サイボット・ギャラクティカ社製の3POプロトコル・ドロイドは、これまでに造られた中で最も人間に似たドロイドであり、ある者はこれを勝利であると考えている。不幸にして、人間はときおり神経質や気まぐれ、極度な神経症に陥る可能性があるのだ。
極めて高性能なシンステック社製AA-1ヴァーボ=ブレインの恩恵によって、3POドロイドにも同様かつそれ以上の症状を示す個体が存在する。この優れた認識モジュールは、ドロイドに真の感情と驚くべき独特な個性を創造させることができるのだ。実際に、サイボット・ギャラクティカ社は3POユニットに創造的な弱声器を搭載することで、飾り気のない翻訳を可能としている。そのため、同社は癖を除去するための定期的なメモリ消去を推奨している。
3POユニットは、大使、政治家、領事、王族によって、外交的あるいは社交的な場における個人的随行員として、幅広く利用されている。銀河系には何千もの異なる種族や、何百万もの個別の慣習が存在するが、議員たちは誰一人として自分の挨拶が偶然にも侮辱として受け取られ、戦争の引き金となってしまうことを望んではいない。3POは様々な言葉に精通しているだけではなく、慣例、礼儀作法、風習、心構え、宗教的儀式、テーブル・マナーなどに関する専門家でもあるのだ。
3POの身長は1.7メートルであり、金、銀、白、その他いくつかの色の、光沢のある眩しいボディ・シェルに覆われている。そして、すべての個体が光受像器、音声収集器、広帯域アンテナ・レシーバ、マイクロ波検出器、嗅覚センサーを装備しており、主要回路遮断装置(マスターON/OFFスイッチ)は首の後ろに取り付けられている。また、このドロイドにはジョイントを最高の作動条件で維持するために、頻繁にオイル・バスに浸かることが要求される。
サイボット・ギャラクティカ社は、何世紀にもわたって様々な3PO型ドロイドを製造してきた。さらに、大衆の目から見たこの機種の新鮮さを維持するために、数十年以上にわたって、PX、カンサル360、ii77など、多くの製品ラインが拡張されている。これらのブティック・モデルは通常の3POと比べて2倍以上の価格設定がされており、一般的には大容量メモリ・ユニットやより洗練された音声合成装置のような、技術的躍進のショーケースとされている。しかし、ついに技術の進歩が頭打ちになると、製品ラインの拡大も断念され、特徴的な製品のみが通常の3PO生産ラインへと統合されていったのだった。
TCシリーズは数ある3POデザインのなかで最も賞賛されたブティック拡張の1つである。クローン大戦前の数十年間に人気を博したTC 3POは、内蔵されたトランラングIII通信モジュールにちなんで名づけられた。トランラングIIIの性能は前身のトランラングIIから飛躍的に向上しており、それは曖昧な方言、貿易用の隠語、セキュリティ・コード、ドロイド言語などを含む、600万を超える通信形態を収録したデータベースによるものである。トランラングIIIに搭載された音声合成会話および音響システムによって、TCはほぼすべての音声を再生成することができるが、ドロイドのヒューマノイド構造では、種族特有の動作を伴う微妙なニュアンス(例えば、トゥイレックのレックの微かな動きなど)を再現することに限界があるのも事実である。
P2およびR1モデルは、インダストリアル・オートマトン社が一般市場向けアストロメク・ドロイドの新製品とするために開発した最初の試作品である。これらのドロイドも発売当時は多少の売れ行きを見せたが、今となっては後に大きな飛躍を見せたR2シリーズとは比べるまでもない劣悪な製品となっている。
P2はアストロメク・ドロイドのプロトタイプとして開発されたものであり、旧共和国の商業船団に対して試験的に独占販売していたものだった。このドロイドは巨大で扱いにくく、反応も鈍いが、後のRシリーズ・モデルで好評を博すことになる滑らかなデザインを多く取り入れている。車輪のついた3本の脚、回転式のドーム型頭部、シリンダー状の装甲ボディに収容可能な伸縮式の操作アームなどは、このモデルから既に採用されていたのだ。
インテレックス艦船制御コンピュータの初期バージョンを搭載したP2モデルは、バルク・クルーザーやコンテナ船のメンテナンス・ドロイドとして使用することができ、一方で回転式ノコギリや溶接装置も装備しているため、単純な修理作業を行わせることも可能である。しかし、このドロイドは不器用で学習が遅く、使用者と会話する際にもビデオ表示スクリーンを利用したり、あるいは外部コンピュータとの接続を行わなければならない。
