ヤヴィンの戦いで同盟軍の多くの戦闘機が失われたことから、ドドンナ将軍はより高速な戦闘機の必要性を唱え、同盟軍技師ワレックス・ブリセックスに協力を依頼してAウィングの設計に着手した。この計画に疑心暗鬼だったモン・モスマは同意しながらも限られた予算しか認めず、利用できたものは同盟軍が間に合わせで入手した設備、部品、技術でしかなかった。しかし、ドドンナとブリセックスの甚大な努力によってAウィングは当初の計画通り極秘のうちに完成したのである。Aウィングは特にスピードと火力を重視して設計されており、2つの大型エンジンと軽量な機体は帝国軍の新型機種TIEインターセプターを含むあらゆる戦闘機の中で最高の亜光速度をもたらしている。
Aウィングは2基の標準型レーザー・キャノンと震盪ミサイル発射管しか装備していないが、固定された独自の形状によってその戦闘能力を大いに高めている。両翼の先端に取り付けられた短いハイドロ・サーボによって、両側のキャノンを上下に60度まで傾けることができ、その結果、Aウィングは他の戦闘機よりも広い角度で敵機を迎え撃つことができる。斜行して接近しても断然早く攻撃を開始することが可能であり、撤退を始めた後でも砲火を続けることができる。さらに、ごく少数の改良型Aウィングではキャノンを360°回転して真後ろを攻撃することもできるが、それは希である。また、両キャノンのエネルギーは分離型の専用動力変換機から供給されている。
システム制御装置であるマイクロアクシャルLpLコンピュータは全搭載システムの調整と監視を行っているが、それでもこの戦闘機を操縦し、攻撃力を最大限に発揮するには多くのパイロットが持っている以上の能力が要求される。Aウィングは同盟軍でもそれほど多くは使用されていないので、これまではそれほど大きな問題は起こっていない。しかし、Aウィングの初期の成功の多くはパイロットの能力によるものだという帝国軍の主張も間違いではないのかもしれない。確かに同盟軍にとってAウィングを操るだけの資質を持ったパイロットを探すことは困難になってきている。
また、Aウィングには、XウィングやYウィングのものほど感度は良くないが、 帝国軍で標準とされているフル・センサー・アレイと同等のものが搭載されており、さらに、大型エンジンから直接エネルギーが供給される通信妨害装置も装備されている。このため、Aウィングは特攻した際に敵機のセンサーを不能にすることもできるのだ。
Aウィングに課せられる主な任務の1つは基地や商業船を敵の攻撃艇から守ることだった。Aウィングは妨害装置で敵機のセンサーを麻痺させることによって自機や防衛対象への正確な攻撃を防ぐことができる。事実、このことはブリセックスがAウィングに強力な妨害装置を取り付けた理由の1つである。
しかし、Aウィングの妨害装置が最も効果的に働くのは戦闘機のような小型艇のセンサー系統に対してであり、大型艦船に装備された巨大なセンサー・アレイは同様にして妨害するにはあまりにも強力すぎる。特に、スター・デストロイヤーのスクリーン上では目印となって現れてしまうこともあるため、エンドアの戦い以降では初期の目的から離れ、そのスピードを活かした一撃離脱戦法に多く利用されることになった。事実、この戦いではアーヴェル・クライニッドが操縦する1機のAウィングによって、スーパー・スター・デストロイヤー<エグゼキューター>が轟沈している。
