カタナ艦隊とは、ヤヴィンの戦いの46年前、旧共和国の時代に就航した200隻のドレッドノート級ヘヴィ・クルーザーからなる大艦隊の総称である。当時、1隻のドレッドノートを動かすにはおよそ16,000人もの乗員が必要とされており、このような大規模な艦隊を維持することは、経費の面でも論外であるという見方が大勢を占めていた。だが、カタナ艦隊のドレッドノートには莫大な数の乗員を2,000人ほどにまで減らせる画期的な従属回路がフル装備されており、この事実によって長く失われていた共和国宇宙軍の威信を銀河系全域に轟かせるというカタナ艦隊の就航計画は、元老院を納得させるに至ったのである。この艦隊の名称は、旗艦<カタナ>に由来し、他の船には<ブラクサント・ボーンクルーザー>、<ハリアー>、<ペリグリン>などがある。
カタナ艦隊を構成する各ドレッドノートの船体はすべて暗灰色で塗装されており、また乗員が少ないことから内部の照明も節約されていた。そのためこの艦隊には全体的に暗いイメージが付きまとい、「ダーク・フォース」の異名で知られるようになる。そして、そのイメージを象徴するかのような事件が発生した。カタナ艦隊はその処女航海において乗員全員が発疹ウイルス(おそらくカースナム・スパイスによって引き起こされたと考えられている)に感染し、遭難してしまったのである。瀕死の乗員たちはなんとか全艦隊を従属させようとしたが、旗艦<カタナ>の乗員たちは既に正気を失っており、軌道計算なしでハイパースペースへジャンプすると、そのまま全艦を引き連れて消失したのだった。
皮肉にもカタナ艦隊の喪失によって、分散型自動操艦技術が再び脚光を浴びるようになり、中央コンピュータ制御からドロイド・プールへの切り替えが誘発されることになった。同様に、発疹ウイルスの性質に関する専門的な研究も開始されたが、有効な治療法が確立されるにはまだ何十年もの期間を要するだろう。こうしてカタナ艦隊の喪失後、この艦隊は一種の伝説となり、一攫千金を夢見る多くの者たちがこの幽霊艦隊の捜索に人生を費やすことになるのだった。
おそらくダーク・フォースを最初に発見したのは、ヤヴィンの戦いの6年前にこの艦隊に偶然出くわした密輸業者、ホフナー船長だった。そのとき艦隊の所在に関する知識を手に入れたのは、彼とその部下の航法士タロン・カードだけだったが、2人とも相手が同じ秘密を共有していることに気づいていなかった。彼らはその知識を利用すのに適切な時が訪れるまで、カタナ艦隊の場所を隠し続けていたのである。その後、ホフナーはガーム・ベル・イブリスに、カタナ・ドレッドノートの一部の売却を手配する。やがて、ベル・イブリスは彼の旗艦とした<ペリグリン>を含む、6隻のドレッドノートから成る攻撃部隊を手にしたのだった。
ヤヴィンの戦いの6年後までに、新共和国、残存帝国軍、大将軍たちの独自軍組織のパワー・バランスは、世代に反して極めて不安定なものとなっていた。そのため、艦隊をいち早く整えた陣営が即座に銀河系の覇権を手に入れられると信じられていたのである。カタナ艦隊の巨大な潜在的価値は、第2次ボーレイアスの戦いへの前哨戦として、インペリアルII級スター・デストロイヤー<エヴィサレーター>を撤退させるために使用されるほどだった。
やがてエンドアの戦いから5年後、ダーク・フォースが実在の艦隊だったという証拠がもたらされる。タロン・カードによって、新共和国に艦隊の所在が明かされたのだ。しかし、カタナ艦隊に大きな関心を持つ帝国軍のスローン大提督は、かつてのカードの仲間だったホフナー船長も艦隊の在り処を知っていると睨み、彼からその場所を聞き出すことに成功する。そして、スローンの軍は新共和国よりも一歩先にカタナ艦隊の位置に到着し、到着が遅れた新共和国軍を尻目にドレッドノートの確保を開始する。発見された当初、各艦は照明設備も生命維持システムもすべて良好な状態であり、正常に起動していた。動力源や他のシステムは一部再構築を必要としたが、カタナ艦隊は概して完全な状態だったのだ。
