TIEファイターの主な任務は艦隊の護衛、偵察、前線のパトロール、地上戦の支援、密輸業者や海賊の討伐、そして反乱軍の鎮圧である。多くの宇宙パイロットにとっては、スター・デストロイヤーよりもむしろTIEファイターの方が帝国軍の力の象徴として受け取られている。それは、スター・デストロイヤーと遭遇することは希だが、TIEファイターは銀河系の至る所を飛んでいるからだった。
共和国シーナー・システムズ社によって設計、製造されたT.I.E.と呼ばれる初代機は、銀河系で最も優れた宇宙戦闘機としての名声を得ることになり、その緒戦から高い性能を発揮していた。共和国の崩壊後、シーナー・フリート・システムズと改名した同社はT.I.E.の改良型であるTIEファイターを開発し、帝国の要求に応じて大量生産を続けたが、デス・スター計画によって資源の転用が行われたときには徐々に生産ペースも落ちていった。しかしそれでも、帝国軍は現在までに10万を超すTIEファイターを実戦に投入している。
6角形のソーラー・パネルからも分かるように、TIEファイターに採用された推進システムは極めて独特なものである。推進システム内ではイオン化されたガスを粒子加速器によって光速にまで加速し、それを後部噴出口から吐き出すことによって機体を推進させている。TIEファイターは慣性質量が極めて有効的に活用されているため、燃料はごく限られた量しか運んでおらず、その結果、ツイン・イオン・エンジンは比較的軽量な機体に強い推進力を与え、素晴らしい速度と機動性を生み出している。ツイン・イオン・エンジンを最大出力にすることによって、TIEファイターはインコムT-16のような小型宇宙戦闘機の頂点に存在するものさえも凌駕する速度を発揮することができるのだ。
TIEファイターのパイロットはイオン粒子をあらゆる方向に噴出させることができ、これは機体に優れた操縦性を与えることになる。特に熟練者になるとアクロバット的な操縦法を行うことも容易であるが、速度を落とすための逆噴射によって機体が大きな損傷を受けることがあるので注意が必要である。そのため、TIEファイターは素早い旋回はできても、急停止することはできない。
反乱同盟軍で使用されている多くの戦闘機と異なり、TIEファイターにはハイパードライブが搭載されていない。第1の理由は同盟軍の戦闘機が単独で展開されるのに対して、TIEファイターは通常は大型艦船と行動を共にすることになるため。第2に、ハイパードライブはそれ相当の質量をもち、搭載させることによってTIEファイターの優れた機動性が失われてしまうため。第3に、ハイパードライブはコストがかかるためである。この結果、母艦からはぐれたTIEファイターは文字通り死の世界をさまようこととなり、この問題は無数のTIE製造工場でも大きな物議を醸すことになった。
TIEファイターは球形の機体内部に2基のシーナー社製L-s1 レーザー・キャノンを装備している。初期型ではレーザーのエネルギーもイオン・エンジンから流用していたが、激しい戦闘の際に使い過ぎることによって機動性を減少させてしまうため、現在最も標準的な機種となっているTIE/lnでは独立したエンジンを搭載させることによって射程距離と威力を増加させている。
本質的に、イオン・エンジンには駆動個所も高熱部も存在せず、そのためTIEファイターは他の戦闘機よりも整備作業が少なくて済むようになっている。しかし、TIEファイターのシステムは小さな機体の中に高密度に詰め込まれているため、点検や修理が非常に難しく、実際に修理が行われる場合も数日から数週間かかるのが普通である。ただし、部品は帝国軍で用いられる一般的なものが多いため、簡単に準備することが可能である。
TIEファイターの最大の弱点は偏向シールドを装備していないことである。ソーラー・パネルと頑丈な機体がある程度の防御にはなっているが、偏向シールドがないため軍用レーザーやヘヴィ・ブラスターによる直接攻撃を受けやすい。表向きには、パイロットたちの巧みな操縦によって弱点を補うことになっているが、実際には数に任せた攻撃と多くの犠牲に頼っている部分が多い。
TIEファイターのパイロットは帝国軍のエリート兵によって構成されており、資質を持った候補生たちは大部分が前線で鍛え上げられた志願兵である。しかし、その多くは既にパイロットや航法士として認められた人材であり、TIEファイターのパイロットとなるには厳しい選考過程を潜り抜けなければならない。噂によると合格率はわずか10%程度であり、不合格者はもとの所属に戻されるという。一方、合格者は数百時間の実飛行を伴う長時間の徹底した訓練を受けるが、スター・デストロイヤー艦隊によって更に多くの訓練が要求され、飛行環境や任務への欲求が駆り立てられる。
