通商連合がナブー侵略に向けて密かに軍隊を組織し始めていたとき、経営上層部は、戦争に使用する武器を銀河系全域に運ぶための星間クルーザーや、戦闘機からの攻撃に対抗するための防衛用戦艦などの必要性を認識していたが、なかでも最も重要となるのが、自我を持たないドロイド軍を制御するための旗艦である。しかし、通商連合は軍事用宇宙船艦隊を構築するために必要となるクレジットを節約するため、既存のルクレハルク級貨物船を多目的戦艦へと転用する方法を選んだのだった。
また、この選択にはコスト削減の他にも、もう1つの利点があった。通商連合のルクレハルク級貨物船は何千もの惑星で既に見慣れた存在だったため、標的にされる惑星はすでに手遅れとなったときに初めて、自分たちが攻撃されていることに気づくのである。
通商連合のすべての戦艦は、外見上は中央の球体とそれを取り囲むドーナツ状の船体で構成されており、中央部にはブリッジと反応炉、周囲には主にハンガー・ベイが備わっている。大型貨物船を戦艦に改造するにあたり、通商連合は船に無数のクワッド・レーザー砲塔を取り付けた。通常、これらの武器は船体の内側に回り込んでおり、必要になるまで隠しておくことが可能である。また、ハンガー部分は大規模な上陸軍を運ぶためにほとんど改造を必要としなかったが、その外側にはドロイド・スターファイターの運搬と充電に用いる電力供給ラックが取り付けられている。
大型貨物船を戦艦へと改造することはコスト的には効率的なことが立証されたが、この大型戦闘用兵器には従来の戦艦にはない重大な欠点があった。たとえば、クワッド・レーザー砲塔は貨物船の赤道帯部分にしか取り付けられず、したがって、攻撃可能範囲が限定されてしまうのだ。この攻撃の死角は戦闘機や、通商連合の戦艦に近接して飛ぶ勇敢な宇宙船に利用されてしまう可能性が高く、事実、ナブーから脱出したロイヤル・スターシップを簡単に取り逃している。このような状況の際には、攻撃補助および防御のためにドロイド・スターファイターを展開しなければならない。
通商連合の戦艦は、武装された一連のハンガーを備えている。なかには危険な物質や毒物で満たされているものもあるが、大部分は兵員輸送車や戦車などを収容するために設計されたものである。ゾーン1と名付けられた外部ハンガーにはドロイド・スターファイターを着艦させ、これらを多重トラクター・ビームを用いてハンガーへと収容する。上陸船は内部ハンガー(ゾーン3)に集められているが、発進の際にはゾーン1やゾーン2、ミドル・ハンガーのランチで準備され、戦車などとともに武装を与えられる。また、ドロイド・スターファイターはすべてのハンガーで係留ラックに吊るされている。
ナブーの戦い後、共和国は通商連合に対して軍の解体を命じた。通商連合は見た目上、多くの戦艦を分解することで命令を遵守したと主張していたが、実際には中央の球体を脱着可能なコア・シップへと改造しただけであり、後のジオノーシスの戦いや、クローン大戦でも、全般にわたってこれらの戦艦を使用している。撤退の際、コア・シップは単独で軌道上にまで上昇することができ、外側のリングと結合することができるのだ。クローン大戦後も、通商連合で使用されていた戦艦が少数ながら企業セクター内で使用されており、なかには裕福な商人によって購入されたものもあるという。
ドロイド司令船は通商連合軍の戦艦に単純な改良を加えたものである。したがって、その形状も連合軍の他の標準的な戦艦と酷似しているが、球形のブリッジの後方に設置された通信タワー、受信アンテナ、モニタ・センサー、その他の通信設備によって容易に見分けることができるだろう。最も重要な追加は船の中央部に設置された中央制御コンピュータであり、これらはバトル・ドロイドやドロイド・スターファイターを始めとする通商連合の様々なドロイド・ユニットを操作するためのプロトコルを生成するようにプログラムされている。そして、中央制御コンピュータで生成された命令電文は、中央の球体の上に立てられた通信タワーを通じて送信されることになる。
