デス・スターの設計者、ベヴェル・レメリスクが犯罪王ダーガ・ザ・ハットの要請に基づいて設計したダークセイバーは、初代デス・スターの延長上に位置する改良型宇宙ステーションである。廃墟と化した亡きジャバ・ザ・ハットの宮殿から帝国軍のある重要機密コードを盗み出したダーガは、ペットのトーリルたちを新共和国政府が厳重に管理するコルサントのコンピュータ室に侵入させ、隠されたコンピュータ・ファイルから、初代デス・スターの設計図を手に入れた。続いて、彼はレメリスクと元帝国軍将校のサラマー将軍を迎え入れ、ハットによる銀河系支配の足掛かりとするべく、ダークセイバー計画を発動したのである。ダークセイバーは初代デス・スターから、TIEファイター用ハンガー、乗員居住区画、AT-AT格納庫、ハンガー・ベイなど、ダーガの計画にとって不要となる部分をすべて除去した効率的なステーションとして設計されていた。ダーガが要求していたものは、銀河系を支配するために必要となる超兵器であり、レメリスクもその際に不要となる部分を完璧に把握していたのである。
ダークセイバーの円筒型シリンダーには、より長くより強力なスーパーレーザーが組み込まれている。ダークセイバーに搭載されたパワー・ジェネレータは、推進系を除く他のシステムにエネルギーを供給する必要が無いため、膨大なエネルギーをこのスーパーレーザーに充てることができるのだ。また、このスーパーレーザーは宇宙ステーションの長い軸に沿って作られており(これは実際にユマック・レスがエクリプス級スター・デストロイヤーに搭載したものよりも巨大である)、起動されると、ステーション全体とそのビームが巨大な宇宙規模のライトセイバーのように見える。レメリスクがこのステーションを「ダークセイバー」と名づけたのもこのためだった。
エンドアの戦いから8年後、ダーガは鉱物資源が豊富なホス星系の小惑星帯に注目し、レメリスクに作らせたオーコ・スカイマイン社の船で資源を収集しながらダークセイバーの建造を進めていた。ステーション内部の居住区画は、ハットとその取り巻きたちをあわせた数百名分が用意されているだけだが、特筆すべき点は操縦区画であり、そこにはダーガの残忍な性格を反映した特別な仕掛けが施されている。乗員たちのすべての座席に拘束べルトが取り付けられており、乗員たちはダーガの許可無く席を離れることができないのだ。さらに各座席にはダーガが自由に高圧電流を流すことができ、失態を演じた部下をその場で処刑できるようになっている。しかし、座席の数が多いため、操作ミスによって関係ない部下が黒焦げとなってしまうことも少なくない。
一方で、ダークセイバーの脅威を察知した新共和国情報部は、クリックス・メイディーン将軍率いる破壊工作チームを送り込み、計画の妨害を試みた。しかし、メイディーンは部下の不注意からダーガに発見されてしまい、邪悪なハットの手によって射殺されてしまう。だが、ダークセイバー計画は、ダーガの倹約主義、サラマーのいい加減さ、そして工事を担当したトーリルたちの気まぐれが重なって、自滅の道を歩むことになる。実際にこの宇宙ステーションが動作可能な状態にまで作り上げられたのは、ひとえにレメリスクの執念によるものだった。しかし、ダーガが最終的にダークセイバーの制御権を得たとき、その緩慢さがレメリスクの執念をなぎ払ってしまう。ダーガはこのステーションを発進させ、目の前に迫った巨大な小惑星を粉砕するべくスーパーレーザーを発射しようとするが、レーザーはトーリルたちの不手際によって機能しない状態だったのだ。呆れ果てたレメリスクは直前に脱出していたため難を逃れたが、ダークセイバーはなす術なく2つの小惑星に押しつぶされ、ダーガとその部下たちもろとも小惑星帯を漂う塵と化したのである。
何千年もの昔、<エボン・ホーク>はある密輸サークルのなかで伝説的な存在となった。この船は生涯の大半をマンダロリアン大戦時のタリスにおける暗黒街のボス、デイヴィック・キャングの物資を運ぶために使われていた。慎重な操縦と想像を絶するほど高性能なドライブ・システムによって、この船は共和国やシスのパトロールを同様に出し抜くことができ、銀河系の縁まで数多くの悪党たちに品物を運んでいたのだった。後にデイヴィックは、冗談まじりに、この船こそがこれまでに盗んだなかで最高の一品であると語っている。事実、この船は過去に何度も彼の命を救っており、これこそが彼の主張の裏づけなのである。