ヤヴィンの戦い以前から、同盟軍は帝国艦隊による執拗な攻撃によって深刻な戦闘機不足の状態に陥っていた。しかし、この責任の一端は同盟軍自身にあった。同盟軍の宇宙戦闘機はスター・デストロイヤーを始めとする帝国軍の大型艦船に対してなす術がなく、護衛艦に軽い損傷を与える程度のことしかできなかったのだ。このような状況から、当時のアクバー中佐は大型艦船にも十分に対抗し得る攻撃力と強度をもった大型戦闘機の開発に着手することになる。アクバーはローシュ小惑星帯の植民星スレインとコーピルを訪れ、造船技術に富んだ昆虫種族ヴァーパインに援助を申し入れた。この一連の計画はシャンティポール計画と名付けられ、やがて同盟軍はBウィング爆撃機を手に入れることに成功したのだった。しかし、この計画はアクバーの技術者チームに紛れ込んでいたスパイによって帝国軍の知るところとなり、同盟軍の新型戦闘機の噂は帝国艦隊に急速に知れわたってしまったのである。
Bウィングは3基のミディアム・イオン・キャノン砲塔、3基のヘヴィ・レーザー・キャノン、1基のブラスターによってXウィングや帝国軍のTIEシリーズなどとは比べ物にならないほどの攻撃力を有し、まさに銀河系最強の戦闘機としての地位を確固たるものにしている。事実、パトロール艇やコレリアン・コルヴェットでさえもこれほどの攻撃力を搭載することは希である。Bウィングは小規模な同盟軍艦隊の戦いに絶大な貢献を果たしたのだった。
イオン・キャノンの1つは主翼に取り付けられた兵器ポッドから発射されるが、このポッドには放射型プロトン魚雷発射管とレーザー・キャノンも装備されている。残りの2つのイオン・キャノンは砲塔を備えた両翼の先端に搭載されており、2つ目のプロトン魚雷発射管は大型エンジン冷却板の下に取り付けられている。ブラスターは通常は2基だが、中には4基装備したモデルも存在し、コクピット・ポッドにまとめて搭載されている。
イオン・キャノンとプロトン魚雷は連動しており、同じ標的を攻撃する。それぞれは独立して最高の精度を発揮し、一斉発射によって大きなダメージを与えながら互いを補っているのだ。
レーザー・キャノンのエネルギーは独自の火力制御照準コンピュータによって非常に低く抑えられている。レーザーを発射し続けることによって、ダメージを与えなくてもコンピュータはほぼ完璧な照準距離と進路情報を割り出すことができ、レーザーが標的を捕えると、イオン・キャノンとプロトン魚雷による一斉攻撃が開始される。このシステムは最初の一撃に97%という極めて高い命中率を保証するが、当然、敵の砲手にも自機の進路を露呈してしまうことになる。このためBウィングのパイロットがこの照準システムを利用する機会は少なく、機体から完全に除去してしまう者も多い。一方、ブラスターはパイロットの操作によって個別に発射される。
Bウィングのデザインは自動ジャイロ機構による安定したコクピット・ポッドを備えた斬新なものであり、このポッドには生命維持装置、航法コンピュータ、コムリンク送受信機、各種センサーが装備されている。敵機と遭遇すると、機体は攻撃を避けるために回転を止めるが、ジャイロ機構はコクピットを固定位置に保とうとする。こうして安定性を維持させることによって、機体が回転していてもパイロットは敵機に集中できるのである。
この異様だが効果的なシステムは技術者にとって悪夢だった。Bウィングに必要とされる保守作業は飛行時間当たりで比べても同盟軍で使用されている他のあらゆる攻撃艇を上回っている。ジャイロ機構は確かに素晴らしい作品であるが、使用後には大きな疲労を生じ、状態が悪ければ取り返しの付かない事態を招くこともある。ジャイロ機構が機能不全のときは翼の形態が常に一定となり、これは戦闘効果を著しく低下させる。通常の多くの宇宙戦闘機と異なり、Bウィングは戦闘中の重力制御もジャイロ機構に頼っているため、このシステムが不調になるとパイロットは大きなストレスを受け、素早い戦闘展開になると物理的ダメージを被ることにもなるのだ。
Bウィングにはリアルスペースでの航行用にクアデックス社製カイロマスター・エンジンが搭載されている。分離板には4つの冷却孔が開いており、エンジンから余分な熱を放出させているが、それでも機体からは強い赤外線が放射されている。