だが、艦長たちの多くがこのドロイドに満足していたのも事実であり、好評を受けたインダストリアル・オートマトン社は、P2シリーズの一般向けリリースに向けた最終段階の調整を続けていた。しかしこのとき、同社はP2の技術的仕様が他社の著作権を侵害しているという事態に気づいたのだった。法的な問題の解決には多大な時間が要求され、そのためのリリース遅延や悪評判によって、P2シリーズは事実上消滅してしまったのである。インダストリアル・オートマトン社は一からの再出発を余儀なくされたのだった。
全く異なる外見をしているが、R1はP2の自然な発展形である。法廷闘争での資金流出を抑えるため、インダストリアル・オートマトン社は自社製品のマークIIリアクター・ドローンで使用している長身の黒いボディ・シェルを再利用したのだった。その副作用として、R1は強力な放射能耐性を持つようになっている。
各R1は高性能型インテレックスIIIコンピュータを搭載しており、約500種類にもおよぶ艦船の詳細な設定カタログを保持している。さらに、このドロイドはインダストリアル・オートマトン社のアストロメク・ドロイドとしては初めて、単一のハイパースペース・ジャンプにおける座標計算能力を備えている。
R1はそのサイズから、大型戦艦や大型貨物船に搭載されることが多かった。また、本体内部に収容可能な道具類を多く備えているため、有能な技術者として転用することも可能である。しかしその一方で、頑固な性格と極端な移動性の低さから、購入者による不満も多かった。この動くユニポッドの移動機構は頻繁に故障し、一箇所に留まらざるを得なくなるのだ。インダストリアル・オートマトン社もこの問題については認識しており、次期モデルで解決することを約束したのだった。
R1と共にもたらされた大きな技術的躍進の1つは、ドロイドスピークとして知られるビープ音や警笛のような電子言語である。この固有言語には情報が高密度に集約されており、これによってR1は他のドロイドやデータ・ネットワークと効率的に会話を行うことができるのだ。やがてこの言語はRシリーズ全体に特有の、かわいらしい特徴として定着するようになる。
インダストリアル・オートマトン社のR2ユニットは、リスクを伴うデザイン・コンセプトから一転して記録破りの現象を巻き起こした、アストロメク・ドロイドの最大ヒット製品である。このドロイドは文字通り小型ドロイド市場を制覇し、一時期は銀河系のあらゆる人々がR2ユニットを欲しがったほどの人気商品だった。R2ユニットは最も多才な多目的ドロイドの1つであり、アストロメク・ドロイドとしてだけでなく、汎用多目的ドロイドや情報検索用端末としても利用されている。
旧シリーズと同様に、R2は診断および修理用ユニットとして宇宙船内、またはその周辺で働くように設計されたドロイドである。しかし、大型のP2やR1とは異なり、この人間の腰ほどの高さしかないドロイドは、軍事用宇宙戦闘機の標準型アストロメク・ソケットに完全適応するように作られている。これは以前のモデルからの飛躍的な進歩であり、その結果、これらのドロイドはすべてのモデルが政府備品として納入されるに至っている。こうしてR2は急速に旧共和国の戦闘機部隊の間に普及していき、同時にこの人気は世間一般にも浸透していったのである。
XウィングやYウィングの後方に搭載されたR2ユニットは、船側のシステムからエネルギーを受け取って航行パフォーマンスの監視を行っている。この間、R2は高性能プロセッサによって1秒間に最大で10,000個の操作を行い、技術的問題の特定と解決に当たっているのだ。このドロイドは起動中のメモリーに最大で10個のハイパースペースの座標計算の組み合わせを保持しておくことができ、多くはエンジンの点火や飛行前のタクシングを行う知性も持っている。また、R2ユニットは完全な真空中でもすべての機能を動作させることが可能である。
インテレックスIVコンピュータは700種類を超す宇宙艦船の設定データを保持している。同様にR2の持つセンサー装置も高性能であり、全波長対応型トランシーバや、電磁場探知機、熱探知機、動体探知機、生命体探知機など、すべての機能を網羅している。また、このドロイドは完全操作可能な伸縮型ビデオ・センサーによって、囲まれた小さな空間を探査することも可能である。
