地名ガイド / タトゥイーン

モス・エスパ Mos Espa

所在:
タトゥイーン
所属:
ジャバ・ザ・ハット

Mos Espa

モス・エスパは何年もかけて砂漠の中に少しずつ造られていった、タトゥイーンにごく僅かしか存在しない港都市の1つである。市内にはドーム型の建物が多く見られ、二重太陽からくる焼けつくような熱気から市民たちを保護している。また、住居や仕事場、多くの奇妙な商品が並ぶ商店が建ち並び、巨大なスケールのものを含めた娯楽施設も存在している。特に有名なモス・エスパ大競技場は都市の人口とほぼ同じくらい多くの観衆を収容できることで知られている。

モス・エスパの住民の多くは移民や最低限の生活を営む自給自足の労働者たちである。モス・エスパにおける唯一の真の富はギャンブルと対外貿易であり、特に貿易法や銀河政府による統制が及ばない闇取引による利益が大きい。

共和国の時代、銀河政府は奴隷制度を禁止していたが、モス・エスパではこの卑劣な取引きが日常的に行われており、都市郊外の全域が奴隷居住区に変えられていた。生きた奴隷を所有することは所有者にとって低賃金労働者を抱えている以上の名誉とされ、所有者たちはなかなか奴隷を手放そうとしなかった。奴隷たち自身でさえ、自分たちがビジネス上の取引きにおける資本として利用されていることを知っていたのだ。実質的なモス・エスパの支配者であるハットの犯罪王たちも奴隷制度を自分たちの目的にあった有益な制度であると考えており、コアから遠く離れたタトゥイーンの地の利を活かして不法行為を続けていたのである。

ヤヴィンの戦いのおよそ80年前、現在のモス・エスパを開拓したのはローディアンの難民たちだった。そして、最初の移住者は巨額の富を持ってやってきたハットたちである。ハットの商業投機はモス・エスパの成長を促し、この都市を一瞬にしてタトゥイーン最大の都市、そして事実上の首都へと発展させた。その後、この都市は大砂丘海の端にあるゼルリック・ドローに沿って蛇行するように成長していったのである。

ハットたちは巨大なポッドレース競技場を建造することによって、自分たちの犯罪活動から市民の目を逸らそうと考えた。しかし帝国の時代になると、政治機構の変化はハットにビジネスの方向転換を強いる結果となった。公共娯楽としてのポッドレースは衰退し、タトゥイーンで最大の権力をもつジャバ・ザ・ハットも本拠地をモス・アイズリー近郊へ移動させたのだった。結果として、モス・エスパの優位性はすべてモス・アイズリーに取って代わられたのである。

ワトーの店 Watto's shop

所在:
タトゥイーン、モス・エスパ
所属:
ワトー

Watto's shop

モス・エスパ全体でみればワトーはかなり小柄な商人の1人だといえるだろう。しかし、町外れにある彼の店舗にはよく整備された多数のパーツが揃っている。店内に並んだ商品で満足できない客も、隣にある廃品置場を見ればきっと満足するはずである。ただし、モス・エスパの商人の大半がそうであるように、ワトーも現地の通貨しか受け取らない。

彼は故郷トイダリアに敬意を払って店のドームにベル型の屋根を取り付けた。しかし頂上部は故郷の泥巣とは違って、快適な止まり木になっている。

ワトーは原住民のジャワたちからビジネスに関する知識を多く学んだが、ときおり彼らと取引きも行っている。

モス・エスパの奴隷居住区 Mos Espa Slave Quarters

所在:
タトゥイーン、モス・エスパ郊外
所属:
奴隷

Slave Quarters

モス・エスパの最も貧しい地区の1つはこの都市で奴隷として働く人々の住宅街であり、その景観は互いに積み重ねられた一連の物置小屋のようにも見える。通常、家族は同じ住居で暮らすことを許されているが、物置のある家などはときおりそれを寝室に転用させられることもある。一方で、奴隷の住居はみすぼらしい外観に反してかなり頑丈にできており、モス・エスパを定期的に見舞う激しい砂嵐から彼らを守っているのだ。