長年にわたってBウィングは帝国艦隊の脅威であったが、ファラ・ベルトの戦いにおいて帝国軍はその意外な弱点を発見した。Bウィングは攻撃力に比べて亜光速度が遅く、大型艦船には極めて有効的だったが、TIEインターセプターのような新型高速艇には対抗できないのだ。しかし、やはりエンジンからエネルギー供給を受けているシールドは非常に強力なものとなっている。
このようにBウィングは極めて完成度の高い機体であるが、後年には改良を施した新型機種もいくつか登場している。特にBウィング/E2は技術者たちの改良によってもたらされた最も完成度の高い戦闘機の一例である。このBウィングは新共和国艦隊の中枢として数年にわたって活躍し、Xウィングと同様に戦闘マシンとしての新しい戦歴を築き上げたのだった。
Bウィング/E2のE2とは改良モデル2型であることを意味しているが、外観は初代Bウィングの直後に開発された複座式のE型と全く同じである。複座機は砲手を収容するために操縦ポッドが3メートルほど拡張されており、砲手はパイロットのすぐ後ろに搭乗する。砲手が別に搭乗することによってパイロットはジャイロ機構を用いた安定性の維持と操縦に専念でき、結果的により多くの敵機を撃墜することができるのだ。
また、エンジン・カバーの下に隠されたもう1つの改良点も特筆に値する。Bウィング/Eの開発者は高い機動性を犠牲にする代わりに高速性と耐久性を重視し、Yウィングを上回る速度を可能にするとともにシールドの出力も大幅に向上させることに成功した。一方で、連動型レーザー・キャノン2基、イオン・キャノン3基、8発の弾頭を備えたプロトン魚雷発射管といった標準的な装備に新型武器制御システムを搭載している。Bウィング/E2に至ってはさらに先制攻撃用の外部装着式プロトン魚雷発射管をも搭載しており、ここにも8発の弾頭を備えている。
最近になってスレイン&コーピルの技師たちは再びBウィング/E2の改良に着手し、弾倉をコクピット直下の主砲塔に取り付けた。これによってE2は12発の魚雷を運ぶことができるようになり、宇宙戦闘機としては他に類を見ない強力な火力を備えることとなった。しかし、その代償としてさらに機動性を失うことになり、この改良を施された機体が使用されるのは特に大きな攻撃力が要求される特別な任務に限られている。
この弾倉はBウィング/E2の魚雷搭載システムに特化して造られているため、標準型BウィングやBウィング/Eに取り付けることはできない。多くの技術者たちはそれでも旧型機を改造して装着を試みているが、スレイン&コーピルはその行為を決して推奨してはいないのだ。
アクバー提督自らもBウィング/E2を専用シャトルとして使用していた。彼の機体は標準型E2をさらに改造したものであり、通常前後に並んでいる2つのシートを横に並べ、座席後方の空間を貨物区画に改造している。
インコム社製T-65 Xウィングはまさに宇宙戦闘機としての役割を端的に表現している機種である。Xウィングはその高速性、高火力、洗練された航行戦闘システムによって、現存する最もバランスのとれた戦闘機の1つになっており、優れた戦闘能力と、特にハイパースペース航行能力は卓越した戦闘機としての地位を不動のものにしている。事実、帝国軍のTIEファイターではXウィングに対抗できず、帝国軍は新型のTIEインターセプターの開発を余儀なくされたのだ。
帝国軍が非軍事用武装艦船の製造を打ち切ったため、Xウィングはインコム社の最後の製品となった。反乱支持者の疑いを掛けられたXウィング開発チームのメンバーたちは任務から解任され、帝国軍による厳しい尋問を受けたのである。数週間後、公表はされていないが、帝国軍に一撃を加えた反乱軍部隊は彼らを救出し、同盟軍への投降を援助したといわれている。このとき彼らは同盟軍にXウィングのすべてのプロトタイプと設計図を提供したため、Xウィングを製造できるのは同盟軍だけとなった。さらに、彼らはデータベース上からXウィングに関する情報をすべて抹消しており、帝国軍がそれを修復できたかどうかは定かでない。