TIEファイターは任務に関わらず通常は編隊で行動し、退路の開拓、敵艦の強奪、艦隊や地上軍への支援など、必要に応じて同等に任務を遂行している。TIEファイターの1個中隊は12機で構成され、多くのスター・デストロイヤーは6個中隊を格納している。帝国軍の通常の戦術では2個中隊が艦隊の護衛に当たり、別の2個中隊が前方の偵察、残りの2個中隊が後方支援に付いている。
地上基地に配備されたTIEファイターも宇宙艦隊に所属しているが、そのパイロットたちは守備隊の命令に従っており、地上のパイロットと宇宙基地のパイロットの間にはライバル関係が存在している。そのため、酒場や帝国の保養惑星では小競り合いも多発しているようである。
一部の惑星や私設軍でも初期型TIEファイターが使用されていることがあるが、多くのパイロットは十分な訓練を受けていないため、帝国軍ほど効果的な使い方はされていない。
帝国軍はその後もTIEファイターに多くの改良を重ね、高感度センサーと長距離通信装置を搭載し、レーザー・キャノンを1基にした偵察専用機のTIE/rc、正確な火力調整装置とレーザー照準装置、高性能通信機を搭載したTIE/fc、拡張した機体に広域魚雷と爆弾を搭載した爆撃機TIE/gtなど、何種類かの特別な機種を製造している。その中でも特に大きな成果を上げたのは、その後に登場した爆撃専用機のTIEボマーと高速型のTIEインターセプターである。
TIE改良型x1プロトタイプはヤヴィンの戦いでダース・ヴェイダーが使用した戦闘機である。この特別機はヤヴィンの戦いから皇帝の死までの間に、シーナー・フリート・システムズ社の開発チームによって造られた数種類のTIEプロトタイプの1つであり、その基本設計にはヴェイダー自身も参加したと言われている。このことからも、x1プロトタイプが恐らく最も完成度の高い試作機だったことは間違いない。この機体に施された利点の多くは後のTIEインターセプターに受け継がれることとなり、x1プロトタイプはTIE/Adまたは、TIEアヴェンジャーとも呼ばれるようになった。
特別に外形が設計し直されたx1プロトタイプは機体をデュラスチール合金の装甲で覆われており、曲型ソーラー・パネルが長い後部デッキを包み込むような形で取り付けられている。動力部にはシーナー社製I-S3a太陽光イオン反応炉とP-s5.6 ツイン・イオン・エンジンが1対搭載されており、標準型のTIE/lnよりもはるかに強力な駆動システムを支えている。速度については初期型よりも僅かに勝っているだけだが、これは重量が増加したことと、シールド発生装置に多くのエネルギーを摂られているからである。また、x1プロトタイプはTIE/lnほどの機動性をもっていないが、耐久性についてはTIE/lnほどもろくは造られていない。
x1プロトタイプの武装は前面に取り付けられている2基のレーザー・キャノンであり、帝国軍の戦闘機としては例外的にシールド発生装置と小型のハイパードライブが搭載されている。しかし、ハイパードライブについては航法コンピュータが10回の跳躍までにしか耐えることができない。
それでも、x1プロトタイプには生命維持装置までは装備されていないので、パイロットは酸素供給システムの付いた完全装備のフライト・スーツを着用する必要があり、通常、足止めと手動パネルの付いた衝撃調整座席に縛られるような形で乗り込んでいる。
x1プロトタイプは初期に極少数が製造されただけである。ヴェイダーはその中の1機を授かり、デス・スターを守るために自ら出動した。このとき実戦テストのために同行した他のパイロットは帝国軍でも選り抜きのエリート部隊から選ばれた2人である。こうしたテストはホスの戦いの直前まで行われ、その間はヴェイダーのスター・デストロイヤー機動艦隊を始めに、多くの帝国宇宙艦隊でこのプロトタイプが使用されていた。
しかし、TIE改良型x1は製造コストが非常に高く、帝国軍は大規模な生産を断念したのだった。帝国艦隊の戦略家の中には、ハイパードライブの搭載された戦闘機の導入によって、新しい大型艦船に与えられる任務が大幅に減少してしまう恐れがあることを密かに認めている者もいる。
