ナブーの戦い後、共和国はバトル・ドロイド軍の製造と配備を厳しく取り締まる厳格な法を成立させた。そして、通商連合のような巨大企業体もこの新法には完全に従う姿勢を見せ、共和国の境界内にある工場を次々と閉鎖させていたのだった。しかし実際には、彼らはこうした作業の実態を共和国の司法権の及ばない場所に移動させていただけであり、密かに軍隊の製造は続けられていたのである。
ジオノーシスはこのような隠された製造工場のなかでも最大規模の惑星の1つであり、もう1つがその近郊にあるハイポリだった。温暖で天然資源の豊富な惑星ハイポリには、知性を持った原住種族が存在しない。そのため、バクトイド・アーマー・ワークショップ社の経営者たちはハイポリへの入植を奨励し、ジオノーシアンの巣を丸ごとこの惑星へ移動させたりもしていたのである。ハイポリの大地は堅い岩盤と土壌によって構成されているため、彼らの巣へ同化させることが極めて困難だったが、それでもジオノーシアンの労働者たちは懸命に働き、来るべき戦争に備えて、この惑星を大規模なバトル・ドロイド製造工場へと作り変えていったのだった。
ジェダイ・マスター、ダクマン・バレックは、パダワン、シャア・ギと共に赴いていた情報収集任務の最中に、ハイポリのドロイド製造工場を発見した。そして、2人がその事実をコルサントへ報告すると、共和国はその工場を破壊するため、クローン・トルーパーの歩兵部隊を従えたジェダイのエリート機動部隊を派遣する。だが、到着した機動部隊は惑星に降下する前に、軌道上に配置された偽装機雷によってその大半を失ってしまうのだった。そして地上では、分離主義勢力の軍司令官グリーヴァス将軍が、機動部隊の残存勢力を壊滅させるべく、バトル・ドロイド軍の指揮を執っていたのである。
クローン大戦の戦闘は家族を持たないクローン・トルーパーと感情を持たないバトル・ドロイドの間で行われていたが、戦いが佳境に入るなか、その構図も徐々に変わりつつあった。この戦争は多くの惑星で古くから存在する局地的対立を再燃させ、根深い敵対心の炎をより激しくなる方向へと煽ったのだった。独立星系連合と共和国は共にこうした局地的抗争を利用して論争の沸き起こった惑星の保安を図り、軍需品や専門的知識を与えることで当地の戦闘員たちを支援したのである。ハルーン・コルでも、クローン大戦は凄惨な内乱を招いたのだった。
ハルーン・コルはアルハー星系で唯一の惑星である。この名称は居住する人間たちによって付けられたものであり、翻訳すると「雲の上」を意味する。なぜなら、この惑星には無数の活火山が存在し、大気圏の低層部には呼吸できない空気よりも重い有毒ガスが充満しているのだ。これらのガスは窪地や山間の谷間に集まっているため、酸素呼吸を行う生態系は毒性の雲から突き出した高地でのみ、生存が可能である。辛うじて居住可能な惑星ではあるが、決して快適な環境とは言えないだろう。低層の雲から突出するわずかな大陸部も恐ろしいジャングルに覆われており、密集した植物によって、疫病を運ぶ昆虫や寄生虫、人々と同様に機械さえも蝕む力を持った丈夫な菌糸類の厚い層を形成されている。それでも、人類はハルーン・コルにやって来たのだった。
ハルーン・コルの原住種族は人間のコルナイである。彼らがなぜこの惑星を故郷と呼ぶようになったのかは定かでない。だが、ジェダイ評議会はコルナイの部族を研究し、彼らが大昔にこの惑星で墜落したジェダイの宇宙船の乗組員たちの末裔である可能性を見出した。この推測は、すべてのコルナイがフォースとの接触を保っているという難解な謎に適切な回答を与えてくれる。実際に、彼らにはその力が必要だったのだ。この惑星のジャングルは極めて危険な環境であるため、闇に潜む脅威を察知できない者はすぐさま死んでしまうのである。だが、コルナイたちはこのジャングルを敬う精神を発達させた。厳しい自然環境は文化と正義の概念に分けて考えることができる。彼らは遊牧を行う部族単位の政府を作り上げ、フォースと結合したアック・ドッグに守られながら、ジャングルの中へとグラッサーの群れを追いかけて生活しているのだ。
