ジャビムは手遅れとなるまで共和国に無視され続けてきた惑星である。この惑星はおよそ3,000年にわたって銀河共和国の一部であり、コルサントにしかるべき税を納めていたが、それでも災難に襲われた際に共和国から保護してもらったことは一度としてないのだ。ブレインロットの疫が猛威を振るったときも、多くの市民が犠牲となった。多弁なトランドーシャンの強盗団が侵略してきたときも、何も対策がなされぬまま彼らの土地が奪われている。さらには、リシアン海賊団が彼らの小規模な集落を包囲したこともあった。これらに共通して言えることは、あらゆる事件や災害で、常にジャビマイトたちは自衛を強いられていたということである。
こうした背景もあり、ジャビム評議会の多数派政府がクローン大戦において独立星系連合側の支持に回ったことも当然の結果だった。政府内には異を唱える保守派議員もいたが、カリスマ的なアルト・ストレイタスがジャビマイトによる共和国脱退運動の人気指導者として選出される。彼は共和国の背信に関する過去の記録を引用し、民衆の支持を煽り立てた。彼は共和国に対して反旗を翻すことを要求したのである。
事態を重く見た共和国はオルデラン外交団を派遣して交渉に当たらせるが、それも敢え無く拒否される。ジャビムは既に戦争の準備を進めていた。共和国も近隣のハンドゥイーンに軍を配置し、攻撃準備を開始する。この作戦にはオビ=ワン・ケノービ将軍が前線司令官に任命されていた。ジャビムは高価な鉱物資源が豊富に埋蔵された惑星であり、共和国としても分離主義勢力の手に渡すわけにはいかなかったのだ。
ジャビムは絶えず雨の降り続けている惑星であり、降水のない日数は1標準年で5日以下である。そのため地表はぬかるみ、雨の重さで絶えず形を変えている。ジャビムでの戦闘は困難を極め、兵士たちは敵だけでなく、厳しい環境との戦いまでも強いられることになる。同様に上空も大気中に静電気が蓄積されて不安定な状態になっているため、共和国軍は航空支援を期待することができない。代替策として、地上部隊はAT-XT、AT-TE、AT-ATなどの歩行兵器に頼ることになる。
一方で、この雨や泥にまみれて生活していたジャビマイトたちは、極めて効率よく戦うことができた。ニンバスと呼ばれるアルト・ストレイタスのエリート衛兵部隊は特殊なリパルサーリフト・スケートを使用し、シロップのような泥の上を素早く滑走することができるのだ。これらはその後の戦闘でもかなり効果的な武器となる。さらにジャビマイトは独立星系連合から装甲服や戦闘用ドロイドを供給され、戦闘開始からわずか2週間で共和国側のシェルター基地を壊滅させたのだった。一時はケノービ将軍もこの攻撃で戦死したと報じられ、彼の弟子であるアナキン・スカイウォーカーが同じように師を失った「孤児の」パダワンたちを率いて、ジャビマイトに対する攻撃を行う場面もあった。
最終的にストレイタスは敗北したが、彼の炎のような演説がホロネットに漏洩し、連合側は彼の言葉を多くの惑星に伝えることができた。これによってますます多くの惑星が分離主義勢力に加わり、共和国に対する反乱を開始したのである。
ヤヴィンの戦いのおよそ30年前、惑星ゾナマ・セコートはティングル・アームの先端のガーダージ・リフトに存在していた。この惑星の大きさは直径およそ11,000キロメートルほどしかなく、3つの恒星に近接していることから、初期の入植者たちも独自の3点式羅針盤を開発している。旧共和国の記録を調べても、この星系に関する情報はおよそ200年前の時点から更新されていない。だが、多くの人々はそれを共和国のデータベースが混乱をきたしているだけだと信じているのだ。
