カール
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解説
あるデヴァロニアンのペテン師が、カールという妙な名前を持つシキタリの昆虫種族をラタータックの闘技試合に送り込んできた。シキタリは未知領域にある草木の生い茂った同名のジャングル惑星で発見された、珍しい準知覚生物である。彼らの存在を知る者はごく少数しかおらず、彼らの持つ特異な生理機能に精通している者となるとさらに少ない。このシキタリの多段式ライフサイクルは、ペテン師の計画にうってつけの存在だったのである。
シキタリは集合卵の中から生まれるが、それらは肉食獣を避けるため、毒を持った保護ジェルの中に収容されている。そして孵化するとき、成長中の蛹が互いに溶け合って1つの生命体へと融合するのだ。個々のシキタリは目、口、他の感覚器官など、特定の部位になるべく成長していく。こうしてシキタリの蛹は保護者の姿に似た体へと発展し、例えばヒューマノイドに育てられた場合は、それと同様の形態学に適応するようになるのだ。
カールは闘技場での戦いに完璧に適応した蛹の集合体だった。しかし、この段階は彼のライフサイクルの中でも極めて短く、2標準日しか続かないのだ。デヴァロニアンのペテン師はポケットに大金をしまい込み、この2日間、彼にしか分からない笑みを浮かべていた。硬くなった蛹たちが羽化すれば、買主は何の害もない12匹の蝶たちのオーナーになるのだ。