キトナック
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キトナックは、過酷なカーダン砂漠に覆われた惑星キアドIII出身の、ずんぐりとした鈍間な知的種族である。彼らの肉体的生理機能は砂漠の遊牧生活に適応しているが、その性質は極めて穏やかで忍耐強い。また、彼らはミュージシャンとしての才能があることで有名である。
目次 |
生態と外見
キトナックは銀河系で最も丈夫な種族の1つである。彼らの硬い革のような皮膚は極度な擦り傷以外のあらゆる外傷に耐えることができ、全身を保護する天然の鎧として機能している。事実、手足を除けば彼らの体にはこれといった弱点が存在しない。また、キトナックは2本のずんぐりとした腕を持っており、それぞれに生えている4本の指は太くて短いが、驚くほどに器用である。キノコの房のような頭には2つの目と耳、1つの口が付いているが、注意深く観察しなければ何も分からないくらい見事に隠されている。
キトナックは行動するより待つことを好む、極めて忍耐強い生物である。実際に、キトナックを怒らせる数少ない原因は他の種族の苛立ちなのだ。仮に相手が急いでいても、彼らは断固として通常の歩調よりゆっくりとしたペースで行動し、自分たちを待たせようとする。
キトナックは故郷の惑星キアドIIIでの生活に完璧に順応している。この灼熱の砂漠惑星は白砂の海、赤くひび割れた土の海洋、岩の断崖、明るいオレンジ色の丘で埋め尽くされている。キトナックは白砂の砂丘海で生活しているが、そこにはときおり、時速400キロメートルもの暴風が吹き荒れる。時速200キロメートル程度の穏やかな嵐の中では、彼らは足を止め、流線形の頭を風にもたれ掛けているだけである。他の生物たちが避難するような突風のときでさえ、太い指でできた森のように何百人ものキトナックが勇敢に立っている姿を目撃することは珍しくない。しかし、岩が風で飛び始めると、さすがのキトナックも砂を掘り、砂丘の中に潜ってしまう。
キトナックは皮膚の頑丈さと同じくらいのんきな性格をしており、彼らが急いで何かをするようなことはほとんどない。それは彼らが怠け者であるからではなく、単に待つことに対して長けているだけなのだ。また、キトナックは酸素を貯えるための予備の肺を持っており、2、3標準時間は通常の呼吸をしなくても耐えることができる。さらに数週間食糧がなくても生きられる脂肪貯蔵器官もあるため、彼らは食糧調達するときも、単に獲物がやってくるまでじっと立って待っているだけでいいのだ。
キトナックは捕食するために近視で動きののろいチューバが好むサルファロ草に成りすまし、餌場でじっと立っている。夜明けになると体長50センチほどのチューバが砂の穴から出てきて、サルファロ草を探し始める。やがてチューバはおとなしくしているキトナックに登り、鳥たちがよく巣を作るサルファロ草の空洞に似た、大きく開いた口の中へと進んでいく。彼らは朝食のために鳥の巣を探しているのだが、逆にキトナックの朝食になってしまうのだ。1匹のチューバはキトナックにとって1標準ヶ月分以上の栄養源となるため、その月にはこれ以上何も食べる必要がなく、彼らはそれを持ち前の忍耐でゆっくりと消化する。
社会と文化
放浪種族であるキトナックは移動するチューバを探しながら、およそ100人からなる小規模な部族で砂漠を徘徊し、チューバのゆっくりとした動きに併せてゆっくりと移動する。彼らはうずくまって滑るようにしながら砂漠の上を移動することができ、こうした動作は砂漠に潜ることにも役立つが、彼らはどちらかと言えば「歩く」ことを好んでいる。実際、キトナックの足は筋肉質であるが、「歩く」ときには足を動かすのではなく、足の裏の突起を伸び縮みさせるのだ。歩調は緩く、彼らが急ぐことは滅多にない。
彼らがどのようにして食べ物を見分けるのかは定かでないが、おそらく嗅覚器官が足の裏にあるのではないかと推測されている。また、彼らの触覚(これも足の裏にある)の感度も極めて優れており、砂漠の嵐のなかを進むときでも砂の中のわずかな震動を感知することができる。