デイヴィックが<エボン・ホーク>をどこで手に入れたかは定かでない。さらに、この船は主要システムを何度にもわたって改良されており、当初の分類はおろか、製造元会社でさえはっきりと識別できなくなっている。どこかのショールーム・フロアから持ち出された、いくつかの異なるモデルをつぎはぎして作られた開発中のプロトタイプである可能性もあるのだ。実際に、航法コンピュータから極端に強力なハイパードライブにいたるまで、主要な部品はすべて改造品だった。同様に、密輸業者専用の改造も数多くなされているが、これらすべての所在と使い方を知っている人物はデイヴィックただ1人なのである。
<エボン・ホーク>の内部は、コクピット、乗員の居住室、医療センター、戦術ステーション、船倉、そしてスウープ・バイクや改造した装備品を収納するための間に合わせのガレージなど、いくつかの区画に分かれている。また、砲術ステーションには2基のターボレーザーと同様に、他の秘密の武器が隠されていた。
シス卿ダース・マラックの船<リヴァイアサン>によってタリスが滅ぼされる直前に、バスティラ・シャン救出の後に行われた口論によってデイヴィックが殺害されると、<エボン・ホーク>の所有権は回復したレヴァンとカース・オナシへと移り変わった。その後、レヴァンと乗員たちは失われた星図を捜し求めるため、惑星から惑星へと移動する際にこの船を使ったのだった。
ジャバ・ザ・ハットの所有するスペース・クルーザー<スター・ジュエル>は、彼が西大砂丘海の宮殿から、モス・アイズリーより遥か遠方の都市へ「個人的な商業旅行」へ向かう際に使用しているカスタム型ユブリキアン・スペース・ヨットである。また、この悪名高きハットの犯罪王は、アウター・リムや銀河系の他の地域での急なビジネスの際にもこのクルーザーを使用している。そしてこのクルーザーは、派手な外観と、その内部で起きることが知られていた下劣な出来事によって、所有者と同様に悪名高い宇宙船とされている。
<スター・ジュエル>の上部構造にはジャバの謁見室が用意されており、その中央部はトランスパリスチール製の観測ドームによって占められている。だが、ジャバを楽しませるために開かれる数々の「社交的行事」の開催時を除けば、謁見室は事実上、ジャバに雇われた多くの悪党や手下たちの寝床となっているのだった。
ジャバの個室は謁見室のすぐ後方にあり、そこには謁見室のものより小さな観測ドームが2つ設置されている。また、このヨットには食事を準備するための調理室、武器庫、ドロイド作業プール、小型車両ハンガー、さらには数多くの客室などがあり、それらすべてにジャバの個人的なスパイ活動や娯楽のために使われる盗聴装置や監視装置が隠されている。さらに、小型発着ベイには常に6機のZ-95ヘッドハンターが格納されており、同様に小型上陸用シャトルも2機用意されている。ジャバは自ら目的地に出向く前に、まず「あいさつ係り」を遣わせることを好んでいるため、ヨットが目的の惑星に到着した際には、これらの2機のシャトルが両方使われることになる。また、噂によると、ヨットの最下層にはジャバのペットのランコアのために作られた飼育用の檻まであるという。
このヨットの主な動力源は2基のユブリキアンN2イオン・エンジンによって与えられており、より小型のクワットT-c40イオン・エンジンが3基でそれらを補っている。そのため、<スター・ジュエル>の亜光速度はヴィクトリー級スター・デストロイヤーとほぼ同等である。また、大気圏内航行時には後方の2枚の翼が補助翼として働き、船体の両側に3本ずつ付いている収容可能な棒が推進ジェットを噴射する。こうして、このヨットは大気中では時速800キロメートルの速度にまで到達することが可能だが、ジャバのパイロットたちは主人にくつろぎの空の旅を楽しませるため、極度にゆっくりとした速度で飛ぶよう指示されているのだった。同時に、これはジャバの訪問を受ける「名誉ある」人々にも、料理の味の最終的なチェックを行うのに十分な時間を与えてくれている。また、このヨットは標準的なユブリキアン・ハイパードライブ・ユニットにコーンセイヤー社製のCL-14ハイパードライブ駆動装置が従属しているため、クラス2ハイパードライブとしては、若干遅い部類に入っている。