プロトタイプでの多くの試験が行われ、Xウィングの素晴らしい性能に歓喜した同盟軍技師たちはすぐに量産を開始した。しかし、Xウィングの製造には特殊合金や洗練された部品、高度な制御システムなどが要求されたため、本格的な生産を開始するには部品を製造する工作機械から造り始めなければならなかった。事実、このような厳しい状況下で同盟軍が実際にXウィングを製造できるようになったのは、科学者や技術者たちの創意工夫と献身的努力によるものである。しかし、製造方法が困難なことから、Xウィングは常に不足状態だった。このため、多くは連続して使用され、修理や点検作業も満足になされず、酷使することによって大きな疲労や破損を招くことにもなった。
現在のXウィングはより高速に改良され、修理も簡単にできるようになっている。外装甲板は亜光速エンジンやハイパードライブ、他のシステムに直接通じており、重要な装置の多くは簡単に除去修理ができるようモジュール化されている。
Xウィングはそれ自体が非常に優秀な性能を誇っているが、Aウィングと同様に実際の効果はパイロットの資質に大きく依存している。そのため、同盟軍は最高のパイロットとしての才能をもつ者だけを選りすぐり、Xウィングへの搭乗を許可していた。高性能戦闘機は優れた才能を持つパイロットだけを選ぶのだ。
小型かつ快適に作られたコクピットでは、パイロットは優秀な航法コンピュータを通して複雑な制御を行う。Xウィングの操縦法はインコム社の人気機種スカイホッパーとよく似ているため、同盟軍の多くの青年パイロットには馴染み深いものだった。コクピットにはさらに完全な生命維持装置と射出シートも装備されている。
主要な搭載兵器は4基の長銃身レーザーであり、連動させることもできるが、レーザー素子の寿命を縮め、発射間隔を短くしてしまう。2門のプロトン魚雷発射管は低速の標的に追撃を加えるためのものであるが、非常に強力なため十分に距離をおいて発射する必要がある。シールドは前面と後面で最大出力を選択でき、補助エンジンがあるためメイン・エンジンが故障したときでも生命維持装置やシールド、武器、亜空間受信装置へのエネルギー供給が可能である。また、敏感なセンサーと長距離通信装置によって、Xウィングは長距離単独航行を行うこともできる。
斬新な分離型Sフォイルはエンジン間隔を広くすることによって方向転換などの機動性の向上にも役立っており、大気中飛行の際にも重要な役割を果たしている。また、Xウィングの翼はその名称の由来にもあるように宇宙での戦闘時にはX字型に広げられるが、これはレーザーの有効範囲を拡大させることにも役立っている。また、それぞれの翼の形状によって、T-65の機体は非常に細く造られており、結果的に敵の攻撃を受けにくくなっている。
Xウィングはハイパースペースへの跳躍用にインコム社製のMKI駆動モジュールを含む強力なエンジンを搭載しているが、航法コンピュータは装備されていないため、データの蓄積はコクピット後方の専用ソケットに搭載されるアストロメク・ドロイドのR2ユニットに頼っている。搭載されたドロイドは必要不可欠な部品となり、航法コンピュータと他のシステムを直結させると同時に、生命維持装置をはじめとするパイロットへのあらゆる危険性を監視する。
前身のインコム/サブプロZ-95と同様に、Xウィングの衝撃吸収性は高い評価を受けているが、これもアストロメク・ドロイドによるところが大きい。ドロイドは警報装置を通じて故障個所を発見し、飛行中でもプラズマ炎の消火や機体の修復を行うことができる。また、Xウィングは大気中での使用も想定されているため、耐水性も非常に高くなっている。