これらの安価な使い捨て小屋はタトゥイーンを見捨てたかつての入植者たちが残していったものである。また、この地区では地下に都市の廃棄物や動物の死骸などを運んでくるパイプラインが埋設されており、それらを混合した液体状のヘドロを時代遅れのバイオ変換発電装置にかけることによってエネルギーを得ている。

裕福な市民や地元当局は奴隷居住区にほとんど関心を示しておらず、したがってここは低姿勢の旅行者にとって理想的な隠れ家であり、また会合場所にもなっている。

スカイウォーカー親子の家は他の家と比べてかなり大きかったが、これはワトーが寛大であるためではなく、彼にこれ以上の奴隷を買う余裕がなかったからに他ならない。

アナキンの家 Anakin's hovel

所在:
タトゥイーン、モス・エスパの奴隷居住地区
所属:
アナキン・スカイウォーカー、シミ・スカイウォーカー

Anakin's hovel

アナキン・スカイウォーカーとその母シミは、モス・エスパの奴隷居住区にある小さな住居で暮らしていた。他の奴隷用アパートと同じように、アナキンの家もキッチンとダイニング、小さな作業場を含むメイン・ルームを中心とした住居である。また、メイン・ルームは狭い寝室と小さな倉庫に繋がっている。アナキンの部屋には多くの装備品や道具が溢れており、彼はこれらを使ってC-3POやその他の装置を作っていた。

モス・エスパ大競技場 Mos Espa Grand Arena

所在:
タトゥイーン、モス・エスパ郊外
所属:
ジャバ・ザ・ハット

Mos Espa Grand Arena

モス・エスパから数キロメートル離れたゼルリック・ドローと北大砂丘海との境には、著名なブーンタ・イヴ・クラシック・ポッドレースが開催される大競技場がある。普段はアマチュア・レースの会場として貸し出されているが、年に一度のブーンタ・イヴ開催日となると少なくとも100,000人の観衆が押し寄せ、大盛況となる。観衆は観戦プラットフォームやその上段に並んだ特別観戦シートから息詰まる超高速のレース展開に一喜一憂することができ、また、低料金で携帯用ビュースクリーンをレンタルすれば、高速移動するポッドレース・ホロカムが捕らえたレース映像を楽しむこともできる。レース・ファンたちはアウター・リムのいたるところからやってくるため、競技場の座席は遠くから見るとまるで色とりどりの絨毯のように見えるという。

レース中にはエキゾチックな商品を販売するエイリアンの食品販売業者が群衆の中を練り歩き、プロ、アマ双方のバンドがお気に入りのパイロットにレースのテーマ曲や人気のメロディを奏でて声援を送っている。一方で、一般のファンたちは主にレーサーの紋章の入った旗を振って応援している。

モス・エスパの裕福な住人たちや来賓のなかには、一般の観衆から隔離された専用の観戦ボックスを購入する人たちも多い。トイダリアンのジャンク商人であるワトーも、専用ボックスに友人や賭博相手を招いてパーティを繰り広げていた。なかでも最も贅沢な観戦ボックスはタトゥイーンの支配者であるハットの特別ボックスである。特にジャバ・ザ・ハットはブーンタ・イヴ・クラシックの主催者であり、この競技場のオーナーでもある。

この競技場は地元政府の援助を受けたジャバの命令によって記録的な早さで建造されたが、その際に死亡した奴隷はわずか60人だった。頭のいいハットは当初からここでスピードと激突による興奮を金に変えようと考えており、ポッドレースの誘致は実に効率のいいビジネスとなったのだ。観客は競技場への入場料に5トラガット、ボックス席の場合は15トラガット、ビュースクリーンをレンタルする場合はさらに5トラガット支払う必要があり、これらには当然、軽食や日よけの利用料金は含まれていない。それでもレース当日になるとキャンブルでの一攫千金を夢見る何万という観衆が座席を埋め尽くすのである。

