パルパティーン皇帝による恐怖支配を打破したエンドアの戦い、そしてそれに続くバクラの休戦の直後から、反乱同盟軍の上層部はかつての銀河共和国の理想と基本的信条の再興を目指しており、やがて彼らは新共和国(または自由惑星同盟)と呼ばれる新しい銀河系規模の民主主義国家体制を樹立した。これに伴ってかつての共和国は旧共和国と呼ばれるようになる。実際に新政府の目標、基本法、政治理念などが盛り込まれた新共和国宣言が公布されたのはエンドアの戦いの1ヶ月後であり、この文章にはチャンドリラのモン・モスマ、オルデランのレイア・オーガナ、コスリスのボースク・フェイリャ、モン・カラマリのアクバー提督、サラストのシアン・テヴ、コレリアのドーマン・ベラス、キャッシークのケリスラー、エロムのヴェリネフラ・ブソッグ・インドリアムセフなど、反乱同盟軍の英雄たちが署名者として名を連ねている。同時に、彼らは樹立後間もない新政府における暫定評議会のメンバーとして、新国家体制の初期の枠組み作りに尽力することになるのだった。
反乱同盟軍の紋章は、銀河系に正義を取り戻そうとする強い願望を表現した青い羽飾りがモチーフとなっていた。新共和国の紋章もそれを引き続き再利用したものだが、その周りを銀河共同体を意味する15個の星が取り囲んでおり、さらに銀河市民による自治権を象徴する金色の輪がその全体を囲んでいる。
新共和国はモン・モスマを初代国家元首として迎えたが、後にその地位はレイア・オーガナ・ソロに引き継がれた。やがて、イェヴェサによる大粛清の際に最盛期を迎えた巨大国家は、400の知的種族を内包するおよそ11,000の惑星によって構成されるようになっていた。だが、新共和国は常に数多くの内紛に悩まされており、加盟惑星の小規模な分裂が繰り返し行われていたのも事実である。同盟軍時代の理想に反し、新政府は旧共和国の末期に見られたような政治的内紛によって、急速にその力を衰えさせていったのだ。また、元老院は帝国の再興を恐れており、長年にわたって水面下で新共和国防衛軍への投資を行っていた。やがて残存帝国軍との和平条約が締結されると、その数年後にようやく防衛費の増加が認められるようになったのである。
そして樹立からおよそ20年後、新共和国はユージャン・ヴォングの銀河系侵略による激動の時代を迎えることになる。だが、秩序を維持し、人々の生存を保障するという想像以上に大きな重圧の下でも、新共和国諮問評議会のメンバーの多くは、彼らの出身惑星やその市民たちの安全のためではなく、自己の保身のために懸命に働いていた。そのため、諮問評議会はエイリアンの侵略者に対してどのように対処すべきかを決定することができず、結果的にユージャン・ヴォングによるコア・ワールドへの素早い侵攻を許してしまう。その3年後には首都惑星コルサントもユージャン・ヴォングの手に渡り、当時の国家元首ボースク・フェイリャも、その潮流を止めようとする試みの中で、自らを犠牲にすることを強いられたのだった。
コルサントの崩壊は、新共和国を完全に分断させてしまった。その後、ボーレイアスの戦いを機に、ウェッジ・アンティリーズ将軍の発案によって、最も信頼できる同志のみを募った内部評議会が組織された。その最初期に行われた会合の中でウェッジは、新共和国を分権的な神経構造をもった巨大な形骸であると称し、既に死んだも同然だと断言したのだった。やがて新共和国の残骸は残存帝国軍や未知領域のチスと同盟を結び、銀河連合自由同盟として再出発することになる。