一方で、通商連合のドロイドたちは、戦場における最新情報やその他の情報をドロイド司令船に常に送り返しており、司令船は船体の赤道付近に並べられた16基のドロイド・シグナル受信装置によってこれらの情報を受け取っている。司令船はこれらの情報を使って素早く最新のプロトコルを算出し、必要に応じて命令の再調整を行うが、もちろん、ドロイド司令船の司令官はすべての命令を上書きし、独自の命令を発することも可能である。ただし、この場合も戦場への電文の送信には、中央制御コンピュータを経由させる必要がある。
さらに、ドロイド司令船にはこれらの通信設備へのエネルギー供給のため、反応炉が追加されているが、この追加された反応炉はハンガー・ベイの脇に無防備に設置されており、主反応炉と相互接続されていた。その結果、この設計はナブーの戦いにおいて致命的な事態を引き起こすことになるのだった。
ナブー侵略が首尾よく成功したため、ニモイディアンたちはドロイド司令船を残して他の戦艦を全て故郷へと撤退させていた。そのため、司令船は惑星を防衛するナブー・スターファイターにとっての唯一の標的となったのである。そして激戦の最中、新米パイロットのアナキン・スカイウォーカーがフォースに導かれてハンガー・ベイに不時着し、内部の無防備な反応炉に向けてプロトン魚雷を発射した。結果としてもたらされた爆発の連鎖によってドロイド司令船は大破し、同時に地上にいたドロイド軍の動きも停止し、ナブーとグンガンの軍隊に勝利がもたらされたのである。
ホアシュ=ケッセル・ドライブ社製の球形をしたコア・シップは、通商連合の環状貨物船および戦艦の中央司令センターとして使用されている。この船は貨物船本体から切り離せるように設計されており、貨物船本体を宇宙空間に待機させたまま、乗員や兵員を惑星の地表に降ろすことができるのだ。このとき、各コア・シップは荷卸しや整備を行うために特別に作られた地上の専用格納庫に収容される。
コアの表面には防衛用のライト・レーザー・キャノンが280基散りばめられており、惑星の地表でも比較的安全な離着陸が可能になっている。また、コアの中心部には取引きの代表者を6,000人以上収容可能な居住区画が設けられており、通商連合は容易に賓客を運ぶことができる。ハンガーやドッキング区画は外側の層に設けられており、MTTやAAT、さらには完全なドロイド軍を惑星の地表に展開させることが可能である。
原則としてこの船は軌道上に待機している母艦と地上との往復を行うだけである。そのため、駆動システムは最小限の装備しか必要としておらず、実際に強力なイオン・エンジンとリパルサーリフト・エンジンだけを搭載している。
通商連合の上陸船は標準的な商業貨物運搬艇と似た構造をしているが、これらはAATやバトル・ドロイド、MTTなどの運搬が可能なように大幅に再構築されている。このような重い貨物を運ぶため、C-9979には卓越した能力の反重力リフトが備わっているのである。
上陸船で運ばれる貨物の大部分は2枚の翼にあるガレージ路に置かれている。着陸中はリパルサー・トラックが運搬車両を着陸プラットフォームまで誘導し、貨物はそこで再編成され、降ろされる。運搬車両やドロイドが艇を出る前には、C-9979のメイン配置ドアが防御フィールド・センサーを起動し、地雷や電磁フィールドなどの危険物を走査する。通商連合上陸船の小型エリアには、修理および整備施設に充てられている個所もある。これらはバトル・ドロイドや交戦後の車両の修理をプログラムされたドロイドによって運営されている。
上陸船は主として通商連合戦艦のハンガーから降下され、戦闘が差し迫ったときには、迅速に降下させることが可能である。待機時には、C-9979の翼は疲労緩和のために取り外される。翼はテンソル・フィールドを経由して船体と連結されており、これらのフィールドは翼が取り付けられている間、絶えず作動している。