ドロイド・ソケットには取り外し装置も付けられており、パイロットの射出シートが作動すると自動的に連動するようになっている。また、パイロットが負傷すると、ドロイドはXウィングを着陸させることもできる。一般に多くのパイロットは共に厳しい任務を成し遂げたドロイドに愛着を感じるようになり、他のドロイドを載せることを拒むようになるという。
他の戦闘機と同様に、Xウィングは定期的に改良されている。最新型モデルはインコム社製T-65CA2であるが、これはまだ非常に少なく、多くの同盟軍パイロットはそれ以前に開発されたT-65Bのような標準機種を使用している。すべてのXウィングが改良されるのは同盟軍の慢性的な需品不足が解消されるときまで待たなければならない。
Yウィングは同盟軍が最も多く失った戦闘機である。しかし、これはYウィングの性能が他の戦闘機よりも劣っているからではなく、Yウィングが同盟軍で最も多く使用されていた戦闘機だったという証拠に他ならない。事実、Yウィングは最も器用な戦闘機とされ、非常に多くの目的に使用されていた。現在では、速度、機動性、攻撃力の点で他の戦闘機にはおよばないが、Yウィングは激しい使用にも耐え得る信頼性を抱かれている。
同盟軍では単座式のBTL-A4、複座式のBTL-S3という2つの標準機種が使用されており、両者の武装は完全に同一である。テイム&バック社製の短銃身型レーザー・キャノンは後翼中央のノヴァルデックス社製エンジンからエネルギー供給を受けており、シールドに覆われた動力ケーブルは後方翼桁から外側を通ってコクピット・モジュールへと繋がっている。2基のキャノンは連動させることも可能であり、機首内部の砲架から航行軌道にそって鮮明な平行衝撃波を描くように発射される。
重装備の標的を攻撃するために、Yウィングはアラキッド社製のプロトン魚雷発射管も2門搭載している。発射管はコクピット・モジュールの両側に設置された兵器ベイに格納されており、パイロットまたは砲手が作動させると、装甲扉がスライドして本体が露出される。魚雷は中央の弾倉から両方の発射管へ送られ、必要に応じてそれぞれ8発まで発射できる。弾倉は外装の底面に取り付けてあるため、地上作業員は素早く簡単に使用済みのものを交換することができる。
コクピットの後方中央部には長銃身の軽イオン・キャノンが2基取り付けられている。単座式のBTL-A4では照準コンピュータがイオン・キャノンの発射を支援してくれるはずだったが、製造過程の試験でコンピュータの性能が振るわなかったため、取り除かれてしまった。そのため、イオン・キャノンは定位置からのみ発射され、パイロットたちは飛行のたびにその位置を調節し、単純に直線発射させるか、または後方発射させるかを選ばなければならなかった。その後、A4は改良によって後部座席のあった場所に大型需品格納庫と高性能航法コンピュータを搭載させられ、<ロングプローブ>と呼ばれる偵察任務専用機になったのである。
複座式のBTL-S3では、後ろ向きに座る砲手が頭上のイオン・キャノンの操作を行う。イオン・キャノンは360度回転可能で、60度まで傾斜させることもでき、機体を旋回させることによって、パイロットは周囲にいるあらゆる敵機に銃口を向けることができる。このため、A4型よりも正確な射撃が可能であり、戦闘時には主にS3型が前線に展開されることになる。
コーンセイヤー社はすべてのYウィングにアストロメク・ドロイド専用ソケットを装備させている。通常、ドロイドとしてはR2ユニット、またはR4ユニットが用いられ、中央回路と直結してエンジンや動力システムなど、あらゆる飛行状態を監視している。ドロイドが急激な高度変化と状態制御を調整することによってより安定した航行を持続させてくれるので、パイロットはわずらわしい作業から解放され、他のことに集中できるようになる。機体に機能不全や損傷が発生すると、航法コンピュータはパイロットとドロイドに警報を発する。パイロットが操縦に追われているときは、エンジンに組み込まれた消火器の作動や、動力排出システムの切断を行うことによって、ドロイドがそれに応じることになる。また、ドロイドは制御を回復させるための回路の再発信、ショートした装備の再始動、遠隔自動制御装置と油圧装置による広範囲な修復などを行うこともできる。