外界人がハルーン・コルを訪れる理由は、この惑星のジャングルに利益をもたらす秘密があるからだった。銀河市場ではこの惑星産のスパイスやエキゾチックな木材が高値で取引きされており、特にサイセルの樹皮、ポータクの葉、ジンソル、ティルーン、ラマスなどの木材は、この銀河系ではハルーン・コルでしか採取することができない貴重な天然資源である。そのため、毎年多くの外界人らが一攫千金を求めてジャングルへと入っていくが、彼らの大半はそこで命を落とすことになる。こうしたジャングルの試掘者たちはジャップと呼ばれており、コルナイの土地を荒らすことで地元の反感を招いている。コルナイたちは外界人(特にバロワイが多い)に対して嫌悪感を抱くようになり、それ以来、互いにいがみ合いを続けているのだ。
やがてバロワイによる唯一の恒久植民地ペリク・バウは、ハルーン・コルで唯一の政府となった。そしてクローン大戦が勃発すると、バロワイ政府は共和国によるコルナイの原住民への処遇の調査を拒否するため、独立星系連合を支持したのだった。連合はペリク・バウの宇宙港を使用することと引き換えに、バロワイの市民軍に武器を供給する。こうしてかつてのジャップたちは市民軍の延長のような存在となり、ジャングルのさらに奥深くへと血を運ぶゲリラとして働いたのだった。
しかし、共和国はハルーン・コルの脱退を認めなかった。この惑星のジェヴァーノー・ループにおける戦略的配置には、失うには惜しいほどの価値があったのだ。だが、戦火の拡大と共に兵士たちが不足するようになり、ジェダイ評議会はコルナイの原住民を反政府ゲリラとして訓練すべく、1人のジェダイを派遣する。そして、ジェダイ・マスター、デパ・ビラバがバロワイに対する戦争で高原解放戦線を指導するためにこの惑星を訪れたのだった。やがて彼女はこの経験によって永久に傷つくことになる。
ハルーン・コルでの戦争は陰惨で個人的なものだった。長年続いたコルナイとバロワイとの間の流血と敵意は、両側の一般市民および非戦闘員の大量虐殺へと発展したのである。フォースの強いコルナイたちはジェダイ規範で禁じられた復讐と血への渇望を剥き出しにし、自らを抑制することなく全力で戦った。このジャングルでの戦争の混沌に直面したビラバは、コルサントで築かれた厳格な規則が崩壊したことを知ったのである。そして彼女もまたジェダイ規範に背を向け、戦場の闇へと沈んでいくのだった。
かつてのパダワン、ビラバが一般市民の虐殺を後押ししたという異常事態を受け、メイス・ウィンドゥも彼の故郷であるハルーン・コルへと急行する。だが、ビラバを見つけ、彼女をコルサントへ連れ戻す旅のなかで、メイスもまた戦争の厳しい現実を直視し、不安定な状態に陥るのだった。彼はジェダイ規範への忠誠を維持しようと努めるが、それを無視し、解放され、戦争の狂気に埋没したいという衝動に駆られたのである。最終的にメイスはジェダイ・マスターとしての決意を誓い、ジェダイ規範への忠誠を持ってハルーン・コルから脱出した。しかし、彼は残りの日々をこのジャングルでの戦争によって与えられた疑問に悩まされ続けることになるのだった。
荒涼とした起伏の美しいバルデニックは、アウター・リムのオーリル・セクターに属するバクロフセン星系の惑星である。地表を覆う海面には小さな熱帯の砂浜のある島が点在しており、旅行者たちが銀河系で最も憧れる観光地となっている。しかし、この惑星の観光事業は、コンムと呼ばれる恐ろしい爬虫類型原住種族との厳しい共存を強いられているのだ。
知性のあるコンムは浜辺に築いたシンプルな屋根ぶき住居に暮らしているが、上流階級は海辺の断崖に輝く泡状の建造物を作っている。