その後、帝国軍はTIEインターセプターを開発し、より小さな機体にx1プロトタイプと同型の駆動システムを搭載させることに成功した。TIEインターセプターは改良型x1プロトタイプと比べて確実に高速、高機動性を有しており、製造コストもかなり低く抑えられている。エンドアの戦いまでに行われたTIEインターセプターの大量生産は、事実上TIE改良型x1の生産打ち切りを意味していたのだ。
高重量プロトン爆弾、誘導ミサイル、軌道機雷、自由落下型サーマル・デトネーターなどを搭載したツイン・ポッド型爆撃機TIEボマーは、帝国軍に配備された死の兵器である。TIE/gt宇宙戦闘機の改良型であるTIEボマーは地上および宇宙空間におけるあらゆる標的を正確な重点爆撃によって滅ぼすことができ、その有用性を素早く立証した。
帝国軍司令部はTIEボマーの登場によって新たな戦法を開拓することができた。TIEボマーは単独航行、並走航行、長距離航行、そして母艦との随走航行も可能であり、高所や軌道からの爆撃だけでなく、低空飛行による奇襲攻撃も得意としている。宇宙空間ではその長距離性と高積載量によって、特にTIEファイターを伴ったときに非常に有効な利用法がとられている。
反乱が勃発する以前から帝国軍の武装化は拡大され続けており、次々とTIEファイターが生産されては実戦配備されていた。しかし、地上戦支援や長距離攻撃、爆撃任務などのTIEファイターに不向きな戦術への使用も多く求められていた。これらの任務を遂行させるため帝国軍はTIEファイターの改良を行い、TIE/gtのようなモデルを製造したが、宇宙爆撃専用機の必要性を認めるには多くの時間が必要とされた。
スター・デストロイヤーを始めとする大型宇宙戦艦は非常に大きな破壊力を持っており、イオン・キャノンやミサイルによる砲撃は地上基地や宇宙基地を瓦礫の山に変えることができる。しかし、敵の捕獲、基地や艦船の占拠、近隣資源の保護などが必要とされる場合には、このような攻撃が必ずしも有効であるとはいえない。このような場合にはより的確な兵器が必要とされ、それがTIEボマーなのである。
TIEボマーは洗練された照準コンピュータによって極めて正確な攻撃を行うことができる。例えば、市街地の中心に反乱軍の秘密基地となっているビルがあったとしても、その周りに一切の被害を与えずに滅ぼすことが可能であり、事実、帝国軍はいくつもの反乱軍基地や艦船を無傷で手に入れている。
シーナー・フリート・システムズ社はTIEファイターの機体を拡大し、内部に爆弾ベイ、特殊照準装置、さらに他の装備を加えることによってTIEボマーの開発を始めた。しかし、拡大したポッドでは必要な機器や爆弾が収まり切らないことが判明し、現在のツイン・ポッド型が採用されたのである。TIEボマーのパイロットは右側のポッドに搭乗し、その後方には、航法コンピュータ、生命維持装置、動力調整装置などが搭載されている。また、TIEボマーはパイロットのための射出シートが装備された帝国軍で最初の戦闘機の1つであり、乗員たちの間でも非常に親しまれている。特に惑星大気中でも頻繁に使用されるようになってからは、深宇宙よりも生存確率が高いため、他の戦闘機よりも多くの割合で射出シートが使われている。
TIE/shの略称で知られるTIEシャトルは、基本的なツインポッド型のTIEボマーを人員輸送専用に改修したものである。これらは主に艦隊に属する船の間で、司令階層にいる将校たちを移動させるために使用されている。なかでもTIE/shは比較的階級の低い将校に多く利用され、階級の高い将校たちはより大型で高性能なラムダ級シャトルを利用している。
TIE/shにはパイロットの他に乗客2名分のスペースが用意されており、必要に応じて1トンまでの荷物も積むことができる。ただし、戦闘用に造られてはいないため機動性は悪く、武器もレーザー・キャノンを1基装備しているだけである。
ホスの戦い当時、6隻のスター・デストロイヤーからなる帝国軍の死の小艦隊は、反乱軍の捜索という極めて機密性の高い任務に当たっていた。そのため各将校はあらゆるセンサーやプローブ・ドロイドによる走査を避けて連絡を取り合う必要があり、直接相手の艦に出向いて顔を合わせるという方法を採用していたのである。このようにTIE/shは標準的な通信手段として広く利用されており、艦隊がリアルスペースにいる場合に母艦の付近を周回することで、より標準的で重武装のラムダ級シャトルの代役を務めていたのである。
TIEインターセプターは帝国軍のTIE戦闘機シリーズに加えられた最新鋭機種である。