しかし、ポッドレースの人気に陰りが見え始めると、モス・エスパ大競技場も空席が目立つようになっていった。後年には害虫や浮浪者たちが雨風を凌ぐために住み着くという有様だったと言われている。

ラーズ家の水分農場 Lars' moisture farm

所在:
タトゥイーン、アンカーヘッド近郊
所属:
ラーズ家

Lars' moisture farm

この家は何世代にもわたってラーズ家の住居となっている。やがてクリーグ・ラーズが一家の主人となり、妻のシミ、息子のオーウェンと共に、厳しい環境を生き抜くため懸命に働いていた。その後、オーウェンと妻のベルーがこの家を相続し、重労働の伝統を守り続けている。

ルーク・スカイウォーカーが銀河系の騒乱に巻き込まれる以前に青春時代を過ごしたのもこのラーズ家である。ここは閑静な農村地帯アンカーヘッドの近郊にあり、モス・アイズリーの繁華街へもそう遠くはない距離にあった。ラーズ家はタトゥイーンで良く見られる典型的な農場家屋であり、周囲には乾いた空気から水分を取り出す水分凝結機と呼ばれる装置が数多く点在している。収穫された水は再販用のタンクに蓄積され、一部は地下農場で作物を栽培するためにも使用されていた。

タトゥイーンで見られる多くの住居と同様に、ラーズ家でも日中の厳しい日差しを避けるため家屋の大部分が地下に埋められている。数ある縦穴の1つには中央プラザがあり、ここから質素な住居や保管庫を管理することが可能である。また、反対側にはボロボロな格納庫もあり、家族で使うランドスピーダーとルークのスカイホッパーが停められていた。

夜になるとオーウェンは農場に張られた警護スクリーンを起動し、このセンサー網によって侵入者をいち早く発見することができる。2X-3KPRのような歩哨ドロイドも周囲を警戒し、警報センサーや安全ライト、パワー・フェンスの監視を行っていた。

水分農場の集落は共同体意識が強く、タトゥイーンの厳しく危険な環境に対して一致団結している。農夫たちの生活はお互いの取引きや保護に頼っているところが大きいのだ。一般に水分農場は港都市から遠く離れており、必要な品物はジャワたちと取引きすることが多い。

ラーズ家の家屋はC-3POとR2-D2を捜索にきた帝国軍のストームトルーパーによって燃やされてしまった。彼らはオーウェンとベルーにも炎を浴びせ、殺害したのだった。

ルークはヤヴィンの戦い後も何度かタトゥイーンに戻っており、農場の権利をスロッグと名乗る密輸業者に譲渡する。彼は後にこの農場をダークライター家に転売した。

アンカーヘッド Anchorhead

所在:
タトゥイーン
所属:
タトゥイーン

Anchorhead

アンカーヘッドは銀河内乱の時代よりはるか昔、当初は深い井戸の周りから発展していった街である。初期の頃、この街には巡礼者や貿易商たちがよく訪れていた。しかし街の中心にある井戸が枯渇すると、訪問者の数も一気に落ち込んでいった。だが、パワー・ステーションには依然として水分農夫や遠い砂漠地方の住人たちからの需要があり、営業を続けていた。アンカーヘッドはジャンドランド荒地の端にある数箇所の露出した岩肌の間にあり、モス・アイズリーへ向かう道沿いにあるごく僅かな居住地区の1つである。この街からモス・アイズリーまでは数時間で行き来することができる。

ヤヴィンの戦い当時、アンカーヘッドにはトシ・ステーションを含む12の建築物が存在していた。このパワー・ステーションには各種の乗り物やリパルサー・エンジンを充電できる強力なエネルギー発生装置が用意されており、さらに必要であれば水を手に入れることも可能だった。トシ・ステーションの下層レベルには一般的な整備工場と機械部品の専門店があり、道具さえあれば電気部品からランドスピーダー、スカイホッパーまで、何でも修理することができる。さらに、建物の裏には賭博テーブルも用意され、ルークやビッグズといった若者たちの溜まり場となっていた。また、ルークが反乱軍に加わる直前まで、このステーションは彼の友人のフィクサーが管理を行っていた。