<スター・ジュエル>は6基のターボレーザーによって武装されているが、これらは上部構造の突起部の下に慎重に取り付けられている。これらの武器はコレリアン製であり、とても小さな発電装置を使っているように見えるが、実際には船の中心部にあるパワー・コアから直接エネルギーを供給されているのだ。また、一見したところ、これらのターボレーザーは民間で合法的に使用されている枠内のものであるかのように見えるが、本当の威力は発砲された後でなければ分からないようになっている。
海賊の人生は大きな危険に満ちており、自尊心の強い海賊の首領は絶対的に自分専用の宇宙船を欲しがっている。ロック・レヴェナントとして知られる傭兵団を率いるフィーオリンのニムもこの哲学を実践しており、彼は<ハヴォック>と呼ばれるこの銀河系で最も致命的かつ最も実験的な爆撃機を所有しているのだった。
<ハヴォック>は当初、ヌビアン・デザイン・コレクティブ社によって作られたプロトタイプのなかの1機だった。同社はこれらが完成した際には、完全装備の爆撃機としてナブー政府に販売することを望んでいたのである。しかし、平和なナブーは防衛組織にこのような重武装爆撃機を導入することを拒絶し、後にこの爆撃機はスカーグH-6と命名されたのだった。この爆撃機の主任設計技師を務めていたビスのジンキンスは最後までこのプロジェクトを擁護し続けるが、最終的にヌビアン・デザイン・コレクティブ社は経費の掛かる研究開発の打ち切りを決定し、完成していたプロトタイプもすべて倉庫に移されたのである。
これに挫折したジンキンスはニムを探し出し、2人はプロトタイプを盗み出す計画を立てた。その後の数年間でジンキンスはこの爆撃機に数多くの改良を加え、<ハヴォック>はナブーの戦いやジオノーシスの戦いを始めとするいくつもの重要な抗争に参加したのである。
<ハヴォック>は突出した速度、装甲、シールド、その他の搭載システムを誇っているが、なかでも武器に関しては他のあらゆる戦闘機を大きく凌駕している。主要搭載兵器は両翼に2基ずつ搭載された合計4基のレーザー・キャノンであり、各翼のキャノンが連動することで、1機の標的に2基のレーザーキャノンによる集中放火を浴びせることができるのだ。また、機体上部には極めて強力な回転式ツイン・レーザー・キャノン・タレットも搭載されている。戦闘時には、このタレットは他のレーザー・キャノンと同調させることもできるが、機体の後方と側面をカバーするために独立して操作することも可能である。
<ハヴォック>の最も恐ろしい武器は、破壊的なエネルギー爆弾を生成する能力を持った「小型爆弾生成装置」である。当初、<ハヴォック>はプロトン魚雷を搭載し、2門の投下シュートを通じてそれらを発射していた。その後、ニムとジンキンスは極めて実験的な(かつ不安定な)小型爆弾生成装置を導入し、継続的な爆弾の供給を実現したのである。爆弾投下シュートはそれぞれ最大で5発の爆弾を搭載することができるが、小型爆弾生成装置はメイン・ジェネレータからエネルギーを得ることによって、何度でもエネルギー爆弾を再補給することが可能である。また、小型爆弾生成装置は簡単に取り外しでき、ニムや他の乗員は必要に応じてこの装置を他の車両に搭載させることもできるのだ。
ジオノーシスの戦いの直前に、ニムと他の乗員たちは<ハヴォック>のすべての武器を増強した。彼らは破壊力のあるミサイルや近距離機雷、さらには敵機のシールドを無効化できるイオン化クラスター・ミサイルを取り付けたのだった。
当初、<ハヴォック>は、パイロット、タレット専属砲手、第2砲手、航法士、爆破スペシャリストからなる5人の乗員を想定していた。しかし、ジンキンスはニムが1人で飛ばせるように、各搭載武器に独立した照準コンピュータを装備させたのだった。同時にこの戦闘機は内部に2体のアストロメクを内蔵しており、これらも追加支援を行っている。
ブラック・サンの首領プリンス・シーゾーがコルサントの居城から遠く離れることは稀である。彼は銀河系全域に存在する無数のビジネス拠点に忠実な手下を配置しているため、この星系を離れる必要性がほとんどないのだ。しかし、シーゾーは他人を完全に信用しているわけではない。そのため、彼はマンダルモーターズ社の造船工場に特注し、新型宇宙船を造らせている。この快速かつ実践的で恐ろしい船によって、シーゾーはブラック・サンの事業が彼個人の関心を必要とした際にはどこへでも出向くことができる。マンダルモーターズ社の技術者はこの宇宙船を<ヴィラゴ>と名付けた。これはスターヴァイパー級強襲型戦闘機の初号機であり、シーゾー専用に設計された非常に高価な船である。この戦闘機は卓越したスピードと機動性という点でダーク・プリンスの基本的要求を満たしており、防御および攻撃の面でも十分な装備がなされている。