外装シェルがスリムな流線型をしているため、主脚部の下に隠された各種道具類を見た購入者は、その種類の豊富さに圧倒されてしまうだろう。R2ユニットの標準装備品は、2本の操作アーム、電気溶接機、回転式ノコギリ、ホロ投影機、貨物収容箱、消火器などである。さらにインダストリアル・オートマトン社はこのドロイドを容易に再整備およびアップグレードできるようにしており、改造されたR2には、水中用プロペラ、レーザー・ポインタ、無重力推進ジェット、遠隔センサー装置、膨張式救命イカダなど、様々な専用アイテムを装備した個体が存在している。
R2の性格は親切で機転が利き、誠実である。長期間にわたってメモリー消去を怠ると頑固で自分勝手な兆候を見せるようにもなるが、実際には進んで率直な助言をしてくれるような相手がいる方を好む所有者が多い。
伝説の名機となったR2ユニットの大成功によって財政的に潤ったインダストリアル・オートマトン社は、さっそく次なる市場支配に向けて新たな投資を開始した。同社の新製品であるR3シリーズは、ハイテク官公庁での使用に特化して設計されたモデルである。
外見上、R3はホワイト・メタルの主脚部に明るく彩色された装飾を施されていることから、人気モデルだったR2ユニットを徹底的に模倣しているように見える。最も明確な違いは頭部であり、R3は耐久性のあるプラステックスを使用した透明なドーム型デザインを採用しているのだ。この透明半球は内部センサーの有効範囲を向上させるとともに、R3の持つ誇り高き高性能の証、すなわち最新型インテレックスVコンピュータ・システムの存在を引き立てているのだ。
インテレックスVには大容量のデータベースが搭載されており、そこには旧共和国宇宙軍で使用されているすべての艦船についての詳細な統計情報が収録されている。この情報を武器に、R3は大型戦艦に搭乗して任務に当たっている砲手や警備兵、宇宙軍士官たちと共に効率的に働いていた。また、このドロイドは宇宙戦闘機に搭載させることを主目的として開発されたわけではないが、起動中のメモリーにハイパースペース・ジャンプの座標計算の結果を5つまで記憶しておくことが可能である。
R3の持つプログラムは専門的であり、本質的に機密扱いとなるため、高額な機種の販売は認可された政府の軍組織向けに制限されていた。旧共和国はインダストリアル・オートマトン社で最初に生産された125,000,000体のドロイドをすべて購入しており、その後身となる帝国軍もこれらをスター・デストロイヤーやデス・スターに搭乗させて使用していたのである。
R3ユニットと同時期に開発されたR4ユニットは、インダストリアル・オートマトン社が官公庁とは別の、もう1つの新規市場の可能性を掴もうとした試みの成功例である。そのターゲットは、Xウィングを停められる土地はないが、自前でランドスピーダーの改造を行っているようなアウター・リムの都市部の住人たちだった。R4はそれまでのRシリーズと比べてより単純で耐久性に優れ、しかも安価なのである。
R4ユニットでは生産コストを削減するためにビデオ表示スクリーンや小型消火器などの装備品が取り外されている。また、このドロイドに採用されているインテレックスVIコンピュータは高性能だが、一般的なリパルサーリフト艇に適合するように設計されたものであり、宇宙船用のスペックは宣伝用のものでしかない。R4が宇宙戦闘機用のアストロメク・ドロイドとして使用されることは皆無に近く、実際に起動中のメモリーにも単一のハイパースペース・ジャンプの座標しか保持しておくことができないのだ。
また、R4ユニットは極めて頑丈にできており、作業ガレージ環境で付く小さな傷やへこみ等は全く問題にならない。さらに、R4は稼動寿命、天候耐性、再充電までに必要とされる時間など、あらゆる点で設計時のパラメータを上回る性能を見せており、定期メンテナンス・チェック中にこのことを発見したインダストリアル・オートマトン社も大満足だったという。
R4は一般市場の購入者たちから好評を博したが、同様に反乱同盟軍の自由の戦士たちからも人気を集めていた。この機種の安価な価格と汎用車両に関する知識が、物資に乏しい反乱軍から重宝されたのである。やがてこのドロイドの円錐形の頭部は、反乱軍基地やモン・カラマリのハンガー・ベイでごくありふれた光景となるのだった。また、なかには非標準装備の磁気漏洩センサーを内蔵しているR4もごく僅かに存在し、これらは帝国軍のデス・スターで大気束縛フィールドの欠陥や弱点の検出作業を行っていた。
