レピィの密輸業者ジャクソンとは議論をすべきではない。1.9メートルを超す痩せこけた長身、緑色に輝く短い体毛、長く飛び出た歯、油断ならない長い耳など、彼の奇抜な容姿は心無い宇宙パイロットたちから爆笑の渦を誘っている。だが、ジャクソンを笑う者は、間違いなくその強靭な足から繰り出される強烈な蹴りの犠牲者となるのだ。
ジャクソンはコーチェル・プライム出身のウサギによく似た下劣な種族レピィの1人である。だが、12人の兄弟を抱える静かな家に彼の居場所はなく、この乱暴な若者は成長期の大半を少年拘置所で過ごしたのだった。そして12歳になるとジャクソンは故郷から逃亡し、盗んだ宇宙船で宇宙へと飛び出したのである。
やがて若きジャクソンは密輸業者の衛星ナー・シャダーに到着した。彼はその後数年にわたってこの垂直に伸びる大都市の路上に住み着き、都会の雑踏で生き延びるための技術や、鋭敏な機知を身に付けていく。さらにはコーラス星系からきた邪悪な傭兵たちからも訓練を受け、射撃の腕も磨いていったが、しばらくすると彼らも解散し、ジャクソンは金を得るために密輸業をはじめるのだった。
収入こそ貧弱だが、ジャクソンは改良型WUD-500スター・ヨットを所有しており、<ラビット・フット>と名付けている。船の装置に故障が発生したとき、彼は修理のため辺境の惑星アドゥバ3に降り立った。しかし所持金が足りず、ジャックスはこの小さな農村をスピーダーに乗った盗賊団から守るため、雇われの殺し屋として働くことになる。
その求人の出所はハン・ソロだった。ソロ、ジャクソン、その他数人の悪漢たちはオナクラの村を守り、ジャクソンは船を修理するのに必要な金を手に入れる。同じく彼はそこで元海賊の美しい女性アマイザと出会った。2人は互いに友情を結び合い、素晴らしいビジネス・パートナーとして大成する。やがて彼らはかつてのジャクソンの仕事場だったナー・シャダーへ移住し、新たなビジネスをはじめたが、その後の行方は分かっていない。
アマイザ・フォックストレインは、あるときからフル・ネームで呼ばれることがなくなった。パフォーマーの双子の片割れだった彼女は、姉のジョデルと共にオード・マンテルを拠点としたトゥイレックの実業家、クワトレイン・パダンドルの下で、踊りや宙返りを演じていたのである。しかし1年後、事業に失敗したパダンドルは、この双子の姉妹を奴隷として売りに出し、アマイザ姉妹はデルフォン星系を拠点とする宇宙海賊団、ブラック・ホール・ギャングの所有物となったのだった。やがて、ジョデルは他の海賊からの襲撃によって不慮の死を遂げ、アマイザは海賊として生き抜くために必要なことを学ぼうと決意する。そして、デルフォンの前指導者ケイソが不正によって摘発され、殺害されると、人気者だったアマイザがブラック・ホール・ギャングのデン=マザーの地位に就任したのだった。
しかし、このギャング団は帝国によるデルフォン星系への攻撃によって離散してしまい、アマイザもこのときまでに6つの星系で生死を問わない懸賞金を掛けられていた。離散後の組織は指導者不在となり、彼女は職を求めてアウター・リムのアドゥバ3へと迷い込む。そして、ハン・ソロがクラウド=ライダーズの略奪行為からアドゥバの小さな農業社会、オナクラを守るため、スペーサーを雇っていたとき、アマイザは運の尽きたスペーサーの1人として彼の呼びかけに応じたのだった。
チューバッカ、ジャクソン、ヘッジ、ドン=ワン・キホテイ、ジム・ザ・スターキラー・キッド、FE-9Qらと共に、アマイザとハン・ソロは血に飢えたハイ=ハウンド、サージX・アロガンタスなどの冷酷非情なクラウド=ライダーたち、そしてアドゥバ3の深淵から現れたワールド・ビローのビヒモスと呼ばれる無数の生物たちを相手に戦った。アマイザはこのときのすべての戦いを通じて足首を捻挫しただけであり、自身の戦闘能力の高さを示したのである。
アドゥバ3での騒動の後、ジャクソンとアマイザは2人でチームを組んで働くことになった。さらに、アマイザはギャンブルの才能によって、わずかな掛け金を大幅に増やし、ジャクソンの貨物船<ラビット・フット>を修理することに成功する。2人はナー・シャダーをはじめとする、アウター・リムの悪名高い宇宙港で活躍したのだった。
その後、未知の惑星で、アマイザは賞金稼ぎのベイラート・ヴァランスに捕らえられたジャクソンを救出する。ヴァランスは、ジャクソンとアマイザが自分をルーク・スカイウォーカーへと導いてくれるという誤った考えをもって行動し、仲間のハンターたちに彼らを捜索させたのだった。だが、ヴァランスはジム・ザ・スターキラー・キッドをスカイウォーカーと勘違いしていた。賞金稼ぎたちはアドゥバ3までジムを追跡し、アマイザはこの追っ手を始末するが、取り逃した1人がヴァランスにアドゥバ3の情報を届けてしまう。アマイザとジャクソンは、ジムに賞金稼ぎがやってくることを警告するためアドゥバ3へと戻り、そこでヴァランスと対峙することになる。ヴァランスはこのときようやく自分の間違いに気づき、アドゥバ3から逃走したのだった。
アマイザはエキゾチックな容姿をした美しい白髪の女性であり、角膜に装飾を施すことによって、その瞳は猫のように明るいオレンジ色に輝いていた。若いころの彼女は赤い毛皮の下に肌を露出させ、髪にも赤い花を付けていた。また、彼女は腰のホルスターに2丁のブラスター・ピストルを挿す、射撃の名手でもあった。かつてハン・ソロも、彼女が600ヤードの距離からジ=アントに光弾を命中させたのを目撃している。
彼女はブラック・ホール・ギャングのデン=マザーだった当時にも、ハンと何らかの接点を持っていたが、それがどのようなものなのかについては2人とも控えめにしか話さなかった。しかし、2人は確かに会話から発展した口論を楽しんでいたのだ。アマイザはソロから、誰かに口数が多いと言われたことはないかと尋ねられ、以前面識のあった人に言われたと告げた。彼女曰く、その人物は既に死亡しており、そのときの保険金によって未亡人がベスティンで暮らしているのだという。