<ヴィラゴ>独自の設計は可動式の調整可能な4枚のウィング・パネルにあり、各々には最高の機動性を維持するための2本のマイクロ・スラスターが取り付けられている。各翼は他と切り離されたSフォイル機構を持っており、機動性が必要な場合には飛行時にも一定間隔で位置を変えることができるのだ。この変形形態は<ヴィラゴ>をあたかも不規則に翼を羽ばたかせる優雅な鳥のように見せている。また、この戦闘機は各翼のマイクロ・スラスターや1対のクワドレックスIGtイオン・ドライブからなるメイン・エンジンの可動式推進ナセルなど、すべての装置が最先端コンピュータ制御システムによって統合されており、操縦が極めて容易である。しかし、この可動式ウィング・パネルは宇宙空間での機動性を高めているものの、大気中を航行している際には障害物でしかなく、戦闘中でなければ通常は収縮した状態になっている。
速度と機動性だけでなく、<ヴィラゴ>は防御と武装の点でも充実している。コクピットの両側にはテイム&バック社製Ht-12ダブル・ヘヴィ・レーザー・キャノンが搭載されており、戦闘中には広範囲に強力な火力を及ぼすことができる(ただし、翼が収縮しているときはこれらのキャノンは前方向に固定されている)。また、前方の放火アークに覆われた部分には2門のプロトン魚雷発射管が隠されている。一方で、ウィング・パネルの前面は重装甲で覆われており、装甲が比較的弱い機体後方も強化型シールド発生装置によって守られている。
<ヴィラゴ>に搭載されたあらゆるシステムは、最大効率で稼動させた場合に莫大なエネルギーを消費してしまう。そのため、開発者たちは4つの分離型エネルギー生成装置を統合したものを採用しており、それぞれを各ウィング・パネルの翼桁に搭載させている。同時に、各翼には予備の燃料セル・ラックも取り付けてある。
ブラック・サンの首領シーゾーの第一補佐官であるグリは、滑らかな流線型の高度に改良されたサーロニアン製強襲船<スティンガー>を所有している。この船は持ち主と同様に美しく、そして恐ろしい。
<スティンガー>の柔らかな曲線からは、設計者たちの芸術的な技術が垣間見える。船尾にある8基のイオン・エンジン・クラスターは円滑な機動性だけでなく素早い推進力を与えており、船首にある制動用ジェットと複合型コンピュータ制御の組み合わせによって、<スティンガー>は怒った昆虫のような機敏さを発揮することができるのだ。さらにグリは戦闘になると船首の制動用スラスターも併用し、急減速する方法を使うことが多い。これによって敵機を追撃する位置に立ち、<スティンガー>の射程範囲に引き込むのである。
<スティンガー>は搭載武器も非常に充実している。前方掃射用イオン・キャノンは敵を航行不能にさせることによって拿捕または制圧する際に役立ち、背面に固定されたダブル・レーザー・キャノン・タレットは敵機の破壊が必要な場面で十分な火力を与えてくれる。通常、このレーザーはタレットで敵機を捕えるが、コクピットからも火力制御ができるようになっており、より正確な射撃を行うことも可能である。
<スティンガー>には各種の最新設備が整っているが、内部空間は決して快適ではない。なぜならパイロットのグリが快適さを必要としていないからである。コクピットにも2人分の空間しか用意されておらず、<スティンガー>が破壊された場合はコクピット後方に直結された生存用ポッドで脱出することになる。貨物区画は標準的な軽貨物船より小さく、その大部分がシールド発生装置のコンデンサーやパワー・コア制御システム、補助エンジン・モジュールなど、船尾のエンジン区画から溢れた航行用システムで満たされている。一方で、船員用区画は存在していない。貨物区画の一部は乗員用に改造されているが、小さなレフレッシャーと古い食糧の入った貯蔵庫だけしかなく、快適とは言いがたい。
グリはブラック・サンでの任務を遂行するために、<スティンガー>のいくつかのシステムを改良している。例えば、通信装置は敵や味方、あるいはグリがこれから遭遇するであろう他者の行動を知る手がかりとなる通信チャンネルを監視しやすくなっており、センサー・システムも効率を最大限に引き上げるよう改良がなされている。さらに、グリはいくつかの警戒装置を取り付けており、その1つはパワー・コアとコクピットを連結させた自動爆破装置である。これらの装置があるため、<スティンガー>を盗もうとする者は、次の瞬間に小さな太陽に包まれることになるのだ。
