邪悪なシスたちは、長い歴史にわたって自らの壮大な目的を達成するために、奇妙な実験的テクノロジーを利用し続けてきた。彼らはシス・インフィルトレーターとして知られる一連の恐ろしい宇宙戦闘機を愛用しているが、その特筆すべき能力は、目に見えなくなることである。ナブーの戦いのおよそ6ヶ月前、ダース・シディアスは来るべきジェダイとの戦いに備えていた弟子ダース・モールに、1機の素晴らしい性能を持った戦闘機を与えた。モールはこの宇宙船を<シミター>と名付け、これをアミダラ女王に対する冷酷な追跡劇に使用したのだった。
ダース・モールのシス・インフィルトレーターの起源は謎に包まれている。だが、彼の死後、この戦闘機を押収して調査した旧共和国当局は、この船がレイス・シーナーおよびシーナー・デザイン・システムズ社における彼の実験施設と何らかの関係を持っていると信じている。事実、SDS社のアドバンスト・プロジェクト研究所は、ナブーの戦いの直前にインフィルトレーターと極めてよく似た武装宇宙船を製造していたのだ。レイスはこの宇宙船との関係を一切否定しているが、<シミター>の曲型翼と球形コクピットが後にシーナー社のTIEファイター・シリーズに流用されているのも事実である。また、インフィルトレーターのイオン・ドライブも、後にシーナー社の船で使用される製品のプロトタイプだったことが判明しており、ハイパードライブにいたっては同社のSSDS 11-Aシステムを無加工で使用しているのだ。
インフィルトレーターの歴史は闇に消え去ったかもしれないが、それが残した遺産ははっきりとしている。この船は旧共和国がこれまでに遭遇した中で、最も複雑かつ不気味なものだった。<シミター>の不吉な評判はクローキング装置に起因しているが、これがインフィルトレーターほどの大きさの宇宙船に搭載されているのは極めて稀なことなのだ。クローキング装置は機体後方に設置された高価なスタイジアム・クリスタルからエネルギー供給を受けているが、このクリスタルはアウター・リムの不安定な惑星エイテンIIでしか採掘されない貴重なものだった。このクローキング装置によって、ダース・モールは従来から存在するあらゆるセンサーに感知されることなく、銀河系のどこへでも移動することができるのだ。
共和国の技術者たちによる解析が進むにつれて、この船は不愉快な驚きの宝庫であると認識されていった。例えば、隠されていた6基のレーザー・キャノンは、伸張すると同時に一瞬にして数発の光弾を発砲することができるのだ。また、船内に入った最初の技術者が保安用のプローブ・ドロイドによって射殺されてしまったため、彼らは安全な船内探査を行うべく、ジェダイ・マスター、セイシー・ティンの力を借りなければならなかった。マスター・ティンは船内で広範囲におよぶシスの邪悪な装備品を数十個発見し、その中には監視ギヤ、爆弾、地雷、毒、拷問器具、尋問ドロイド等も含まれている。さらに、船内の小型車庫にはモールのスピーダー・バイク<ブラッドフィン>も置かれていたが、不運にもこの宇宙船に搭載されたコンピュータは完全にデータが削除されており、ダース・モールやシスに関する新たな手掛かりは何一つとして発見されなかったのである。
その後、ティンはインフィルトレーターをジェダイ評議会の手で厳重に保管するべきだと主張するが、クワッティの元老院議員がこの戦闘機を研究したいと働きかけ、一時的にクワット・ドライブ・ヤード社の施設に移されることが決定される。しかし、インフィルトレーターは搬送される前に忽然と姿を消してしまったのだった。ダース・シディアスの密使によって盗まれたのか、あるいはレイス・シーナーや他のライバル企業の手に渡ったのか、それとも安全な場所に隠すため、秘密裏にジェダイによって持ち去られたのか、事実は一切謎のままである。
暗殺者はみな、獲物を追跡し、標的を待ち伏せするための、高速かつ静寂な乗り物を必要としている。ダース・モールの場合、その役割を果たすものは滑らかな流線型をしたカスタムビルドのスピーダー・バイクだった。シスの戦士たちの伝統に習い、モールは自分のバイクに力強い認識を持てるような猛獣の名前を付けている。彼は自分のバイクを<ブラッドフィン>と名付けたが、これはモールがかつてアウター・リムの惑星の海で遭遇した邪悪な水中のハンターのことである。
あらゆるスピーダー・バイクと同様に、<ブラッドフィン>は後方に強力な推進エンジンを搭載した小型リパルサーリフト艇である。エンジン・システムは急加速ができるように設計されており、屋外ではほんの2、3秒ほどで最高速度に到達することができる。一方で、<ブラッドフィン>は奇妙な曲型の形状をしているが、実はこのような構造によって重心を非常に低く保つことができ、スピーダー・バイクとしてのコーナーリング能力を劇的に向上させているのだ。また、小さな機体は敵にとっても攻撃を当てることが難しく、敵と遭遇したときでも生き延びやすくなっている。
ダース・モールは敵を追跡するために<ブラッドフィン>を使用しており、捕らえた獲物は直接自分の手で抹殺することを好んでいる。事実、このスピーダー・バイクには武器がまったく装備されていないのだ。また、このバイクは操縦席が開けているため、シートから直接離脱し、即座に戦闘を開始することができる。モール自身もバイクから飛び降りる技に精通しており、そのまま戦闘に突入することで、目的を達成するにはレーザー・キャノンもその他の似たような武器も全く必要ないことを示している。さらに、<ブラッドフィン>には自動ブレーキ機能も搭載されており、ハンドルから手を離すと自動的にゆっくりと速度が弱まって、安全な停止を行うようになっている。そのため、モールが突然バイクから離脱しても、衝突や転倒は回避されるようにできているのだ。