カタナ艦隊を巡る新共和国軍と帝国軍との激しい攻防の末、全200隻のドレッドノートのうち170隻以上が帝国軍の手に渡ってしまう。また、6隻は既にガーム・ベル・イブリスの独自軍組織のものとなっていたため、新共和国にもたらされたドレッドノートは旗艦<カタナ>を含むわずか15隻と、後にスローンへの反攻に使われるAT-PTだけでしかなかった。
当初、新共和国は、スローンがカタナ艦隊を運用するためには少なくとも30万人の乗員(1隻あたり2,000人で、178隻分)が必要だと試算しており、人員的にそれだけの訓練された兵士を用意することは不可能だろうと考えていた。しかし、スローンはウェイランドにあった皇帝の貯蔵庫からスパーティ・クローニング・シリンダーを発掘しており、事実上無尽蔵の人的資源を艦隊の乗員として供給できる準備を整えていたのである。
銀河共和国のクローン・トルーパーたちは、技術およびその外観に関して厳密な均一性を示しているが、極わずかな個体のみが他のトルーパーたちと違う性質を持って造られている。これらの究極のクローン・トルーパーは高性能型偵察コマンドー、またはARCトルーパーと呼ばれ、ジャンゴ・フェット自らの手によって訓練を受けたエリート兵士たちなのである。
ジャンゴ・フェットがジオノーシスの戦いで早すぎる死を遂げたため、繁殖され訓練を受けたARCトルーパーは限られた人数しか存在していない。彼らはカミーノの戦いでラマ・スー首相によって個人的に実戦投入され、分離主義者による攻撃からティポカ・シティを防衛した。同様に、彼らはムーニリンスト、ジャビム、ペンガランIVでの戦いでも活躍している。
通常、ARCトルーパーは独立した思考が相当量要求されるような極めて困難な任務にのみ使用される。彼らは一般のクローンと同様の成長加速を施されているが、従順性や独立心にはまったく手が加えられていない。また、ARCトルーパーには通常のクローン・トルーパーより高性能な装甲服が与えられており、極性反転パルス・グレネードやPLEX-1ポータブル・ミサイル・ランチャーのような強力な武器、または任務に特化した装備を携帯している。
共和国のクローン・トルーパーたちは遺伝子的にまったく同じ身体構造をしているが、2、3のエリート部隊は特殊な環境での戦闘に備えて専門の訓練を与えられている。そしてこうした戦闘技術は、特殊な地形での利用を想定した改良型装備によって支えられている。このような特殊部隊の1つがクローンSCUBAトルーパーである。この水中戦用兵士たちは水中に生息する種族との戦いを効率的に行える最新式の装備を支給されており、むしろ厳しい敵対環境での戦闘を優位に進め、楽しむことさえできるのだ。
クローンSCUBAトルーパーの装甲服は、一般のトルーパーが着用しているプラストイド合金製の装甲服よりも軽量にできている。ヘルメットには深海の暗闇に侵入し、水中の敵を的確に捉えることを可能にするレンズとセンサーが内蔵されている。また、呼吸装置に組み込まれた小型ガス洗浄機は水中から酸素を取り出すこともでき、酸素タンクの消費を抑えることに役立っている。そして、クローンSCUBAトルーパーは水中推進パックを装備しており、さらに脛当てに組み込まれたジェット推進装置によって、水中でも極めて高い機動性を実現できるのだ。
クローンSCUBAトルーパーは水中でのブラスター・ボルトの拡散を遅らせるため、改良型コリメーター・バレル・アレイを装備した特殊なブラスター・ライフルを携帯している。また、彼らの通常装備には衝撃波が伝わりやすい水中の利点を活かした爆弾兵器も含まれている。クローン大戦の最中、キット・フィストー将軍はモン・カラマリでクローンSCUBAトルーパー部隊を先導し、モン・カラマリの騎士団と共にクオレン分離連盟と交戦したのだった。
カミーノアンは独立心が強く命令しづらいARCトルーパーに多大な苦労を強いられていた。結局、この試作兵士たちは停戦地帯へと左遷され、新しいタイプの戦士たち、クローン・コマンドーの開発が始まったのだった。