ジャワの野営地 Jawa camp

所在:
タトゥイーン
所属:
ジャワ

Jawa camp

ジャワたちは大部分の時間を巨大なサンドクローラーの中で過ごすが、なかには様々な場所に安定した居住地を構える氏族もある。彼らは野営地を転々と変えることによって、砂嵐やタトゥイーンの焼けるような太陽から避難しているが、ジャワにとってはこれも砂漠で生き残るための本能に他ならない。

外の惑星の人々が一般的に抱いている誤解は、ジャワが一生を完全にサンドクローラー内で過ごすというものである。確かにサンドクローラーは動く聖地として役に立っているが、結局はジャワがスクラップの回収や道具の売買をする際の機動性を増す、捜索用の乗り物でしかないのだ。

極めて重要な水分収集装置やその他の生活必需品も、最終的にはタトゥイーンの砂漠の奥深くにある岩と金属でできた要塞に運び込まれる。これらの居住地はサンド・ピープルや徘徊するクレイト・ドラゴンからジャワたちの身を守るために作られているのだ。大抵の場合、こうした要塞は貯水タンクや、水を保存しておく何らかの手段のある場所の周辺に作られる。通常、ジャワの族長はサンドクローラーで徘徊しているため、要塞に残っている最高位のジャワは女性のシャーマンである。

商売のため複数のサンドクローラーが集合するときも、ジャワはさらなる一時的な野営地を設置する。大規模なものになると、ジャワは年に一度タトゥイーンの嵐の季節の前に取引きのための会合を開催し、様々な氏族が物品の交換のため集結する。そこでは品物だけでなく、情報の交換や、さらには「結婚販売」と称して息子や娘の交換さえもが行われている。

ジャンドランド荒地 Jundland Wastes

所在:
タトゥイーン
所属:
タトゥイーン

Jundland Wastes

タトゥイーンのグレート・メスラ高原の最西端、西と北の大砂丘海の中央に位置するジャンドランド荒地は、旅人も滅多に訪れることのない岩だらけの不毛な大地である。ここは「無人の荒野」としても知られているが、実際には砂漠を徘徊するクレイト・ドラゴンからジャワの廃品捜索隊、タスケン・レイダー、そして飢えたワンプ・ラットの穴倉に至るまで、様々な脅威の棲家となっている。また、帝国の時代には、オビ=ワン・ケノービもジャンドランド荒野の近辺で隠遁生活を送っていた。

タトゥイーンの水分農夫たちは恐れ知らずの愚か者を除けば誰もジャンドランド近郊に移住しておらず、その原因はサンド・ピープルの存在に他ならない。人々が定期的にこの地を訪れる唯一の目的はベガーズ渓谷にあるのだ。

ベガーズ渓谷には太古の昔に3本の川の合流地点だった痕跡が残されており、その複雑に入り組んだ天然の岩肌は飢えた怪物を思わせる。しかし、この危険な地形は腕利きのパイロットたちにとって絶好の練習場となっていた。かつては蛇行する渓谷がブーンタ・イヴ・クラシックのコースとして利用されていたが、後の時代になると若者たちの間でスカイホッパー・レースのメッカとして知られるようになる。スカイウォーカー親子も時代を超えて、同じ場所を疾走していたのだ。

とりわけ名所として知られている地形には、ボトルネック、デッド・マン・ターン、ディアブロ・カット、そして数々の伝説を生んだストーン・ニードルなどがある。ストーン・ニードルは自然が作った記念碑であり、それを縫うようにくぐる行為はもっとも勇敢な試みとして賞賛されていた。

ベン・ケノービの小屋 Ben Kenobi's Hut

所在:
タトゥイーン、ジャンドランド荒地、第1象限Alpha-1733-Mu-9033
所属:
ベン・ケノービ

Ben Kenobi's Hut

タトゥイーンにあるオビ=ワン・ケノービの住居は、帝国内に残されたジェダイに関する最後の知識貯蔵庫の1つだった。帝国軍はかつて銀河系を守護したジェダイ・オーダーの名残りを一掃したが、この小さな住居だけは見落としていたのだ。オビ=ワンはタスケン・レイダーからルークを救い、彼をこの小屋に連れて帰る。彼はアナキンの形見のライトセイバーをルークに手渡し、この若き農夫にジェダイ・ナイトへの道を歩ませようとしたのである。

