帝国軍によってなされた最も邪悪な行為を1つ挙げるとすれば、それは間違いなくオルデランの破壊だろう。ベイル・アンティリーズやベイル・オーガナのような尊敬すべき政治家を多く輩出したオルデランは、旧共和国の衰退の時代にあって極めて重要な役割を持った惑星だった。この平和な惑星は戦乱の時代に一切の武力を放棄していたが、それは自らの主義主張を放棄していたわけではない。オルデランは共和国再建を掲げる同盟軍の初期の支持者の1つだったが、高官たちは反乱軍との全ての関わりを注意深く維持していたのだ。
帝国の時代、オルデランはレイア・オーガナ姫を代表として元老院に派遣していた。彼女は政治家としての立場と外交特権を利用して帝国軍による封鎖を通過し、包囲されていた反乱軍部隊に援助物資を提供することができたのだ。しかし、こうした彼女の思いやりと帝国の横暴は、やがてオルデランに悲劇的な運命をもたらすことになる。デス・スターにレイアを捕らえたグランド・モフ・ターキンは彼女に反乱軍の秘密基地の場所を尋問し、見せしめとしてこの惑星を破壊したのである。このとき彼女の養父であるベイル・オーガナ総督も、何十億という国民と共に死亡したのだった。
銀河中心部に位置するオルデランは、銀河の政治と文化、そして探索の中心地として長く栄えていた。オルデランの探査船は数多くある銀河系で最も重要な交易ルートを定期的に往来しており、この惑星出身の入植者はあらゆる惑星に広がっていた。
オルデランには衛星はないが、この惑星は青緑色に美しく輝いており、まさしく平和な社会の原点だった。コルサントを始めとする他の混雑したコアの惑星とは異なり、オルデランの社会では都市の中心地と野生の自然が美しく調和している。この惑星にはキリックと呼ばれる固有の昆虫型種族がいたが、彼らの文明は大昔に滅んでおり、今では草原地帯にキャッスル・ランドと呼ばれる巨大な蜂の巣状の建造物が残されているのみである。
オルデランの地表の大部分は優しく揺らめく大草原である。芸術家たちは注意深く計算された色合いで草木を植え、景色そのものを使った生きた芸術作品を作り上げた。また、サバンナ地帯ではグレイザーやナーフなど、数多くの反芻動物が生態系を作っており、牧畜はオルデランの田園都市における主要な産業にもなっていたのである。
数少ない近代都市はそうした景観を補完するような形で設計されている。オルデラ大陸の地平線にある都市には緩やかにカーブしたきらめく白いビルが並んでおり、緑の芝生と白い雲の間に架かった橋の形を表現している。ここには著名なオルデラ大学もあり、銀河全域から集まった学生たちが自由思想、とりわけ帝国への失望に関する思想を奨励する制度について学んでいた。他の都市は、例えばクレヴァス・シティのように、遠方からはほとんど見えないほど完全に周囲と同化している。
オルデランは一切の武器および軍隊を保持していないが、常にそうであったわけではない。クローン大戦当時、暴力と戦争はオルデランを激しく荒廃させた。その結果、総督兼議長を務めるベイル・オーガナは全ての武器を非合法とし、平和状態を宣言したのである。オルデランは壮絶な再成長期を迎え、その美しさで名声を得ると、「輝ける宇宙の中心地」として絶賛されたのだった。
オルデランの破壊は銀河系に大きな分裂の機運を与えた。銀河内乱において未だに中立を表明していた惑星が、即座に自分たちの立場を明らかにしたのである。帝国の残虐さに怯え、同様の報復を回避しようとする惑星は帝国を支持し、オルデランの破壊に不快感を示す惑星は公然と、あるいは密かに同盟軍を支持するようになった。故郷が破壊されたときに惑星を出ていた居住者たちの多くは即座に反乱軍に参加したが、なかにはオルデランの反乱軍への関与が破壊を招いたと非難し、帝国の熱狂的支持者になった者もいる。生存者たちはホスのエコー基地で巨大なイオン砲を操作していたが、争いを避けて平和な生活を続けることを希望する人々は同盟軍の安全な惑星、ニュー・オルデランへ移住していった。
今日のオルデランの名残りはグレイヴヤードとして知られる小惑星帯がすべてである。オルデランの生存者の多くは愛する犠牲者たちに祈りを捧げ、滅びた故郷の思い出を大切にするために、定期的にこの地を訪れている。
