モン・カラマリはその優れた造船技術によってたちまち銀河系全域にわたって名声を轟かせた種族である。彼らの文化的遺産にふさわしく、モン・カラマリ・スター・クルーザーは効果的かつ強靭な耐久性と、優雅な外観を見せている。事実、彼らの故郷カラマリは帝国に対して公に反乱を掲げているが、帝国の貴族階級の中には内密にレジャー・ヨットとしてカラマリの宇宙船を購入している者も多い。もちろん、これらの行為は反逆罪に相当するが、彼らの場合は一般の人々が即座に逮捕されるのと違って見逃されることが多いのだ。
モン・カラマリの宇宙船で最も特徴的なことは、同一の外観を持つ船が2つとして存在しないことである。個々の船は他の同一クラスの船と微妙に形状が違っており、標準型機種の加工品ではなく、オリジナルの芸術作品として造られている。また、優雅である一方で風変わりな設計は、モン・カラマリ以外の種族が操縦、修理、点検を行う際の大きな頭痛の種にもなっている。モン・カラマリは人間と同じ観点でものを見ず、艦橋に設置されたホロ・ディスプレイや戦略グラフィックスの多くは彼らにしか容易に解読できない仕組みになっているのだ。
モン・カラマリは主に小型および中型船の造船に長けているが、ときには大型艦船を建造することもある。かつて彼らは反乱軍のために大型戦艦の製造に着手したが、完成までに数年かかることが分かり、既存の船を戦艦に改造する方針へと変更した。この改造によって最初に完成したMC80スター・クルーザーは細長い筒状の大型宇宙船であり、モン・カラマリたちは他の生物との共存が可能な平和な惑星を求めて旅立っていった。この艦はモン・カラマリの長い勇敢な歴史のなかの大きな誇りとなり、現在は事実上、同盟軍で唯一の巡航艦として艦隊の中心的役割を担っている。
アクバー提督はカラマリの有力かつ信頼できる人物であり、同盟軍がこの戦艦を手に入れるにあたって最も重要な役割を果たした人物でもある。彼はモン・カラマリの仲間を説得し、同盟軍の一員として戦うためにこの戦艦を提供している。彼は同盟軍と銀河系全体にとってのより大きな利益のために、この戦艦が故郷にもたらす防衛力を犠牲にしたのである。インペリアル・スター・デストロイヤーと比べれば、火力の面で見劣りはするものの、同盟軍の砲手の技量と勇気はこの弱点を十分に補っている。
MC80は船体表面に無秩序に分布しているこぶ状の起伏によって、まるで人工的に造られたのではなく、産み出された有機生命体のようにも見える。これらの起伏にはセンサーや砲塔、シールド発生装置、監視デッキなどが隠されているのだ。
本来この船は遊覧船として設計されていたため、文字通り透明の展望窓に覆われており、外を流れる星を見ながら優雅な航行を楽しむことが可能だった。しかし、このような船は乗り心地は最高だが、戦闘時に生き残る確率が非常に低くなるのも事実であり、これらの窓はすべて装甲板や耐久扉などの防御設備で閉ざされている。そのため、MC80の外観は大きく損なわれることになり、芸術的観念を重んじるモン・カラマリたちにとって大きな苦痛となった。しかし、彼らは戦争に犠牲が付きものであることも十分に理解していた。
カラマリの造船理論に必要不可欠な要素はシステムの分散であり、例えば、MC80のシールド発生装置は帝国軍の同等な戦艦に対して3倍の数が装備されている。個々の発生装置の能力は帝国軍で使用されているものより弱いが、一斉に作動させることによって同等の性能を発揮することができる。これはMC80の運用と保守を困難にしているが、逆に戦闘時の信頼性を高めることができるのだ。MC80は1つのシールド装置が破壊されても残りのシールドによって持ちこたえることができるが、インペリアル・スター・デストロイヤーはシールド装置の破損がそのままシールドの消失に繋がってしまうのである。
MC80の最も効率的な状態を維持させるためには多くの複雑なシステムを定期的に点検する必要があるが、モン・カラマリの技師たちは絶え間なくシールドの監視を続けており、彼らの宇宙船に対する献身振りはよくコレリアンたちと対比されている。
当初、帝国軍はモン・カラマリ・クルーザーの力を過小評価していた。というのも、地上に住んでいる魚人の造った改造遊覧船が、帝国軍の戦艦にとって脅威になり得るはずがないと盲信していたからである。しかし、数度にわたる戦いにおいて、インペリアル・スター・デストロイヤーさえもが手を焼くほど素早い戦艦だということが分かると、帝国軍もその存在を深刻に受け止めるようになった。皮肉にも、カラマリの持つ造船技術の多くは彼らが帝国の奴隷として酷使されていたときに、帝国軍から学びとったものなのである。
