数あるユージャン・ヴォングの兵器の中でもおそらく最も強大な宇宙船であるミド・ロイク・ウォーシップには、概してインペリアル級スター・デストロイヤーのような既知の大型戦艦との類似点が多く確認されている。事実、この恐るべき卵型の宇宙船は、新共和国や帝国軍で使用されている標準的な大型艦船と同様に、司令船、封鎖船、そして攻撃用艦船など、様々な用途に用いられているのだ。
ミド・ロイクの中枢部は他のユージャン・ヴォングの艦船と同様にヨリク・コーラルによって構築されている。また、推進システムをドヴィン・ベイゾルに頼っている点も同様であり、宇宙空間で推進力を得るために周囲の重力場を利用することになる。一方で、ウォーシップが持つ固有の特徴は、他のユージャン・ヴォングの宇宙船を再利用する能力である。コーラルスキッパーやコア・チョック、さらにはワールドシップさえもやがては死に至るが、それらを構成している有機物はミド・ロイクの食料として再利用することができるのだ。通常、これらの死んだ物質はウォーシップの溶岩兵器や他のシステムの燃料に変換されるが、一部は粘着性のある分泌液となって船殻に排出され、これらが凝結することによって黒い光沢のある装甲プレートへと変化する。これらの装甲部分はブラスター放火を反射し、衝突にも耐えることができるのだ。
煮えたぎる岩を連続して吐き出すウォーシップの溶岩兵器は、船の外殻に沿って掘られた深い絶壁の中に隠れており、通常のミド・ロイクはこれらの兵器を60個以上搭載している。また、この船の生命線となるドヴィン・ベイゾルも同様に保護されている。ミド・ロイクには何百ものドヴィン・ベイゾルが共生しており、ユージャン・ヴォングの他の艦船を大きく上回る速度を出すことができるのだ。通常、ウォーシップは司令船として使用され、戦いの最中に重要な拠点間を高速に移動しなければならないため、速度は極めて重要な要素となる。さらに、敵の船の逃走を防ぐために、ドヴィン・ベイゾルたちはハイパースペースへの突入を阻止できる統合化された巨大な重力井戸を生成することも可能である。
ミド・ロイクの最も恐るべき特徴は、致命的な武器となる蛇に似た醜悪な付属肢の存在である。この伸縮自在の恐ろしい兵器は、ウォーシップ本体の何倍もの長さまで延びることができる。そして、この生物工学による創造物は黒い斑点の付いた粗い皮膚に覆われており、先端の開口部から発揮される強力な吸引力によって、人間はおろか小さな宇宙船ですら飲み込んでしまうのだ。ウォーシップが空腹になると、ユージャン・ヴォングは何の躊躇も持たずに居住地帯でこの恐ろしい生物兵器を使用する。一方で、この恐ろしい兵器は兵士たちを宇宙船間で移動させたり、惑星の地表へ送り込んだりする際にも使用することが可能である。
中型サイズのユージャン・ヴォングの輸送船やウォーシップは、乗員を含めて3,000人近くの戦士たちを収容し、あわせて様々な種類の車両も運ぶことができる。さらに、ミド・ロイクは航宙母艦としての役割も果たしており、主船殻から延びる無数の長いコーラル・アームに、何百機ものコーラルスキッパーを係留した状態で移動することが可能である。これらの濃赤色や暗青色の触手はウォーシップの鼻や棘、尻に当たる部分からあるゆる方向に向かって延びており、コーラルスキッパーは容易にこれらと接続し、また、戦闘時には再び離脱することができるようになっている。
ユージャン・ヴォングの艦隊の中でも、おそらく最も奇怪な宇宙船である恐ろしいワールドシップは、生物工学的に創造された、長期におよぶ戦闘で重要な役割を果たす宇宙船である。その役割は帝国軍のスーパー級スター・デストロイヤーと酷似しており、生きたワールドシップは輸送船、戦艦、そして突如姿を現すことによって心理的な武器としても利用できる。事実、ユージャン・ヴォングは既に滅びた故郷を持つ難民であり、征服するべき新しい惑星を探すためにワールドシップを利用しているのだ。ワールドシップ群はユージャン・ヴォングの全人口を完全に収容しており、事実上、彼らにとっての第2の故郷となっている。新共和国への侵略戦争に参加したユージャン・ヴォングたちは、ほぼすべてが自分たちのワールドシップで生まれ、同時に我が家によって運ばれているのである。