典型的なコレリアンの密輸業者であるダッシュ・レンダーは、ごく短期間に銀河の脚光を浴び、突然の衝撃的な死によってその一生を終えた。だが、実際にはそう信じられているだけなのかもしれない。
ダッシュは暗黒街の周辺では何年も前から良く知られていた人物である。彼とランド・カルリジアンはカルのサバック・テーブルで初めて顔を合わせている。また、彼がハン・ソロと出会ったのは、僻地の惑星ポート・ヘヴンで小休止していたときのことだった。この惑星は星図にも記されていないため、密輸業者たちの秘密の宇宙港惑星にもなっていたのだ。3人はここで虚勢に満ちた自慢話や、帝国軍を出し抜いたときのエピソードなどを交換し合っていた。やがてカルリジアンとソロは密輸業から足を洗い、反乱軍に参加して「尊敬すべき存在」となる。しかし、ダッシュは真に重要なもの、すなわち自分自身に集中することを好み、堕落していったのだった。
しかしこうしたエゴとは別に、彼は抜群のルックスと筋肉質の肉体の下に誇り高い性格を隠している。そして、ダッシュは帝国に対する個人的な憎しみを抱いていた。彼の家族は銀河中心部で成長し、繁盛した輸送会社レントランスのオーナーであり、彼はこうした特権階級の中で育ったのだ。その後、ダッシュはカリダの帝国アカデミーの学生として優秀な成績を収めるようになる。しかしある悪夢の日に、繁栄の最後の瞬間が文字通り炎に飲み込まれるかのような形で訪れたのである。
ダッシュの兄スタントンは、レントランス艦隊のパイロットとして働いていた。悲劇はコルサントからの定期的な貨物の積み上げ作業の最中に起こる。彼の貨物艇の制御システムが故障し、パルパティーン皇帝の所有する個人的な博物館に墜落したのだ。スタントンはこの事故で死亡した。そしてジェダイやシスの極めて貴重な工芸品が失われたことに激怒したパルパティーンは、レンダー家を輸送業界から追放し、その資産を全てシーゾー輸送システムズ社に吸収させたのだった。
その後、ダッシュは裏社会を転々としながら生活し、有能な密輸業者となる。密輸業者としては珍しいドロイドの相棒、LE-BO2D9を得た彼は、改良型YT-2400貨物艇<アウトライダー>で銀河系を駆け巡っていた。ダッシュは銀河内乱では中立の立場を守ろうと努めたが、やがて苦戦を強いられている同盟軍のために食糧輸送の任務を引き受けるようになる。彼らの秘密基地での任務を任されたダッシュはホスへの配達を行っていたとき、ソロと再会を果たしたのだった。
帝国軍による攻撃が開始され、ダッシュはホスに足止めされた状態となる。彼は勇敢にも無人のスノースピーダーに乗り込み、帝国軍のAT-ATウォーカーに対する遅延作戦に参加した。無事にホスを脱出したレンダーは、ハン・ソロが捕獲された後に再び反乱軍と合流する。彼はランドへの好意としてソロを捜索中の反乱軍に協力し、IG-88を追ってオード・マンテルへ、またボバ・フェットを追ってゴールへと向かったのである。
レイア・オーガナはダッシュの手助けに感謝していたが、それでもなお彼の自惚れた態度を信用することができなかった。彼女はダッシュに、ブラック・サンの刺客に命を狙われているルーク・スカイウォーカーの保護を依頼する。そして、ダッシュとルークは共にボサンのスパイを支援し、帝国軍の貨物船<スプローサ>から第2デス・スター計画の情報を入手することに成功したのだった。
その後もダッシュはルークとランドを手助けし、コルサントにあるプリンス・シーゾーの宮殿に潜入する。帝国首都の上空で激しい宇宙戦が繰り広げられるなか、彼の<アウトライダー>はシーゾーのスカイフックの爆破によって致命的な損傷を受けたかに見えた。しかし、それは遠近法と間の取り方を利用したトリックに過ぎなかった。ダッシュは無事にその場を脱出し、反乱軍の一員としての人生に別れを告げただけだったのだ。
ジャバ・ザ・ハットの父、ゾーバ・デシリジク・ティウレは、息子と同じく醜悪で巨大な体をした老ハットである。しかし、ゾーバにはジャバや兄ジリアクとは決定的に違う特徴があった。彼はハットにしては珍しく、白い毛髪と顎鬚を生やしているのだ。ゾーバはその長い毛を顔に掛からぬよう、常に束ねた状態で整えている。ゾーバがジャバを出産したのはおよそ400歳のときのことだった。彼は息子にナル・ハッタの犯罪組織の取り仕切りについて、すべてを教え込んだのである。
しかし、ゾーバは惑星キップにおけるウリクオ・ジェムストーンの不法採掘によって逮捕されてしまう。裁判長のドーリ=ドーリは、彼にキップ暦で懲役15年(45標準年)の刑を宣告する。ゾーバの法律顧問を務めるニンバネルの弁護士ベクウィン・フォーバスも必死の酌量を求めるがすべて徒労に終わり、ナル・ハッタの大評議会による身柄引き渡し要求もキップ当局に拒否されるのだった。共和国司法当局もキップ政府の決定を支持しており、ハットのなかでもライバルに当たるベサディ氏族の長アラクも、ゾーバはハットの恥であると断罪するようになる。ついにはデシリジク氏族の長、ゾーバの兄でもあるジリアクもまたすべての決定に従うと表明するのだった。
やがて刑期半ばにしてキップは海賊団に征服され、ゾーバは幸運にも自由を手にすることになる。しかし、これは偶然の出来事ではなかった。エンドアの戦い後、帝国軍内部ではパルパティーン亡き後の権力争いが激化しており、コルサントを抑えていた帝国情報部のイセイン・アイサード長官がライバルたちを一歩リードしている状態だった。そこで彼女はゾーバを脱獄させ、他勢力を失脚させる工作員として利用するという巧妙な作戦を実行に移したのだ。キップの征服劇も彼女の計画の一環に過ぎなかった。しかし、ゾーバはあくまでも無意識の工作員であり、アイサードの計画のことなど知る由もなかった。彼は息子の犯罪帝国に合流するべく、<ソーバ・エクスプレス>で嬉々としてタトゥイーンへと向かったのである。
タトゥイーンに到着したゾーバはモス・アイズリーの酒場で驚くべき事実を耳にする。ジャバはエンドアの戦い前に死んでおり、宮殿も今やラナットたちの巣窟と化しているというのだ。息子を殺した犯人がレイア・オーガナであることを知ったゾーバは、彼女に復讐を誓い、居場所を探し始めるのだった。