キアドIIIの地表にはキトナックの天敵となる生物はおらず、彼らが恐がるものは流砂と洞窟の2つだけである。流砂はキトナックに「立ち寄る」柔らかいご馳走を隠してしまい、洞窟はより価値あるものを隠してしまう。彼らは刺すような冷たい空気の流れる大洞窟を、キトナックの神話にある地下世界への入り口であると信じている。そして、過去にその中を探検に出かけたキトナックは決して戻ってこなかった。
キトナックの日中の楽しみは「物語の語り合い」である。通常は毎晩1つだけ物語が語られるが、部族のそれぞれのメンバーが順番に新しい内容を付け加えていくために数時間にわたって続けられ、若者たちの忍耐力の形成に一役かっている。物語は何日か掛けて完結するが、それぞれのエピソードはその夜の語らいで終わる。
キアドIIIを覆う広大なカーダン砂漠では、およそ10年に一度だけ雨が振り、そのときだけは、キトナックもいつもの悠長な態度を放棄する。雨は降り始めると土砂降りになり、ひび割れた大地も激流の川と化して、塩辛い水溜りに砂地が点在する状態になる。長年休眠していた種子も突如として発芽し、短い生命を繰り広げる。大雨の最初の兆しがあると、キトナックは「生命の大祝祭」のために乾燥しひび割れた川床へと移動する。降り始めると、彼らは大勢で川の中に潜り、キトナックの交配の儀式で重要な位置を占める「愛のダンス」を開始する。数時間後、キトナックたちは潜った場所から遠く離れた下流で姿を現し、その中の何人かは小さな子供を抱えている。何も知らない人々は、キトナックの出産は懐妊期間をまったく必要としないのだと思っているが、実際には彼らの懐妊期間は雨の降る間隔とほぼ同じなのだ。子供を抱えて川から出てくる女性たちは最初の祝祭のときに受精しており、次の祝祭では出産だけを行うことになる。
幼いキトナックは決して母親の側を離れず、生まれて最初の1年間は母親の肉ひだにぴったりと張り付き、物語を聞きながら乳を飲んでいる。嵐の間は子供たちは母親の影で保護され、この頃からキアドIIIの強風に耐える訓練を開始する。彼らは慎重に母親の風下に歩み出し、頭を風の方へと向ける。独り立ちの試みに失敗すると、子供は部族の他のメンバーに掴まれ、安全な場所に連れ戻されるまで、風の吹く方に倒れていってしまう。キトナックはおよそ9標準年で成熟し、成人になると次の大祝祭で交配の順番が回ってくる。
部族の人口が多くなりすぎると9歳以上のキトナックが数人部族から離れ、単独あるいは少人数のグループで他の人数の少ない部族を探しながら砂漠を放浪する。夜になると、こうした遊牧民たちはチディンカ草を繰り抜き、チディンカルと呼ばれる楽器を作ることに専念する。彼らはこの楽器を奏でることによって他のキトナックを見つけたいという願望を表すのだ。しかし、ときおりその試みは裏目に出てしまうこともある。不運なキトナックは印象的な音楽を聴いた外界の奴隷商人らに捕らえられ、不快な宇宙ステーションのラウンジでジィズ・ミュージシャンとして働かされることになるのだ。
キトナックは惑星全体を支配する参加型民主主義を発達させた。しかし、数多くの部族間では迅速かつ効率的な会話が欠乏しているため、問題が解決するまでに何年もの歳月が過ぎてしまう(うまくいけば、その間に問題は勝手に解決してしまう)。
テクノロジー
キトナックのテクノロジーは短命に終わるものばかりで構成されており、ほとんどが非現実的である。彼らは風が穏やかなときに、利用可能な素材から娯楽のための道具、主に楽器を作っている。キトナックにはこれらの器材が次の嵐によってほぼ確実に失われてしまうことが分かっているため、すべて単純な作りになっている。
銀河系におけるキトナック
故郷を離れたキトナックは大半が奴隷だが、辛抱強さと天性の愚鈍さを併せ持つ彼らは奴隷としては使い物にならず、短気な主人によってすぐに解雇(あるいは処刑)されてしまう。こうした主人たちはそのキトナックが次の職を得たときに「損害」を取り戻すことになる。捨てられたキトナックたちの多くは、次の職として特にポピュラーなジィズやオンテキィのミュージシャンとなることが多く、奴隷時代の負債を支払いつつ、適度な生活をおくるための金を稼ぐのだ。こうした自由なキトナックたちは故郷へのテクノロジーの提供や奴隷になっている仲間たちを救う方法などについても考えているが、もはや驚くまでもなく、待って静観しているだけである。