完全な大きさのワールドシップは、小規模なユージャン・ヴォングの軍隊を丸ごと運ぶことができる。実際に、各ワールドシップには5,000人以上の恐ろしいユージャン・ヴォングの戦士たちと、彼らのコーラルスキッパーを収容することが可能である。だが、ワールドシップはそれ自体が完全な自給自足環境であるため、長期にわたって閉じ込められているユージャン・ヴォングたちは、その閉塞感から発狂してしまうことも多い。こうした状況を打開するため、ワールドシップ内の大気には特殊な薬品が散布されており、発狂した人々を静めているのだ。一方で、惑星への着陸準備が整うと、ワールドシップは着陸地点の地表に向かってゴロス・フェンと呼ばれる巨大な筒状のイモ虫のような生物を伸ばす。ユージャン・ヴォングたちはその生物の中を伝って地上に進出し、惑星側に基地を築いて、そこからワールドシップとの接触を維持することになる。
基本的なワールドシップの構造は、全長10キロメートルほどのヨリク・コーラルの単一の塊を組み合わせたものである。これらのヨリク・コーラルは武器や推進システム、防衛能力などを提供する何十種類もの他の有機物と共生関係を築いている。
例えば、あらゆるユージャン・ヴォングの宇宙船と同様に、ワールドシップにもドヴィン・ベイゾル(重力井戸を投影する能力を持った球形の有機器官)は必要不可欠な存在である。各ワールドシップには直径1メートルから3メートルのドヴィン・ベイゾルが数十個共生しており、この脈打つ生物が特定の重力場を掴み、引き寄せることによって、宇宙空間内でワールドシップを動かしているのだ。この能力は捕捉する重力場の距離に関係なく作用し、ワールドシップに信じられないほどの速度を与えることが可能である。
しかし、銀河系と他の銀河系との間のような重力作用の弱い領域では、ドヴィン・ベイゾルの能力が有効に活かされず、宇宙空間を航行することができない。このような場所にあるワールドシップは、アウトライダー・ギャングリアと呼ばれる蔓のような膜状生物を展開することによって、別の方法で推力を得ることになる。各蔓状生物の先端部には、パイロットの搭乗した多数のコーラルスキッパーが係留されており、これらが皮膜の開閉を手伝っている。開かれた皮膜は帆のように振る舞い、宇宙空間に吹く光子風を集めてワールドシップの推力に変換することができるのだ。
ワールドシップは何百ものマグマ兵器を搭載しており、溶解した火山岩を敵機に向かって排出することができる。これらのマグマ兵器の規模は、従来のブラスター・キャノンと同程度の破壊力を持つ小さなものから、遠距離にある小型貨物船ほどの大きさの岩を蒸発させられる、より大型のエミッタまで、様々である。また、ワールドシップの武器は船体表面にばらばらに配置されており、新しいマグマの生成に併わせてゆっくりと充填されるが、これらは特異なテクノロジーであるにも関わらず、信じられないほどの命中精度を誇っている。
一方で、ドヴィン・ベイゾルも武器として働くことができる。これらの有機体は重力井戸を集中させることによって宇宙ステーションを崩壊させたり、あるいは衛星の軌道を変えて主星に衝突させたりすることができるのだ。また、ドヴィン・ベイゾルには通常のエネルギー・シールドを破壊する能力もあり、これによってワールドシップは攻撃を行う前に敵の防衛能力を削ぐことが可能になる。同様に、ワールドシップ自身の防衛能力もドヴィン・ベイゾルに依存しており、重力井戸を利用して接近するプロトン魚雷や他の兵器を妨害することが可能である。
ワールドシップは生きた生物であるため、ある程度の基本的な意識を持っており、ユージャン・ヴォングのパイロットと会話を行うことも可能である。同様に、全システムを正常に維持するためには定期的な栄養分の補給が必要となり、損傷を受けた場合にはシェイパーによる治療が要求される。通常、適切に維持されたワールドシップは500年以上の寿命を持ち、年齢を重ねるごとに大きく成長していくが、年老いたワールドシップは他の生物と同様に病で衰え、やがては死亡してしまう。死に瀕した船はドヴィン・ベイゾルや船内を照らす筋組織の色の変化によって識別することが可能である。新共和国の領域に到達したワールドシップは何世代にもわたって宇宙を放浪していたため、年老いた個体が多く、この戦争の最中に死亡した船も少なくない。なかでも新共和国が遭遇した最大のワールドシップ<バヌー・ミア>は実に1,000年以上生きており、シェイパー・ネン・イェムの努力も虚しく、死亡したのだった。