反乱の初期のころ、同盟軍は帝国軍の補給護衛艦への攻撃で大成功を収めていた。帝国宇宙軍は高価なスター・デストロイヤーを護衛任務に充てることを嫌い、護衛艦隊とともにハイパースペースへ逃げることのできないTIEファイターは、新たなTIEファイターの援軍が到着するまで激しい攻撃にさらされたままだったのだ。しばらくの間、帝国軍は護衛艦としてコルヴェットを使用していたが、より機動性に優れる同盟軍のXウィングには対抗できなかった。必要とされていたのは強力な兵器を搭載し、より小型かつ高速な敵機に対抗できるだけのTIEファイターを格納でき、さらにスター・デストロイヤーより安い戦艦だったのである。
帝国軍が要求通りのものとして目を付けたのは万能型護衛艦として知られるKDY社製のネビュロンBフリゲートだった。ネビュロンBはターボレーザーおよび対戦闘機用のレーザー砲塔をそれぞれ12基ずつ搭載した重武装艦であり、キャラック級の軽巡航艦を除けば、このクラスでは最高の攻撃力を誇っている。また、強力なシールド発生装置、トラクター・ビーム発射装置、高感度長距離センサー、深宇宙探査用多周波アンテナも装備しているため、戦闘機および中型艦への攻撃任務に限らず、優れた順応性によって長距離パトロールや非戦闘任務をこなすことも可能である。この大きさの艦船は概して低速で扱いにくく、ネビュロンBも例外ではないが、TIEファイターの2個中隊を格納できるため、素早く周囲に展開させることによって欠点を補うことができたのだ。また、内部格納庫とは別に外部にも中型貨物艇までの大きさの船を収容できる固定式連結器が装備されている。
帝国宇宙軍がネビュロンBを通常の護衛任務に使用するようになると、同盟軍のXウィング・パイロットも、もはや帝国艦隊への襲撃が以前ほど楽ではないことに気付くようになった。フリゲート艦の猛攻撃による援護を受けたTIEファイターとの戦いを長引かせることはできず、同盟軍は帝国軍の輸送艇に対して素早い一撃離脱戦法を強いられたが、それでも多くのパイロットや戦闘機を失ってしまうのだった。
しかしその後、同盟軍は数隻のネビュロンBの捕獲に成功し、戦闘能力の増強だけでなく、帝国軍の大量の軍需品や多数の投降者をほとんど無傷で手に入れることができた。これらの多くは同盟軍の主力戦艦となり、コレリアン・コルヴェットやガンシップを伴う司令艦や長距離偵察艦として使用されている。また、同盟軍艦隊と行動を共にしている病院船もこの標準型フリゲート艦の一形態である。病院船は医療区画を確保するために武装の一部とハンガー・ベイを犠牲にしているが、その中に装備されている最も洗練された医療設備は、700人以上の患者を一同に治療することができ、患者の生存確率も実に98%近くになっている。同盟軍の手にわたった他のフリゲート艦には、銀河中心部付近のセクターで海賊船を撃退している戦艦<ファー・オービット>や、主として艦隊の乗員や装備の輸送に使われている<ヤヴァリス>などがある。
艦船の設計思想は周期的に変化している。数十年にわたって様々な用途に適した多目的艦船が製造されているが、特に明確な理由もなく、新型艦船の多くはただ1つの目的に特化したものが主流になっている。多目的艦船が柔軟な使われ方をされている一方で、単一目的の艦船も確実に帝国全体にわたって普及しつつあり、このことは大量の貨物を輸送できる反面、人員を収容できない新型の大型貨物輸送艇や、逆に人員を運べるのに貨物を積み込めない新型のインペリアル・シャトルなどの実例を見れば明らかである。特に軍需艦船では、特化したものの典型であるデス・スターのように、大型化する傾向にある。
しかし、旧型の多目的艦船の一部はいまだに存在しており、その1つが俗にブロッケード・ランナーとも呼ばれるコレリアン・エンジニアリング社製のコルヴェットである。コルヴェットは兵員輸送艇、軽護衛艦、貨物輸送艇、客船としての機能を果たす中型艦であり、内部のモジュール化によって他の用途への改造も容易であるため、汎用性と再販価値が非常に高くなっている。特定の分野に特化されている艦船にはかなわないが、多くの人々はコルヴェットの適応性はその弱点を補って余りあるほどだと信じており、事実、銀河系全体で最も人気の高い機種の1つとなっている。