ゾナマ・セコートは黄色い太陽の周りを回っていたが、この星は別の赤色巨星と白色矮星と重力的に連結しており、独自の3連星系を構成していた。後者の2つの星は惑星の空に壮大な光の歯車を描いていたという。だが、こうした珍しい状況下に存在していたにも関わらず、この星系はガーダージ・リフトのガス塊に囲まれていたため、発見することが非常に困難だったのだ。ゾナマ・セコートの原住民たちも惑星の位置を秘密にしておこうと懸命に努力しており、外界からの訪問が許されるのも、招待された者たちだけだった。
ゾナマ・セコートは極めてフォースの強い惑星である。また、この惑星には古くからいくつかの集団が入植しており、住人たちは非常に高速な宇宙船を作ることで知られていた。そして、この惑星は深い密林に覆われており、こうしたジャングルも惑星の位置に応じて動き、適応しているかのようである。
ナブーの戦いのおよそ60年前、フェローアンとランゲシという2種類の人々がゾナマ・セコートへ入植した。この惑星の初代導師レオア・ハルは、平和を維持し、種族ごとの能力を惑星にとって有益となるように使うべく、フェローアンを高地に、ランゲシを低地に居住させたのだった。惑星の名前を最初に与えたのもレオア・ハルであり、それはフェローアンの言葉で「肉体と精神の惑星」を意味している。ゾナマは惑星の物質層を表し、セコートは惑星の生物層を表しているのだ。また、この惑星はここを訪れた多くの人々からグリーン・ランドとも呼ばれていた。
この惑星は本質的に生きているが、初代導師は、これを惑星上で実体となって現れるポテンティアムの意思に過ぎないと信じていた。彼は自分と惑星との絆が実際に惑星に自我を芽生えさせ、その自我であるセコートが天候から成長と死に至るまでの万物を支配するようになったことに気づいていなかったのだ。
ナブーの戦いの直後、ゾナマ・セコートは二度にわたって外からの攻撃を受けた。最初の攻撃は、新しい故郷となる惑星を求めて既知銀河系の外からやってきたファー・アウトサイダー、すなわちユージャン・ヴォングの一団である。この惑星ははるか昔に失われたユージャンターと酷似した方法で生きており、彼らにとってまさに完璧な標的だったのだ。ゾナマ・セコートは新しい自我を使って、ユージャン・ヴォングとの交渉を試みた。だが、ユージャン・ヴォングによって植えられたものは、ゾナマ・セコート固有の生態系によって完全に滅ぼされてしまい、彼らはその事実を自分たちへの欺きであると認識したのだった。ユージャン・ヴォングはゾナマ・セコートへの攻撃を開始したが、それはジェダイ・ナイトヴァーゲアの助けによって退けられる。しかし、惑星は南半球を大きく損傷し、完治するまでに1年の月日を要したのだった。
二度目の攻撃は、パルパティーン元老院議長にこの惑星とその脅威的な造船所を差し出すべく、この惑星を征服しようと考えたウィルハフ・ターキンによるものである。だが、住人たちはなんとかターキンの小規模な軍隊による攻撃を退けることに成功した。一部の人々にしか知られていないが、セコートの意思のもと、フェローアンとランゲシは惑星の地殻の下に巨大なハイパードライブを建造しており、このときゾナマ・セコートはターキンの艦隊からの攻撃を避けるため、惑星ごとハイパースペースへと逃れたのである。その後、何十年にもわたってこの惑星は誰にも目撃されておらず、新たなる定住地を求めて銀河系をさまよっていたのだった。
やがて、この惑星は一塊のハイパースペース異常の裏に隠されたクラッセ・エフェモラ星系に留まった。そして、ユージャン・ヴォングによる銀河系への侵略が佳境に差し迫ったとき、この惑星は再び位置を変えていた。そのころ、ゾナマ・セコートの存在を知ったルーク・スカイウォーカーとジェダイ・ナイトたちは、この惑星こそがユージャン・ヴォングとの長い戦いを終わらせる鍵であると考え、その所在を求めて未知領域へと旅立っていく。そして彼らがついにこの惑星を発見したとき、ゾナマ・セコートはどうにかユージャン・ヴォングの攻撃を撃退しており、ジェダイの一行を到着させたのだった。