シーシピド級シャトルは短距離専用輸送艇であり、主としてニモイディアンの高官たちによって、彼らが経済的あるいは軍事的に制圧した惑星内での移動や、地表から大型母船や宇宙ステーションの待機する軌道までの移動に使用されている。ニモイディアンのテクノロジーに多く見られるように、このシャトルは鋭い着床爪を持った大きな昆虫型の形状をしているが、これはニモイディア原産の巨大甲虫を意識したデザインである。また、乗客は中央ラウンジに搭乗するが、ニモイディアンの貴族たちが好む多くの機種は、機械のパイロットを採用し、キャビンのスペースを増やす代わりにコクピットを排除している。
通商連合のヌート・ガンレイ総督が所有するラピズ・カッターは、武器や強力な偏向シールドを装備していなかった。一方で、自動化されたシャトル・システムに強い不信感を持つグリーヴァス将軍は、乗員のいるコクピットが備わっているべきだと主張した。そのため、彼の専用スターファイターが使用できないときは、バトル・ドロイドが彼のシャトルを操縦することもあった。
ナブーの戦いの最中に、通商連合のドロイド司令船は、高速かつ無情なドロイド・スターファイター(別名、ヴァルチャー・ドロイド)の果てしない大群によって強固に守られていた。この素早い宇宙戦闘機は完全に自動化されたドロイドの頭脳を持っているため、目の前の戦いに集中し、躊躇せずに自身を犠牲にすることができるのだ。事実、この大群はナブーのパイロットたちを圧倒し、後一歩で通商連合に勝利をもたらすはずだったのである。
チャロスIVの巨大な聖堂工場で働くカイ・チャリアンたちは、ホア・コールと呼ばれる極めて精密な製造業に従事することを教義とした宗教を設立した。彼らによって設計されたドロイド・スターファイターには、捕捉されにくい小さな機体、数多くの搭載兵器、昆虫のような奇妙な外観といった、カイ・チャーの古典的設計思想が強く反映されている。そして、この熱狂的な信者たちは通商連合の手先となり、連合も彼らを恐ろしい兵器の製造業者としてうまく利用しているのだった。ドロイド・スターファイターは宇宙空間および大気中での戦闘の双方に優れた性能を発揮することができ、通商連合からの発注に基づいて、ナブーの戦いの直前に大量生産されたのである。
ドロイド・スターファイターの主要な武器は、各翼に2基ずつ搭載された計4基のブラスター・キャノンである。このレーザー・キャノンは長い射程距離を誇るが、ナブー・スターファイターなどに搭載された同種の武器と比べると、やや威力に劣っている。また、通常の飛行形態では翼をたたんでおり、レーザー・キャノンも隠された状態になっているが、戦闘が差し迫った状態になると、翼が広げられ、武器が姿を見せることになる。さらに、ドロイド・スターファイターには2門のエネルギー魚雷発射管がレーザー・キャノンを補う形で装備されている。レーザー・キャノンによる集中砲火を浴びせるには敵に十分接近する必要があるが、このエネルギー魚雷を使用することによって、事前に敵を弱体化させておくことができるのだ。
カイ・チャーは、ドロイド・スターファイターを大群で素早く敵を殲滅する短距離型戦闘機と見なしている。また、この戦闘機の燃料システムは金属を凝縮させた従来にない固形燃料を使用しており、それを点火することによって推進力を得ている。しかし、この燃料は消耗が激しく、約35分で尽きてしまうため、ドロイド・スターファイターは頻繁にハンガーや宇宙ステーションに帰還して補給を行わなければならない。
非戦闘時には、ドロイド・スターファイターは通商連合の戦艦の外部ハンガー・ゾーンにある桁に吊り下げられている。これらの桁は高電圧パワー・グリッドに接続され、ドロイドを充電することができるのだ。また、個々のドロイドは翼と頭を動かすことによって定期的に動作テストを行っている。そして戦闘が起こりそうになると、ドロイド・スターファイターは大群で解き放たれ、敵軍を数で圧倒させることになる。