バルデニックは銀河系を襲った大事件にもまったく影響を受けなかった。しかし、独立星系連合によって派遣されたコマース・ギルドの偵察員が、この惑星の断崖でコートシスの形跡を発見したことによって、状況が一変したのである。
バルデニックに到達した独立星系連合は、原住民に最後通牒を突きつけた。採鉱作業を開始させるか、滅ぼされるかを選べというのだ。選択の余地のないバルデニックの指導者たちは、コマース・ギルドが採鉱作業のため島内に立ち入ることを渋々許可した。しかし、海辺の住民たちは激怒し、小規模な反乱を起こしたのだった。
やがて独立星系連合の通信がジェダイによって傍受されたとき、この事件はメイス・ウィンドゥの関心を引き寄せた。コートシスはライトセイバーの光刃に対して耐性のある貴重な鉱物なのだ。ジェダイ評議会は独立星系連合の活動を調査し、妨害するべく、ハラガード・ヴェンター、シャ・クーン、他数名のジェダイと、クローンの支援部隊からなる機動部隊を派遣したのだった。
ジェダイがバルデニックに到着したとき、この惑星は無秩序状態だった。コンムが独立星系連合に対して反乱を起こし、無節操な戦争商人によって密輸された強力な武器で攻撃していたのである。そして、クローンが上陸すると、怒り狂ったコンムはさらに激怒し、外界から来た者すべてに攻撃を開始したのだった。
島の多い地形は攻略が難しく、独立星系連合も共和国も、撤退を強いられた。連合はもはやコートシスの採鉱を断念し、共和国も分離主義勢力のさらなる侵攻から惑星を守るために展開していた軌道上の防衛艦隊へと引き上げたのだった。
ボサンの故郷であるボサウイはハイテク工業の優位性によって急速な経済発展を遂げた惑星であり、数々の部族の長たちによって構成されるボサン評議会や、植民星での商業と行政を取り仕切る閣僚たちの本拠地でもある。また、ボサウイは公式には帝国領だが、ボサンによる経済利益の追求は実質的に放任されている。
ボサウイには多くの企業が工場や流通拠点を構えており、ボサン政府の安定には帝国の力もわずかながらに役立っている。この惑星には反乱軍への参加を匂わす兆しも全くなく、大きな軍事力を持つ必要性も皆無だった。帝国政府はそれほど有能でないボサンの役人を支援し、最小人数のスタッフでこの共同体を運営している。官僚たちが外出するようなことがあればいつでもストームトルーパーが軍事的威嚇を行い、ときには帝国のセクター艦隊からの艦船がこの星系を巡回パトロールすることもある。しかし、これらがボサンの内政問題に干渉することはほとんどない。
帝国がボサウイの情勢に干渉することを避けているのには別の理由もある。ボサンの多くの部族は非常に競争心が強く、何世紀にもわたって行われた政治闘争によって、彼らにはスパイ活動が善良な政治活動の延長に過ぎないという信念が根づいているのだ。結果として、彼らは多くのスパイ活動を容認する傾向にあり、中立国としての名声を商業協定や外交交渉によってだけでなく、情報収集術によっても手にしているのである。
諜報員と呼ばれる人々は事実上あらゆる政治団体や犯罪組織に存在しており、名前や素性を偽って敵対者から情報を集めては、騒々しい宇宙港で日用品や不法な品を流通させている。そして、必要であればライバルたちを抹殺さえしているのだ。なかでもボサンのスパイはボサウイの覆い隠された素性に身を隠す利便性を見出している。多くの製造工場、物品交換所、貿易共同体、輸送会社、援助組織などが、彼らにとって無限に近い隠れ蓑となっているのだ。彼らはボサウイにいさえすれば、隠れ家が発見されたり、陰謀が暴かれたりするような危険性がほとんどないことを知っている。帝国軍が反乱軍の諜報員を追跡し、反乱軍のスパイが帝国軍の活動を分析しているときでも、ボサンはあらゆる出来事を監視しており、最も高い金額を提示した者にその情報を提供しているのである。