その途中、ゾーバはベスピンのクラウド・シティに立ち寄った。この都市にはジャバが所有者となっているホテルやカジノが存在しており、タトゥイーンの宮殿で発見された遺言メッセージによれば、ゾーバはこれらの資産の正当な相続人なのである。しかし、ランド・カルリジアンはこれを不服とし、ジャバの遺産を奪い取ろうと考えた。彼はホリデー・タワー・ホテル&カジノの所有権と、クラウド・シティの統治権を賭けてゾーバにサバックの勝負を挑む。だが、この戦いはカードに細工を施していたゾーバが圧勝し、ランドはすべてを失ったのである。
やがてゾーバは、レイアが皇帝の後継者を名乗るトライオキュラスに捕らえられていることを突き止めた。同時に、帝国軍が探しているジェダイの王子ケンが、クラウド・シティ警察に拘束されていることを知る。彼はトライオキュラスにケンとレイアの交換を申し込むが、トライオキュラスは後にレイアを皇后として迎えるつもりだったため、この取引きを断るのだった。両者の交渉は決裂し、互いの捕虜を奪い取るための銃撃戦が展開される。この戦いでゾーバはトライオキュラスを捕らえ、カーボナイト冷凍にするが、その間にレイアとケンはクラウド・シティから脱出し、<ミレニアム・ファルコン>で逃走するのだった。
その後、ハン・ソロとレイアがホログラム・ファン・ワールドで余暇を過ごしていたとき、ゾーバは手下を使ってついにレイアを捕らえることに成功する。彼はレイアをカークーンの大穴で処刑するためタトゥイーンへと連れ去ったが、その途中で<ゾーバ・エクスプレス>がグランド・モフたちの船による妨害に遭い、拿捕されてしまう。船の中からはレイアと冷凍されたトライオキュラスも回収され、ゾーバは自分がサーラックの口に投げ込まれる羽目になるのだった。
グランド・モフたちが去った数時間後、カークーンの大穴からゾーバが吐き出された。さすがのサーラックにもハットを消化することはできなかったのだ。ゾーバは勝利の高笑いを浮かべながら、大砂丘海を後にする。そしてトライオキュラスの死後、反逆罪で裁かれることになったグランド・モフたちの有罪を決定的なものにしたのもゾーバだった。彼はダークサイドの最高預言者カダーンの前で証言台に立ち、グランド・モフたちの背信行為をすべて証言したのである。その後のゾーバの行方は知られていない。
銀河系の暗黒街に広がる無法地帯には、良心の呵責なく殺人を犯すジャバ・ザ・ハットのような、貪欲と悪徳、そして良心の欠如を伴った卑劣な犯罪者たちがはびこっている。しかし、タロン・カードはそのなかでも一線を期している。帝国の没落後に台頭した彼は、洗練された鋭い知性を持つ、熟練した密輸業者の首領である。
カードのならず者としての経歴は、ジョージ・カーダスの密輸組織に参加したときから開始された。そしてカーダスがダゴバへの奇妙な旅に出発し、豹変すると、カードは彼の組織を引き継ぐことになる。彼はエンドアの戦いの直前にジャバ・ザ・ハットが殺害されるまで、組織を密かに維持していた。カードは情報を収集し、明らかに無関係と思える情報を繋ぎ合わせて1つの事実を導き出すことに情熱を感じていた。彼はこの才能を駆使し、ジャバの死によって求心力を失った無数の地下組織との接触を排除していったのだ。地下組織の成長に良く見られる複雑な敵対関係や不正を招くことなく、ゆっくりと、そして静かに、カードの密輸組織は銀河系で最大の組織の1つにまで成長したのだった。
カードの組織がヴァロナットで狩猟計画の調査を行っていたとき、彼はセリナ・マーニスと名乗る際立った若い女性と出会い、思いがけない収穫を得る。この女性はハイパードライブの整備士として突出した才能と技術を持っていた。そしてヴァロナットへの訪問が悪転し、カードの副官だったクレヴ・タッパーが命を落としたとき、カードはセリナに救われる。カードは彼女に価値を見出し、感謝の証として彼女を雇った。本名をマラ・ジェイドと名乗る彼女はカードから多くを学び、やがて彼の副官となるのだった。
カードの行動はときおり新共和国の行動と重なる部分があったが、彼は銀河政府を破滅させる大規模な変化のなかで中立にいることを決心した。このような立場はエンドアの戦いから5年後に始まったスローン大提督によるコア奪回計画の際に困難に直面する。カードの本拠地は、森林にイサラミリと呼ばれる土着生物がいること以外、とくに特徴の無い辺境の惑星マーカーにあった。このトカゲのような土着生物はフォースを「押し戻す」特殊な能力を持っており、フォースを使用できなくする空間を作り出すことができるのだ。スローンにとって、これは新共和国を崩壊させる計画のなかの重要な要素だった。
カードは帝国軍兵士たちにイサラミリを収穫する許可を与え、彼らが意図している計画の断片を繋ぎ合わせようと試みる。同時に、彼はマラ・ジェイドの隠された過去を探ろうと試みた。彼女はフォースとの親和性を示し、ルーク・スカイウォーカーに対する激しい憎悪をあらわにしていたのだ。
彼は故障したXウィングに乗って宇宙空間を漂流していたスカイウォーカーを発見し、その両方の謎を解く手掛かりを手にする。カードの秘密基地は、多くのイサラミリが棲息する森林の中にあり、ジェダイのフォースを効果的に封じていた。彼はルークを基地に連れて行き、ルークをスローンに引き渡す可能性について考える。だが結局、カードはその計画を取りやめたためスローンを敵に回すことになり、マーカーにあるすべての施設を失うのだった。
カードの組織は新しい本拠地を求めて旅立ち、辺境の惑星リシに一時的な滞在を行っていた。だが、帝国軍はついにカードの居場所を突き止め、彼を拘束する。そしてカードに借りのあるスカイウォーカーはマラ・ジェイドと手を組み、彼を救出に向うのだった。
救出されたカードは感謝の証として、新共和国に長年にわたって行方不明だったカタナ艦隊の座標を提供する。そこにはスローンの反抗を覆すことができる何百隻もの戦艦が眠っているのだ。同時に彼は密輸業者の連合を召集し、再編成された帝国軍に対する情報収集および徹底抗戦を通じて、新共和国を支援した。彼らは新共和国に対して極めて重要な援助を提供し、ビルブリンギの戦いにおけるスローンの敗北を決定付けたのである。