通常、ドロイド・スターファイターの中隊は数百機の戦闘機によって構成されており、そのすべてが効果的に敵を恐怖させるような、調和した攻撃を行うようプログラムされている。また、これらの戦闘機は偏向シールドを装備していないため、簡単に破壊されてしまうが、待機ユニットが継続的に出撃することによって、手薄になった中隊をすぐに補強することが可能である。
ドロイド・スターファイターの最も珍しい特徴は、歩行形態への変形機能である。この戦闘機の翼は4本の脚にもなり、惑星を占領しているときに確保した領域内を「歩いて」パトロールすることができるのだ。
AATなどの通商連合の他の軍事用兵器と同様に、ドロイド・スターファイターもナブー侵略前に厳格なテストを受けている。ドロイド・スターファイターはエルルード・セクターにおけるデガンの海賊団への急襲の際に実戦使用されており、惑星ロックでニムの私設軍を打ち破る際にも大いに役立った。また、エッサーラ・ティル率いるエコー小隊のパイロットたちがステーションTFP-9を襲撃したとき、彼らは機械の軍隊と衝突しているが、このときがナブーとドロイド・スターファイターとの最初の接触だった。これは通商連合が全軍を従えてナブーを封鎖する数週間前の出来事である。ナブーの戦い後も、ドロイド・スターファイターは通商連合の「防衛艦隊」の一部として使用され続け、ゾナマ・セコートへの侵略や、カーサック星系の占領などにも参加している。
また、クローン大戦が勃発し、通商連合が独立星系連合の創設メンバーの一員となると、彼らは自分たちのヴァルチャー・ドロイドを増大する分離主義艦隊へと供給するようになった。連合軍の青と白の6角形を描かれたヴァルチャー・ドロイドは、コルサントの戦いを含むいくつもの戦場でジェダイやクローンのパイロットを悩ますことになる。
AAT、すなわち装甲型突撃戦車は、ナブーへの侵略およびその後の占領の間に通商連合軍で使用されていた戦闘車両である。AATはバクトイド・アーマー・ワークショップ社の製品としては最も重武装かつ重防備な戦車だった。
主として前線への激しい攻撃のために用いられるAATは、主砲として長い銃身を持つタレット型レーザー・キャノンを装備しており、より小さな敵を標的とする際には、それを補助する第2レーザー・キャノンが用いられている。また、車体の最下部付近に位置する1対の短距離型対歩兵用ブラスターは、主として敵兵に対する集中攻撃の際に用いられている。
この戦車は標準型高エネルギー砲弾を発砲するための汎用発射管を6門装備しており、厚い装甲をも貫く対戦車用砲弾や、建造物を破壊するために作られた爆弾「バンカー・バスター」など、様々な砲弾を発砲することができる。これらの砲弾は発砲されると同時にプラズマに包まれ、速度と貫通力が増大されるようになっている。通常、AATは55発以上の砲弾を搭載することができるが、これらを使い切ると、通商連合の上陸船や戦艦、または基地へ一時帰還しなければならない。AATはそこで安全に車体下部を取り外し、砲弾が補充された基部と交換することによって、再び攻撃を行える状態になるのだ。
防御面では、AATは厚い装甲プレートに覆われており、車体の鼻先には頑丈な衝角が付いている。また、バクトイド社の他の多くの製品と同様に、AATも主反応炉やパワー変換機などの重要な部品およびシステムは、すべて車体の後部付近に配置されており、結果的に防御力を高めている。
通常、AATの乗員は4体のバトル・ドロイドによって構成される。1体のパイロットと2体の砲手は車体の中心部にある小さなコクピットに搭乗し、司令官のドロイドが戦場センサー、通信装置一式、補助操縦システムに囲まれた状態で、メイン・レーザー・キャノンの真後ろに座っている。パイロットと司令官は双方とも双眼鏡型カムや潜望鏡型スキャナを使用して状況を確認することができ、ドロイド司令船からの詳細な情報をダウンロード受信するために、AATのメイン・コンピュータにも直接接続することが可能である。また、パイロットはフロント・ハッチを開けることで、戦場の様子を直接見ることもできる。