ヤヴィンの戦いにおけるデス・スターの崩壊後、帝国軍司令官とパイロットたちは技術者を交えて会合を開き、戦闘時における反乱軍パイロットの士気や戦闘機の性能が信じがたいほどの高水準に達していることへの対応策を協議した。そして長い話し合いの結果、参加者が達した結論は、帝国軍に必要とされているのは反乱軍のXウィングやYウィングをはるかに上回る、より高速で機動性に優れた戦闘機の開発を行うことであるというものだった。
設計上の理由と経済的な事情によって、TIEインターセプターは従来のTIEファイターの基本設計を継承しつつ、ダース・ヴェイダー専用の曲翼型TIEファイターの先進性を取り入れて開発された。
より大型のツイン・イオン・エンジンと、必要量のエネルギー供給を維持するための大型ソーラー・パネルを装備させたことによって、 TIEインターセプターの最高速度はさらに増加している。また、ヴェイダーのプロトタイプ機に見られた曲翼型を利用しつつ、可視性の問題を考慮して矩形の切抜きが入れられているため、初期型TIEファイターの弱点とされていた視界の狭さも克服されている。帝国軍は当初、TIEインターセプターは銀河系で最も高速な戦闘機であると主張していたが、同盟軍のAウィングの登場によりその地位は失われてしまった。
TIEインターセプターにはソーラー・パネルの4つの先端それぞれにレーザー・キャノンが搭載されており、標準型TIEファイターに装備されていたコクピット部の2基のキャノンはなくなっている。さらに、火力制御コンピュータに組み込まれた照準ソフトウェアが更新されたことによって、より素早い応答と正確な追跡飛行が可能となっている。
TIEインターセプターの機動性はさらに優れたものになっている。初期型TIEファイターは既に最も機動性に優れた戦闘機であったが、新開発のイオン流放射システムによってパイロットはより鋭いターンと旋回を行うことができるようになり、曲形大型パネルは安定性の欠損を補うことにも役立っている。この新型イオン流放射システムは一連の改良の中で用いられた最も斬新なものである。最適な調整をなされた2枚の偏向板は独立して操作することが可能であり、鋭いターンや長距離旋回の際によくバランスをとり合っている。しかし、これらは新たに更新された機体調整監視ソフトウェアによって完全に制御されているため、パイロットは何も考える必要がないのである。この機構は標準型TIEファイターに移植することも可能なのだが、帝国軍の軍事工場ではこのような大きな計画に対する準備が整っていない。
帝国を代表する技術者たちには新型戦闘機にハイパードライブを搭載させないことへの不満を洩らす者もいるが、帝国軍の司令官たちは戦闘機はスター・デストロイヤーに搭載させるべきものであるとの主張を頑なに守り続けている。
クローン大戦による政情不安は、共和国の最も重要な地位にある指導者たちを暗殺や誘拐による危険から回避させるため、重武装の乗り物で移動させることを余儀なくしていた。やがて皇帝を僭称したパルパティーンも、特徴的な3枚の翼を持つシャトルによって宇宙を移動することになる。
シグナス・スペースワークス社製のシータ級T-2cは重武装のシャトルであり、前方には2基のクワッド・レーザー・キャノン、後方にも1基のレーザー・キャノンを携えている。また、広大な翼の表面には強力な偏向シールドのエネルギーが配分されており、頑強な耐久性を実現している。
この優雅な船は関節式の3枚の翼からなる航行システムを有しており、航行時には翼を左右に広げた状態に配置している。そして、着陸時には上方へ畳んだ状態となり、機体底部から伸縮式の着陸用スキッドが出てくるのだ。
パルパティーン専用シャトルは、さらに銀河系随一の腕を誇る宇宙船技師たちによってカスタマイズを受けた機体である。俗に言う「ウォーザンの魔術師たち」は、パルパティーンが銀河系の進展を常に把握できるようにするべく、このシャトルにハイパーウェーブ反射式伝送装置や受信装置を組み込んだのだった。また、このシャトルの機体表面には無数のセンサー・マスクが並んでおり、内部の専用キャビンをスキャンから防いでいる。この船の内部には邪悪なシスの財宝とも言うべき装置や調合薬があふれており、犠牲者の意思を捻じ曲げ、パルパティーンのダークサイドとの結びつきを強めているのだ。
帝国の初期の時代、シグナス・スペースワークス社の有能な技師たちは、シーナー・フリート・システムズ社によって勧誘された。そこで彼らは旧機種の設計を流用し、帝国の高官たちが使用するラムダ級シャトルの設計に取り掛かることになる。