アウター・リムの外れに位置する惑星ヤヴィンは、同名の星系に属するオレンジ色のガス状巨星である。直径はおよそ200,000キロメートルで、周囲に強い磁場を形成していることが知られている。この惑星はヤヴィン星系の最外郭を周回しており、多くの衛星を従えているが、人間が居住可能な衛星は3つだけである。太陽からの反射光のため、ヤヴィンは内部からの光で輝いているようにも見える。主に水素とヘリウムからなる大気の厚さは約65,000キロメートルあり、荒れ狂う暴風は時速600キロメートルを超えることも多い。
信じられないことに上層の大気圏には数種類のガス袋状の生物が棲息しており、1世紀に1度繁殖しているという。そのほとんどは漂っている藻類を食べているが、他の動物を捕食する生物も数種類存在している。金属でできた惑星のコアには極めて大きな圧力が掛かっており、凍った液体に厚く覆われている。そして、この氷の層の中にも平面状の爬行生物が多く生存しており、他の生命体ならば押し潰されるような圧力に耐えているのだ。この圧力は非常に強く、炭素と金属水素が圧縮されてできたコルスカ・ジェムと呼ばれる素晴らしいクリスタルができるほどである。ヤヴィンのコアだけにできるこの宝石は内部からの発光で美しく輝き、銀河系で一番固い物質としても知られている。
ガス状巨星ヤヴィンは多くの衛星を従えているが、人類の居住が可能な衛星は3つに限られる。およそ4,000年を経て2度行われた、銀河系の運命を決する歴史的な戦いの舞台となった第4衛星もその1つである。この衛星に生い茂ったジャングルには、その凄惨な歴史の傷跡が深く刻まれている。
ヤヴィン4は地下火山の活動が活発な若い衛星である。地表の69%は4つの大陸に分かれた陸地であり、1つの内海と6つの大洋が残りの表面を覆っている。これら4つの大陸にはウェティン・コロニーから来た探査隊によってそれぞれ、スターロフト、スウィヴン、クーズ、ウェティンと名付けられたが、それはわずか数十年前のことだった。
この衛星はガス状巨星の周囲を公転しているため、2つの異なる夜を演出する。太陽が沈んでもガス状巨星がまだ頭上にあるときは、ジャングルがパステル色に輝く黄昏の夜を見せ、太陽と惑星の両方が沈んだとき、または惑星が太陽を覆い隠したときは、本当の闇夜に包まれるのだ。また、ヤヴィン4では数ヶ月おきに雨季と乾季が繰り返され、とても長い夜が訪れる。すると激しい嵐が発生し、気温が急激に下がることも多い。さらにもう1つ、「虹の嵐」と呼ばれる美しい現象もある。これはヤヴィンの端から太陽の光が差し込み、惑星の上層の大気を通過するときに発生し、そこで分極された陽光が衛星の上層大気にある氷の結晶で屈折され、虹のシャワーが降り注ぐのである。
ヤヴィン4の紫色の樹皮をしたマサッシの木のジャングルは、数多くの野生生物に溢れており、その中にはウーラマンダー、ピラナ=ビートル、クリスタル・スネーク、スティンガー・リザードなどの恐ろしい肉食動物も多く含まれている。このジャングルの中には獲物を探す獣たちの雄たけびが昼夜を問わず木霊しており、静寂が訪れることは決してない。また、ジャングルの中に点在する数多くの建造物はマサッシ神殿と呼ばれる古代遺跡である。そのうちのいくつかは後年になってサラスタンの自然学者ドゥルーン・ウーンによって名前を付けられた。主なものは大神殿、ウーラマンダーの宮殿、ブルーリーフ星団の神殿などであり、そのほとんどが地下のトンネル網で相互に繋がっている。しかし、現在ではこれらの神殿の起源を知っている者は誰一人として存在していない。この遺跡は遥か昔の忘れられた大戦の名残りなのである。
同じくこの星系で反乱軍と帝国軍の戦いが起こるおよそ5,000年前、ハイパースペース大戦の最中に敵軍から逃れたシスの追放者ネイガー・サードーは、ヤヴィン4にたどり着く。そこでサードーは弟子たちに、シス魔術の研究のための大規模な神殿を作るよう命じた。熟練した錬金術師である彼は乗り物をシスの炎の神殿の地下深くに隠し、シスの魔術と錬金術を用いてマサッシと呼ばれる戦士たちを作り上げる。マサッシは突然変異した古代シスの末裔であり、新しくできたシスの神殿の守護を命じられたのだった。