その後、セコートはジェダイの一行がこの惑星にやってきた本当の理由を探るため、彼らに一連の尋問を行い、最終的にはユージャン・ヴォングとの戦争を終わらせる手伝いをするべく、ジェダイと共に既知銀河系へ帰還することに同意する。だが、タヒアリー・ヴェイラ、コラン・ホーン、そしてユージャン・ヴォングのネン・イェム、ハラー、ユシャアの突然の訪問によって、この戦争に勝利する望みはほぼ完全に失われてしまうのだった。タヒアリーはダゴバで出会ったシェイムド・ワンのハル・クァットに、この惑星を見つけると約束していた。だが、ユシャアの正体はノム・アノアであり、その目的は最高大君主シムラをも恐れさせるゾナマ・セコートを破壊することだったのである。彼は地下深くに埋められた惑星のハイパードライブ・システムの神経網に進入し、システムに過負荷を引き起こさせるための培養機をセットした。だが、セコートはなんとか培養機を発見し、それを除去する。ゾナマ・セコートは爆発を回避し、行き先を定めずに再びハイパースペースの奥へと消えていったのだった。
このときのジャンプは惑星の地表に甚大な被害をもたらした。大陸はほとんど壊滅し、住人たちも地下へと逃れることを強いられたのだ。だが、やがてセコートは惑星の制御を取り戻し、コルサントの近郊へとジャンプすることで、ユージャン・ヴォングとの戦争を終わらせる努力を継続させる。セコートは惑星をコルサントの太陽を覆い隠す位置に移動させ、その重力でレインボー・ブリッジを破壊すると、コルサントの3つの衛星を押しやった。そして伝説の生きた惑星の突然の出現によって、ユージャン・ヴォングの軍司令官たちは攻撃中だったモン・カラマリから撤退し、シムラとその旗艦<シタデル>を守るべく、コルサントへと帰還したのである。
ゾナマ・セコートは戦いの中心地から距離をおき、セコータン・スターシップに接続されたジェダイたちに、ただ防衛のため飛ぶことを強要した。そして、シムラがこの惑星を滅ぼすためにアルファ・レッド・ウイルスに感染して死んだコーラルスキッパーを送り込んできたことに気づくと、セコートは「戦わずして戦う」という当初の計画に立ち戻ったのである。セコートはすべてのセコータン・シップを使用不可能な状態とし、上空で発見された船をすべて地上に着陸させるため、牽引艇の大軍を配置した。導師ジャビサは惑星に残っていたジェダイたちに、ゾナマ・セコートはユージャン・ヴォングにこれ以上の危害を加えるのではなく、彼らの故郷となる道を選んだのだと告げる。実は、この惑星こそは、遠い昔に滅んだとされるユージャン・ヴォングの故郷、ユージャンターの破片から生まれた「子供惑星」だったのである。そして、シムラとオニミが死亡すると、ユージャン・ヴォングは銀河同盟軍に対して降伏を宣言したのだった。
ジェダイ・ナイトたちは成立したばかりの銀河同盟を説得し、生き残ったユージャン・ヴォングがゾナマ・セコートに定住することへの許可を求めた。ゾナマ・セコートの親惑星を故郷とする彼らこそが、他のどんな種族よりもこの惑星を第2の故郷とするに相応しい存在だったのだ。銀河同盟がそれに同意すると、任務先から戻ったユージャン・ヴォングが次々とゾナマ・セコートに到着した。やがて、セコートはゾナマを連れて再び未知領域へと逃れていく。セコートは、未知領域であれば、この惑星とユージャン・ヴォングが外界の影響を受けることなく、再び分かり合えるようになるだろうと考えたのである。