新共和国を脱退したローグ中隊が、イセイン・アイサードを後ろ盾とするタイフェラの新政権に対して暴動を起こした後、ウェッジ・アンティリーズは宇宙戦闘機による戦闘だけでなく、諜報活動や破壊工作の能力を持つパイロットの特殊部隊の設立を推奨するようになった。アクバー提督の仮承認のもと、アンティリーズは新共和国中の宇宙戦闘機中隊のはみ出し者のようなパイロットたちを募集し、落伍者、懲罰経験者、さらには軽犯罪者にまで声を掛けたのだった。この中隊の最終的な暫定登録者リストには、ウェス・ジャンソンに父親を殺害された破壊工作の専門家ケル・テイナー、かつての帝国ホロドラマ・スターであり、同盟軍での戦闘機キャリアを自己嫌悪と罪悪感によって損なわしているギャリク・ローラン、ベイシックを喋り(喉に移植された翻訳機の補助による)、宇宙科学の問題解決に対して天才的な洞察力をもつガモーリアンの生物医学被験者ヴァート・サビリングなどが名を連ねていた。この部隊は同盟軍情報部の責任者、エドア・クレスピンの疑い深い監視のもと、フォロアの月で訓練を受ける。彼らは標準的なオレンジ色とは対照的な緑色のフライトスーツを着用していた。
レイス中隊の名称は、アンティリーズによる後援の内部コンペを経て、投入スペシャリストのタイリア・サーキンによって提案された。彼女曰く、彼らは帝国にとっても、大将軍たちにとっても、ベッドの下の幽霊であり、貯蔵小屋の中にいる怪物であるのだという。この案は、中隊を新共和国の「いかがわしい震動ブレード」としたいアンティリーズの目標と一致した。彼らはローグ中隊のような名の知れた部隊にはできない秘密の任務を遂行しなければならないのだ。
ズンジと協力関係にあるM2398の月の海賊基地への攻撃の間、ジェスミン・アクバー通信士官(アクバー提督の姪)が地上からのレーザー・キャノンによって撃墜され、レイス中隊は初の犠牲者を出した。彼女のXウィングはダメージを受け、仲間のパイロット、テイナーの必死の努力にも関わらず、月の地表に墜落したのだった。
その後も、ズンジに協力する帝国軍のアプウォー・トリジット提督によるフォロアの月への激しい攻撃によって、さらに多くの犠牲者が出ることになる。トリジットのインペリアル級スター・デストロイヤー<インプラカブル>との戦闘の間、レイス中隊のファリン・サンドスキマーが燃料貯蔵庫を砲撃して船を破壊しようとした際に、彼女とユアスク・スリアグが戦死したのだ。だが、最終的に船は破壊され、トリジットも彼専用のTIEインターセプターで脱出する際にミン・ドノスによって撃墜されたのだった。
4分の1の隊員を失ったものの、創設間もないレイス中隊は、アクバーとクレスピンから仮承認を与えられることになった。そして、コルサントへと戻ったレイス中隊は、スライサーのキャスティン・ダン、投入スペシャリストのシャラ・ネルプリン、車両専門家のディア・パシックを迎え入れ、再編成される。その後、彼らの入隊儀礼が行われると、部隊は自分たちへの信頼と大きな関心を築き上げるため、ホーク=バットと呼ばれる海賊団に偽装し、ズンジへの攻撃を開始したのだった。だが、ハルマッド上空での襲撃の際に、従軍医師のトン・ファナンが撃墜されてしまう。盟友ローランやほかの友人たちが英雄的救出を試みるが、彼は内臓に大きなダメージを受け、惑星の地表で死んでしまったのだった。
その後もレイス中隊はホーク=バットの偽装を続け、ついにはズンジの旗艦、スーパー級スター・デストロイヤー<アイアン・フィスト>の艦上で、ズンジとの会合を行うことになる。会合の間、キャスティン・ダンはウェッジの命令に反して、<アイアン・フィスト>のコンピュータに追跡プログラムを設置しようと考え、艦内をうろついていた。そして、彼は偶然にも、ズンジの科学者たちが行っていた生物医学研究プロジェクトを目撃し、被験者を解放しようとしたところを、ストームトルーパーに射殺されてしまったのである。
その後、ホーク=バットはクワット・ドライブ・ヤード社に停泊していたスーパー級スター・デストロイヤー<レイザー・キス>の破壊に参加し、ズンジへの報復を遂げることができた。その直後にウェッジはローグ中隊へ復帰するが、ハン・ソロの反ズンジ機動部隊の一員として両中隊の指揮を執り続ける。そして、ズンジがセラギス6で敗退すると、レイス中隊は宇宙戦闘機中隊としては解散となり、新共和国情報部長官エイレン・クラッケン配下の秘密情報チームへと再編されたのだった。
後のユージャン・ヴォング戦争でも、レイス中隊は偵察員、パイロット、諜報員として新共和国に貢献し続けた。この戦争における彼らの主な役割は、戦争末期におけるコルサントの奪回である。