大成功を記録したR2ユニットの市場投入以来、インダストリアル・オートマトン社のアストロメク・ドロイド事業は順調に推移していったが、市場での唯一の失敗例となったのがこのR5ユニットである。
R5は明確なターゲット市場や中心となる機能を一切与えられておらず、インダストリアル・オートマトン社としての主張は、R2ユニットの万能性を制限した廉価版であるというものだった。同社があえて新しいドロイドを発表した理由は、消費者がそれを求めていたからではなく、単に開発することができたからに他ならない。だが、当然売れ行きは思わしくなく、悪夢のような第一四半期の売上高は慢心していたインダストリアル・オートマトン社を一気に目覚めさせる結果となった。これは同時に他の企業に対する警笛にもなったのだった。
R5を一言で表現するなら、それは「安っぽい」ということである。しかし、こうした単純な言葉は売り手と買い手によって全く違う意味に解釈されてしまうことがある。売り手はR5を市場で最も高くないアストロメクであると宣伝したが、買い手は全盛期でさえその価格の半分の価値もない、性能の劣った古臭い安物ドロイドだと批評しているのだ。
事実、R5には行動制御マトリクスに度重なる欠陥が確認されており、多くの個体が辛辣で不愉快な性格を現していた。さらに購入者たちからは慢性的なオーバーヒート傾向やサーボ機構の不調、いい加減な振る舞い、やる気の無さといった数々の問題点が報告されている。やがて数シーズンにおよぶ悲劇的な売上を記録した後、インダストリアル・オートマトン社は静かにR5シリーズの生産打ち切りを決定したのだった。
他の多くのRシリーズ・アストロメク・ドロイドと同様に、R5は25キログラムの重さにも耐えられる強力な荷重アームと、1ミクロンの精度で作業を行うことのできる精巧な操作アームを持っている。また、移動には車輪のついた3本の脚を使い、ホロ投影機、溶接機、回転式ノコギリ、消火器などが装備されている点も他のRシリーズと同様である。一方で、初期型モデルに見られたレーダー式の目は、3つの小型光受像装置とセンサーの一式に置き換えられている。
R5ユニットはただ同然の価格で大量に売られているが、単一のハイパースペース・ジャンプにしか耐えられないため、宇宙戦闘機の部品としては役に立たないも同然である。しかし、大胆にも反乱同盟軍は大量のR5を入手し、それらにいくつかの重要なインストール作業や再プログラムを行っている。これらの作業が完了した改造ユニットには、6個や7個、多いものでは10個もの座標計算の組み合わせを起動メモリーに保持できるようになった個体もあるという。
しかし、このドロイドにはまだ性格に関する問題が残されており、また、独自の植木鉢型の頭部が敵のレーザー・キャノンに格好の大きな標的として映ることを嫌うパイロットもわずかながらに存在している。戦闘時に最も信頼できるアストロメクは、依然としてR2ユニットのままなのだ。ローグ中隊の伝説の隊長として知られるウェッジ・アンティリーズも、ボーレイアスの戦いの際に自分のXウィングのアストロメクとしてR5-D2(通称、マイノック)を使っていた。しかし、彼はすぐにマイノックの恐ろしい金切り声に嫌気が差すようになり、このドロイドをメモリー消去するとともにR5-G8(通称、ゲイト)と改名したのだった。
歩行型バッテリーと呼ばれるパワー・ドロイドは銀河系で最も洗練されていない、かつ最もよく見かけるドロイドである。この箱型ロボットは本質的に歩くバッテリーでしかなく、アコーディオンのような2本の細い足を使って動き回る。パワー・ドロイドの役割は他のドロイド、機械、車両、宇宙船にエネルギーを供給することであり、デス・スターや反乱同盟軍のハンガー・ベイのような軍事施設から、タトゥイーンの水分農場のような民間の居住地まで、いたるところでその姿を見ることができる。
1.1メートルほどのパワー・ドロイドは1標準日に大型車両のパワー・セルを数台分、充電する能力を有する。その後、再使用するには内部セルを充電するためにエネルギー貯蔵庫に連結しておかなければならない。また、滅多に気づかれることはないが、多くのパワー・ドロイドが本体正面に小さな操作アームを隠している。このアームは極端に繊細な電子作業を行うときにのみ伸張されるのだ。しかし、パワー・ドロイドがこのような作業を行うのは、他により適したドロイドがいない場合に限られる。