タインズ・ホーキーは銀河系の辺境に位置する小さく平穏な鉱山惑星である。この惑星の経済は、ケッシェルと呼ばれる貴金属によって成り立っている。さらに、この惑星ではより希少なナーゴン14という揮発性の高い物質も産出されており、これは帝国軍のプロトン魚雷の原料として使用されている。
タインズ・ホーキーの小さな鉱山の街では、多くの給仕ドロイドや採鉱ドロイドが徘徊している姿を見ることができる。また、こうした街の広場では定期的にドロイド・オークションも開催されている。
帝国の初期のころ、この惑星は犯罪活動の拠点として十分に有益な場所だった。タインズ・ホーキーを取り仕切る犯罪王として有名な人物はクレブ・ゼロックである。また、タムズ=アンの邪悪な高官ザテック=チャがモン・ジャルパ王子の記憶を消去したときも、彼は王子をアンドロイドに変装させ、タインズ・ホーキーに遺棄したのだった。
タムズ=アンは2重の輪を持つ惑星である。この惑星には故郷と同名の背の高い紫色の肌をしたヒューマノイドが原住しており、彼らは君主制国家を形成している。帝国の初期の時代、邪悪な高官がモン・ジャルパ王子の記憶を消し去り、彼を追放することで王座を乗っ取るという事件があった。だが、後に真の王子であるジャルパが自らの地位に復帰し、王位を奪回している。
ジャルパの次の行動は、タムズ=アンの2つの種族がいがみ合う紛争の時代に終止符を打つことだった。ジャルパの王国は紫色の肌をしたヒューマノイドによって構成されていたが、一方でトーダ卿の支配する辺境地域には青い肌をしたヒューマノイドたちが居住していたのである。だが、ターヌンガ近郊から現われた海賊ガー・カイボ・レン=チャによる脅威に立ち向かうため、両種族は互いに手を取り合うことができた。このとき2つの文化がその差異を押しやることで、タムズ=アンの統一が果たされたのである。
信頼できるハイパースペース航路から遠く離れたダントゥイーンは極度に孤立した惑星である。しかし、温暖な気候と豊富な生態系および水資源に恵まれているため、この惑星はごく最近まで植民惑星として理想的な存在だった。だが、様々な出来事によって、ダントゥイーンは平穏な未開の惑星になってしまっている。
ダントゥイーンの陸地の大部分は草の多いサバンナ地帯であり、そこには緩やかな傾斜の丘や幹が太く枝がぎざぎざしたブルバの木が点在している。草原の上では毛の多い草食動物たちが小さな群れを作って徘徊し、空には輝く風船のような生物の群れが飛び回っている。なかにはときどき針のようなブルバの枝に引っかかってしまうものもおり、すぐさま肉食性のカタツムリのような生物の餌食にされてしまう。
ダントゥイーンの気候は1年を通して比較的乾燥しているが、春に訪れる雨季だけは例外で、激しい雨が埃っぽい大地をぬかるみに変え、普段は緑茶色の草原を淡い上品なラベンダー色に変えてしまう。また、海岸に沿った山脈によって海からやって来る水分のほとんどがせき止められてしまうため、結果的に草原地帯は海岸線に沿って細い帯状に広がっている。
ダントゥイーンに原住する唯一の知覚生物として知られるダンタリは、海岸線を放浪する遊牧民族として繁栄している。しかし、以前にこの惑星を訪れた人々は基地や植民地の設立に夢中で人類学の研究などには全くの無関心だった。そのため、平和な彼らのことを知る者はほとんどいない。
ダントゥイーンには2つの月があり、よく同時に頭上に登るが、大気のかすみによって大きい方の月はラベンダー色の光を発し、小さい方は緑色の光を注いでいる。