多くの同盟軍の戦闘機と同様にYウィングもハイパースペース航行が可能だが、複座式のBTL-S3は優れた航法コンピュータを装備していないため、必要十分な航路計算とエネルギー調節を行うことができない。しかし、R2ユニットには必要な情報を蓄積させることができ、10回程度の跳躍なら最終的な調整を任せることも可能である。ただし、より簡易的なR4ユニットの場合には1回の跳躍しか安全にこなすことはできず、ハイパースペース航行にはほとんど利用されていない。一方、単座式のBTL-A4<ロングプローブ>はR2ユニットを上回る性能の航法コンピュータを搭載しており、事実上跳躍回数に制限がないため、深宇宙での航行や長期任務によく使用されている。
Yウィングの亜光速航行を支えるのは2系統のコーンセイヤー社製イオン核分裂エンジンである。これらは後方翼桁の両端に取り付けられており、両エンジンから伸びる4本の支柱が排出路となって排気板を支えている。排気板はYウィングのセンサーの精度を維持するため、熱いエンジン排気を発散させている。このような排気板を使用していることからも、Yウィングが他の戦闘機と比べていかに時代遅れであるかが分かる。非常事態になると、パイロットはエンジン推力を逆転させるために排気板を閉じてしまう。しかし、このとき排気板とそれを支える支柱は燃え尽きてしまうため、通常はこのような離れ技は一度しか行うことができない。
エンジンは中央翼桁と後方翼桁に装備された偏向シールド発生装置にもエネルギーを供給している。シールドは最大出力で全体を覆うことも、破損部分だけを覆うこともできる。Yウィングのシールドは非常に強力だが、特に強化されているBTL-S3でさえも一度貫通されると装備がすべてむき出しとなるため、簡単に破壊されてしまう。
エンジンの前方に取り付けられたドーム型のカバーには、Yウィングの2重センサー装置が格納されている。これらは両方ともファブリテク社製のANx-y受動および能動センサーパッケージであるが、アンテナがエンジンと直結しているためよく震動が走り、十分な能力を発揮できていない。特に受動センサーは影響を受けやすく、遠方の標的を捕捉したときは非常に疑わしいが、能動センサーは通常兵器の射程距離に関してはほとんど影響を受けない。訓練を積んだ砲手は航行中でもセンサーの調整が可能だが、単座式Yウィングのパイロットは少ない情報でそれをこなさなければならないのだ。
コクピットの中央開閉式の天蓋は広い強化トランスパリスチール製であり、乗員に360度の視界を与えている。しかし、機体の上下には大きな死角があり、多くの乗員はそれを補うためにカメラを設置している。BTL-S3では2人の乗員は緊急用のコーンセイヤー社製射出シートに座り、パイロットと砲手のどちらかが射出シートに点火することになるが、発射はどちらのシートでも可能である。
同盟軍の諜報部では小型かつ高速であることから、数機のYウィングを長距離連絡機として利用している。これらの機体は何らかの改造がなされており、貨物区画を広げるためにイオン・キャノンが取り外されているものもある。
Yウィングはハンガーや基地からの離陸の際に3基のリパルサーリフトを利用しており、これらは天蓋の左端下にある離陸ギアを倒すだけで操作することができる。また、同じものが機首の下にも取り付けられているため、地上にいる誘導員が直接機体を動かすことも可能である。
インコム社製T-47エアスピーダーに代表されるリパルサーリフトを利用したくさび型小型航空機は、通常速度時速250キロメートル以上での飛行が可能であり、最大速度は時速900キロメートルにもおよぶことがある。