既知銀河系への侵略に際して、ユージャン・ヴォングは新共和国が予想だにもしなかった危険な生物工学兵器を、大量に解き放ってきた。こうした兵器の中でも最も広範囲に使用されているものの1つが、侵略軍で標準型戦闘機として利用されているコーラルスキッパーである。
生きた戦闘機であるスキップ(新共和国のパイロットたちはこう呼んでいる)は、その大部分が有機体であるヨリク・コーラルによって構成されている。ルーク・スカイウォーカーとジェイセン・ソロがベルケイドンで発見したコーラルスキッパーの「養殖場」には、成長する無数の戦闘機を取り囲むように、つる状植物が生い茂っていた。これらのつる状植物が太陽光のエネルギーを養分に変換し、コーラルスキッパーに注ぎ込んでいるのだ。コーラルスキッパーは作られるというよりも、むしろ育てられているため、すべての個体が1つ1つ厳密に異なる形をしている。しかし、細い先端部、天然の雲母に似た暗い天蓋、空気力学的な三角形の船体など、基本的な形状はすべての個体で共通した特徴である。
コーラルスキッパーは武装面でも極めて特徴的である。ユージャン・ヴォングのパイロットが敵に向かって発砲すると、機体の先端に付いた小さな付属肢から、燃えたぎる溶岩が射出される。この物体は敵の宇宙船に当たると装甲プレートを貫通して爆発し、標的に回復不能な大打撃を与えることができるのだ。また、コーラルスキッパーは推進機構にも同じ原理を使用しており、進行方向と逆向きにマグマを噴出させることによって推力を得ている。そのため、コーラルスキッパーは岩や小惑星、その他、宇宙空間を漂う岩屑などのミネラル分を定期的に摂取しており、これによって武器を補充すると同時に、燃料の補給を行っているのだ。
コーラルスキッパーの機体前方に辛うじて見える小さな脈打つ軟体生物は、ドヴィン・ベイゾルである。控え目だが、これはコーラルスキッパーの最も重要な構成物の1つとなっている。ドヴィン・ベイゾルは超小型ブラック・ホールのようなものを発生させ、それを活性化させることによって、一点に超重力場を形成することができるのだ。コーラルスキッパーはこの重力場を敵の艦船に向けることによって、相手のシールドを剥ぎ取ることができる。さらに、敵機からのレーザー砲火やプロトン魚雷をこの重力異常に飲み込ませることによって、自機のシールドとしても使用することができるのである。
幸いにして、新共和国のパイロットたちはドヴィン・ベイゾルを打ち破るいくつかの手段を発見している。彼らは慣性補正器の範囲を広げることによってドヴィン・ベイゾルの作り出す重力井戸に順応し、シールドの損失を防ぐことに成功した。また、コーラルスキッパーに低出力のレーザーを連続して打ち込むことによって、重力シールドを過負荷にし、ドヴィン・ベイゾルに武器やエンジンなど、他のシステムのエネルギーを消費させてしまう方法も有効である。
しかし、死をも恐れないユージャン・ヴォングのパイロットたちは、コーラルスキッパーをその潜在能力以上に恐ろしい兵器として有効活用している。敵陣に突入したスキッパーはぐんぐんとスピンを加速させながら、敵のレーザー砲火を次々と重力場の中に引き込んでいく。こうなると敵機は重力異常から逃れることができず、互いに衝突するまでコーラルスキッパーの周りを巡回し続けることになる。衝突位置では重力場も分散しているため、コーラルスキッパーとその死を覚悟したパイロットもろとも、あらゆる船が莫大なエネルギーの閃光に包まれてしまうのだ。
コーラルスキッパーは厳密な意味での宇宙船であり、重力下では十分に機能を発揮することができない。さらに、これらは長距離移動を想定していないため、銀河系を横断するには、より大型の母艦に頼る必要がある。
デュブリリオンの戦いでランド・カルリジアンが1機のコーラルスキッパーの捕獲に成功した際に、新共和国はユージャン・ヴォングのパイロットが、コグニッション・フードと呼ばれる特別なマスクを通じてコーラルスキッパーとの意思疎通を行っていることを知った。実際にこのフードはコーラルスキッパーの一部であり、ユージャン・ヴォングの言葉を理解し、話すことができるのだ。