パワー・ドロイドはその目的から強い耐久性が要求され、放射線障害などの災害にも耐えられるよう設計されている。万が一オーバーヒートを起こしたり、極端な高温に晒された場合でも、外装ケースに付けられた小型緊急バルブが締まり、両足からも冷却剤が噴霧される仕組みになっている。
利用可能なパワー・ドロイドには多くの異なる機種が存在しており、ほぼすべてが基本的には同じ構造をしているが、ヴェリル・ライン・システムズ社のEG-6モデルだけは例外である。大半のパワー・ドロイドが移動可能な融合発電機であるのに対して、後発のEG-6はより進化した機種なのだ。EG-6ユニットには、診断ソフトウェア、センサー、赤外線受容器、水中音波探知機、X線スキャナ、分光計装置などが装備されている。
他の人気機種にはインダストリアル・オートマトンのGNKユニットがある。この機種はよく省略して「ゴンク・ドロイド」と呼ばれている。
本来、ピット・ドロイドは緊急時に働くようプログラムされているが、仕事に対する強い情熱が備わっており、必要とされているか否かに関わらず、どんな些細な修理であろうとやりたくてたまらないかのように見える。あまりにも危険なため違法なスポーツとされているポッドレースの世界では、多くの惑星でこのようなピット・ドロイドがレース・チームにとって必要不可欠な存在となっているのだ。多種多様なピット・ドロイドたちが巨大なエンジンや流線型のコクピットの整備に当たっている。これらのドロイドには様々な色のバリエーションが存在し、背丈こそ1メートル程度だが、自分たちの体重の何倍もの機材を持ち上げることができるのだ。
ポッドレースでは高速な乗り物を整備することになるため、極めて大きな危険が伴う。猛スピードのレースでは、常に勝利の次に安全が重要視されるのだ。そのため、自分たちの安全を気遣う必要の無い安価な消耗品のピット・ドロイドがレース場に駆り出され、まだ動いている超過熱したエンジンの整備を行っている。不要になったピット・ドロイドは鼻の上を軽く叩くことによって休眠モードに移行させ、コンパクトに折りたたんだ状態で保管しておくことができる。そして、再び必要になったときは、いつでもすぐに起動させることが可能である。
最も一般的なピット・ドロイドであるDUMユニットは、工業惑星サイリリアで大量生産された製品である。皿型の頭部には他のドロイドとの交信に使用される2本のアンテナが付けられている。また、内蔵されたプログラムのレベルはかなり低いが、それは後で改良することも可能である。一般にピット・ドロイドは低水準のプログラムがなされている反面、仕事に対しては過度の情熱を持っているため、適切な監視が行われていないと短期間に重大な事故を起こす可能性もある。
破損したピット・ドロイドの処分や修理には繊細な処置が要求され、大抵は分解が必要となる。ピット・ドロイドは極めて力が強いため、機能不全の状態はとても危険なのだ。特に電源スイッチが破損したドロイドの扱いには細心の注意を要する。そのため、所有者たちはこうした場合に備えてイオン・ブラスターを所持していることが多い。損傷したドロイドを撃つことによって機能を完全に停止させ、安全な状態で修理を行うのである。
安さと耐久性で知られるPKドロイドの売り上げが伸び悩んでいたため、サイボット・ギャラクティカ社は研究開発部門長のナフトラット・オダーに、新規市場への参入を促した。オダーはソロスーブ社から引き抜かれたばかりのサラスタンであり、無害な小型ドロイドの情報収集能力について考え始めると、頭部ユニットの大半を音響および視覚センサー装置で埋め尽くす作業に取り掛かった。こうしてできた偵察用PKシリーズ(R-PK)の有効性は文字通りに広がり、この機種は企業スパイや傭兵たちの間で大人気となったのである。さらには、数台がハットのいかがわしい取引を通じてタトゥイーンへと運び込まれ、モス・エスパの奴隷商人や奴隷主たちへと即座に転売された。彼らはこの小型ドロイドが埃まみれの惑星の厳しい環境にも耐えられ、かつ所有物の管理に最適な機能を持っていることに気づいたのである。