ダントゥイーンは過去数世紀にわたって様々な開拓者を迎え入れており、比較的最近にも2つの団体が開拓に訪れたが、現在は両者共に姿を消している。最初の1つは秘密基地を設立するために訪れた反乱同盟軍であり、彼らはこの惑星の孤立した環境を活かして初期の軍事司令基地として利用していた。この放棄された秘密基地はレンガで造られたプレハブ施設であり、広大な平原の上の川からもそれほど遠くない場所に建てられていた。基地の両側にはXウィングとYウィング用の地上ハンガーも用意されていたが、その後は激しい春の雨や様々な野生動物の進入に何年もさらされ続けたため、大きく損傷を受けている。
2番目の入植者は新共和国の援助を受けてやって来たイオール・シャーの難民たちだった。彼らは旧反乱同盟軍の秘密基地跡地からそれほど遠くない場所に植民地を築き上げ、新共和国から受け取った新型プログラミング装置や農業ドロイドを用いて豊かな生活をおくっていた。その後も新共和国の技術者たちが訪れ、開拓の援助や軌道航行施設の建設などを行っていた。
しかし、新共和国への反攻を決意したダーラ提督率いる帝国艦隊がその声明発表としてダントゥイーンへの急襲を実行したのはその直後のことだった。イオール・シャーの難民たちは帝国軍のウォーカーによる地上攻撃によって一瞬にして壊滅し、植民地の痕跡は焼け爛れた大地を残して完全に消失してしまったのである。
惑星ナル・ハッタを巡る最大の衛星ナー・シャダーはエヴォカイたちの新しい故郷となっていた。ナー・シャダーの気候はハットにとってそれほど快適でなかったため、彼らはエヴォカイがこの衛星で平和に暮らすことを許可したのだという。エヴォカイたちには知られていないが、ハットの指導者が譲渡人を買収したからこそ、エヴォカイたちは下級労働者としてこの星系に残ることができたのである。したがって、エヴォカイは自分たちの伝統的な生活スタイルを作り上げようと努力していたが、ナル・ハッタの経済力が発展するに連れて、ハットに次々とナー・シャダーの土地を奪われていった。当然、ハットは契約書の中に抜け道を用意しておいたので、この横暴も完全に合法的なものだったのである。ハットの産業はますます発展し、同時にエヴォカイたちはさらに食い物にされていった。ついに彼らは隠れた最下層トンネルや郊外での廃れた生活を強いられるようになってしまったのだ。
かつてこの星系は銀河系でも重要な宇宙港として栄えており、その面影を見せる建造物は今でも残されている。ナー・シャダーの補給塔は軌道にまで達し、修理ドックや積荷ドックも地表から突き出していた。数世紀前には何重にも階層を組まれた垂直な都市が地上を覆い尽くしていたのである。一方で下層区画は次々と腐食していき、上層区画に移住する余裕のない人々は徐々に忘れられていったが、その中にはミュータントとなったエヴォカイの子孫も含まれている。
もちろん、銀河の流行は時と共に変化し、ナー・シャダーもその例外ではない。かつてのナー・シャダーは産業と商業の活気溢れる大都市であり、豪華客船や大型貨物船、採掘船などが修理、補給、停泊などのために定期的に入港していたが、それももう大昔のことである。最後に行われた貿易航路の再編成によって合法的な利用客はほとんど離れてしまい、逆に犯罪者や奴隷商人、ドロイド、スパイス商人の巣くつとなってしまった。ナー・シャダーの栄光の日々は歴史の渦中に忘れ去られてしまったのである。
現在のナー・シャダーは主要なハイパースペース航路や貿易航路から遠く離れており、まさに銀河の経済発展の犠牲となっている。しかし、当局の関心をできるだけ避けたい人々には絶好の隠れ家でもあり、実際にハットの犯罪組織などが本拠地を構えていても、まったく問題視されていない。かつて裕福な輝ける宝石と呼ばれたナー・シャダーも、今では銀河の悪党たちが巣食う汚らわしい隠れ家でしかないのだ。