帝国軍はこの状況が有益であると考え、彼らの活発なスパイ活動を放置していた。しかし、帝国軍諜報部も反乱軍やボサン、その他様々な犯罪組織の追跡を継続しており、その活動を絶えず監視している。ボサンのスパイ網は反乱軍に情報を提供することもあるが、同時に帝国軍にも情報提供を申し出ており、実際にこの陰謀の連鎖はボサウイの盛んな貿易や通信、輸送産業にうまく溶け込んでいる。武力による抗争があらゆる組織の利益を害する方向に働くという事実が知られてからは、ブラスターによる銃撃戦や大胆な軍事行動、妨害活動なども廃れていく一方となったのだ。
ボサウイは極めて快適な惑星である。主要宇宙港は首都から離れたところにあり、そのため上空では多くの船が都市部と港の間を盛んに往来している。首都の広大な美しい並木街路とすべて天然石で造られたボサウイの高層ビル郡は、非常に素晴らしい景観を見せている。ここには多くの企業が衛星都市オフィスを構えており、商業地区の歩行者道路は無数の商品を連ねた商店街で満ち溢れている。ボサウイは住人たちも銀河系のほぼ全域から集まっており、人口、産業、商業の点で帝国を代表する惑星となっているため、不慣れな旅行者などはこの惑星を銀河中心部の主要な惑星と勘違いしてしまうという。
主要都市周辺にある岩肌の丘陵地帯には商業地区と軽工業地区が隠されている。この丘陵は人口も希薄だが、都市部では許されていない自由自治が行われている土地でもある。都市の雑踏の外側では反乱軍が武装秘密基地を構えており、帝国軍も巧みに通信やセンサー・ステーションを監視している。ボサンたちはここに12機のYウィングからなる小規模な宇宙戦闘機基地を設立しており、情報の飽くなき探求を続けているのだ。
マーカーは新共和国と帝国の境界領域に位置し、300年以上にわたって公式に記録され続けている惑星である。しかし、旧共和国の時代からジェダイ・ナイトたちは決してこの惑星に近づこうとしなかった。その理由は後年になって帝国軍の偉大な指導者スローン大提督によって発見され、新共和国の運命を決定付けることになる。
この惑星の木々には多くの金属が含有されており、それがジェダイを遠ざけた原因というわけではないが、注目すべき利点を生み出している。マーカーの鬱蒼とした森林はセンサーの入出力を妨害し、法の目から逃れる者にとって格好の隠れ家を提供しているのだ。また、この森林には多くの肉食獣が徘徊しているが、これも特にジェダイたちの間で問題になっているわけではない。ただし、滑らかな皮膚をした獰猛なヴォーンスカーは、フォース感知者に対して本能的な攻撃性を持っているという。
マーカーがジェダイを遠ざけていた本当の理由は、この惑星固有の木に生息するトカゲに似た生物イサラミリにある。イサラミリはフォースを押し戻すという特異な能力を持っているのだ。この生物の存在は周囲にフォースの存在しない空間を作り出し、そこに閉じ込められたジェダイは自らの神秘的なエネルギー・フィールドを発揮することができなくなってしまうのである。
もっとも密輸組織の首領タロン・カードがマーカーに引き寄せられたのは、必ずしもイサラミリの存在のためというわけではなかった。彼は発展途上にあった自らの組織の拠点として純粋にマーカーを気に入り、ジャバ・ザ・ハット亡き後の闇社会の混乱に乗じて生き残りと繁栄を成し遂げたのである。イサラミリは彼のビジネスにとってまったく関係ない存在だと思われたが、エンドアの戦いから5年後に帝国軍が突然マーカーを訪れたとき、彼はこの不可解な生物に関する知識によって大きな利益を得ることができたのだった。
狡猾な帝国軍司令官スローン大提督は、銀河中心部の奪回を目指すべく壮大な計画を立てていた。彼はイサラミリを2つの大きな目的のために使用している。1つは狂気のダーク・ジェダイ、ジョルース・スボースを帝国軍に加担させ、うまく利用するため。もう1つはスパーティ・クローニング・シリンダーを加速させた場合の問題点を克服し、新たな帝国軍兵士の製造を促進させるためである。
