メリー
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解説
メリーは自分の生い立ちさえもまったく知らず、物心付いて以来、他人の所有物として売られ続けていた。辺境の惑星タトゥイーンでガーデュラ・ザ・ハットに仕える卑しい奴隷少女だったメリーは、それでも宇宙での冒険を思い浮かべつつ、密かに大きな夢を抱いていたのである。だが、タトゥイーンの厳しい現実では、彼女はその夢を自分の内に秘めておくことしかできなかった。彼女は強い心を持ち、モス・エスパの奴隷居住区で暮らす赤毛のいじめっ子、シークと友達になった。やがて2人は短気で怒りっぽいコンビを結成し、大胆にもさらに良い暮らしを夢見る他の子供たちをからかうようになったのである。
当初、ガーデュラはメリーを掃除係として使っていたが、あるとき彼女の小さな手が機械の修理に便利であることに気づいた。その結果、メリーはとても幼かったが、ポッドレーサーの修理に熟練した機械工となったのだ。彼女にとってポッドレーサーはもはや子供のパズルでしかなく、カスタマイズされたものも含めて、エンジンやコクピットの大抵の部品を識別することができるようになっていた。彼女がアナキン・スカイウォーカーのカスタム・レーサーに懐疑的だったのもそのためである。彼女はアナキンの機械工としての技術を認識していなかったのだ。
あるいは、それは少なくとも理由の1つだったと言えるだろう。メリーのアナキンに対する侮辱は、彼女がこの才能ある少年に漠然とした片思いを抱いているかもしれないという、深い感情への口実だったのだ。アナキンが出場するブーンタ・イヴ・クラシックの当日、メリーはシークからこっそり離れると、アナキンがどんな活躍をするかを見るため、大勢の観衆に紛れ込んでいた。そして彼が1位でゴール・ラインを通過したとき、彼女は意気を上げたのだった。
レースの終了後、メリーはさっそくアナキンの家へ向かったが、彼が背の高い謎めいた外界人と共に故郷を去ったと聞き、愕然とする。アナキンと一緒に暮らすという夢も消失し、失望した彼女はシークのもとへと戻ったのだった。しかしその直後、アナキンの奇跡的勝利が証明されるにつれ、彼女はやる気を取り戻し、夢はきっと実現すると考えるようになった。だが、シークの考えるところは正反対だった。アナキンは奴隷生活から解放されたため、二度と奴隷居住地区に戻ってくる可能性はないのだ。
メリーはアナキンがしばしば言っていたことを思い出し、彼がいつか自分たちを解放するために戻ってきてくれることを願っていた。そしてガーデュラの死後、彼女は再び主人を変え、ブリン・ウーラリィという商人の下で機械整備を行うようになった。彼女は奴隷居住地区で暮らし続け、その後も何年にもわたってアナキンの母、シミを訪ねていた。親切なシミと彼女のプロトコル・ドロイドが、メリーに読み書きを教えてくれていたのである。
やがてウーラリィがより儲かる市場を求めてモス・エスパからモス・アイズリーへと移住すると、メリーはシミと会う機会を失ってしまった。だが、幸運にもこの商人はビジネスで確実な富を築き、メリーを自由にしてくれたのである。彼女はその後もウーラリィのところで賃金をもらいながら働き続け、壊れかけのランドスピーダーで配達のために小さな集落を飛び回っていた。そして何年も経った後、彼女はふとしたことから、幼年期に抱いた希望を呼び起こす名前を耳にした。アンカーヘッドのトシ・ステーションへの配達中に、彼女はルーク・スカイウォーカーという名前を聞き、その名前について尋ねたのだった。メリーはついにアナキンの足取りを突き止めたと思ったが、その後発見したものは無残に焼け焦げた水分農場の跡地だけだった。外界で起きていることをまったく知らなかった彼女には、ルークという人物が何者なのかも、さらには彼が自分の旧友とどのような関係にあるのかも、知る術はなかったのだ。