ナー・シャダーで行われている事業で最も重要なものは密輸であり、そのことからもこの星はよく密輸業者の月と呼ばれている。銀河の商業の中心地からも遠いため、密輸業者の一団は帝国の星図にない場所で貨物輸送中継地点や輸送航路の網を選んでいるのだ。ここでは闇市場でスパイスから盗難宇宙船まで何でも手に入り、一日中何千もの船がそれぞれのドック区画へ向かって空を飛びまわっている。それぞれの区画はパイロットや賞金稼ぎ、海賊など、あらゆる種類の人々にそれぞれ独自の反響を呼んでいる。
ハットの起源は惑星ヴァールにあると言われているが、伝説によるとこの惑星は2つの太陽を持つ緑に恵まれた惑星だったという。ハットたちはその2つの太陽がブラックホールと衝突し、これによって引き起こされた爆発と流星の雨がヴァールを焼け焦げた砂漠の惑星にしてしまったと信じている。この禍でほとんどの原住生物は絶滅してしまったが、ハットだけは生き残り、繁栄を続けたのだとされている。この説は明らかな科学的矛盾を含んでいるが、今日のヴァールが荒廃した惑星であるのも紛れもない事実である。
他の種族と同様にハットも多くの惑星に進出しており、ヴァールを逃れた彼らが新しい故郷として選んだ惑星がナル・ハッタだった。彼らは銀河系の暗黒街で実力者となっていたため、こうした惑星を買い取るのに十分な富を持っていたのである。
ハットが最初に関心を示した場所はイトーブ星系だった。黄色く輝くイトーブは居住可能な4つの惑星を含む6つの惑星を有しており、なかでも最大の惑星エヴォカーはその大きさに反して極めて人口が希薄だった。重金属がほとんど含まれていないため重力も標準的であり、原住民族のエヴォカイと呼ばれるヒューマノイドも原始的な領主制度の中で生活していたのである。
ハットたちはエヴォカイに近代テクノロジーの提供を申し入れ、その見返りとして土地を要求した。エヴォカイたちもハットが惑星を丸ごと買い取ろうとしているなどとは思いもよらず、建設チームが到着したときに初めて彼らの本心に気付いたのだった。ハットは瞬く間にエヴォカイの小屋を破壊して豪華な宮殿や娯楽施設を建造し、エヴォカーを全く別の惑星に造り替えてしまった。エヴォカイはこの横暴を共和国に訴えたが、ハットの用意した法的な抜け道は、ジェダイでさえ見破ることができないほど巧妙なものだったのだ。こうして哀れなエヴォカイたちは故郷を追われ、近くの衛星に移り住むことになってしまったのである。
ついにエヴォカイの最後の建造物も破壊され、宮殿やテーマパークに姿を変えられてしまった。古代の記念碑もハットの聖堂に置き換えられ、エヴォカーはハット語で「輝ける宝石」を意味するナル・ハッタと呼ばれるようになる。気候のためか、あるいは莫大な人口のためかは定かでないが、いずれの場合にせよ、この快適で美しい惑星にとってふさわしい名前であることは間違いない。さらに、ナル・ハッタの近傍にはハイパースペース航路が引かれており、今やこの惑星は銀河系で最大の商業惑星の1つにもなっている。物価は極めて高いが、ナル・ハッタでは金さえあればどんなものでも手に入れることができるのだ。
ナル・ハッタはハットが買い取った最初の惑星であり、ハットの犯罪組織の代名詞にもなっている。悪名高きジャバ・ザ・ハットもこの惑星にあるデシリジク氏族の領地で生まれている。ナル・ハッタはそれぞれの領地の長老たちによって構成された評議会によって統治されており、まさに成熟したハット社会を形成しているのである。
ナル・ハッタはハットの惑星であるため伝統的にハット語以外の言葉を使うことは禁じられている。しかし、この惑星には裕福なハットに仕える奴隷や使用人など、ハット以外の種族も数多く住んでいる。
また、ハットはこの惑星からかつて宇宙港として栄えていた衛星ナー・シャダーの経済も支配しており、そこで生活する密輸組織のパイロットや技術者たちも主人にへつらうため、頻繁にナル・ハッタを訪れている。一方で、ハットの逆鱗に触れた愚か者たちは軌道上に浮かぶ死体となって発見されることになる。