一方で、敵の兵員や施設への攻撃以外にも、AATはバトル・ドロイドを戦場へ送り込む目的で使用されることがある。車体には左右の両側面にそれぞれ3本の枷が取り付けられており、1台のAATで6体以上のバトル・ドロイドを運搬することができるのだ。
ナブーへの侵略に先立って、通商連合軍はアウター・リムにある辺境の惑星でAAT同士を互いに戦わせることによって、テストを行っていた。また、より実践的な評価を測定するために、通商連合はカーサック星系の惑星ロックで、海賊たちを相手にAATを実戦使用している。これらの戦いは非常に激しいものとなり、結果的にナブーに投入されたAATには、戦闘による生々しい傷跡が数多く残されていたのである。
ナブーの戦い後も、通商連合はロックや他の惑星でAATを使い続けている。それに併せてバクトイド社も特別仕様のAATを数多く生産しており、機動性を高めた機種や、偏向シールドを装備した機種さえも開発されたのだった。
兵員の運搬専用に開発された輸送車両は、多数の兵士たちを戦場に素早く、安全かつ効率的に運び込むことができる。そして、真に優れた兵員輸送車両は、それ自体が戦車として機能し、戦場への展開および撤退の間に兵士たちを守る能力も持ち合わせている。通商連合のMTT(より一般的には「大型輸送車両」として知られている)は、まさにこうした特別な車両の1つである。MTTは圧倒的な数のバトル・ドロイドを戦場まで瞬時に輸送することができ、通商連合が密かに準備していた軍隊にとって必要不可欠な存在となっているのだ。
一見したところ、MTTは比較的シンプルな構造をした車両である。だが、厚い装甲によって守られている一方で、くすんだ茶色い車体の外装には数多くの新しい機能が隠されているのだ。なかでも最大の特徴は、長い伸縮式の配置用ラックである。MTTを開発したバクトイド・アーマー・ワークショップ社の技術者たちは、通商連合の兵士が折りたたみ可能であるという事実を、利点として最大限に活用したのだった。配置用ラックを使うことによって112体以上のバトル・ドロイドを車体内部に収容することができ、それらすべてがスペースを有効に使うため、コンパクトな輸送用の状態に畳まれている。MTTは戦闘状態に突入すると車体前面のハッチを開け、配置用ラックを伸張させ、ドロイドたちを解放する。そして、ドロイド司令船からの指示によって起動したバトル・ドロイドは、通常の戦闘姿勢にまで展開し、臨戦態勢に入るのだ。この配置用ラックのおかげで、MTTは他の同じサイズの輸送車両と比べて3倍近い輸送能力を発揮している。また、ラックを完全に取り外し、車体の上にリパルサースレッド式の兵員キャリアーを取り付けることも可能である。だが、このような兵員キャリアーは無防備であるため、MTTより速度は大きいものの、通商連合の基地や、占領した都市、その他の安全なエリアにおけるバトル・ドロイドの運搬にしか使用されていない。
激戦の最中にバトル・ドロイドが展開されると、必然的にMTTも混沌とした危険な環境に晒されることになる。このような任務を生き延びるため、MTTは表面を焼き固めた金属合金製のスタッドによって、前面の装甲板が重厚に強化されている。また、AATなどの他のバクトイド社製車両と同様に、パワー変換グリッドをはじめとしたMTTの最も重要なシステムは、優先して保護するため車体後方に集中して配置されている。そして、敵と対面すると、MTTは独立して発射できる4基の対人用ブラスター・キャノンでそれらを殲滅することができるのだ。このキャノンは限られた射程距離しか有していないが、通常、MTTが激しい戦場を通過する際には、2機のAATが護衛を行うことになっている。
MTTは極めて頑強な前面装甲を有しているため、通商連合はしばしばこれらを強行突破する際の衝角として使用している。MTTを建造物や壁に激突させ、敵対する施設の内部にバトル・ドロイド部隊を直接投入するのだ。通商連合はナブーでもこの戦略を実践し、奇襲によって多くの成果を挙げた。事実、シード周辺のいくつかの小規模な前哨基地は、この作戦によって容易に陥落させることができたのである。