エアスピーダーは制動と方向転換に下翼制御機構を使用しているため、素晴らしい高速性と機動性を誇っている。主な推進機構は天蓋の両側に設置された2系統のリパルサーリフト・エンジンだが、強力なジェット機構も併用している。航空力学を遵守した機体は減速することなく旋回することができ、飛行予測センサーで捉えることはほとんど不可能である。
通常、エアスピーダーは家族向けのスポーツ機として購入されることが多く、若者たちの間では手軽にホットロッドに改造して使われている。しかし、利用法はそれだけでなく、エアスピーダーは実に多目的性に富んだ機種なのだ。
民間の軍事組織や反乱同盟軍はエアスピーダーに徹底的な改良を加え、軍事用の強力な兵器プラットフォームとして使用している。これらはシールドこそ装備されていないものの、小型軽量、高速であり、捕捉が困難なことから実戦でも生き残る確率が非常に高くなっている。特に、同盟軍は極寒地や砂漠などの厳しい環境に素早く順応できる機体を開発し、それぞれにスノースピーダーやサンドスピーダーなど、環境に応じた呼称を付けている。これらのエアスピーダーは主に偵察任務や地上戦支援、降下爆撃などに使用されているが、その高速性を活かした一撃離脱戦法は同盟軍の戦闘スタイルとよく適合しており、なかでも戦術家ベリル・シフォネージュによって考案されたデルタ攻撃隊形は特に有名である。
軍事用に改良されたエアスピーダーには耐久性と操縦性を極限まで高めるために、深宇宙での使用に耐えられなくなったYウィングなどの機体から取り外した制御装置や装甲板などが取り付けられている。こうした機体は吸排気口を防塵カバーで覆われており、極端な温度でも耐えられるように断熱装置や冷却装置が搭載されているものもある。また、操縦系統が共通化されているため、特別な訓練を行わずに宇宙戦闘機のパイロットを流用させることも可能である。
同盟軍で使用されているエアスピーダーには2基のレーザー・キャノンと、丈夫なケーブルと連結板を備えたパワー・ハープーン・キャノンが装備されている。レーザー・キャノンは機体前方に設置されており、高性能照準システムによって制御されている。これらのエアスピーダーは通常は2人乗りで使用され、パイロットは前方の操縦席に前向きで座り、砲手は後ろ向きに搭乗して攻撃に専念することができる。
ヤヴィンの戦い、そしてエンドアの戦いの勝利に貢献したことで知られる<ミレニアム・ファルコン>は、反乱同盟軍の貴重な兵器の1つとして、数え切れないほどの名声を得ている。<ファルコン>は数多くの所有者を経てランド・カルリジアンの手に渡り、その後、サバックの賭けによってハン・ソロのものとなった。現在ではこの船を飛ばせる者はソロとその相棒のチューバッカ、そしてカルリジアンを除いてほとんどおらず、事実、反乱軍の高官たちはソロがヤヴィンで見せた操縦技術と勇気を認め、その後、彼に将軍の地位を与えている。
<ミレニアム・ファルコン>の外見はほぼ標準的なコレリア製YT-1300であるが、その内部は大幅に改造されており、コレリアン星系の標準貨物船としては前代未聞の性能を有している。光速を0.5超えるその速度は帝国軍の戦闘機を除けば銀河系で最速であり、その高いパワー能率はコンピュータと推進システムに施された違法かつ大胆な改造のなせる技である。<ファルコン>に搭載されている無許可の構成パーツの多くは、ソロが密輸仲間から様々なルートを通じて入手したものであり、彼とチューバッカによって整備されている。こうした改造は<ファルコン>に他の船には無い「個性」を与えており、壊れていてもソロが隔壁を叩くことによって調子が良くなることも珍しくない。