シーゾーは数年間、<スティンガー>をハンガーに格納したままの状態にしていた。これは謎のサーロニアンの職人集団から、ダーク・プリンスへの好意の証として贈られた宇宙船だったのだ。彼はこの船をグリが完成したときに専用船として彼女に与えた。そしてグリはコルサントを離れる際にはいつもこの船を使用し、主人の命令を実行に移している。<スティンガー>は彼女にとって輸送船であると同時に移動基地でもあり、密輸船でもあるのだ。しかし多くの船長と違い、グリには自分の船に対する執着が全くなく、ブラック・サンの野望を効果的に促進させるための道具としか見なしていないのである。それでも<スティンガー>はグリと同様に悪評が高く、この船を目撃した人々はグリが獲物を探していることを知って恐れおののくという。
<IG-2000>は悪名高き暗殺ドロイドIG-88の使用する攻撃宇宙戦闘機である。およそ20メートルの全長を持つこの機は戦闘用に特別の設計がなされており、重量は他の多くの戦闘機と比べて著しく重いが、内部空間の大部分がエンジンと武器システムに割り当てられている。
この戦闘機の動力は任務を外れたネビュロンBエスコート・フリゲートから盗んだ1基のクワット・ギャラクシー15・イオン・エンジンより供給されている。このエンジンは転用された3基のクアデックス社製パワー・コアからエネルギーを得ており、ボバ・フェットの<スレーヴI>や同盟軍のYウィングに匹敵する亜光速度を出すことが可能である。また、出力を最大限に上げるために、エンジン・カバーにはパワー・コアから排出する方向を向いた8つの噴射管が取り付けられている。
操縦性は1対の伸縮自在な管によって向上されている。これらは通常の宇宙飛行時には装甲内に収納されているが、戦闘時には外部に展開される。翼は大気圏内航行や制動のために何枚かの補助翼を備えている。そして、ドロイドであるIG-88は急な操縦による重力効果を恐れる必要が無いため、船の内部補正器を取り外しており、生きたパイロットにとって致命的となる作戦も実行することができるのである。
<IG-2000>の武器は前方にある1対のレーザー・キャノン、コクピット後方に固定された1基のイオン・キャノン、顎の部分に固定された1対のトラクター・ビーム発射装置である。お尋ね者は生け捕りを要求されることが多いため、IG-88はイオン・キャノンで敵の船を無力化させ、トラクター・ビームでエア・ロックに誘導する作戦をよく用いる。さらに、IG-88はエア・ロックに4体の攻撃ドローンを置いており、乗船時に獲物が降伏せずに戦いを挑んできた場合の先導要員として利用している。
前方部のコクピット区画はIG-88の領域であり、パイロット座席の真後ろにある小型調整区画と武器貯蔵庫が含まれている。また、中央甲板はこの船で唯一生命維持システムが働いている場所である囚人収容室で満たされている。<IG-2000>は8人分の囚人室と、致命傷を負った囚人を生きたまま安静状態に保たせる鬱血管を1本備えており、囚人室には小型医療ベイ(旧型の医療補助ドロイドFX-7が配備)と尋問室も備わっているのである。
<IG-2000>はIG-88がカーボナイト冷凍されたハン・ソロをボバ・フェットから奪い取ろうとしたときに、惑星タトゥイーン上空で破壊された。IG-88は<スレーヴI>を不意打ちするために<IG-2000>のおとりを使い、フェットの注意を逸らしたが、フェットはIG-88の裏をかき、<スレーヴI>のトラクター・ビームで<IG-2000>を捕らえて震盪ミサイルの一斉射撃を行い、それを撃退したのである。賞金稼ぎたちの間ではIG-88を名乗る他の暗殺ドロイドの噂もささやかれているが、こうした報告は実証されてはいない。
<パニッシング・ワン>はコレリアンの賞金稼ぎデンガーの所有する個人船である。この船の推進装置は旧式のクラス3ハイパードライブだが、亜光速エンジンはこのクラスでは最高の製品を採用している。デンガーはこの三日月型の宇宙船を気に入っているが、それは単純に新型デザインの船よりもメンテナンスが容易だからである。
<パニッシング・ワン>の武装はクワッド・ブラスター、ミニ・イオン・キャノン、プロトン魚雷発射装置である。また、船内の乗員用区画は最低限の広さしかなく、デンガーと囚人1人ですぐに一杯になってしまう。