インペリアル・シャトルとも呼ばれるラムダ級シャトルは帝国艦隊で使われている貨物および人員輸送用小型シャトルである。このシャトルは1枚の固定式上翼と2枚の開閉式下翼をもっており、飛行時には下翼を展開することによって優雅なY字型を現すようになる。一方で、それぞれの下翼には閉じたときに姿を現す格納式着床脚が装備されており、離陸時または着陸時には機体前面から伸縮型ランプが伸びるようにもなっている。この3枚の翼は単に外観の美しさを保つためだけではなく、大気圏内を飛行する際の安定性の維持にも大きく役立っているのだ。
ラムダ級シャトルはシーナー・フリート・システムズ社によって初期設計された機種であるが、実際にはシーナー社だけでなくシグナス・スペースワークス社も、軍事用途に適応したより重装備の機体の開発を請け負っている。かつてはシグナス社も軽武装シャトルの生産を行っていたが、現実的にシーナー社の製品に対抗することはできなかった。
ラムダ・シャトルは20人以上の乗員または80トン以上の貨物を輸送することができる。さらに帝国軍で使用されている他の多くのシャトルと違ってハイパードライブも搭載しているため、乗員や積み荷を他の艦隊や星系に輸送することも可能である。また、耐久性に優れた装甲に加え強力なシールドも装備しており、武装面でもシーナー社製のものは3基のダブル・ブラスター・キャノン、シグナス社製の軍用機では10基のレーザー・キャノンを搭載している。
通常、ラムダ・シャトルの操縦に必要とされる乗員は4名であるが、より安全な飛行を行うにはさらに通信装置やエネルギー配給を行う乗員が2名必要となる。緊急時には1人で操縦することも可能だが、その場合は著しく性能が低下してしまう。
また、大型の内部貨物区画を客室に改造されたものが個人的な輸送艇として多くの帝国の総督たちに利用されている。このシャトルは重武装であるため戦闘機などによる護衛を伴わずに長距離飛行することが可能であり、そのため反乱軍の奇襲部隊にとっても貨物を輸送しているだけなのか、あるいは帝国の要人を乗せているのか見極めることが困難になっている。
パルパティーン皇帝も高度な改良を施したラムダ・シャトルを専用機として使用しており、その機体にはクローキング装置も装備されているという。その他にもダース・ヴェイダーを始めとする皇帝の側近や軍司令官、高位の顧問などにもこのような重武装型ラムダ・シャトルを使用することが許されている。また、これらの機体にはホロネット受信機も装備されており、インペリアル・シティや他の帝国の拠点からの通信を即座に受け取ることができるようにもなっている。
このようにラムダ・シャトルは防御力、攻撃力ともに優れた機種ではあるが、同盟軍に捕獲された機体が多いことも事実であり、エンドアの戦いで使用された<タイディリアム>もまさにその一例である。
センチネル級シャトルは戦場に兵員を送り込むために帝国軍が使用している数多くの輸送船の一種である。ヤヴィンの戦いの直前に開発されたセンチネルは、帝国軍艦隊で最も一般的な上陸艇の1つとなり、スター・デストロイヤーと惑星上の紛争地点の間でストームトルーパーを移送する際に、最も頻繁に利用されている。また、センチネル級スターシップは優れた大気圏内用輸送船でもあり、タトゥイーンの部隊を含む多くの帝国軍駐留部隊に、少なくとも1隻はこのシャトルが配備されている。
標準的な状態のセンチネル級シャトルは、武装した54名(6分隊)のストームトルーパー、12基のEウェブ連射式ブラスター、6台のスピーダー・バイクを運ぶことができる。なお、これらのスピーダー・バイクのうち、少なくとも1台は偵察任務専用であり、敵の盗聴を防ぐためにランダムに周波数を変えて通信を行う従属通信端末が内蔵されている。さらに、このシャトルの兵員用シートは容易に脱着が可能であるため、目的に応じて他にも多くの輸送形態を実現することが可能である。たとえば、兵員用シートをすべて取り外せば、36台のスピーダー・バイクと12台の小型強襲車両、または180トンの貨物を運ぶことができるのだ。
着陸地点にいる敵を一掃するために、帝国軍の上陸艇は8基の伸縮式レーザー・キャノン、2門の震盪ミサイル発射管、1基の伸縮式イオン・キャノン・タレット、そして2基の回転式連射型ブラスターを使用する。これらの武器は3人の砲手によって操作されるが、すべての武器がシャトルに搭載された精密な照準コンピュータに接続されている。このように、センチネルは重武装であるため、戦闘時には戦闘支援艇として使用されることも多い。
