アグノート
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アグノートは、惑星ジェンティス出身の、やや上向きの鼻面をしたブタのようなヒューマノイドである。標準的な人間と比較すると、彼らは身長が低い。アグノートは工業に精通した忠実な労働者であり、多くの言い伝えを伝承している。また、彼らは非常に丈夫であり、長時間の苦痛に耐え、およそ200年以上生きることができる。
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特徴
アグノートは小惑星帯の中で凍るガスであろうと、灼熱の惑星核に解けている金属であろうとまったく関係ない採鉱能力を銀河中に知らしめている。小型で頑丈な彼らの身体は厳しい条件での長時間にわたる労働を可能にしているのだ。
豚に似たアグノートはアノート星系に属する惑星ジェンティスの原住種族であり、その全域に広がる辛うじて生き長らえることのできる土地で、原始的な植民地を形成して生活していた。しかし、星間航行技術を持っていなかった多くの種族がたどった運命と同様に、部族ごとに人間の商人や略奪者たちによって他の惑星に連れて行かれ、契約労働者や奴隷となったのである。
歴史
自ら発見したティバナ・ガスの採鉱のためベスピンに空中浮遊都市を建設しようとしたコレリアンの実業家エクレシス・フィグ卿は、この計画には安い賃金で働く肉体労働者が必要不可欠であると考えていた。そして、数年にわたってその労働力を捜し続けた彼は、ついにアグノートの3種族を見つけたのである。
フィグ卿はアーデン、ボットラット、イシッドの3種族をヴェルサー・リングの宇宙ステーションに一同に招集し、自分の構想通りの浮遊都市を建設してくれれば自由を与えるという魅力的な提案を差し出した。さらに、彼らとその子孫はこの植民都市で仕事と生活の場を与えられ、企業の利益を共有できるのである。提案が受け入れられたのは当然のことだった。
しかし、都市の完成後もフィグ卿の予想をはるかに上回る数のアグノートが仕事を求めてやって来るようになり、クラウド・シティは彼らの過剰な入植という問題に直面してしまった。都市の指導者たちは直ちにアグノートの入植を制限し、既に採掘で腕を上げ住み着いているアグノートたちを残して、他を引き払ったのである。しかし、残ったアグノートたちもクラウド・シティ側が思っているよりも愚かではなかった。彼らは手荒い扱いを受けた仲間たちへ仕事の斡旋を要求し、採掘作業のストライキを敢行したのである。
この事態に脅え、アグノートたちを静めようと考えた行政官らは彼らにさらに多くの入植を認め、採掘労働に関する協定を結んだ。しかし、当時の行政官は採掘企業の組織構成を内密に極めて難解なものにしてしまい、アグノートたちには理解できないようにしていたのである。より多くのアグノートが到着するに連れて個々の労働時間は短くなり、当然、賃金も減っていった。採掘企業は彼らの絶え間なく続く入植が労働力の過剰供給を産み出しているという幻覚を思い知らせたのである。
アグノートたちはこの事実を受け入れ、入植者も次第に減少していった。また、初期の頃からベスピンにいた入植者は多くがこの都市に留まったが、比較的新しい入植者たちはほとんど立ち去っていった。これは残ったアグノートたちにとってはむしろ平和な状況となり、彼らはクラウド・シティで家族を儲け、完全に都市の一部となったのである。長い年月を経てクラウド・シティ当局も彼らに慣用になり、アグノートたちはベスピンに自分たちの地区を手にするまでになった。彼らはいまだに下級労働に従事しているが、自分たち独自のビジネスに手を出す者も多くなり、ゴミ処理場や整備工場、保安部などで働いている者もいる。
アグノートたちは奴隷となる前から高貴な習慣と法を守り通していた。3種族はただちに部族間評議会を再興し、部族長を選出すると、それぞれの部族に適した役割分担を開始したのである。古い考え方は新しいものへと変わっていかなければならないが、3つの種族はいまだにお互いをまったくの別物と考えていた。アグノートたちは同族と働いているときの方が心地よく、事実、イシッド族は意地の悪いユーモアによって他の種族から見下されている。
アグノートの大半は採鉱地区に留まっており、およそ200年の生涯をようやく手に入れた居住地区と仕事場の行き来で過ごすことも珍しくない。また、採鉱地区の全域には古代の設計に基づく競技場が建設されており、彼らはそこで会合を開き、踊り、逸話を語り、そして闘っている。
長い年月を経て、アグノートの人口はクラウド・シティで人間に次いで多くなり、部族長たちも行政区画で過ごす時間が長くなっていった。さらに彼らは議会に代表を送り込むようにもなり、この都市に永住する権利を手にしたのである。高齢のアグノートたちは部族長が民衆との距離を置くべきではないと考えていたが、これによって今の生活を非現実的なものにしてはならないことも認識していた。
彼らの生まれ持っての技能も世代交代を続けるに連れて衰えていった。しかし、親は子に小惑星での採鉱技術やティバナ・ガスの採集法を指導し、技術をもった新しいアグノートたちが必要以上に増えると決闘によってその数を減らしたのである。子供たちは12歳になると仕事を継承する権利を巡って死の戦いに直面させられていた。このような野蛮な習慣が存在するにも関わらず、彼らはいたって平和的な種族である。口数の多い彼らの言葉は他の種族にとって理解が難しく、さらに部族長を除けばいたって他の種族に対して内面的である。