個性的で危険なクローンの製造から方針転換したカミーノアンは、野生のエイファーを狩猟する小部隊をサンプルとして取り上げた。候補者たちは通常のクローン部隊から選ばれ、4つのグループに分けられた。そして、訓練と教育の間、一同に集められたこれらの小グループは、互いに助け合うことを強いられ、他のグループとの戦闘訓練を行っていたのである。こうして、カミーノアンたちはすぐに多数の小規模な分隊を手に入れることができた。これらの分隊は高度に訓練され、恐ろしいほど粘り強かったが、様々な任務に応じてさらに小さな部隊へと分けられていった。それでも最終的には、クローンの正規軍も、ARCトルーパーも、組織化されチームワークを組んだ彼らには敵わなかったほどである。実験は成功に終わったのだ。
ジェダイの将軍や共和国の指導者層は、即座にこの攻撃チームの可能性を認識し、彼らを銀河中の激しい戦場へと送り込んだ。DC-17mライフル、特別仕様の戦術バイザー、カターン級ボディ・アーマーなどの特別装備を与えられたクローン・コマンドーは、分離主義勢力の要塞の最も深く、そして最も暗い区域へと侵入した。より大きな軍隊では不可能な作戦を実行しながら、敵の背後深くで行動していた名もなき小規模な共和国コマンドー分隊は、しばしばクローン大戦の戦局を左右することになる。
共和国情報部および元老院情報局の長官、アーマンド・アイサードの独創的考えに基づくシャドウ・トルーパー師団は、偵察用の道具として製造されたクローン兵である。減少しつつあるARCトルーパーを増員するために開発されたシャドウ・トルーパーは、単独または2名で行動する。彼らは装甲服を着用しながらも密かに行動し、賞金稼ぎの傭兵を装って静かに情報を収集しながら、目的地を密かに出入りするのだ。
シャドウ・トルーパーの装甲服は標準的なフェーズII・クローン・アーマーであり、戦略的に配置されたマグシールによって、シャドウ・トルーパーの外観を変化させる偽装プレートを取り付けることが可能である。そのため、シャドウ・トルーパーは外見を変化させ、ハットに雇われた傭兵や、ブラック・サンの諜報員、あるいはフリーランスの賞金稼ぎとして行動することができるのだ。この偽装プレートは主に装甲服の表面に装備されており、クローン・トルーパーのセンサー・シグネチャーを偽装することで、必要に応じて人間以外の存在を探知する生命探査装置を混乱させることもできる。また、このプレートは通常の動きを変え、観察者が特徴的な「クローンの癖」を掴むことを妨害してくれる。さらに発見された場合でも、ヘルメット内の顎の部分にあるシングル・スイッチによってマグシールを解除し、シャドウ・トルーパーに本来の装甲服を活用させることができるのだ。
この装甲服には、能動的スキャンを吸収する特殊なセンサー反射コーティングが施されている。また、サーマル・ダンパーとEM硬化処理が受動センサーを妨害し、標準型装甲服の隠し切れない反応を拾われることを防いでいる。さらに、シャドウ・トルーパーの不可視の覆いには高出力無指向性妨害装置も取り付けられており、彼らが決して発見されないことを保障しているのだ。ただし、これらの高価な妨害システムは、標準型クローン・トルーパーのヘルメット・システムにも影響を及ぼすため、多くのシャドウ・トルーパーは通常の歩兵と行動を共にすることを避けている。
シャドウ・トルーパーは標準型DC-15カービンではなく、DC-19 ”ステルス” カービンを装備している。この武器には隠密に行う任務のために消音装置が装備されており、高価な精錬ティバナ・ガス混合気体を使用するオプション・モードによって、光弾を通常の可視スペクトルの範囲から完全に消すことができるのだ。しかし、このモードは非常に高コストであり、10回発射するたびに混合気体を再充填する必要がある。また、この武器は緩衝装置へのダメージを抑えるため、発射のたびに武器全体を冷却しなければならない。したがって、シャドウ・トルーパーの射撃手は不可視光線を大きな効果が得られるときにのみ使用することになる。
独立星系連合の要塞がグリーヴァス将軍の隠れ家だったウータパウで発見されたとき、6つの縦穴都市へ侵入するべく、シャドウ・トルーパーの1個小隊が派遣された。彼らの任務はそれらの都市に妨害装置を設置し、後続する共和国軍の侵略を敵に気づかれないようにすることだった。
シャドウ・トルーパー師団の成功は、後のストーム・コマンドーの創設へと繋がり、同様にブラックホールのエリート・ストームトルーパーへと発展することになる。