密輸業者たちの連合はマラ・ジェイドの指揮の下で密輸業者同盟として正式に組織され、暗黒街で成熟していった。ジェイドの影響力が増すに連れ、カードは引退したかと思われていたが、実際にはかつての良き指導者であったジョージ・カーダスの捜索を行っていたのである。ランド・カルリジアンとマラ・ジェイドもその長い捜索の旅に協力し、彼らはついに遠方のケイソル・セクターにある惑星エクソクロンにカーダスがいることを突き止めた。
しかし、エンドアの戦いから15年が経過したとき、カーダスの探索は新共和国の内乱を回避させるために不可欠な要素となり、カードにとってもこれは個人的好奇心を大きく超える任務となった。帝国軍の工作員によって仕掛けられた政治的暴動によって、数十年前に起こったカーマスの滅亡にボサンが関与していたという疑惑が発覚し、緊張が引き起こされたのだ。カードは、カーダスがボサンに向けられた敵意の増大を防ぐために必要とされる情報を持っていることを確信していた。
その目的に向けて、カードはミストリル・シャドウ・ガードのシェイダ・デュカルを伴い、辺境のケイソル・セクターへと侵入する。かつての教え子と再会したカーダスは、彼の事業の成果と成功を誇りに思っていたが、カードが必要とする情報を手渡すことはできなかった。しかし、この旅の成果は十分なものだった。カーダスは復活したとされるスローン大提督に扮したペテン師に関する明白な証拠を提供してくれたのだ。
その後、再び政治的背景の変化が訪れ、カードはいるべき場所に立ち会っていた。帝国軍の残党と新共和国との間で和平条約の調印が行われ、ついに銀河内乱が正式に終結したのである。カードは双方の陣営にとって利益となる共同の情報機関を設立するために尽力するのだった。
マラ・ジェイドは「スローンの手」事件の後、ルーク・スカイウォーカーと結婚する。カードも式には参列したが、もはや彼女の忠誠がルークに向けられていることは明らかだった。幸いにして、彼には新しい副官シェイダ・デュカルがいる。カードは新しい任務を待っていた。帝国と新共和国との間には平和が存在しているが、カードが努力する情報収集機関の設立は、双方に大きな利益をもたらすことになるだろう。
現在、カードとその副官シェイダは、ユージャン・ヴォングの非情な侵略と戦う新共和国、および新ジェダイ・オーダーへの援助活動を続けている。
ザカーリズ・ゲントは20代の初期にタロン・カードの密輸組織で重要な地位に就いていた。彼はこの業界でおそらく最高のスライサーとして認められている。チビアスで見出されたゲントはカードの所有するすべてのコンピュータとドロイドを使いこなし、それらが円滑に動作するように整備しているのだ。
ゲントは背の低い、アーモンド色の肌をした貧相な人間である。青い長髪を伸ばし、顔にも青いタトゥーが彫られている。また、奇異なユーモアのセンスを持ち、社交的ではないが人々から好かれる存在でもあった。
ゲントの趣味は帝国軍の暗号コードを解読することだった。事実、彼は新共和国情報部ですら解読に1ヶ月を要したとされる帝国軍のILKOと呼ばれる暗号を、12歳のときに2ヶ月で解読している。さらには、帝国軍のレピドー・プログラムをほとんど苦労することなくスライスしたこともあるのだ。
コンピュータに極めて精通している一方で、ゲントは都会暮らしがやや苦手だった。口が軽いため、カードが知っていたスローン大提督に関する情報を漏らしてしまい、新共和国に帝国軍の新たなる脅威について教えてしまったこともある。
スローン大提督による反抗の最中、新共和国のアクバー提督が違法な資金獲得と陰謀の疑いで逮捕されるという事件が起きた。そのときカードはアクバーの口座が腕の立つスライサーによって操作されたのではないかと疑い、ゲントに調査を命じる。そして彼はコルサントに到着して2日後に、アクバーの潔白を証明したのである。
帝国軍の包囲戦術によってコルサントに足止めされている間、何もすることがなかったゲントは新共和国情報部の解読スタッフに加わり、帝国軍の軍事暗号コードの解読を行っていた。そしてコルサントに滞在するようになって1ヶ月が過ぎたとき、彼はついに謎のデルタ・ソースが使用しているパルス送信の暗号解読に成功したのだった。これによってレイアとウィンターはデルタ・ソースの正体を突き止め、情報の漏洩を遮断することができたのである。
その直後、レイアが惑星ウェイランドへ向かう必要があったときには、ゲントは<ワイルド・カード>に偽装した帝国軍の自動応答装置を装備させ、彼女を無事に惑星に送り込むことに成功する。さらに後には、ハン・ソロ、ランド・カルリジアン、マラ・ジェイドらと合流し、ケッセルの刑務所施設の解放を行ったこともある。
こうした新共和国情報部に対する多大な貢献は彼に多くの価値ある接触を招き、合法的な活躍の場をもたらしたのだった。やがて彼は新共和国情報部の暗号解読班で主任の地位を得ることになる。
幅広く強めにカールされた黒い巻き毛にオレンジ色の目をしたサラ・ゼンドは、あたかも彫像のような、エキゾチックな美しさを持った人間の女性である。機械に精通した才能溢れる彼女は、あらゆる人生の選択肢に可能性を開いている。彼女は常にテクノロジーに魅了されていたが、かといってエンジニアとして他人のために働くことには全く関心を抱いていない。サラは企業が所有する貨物船の乗り込み技術者として雇われ、常に新しい可能性に耳を傾けながら、宇宙港から宇宙港へと旅を続けていたのである。
やがてサラは自分の船をハットからローンで手に入れるために必要なクレジットを蓄えることができた。その直後から彼女はプロの密輸業界に入門し、シャグ・ニンクス、ランド・カルリジアン、ハン・ソロらと出会うようになる。そして、腕を上げたサラは次第に密輸業のスリルにも愛着を持つようになっていった。彼女はカルリジアンと共に当時彼が保有していた<ミレニアム・ファルコン>に乗り、同業者たちと危険なケッセル・ランでタイムを競うようにもなったのだ。