やがてカードは拡大する帝国軍と新共和国との抗争に巻き込まれ、どちらに加担すべきかの選択を強いられることになる。結局、彼はマーカーから逃走する道を選び、後にスローンの反抗が失敗に終わると、この惑星も長らく人々の関心から忘れられた存在となるのだった。閑静な宇宙港都市ヒルヤード・シティも、依然として密輸業者や犯罪者の隠れ家のままとなっていた。そしてカードが離れてから10数年後、ついにユージャン・ヴォングがマーカーに到着したのである。
この銀河系への侵略者は新共和国から多くの惑星を分断していった。マーカーもユージャン・ヴォングの手に落ちた多くの惑星のなかの1つに過ぎない。彼らはこの星系にクローン製造施設を建造し、ヴォーンスカーの遺伝子からヴォクシンと呼ばれる恐ろしい生物を開発したのだった。
ミンバンは拡張領域に属するサーカパス星系の第5惑星であり、正式にはサーカパスVの名で呼ばれていることが多い。雲に覆われたこの惑星は大部分が未探査のジャングル惑星であり、2つの衛星を伴っている。サカーパシアンによる入植は一度も行われていないが、かつては帝国軍によるエネルギー採掘が行われていた。ミンバンを覆う大気は荒々しく、特別な外装甲を持つ船でなければ成層圏で吹き荒れるエネルギー流によって甚大な被害を被ることになる。また地表は湿気が多く、永続的に霧が立ち込めているため昼夜の区別がつきにくい。この惑星には5つの臨時採掘都市が作られ、そのすべてが帝国軍によって管理されていた。
ミンバンには「グリーニィ」やコーウェイをはじめとした数多くの固有の知的種族が原住している。グリーニィ(正式にはミンバナイトと呼ばれている)は緑色の毛に覆われたヒューマノイドであり、人間の住民たちによって奴隷化されていた。一方の灰色の毛に覆われたコーウェイは、洞窟で生活する屈強の戦士たちである。ミンバンはその他にも多くの種族で溢れていたが、現在では既に絶滅してしまっている。なかでもスリラーと呼ばれた種族は多くの神々を祭った巨大な神殿や建造物を造ったことで知られている。
ルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナは、サーカパスIVで行われる反乱軍の会合に参加する途中、この惑星に不時着した。2人はミンバンの沼地で数多くの自然の脅威に直面し、伝説のカイバー・クリスタルを探す冒険の最中にはダース・ヴェイダーとも遭遇したのだった。
銀河系で最も裕福な惑星の1つであるムーニリンストは、インターギャラクティック銀行グループの本拠地である。ここは銀河中心部から遠く離れた場所に位置しているが、原住種族のムーンたちはこの惑星を銀河系屈指の巨大な商業的中心地に作り変えたのだ。ムーニリンストの地上はきらめく大理石の巨大な建造物に覆われており、そこでは円柱や柱頭、バルテス、アクロテリア、エンタブラチュアなど、ムーンの持つすべての建築様式を見ることができる。しかし、これらの古典的建造物も稀に起こりうる破壊的な戦災によって汚されてしまうのだった。
共和国軍が銀行グループによる独立星系連合への資源供与を断ち切ろうとしたとき、ついにムーニリンストもクローン大戦における戦場の1つとなった。オビ=ワン・ケノービ将軍は彼のクローン軍を首都ハーネイダンへと送り込むが、彼はそこで恐るべき賞金稼ぎダージのドロイド軍による激しい抵抗に遭遇する。だが、共和国側はこの抵抗を退け、オビ=ワンは敵の司令センターでサン・ヒル会長を捕らえることに成功したのだった。
クローン大戦終結後、帝国が銀河系の実権を掌握すると、ムーニリンストは帝国における最重要惑星の1つとなる。そして帝国がエンドアの戦いに敗れ、銀河中心部を新共和国に明渡すと、この惑星は衰退した帝国における財政上の要となるのだった。多くの帝国高官たちはこの惑星を「マネーランド」と呼ぶようになり、防衛のために重武装のゴランIII防衛プラットフォームも2機配備されたのである。