改良型軽貨物船<ハウンド・トゥース>は、ボスクという名でのみ知られる謎めいたトランドーシャンの賞金稼ぎの愛機である。彼はこの船を購入する直前に、ギャンドロIVで悪名高きウーキーのチューバッカとその人間の相棒ハン・ソロによって、それまで所有していた船を破壊されたのだった。
攻撃的な(そしてウーキー・ハンターとしても名の知れた)このトランドーシャンは、最新式のコレリアン型YV-666貨物艇をオリジナルに選び、さらに目的に沿った改造を加えている。この船は船体が長く、高く、そして平らに設計されており、機体後方のエンジン部分に機動性を高めるための大きな翼が取り付けられている。ブリッジは機体の一番上にあり、ボスクの船室や船のコンピュータ、各種制御装置、トレーニング・ルームなどが設けられたメイン・デッキへと繋がっている。エンジン、パワー・コア、武器システムは船の下半分にすべて収まっており、2枚の翼の間にある2本のメイン・ドライブ・ノズルはそれぞれを独立して角度調整することが可能である。また、各翼にも小型機動スラスター配列が取り付けられている。<ハウンド・トゥース>は軽貨物船にしては高速な船であり、強化装甲で覆われた船体をさらに保護するシールド発生装置も複数搭載されている。
<ハウンド・トゥース>は伸縮可能な下方クワッド・レーザー・タレットを装備しており、通常は砲手が1人ついて操作するが、ブリッジからの制御も可能である。また、この船には震盪ミサイル発射装置も装備されており、マガジンには6発のミサイルが搭載されている。
この船の操縦系はボスクによって改造がなされている。彼は操縦グリッドに1対の水桶を取り付け、その中に両腕を入れて休ませているのだ。それぞれの水桶にはマイクロセンサーが設置されており、ボスクの動きに反応して船の各種システムを作動させる。こうして彼は最小限の手間で船を操縦することができるのだ。
ボスクは1人で行動することを好む賞金稼ぎであるため、艦載システムとしてX10-Dドロイド・ブレーンを追加している。この装置はボスクの手荒い命令に従順に反応し、武器やスラスター、船内の大気、保安システムなどを調整することができる。また、このドロイド・ブレーンのおかげで、ボスクはブリッジでも個人の船室でも、状況に応じて好きな方から<ハウンド・トゥース>を操縦することができるのである。
また、ボスクは囚人の脱走を防ぐために余分なセンサーと保安システムを用意している。内部走査システムは船に積載されたすべての貨物を分析し、船倉もセンサー・スクリーンを通じてすべて監視している。船尾の貨物区画にある囚人を監禁する檻は磁気で強度補強されており、フォース・フィールド発生装置に接続された動体センサーによって自動的に制御可能である。さらにボスクは船倉に自動皮剥ぎ台(ウーキーや他の似たような獲物に使われる)と狩猟用武器一式を保持しており、これらのなかにはサブq注射装置やショック・パネル、あるいはその他の保安装置など、非公認の装備もいくつか含まれている。さらに彼は音声認識システムを使用することで、他人から船を守っているのだ。
また、ボスクは緊急時に備えて小型偵察船<ナシター・パップ>も所有している。この短距離船は<ハウンド・トゥース>の大型背面ハッチから出入りするが、内部には2人分のスペースしかなく、貨物もほとんど積むことができない。
<ミスト・ハンター>はギャンドの賞金稼ぎザッカスの所有する個人船である。この船はザッカスとギャンドの投機資本家集団による特注品であり、バイブロス・ドライブ・ヤード社製G-1A輸送船をベースに改良が加えられている。最大の特徴は、戦闘用クラウド・カーのリパルサーリフト技術を広範囲に利用したことだった。
また、この船はそれほど頑丈な装甲を持っていないが、強力なシールド発生装置を搭載しており、航行速度も非常に高速である。船内には囚人用の監房区画も用意されており、一度に10人以上の囚人を運ぶことができる。そして、<ミスト・ハンター>の内部にはザッカスが酸素の代わりに必要とする様々なガスが充満しているため、普通の種族の囚人はたとえ監房から逃れることができたとしても、すぐに死ぬ運命にあるのだ。
コレリアに生息する同名の深海生物に似ていることから名付けられた<パルサー・スケート>は、密輸業者ミラックス・テリックの所有するバウドー級スター・ヨットである。この船はかつてはミラックスの父ブースター・テリックの所有物であり、ウェッジ・アンティリーズも15歳当時にこの船の右舷エンジンにある融合装置を交換したことがある。