<ミレニアム・ファルコン>の動力、推進システム、コンピュータ・システムの整備と調整には定期的なメンテナンスが必要であり、その作業には航行時間の2倍が必要となるが、ソロはそれだけの手間を掛ける価値があると考えている。実際に、彼は<ファルコン>のずば抜けた速度と性能に何度も命を救われているのだ。標準型YT-1300の速度は光速を0.1上回るだけだが、<ファルコン>は強化型ハイパードライブをエンジンの中枢に搭載することによって速度を増加させている。また、エンジンが極度に過熱しているときでも、4本の棒型燃料タンクを追加することによって長い航続距離を保つことができ、燃料補給も月に一度で済むようになっている。
だが、高速度と引き換えに、<ファルコン>には標準型YT-1300より高性能な航法コンピュータが要求される。高速な宇宙船はハイパースペースに突入する際により複雑な軌道計算が必要とされるのだ。ソロはここに別の宇宙船のコンピュータとドロイド・ロジック・システムという特異で危険な組み合わせを導入し、極めて有用な航法コンピュータ・システムを作り上げた。
<ファルコン>の以前の所有者であるランド・カルリジアンはYT-1300の標準装備である前部のツイン・レーザー・ガンを取り外し、背面と腹面にクワッド・レーザー・キャノンを取り付けた。後にソロはレーザーのエネルギー増幅クリスタルを大型のものに換装して火力を増加させ、追跡するTIEファイターなどの小型船を一撃で破壊できるようにした。これらの兵器は長時間の連続稼動にも耐えられるように設計されており、銃座からでもコクピットからでも発射することが可能である(ただし、専用の銃座を使用したほうが命中精度は高い)。
また、前部の右舷区画には船体が地上にあるときにのみ使用できる小型ブラスター・キャノンが隠されており、コクピットの照準パネルから操作することができる。さらに前部の二股の突出部中央には震盪ミサイル発射管が搭載されており、これも同じパネルから極めて高い命中精度で発射することができる。これらのミサイルは軽装甲や低出力の偏向シールド程度ならば簡単に貫通してしまい、一般的なプロトン魚雷と同程度の威力を持っている。事実、<ファルコン>はたった2発のミサイルで第2デス・スターの主反応炉を破壊したのだった。
<ファルコン>のシールドには、これもまたソロが強化した偏向シールド・システムが2基搭載されており、帝国軍で標準的に使われているものに匹敵する強度を誇っている。このシールドは角度をつけることによって敵の攻撃から効率よく船体を保護することができ、集中攻撃を受けているときでも全エネルギーを効率よく使ってかなりの確率で無事に退却することができる。さらに、船体前部には航行用偏向シールド発生装置が搭載されており、航路上にある微細な障害物から船体を守っている。
<ファルコン>の船体前部の2本の突出部には、設計当時の収容能力をはるかに超える航行装備品が詰め込まれている。そのため、この区画にはパワー・ケーブルやコンピュータ連結装置が複雑に絡み合っており、整備を困難なものにしている。標準型YT-1300が与圧されない収納スペースとして用意している空間にも、航行センサーやトラクター・ビーム発生装置、多くの通信装置、長距離用攪乱装置、重力補正装置などが詰め込まれている。これらのシステムの一部には4本のチューブ型ポートによってアクセスできるが、多くは隔壁を取り外さなければ触ることができない。また、突出部の先端には低空飛行時に使用する投光照明装置が搭載されている。
<ファルコン>の最も顕著な外見的特長は、左舷上部に取り付けられた、このサイズの船にしては巨大なレーダー受信盤であり、これは遠距離からでも敵の存在を感知できるようにソロが取り付けたものである。そのため<ファルコン>は接近してくる敵機より数分先に相手の存在を探知することができ、場合によっては逃げることも可能である。実際、ソロは勝てる見込みがあれば真っ向から戦うが、本心ではできる限り厄介ごとを避けたいと考えているのだ。