴァローラム議長の時代に補佐官を務めていたセイ・タリアと同様の地位に就いている。その無口な振る舞いから、彼女の議事は同僚たちにも知られていないが、内面に強い野心的衝動を抱いているとも囁かれている。なかには彼女がセイ・タリアを失脚させ、最高議長を補佐する現在の公的地位を奪ったと噂する者もいるが、その証拠は何一つとして明るみに出ていない。
ムーアの不可解な表情はアンバラン特有のものである。彼女はゴースト星雲の奥深くに位置する影に覆われた惑星アンバラ出身の亜人間種族なのだ。アンバランには相手の精神に影響を与え、おそらくは制御することもできるのだという奇妙な噂が立てられている。
彼女の刺すような目つきは紫外線の中でしか物を見ることができない。実際、ムーアの纏っている影衣には複雑な模様が刻まれているが、それは彼女自身か、または同様の視力を持つ者にしか見えないのだ。
パルパティーン議長には他にも何人かの側近がいるが、なかでも彼女は議長に最も近い存在であり、彼の最も深い内情に精通しているという。
ローディアンのダー・ウォックは共和国最後の最高議長となったパルパティーンの主任補佐官の1人であり、スライ・ムーアと職務を分け合っていた。彼の主要な職務は議長の多忙なスケジュールの管理である。
惑星デュロを防衛するために派遣された艦隊が迂回した件にオナコンダ・ファー議員が関与した後、ダー・ウォックはファー議員との共謀の容疑で、元老院情報局からの厳しい取調べを受けた。その後、彼はファー議員の計画とのあらゆる関与を抹消されている。
サーメリアの第一議会から台頭した誇り高い貴族イスター・パディは、クローン大戦初期に銀河共和国元老院の地位に加わった。彼は祖国の王族としての威厳を保っており、正当なハルバーラの髪型を整え、黄金のローブを身に纏っている。
パディはパルパティーン最高議長の力強い支持者であり、忠誠派議員団のメンバーに指名された最初の議員の1人でもある。彼はクローン大戦前に行われた軍隊の設立を問う投票に関する議論の際、コレリアが賛成の意を撤回したことに痛烈な批判を浴びせかけた。
マラステア出身の3つ目のグランであるアスク・アック議員は、分離主義勢力のひずみの下で共和国が分裂することを阻止すべく召集された忠誠派議員団のメンバーである。彼の前任であるアクス・モウの政治的キャリアは、グラン領の多くをスキャンダルに陥れ、多くの敵を残したまま潰えた。マラステアは先住民族のダグに対する差別から生じた民族対立に揺れており、ダグの活動家たちは厳かな敬意をもって行われる予定だったモウの葬儀さえも崩壊させたのだった。スピーダー事故でモウが急死した後、アスク・アック議員はその後任として政界入りしたが、前任者の例に漏れず、アックもまたモウ以上の論客として軍隊設立に関する議会を沸かしている。
アック議員は共和国軍の強力な支持者であり、軍隊の設立にも当然のように賛成を表明していた。彼は共和国軍の設立こそが、共和国を破滅させる内乱を阻止するための唯一の方法であると確信していたのだ。そのため、ジェダイ評議会による10年前の謎めいた依頼によって軍隊が用意されていたという事実が発覚すると、彼はその使用を強く訴えたのだった。
やがてクローン大戦が勃発し、ジャビムやパーセラス・マイナーでの戦いに敗北を喫すると、アック議員は将軍として共和国軍を指揮するジェダイ・オーダーに、「調停者」としての能力があるのか、疑問を抱くようになる。<スター・オブ・アイスキン>の崩壊、そしてフィニーズ・ヴァローラム前議長の死によって、アック議員は自分のスタンスを守るための更なる防衛手段を発見したのだった。それによって、彼は防衛および武装化法案を支持するための雄弁な演説を行うことができたのである。
クローン大戦初期に活躍したレキシィ・ディオ議員は、巨大政府からの独立を強く熱望していたことで知られる平和な農耕惑星ウィター出身の元老院議員である。保守的な政治家である彼女は、パルパティーン議長とも親密な関係にあり、忠誠派議員団の最初のメンバーの1人として指名されたのだった。しかし、ウィター市民の多くは戦争が共和国政府の行政処理能力にとって多大な重荷になると考えていたため、彼女は最後まで軍隊の設立に反対の立場をとっていたのである。