やがてユージャン・ヴォングによる侵略が開始され、エイリアンたちによる攻撃は残存帝国軍にも及ぶようになる。ユージャン・ヴォング軍は調整された攻撃でムーニリンストの防衛軍を壊滅させ、地表に対して破壊的な軌道爆撃を行うことによって、この惑星を瓦礫の塊へと変えたのだった。
商業の力が銀河系全体に浸透したことで、その軌跡には近代的な共和国を支えるべく惑星中の金属資源を消費してしまった荒涼とした惑星が数多く残されている。アウター・リムに属するラクサス・プライムもまさにその一例である。この惑星は工業化の波によって永遠に汚染され続ける運命にあるのだ。
ラクサス・プライムの地表は何世代にもわたって堆積した産業廃棄物で覆い尽くされており、その高さは自然の山々にも匹敵する。無数の企業がラクサス・プライムに廃棄惑星としての関心を示したのである。しかし古代からの格言にあるように、捨てた者にとってはゴミであっても、他者にとっては宝となることがある。廃品回収業者は惑星全体を掘り返し、再利用可能な機械や時代遅れの装置を見つけては修理や再調整を行っているのだ。
最近造られた格納庫からは内装を奪われ外装も腐食が進んでいる太古の大型艦船が突き出しており、産業の墓場を思わせる不気味な景観を見せている。有毒なヘドロで満たされた巨大な沼沢は銀河系で最も危険な環境の1つである破壊的な生態系を生み出した。灼熱の大気は腐食性を帯びており、不快な臭気を放つガス状の霧が視界を鈍らせている。それでも、岩屑の下層にはこの惑星に入植しようという誤った試みの証拠が埋もれていた。大規模な下水システムの内部構造は、廃棄物のヘドロを排水して水路を開こうとした未知の種族の遺物なのである。
主要な宇宙船製造業者であるシーナー・フリート・システムズ社も、ラクサス・プライムに多数の精錬所および再生工場を建設し、大気中に毒を排出し続けていた。また、廃品回収業を営む多数の種族も頻繁にこの惑星を訪れており、なかにはジャワの移住者も数氏族含まれている。彼らはこの不吉な景観を故郷と捉え、特にミーニュー氏族はこの惑星で大規模な廃品回収事業を展開している。
ジェダイ・オーダーを去ったドゥークー伯爵は、数年後に突如としてこのアウター・リムの惑星に姿を現した。彼は分離主義を訴える最初の火種を送信するため、ラクサス・プライムの司令通信ステーションを利用したのだ。この送信内容は現実のものとなり、やがて共和国を分裂させることになる分離主義運動を引き起こしたのだった。
クローン大戦が勃発すると、ラクサス・プライムは独立星系連合の秘密基地として利用されていた。分離主義勢力は共和国に対抗するための埋もれた武器を発掘するため、廃棄物を徹底的に調査する。しかし、ジオノーシスでは共和国のクローン軍に大敗を喫し、ドゥークー伯爵はこの戦争の次の局面に対処するべく、再びラクサス・プライムに退いたのだった。結果として、この荒廃した惑星でも大規模な戦いが引き起こされることになる。
赤く輝く小さな惑星ラタータックは、あたかも血滴のようにアウター・リムに浮かんでいる。この惑星は銀河系の中心部から遠く離れているため、共和国からも発見されておらず、原住するヒューマノイドたちも銀河系の他の勢力による支援や影響を受けることなく発展したのだった。原住種族たちは原始的な状態を維持していたが、互いに殺しあうことはすぐに学んでいた。ラタータッキたちは決して自分たちの間で物々交換などの取引きを通じて利益を上げようとせず、惑星上に分散した資源を巡って熾烈な生存競争を繰り広げていたのである。
やがてテクノロジーが発達しても、ラタータッキはすべての成果を殺人に向け、更なる残酷な手法を編み出していった。この惑星では戦争こそが規範だったのだ。何世代にもわたる戦いによって惑星上の都市の大部分が瓦礫と化し、人口の大半が大量虐殺の犠牲者となった。ラタータッキは惑星規模の兵器を決して開発しなかったため、この血塗られた戦争は何世代でも繰り返すことができたのだ。絶え間ない暴力はこの惑星が宇宙レベルのテクノロジーを持つ妨げとなり、ラタータッキは自分たちがこの銀河系で唯一の存在だと信じていた。彼らには銀河共同体という概念はなく、隣人を征服することのみが重要視されていたのである。