現在、コルヴェットは銀河系全域に普及しているが、買い手の要求に応じた設計がなされることから、特に多く使用されているのはコレリアン星系である。コレリアンのパイロットは高速な亜光速度とハイパースペースへの素早いジャンプが可能であれば、内装の広さ、快適さ、貨物区画の大きさ、船室の広さ、武装の充実度などは特に気にしない。コルヴェットはそのような注文にまさに打ってつけの存在だった。
軍事利用の点では、コルヴェットは貨物区画も小さく、快適ではないが、その代わりに大型亜光速エンジン、シールド発生装置、火力制御防衛コンピュータ、燃料貯蔵庫、武装システム、兵員寝台などに区画を割かれている。武装としては6基のダブル・ターボブラスター・キャノンを装備していることが多く、1隻の軍需コルヴェットを効果的に操艦するには約165人の乗員が必要である。また、海賊と反乱同盟軍で使用されているコルヴェットはほとんど同じ装備をしているが、これらは一般に使い古されており、帝国軍の攻撃によってかなり傷ついていることが多い。
輸送艇としてのコルヴェットは様々な条件の下で多種多様な貨物を格納することができ、水、食料、酸素などの大規模な輸送を行うための改造も容易である。さらには、異なる種類の貨物を輸送するために区画を分け、それぞれについて気圧や重力を調整することもできれば、客船として三等から一等までの船室を用意することも可能になっている。実際に、元老院が皇帝によって解散させられる以前は、多くの議員がコルヴェットを外交船として利用していた。
貨物の価格や緊急性、時には違法性にもよるが、輸送艇としてのコルヴェットは低速重武装、あるいは高速軽武装の場合が多く、持ち主が十分な投資をしなければ高速性と重武装を併せ持つことはほとんどない。乗員数も貨物の壊れやすさと武装防衛システムの規模によって変化するが、標準的に区画されている場合は45人から60人程度で十分である。
ハイテク設計には思わぬ弱点が付きものだが、コルヴェットも決してその例外ではない。コルヴェットの最大の弱点は船体中央の背部に取り付けられた第一集光器と安定装置であり、攻撃によるダメージを極めて受けやすくなっている。この小さな曲型パネルは艦の大気中における機動性の制御や、二次システムと補助パワー・セルへの太陽エネルギー供給を行っているだけであるが、比較的もろく造られており、重兵器による安定板への直撃の第一波はときとして激しい震動を起こし、主反応炉や安定装置直下の補助エンジン区画に大きなダメージを与えることもある。一度このような事態に陥ると、艦内の全システムがダウンし、反応炉の爆発の危険性が生じることもある。事実、手負いの海賊船コルヴェットが安定板への度重なる攻撃を受け、崩壊したという記録は数多く存在している。
この弱点を克服するため、一部のコルヴェットでは安定板の強固なものへの交換や、背面シールドの強化などが行われているが、経済的な余裕がない場合には、現存するシールドを背面に集中させるしかない。この場合、全体的な改良を行った船には劣るが、本来の高速性や機動性が優れているため、それだけでも戦闘に耐えられる時間が大きく変わってくるのだ。
コレリアン・コルヴェットは既に旧型艦船となっているが、現在でも多くの宇宙艦隊で使用されており、徐々に新しく高性能な艦船に置き換えられながらも、根強い信頼感を抱かれている。事実、同盟軍においてコルヴェットは最も一般的な宇宙船であり、さらに、他の所有者にも同盟軍の支持者が多いため、私有セクターにおけるコルヴェットの普及は帝国軍が数多くの民間船から同盟軍の船を見分けることを困難にしている。この状況が戦略上有益であると気付いたモン・モスマは、至る所にあるコルヴェットを内密に輸送艇として利用するようにと、同盟セクターの各司令官たちに提案したのである。コルヴェットと遭遇するたびに検問を行うことは現実的でなく、帝国軍がこれに対抗するためにどのような作戦を思い付くか、想像することは難しい。
反乱軍の基地や艦隊は、あらゆる種類におよぶ多くの物資を必要としている。主要な貨物には食料、燃料、軍需品、武器、スペア部品、機器、薬品、そして数多くの非精錬金属などが含まれる。さらに反乱軍の輸送船は兵員、指揮官、技術者、そしてその家族たちを乗せ、緊急時に速やかに基地から撤退する任務も請け負っている。
反乱軍の輸送艦隊は、一風変わった大小様々な改良型艦艇の集合体で形成されている。多くの反乱軍輸送船は旅客船として使われていたものだが、技術者たちは豪華な座席シートや遊戯施設を取り外し、貨物区画と積載装置のスペースを確保したのである。同盟軍はこれらの輸送船の大半を、新しいメンバーらが反乱軍に参加するために乗ってきた船という形で手に入れた。その中には自分たちの船を供給するために帝国宇宙軍から亡命してきた乗員たちも含まれている。また、海賊や帝国軍の護送艦隊との戦闘の際に捕獲したものも少数含まれている。