サラとハンとの最初の出会いは、両者がステネス星系にスパイスを密輸していたときに訪れた。当初の2人の関係は親しいライバル同士であり、どちらがより速くケッセル・ランを飛べるか、あるいはどちらがけちなネッシーからより多くのクレジットを巻き上げられるかを競い合っていた。だが、いつの間にかその関係もロマンチックなものへと変化していくことになる。
3年後、サラの船の航法コンピュータが故障し、船は中性子星に衝突するコースへと導かれる。ハンが彼女の救助に駆けつけるが、彼女は大事な船を失い、仕事を続ける道は完全に閉ざされてしまったのだった。その翌日、サラは自分の人生について再検討を開始し、そろそろ落ち着く頃だという結論に至る。彼女にとってハンとの結婚は明白な結論だったのだ。だが、ハンにとってはそうではなかった。彼はサラに別れを告げ、その後エンドアで帝国が敗れるまで、一度として再会のときは訪れなかったのである。
そしてエンドアの戦いから6年後、分散していた帝国軍がコアの内部およびその周辺宙域に集結し、一新された軍事的主導権を維持するために自由貿易商や輸送業者を活発に雇い始めていた。サラ・ゼンドもこの絶好の金儲けのチャンスを逃す訳にはいかず、銀河系のいたるところから拾い集めた廃品を使って、中古の貨物艇<スターライト・イントルーダー>を修理し始めるのだった。当時、彼女はナー・シャダーのコレリアン地区にあるシャグ・ニンクスの宇宙船整備工場で働いており、暇を見つけては<イントルーダー>の修理を行っていたのである。彼女は完璧主義者であり、自分の船の性能には一切の妥協を許さなかった。やがて愛機が完成すると、サラは男性スペーサーの多くが自分の船を「彼女」と呼ぶように、<イントルーダー>を「彼」と呼んで大事にしたのだった。
そのころ、新共和国は再興された帝国の中心部を突き刺し、ダークサイドに落ちたルーク・スカイウォーカーを救出したいと考えていた。彼らにとってディープ・コアの航行許可を得た<イントルーダー>は、まさに必要としていた船だったのだ。ハン・ソロとレイア・オーガナ・ソロはナー・シャダーを訪れ、100,000クレジットという大金でニンクスとサラの協力を得ようと試みる。ハンは現在の妻とかつての恋人を同時に相手にすることで気まずい時間を味わったが、サラとニンクスは新共和国の依頼を快諾し、取引きは無事成立したのだった。
だが、<スターライト・イントルーダー>も旅立つ準備が整っていたわけではなく、ニンクス、サラ、ハン、レイア、チューバッカらは船上での修理を続けることになる。ちょうどそのとき賞金稼ぎのボバ・フェットが仇敵のハンを襲うが、船もようやく完成し、ハンの救助に間に合ったのだった。<イントルーダー>はハンの要望で<ファルコン>を磁気接続し、ディープ・コアおよび帝国軍の要塞となっている惑星ビィスへ向けて跳躍したのである。
ビィスに到着した<イントルーダー>は帝国軍の巨大な貨物区画に入り、<ファルコン>を帝国軍の秘密の砦にさらに接近させることができた。そして<ファルコン>が砦に入ると、ハン、レイア、チューバッカ、C-3POを拘束するため、帝国軍の兵士たちが現れる。そして最後の瞬間にサラとニンクス(彼らは<ファルコン>に隠れていた)が船を起動させ、レーザーによる砲撃で退路を切り開くと、その間に新共和国の英雄たちは要塞の奥深くへと侵入することができたのだった。
貨物区画に戻ったサラとニンクスは、友人の密輸業者ロー・カーンとルーウィンゴが所有する貨物船<ハイパースペース・マローダー>の洞窟のような格納庫に<ファルコン>を隠す。しかし、これはつかの間の安息でしかなく、<マローダー>内の<ファルコン>は帝国軍の巨大なハンター・キラー・プローブ・ドロイドに発見されてしまう。ドロイドは<マローダー>への攻撃を開始するが、サラたちは間一髪のところで<ファルコン>に乗り移り、脱出に成功した。だが、ドロイドはトラクター・ビームを起動し、<ファルコン>を格納庫へと引き戻したのである。
しかし、サラとニンクスは共に一流の機械工だった。彼らはプローブ・ドロイドの配線を繋ぎ変え、自分たちの命令に従うように改造することでドロイドの制御を奪う。彼女はレーザー・キャノンを使って帝国軍の砦を砲撃し、新共和国の英雄たちを解放した。そして全員を<ファルコン>に乗せてビィスから脱出するが、ルーク・スカイウォーカーだけは例外であり、彼はクローンとして蘇ったパルパティーン皇帝に立ち向かうため、その場に残るのだった。
その後、彼らは再びルークと合流してモン・カラマリへと向かい、この海洋惑星を破壊している帝国軍の巨大なワールド・デヴァステーターと遭遇する。そこで英雄たちはR2-D2を<ファルコン>の送信機と接続し、皇帝のマスター制御信号を偽造することでデヴァステーターを破壊しようと試みた。その間、サラはチューバッカと共に<ファルコン>を操縦しており、可能な限りデヴァステーターの近くを飛行していたのである。こうして計画は成功し、モン・カラマリの破壊は阻止されたのだった。
サラとシャグは新共和国の仲間たちと共にダ・スーチャの第5衛星に設置された一時的な基地へと帰還するが、彼女は自分の<スターライト・イントルーダー>を取り戻すためビィスに戻りたいと熱望していた。だが、ソロ、レイア、チューバッカが老ジェダイのヴィマ=ダ=ボーダを捜索するためにナー・シャダーへ戻ると、彼女とシャグもそれに同行する。このときソロを追う賞金稼ぎの追跡をかわすために<ファルコン>を巧みに操縦し、密輸業者の月に乱立する尖塔や金属の渓谷の間を縫うように飛ばしたのはサラだった。
だが、サラとシャグは自分たちの宇宙船整備工場が帝国軍の特殊部隊によって破壊されていたことを知る。大事な船を多数失った彼女は、この大きな損失と、彼女の船を救えなかったことに対してレイアらを激しく非難した。レイアはより重要な任務に頭を割いており、サラの災難にはそれほど注意を払っていなかったのだ。彼女には既に新共和国との全ての関係を解消する準備ができていた。