ラタータックを発見したのはアウター・リムを拠点とする無節操な奴隷業者だった。しかし、針金のような体をしたラタータッキは訓練が極めて難しく、服従させるにはあまりにも強暴すぎた。そのため、彼らは輸出品としては不人気商品でしかなく、市場で利益を上げることはできなかったのである。だが逆に、ラタータックの戦争家たちはエキゾチックな戦士たちに気前よくクレジットを支払っており、彼らに奴隷を輸出することで利益を上げることができたのだった。やがて傭兵として働くことはラタータックを訪れる一般的な理由となったが、契約の終了に関する取り決めでしばしば難しい問題を引き起こすことも多かった。
いたるところで戦争が行われている間、数少ない中立地域出身の積極的なラタータッキは、利益の上がるアイデアを生み出していた。有望な傭兵や奴隷兵士を闘技場で戦わせ、その試合を賭博や観戦の対象とすることでクレジットを得ようというのだ。彼らはこの資金でさらなる兵士や外界の武器を購入することができたのである。
こうしてラタータックには多くの闘技ピットが作られるようになったが、それらはこの岩の多い惑星にわずかに存在する中立地帯に集中している。なかでもコールドロンと呼ばれる最大の闘技場は最高の闘士たちを擁しており、自分たちの戦争を勝利に導くための戦士を探す戦争家や将軍たちの関心を引いていた。また、ピットには獰猛な志願者を引き連れた奴隷商人たちも多数訪れているが、彼らの戦士は数々の戦いで戦争に売られる以上の価値を示すことが多く、最も成功した闘士の値段はラタータッキの将軍たちの購買力を超えるほどにまで故意に吊り上げられているのだ。
クローン大戦の勃発直後、ドゥークー伯爵は独立星系連合のために働く有能な戦士を雇うため、ラタータックを訪れた。恐ろしい力を持つ女性戦士アサージ・ヴェントレスは、これがラタータックを離れ、ジェダイ・オーダーに復讐を果たす絶好の機会になると認識する。彼女は密かにドゥークーとの接触を試み、その邪悪な野望を果たしたのだった。
ラルティアはコロニー宙界との境界上に位置するコア・ワールドの同名星系の惑星である。ダーパ・セクターに属するこの惑星はパーレミアン交易ルート沿いに位置していることから、グラリア宇宙港を通じて行き交う人々も多く、古くから金融産業を始めとする各種産業が盛んだった。近年ではハイテク惑星としても有名であり、同セクター内で近接するチャンドリラやエッセレスなどの有力な惑星から過去数百年にわたって独立した状態を維持している唯一の惑星としても知られている。
ラルティアの堅固な金融機構は政治的中立を保っており、投資家たちの間でも資金の安全な隠し場所として高い評価を得ていた。しかし帝国の時代を迎えると、この惑星の金融システムにもある種の内部紛争が勃発し、金融市場が一斉に帝国の顔色を伺うようになる。やがては人間以外の投資家の財務記録が抹消されるという事態にまで進展したのだった。ラルティア政府もこの異常事態に危機感を抱き、ヤヴィンの戦いの直前には市場の公正さを取り戻そうとする動きも目立ってきた。それに応じてラルティア最高議会の中にも同盟軍を支持する声が広まっていき、やがてこうした態度はパルパティーン皇帝の逆鱗に触れることになる。
ラルティアは帝国軍による綿密な調査の対象となり、帝国官僚であるタイオン卿が反乱の鎮圧のためこの星系に召還された。タイオン卿はラルティア議会を解散し、政府もまた帝国から派遣されたデニックス・グリーバー総督を頂点とする軍事政権に置き換えられてしまう。さらにタイオン卿は尋問局を設立し、反乱軍指導者や反乱軍との接点の嫌疑を掛けられた者たちの公開処刑を開始した。そして、ラルティア星系の完全封鎖(民間の救援組織ですらこの封鎖領域の通過を禁じられていた)も行われ、パーレミアン交易ルートを経由する貿易事業は壊滅的な被害を被ったのである。
