グリズ・フリックス
(フリックス中尉から転送)
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グリズ・フリックスは、ルーク・スカイウォーカーやキーヤン・ファーランダーと同様に、人々を初期の反乱同盟軍への参加に駆り立てた情熱的理想主義を持つ若きパイロットたちの1人である。しかし、同盟軍の英雄たちの活躍によって自由な銀河系という夢が現実味を帯びてきた一方で、フリックスは初期の帝国軍への奮闘における、辛く悲しい物語の象徴的存在でもあった。
解説
グリズ・フリックスは惑星デヴァロンの貧民街の外れで生まれたが、そこでは外界からの移住者が少なく、原住するデヴァロニアンが多数を占めていた。人間であるために原住民たちから見下され、さらにはエイリアンに混じって暮らしていたために外界人たちからも見下されていた彼は、より寛大で包括的な社会を望んでいた。しかし、それは帝国の支配下では考えられないことである。彼にとって唯一の現実逃避は古めかしいエアスピーダーを操縦することであり、そうすることによって、彼は本質的に異なる住人たちが単一のぼんやりとした状態にまで融合して見える高さへと到達することができたのだ。
モン・モスマによる「理性への呼びかけ」や「反乱の宣言」の密造コピーに感化されたフリックスは、サラスタンの新兵募集担当者に広大な宇宙港の1つから天性の操縦能力を見せつけ、パイロットとして反乱同盟軍に参加することになった。彼は経験と強い情熱によって、モン・カラマリ・スター・クルーザー<インディペンデンス>上で訓練を積み始めた。さらにはあふれる才能から、このまま技術が成長し続ければ、ローグ中隊のメンバーとして抜擢されることも確実視されていたのだった。
しかし不運なことに、フリックスはガーラードV上空における訓練の最中、他の戦闘機との悲惨な衝突事故に巻き込まれ、キャリアを失速させてしまった。彼は猛烈な反対を訴えたが、同盟軍上層部はグリズを実働戦闘機中隊に復帰させることはできないと考えていた。大規模なバクタ治療によって肉体こそ修復されたものの、彼が暗黒の呪縛の間に被った心の傷跡は、決して癒されることがなかったのだ。
戦闘機パイロットの実働者リストから外されたフリックスは、レイア姫の救出やデス・スター上空での戦いなど、他の腕利きパイロットたちの武勇伝を苦々しい思いで聞かされていた。彼は同盟軍補給部隊に配属させられ、同盟軍の安全な惑星へ肥料や難民用物資を運ぶ輸送船の護衛を行っていたのだ。やがて、若き理想主義者はこわばった表情に皮肉な笑みを浮かべ、姿を消すことになる。
だが、反乱軍の戦いがエンドアでの最終局面を迎えると、同盟軍はパイロットを切望するようになった。未だ粗野な才能を持っていたグリズは、デヴァロンから呼び戻され、再びXウィングの操縦桿を握ることになる。エンドアの戦いに先立ち、艦隊で再演習を行っていた彼は、特に年下の威勢のいいパイロットからアドバイスを求められたときに、かつての熱狂を取り戻したのだった。
しかし、グリズの幸福も長くは続かなかった。彼は戦いの最中にスター・デストロイヤーに対する大胆な攻撃を仕掛けたが、彼の戦闘機はこのときの爆発に飲み込まれ、エンドアの上空に散ったのである。