クービ星系に属する惑星ネルヴァンは、氷河期の始まりを迎えた低重力の原始的な惑星である。ネルヴァンは3つの衛星を従えており、アウター・リムの星図にもほとんど記載されていない。惑星政府と呼べるようなものも存在せず、したがってクローン大戦にも一切関与していなかった。ボサンの貯水貨物船がときおりこの惑星の純粋な氷河から氷を採集し、タンクを満たしているが、素朴な居住者たちは外界人との接触を強く避けている。こうした狡賢い商人たちは、活力や生命を支えるミネラルを含有しているとしてタンクの水を販売しているが、無論、決して科学的に吟味された内容ではない。
こうした採集作業はネルヴァニアンの孤立した村から遠く離れた場所で行われているため、彼らにとっては取るに足りないことなのだ。また、偶然の産物でもあるこの惑星の第2の輸出品は、現地で変化した混成言語である。これはネルヴァンを最初に訪れたボサンの偵察員が原住民の言葉を貿易会話に取り込んだものであり、今日でも周辺宙域で普通に使用されている。
ネルヴァンは重力が弱いため、森林をなぎ倒して進む大食漢のホラックスのような、真に巨大な生態系を発展させた。また、何世紀も前に陥落した不安定なメーサの奇妙な景観は、かつてこの惑星にも標準的な重力があったことを物語っている。このようなメーサの影の部分で生活しているネルヴァニアンは、犬鼻面をしたヒューマノイドであり、原始的な氏族社会を形成している。
クローン大戦の間、テクノ・ユニオンはネルヴァンで極秘の計画に着手していた。彼らは惑星の地熱エネルギーを吸い上げ、それらをサイボーグ戦士の開発を行っている地下研究所へと供給していたのである。バトル・ドロイド軍の技術的進歩に対する不満と、グリーヴァス将軍へのサイボーグ化手術における成功に感化されたテクノ・ユニオンの秘密の専門家グループは、原住民のネルヴァニアンを誘拐し、彼らを完璧にサイボーグ化された超戦士へと変異させる実験的なミュータント・プログラムを開始したのだった。
この研究施設は巨大なサイフォン・ジェネレータの中心部に地熱クリスタルを使っており、地中から地熱エネルギーを奪うことで周辺地域を激しく消耗させていた。その結果、ロックラル村に終わりのない冬が訪れる。そこで、村の最も偉大な戦士たちが何人もこの異常事態の原因を突き止めるために旅立っていったが、誰一人として戻ってこなかった。ロックラル村の賢明なシャーマン、オーヴォスでさえ、この答えを得ることはできなかったのである。しかし、古代の予言者は異邦人に関する予言を記していた。何者かがこの土地に足を踏み入れ、母(ネルヴァニアンの言葉で故郷の惑星を意味する)を苦しめるものの正体を見つけるだろうというのだ。
そしてクローン大戦の末期、グリーヴァス将軍が出没したという情報部からの報告を受けて、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーがネルヴァンへと向かった。ロックラル村を訪れた彼らは、ネルヴァニアンたちが直面している深刻な問題を知ることになる。アナキンは凍結した川を経て、地熱を妨害している地点の中心部、ネルヴァンの地表深くを切り裂く洞窟へとたどり着いた。彼はそこで切迫した闇を予見するビジョンを垣間見るとともに、テクノ・ユニオンの秘密の研究所を発見したのである。
やがてアナキンは改造された捕虜を解放し、研究所を破壊することができた。また、奪われていた地熱クリスタルもサイフォン・ジェネレータから取り外され、この地域を長い冬で覆っていたエネルギー消耗を止めることができたのだった。