残された船の1つ<サルヴェイジャー・スリー>に乗り込んだサラとシャグは必要な許可証を盗み、再びディープ・コアへと侵入する。だが、彼らは帝国軍の貨物区画でロー・カーンとルーウィンゴから衝撃的な知らせを聞かされるのだった。<スターライト・イントルーダー>は帝国軍の公認解体業者によって既に解体されており、溶解処理されたというのだ。
また、貨物区画にいる間に密輸業者たちは、捕らえた戦闘ドロイドでビィスへ潜入するという新共和国の計画が難航しているという情報も得ていた。サラは再び新共和国の特殊部隊を支援するべく他の密輸業者たちを組織する。シャグ・ニンクスの<スターフック・テン>、ロー・カーンの<ハイパースペース・マローダー>、ウズ・ボニアムの<ベスピン・バンディット>が砦に侵入し、帝国軍の戦闘獣を掃射して新共和国軍兵士たちのための貴重な時間を稼いだのだった。さらにその直後にも、サラとシャグは新共和国の保護惑星ニュー・オルデランを帝国軍の攻撃から守るため、彼らに手を貸している。
コレリア生まれのブースター・テリックは密輸業者、そして雇われの宇宙パイロットとして銀河系を飛び回っている。後に彼はインペリアル級スター・デストロイヤーの名目上の艦長になるが、密輸屋時代は小型スター・ヨット<パルサー・スケート>の初代オーナーに過ぎなかった。この出世振りはまさに彼の波乱万丈に満ちた人生を反映しているといえるだろう。
ウェッジ・アンティリーズがガス・トリータで両親を失ったとき、この事件を引き起こした海賊への復讐を手助けしたのがブースターだった。しかし、ブースターはコルセックのハル・ホーンに逮捕され、ケッセルの刑務所で懲役5年の刑を宣告されてしまう。そのため2人は決して海賊を追い詰めることができなかった。やがて釈放されたブースターは、娘のミラックスが法に守られた自由な人生を歩んでいたことを確認する。彼女は父親と同じ運命を辿っていなかったのだ。そして彼女がローグ中隊、特にコラン・ホーンと深い関係にあることを知ったとき、ブースターは自分を拘留していた男の息子を支えているという奇妙な事実に気づいたのだった。
その後もブースターはウェッジに惜しみない支援を続け、ヤグダルを巡る宇宙ステーションに密輸業者の楽園を作るという計画も喜んで受け入れた。これは新共和国の任務を辞職したローグ中隊に隠れ家を提供するための計画だったのだ。彼はこの宇宙ステーションの防衛に力を尽くし、動作はするが役に立たない武器をいくつか配置する。さらには何も装備のなかったローグ中隊のXウィングのために、プロトン魚雷や震盪ミサイルをかき集めるのだった。
ローグ中隊はヤグダルの宇宙ステーションを無防備な状態にしたまま出撃し、イセイン・アイサードの軍を罠に誘い込むという大胆な計画を実行に移す。ブースターの偽装防衛網は<ルサンキア>のジョーク・ドライッソ艦長に500発のミサイルによる集中砲火の危険性を印象付け、彼に撤退を決意させたのだった。そして宇宙ステーションと<ルサンキア>の巨大な重力井戸によってパッシュ・クラッケンのエース中隊がハイパースペースから引き出されると、この短い戦いは終わりを告げたのである。このとき、ブースターは<ルサンキア>の勝利を想定していたインペリアル級スター・デストロイヤー<ヴィラランス>を無傷で捕獲した。そして、彼はエース中隊が自分の防衛網の一部であると豪語し、<ヴィラランス>の女性艦長ラックウィー・ヴァースチャに降伏を決断させたのである。
その後、ブースターとエース中隊は<ヴィラランス>をタイフェラへ運び、戦いの流れをローグ中隊に引き寄せた。この英雄的行為と論理武装を盾に、ブースターは<ヴィラランス>の所有権を要求する。新共和国のエイレン・クラッケンは始めにこれを躊躇するが、コラン・ホーンはクラッケンに対して、海難救助法の解釈からブースターに船の所有権を認めなければならないことを指摘した。宿敵の息子による助け舟にブースターは驚くが、これはミラックスとホーンとの婚約を承諾させるための見返りだったのである。このとき、密輸業者のタロン・カードも<ヴィラランス>の艦載兵器を除去して新共和国に売却してはどうかという提案を行い、取引きを手助けした。こうしてブースターは合法的に<ヴィラランス>を獲得し、<エラント・ヴェンチャー>と改名したのである。
ブースターは自分のスター・デストロイヤーを大幅に改造し、密輸業者や他のパイロットのための巨大移動雑居店へと作り変えた。しかし、その後何年たっても彼はこの船からほとんど利益を上げることができず、維持費だけで多くのクレジットを消費していったのだった。
やがてブースターはミラックスとアイエラ・ウェジリに呼び出され、<ルサンキア>の囚人の捜索に駆り出される。この戦いで彼らはローグ中隊と敵対していたイセイン・アイサードのクローンによる企みに気づくが、ディストナからローグ中隊を救出するには遅すぎた。それでも彼らは生存者のウェス・ジャンソンとエイシア・セイラーを何とか救助し、モン・モスマがローグ中隊の全滅を発表したときも、2人が生きているという秘密を守り通したのだった。その後ジャンソンはコルサントへ送り返されるが、エイシアはボサン社会を変えるために「死んだ」ままでいてほしいと頼まれたのである。
ボースク・フェイリャがブースターに仕事をもちかけてきたのはその直後のことだった。フェイリャはボサンのマーティアス(英雄のこと)の墓にエイシアの代わりとして埋葬されるべきボサンの遺体を求めており、それをブースターに手に入れてほしいと考えていたのだ。話を理解したブースターはこれ以上聞く耳を持たなかったが、手下に適当なボサンを殺害させてもいいというフェイリャの主張に驚かされる。ブースターはフェイリャに激しい憎悪を抱き、渾身の力で彼を殴りつけた。後に彼はアイエラにも、フェイリャは日陰で暗躍する卑劣漢であり、敵以外の何者でもないとまで言い放っている。