オビ=ワンの住居は大砂丘海の南西端、標準的な座標を用いると、タトゥイーンの第1象限のAlpha-1733-Mu-9033に位置していた。小屋の中は1つの大部屋からなり、リビングと高床式のキッチン、そしてバスルームに分割されている。また、床には落とし扉があり、貯水槽とパワー・ジェネレータ装置のある倉庫へと通じている。

オビ=ワンの死後、ハン・ソロを救出するためタトゥイーンに戻ったルークは、この小屋を一時的な住処として使用した。彼はそこでクラウド・シティで失ったライトセイバーの代替品を作るための道具を発見する。

また、銀河内乱終結後、マイヤー・ローと名乗るキャサー実業家がこの小屋をリフォームし、自身の主催する「スカイウォーカー・ツアー」なるアトラクションのコースに組み込んだ。

モス・アイズリー Mos Eisley

所在:
タトゥイーン、アンカーヘッドから北西へ数キロメートル、ジャンドランド荒地の東端
所属:
タトゥイーン

Mos Eisley

多くの人々に海賊の都市として知られるモス・アイズリーは、タトゥイーンで最大の宇宙港の1つである。この都市の建築様式は砂に深く埋もれたブロックハウスというタトゥイーンの典型的なスタイルによって構成されており、二重太陽の強烈な日差しを辛うじて防ぐことができる。モス・アイズリーは中心部に電力と水を分配する中央施設を持った車輪構造をしている。市内には円形のドッキング・ベイや着床パッドがいたるところに点在しており、空は惑星間を往来する宇宙船がせわしなく飛び交っている。

逃走中の犯罪者が多く隠れ家にしていることから、モス・アイズリーはよくならず者と悪党の巣窟と評されている。ルーク・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービがタトゥイーンを発ったのもモス・アイズリーからだった。2人はこの都市の酒場で密輸業者のハン・ソロとチューバッカと出会い、彼らを雇ったのである。

タトゥイーンが植民地化された初期のころ、砂漠の平野に宇宙船<ダワジャー・クイーン>が墜落した。この墜落現場から集落が発展し、爆発した残骸からモス・アイズリーは放射状に成長していったとされている。それ以降、街は約10年間にわたって成長を続け、水と電力の分配センターが新しい中心地となった。<ダワジャー・クイーン>の埃にまみれた残骸は、もはや浮浪者やいかがわしい宣教師たちの溜まり場でしかなくなったのだ。

モス・アイズリー宇宙港はアンカーヘッドの宇宙港に取って代わる場所として生まれた。アンカーヘッドは当時大盛況だったが、高額な利用料が多くの住民の不満を生んでいたのである。数多くのドッキング・ベイの建設を支援したのはローディアンの難民たちだった。実際にこの都市を作ったのはローディアンたちだとも言えるが、同時に彼らの腐敗した過去はこの宇宙港に悪徳と犯罪をもたらしたのだった。

やがてポッドレースの人気が衰え始めると、タトゥイーンの貿易と観光を一手に担っていた隣りのモス・エスパも衰退していった。犯罪王ジャバ・ザ・ハットがモス・アイズリーの繁華街に建てたタウンハウスに活動拠点を移したことによって、非公式ではあるものの、この都市は事実上タトゥイーンの首都となったのである。

帝国が台頭すると、タトゥイーンのツアー・アリオン総督はモス・アイズリーに帝国官僚の知事を任命し、同様に砂漠環境に特化した装備を与えられたストームトルーパーの分遣隊を配置した。ヤヴィンの戦い当時の知事はオラン・デップという怠慢な男だったが、彼は暗殺ドロイドが引き起こした「不慮の事故」によって死亡し、その役目は迅速にユージーン・トールモントに引き継がれたのだった。