また、このバイクにはシールドやセンサーも用意されておらず、モールが弱さの証であると考えた他の追加装備もすべて外されている。その一方で、彼は<ブラッドフィン>に自動操縦システムを搭載しており、腕に取り付けたコムリンクで、最大8キロメートルの距離からこのバイクを召還し、操ることができる。しかし、離れていても目視可能なところにある場合、モールはフォースの力を使ってスピーダーの制御を調整し、純粋な意思の力によってそれを操縦することが多い。
モールのインフィルトレーターと同様に、シス・スピーダーは邪悪なシス・オーダーにおける伝統的な乗り物であり、銀河系の歴史に登場するすべてのシス・スピーダーが等しく高速なバイクだった。また、接近戦を好むモールの性質も彼独特のものではなく、先人たちの大半が、同じようにスピーダー・バイクを武装することを避けていた。その代わりに、古代のシス卿たちは、自分たちのバイクを神秘的なルーン文字や、おぞましい戦利品、盗んだ工芸品などで装飾することを好んでいたようである。
<ブラッドフィン>は、実はモールが所有している数台のシス・スピーダーのなかの1台だった。通商連合によるナブー侵略の直前に、モールはT字型のスピーダーを使用していたが、コルサントにおけるジェダイ・マスター、アヌーン・ボンダーラとの戦いで破壊されてしまったのだ。噂によると、彼はレーザー・キャノンと小型偏向シールド発生装置を装備した武装攻撃用スピーダーも所有しているらしいが、そのような噂には何も具体的な証拠が存在していない。
モールのスピーダー・バイク(おそらくは彼の所有する最後の1台)は、彼がナブーで死亡した際に、共和国によって押収された。しかし、後にそれはインフィルトレーターと共に行方不明となり、その後二度と発見されていない。誰がどのようにして持ち出し、どこに隠しているのかも、まったく分かっていないのだ。
パルパティーン皇帝による圧制の開始からおよそ4,000年前、ダース・マラックとダース・レヴァンによる共和国への恐怖の反抗の最中に開発されたシス・ファイターは、当時の最新鋭宇宙戦闘機であった。シスの大型艦船は裏切り者の艦長らによってもたらされた共和国の宇宙船だが、侵略軍の大半は見ため上無尽蔵とも思われるこの柔軟な宇宙戦闘機だったのだ。これらは貨物室にきつく詰め込まれており、1隻の母艦によって大型編隊を構築することが可能である。また、母艦はハイパースペースから離脱した直後にシス・ファイターを解き放ち、驚くほどの短時間でこれらを展開することができるのだ。
シス軍を支える物的資源の大半は共和国から強奪したものだが、シス・ファイターはこの機種が独自に搭載するツイン・イオン・エンジンのプロトタイプから動力を得ていた。分析によると、これは様々なテクノロジーの混成体だが、既知の惑星の製品に同じものはまったく存在していないという。また、この船は2つのエンジンとスラスターによって、かなり不安定な状態でも推進力と機動性が得られるため、結果的に中央シャシーの大半は最高の性能を引き出すために炉心管理に充てられており、最高の性能を引き出すことにも役立っている。
また、シス・ファイターではパイロットにとって快適な装備はすべて省略されており、必要不可欠なサブシステムのみが搭載されている。こうした装備システムの1つが、この機体の高い汎用性を示す興味深い装置となっているのだ。シス・ファイターはドックに入る際、あるいは長距離航行に突入する際に、翼を内側に畳み込み、武器システムはエネルギー消費を抑えるためにオフライン状態のままにされる。そして戦闘状態になると、翼が開かれ、外側の各エッジ上でレーザー・キャノンが通電されることになる。このように攻撃可能範囲を広くとることによって、シス・ファイターは少数でも破壊的な火力を発揮することができ、一方で、機体の前方および後方が小さく設計されているため、敵に捕捉されにくいという特徴も併せ持つことができるのだ。
ハイパードライブが登場して以来、その使用を妨害する装置の開発競争が起こるのは当然の成り行きだった。光よりも速く宇宙の彼方へと脱出する能力は、犯罪者や逃亡者たちによって長く利用されており、そのため、何千年にもわたってより高速かつ強力なハイパードライブ・システムと、より強力かつ効果的なインターディクターとを巡る、水面下の技術競争が繰り広げられてきたのである。
インターディクターの前身となる装置が共和国の大型戦艦<リヴァイアサン>に搭載されたのは、銀河内乱のおよそ4,000年前のことだった。銀河内乱時の標準と比べれば効率こそ劣るが、この艦は4つの巨大な重力井戸発生装置で惑星大の物体を擬似的に出現させることができ、当時のハイパードライブの使用を妨害することができたのだ。
<リヴァイアサン>の指揮官、サウル・ケイラス提督が増大するシスの軍隊に逃亡したことは、共和国にとって大きな痛手だった。共和国宇宙軍の誇りだった戦艦が、自分たちに対する大きな脅威へと転じたのである。ケイラスは<リヴァイアサン>の洞窟のようなハンガー・ベイに快速なシス・ファイターを2個中隊格納させていたが、この艦自体にも、20基のクワッド・レーザー・キャノン、トラクター・ビーム発射装置、2基のイオン・キャノン、そして4基のターボレーザー砲塔といった、恐ろしい兵器が搭載されていたのである。