やがてサードーは死んだが、マサッシは繁栄を続けており、彼らは古風な武器の威力を増加させるためにフォースのダークサイドを利用する誇り高い部族へと進化していた。そしてサードーの死から1,000年後、ヤヴィン4にエグザ・キューンと名乗る1人の若いジェダイが現れる。彼はダークサイドの研究をしており、この星を訪れたのもシスの教典を探してのことだった。古代シス卿となったキューンはマサッシたちを奴隷とし、シスの力の焦点とするべくさらに新しい神殿を作らせる。そしてシス大戦の絶頂期、彼は20人のジェダイをこの衛星に招き、彼らを古代シスの邪悪な魂に感染させた。彼らを支配下においたキューンは、前人未到のジェダイの大虐殺を行ったのである。
その後、ウリック・ケル=ドローマが数千のジェダイを引き連れて報復に現れた。敗北を覚悟したキューンは自らの生命エネルギーを神殿の壁の中に封印し、その守護者とするために数千のマサッシを殺害する。しかし、ジェダイの軍勢は誤ってジャングルに火を放ち、キューンの肉体と共にジャングルとマサッシの生き残りのほとんどを灰にしてしまった。その後、マサッシは絶滅し、この壮絶な戦いを見たものは残された神殿だけとなっている。
シス大戦の終結から約4,000年の間、ヤヴィン4は銀河系から無視された存在だった。しかし、ダントゥイーンの秘密基地を放棄した同盟軍にとって、これはむしろ理想的な環境だった。名将ドドンナ将軍はこの呪われた衛星の大神殿に新たなる基地を設立し、ルーク・スカイウォーカーらの活躍によって帝国軍に初の大打撃を与えることに成功する。そしてエンドアの戦いで帝国が滅び、新共和国の時代となると、ルークはこの衛星にジェダイ・アカデミーを設立してジェダイ・オーダーの再興を目指すようになるのだった。
しかし、この衛星に平和は長く続かなかった。4,000年の時を経てエグザ・キューンの魂が蘇り、アカデミーを脅かしたのである。キューンの圧倒的な邪悪の力の前にルークも一度は魂を奪われてしまうが、ジェダイ訓練生たちは力を合わせ、古代シス卿を再び滅ぼすことに成功する。さらにその後も、再起を図る帝国軍のスター・デストロイヤー艦隊の脅威に晒されるが、アカデミーはなんとか苦難を乗り越えた。しかし、最後の脅威となったユージャン・ヴォングの侵略軍は、退けることができなかった。ヤヴィン4は完全に征服され、ジェダイ候補生たちは放浪を余儀なくされたのである。
ホスは同名の青白い恒星を巡る第6惑星である。この惑星の軌道には混沌とした広大な小惑星帯が広がっており、その瓦礫が流星となって頻繁に地表に降り注いでいる。ホスは極端な地軸の傾き、気圧の低さ、太陽からの距離などの条件によって極寒の惑星となっており、人類の生存が非常に難しい惑星である。日中でも平均気温は-32℃ほどであり、夜になると-60℃にまで下がってしまう。さらに風も強いため、実際にはもっと寒く感じることも多い。この惑星にはワンパやトーントーンなどの極限られた生態系も存在しているが、こうした土着生物にとってもこの寒さは天敵となっている。
ホスの地表は完全に氷に覆われているが、氷河地帯のあまり知られていない場所には蒸気を吹き出す火山性の断層や天然資源の埋蔵された鉱床など、実に様々な地形が存在している。また、永久氷を貫いているいくつかの山脈の中には活火山も含まれている。
ホスには赤道に沿って数百メートルもの深さに及ぶ氷の断層ができており、その下には未知の世界が広がっている。青白い太陽の光さえも決して差し込まないこの場所に生い茂っているラムニ・スパイスと呼ばれる貴重な菌糸類は、犯罪組織の間で高価に取引きされている。同盟軍がこの惑星の北半球に秘密基地を設立する以前には、ラスカーと名乗る海賊の首領がこのスパイスの採集を試みたが、ドラゴン=スラッグと呼ばれる生物に追い払われてしまったという。他にもホスの雪原には小型囓歯類などが徘徊している姿も希に見ることができる。
ホスの南半球では氷の下で大洋が激しく流れており、無名の3つの衛星の引力によって満潮時には氷の層を押し上げ、凍てつく地上にジェット水流を吹き上げる。そして、これらの激しい水流はすぐに凍ってしまい、巨大な氷の塔に姿を変えるのである。こうしてできた氷柱には海藻が付着していることも多く、それらを捕食する虫が沢山の穴を残していく。一方で、このホスの内側を回る5つの惑星にはまったく生命が存在していない。