モス・アイズリーは「新居住区」と「旧居住区」に分割される。旧居住区は<ダワジャー・クイーン>の跡地を含み、日陰者たちを多く惹きつけている。ジャバがタウンハウスを構えたのも旧居住区であり、ウーキーのチャルマンが所有する悪名高い酒場もここにある。逆に新居住区はより親しみやすい合法的な商業地帯であり、旅行者も安心してくつろげる場所となっている。しかし、この見せ掛けの表舞台の裏には多くの闇市場が潜んでいることも忘れてはならない。

モス・アイズリーの酒場 Mos Eisley Cantina

所在:
タトゥイーン
所属:
チャルマン

Mos Eisley Cantina

旧市街地の中央に位置するモス・アイズリーの酒場は、太古の昔に墜落したとされる<ダワジャー・クイーン>の瓦礫から、埃っぽい通りを隔ててすぐのところにある。ここは後に銀河の英雄となるルーク・スカイウォーカーとハン・ソロが最初に出会った場所として知られている。

この酒場はモス・アイズリーでもっとも古くに建てられた建物の1つであり、当初はタスケン・レイダーからの攻撃に備えた武器庫兼シェルターとして造られたものだった。しかし、そのような攻撃は一度もなく、いつの日かこの避難所はバーに改装されたのだった。開店以来、所有者は何度も変わっており、現在のオーナーはオード・マンテルでのギャンブルで権利を騙し取ったチャルマンという名のウーキーである。チャルマンはドリンクを振舞うバーテンを何人も雇っており、彼自身が奥の事務室から出てくることは滅多にない。カウンターでもっとも良く見かけるバーテンは気難し屋のウーハーだが、常連客の間での一番人気は気立てのいい女性バーテンダー、アクメナだった。

かつてジャバ・ザ・ハットが最初にこの酒場を訪れたとき、入り口が狭くて中に入れないという事件が発生した。激怒したジャバは、チャルマンが入り口を広くするまで、モス・アイズリーに着陸しようとする宇宙船を1日に1隻ずつ撃ち落すと豪語する。今では入り口も改装されており、いつでもジャバの訪問を歓迎しているという。

モス・アイズリーの酒場の外観を見ても、日陰での商談や休憩を求める様々なエイリアンに嫌疑を抱く者はあまりいないだろう。しかし、客が一歩中に入り込むと、そこには薄暗い半地下の空間が広がっている。新たに入ってきた客は砂漠の激しい陽光に照らされた屋外からじめじめした薄暗い店内への移動によって一時的に視力を失うが、先客たちはその間に彼らを十分吟味できるのだ。

タトゥイーンを訪れる腕利きのパイロットたちも大半がこの店で時間と金を費やしている。ここでは闇の中であらゆる品物が取引きされており、そのほとんどが合法とは言いがたい危険な品物である。事実、この酒場では2つの明確なルールを除き、何でも許されるのだ。2つのルールとは、「ドロイドを持ち込むな」と「争いごとが起きたらブラスターを置け」である。特にチャルマンのドロイド嫌いは有名であり、酒場の入り口にドロイド探知機を設置しているほどである。

チャルマンの酒場には特にゲーム用のテーブルは用意されていないが、メインの広間では最低でも常に6卓で賭博が行われている。また、チャルマンは躊躇したが、従業員と常連客の強い要望に押し切られ、店にバンドの生演奏を導入した。やがては彼もフィグリン・ダンとモーダル・ノーズの活気溢れる演奏が店内での暴力行為を減らすことに役立っていると認めるのだった。

店内中央のバーには流行遅れではあるがハイテクの設備が整っており、このセクターに存在する既知のドリンクなら何でも調合することができる。ミキシング・コンピュータは実に16,000ものレシピを誇るが、もちろんチャルマンがその全てに必要な材料を用意しているという保証はない。