一方で、内部に大量のバトル・ドロイドを収容したMTTは大型化し、それに併せて重量も増加しているため、リパルサーリフト装置を動かすだけでも膨大なエネルギーが必要となる。MTTではこうした動力を供給するために、非常に強力なKDY社製プリミオン・マークIIパワー・ジェネレータを使用している。エンジンと冷却システムからの排気は底部の通気孔を経て外部に放出されるが、その際に奇妙で恐ろしい形をした雲が形成されることが知られている。
AATと同様に、MTTも特別なプログラムを与えられたバトル・ドロイドによって操縦され、2体目のドロイドが砲手を務めている。ナブーの地表に配置されたMTT部隊は、事前にプログラムされていたルートに従って移動していたが、パイロットはドロイド司令船の中央司令コンピュータと協議を行った後、このような厳密な司令を変更することもある。
スタップは単独の兵員を乗せて飛行するように作られた、細長い形状の低空飛行型リパルサーリフト偵察機である。通商連合は密かに準備していた軍隊でナブーを侵略したが、その際に大量のスタップを使用している。これらは圧倒的な機動性を示し、深い森林や沼地などの密集した地形内でも操縦することができたのだ。
スタップはエアホックとして知られる民間機の軍用バージョンである。一般に、エアホックは長いエアホイルに接続された円形の制御モジュールによって構成されており、エアホイルの底部付近にあるリパルサーリフト・エンジンによって揚力を得るが、通常、最高高度は25メートル程度が限界となっている。推力は2基のドライブ・タービンによって与えられ、当地の野生動物に対して使用するスタン・キャノンを搭載した機種もある。だが、民間のエアホックは悪天候の影響を受けやすいため、多くの機体が大気状態の安定した温暖な惑星で使用されているだけである。
通商連合のスタップはロングスパー&アロイ社製の民間用エアホックを改良したものである。軍用スタップでは、武器にも逃走するナブー市民などの小さな標的を殺傷する能力が必要とされ、スタン・キャノンがツイン・ブラスターに置き換えられている。また、この機体は軽装甲プレートによって覆われているが、この防御は携帯用ブラスターによる攻撃程度しか防ぐことができないため、重火器による正確な攻撃の前にはほとんど無力である。
他の通商連合の艦艇と同様に、スタップもバトル・ドロイドのみによって操縦される。ドロイドは長いフット・ペダルの上に立ち、スタップの速度、武器、方向などを制御する1対のハンドルを掴んでいる。高電圧エネルギー・セルは短時間ながらこの機体を最高速度で維持することができるが、エネルギー・セルが切れると、スタップは再充電のため通商連合の施設に帰還しなければならない。ナブーでは、スタップはレジスタンス部隊の捜索や地上部隊への支援などを行う短距離偵察任務に就いていた。
ナブーの戦いのとき、通商連合軍はヘヴィ・スタップと呼ばれる機体も使用していた。重防備のヘヴィ・スタップは、より大型のツイン・レーザー・キャノンとミサイル発射管を1門装備しており、小規模な戦闘でより直接的な役割を果たすことができる。一般に、ヘヴィ・スタップは危険な地域の偵察や、撤退する敵勢力への追撃のために使用されるが、通常のスタップと比べて機動性に劣るため、河川地帯など、通過を苦手とする地形も存在している。
通商連合のスタップは、戦闘に使用された最初のエアフォイルというわけではない。多くの地方防衛組織でも改良型エアフォイルの小規模部隊が配備されており、ヤヴィンの戦いのおよそ5,000年前には、エンプレス・テタ星系で軍事仕様のエアフォイルが使用されていたという。また、その当時はジェダイも個人用の輸送艇としてエアフォイルを利用しており、ルーサンの戦いなどの抗争の最中には、味方の救出任務にそれらのエアフォイルが使用されたと言われている。そして、反乱同盟軍もダントゥイーンの基地に少数の改良型エアフォイルを保持していたが、これらは氷原では使用できないため、ホスへ移動する際にすべて破棄されたのだった。