センチネル級輸送船は、ラムダ級シャトルで人気を博した折り畳み式の3枚翼構造(固定翼1枚と、左右に展開する2枚の可動翼)を採用している。しかし、この上陸艇は最も敵の攻撃が激しい前線での飛行を想定して設計されているため、その外装にはラムダ級の装甲と比べて強度が25パーセント増加した装甲プレートが貼り付けられており、同時に偏向シールド発生装置も4基搭載されている。また、センチネル級はシグナス社製HD7エンジンを搭載しているため、そのサイズと重量に反する驚異的な速度と敏捷性を誇っている。
センチネルのコクピットには、操縦士1名、副操縦士兼センサー士官1名、そして専任の砲手が3名搭乗する。戦闘時には、専任の砲手が兵員格納庫の両側に4基ずつ配置されたキャノンを担当し、残りの2人がイオン・キャノン、連射式ブラスター、震盪ミサイルを発射することによって兵員の上陸を援護することになる。また、この船のセンサー装置は赤外線映像化装置、動体検出装置、生命体検出装置を含んでおり、ほぼすべての状況下で航行制御を行うことが可能である。さらに、内蔵されたコンピュータには自動マッピング機能と基本的な自動操縦機能が付いているため、非常時には帝国軍の守備隊やホーム・ビーコンに向かって、自動的に航行することもできる。そして、このシャトルには極めて強力な通信装置一式も搭載されており、特定星系内のあらゆる帝国艦船や装置との通信が可能である。
帝国軍は歩兵部隊と武装戦車を組み合わせた攻撃を行うため、しばしばセンチネル級を、それより遥かに大型のシータ級AT-ATバージと共に使用している。一方で、新共和国軍も帝国軍艦船より遥かに重防備のバンサ級アサルト・シャトルを展開し、それに対抗している。
帝国の崩壊後も、最大の買い手が失われたにも関わらず、シーナー社とシグナス社はセンチネルの製造を続けている。このシャトルは優れた適応性と戦闘における強靭さによって、銀河系全域にはびこる傭兵部隊や残存帝国軍、さらには新共和国に未だ多くの需要が残されているのだ。
地上戦用兵器および兵員輸送艇として製造されたAT-ATは地上における戦闘に非常に適した兵器である。全高15.5メートルにもおよぶその巨体は操縦士、砲手、司令官を乗せ、4本の長い脚によってあらゆる地形上を素早く移動することができる。AT-ATの車体は4重のデュラスチール製強化装甲に覆われており、操縦デッキは前方の頭部に格納されている。顎部に搭載された伝説上の怪物の牙を思わせるレーザー・キャノンは、地上でこれらのウォーカーと遭遇した者にAT-ATを巨大な闘獣と思わせることがあるという。しかし、これもAT-ATの設計者が敵に対する恐怖心を煽るために敢えて行ったことなのだ。
AT-ATの製造には多くの企業が協同して携わっていたが、その設計段階から特に大きく貢献したのは帝国軍の厳重な監視下に置かれているKDY社であり、実際の製造はクワット、カリダ、ベルドロンなどの重兵器製造工場で行われている。当時の帝国軍はあらゆる惑星で同じように利用できる戦闘車両を望んでおり、惑星磁場の影響などを考慮した、旧共和国で用いられていたAT-PTのようなリパルサー装置を一切使用しない原始的なものを想定していた。KDY社の設計士や開発者たちは、帝国軍が考案した初期の設計草案から今日の帝国軍で使用されている全地域用兵器を造り上げることに成功したのである。
AT-ATは多種多様な地形において展開させることができ、重力や気候、地盤などの変化による影響もほとんど受けない。深い草原や山岳地帯、崖、さらには垂直に近い傾斜でも8メートルほどなら簡単に歩行が可能である。もっとも沼沢地やジャングルなどでは速度低下が避けられないが、このような環境にはより効果的な小型ウォーカーが用意されている。また、AT-ATはコクピットが高い位置にあることから操縦員の視界も良好であり、遠方の小さな建造物や低く広がる施設なども容易に標的とすることができるため、非常に効果的な攻撃が可能である。さらに、その重装甲による防御力も凄まじく、かなりの猛攻を受けても横転したり破壊されたりすることはない。厚い装甲板はヘヴィ・ブラスターによる攻撃もほとんど無力になるまで吸収してしまい、接近攻撃によるダメージが内部に浸透するようなこともあり得ないのだ。