ダゴバはアウター・リムのスルイス・セクターに属する同名の星系の第1惑星である。しかし、この惑星は最近の星図や航行記録には所在が記載されていないため、実際に訪問しようとした者はほとんどいない。この星系には文化的な宇宙港も近代技術の便も一切なく、公式記録も不完全なままである。かつては植民地化も試みられたが、すべて失敗に終わっており、呪われた惑星とさえも言われている。事実、ダゴバはプファッシュで暴動を起こしたダーク・ジェダイが逃走した惑星であると言われており、隣接する星系からも不気味な孤立惑星という印象を抱かれている。彼らの多くは未だこの惑星にダーク・ジェダイの力が残っていると考えており、まるで伝染病を恐れるかのようにダゴバを避けているのだ。
厚い雲に覆われたダゴバは原始的なジャングル惑星であり、あらゆる種類の動物や鳥類、昆虫、植物が栄えている。地表の大部分は鬱蒼とした悪臭を放つ沼地に覆われているが、その中にもドラゴンスネークなどの極めて危険な生物が生息している。この惑星は人類の居住には適しておらず、何度か探索が行われたが成功した者は1人もいない。無事に帰還したわずかな人々はダゴバの圧倒されるような大気を「感知可能な悪魔」であると語っている。
ごく僅かにしか知られていないが、共和国末期に活躍したジェダイ・マスターのヨーダが帝国に追われ、逃走した惑星がダゴバだった。この孤立した危険な惑星は隠遁生活に最適な場所であり、彼は巨大な沼地の中央に造られた小さな住居から、銀河で起こっている恐ろしい出来事を眺めていたのである。やがて、彼はここを訪れたルーク・スカイウォーカーにジェダイの訓練を行うことになる。これはヨーダの長い人生における最後の、そして最も重要な任務だった。
今となっては、かつてヨーダがこのダゴバの沼地に住んでいたという面影はほとんど残っていない。住居跡には植物が生い茂り、特に苔や蔓状植物によって大きく虫食まれている。ヨーダが使っていた金属製のポットなどは腐敗こそしていないが、苔類が大量に生えており、もはや誰にも探索できない状態になっている。彼はジェダイの知識に関する記録やデータパッドなどは何も残していなかった。ただ1つ彼が残していったものが、ルークに与えた修行なのである。
ヨーダは死んだが、彼の記憶はルークの心の中でずっと生き続けていた。そして、プファッシュのダーク・ジェダイの話を聞いたとき、ルークはスルイス・セクターを脅かしたダーク・ジェダイがこの惑星で最期を迎えたことを確信する。しかし、それが誰によって行われたことなのかを示す記録は残されておらず、ダゴバには恐怖が過ぎ去ったという事実だけがあった。ルークはヨーダとダーク・ジェダイが戦ったと推測し、光と闇のフォースの頂点に立つ2人の壮絶な戦いに身震いしたのだった。彼はダゴバにあるダークサイドの洞窟がダーク・ジェダイの死による影響を受けたものだと推測している。
ルークはなぜヨーダが皇帝やダース・ヴェイダーの目から逃れられていたのかも不思議に思っていた。しかし、その答えもこの洞窟にあったのである。ルークは、ヨーダのもつ強力なライトサイドのフォースとダーク・ジェダイの持つダークサイドの力が互いに干渉し、打ち消しあっていたのだと確信している。すなわち、ダーク・ジェダイの洞窟がヨーダを守っていたのだ。
ガス状巨星のベスピンは、アイソン・コリダーのコレリアン交易スパインに接する同名の星系の第1惑星である。渦巻くピンクと紫のガスに包まれたベスピンは不毛の惑星アノートの近くに位置しており、アイソン・コリダーの商業が活発な地域からはやや離れている。多くのガス状巨星と同様にこの惑星も多くの衛星を有しているが、なかでもハガードとドゥルドーナは「双子衛星」と呼ばれるほど有名である。また、この星系には他にも2つの惑星マイザーとオーリンがあり、ヴェルサー・リングと呼ばれる小惑星帯も知られている。