数年後、ウェイランドでカーマス・ドキュメントが発見されるという事件が起こると、ブースターは再び新共和国に助けを求められた。彼は偽装工作の一環として<エラント・ヴェンチャー>に<ティラニック>の偽名を使い、ドキュメントのコピーを手に入れるべく残存帝国軍の支配惑星ヤガ・マイナーへと向かう。しかし、帝国軍は<ティラニック>がボサウイの軌道上でクローキング・シールドを使った作戦に従事していることに気づき、ブースターを捕らえようと追跡を開始するのだった。しかし、彼は新共和国との和平を目指すペレオン提督の介入によって救われたのである。
そしてユージャン・ヴォングによる銀河系への侵略が開始されると、ブースターは<エラント・ヴェンチャー>に立てこもり、隠れ続ける道を選ぶ。しかし、ジェイセン・ソロとジェイナ・ソロは、ヤヴィン4のジェダイ候補生たちの救助を求め、彼に連絡を試みた。孫のヴァリンがその場にいることを知ったブースターはソロたちの呼びかけに応じ、ジェダイの救助に向かうのだった。その後、彼はさらに安全な場所が見つかるまで、ジェダイ・プラキシウムの候補生たちを匿うと約束したのである。
コレリアンのミラックスは、豪腕な密輸業者として知られるブースター・テリックの娘である。父がコルセックによって逮捕されて以来、彼女はテリック家に伝わる<パルサー・スケート>を操縦し、密輸家業を引き継いでいる。ミラックスとコラン・ホーンの最初の出会いは、<パルサー・スケート>がチョーラックス星系で帝国軍のインターディクター級クルーザー<ブラック・アスプ>に捕まったときのことだった。そのとき、彼女はコランとローグ中隊によって救われたのである。ミラックスは自分を助けてくれた相手がコランだったことに複雑な感情を抱いた。なぜなら、コランの父親ハル・ホーンこそが、父のブースターをケッセル送りにした張本人だったからである。
父が危険な仕事に出ているとき、ミラックスはウェッジ・アンティリーズの家族と一緒に過ごしていることが多かった。後にブースターがウェッジの両親を殺害した海賊の追跡に力を貸すようになると、ウェッジとミラックスは親友同士となったのである。当時の2人は、あたかも本当の兄妹であるかのようだった。
やがて、ブースターはケッセルのスパイス鉱山に送られてしまうが、そのときミラックスはまだ成人に達していなかった。しかし、彼女は何の妨げもなく父の仕事を引き継ぎ、独自のビジネス感覚によって事業を利益率の高い違法ビジネスへと転換させていく。こうしてミラックスは同盟軍基地に必需品や武器を密輸するようになり、同盟軍と新共和国を支える機会を多くしていったのである。
クライトス危機の最中にも、ミラックスはタイフェラからコルサントへバクタを護送する仕事を引き受けていた。しかし、オルデラン星系で護送部隊が帝国軍の攻撃を受け壊滅したときは、運良く別の場所にいたため難を避けている。そのとき彼女と相棒のリアット・セイヴはある検査を行うため、バクタのサンプルを持って<パルサー・スケート>でボーレイアスへ向かっていたのだ。最終的にこのサンプルはヴラティックスのクレアン・ハーフの手にわたり、クライトス・ウイルスに対する治療薬リルカの合成に使用されたのだった。
タイコ・ソークーの裁判が中止になった直後、ミラックスは再びコルサントに姿を現した。そしてバクタ戦争が始まろうとしていたとき、彼女とコランは家族間の確執を乗り越え、お互いの愛情を深め合う。タイフェラの戦いの直前には、ついにコランがミラックスに結婚を申し込み、彼女も即座にこれに応じるのだった。やがて戦いが終わると、2人はウェッジらの見守るなか<ルサンキア>の艦上で挙式する。ブースターもこれを無言で認めるしかなかった。その後、ミラックスとコランはコルサントで盛大なセレモニーを迎えたのである。
コランがローグ中隊の一員として宇宙を飛び続ける一方で、ミラックスは独自の貿易ビジネスを展開し、人々に本当は不要なものを必要であると思い込ませていた。やがて新共和国とスローン大提督との戦いが始まると、彼女はこの仕事を隠れ蓑とし、スローンに侵略された惑星への物資輸送や、こうした惑星からの難民救助を行うようになる。また、帝国軍のモフ・レオニア・タヴィラが海賊を使った略奪行為を開始すると、ミラックスは自分にタヴィラを捕らえる手伝いをさせてほしいと新共和国に申し出た。彼女はコランに少しでも自由な時間を与え、子供のことを考えさせたかったのだ。しかし、ミラックスはジェンサレイの人々によって意図を読み取られ、ナル・ハッタでの任務開始直後に捕らえられてしまう。彼女はスアービ7/5で拘束され、結局コランとルーク・スカイウォーカーによって救出されたのだった。
旧ターミディアン語を話すことで知られるコレリアンのジョージ・カーダスは、デュブラック・クエント船長と、その相棒であり副操縦士でもあったマリス・フェラシの<バーゲン・ハンター>で、航法士としての経歴を積んだ密輸業者である。そして、アウター・リムの端々でファイヤージェムを密輸していたとき、彼らはチス・アセンダンシー拡張艦隊の前線警備軍司令官だったスローンに拘束されたのだった。
スローンは3人の人間を客と囚人の中間の位置づけとして船に留めておくことを決めた。その後の何ヶ月かで、カーダスはチューン語を学び、ヴァガーリの敗北とアウトバウンド・フライトの壊滅後、その船に乗り込んだ。そこで、彼は生存者の1人であるロラナ・ジンズラーを発見し、この女性ジェダイにいつか彼女の弟ディーン・ジンズラーをアウトバウンド・フライトの残骸へ連れてくると約束したのだった。そして、カーダスはジンズラーとスローンの弟、シンディック・ミスラサーフィスと別れ、アウトバウンド・フライトを後にした。その後、彼とスローンは友人として別れることになる。そして、カーダスはキンマン・ドリアーナと共に共和国へと戻り、彼からダース・シディアスのために諜報活動を行う密輸組織の首領となるよう依頼されたのだった。