小さく混み合った頭部には操縦要員が乗り込んでいるが、AT-ATの主な搭載兵器もこの区画に収容されており、砲手もトランスパリスチールで頑丈に造られた視覚窓を通じて標的を多角的に見据えることができるようになっている。また、この頭部は上下に30度まで動かすこともでき、左右にも90°回転させることが可能である。AT-ATの搭載兵器は顎の下部に設置された2基のヘヴィ・レーザー・キャノンと両側頭部に1基ずつ取り付けられたミディアム・ブラスターによって構成されており、それぞれが独立して別の標的を捉えることが可能である。他にも操縦区画には電子射程ファインダー、照準コンピュータ、センサー・アレイ、ホログラム投影機などが配備されており、360°に設置されたコンピュータ設備によって必要なときにいつでも利用することができる。頭部と胴体部にある乗員区画とは伸縮可能でやや装甲の弱い首部の通路で連結されているが、AT-ATはこの唯一の弱点を集中的に攻撃されることが多いため、定期的な修理や交換が必要とされている。
AT-ATの胴体には、1台当たり5台のスピーダー・バイクと40人のストームトルーパーが乗り込んでおり、彼らは常に完全装備で戦闘準備を行っている。彼らを地上に降ろすとき、AT-ATは脚をたたんでかがみ込み、地上から3メートルの高さにまで乗員区画を下げて車体後部から降下用の傾斜路を降ろす。さらに、帝国軍基地のプラットフォームでは側面に設置されたハッチを使うこともある。また、兵員の代わりに2台のAT-STを搭載させることも可能である。
通常、地上攻撃において前線に展開されるAT-ATは軌道上のスター・デストロイヤーから発進した専用大型シャトルや降下船によって戦場に降ろされるか、または帝国軍の駐留基地から直接出動する。一般にウォーカーはその大きさと足音や露骨な攻撃方法から、遠距離にいても敵の防衛部隊にすぐに発見されてしまい、完全な奇襲攻撃は苦手である。しかし、その行く手を遮るものは金属製の巨大な脚で簡単に踏み潰されてしまい、しかも2系統の大型駆動装置を搭載しているためその四脚歩行速度は見かけ以上に素早く、遠くに見えている時間もほんの一瞬でしかない。
AT-ATは前線攻撃におけるまさしく無敵の兵器である。しかし、慎重に防衛部隊を準備し、武器系統と首の部分に集中攻撃を行えば勝利の可能性もわずかに残されている。
帝国軍のAT-ST、別名スカウト・ウォーカーは偵察任務および前線部隊の支援のために設計された陸戦兵器である。全高8.6メートルの2脚歩行型AT-STは開けた地形を素早く歩行することができ、AT-AT以上の機動性と操縦性を有する。しかし、耐久性にはそれほど重点が置かれていないため、武装と装甲の点では見劣りするのも事実である。
AT-STはシャトル・バージや降下船から降ろされるか、または帝国軍の駐留基地から出動する。必要とされる乗員は操縦士と砲手の2名だけであり、軍事基地以外では機体側面に設置されたはしごを使って天蓋のハッチから頭部の操縦区画に乗り込むことができる。そして、戦闘時には主に地上にいるストームトルーパーを援護するための砲火攻撃を行うが、AT-ATと行動を共にしているときはその側面を援護し、AT-ATから逃げようとする地上兵やリパルサー車両、下部から攻撃しようとする敵などを一掃することになる。
AT-STは平地における移動速度と機動性から、地上にいる敵にとっては非常に恐ろしい兵器である。武器は顎の部分に射程距離2キロメートルの旋回可能なツイン・ブラスター・キャノンが搭載されており、地上攻撃用にも左側面のセンサー・ポッド部分にライト・レーザー・キャノンが2基、右側面に震盪グレネード発射管が取り付けられている。AT-STの頭部は脚部と独立して回転させることができるため、これらの武器は360度にわたって発射することが可能である。しかし、ツイン・ブラスター・キャノンやレーザー・キャノンだけでは隠れた敵を貫通させることはできても、決定的なダメージを与えることはできない。それには多くの直撃が必要とされるのだ。また、金属製の両脚には鈎爪が装備されており、仕掛けられたワイヤーや接近してきた敵兵を引き裂くことも可能である。
AT-STに搭載されている駆動装置は1系統だけだが、この2脚歩行兵器にとって最も重要な問題となるのは安定性の確保であるため、高性能ジャイロ機構も装備されている。しかし、機体が軽量であることと、そのジャイロ機構があまりにも精密であることから、ワイヤーによる罠や頭上からの攻撃、落とし穴、地雷などの周到な防衛策にはその弱点を露呈してしまう。AT-STが単独で用いられ完敗を喫した数度の作戦の後、帝国軍の戦術家たちは前もってこのような罠を除去、あるいはマークしておく偵察部隊が必要であると主張した。さらに、今日では乗員も防衛網を発見するためのセンサーを使用し、ほとんどの地上標的に対して有効な攻撃を与えられる高機能型照準コンピュータも配備されている。いくつかの問題は残っているが、比較的開けた地域においてはAT-STも非常に効果的な軽戦闘車両であると言えるだろう。