それから何年も経った後、新生ローグ中隊を率いてチョーラックス星系へ向かう途中だったウェッジは、帝国軍のインターディクター級クルーザー<ブラック・アスプ>に拘留されている<パルサー・スケート>を発見した。そこでローグたちは<ブラック・アスプ>を追い払い、<パルサー・スケート>はコラン・ホーンのXウィングの救助を援助する。しかし、ミラックスとコランにはある確執があった。その昔、ブースター・テリックがこの船でスパイスの密輸を行っており、それを知ったコランの父ハル・ホーンに逮捕されたことがあったのだ。そのときホーンはテリックをケッセルの刑務所送りにしている。親交のあるウェッジがローグ中隊に忠誠を誓っていることもあり、ミラックスは決して感情を表に出さなかったが、彼女のコランに対する不信感は決して小さくはなかった。
コルサントを巡る攻防の最中に起こったクライトス危機の間、ミラックスはしぶしぶながら新共和国への支援に同意する。彼女は表面上はバクタの輸送船団の先導機を務め、タイフェラからオルデランを経由してコルサントまでバクタを輸送していたのである。しかし、ローグ中隊がコルサントへの護送を行うために到着する前に、船団はバクタの輸送計画を手に入れたズンジ大将軍からの攻撃を受ける。ミラックスと彼女のパイロットを務めるリアット・セイヴ、そして<パルサー・スケート>はこの襲撃によって壊滅したと思われていたが、実は彼らは輸送船団から抜け出しており、無事にボーレイアスにバクタのサンプルを届けることができたのだった。
<ワイルド・カード>は密輸王タロン・カードが所有する個人用貨物船である。見た目は使い古されたコレリアン・アクションIVバルク・フレイターだが、傷ついた装甲プレートの下には、恐らく銀河系の周辺で最も情報通な人物であるカードの、移動通信基地としての一面が隠されているのだ。カードは少なくとも2隻の大型貨物船、数機のスキップレイ・ブラストボート、1隻のコレリアン・コルヴェット、その他無数の小型戦闘機からなる大規模な艦隊を保有しているが、<ワイルド・カード>を特に好んで使用している。
コレリアン・アクションIVは数多く存在する一般的な輸送船の1種であり、愚鈍で見苦しいカーゴ船でしかない。一般にストック・アクションIVは全長125メートルの大きさを誇り、積載可能な重量は90,000トンにも達する。実際に、1隻のバルク・フレイターは軽貨物船の900倍に匹敵する貨物を輸送することができるのだ。しかし、これらの船は速度が遅く、完全非武装であるため、戦闘によって容易にダメージを受けてしまう。そのため、帝国や新共和国では輸送船団に必ずネビュロンBエスコート・フリゲートやコルヴェットを同伴させ、貨物船の護衛を行っている。
だが対照的に、<ワイルド・カード>は無力な貨物船からは程遠い存在である。この船には大型艦船との戦闘を意識したターボレーザーが3基搭載されており、シールドと強化装甲プレートを追加したことによって、帝国軍のランサー級フリゲートに匹敵する耐久力を誇っている。
もちろん、カードは抜け目のない密輸業者であり、戦闘に勝利する方法は早々にそれを回避することだということを知っている。そのため、<ワイルド・カード>には帝国軍のスパイ船に搭載されている物に匹敵するほど高性能なセンサー・システムが用意されているのだ。また、<ワイルド・カード>はマスキング・システムを搭載しているため、長距離では通常のスキャンから船の存在を隠すことができ、逆に至近距離では、非武装の無力なカーゴ船のように見せることも可能である。
さらに、この貨物船は亜光速ドライブとハイパードライブの双方が完全に換装されている。亜光速では、<ワイルド・カード>は帝国軍のほとんどの戦艦と同程度の速度で航行することができ、一方で多くの戦闘機には容易に追いつかれてしまうが、それらがこの船の強力な装甲を貫いて船体にダメージを与えるほどの武器を持っていることはまずあり得ない。また、<ワイルド・カード>はクラス1ハイパードライブを装備しており、ハイパースペース内では大抵の戦闘機と同程度の速度で航行することが可能である。そして、カードの航法コンピュータは、インペリアル級スター・デストロイヤーに搭載されている物に匹敵するほどの精密さを誇っている。