ラルティアの経済が再興の兆し見せぬまま、多くの大企業が他の惑星へと移転していった。一方でグリーバー総督も裏では反乱軍の地下組織に武器を供給し、私腹を肥やしていたのである。しかも彼は自分で武器の横流しをしておきながら、武器の不法所持を理由にラルティア市民をさらに厳しく迫害し、タイオン卿への点数稼ぎに利用していたのだった。レイア・オーガナ姫が帝国元老院からの使節団としてラルティアを訪問したのもその頃だった。レイアは医薬品や医療装置を救援輸送するという名目でタイオン卿から着陸の許可を受け、1人の負傷した反乱軍兵を救助する。この兵士が彼女に告げた言葉が帝国軍で建造中とされる究極兵器デス・スターの名前だったのだ。以前からレイアに想いを寄せていたタイオンは、反乱軍寄りの姿勢が問題視されているオルデランの立場を守るため、晩餐会の席で彼女に自分との結婚を持ちかける。しかし、レイアはタイオンの前でデス・スターの名を口に出してしまい、口論の中でブラスターの暴発によって彼を殺害してしまったのである。このときからレイアは帝国への反逆者として危険な立場に立たされるようになり、ラルティアも公式に帝国への敵対姿勢を表明したのだった。
反乱軍がラルティアにおける帝国支配に立ち向かったことで、この惑星は広範囲な戦争状態に突入した。帝国軍は圧倒的な武力でこの惑星を侵略し、皇帝に反旗を翻す他の惑星への見せしめとして徹底的な攻撃を行う。その結果、大陸の景観の多くは激しい戦闘によって平らにならされ、100億もの生命が失われたのである。
こうした凄惨な歴史と、初代デス・スターの設計図奪回に関する功績から、ラルティアはエンドアの戦い後に新共和国によって復興される最初の惑星となった。これは同時に帝国支配から解放された最初の惑星という栄誉にもなるのだった。
宇宙の伝説として長く語り継がれてきた古代の惑星ルーンは、小衛星、小惑星、その他の宇宙塵からなる輪に囲まれた神秘的な惑星である。ルーンは「シスのマント」と呼ばれる星雲を越えた先に位置しているため、それが障壁となって銀河系の他の部分から切り離された存在となっている。また、ルーンは自転を行っていないため、片側半分はエメラルド色の大陸とサファイア色の太陽による壮大な景観を誇っているが、反対側には永遠の夜に包まれた闇と雲の世界が広がっている。そして、地表の大半はルーン海に覆われており、突然かつ頻繁に発生する巨大な竜巻が海洋を進む船を危険に晒しているのだ。
初期の入植者たちは、虹色に輝く彗星群の尾を追跡することによってこの惑星を発見したとされている。この彗星群は定期的にルーン近郊を通過しており、尾がシスのマントのベールを突き刺していたのだという。また、ルーンは宝石の宝庫であり、ルーン・スパイスやフレーム・ジェムは、宝探しに関心のある冒険者たちを存分に魅了しているが、なかでも他とは比較にならないほど高価な宝石がルーンストーンである。握り拳ほどの大きさのルーンストーンには、莫大の量の情報を格納することができるのだ。
ルーンの人口の大半は人間だが、トゥイレック、デュロス、サラスタン、コボックも代表的な住人たちである。また、ルーンの荒野にはバンサ、モゴ、カラック、巨大なシャムナー・リザード、ロックホッパーなどが生息しており、準知的生命体である原始人も存在している。さらに、年に一度マイノックの巨大な群れが宇宙を渡り、ルーンの空を暗くしている。
ルーンの住人たちは互いに競い合っている州によって隔てられており、定期的にルーン・コロニアル・ゲームを開催することで互いの差異を抑えている。しかし帝国の初期のころ、無節操なクーン知事によって統治されたトーントゥーム州は、惑星の他の州をすべて支配しようと目論んでいた。だが、アンブー州の人々はクーンの横暴に敢然と立ち向かっていたのである。