反乱軍は、多くの企業が「役立たず」と考える旧式の小型貨物船を多数所有している。彼らには本来の貨物船を扱える大型宇宙港が非常に少ないことから、大型の機種よりもこうした小型艇を好んで使っているのだ。さらに、小型艇は偽装も容易であり、旧型になると修理や改造も簡単に行うことができる。
輸送船の不足は頻繁に起こりうる致命的な問題であるが、同盟軍は稀にしか輸送船の建造を行わない。反乱軍の造船所は戦艦の建造にほぼ独占されており、これは他の理由で戦艦がより必要とされているからである。しかし実際には、乗員たちが自分たちの貨物船の航行距離、速度、積載容量などの改善を行っている。
反乱軍の輸送船は多少の例外を除けば完全非武装である。そのため、輸送は秘密裏に行われ、戦闘機による護衛が必要となる。その理由は極めて単純であり、反乱同盟軍にはすべての艦船に武装を施す余裕がなく、同様に輸送船が貨物を載せたり、降ろしたり、隠れて待機している間に一緒に寝かせておけるような武器もないのである。
しかし、反乱軍輸送船の多くは帝国軍の探査機やセンサーから現在位置を隠すためのセンサー対策を施してある。大半は洗練され、改良された航法コンピュータと偏向シールドを備えており、単独航行や未確認の宙界へ向かうことも頻繁に行われている。また、防御システムや優れた航法コンピュータを持っていない輸送船にも、可能ならいつでもそのような装備を持っている艦船を随行させることができるようになっている。
特別な任務のために改造され、装備を追加された輸送船もいくつか存在している。特殊部隊やスパイの派遣、再派遣、回収などを行うために精密な航法装置や飛行装置を備えた高速艇なども作られている。タンカーは長距離戦闘機のパトロールや任務に同行する。それらが宇宙空間で戦闘機に燃料の再補給や再武装を行うことによって、戦闘機はその航行距離を飛躍的に延長させることができるようになる。他の輸送船は病院船や、特殊な環境を必要とするエイリアンの専用船、あるいは囮などに使われている。
歴史的なエンドアの戦いにも2隻参加していたブラハトック級ガンシップは、独立軍として存在するドーニアン宇宙軍で使用するため、ドーニアで生産された数種類の宇宙船の内の一種である。このガンシップは、宇宙での戦いに特化して設計された純粋な軍事用艦船だった。この船の全長は90メートルあり、8基のダブル・ターボレーザー・キャノン、8門の震盪ミサイル発射管を装備しているが、地上軍は収容しておらず、ハンガー・スペースも最低限のものしか用意されていない。また、火力制御機構、指揮系統、全体の機動制御機構がハンマーのような形をした船首部に集積されているため、わずか75名で最適な状態を維持することができる。
エンドアの戦いの直前、同盟軍最高司令部は第2デス・スター攻撃に使用する多数の艦船を準備するため、複数のレジスタンス・グループとの接触を行った。このとき接触したグループの1つがドーニアン宇宙軍であり、彼らは数年にわたって自分たちの戦いで帝国宇宙軍をうまく抑えていたのだった。ドーニアンは2隻の船を派遣したが、それらは行方不明となっているはずのブラハトック級であり、帝国情報部からの疑いを回避することができたのだ(これらの船は公式には盗難船とされていた)。これら2隻の船は、カイルズ・ルトスの指揮する<ブラハトック>と、エターン・アバートの指揮する<トークタラク>である。戦いの間、双方の船は善戦した。<ブラハトック>は、救助艇が<リバティ>の爆発によって破壊された船から生存者を救出する間、3倍以上の大きさを誇るキャラック級クルーザー<エミネンス>の進行を阻止する。最終的に<エミネンス>が<ブラハトック>に接近すると、<トークタラク>が背後から攻撃を行い、この老朽化したクルーザーを撃破した。<トークタラク>は捜索および救助任務を行っていた<ブラハトック>を守るため、そのまま残っていたのである。
戦いの後、比較的損傷の少なかった<トークタラク>はドーニアへ帰還した。アクバー提督は当初、大きな損傷を受けた<ブラハトック>を解体するよう命じたが、ドーニア宇宙軍はそれに抗議し、この船体も故郷の戦争博物館に展示するためドーニアへと送られたのだった。そして、カイルズ・ルトスは宇宙軍を引退し、エターン・アバートは将軍へと昇進する。彼はその後も新共和国軍への貢献を続けることになるのだ。