一方で、AT-STはあまりにも小さいため、専用バッテリーを搭載することができない。その代わりとして、AT-STは使い捨て可能な強化型パワー・セルを使用しているが、これらは結果的にAT-STの移動範囲を狭めてしまっている。
また、AT-STにはAT-ST/Aと呼ばれる全高10メートルの強化型も存在するが、これらはヘヴィ・ブラスター・キャノンを1基搭載しており、脚部とジャイロ装置も強化されているため、安定性が向上している。
当初、安くて高速な地上で使う個人用の乗り物として製造されたスピーダー・バイクは、リパルサーリフトを使用した乗り物市場で急速に重要な地位を得るに至った。今日では「安い」とされたプロトタイプ・モデルはほとんど存在せず、より大型でより高速で、より高価なモデルが標準機となっている。
スピーダー・バイクは1人または2人乗りで惑星の地表を高速に疾走することのできる、リパルサーリフトを使用した乗り物である。製造元は無数に存在し、小さな遊戯用から武装を施された軍事用に至るまで、様々なモデルが作られている。
現在、最も人気の高いスピーダー・バイクはアラテック社、アドノ社、そしてモブクエット社の製品であり、各社それぞれが最も要求されているニーズに合わせた機種を販売している。スウープより小型だがリパルサーリフト・スクーターより高速なスピーダー・バイクは、速度を出すために高度を犠牲にしている。低高度で高速度の機動性は、おそらく大部分の機種で一番のセールスポイントだろう。また、一般的にその小型サイズは機体の利便性を増加させており、おそらくは大抵の地形において適切な大きさにもなっている。
基本的なスピーダー・バイクのデザインは後部にエンジンが搭載され、先端部にバランス制御のためのアウトリガーが伸びている。ドライバーと乗客はエンジンに接した特製のサドルに座り、サドルには安全ベルトと二次操縦制御装置が含まれている。主操縦装置はハンドルに付いたグリップと、フット・ペダルから成っており、通常4枚で構成される小型方向翼がアウトリガーから突き出している。ドライバーはハンドグリップとペダルを操作することによって、速度と方向を制御するのだ。
スピーダー・バイクはバッテリーを使用して走るが、バッテリーは約600キロメートルごとに充電する必要があり、その距離はそれまでの走行速度に依存する。新型機種の一部や多くの軍用機種は自己充電装置を装備しているが、それでもリパルサーリフト・エンジンを起動させるのに十分なエネルギーを得るには多くの時間が必要となる。
一般の人々はスピーダー・バイクを高性能な娯楽用の乗り物として利用しており、これでしか味わうことのできない猛スピードの興奮を楽しんでいる。また、なかには小型のスピーダー・バイクでしか移動のできない、制限の多い地形の惑星も存在している。こうした惑星では、スピーダー・バイクは贅沢品というより、むしろ必需品なのである。
アラテック社は人気機種のイエロー・デーモン100と軍用機の74-Zを製造している。イエロー・デーモンは大型のクワイエットリフト1,400推進システムを搭載した2人乗りモデルである。これらの主なライバル製品はモブクエット社のトレイルメーカーIIIであり、こちらは巨大なターボツー・リパルサーリフト・エンジンを搭載したパワー・バイクである。トレイルメーカーは一般用、軍事用の両方に適応できるが、74-Zに比べて大型で騒音が大きいことから、帝国軍のスカウト・トルーパーにはそれほど広く受け入れられていない。一般市民の間で最もよく売れている機種は、アイカス=アドノ社のスターホークである。この滑らかで高速なバイクは銀河中の若者たちに人気を博しており、価格も比較的安く押さえられている。
軍事用スピーダー・バイクは通常、小型レーザー・キャノンで武装されており、装甲も頑丈にされ、さらに、外部パワー・セルか、自己充電用燃料源のいずれかを搭載している。帝国軍の駐留基地では偵察、運搬、パトロールなどにこれらのスピーダー・バイクが用いられているため、ストームトルーパーの特殊部隊はスピーダー・バイクによる偵察部隊としての特別な訓練を受けさせられている。また、各地の警察部隊も軍と似た任務にスピーダー・バイクを使用しているが、ドライバーの大部分は帝国のバイカーほど十分な訓練を受けていないようである。