クローン大戦が勃発したとき、カーダスは前途有望な密輸業者としてその名を馳せていた。彼はこのとき銀河系が大きな変革期を迎えていると認識し、それを自身の仕事を始める絶好の機会と捉えたのである。後にブースター・テリックがハル・ホーンによって逮捕されケッセル鉱山に送られると、カーダスはブースターの縄張りを支配するようになる。やがて彼は、ハットの犯罪ビジネスとは比べるまでもないが、小規模ながらも密輸業でそれなりの成功を収めるに至ったのだった。
そしてクローン大戦の終結から15年後、カーダスはプファッシュから逃亡してきたダーク・ジェダイの1人と遭遇する。ダーク・ジェダイはカーダスを除く彼の船の乗員全員を殺害し、船に乗せるよう要求したのだった。その後、彼らは沼の惑星ダゴバに漂着し、小柄な老ジェダイ・マスター、ヨーダと出会う。カーダスはヨーダから治療を受け、ダーク・ジェダイとヨーダの激しい戦いを生き延びるが、この遭遇を境に得体の知れない決定的な変化を経験したのだった。彼は自分の組織をより高度なものへと発展させはじめ、無数の犯罪行為に関与するが、いずれもその市場を独占するには至らない小さな帝国を築き上げた。これによってカーダスは巨万の富と控えめな権力を手に入れ、彼の組織はハットの犯罪シンジケートとの競い合いを始めるようになる。カーダスは何らかの方法であらゆる状況に正しく対処することができるようになり、対立相手を常に出し抜いていたのだ。彼が莫大な情報が蓄積されたデータカードを、ただで手に入るがごとく大量に収集し始めたのもこのときからだった。
だがある日、カーダスは意味もなくヨットに乗り込み、忽然と姿を消してしまう。彼はヨーダから与えられた新しい生命を消失させ、健康を損ないはじめていたのだ。彼はヨーダにすべてを元通りにしてもらうべく、再びダゴバへと向かう。だが、ヨーダはカーダスの船からブラスターとベコン・コールを取り出し、それらをジャングルに投げ捨てただけだった。ジェダイ・マスターは彼に、せっかく与えた命を無駄にするなと叱りつけ、これ以上助けることはできないと告げる。ヨーダはルーク・スカイウォーカーの到着と、それに続く人生で最も重要な訓練への準備で多忙だったのだ。カーダスはもはや部下たちのもとへ戻ることもできず、エクソクロンへと逃れた。ヨーダは彼に、そこでエイング=ティの修道僧から助けを求めるよう助言したのである。
リーダーが不在の間も、彼の組織はその後数ヶ月にわたって繁栄を続けていたが、残された副官たちの間では真のリーダーの必要性についても議論されはじめていた。だが、票決に至るまでもなく、カーダスの最も信頼する弟子の1人だったタロン・カードが組織を引き継ぐことになる。他の幹部たちにとってこれは不幸な出来事でしかなかったが、新しい事業はその後も20年にわたって繁栄を続けるのだった。そしてスローン大提督の死後、カードはランド・カルリジアンとマラ・ジェイドにカーダスの捜索を依頼し、2人はこの仕事に7年の歳月を費やすことになる。だが、結局はエクソクロンのどこかにいるということが判明しただけで捜索は打ち切りとなり、残された手かがりも、ルーク・スカイウォーカーがダゴバで発見したベコン・コールのみだった。
その後、ランドはカーダスが新共和国を揺るがすカーマス事変の問題を収束させるのに役立つ情報を持っているのではないかと考えたが、カードは彼をこの問題に引き込むことを拒否する。だがカーマス事変の最中、最終的にカードはカーダスと対面する覚悟を決めた。彼の恐怖に立ち向かわない限り、カーマス・ドキュメントのコピーを手に入れることはできないのだ。
カードの訪問に際してカーダスは入念な計画を立てており、エクソクロンでは寝たきりの衰えた老人の振りをしていた。彼の要塞は山の斜面の内部に築かれていたが、ここでカードはかつての上司のあまりにも年老いた姿に驚愕する。しかし、カーダスはランドとマラが自分を捜索していると知って以来、たびたびこの計画について考えていたのだ。彼はカードが自分を探したがっていることを利用し、犯罪王レイカスをエクソクロンおよびケイソル・リフトの近郊におびき寄せようとしていたのである。カーダスとエクソクロン連合航空宇宙艦隊の副官トレイ・デイヴィッドも、エクソクロンの防衛力ではレイカスの艦隊に歯が立たないことは分かっていたが、一方で彼らはエイング=ティの修道僧がレイカスに強い殺意を抱いていることも知っていた。カードをエクソクロンに到着させることによって、カーダスとデイヴィッドはレイカスにもこの惑星の位置を伝えることになる。だが、レイカスの艦隊はエクソクロンへの攻撃を行う前に、エイング=ティの修道僧によって壊滅させられたのだった。
カードはカーダスが決してひ弱な老人ではないことを心得ており、この一連の出来事についてもほぼ全容を把握していた。そして彼がエクソクロンに戻り、再びカーダスと対面すると、その姿はもはや高齢の老人ではなく、健康的な壮年の男となっていたのだ。カーダスは要塞の本当の大きさを明かし、カードに莫大な量のデータカード・ライブラリがあることを示す。カーダスにはその中からカーマス・ドキュメントのコピーを探し出すことができなかったが、その代わりとして、帝国軍のグロディン・ティアス、モフ・ディズラ、そしてペテン師のフリムに関する価値ある情報を発見することができたのだった。カードとシェイダ・デュカルはカーダスに別れを告げた後、この情報をペレオン提督に引き渡すことになる。
それから数年の間、カーダスは再び銀河系の表舞台から姿を消すことになる。その後、彼はヴォス・パークがアウトバウンド・フライト計画の残骸を調査する任務を受けたことを知り、それをディーン・ジンズラーに伝えたのだった。カーダスはジンズラーを追跡し、フラカリア星系で彼の船を修理までして、ジンズラーの調査への参加を保証したのである。ジンズラーはルーク・スカイウォーカーに、カーダスは彼が何年も前に行った約束を果たそうとしているだけだと告げた。その後、チスのアリストクラ・チャフォーンビトラノからの挨拶があったとき、カーダスは<チャフ・エンヴォイ>上でジンズラーと同席していた。だが、ジンズラーにはカーダスとアリストクラとの間で交わされた討論の内容を理解することができなかったのである。