クローン大戦の最中、オナコンダ・ファー議員とロネット・コーア議員による内政干渉が、惑星デュロの喪失を招いたとして非難を浴びると、ディオ議員はパドメ・アミダラ議員と共に、元老院の全面的な制度改革に強い反対の意を表明するようになった。そしてその直後、ディオ議員は何者かの手によって暗殺されてしまう。彼女の後継には、ウィターのヴィスディック領出身のマレイ=ディー議員が選ばれたのだった。
クローン大戦の初期にイセノを代表していたロネット・コーア議員は、パルパティーン議長を支持する忠誠派議員団のメンバーの1人であり、共和国軍設立に賛成する支持者でもあった。イセノは巨大な軍隊を保持しているが、その多くは儀杖兵として使用されており、装飾的な意味合いが強い。
しかし不運にも、クローン大戦が激化するなか、コーア議員はオナコンダ・ファー議員と共に、惑星デュロとその軌道上にある造船所をグリーヴァス将軍指揮下の分離主義勢力に奪われたことに関して、非難を受けることになる。元老院情報局の行った調査によって、デュロを防衛するために派遣された艦隊が、ローディアを防衛するために転用されていたという事実が発覚したのだ。当初、この迂回は単純なミスであると考えられていたが、その後、自分の故郷を守ろうとするファー議員の意図的な関与が認められたのである。コーア議員もこのスキャンダルによって辞任を迫られ、辞表を提出すると共に、故郷イセノへの屈辱的な帰還を果たしたのだった。
タンドラ・ドーメイア議員はクローン大戦の初期にパルパティーン最高議長を補佐していた忠誠派議員団のメンバーの1人である。
アウター・リムのベンチャー企業を従え利益を受けていたことによって告発されたクオレンの腐敗した議員ティッキーズが失脚した後、ドーメイアは彼の後任として元老院議員に就任した。一方、ティッキーズはこれらの容疑が捜査されている間、自宅監視下に置かれていたが、後にコルサントから逃亡し、独立星系連合に加わっている。
こうしてドーメイアはティッキーズの抜けた後の空白を埋めることになる。彼はもともとモン・カラマリでもティッキーズとは異なるクオレンの派閥の出身だった。
オナコンダ・ファーはナブーの戦いの10年後、故郷ローディアを代表する元老院議員に選ばれた。彼は腐敗した議員だが、それでもなお共和国を愛している。もっとも彼が愛情を示しているのは、その巨大な官僚機構の中に抜け道を開拓し、それを通じて利益を得られるという制度だけだった。そのため、ファー議員は裏の活動の妨げとなる分離主義者たちに激しい憎悪を抱いているのだ。
往々にして、ファーはパルパティーン議長による分離主義危機の扱い方にも極めて批判的だった。彼は何度もパルパティーンが自らの政治的野心を達成するために共和国を犠牲にしたと告発している。ときには彼の忠誠派議員団に分離主義者との強い繋がりがあると告発し、彼を妨害することさえあった。実際に、ファーの告発によってイァー・タンギー選出のハヴリソー・ルールヤ議員が逮捕されているのだ。さらに彼は、240人以上の議員や司法当局者が分離主義運動との接点を保持しているとし、その証拠を掴んでいると主張したのだった。
やがてファーはルールヤ議員への非難とその警戒心が認められ、忠誠派議員団のメンバーに抜擢された。彼は軍隊の設立に関しても熱心な支持者だったが、残念なことに投票が行われる前日に個人的損失を被り、意気消沈してしまう。故郷ローディアで起こった火災によって、兄夫妻を失ってしまったのだ。
その後、ファー議員はコレリアン交易スパインの防衛を担当する活動委員会のリーダーに任命された。だが、分離主義勢力の軍司令官グリーヴァス将軍による徹底的な攻撃に晒されたことにより、彼の努力はまったく役に立っていないことが証明されてしまう。やがてファーは市民と他の議員による痛烈な批判を受け、委員長を辞任したのだった。
しかし、クローン大戦が激化するなか、ファー議員はロネット・コーア議員と共に、惑星デュロとその軌道上にある造船所をグリーヴァス将軍指揮下の分離主義勢力に奪われたことに関して、再び非難を受けることになる。元老院情報局の行った調査によって、デュロを防衛するために派遣された艦隊が、ローディアを防衛するために転用されていたという事実が発覚したのだ。当初、この迂回は単純なミスであると考えられていたが、その後、自分の故郷を守ろうとするファー議員の意図的な関与が認められたのである。コーア議員もこのスキャンダルによって辞任を迫られ、辞表を提出すると共に、故郷イセノへの屈辱的な帰還を果たしたのだった。