クローキング装置
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クローキング装置は、宇宙船などの物体をセンサーと肉眼の双方から見えなくする能力を持った機械である。
解説
クローキング装置は、船を他の艦船のスキャナから不可視にするための装置である。通常、あらゆる艦船は電磁波を放出しており、それらをセンサーやスキャナで捕らえることによって、その宇宙船の様々なデータを読み取ることが可能になる。しかし、クローキング装置はこうした電磁波をすべて遮断し、宇宙船をセンサーやスキャナだけでなく、視覚的にも覆い隠してしまうのだ。
銀河系で開発されたクローキング装置には2つの種類が存在する。最も早期に開発されたものはスタイジアムと呼ばれる天然のクリスタルを利用したテクノロジーであり、これはシーナー・アドバンスト・プロジェクト研究所で開発されていたものだった。シス・インフィルトレーターに初めて搭載されたスタイジアム・ベースのクローキング装置は極めて効果的であり、クロークされた船が周囲を走査するために自身のセンサーを使用することもできた。だが、スタイジアム・クリスタルはアウター・リムの惑星エイテンIIでしか採れず、その採鉱には法外な費用が要求されたのだ。さらに、スタイジアムは使用中にオーバーヒートによって燃焼してしまうことが多く、銀河共和国の晩年には、銀河系全体でもごく限られた数しか存在しなくなっていた。やがて、エイテンIIにおける埋蔵量も枯渇し、スタイジアム・テクノロジーそのものも、クローン大戦による混乱の中で永遠に失われてしまったのである。
やがて銀河内乱の時代になると、パルパティーン皇帝は熱心に失われたクローキング・テクノロジーの再開発を命じるようになる。そしてついに、帝国軍の科学者たちによって、ハイブリディウムと呼ばれる物質からクローキング装置を作成できることが発見されたのだった。初期段階のテストでは、ハイブリディウムを利用したクローキング装置は、静止した物体にのみ使用できるものと思われていた。だが、更なる研究の結果、ついに艦船に搭載可能なハイブリディウム・ベースのクローキング装置が開発されたのである。しかし、ハイブリディウムを利用したクローキング装置はとても大きく、作動させるには膨大な量のエネルギーが必要だった。さらに、この装置にはハイパースペース内で動作が不安定になるという重大な欠陥も見つかっており、コストの面と併せて、その能力を疑問視する声も多かった。結局、ハイブリディウム・ベースのクローキング装置は、十分な活用がなされないまま、姿を消してしまったのである。
しかし、皇帝に反旗を翻したザーリン大提督はこの事実を知らなかった。彼は同盟軍に提供するためにクローキング装置のプロトタイプを盗み出し、クローキングされたCR90コレリアン・コルヴェットでスローン副提督からの逃走を試みる。しかし、ハイパースペースに突入後、クローキング装置が破損し、彼を乗せたコルヴェットも大破してしまったのだった。
そしてエンドアの戦いから5年後、大提督として既知銀河系に帰還したスローンは、ウェイランドのタンティス山にあるパルパティーン皇帝の宝物庫からクローキング装置を発掘し、新共和国に対する反抗計画の中で、二度にわたってそれを使用することになる。一度目はスルイス・ヴァンの戦いで、彼は偽装貨物船<ナーティスチュー>の内部貨物を隠すためにクローキング装置を使用した。そして二度目は、この装置を小惑星に取り付け、コルサントの周回軌道に置き去りにしたのである。
宇宙船に対するクローキング装置の使用にはいくつかの制限があり、その中でも最も重大なものは、クローキングされた船は自身も盲目になってしまうことである。つまり、クローキング船は他の艦船から見えない代わりに、自分も外界から完全に切り離されてしまうのだ。この事実は初期の技術者や開発者たちに大きな問題を提起したが、後にこの問題は帝国軍コンピューター戦闘照準測定器の発明によって克服されることになる。この装置は船の盲目状態を軽減こそしないが、船に敵の攻撃艇を撃墜する機会を与えてくれるのだ。