ベスピンの直径はおよそ118,000キロメートルで、コアの外側に3層の殻構造を形成している。半径約6,000キロメートルのコアは固い金属でできており、その上を22,000キロメートルの深さを持つレシンと呼ばれる液体の海が覆っている。この液体レシンは極端な高温高圧によって金属的な性質を示しているが、その外側を30,000キロメートルの厚さで満たしている気化レシンは、もはや金属ではない。しかし、この位置でも気圧は大型艦船を潰してしまうほど高く、温度も痛烈である。さらにその外側は1,000キロメートルほどの厚い雲の層になっている。雲の層の最深部は液化したレシン海に接しており、温度は6,000標準度にも及ぶ。
大気と宇宙空間との接点から150キロメートル下方にある約30キロメートルほどの厚さの帯状部分には、ベスピンの様々な生態系が広がっている。植物では主に藻類が空中を漂っており、肉食獣のベルドン、ヴェルカー、グローワー、ピンク、オルデラニアン・スランタなど、数多くの飛行性動物も棲息している。一方で、この惑星に固有の知的生命体は確認されていない。
このライフ・ゾーンでは温度、気圧、酸素濃度などが人間の生活にも完全に適している。そのため、ここでは古くから積極的な採鉱者たちが浮遊型採鉱都市を建設しており、価値のあるガスの抽出に専念しているのだ。こうしたベンチャー事業のなかで最も有名なものが、ティバナ・ガスの採鉱植民地として建造されたクラウド・シティである。銀河内乱の最中、クラウド・シティはランド・カルリジアンの管理下にあったが、末期には帝国軍の駐屯部隊に征服されてしまった。しかし、エンドアの戦い以後に解放され、ベスピンは自由を取り戻している。
ベスピンのライフ・ゾーンに起こる主な災害は、惑星の表層を横切る激しい嵐である。だが、ベスピンを覆う雲には多くの財宝が溢れており、特に精錬された様々なガスは貴重かつ高価な宝石の原料となることが知られている。また、この惑星はスピンシールド・ティバナ・ガスの天然工場でもある。ティバナ・ガスは他の場所でも採鉱されるが、確実な利用価値が得られる工業的スピンシール製法を導入するには莫大なコストが掛かってしまう。しかし、ベスピンの大気エネルギーはティバナ・ガスを分子レベルで自然のまま自動的にスピンシールしてくれるため、ベンチャー企業に多大な利益をもたらしているのだ。
アウター・リムの端、モッデル・セクターに属するガス状巨星エンドアは、銀河の主要なハイパースペース航路から遠く離れた無名の惑星だった。この惑星は周囲に複雑な重力井戸を形成しており、星図にも記されていないことから、近づくことさえ容易ではない。そのため、繁栄を続けてきた銀河の歴史のなかで見落とされた存在だったのである。しかし、このことは帝国軍が秘密要塞の建造地として利用する際に好都合だった。帝国軍はこの惑星の9つの衛星の1つ、同名の森林衛星の軌道上で第2デス・スターを建造し、銀河内乱の最後の決戦地とされて以来、この星系は銀河系で最も著名な場所の1つとなったのである。
帝国軍によって「聖なる月」というコードネームが与えられたエンドアは、この宇宙の闇の中でひときわ明るく輝く緑豊かな衛星である。川は古代から生い茂る樹木の厚い天蓋を経て曲がりくねり、大地や低い山々を覆う森林は空を突き抜けるかのように高くそびえ立っている。地表の大半は森林に覆われているが、サバンナ地帯や砂漠、さらには氷雪地帯も存在している。
この衛星は気候も温暖なことから無数の生命に溢れており、なかにはイーウォック、ヤズム、ゴラックスなどの知的生命体も少なくない。なかでもイーウォックたちは「生命の木」と呼ばれる神格化された樹木の上で、部族ごとの集落を築いて生活しており、原始的な儀式を伝承しながら繁栄している。しかし、森林にはボア=ウルフなどの凶暴な肉食獣も数多く棲息しており、夜間になると無数の猛獣たちが獲物を求めて徘徊する死の狩猟場と化すのである。
一方で、イーウォックたちの森から西へ向かうと溶岩石が散在する大草原が広がっており、俗に「ドラゴンの皮」と呼ばれている。その彼方に見える雪を頂いた山脈は「ドラゴンの背骨」である。この大草原で暮らすヤズムたちは主に小型の齧歯類を狩猟し、食料としている。
美しい緑の衛星エンドアは銀河帝国の終焉の地であり、パルパティーン皇帝とダース・ヴェイダーの墓標でもある。そのため、この星系の周辺には未だに多くのダークサイドのエネルギーが漂っていると言われている。