ギャンド
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ギャンドは、同名の惑星に原住する小柄なヒューマノイドである。彼らの手には3本の指が生えており、皮膚は昆虫のような固い外骨格で覆われている。ギャンドには少なくとも12種ほどの亜種の存在が確認されているが、その生態には生物学者を悩ませる謎が数多く残されている。彼らの最大の特徴は再生能力である。ギャンドは手足を失っても驚異的な再生能力によって肉体を修復することができるのだ。
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生態と外見
惑星ギャンドは巨大なガス状のアンモニアの雲で覆われた霧の惑星である。ギャンドの社会はこのベールのような霧によって分割された小規模なコロニーの集合体であり、政府は何世紀も昔に設立された全体君主制を存続させていた。
アンモニアの大気はこの惑星を大抵のヒューマノイドにとって居住不可能な惑星としているが、ギャンドの代謝機能は人間たちと大きく異なっている。大多数のギャンドはまったく呼吸を必要としない。彼らは物を食べることによって体内でガスを生産し、強靭な外骨格を通じて廃棄ガスを放出する。しかし、なかには呼吸をするギャンドもおり、彼らは大気中からアンモニアだけを取り込んでいる。そのため惑星の外に出るときには、彼らは呼吸装置の付いた特殊なスーツを着用し、絶えず成分量が調整されたガスの供給を受け続けなければならない。このようなギャンドが無呼吸種の後天的な変異個体なのか、あるいは単なる亜種なのかは、科学者の間でも議論が別れている。そして、ギャンドたちにも自分たちに関する情報を公開する準備ができていないため、近い将来に新しい情報が出てくることはあり得ないのだ。
大抵のギャンドは通常の活動を維持するために最低限の睡眠時間しか必要としない。これはすべてのギャンドの亜種に共通する特徴であり、科学者たちはこれを生態よりもむしろ文化に起因した性質であると信じている。
文化
惑星ギャンドの代表的な輸出品は捜索師の技能である。捜索師とは、神秘的な儀式から導かれる直感を駆使して獲物を追跡する宗教的なハンターのことをいう。多くの外界人は捜索師の儀式による力を否定するが、偶然それを目にした傍観者たちがその正確さに驚いているのも事実である。捜索師にはいくつかの宗派が存在するが、なかには弟子に化学薬浴や遺伝子操作を命じ、キチン質の外骨格に拳大の腫瘍を作らせている宗派もある。彼らはこの4、5センチの腫瘍を格闘時の武器として使っているのだ。ギャンドの捜索師は銀河系の至るところで見ることができ、主に警備顧問、ボディガード、賞金稼ぎ、調査官、殺し屋などを行っている。
ギャンドは多くの外界人から最も謙虚な種族だと思われている。なぜなら、ギャンドの慣習では常に相手個人を尊重しなければならないのだ。そのため、彼らは口調が柔らかく、丁寧である。ギャンドはまず自分を3人称で表現し、その後、自分がどのような立場にあるかに応じて名を名乗るか、名乗らないかを決める。第一段階の地位に達したばかりのギャンドは、自分のことをただ単に「ギャンド」とだけ名乗り、故郷もしくは惑星外で大きな成功を収めると、家名を名乗ることが許されるようになる。そして、最終的に何らかの技能を極めるか、あるいは大いなる賞賛や評価に値する行為を達成した場合のみ、自分の名前を名乗ることができるようになるのだ。
ギャンドが1人称を使うことは稀であり、「私」のような1人称代名詞を発言することができるのは、最も偉大な英雄的業績を残すか、あるいは極めて困難な任務を達成した者だけである。このことは、偉大な人物であれば誰もが名前を知っているはずだという仮定に基づいている。
ギャンドは間違ったことをしていることに気づくと、自分がこれまでの人生で達成した業績が減ると考えている。そうなると、彼らは懺悔の証として「名前の縮小」を行う。例えば、それまで家名を名乗る権利を得ていたギャンドの場合、「ギャンド」を使用する立場に戻ってしまうのだ。また、極稀なケースとして、実際に社会から完全に追放されてしまうような重大な犯罪を犯したギャンドの例もある。この場合、彼らは文化を放棄しなければならず、文化も彼らを見捨てることになる。その後、彼らは自分の好きなように名乗ることができるのだ。
惑星ギャンドでギャンド以外の種族を見かけることは稀であり、いたとしても決して歓迎されることはない。通常、外界人が軌道上の宇宙ステーションよりも内側に入ることはあり得ないのだ。仮に地上へ降りることが許されたとしても、彼らは宇宙港の中心にあるエイリアン居住区と呼ばれる場所に留まらなければならない。文化に溶け込むことを許された極僅かな外界人は、偉大なジャンウィンや、ギャンドを統治するルエトサヴィと呼ばれる議会の後援を受けた者に限られる。一般階級のギャンドたちはヒンウィンと呼ばれており、後援を受けていればギャンド以外の種族でもヒンウィンの社会に受け入れられる。ヒンウィンにインタビューを試みた科学者たちもいたが、いずれも失敗に終わったという。