ジャバ・ザ・ハットの宮殿 Jabba the Hutt's Palace

所在:
タトゥイーン、西大砂丘海の南西
所属:
ジャバ・ザ・ハット、ボマーの修道僧

Jabba the Hutt's Palace

この壮大な宮殿はタトゥイーンに最初の入植者が訪れる何世紀も前に造られた、とても古い建造物である。当初、この宮殿は神秘的なボマーの修道僧たちによって造られた小さな修道院に過ぎなかったが、今日では当時の名残りも天蓋を含む2、3個所にしか残されていない。争いを好まないボマーたちは、浮浪者や旅行者に快く修道院の門戸を開いていた。やがて宮殿は新しい借地人たちの協力によって改築され、拡張されていく。そして現れた最初の強奪者はアルカーラと呼ばれる盗賊団の首領だった。彼はこの宮殿をサンド・ピープルに対抗するための要塞として利用していたのだ。現在ボマーの残党たちが住み着いている地下牢やトンネルもアルカーラが増築したものである。

その後長い年月が経過し、逮捕された父親からこの宮殿を受け継いだジャバは、お抱えの建築家デリン・フレットに大掛かりな改築を命じた。ジャバはフレットの仕事に満足するが、唯一、牢獄が足りないことに腹を立て、彼を処刑したのだった。宮殿の中央にはジャバの玉座の間があり、広大な地下にはジャバの敵たちが苦痛に満ちた方法でゆっくりと処刑されていった無数の牢獄がある。ジャバは完全に整備の行き届いたリパルサープール・ハンガーから家畜小屋に至るまで、この宮殿のすべてにアクセスすることが可能だった。

ジャバの宮殿では厳重なセンサー網が周囲10キロメートルにおよぶ範囲を常に走査しており、接近者があれば脅威であると判断される前に感知することができる。そして、それが敵であると判断されればガモーリアンの衛兵の一団が派遣され、早急に取り押さえられるのだ。そうでない訪問者は比較的容易に宮殿に入ることができるが、監視の目は絶え間なく注がれている。

ジャバの死後、彼を裏切った部下たちはこの犯罪帝国の残骸を切り刻み、自分たちのものにしようと企んだ。宮殿は自称犯罪王たちの間での激しい戦いの場となったのである。しかし、ジャバの遺産と権力の大半が他の惑星にあることが判明すると、この争いも沈静化していった。結局、ボマーの修道僧たちがジャバの側近を数人捕らえて「改宗」させ、宮殿の大部分を取り戻したのである。

帝国が滅び、新共和国の時代になると、この宮殿はほとんど忘れられた存在となっていた。やがて、この宮殿は頭の悪い数人の善意の投資家たちによって年老いたエイリアンたち専用の養護施設に改築され、現在に至っている。彼らはこの広大な空間を利用しているのが害虫と体のない奇妙な修道僧たちだけなのは勿体無いと主張したのである。

カークーンの大穴 Great Pit of Carkoon

所在:
タトゥイーン、西大砂丘海のほぼ中心
所属:
サーラック

Great Pit of Carkoon

カークーンの大穴に関する歴史的なことはほとんど知られていないが、確かな事実はここを作ったのがサーラックであるということだ。カークーンの大穴はジャバの宮殿の北、西大砂丘海のほぼ中心に位置しており、モス・アイズリーからも西に数キロメートルほどの距離である。

カークーンの大穴に棲むサーラックの年齢は不明だが、少なくともジャバ・ザ・ハットがこの大穴を邪悪な目的に利用する数十年前から存在することが確認されている。しかし、ジャバの一党がこの地で壊滅した際に、犠牲者の1人になりかけたボバ・フェットは、この穴がはるか以前から存在していたことを知ることになる。

このサーラックの最初の犠牲者の1人は、惑星チョイ出身のサセジョという男だった。彼は少なくともボバ・フェットが飲み込まれる4,000年前からサーラックの中で生きており、意識をサーラックと一体化させている。そこでサセジョは少しでも娯楽を得ようと考え、後から来る犠牲者たちに自身を浸透させていた。フェットらが来たときにはすでに狂気に取り付かれた状態になっており、物語やジョークで彼らを苦しめることでサーラックと共に楽しんでいたのである。

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