ロロ=ドロイドの通称で知られるようになった、単一の車輪式移動機、R-PKは、極悪非道な主人たちによく仕えていた。やがて、ある奴隷の子供である少年が、休憩中のデューバックの下敷きとなったロロ=ドロイドを発見し、いじくり回すために家に持ち帰る。この少年こそが当時6歳のアナキン・スカイウォーカーであり、彼にはこの単純なドロイドを再プログラムする才能があったのだ。R-PKの恐るべき用途を発見したアナキンは、このドロイドを徹底的に調査し、奴隷主が検索しても情報を出さないように再プログラムを行った。そして、彼の改造によって、数年の間に17人の奴隷がモス・エスパから逃れることに成功したのである。アナキンがジェダイになるためにタトゥイーンを離れなければ、さらに多くの奴隷が自由を手にしていただろう。皮肉にも彼がいなくなったことで、奴隷たちはドロイドの再プログラムをメンテナンスすることができなくなってしまったのだ。
ポッドレーサーのクラッシュは娯楽に飢えた観衆を大いに沸かせるが、その一方で破壊されたレーサーの破片はコースを更に危険なものに変えていく。こうした残骸を片付けるため、レース運営組織は浮遊型のサルヴェージ・ドロイドを使用している。
全方向性のP-100サルヴェージ・ドロイドは浮遊する収容アームで事故現場に運ばれ、下部のシューターから排出される。1台の収容アームには3体のP-100が収容でき、帽子型のサルヴェージ・ドロイドは多関節の付属肢で残骸を掴んで回収を行う。アームは500キロ以上のスクラップをポッドレース・ハンガーまで持ち帰ることができる。パイロットまたはオーナーが生存している場合、回収から2時間以内であれば壊れたポッドの所有権を主張できるが、それ以降になると競売にかけられるか、あるいはジャワに売り払われることになる。
ポッドレース・カム・ドロイドは、猛スピードで展開されるポッドレースを追跡するようにプログラムされた極めて高速なカム・ドロイドである。このドロイドは小型リパルサーリフト・エンジンを使って移動し、シャッター・スピードの早い高性能カメラとセンサーを搭載している。また、高性能レンズは砂嵐や暗闇の中など、ほぼすべての環境に対応している。このカム・ドロイドは撮影したすべての映像を観客用のビュースクリーン、および競技場内の至るところに設置された大型モニターに送信している。また、特定のポッドレーサーの追跡や、コース内の特定の場所の監視をプログラムすることも可能である。
元老院カム・ドロイドは銀河元老院で開催されるすべての議事を記録するようにプログラムされた小型浮遊ドロイドである。ホヴァーカムは優れたリパルサーリフト・エンジンを使って自由自在に動くことができ、すべての発言を完全に記録するために議事堂内を行き来する。こうした記録はコルサントの元老院ホールに設置されているすべてのビュースクリーンに中継され、同様に他の惑星にある様々な政治組織にも送られている。なかには特定の議員を専門に記録するようプログラムされたドロイドもあり、そのとき他のドロイドたちは全体的な議事録を撮影している。
ナブーを逃れたアミダラ女王を捜索するため、ダース・モールはシス・インフィルトレーターに搭載された数機の球形プローブ・ドロイドを使用した。これらのドロイドはアミダラと彼女を保護する2人のジェダイを探すため、モス・エスパの至るところに出現する。プローブ・ドロイドはダース・モールが付けているリスト・リンクによって制御され、標的を発見後、シス卿へ報告するために帰還した。モールは女王の宇宙船の所在を突き止め、シス・スピーダーでクワイ=ガン・ジンを襲撃する。クワイ=ガンはその場を逃れるが、プローブ・ドロイドの性能はもはや論じるまでも無いだろう。
「ダーク・アイ」の通称を持つシスのプローブ・ドロイドは、高感度光学受像機、磁気映像化装置、熱映像化装置の3つの受像センサーを搭載しており、その全てを駆使して絶えず周囲を観察している。多次元スペクトル受像機とスキャン能力の組み合わせは追跡という目的に極めてよく適応しているのだ。また、このドロイドには個人や情報の捜索をプログラムすることができ、発見した内容を送信アンテナを通じて主人に送ることもできる。
ダーク・アイ・プローブ・ドロイドは静かに観察し、受動的に情報を収集し、通信を傍受し、そして会話を盗聴するようにプログラムされている。また必要であれば、防御や攻撃のため、外部に武器を装着することも可能である。