また、<ワイルド・カード>は小型ドッキング・ベイ、エア・ロック、深宇宙で宇宙船を接続できる伸縮可能なフォース・チューブを装備している。さらに、タロン・カードはこの船の内部スペースを大幅に改造しており、後方の船倉には完全な生命維持システムが搭載されているため、標準的な貨物に加え、乗客や動物を積むことも可能である。一方で、前方の船倉には恒久的な生活空間とオフィスが確保されている。
また、<ワイルド・カード>には、通常は軍用艦船や政府専用船でしか使用されていない高性能ハイパーラジオ通信装置が装備されており、カードはどこで仕事を行っているかによらず、配下の密輸業者や情報ブローカーと連絡を取り合うことができる。さらに、この船にはいくつかの医療ベイ、ドロイド・ベイ、リパルサーリフト車両、さらにはカードが護衛獣として飼っている2匹のヴォーンスカー用の獣舎も用意されており、事実上、あらゆる偶発的な出来事に対処できるようになっている。
タトゥイーンのサーラックから逃れた悪名高き賞金稼ぎボバ・フェットは、ハン・ソロへの復讐を誓っていた。ジャバ・ザ・ハットの死に責任のあるソロには、ハットの氏族から莫大な懸賞金が懸けられていたのだ。これはフェットにとって、到底逃すことはできない魅力だった。そして彼は傷を回復させるとすぐに、この復讐計画を実行に移したのである。
<スレーヴI>は新共和国当局によって押収されていたが、新しい船を使うことで、実際にソロと対峙するまで、フェットは素性を隠すことができるだろう。フェットはマンダロリアンの警察部隊でよく使われている、マンダルモーターズ社製のパーシュアー級パトロール艇を選んだ。なぜなら、この船は海賊を相手にしても持ちこたえられるほどの耐久性を誇り、通常の警察の任務には十分すぎるほどの貨物スペースを持っているのだ。フェットは素性を偽って<スレーヴII>を購入し、ソロを追うべく、この新しい愛機の改良に着手したのだった。
<スレーヴII>は、本質的には頑丈な船体と強力なトープレックス社製の軍事仕様シールド発生装置を備えた、重装備のパトロール艇である。主要な推進機構は2基のタイオン・ミル/サイ社製エンジンだが、一方で左舷の安定化装置の支柱には3基のコレリアン・エンジニアリング社製x41機動スラスターが取り付けられている。この3基のスラスターは個別に方向を調整することができ、重装備のパトロール艇としては、格段に素晴らしい性能を与えてくれている。
武装面でも、<スレーヴII>は前方掃射用のツイン・ブラスター・キャノンとイオン・キャノン・タレットを装備している。そして、常に用心深いフェットは後方にもプロトン魚雷発射管と6発の魚雷が入ったマガジンを搭載しており、これは背後に密着して追ってくる者に不用意な奇襲を与えることになる。また、<スレーヴII>は<スレーヴI>と同様の高性能なセンサー配列も装備しているが、現在のところこの船には<スレーヴI>にあったようなステルス・システムは用意されていない。
噂によると、ボバ・フェットは<スレーヴII>にフォース・フィールドで囲まれた囚人用の監獄を5つ設置しているという。最大の標的であるハン・ソロの親友がウーキーであることを知っているフェットは、監房区画に分子強化型監房壁と重力束縛室も用意していることだろう。
フェットは密輸業者の月ナー・シャダーでハンとチューバッカに遭遇したが、間一髪のところで2人を取り逃してしまう。彼はすぐに<スレーヴII>で飛び立ち、<ミレニアム・ファルコン>を追跡するが、ハンは<ファルコン>をサラ・ゼンドの<スターライト・イントルーダー>の格納庫に隠していた。だが、フェットは<イントルーダー>のハイパースペース・ベクトルを2重に調査することによって、ハンを帝国の新しい首都惑星ビィスまで追跡することができたのである。しかし、フェットは<ファルコン>をビィスの地表に追い詰めようとしたとき、惑星シールドと衝突してしまい、<スレーヴII>に深刻なダメージを受けてしまう。この衝突で安定化装置の柱が外れ、フェットの船は航行不能に陥ってしまったのだ。あらゆる点を考慮して、彼は惑星への軟着陸を行った。もし<スレーヴII>のシールドが落ちていれば、惑星シールドによって船は灰にされていただろう。そして、フェットは<スレーヴII>を修理するよりも、むしろハン・ソロの捜索を続けるために<スレーヴI>の奪回を目指すことを決め、それまでの間、<スレーヴII>をドライドッグに入れておくことにしたのだった。