ラナット
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ラナットは、決して詩人でも哲学者でも科学者でもないが、確実に狡猾な敵対者を作っている。他の知的種族は齧歯類に似た風貌から彼らを「ラナット」と呼ぶが、彼らはその名を無条件に拒否しており、自分たちの言葉で「征服者」の意味を持つコン・クィーコンと名乗っている。
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生態と外観
ラナットは小さな準知的生物ではあるが、知的生物の一角を担うほどに強力な害獣である。その筋骨逞しい肉体は細く引き締まっており、ウロコ状の尻尾以外は薄汚れた黄色から錆茶色の毛皮に覆われている。淡黄色の鼻には長く黒い髭が生えており、小さな丸い目は黒く、頭頂部には毛の生えていないピンク色の耳が立っている。
ラナットの腕と脚は短いが筋肉質で、手足には器用な爪が生えている。しかし、彼らの最大の特徴はその門歯である。ラナットの下唇の裏からは、あたかも1対のセイバーのような2本の黄茶色の歯石に覆われた歯が伸びているのだ。
他の知的種族は高度な精神的プロセスを発展させることによって洗練された感情を抱くことができる。だが、ラナットはそうしたプロセスを発展させていないため、彼らの性格を他の多くの種族の性格と同じ言葉で判断するのは不公平である。実際、ラナットの執着心はただ1つ、食糧のみに向けられている。彼らは戦争や社会的貢献などの他の活動にも重要性を見出しているが、それは食糧の入手に反映される限りの重要性でしかないのだ。
ラナットは3標準年に相当する歳で大人になり、利口であれば20標準年の歳まで生き延びることがある。彼らはほとんど何でも食べるが特に肉を好み、なかでも大好物はローバの肉である。ローバは巨大な牙を生やした豚に似た稀少動物であり、ラナットは5人以上のグループでローバの狩猟を行っている。恐れを知らない彼らは一旦獲物を見つけるとそれを取り囲み、噛み付いては逃げるという攻撃を繰り返す。各襲撃者は素早く肉片を噛み千切り、ローバの恐ろしい鋭利な牙を回避するために退却する。ついには体重900キロの猛獣も倒れ、戦士たちは満腹になるまで食べ尽くし、残骸は街の貯蔵庫へと運ばれていく。
ラナットの持つこのような肉への渇望、特に哺乳類の肉に対する執着心は、アラリアの動物相に深刻な被害をもたらした。同様にこの事実はラナットの部族間での争いの大きな原因にもなっている。死闘によって疲弊した狩猟隊は、別の部族のラナットたちにとって格好の標的となり得るのだ。彼らには降伏という概念が存在せず、逃げるか、死ぬまで戦うかのどちらかしかない。そして襲撃者、防御者など抗争を生き延びて街に生還したラナットは、「名誉」を奪還するために復讐部隊を組織することになる。この復讐部隊はすべてのラナットが楽しむ祝祭である。実際に復讐に赴くのは街のメンバーから選ばれた数人に過ぎないが、全員がその準備を手伝うことになる。
歴史
ラナットの出身惑星はアンドロン星系に属する小さな亜熱帯惑星アラリアである。彼らの実際の起源はライダー星系の第2惑星ライダーIIにあるが、数世紀前にライダーのヒューマノイドは自分たちの子供を食糧として誘拐しているラナットの習性を強く非難し、彼らを害獣と見なして排除を試みたのだった。現在アラリアに生息しているラナットは、そのときの種族の絶滅を辛うじて生き延びた3人のラナットの末裔たちである。
この3人(男2人、女1人)はライダーIIに停泊していたスパイス密輸船に侵入した。ラナットの伝説によると、この船は3人の密航者が乗員を食べ尽くした後、アラリアに墜落したという。アラリアに着いた3人の「英雄」は、岩の多い海岸や、ジャングルの山岳地帯、草の多い内陸部など、様々な地形を発見した。彼らは海岸に近いジャングルを好み、数が増えるにしたがって居住範囲は山岳地帯へと広がっていったが、現在でも大半のラナットがこの地に生息している。そして、現在では多くのラナットが定期的な雪埃を受ける高地にも住んでいる。
かつてのラナットの部族はすべてが互いに敵意を抱き、協力的ではなかったが、銀河帝国の時代になると彼らの社会も変わっていった。ヤヴィンの戦いの2標準年前、銀河旅行者のための惑星遊園地の建設に着手していた企業家の一団がアラリアを発見し、その「無人」の惑星を理想的な建設地であると考えた。企業家たちはセクター当局との間で適切な契約を結び、迅速にアラリア計画を進行させたのである。
しかし建設業者が作業を開始すると、1つの問題が浮上した。邪魔なトンネルを掘っている大きな齧歯類型生物の存在である。建設業者は「害虫駆除業者」を雇ったが、驚いたことにこの生物たちは軍隊を組織して反撃に転じ、駆除業者を皆殺しにしてしまったのだ。このニュースは急速に広がり、ラナットたち以上に厄介な法的問題を引き起こした。帝国法では知的種族はそれが好ましくないという根拠を示さずに絶滅させてはならないとしており、ラナットを絶滅させる公式な許可の取得は極めて難しかったのである。
環境保護論者をなだめ、上級官庁による視察を回避するため、セクター政府はラナットを準知的種族であると宣言した。これは彼らがいかなる権利も有しておらず、したがって自己防衛のために殺戮しても構わないということを意味していた。こうして闘争は続けられたのである。戦争におけるラナットの技術は新しいセクター法、特にアラリアではラナットを武装させてはならないという法を制定させた。しかし、セクター政府は軍隊、もしくは武装した大規模なグループをアラリアへ派遣することも禁止した。政府は豊かな惑星を破壊する行為は望まないが、純粋に「準知的種族」による支配から環境を保護することは希望すると主張したのだ。
社会と文化
ラナットは門歯で土や岩を掘り起こし、地下に住居を造っている。この作業は歯を磨耗させるが、彼らの門歯は1標準時間に1センチの割合で成長するため、急速に再成長を遂げるのだ(ものを齧ることによってラナットの顎の中では成長ホルモンの分泌腺が刺激され、歯の成長が促される。そして、歯が成長すると再びそれを磨耗させるためにものを齧る必要が生じ、口の中で歯が大きくなりすぎるのを防いでいる。この悪循環は彼らの絶え間なくもの齧る習性を旨く説明している)。
ラナットの各部族はおよそ100人で構成され、自分たちの街を形成して守っている。多階層の地下迷宮と化した街は3平方キロメートルの広さを誇り、トンネルの全長は50キロメートルを超える。部族は安全策としていくつかの出口を設けており、これらは木の葉や雑木林で隠されている。居住空間には広大な寝床、託児所、会食所があり、他には貯蔵室やゴミ捨て場なども用意されている。
複雑なトンネル網は部屋同士を連結するだけでなく、防衛にも活かされている。その街の住民は迷宮を熟知しているが、侵入者は道に迷い、容易に「行き止まり」へと誘導されてしまう。そこでは住民たちが侵入者に対して死ぬまで石を投げつけ、ついには餌食にしてしまうのだ。
ラナットには特定の配偶者や子供と一緒に暮らす習慣がない。女性は少なくとも年に2回の「盛り」を迎え、その間、可能な限り多くの男性と繁殖を行う。彼女はおよそ120標準日後に3人から5人の子供を産み、直ちに託児所へ運び込む。そこでは母親たちが交代で街のすべての子供たちに最低限の世話、すなわち餌付けを行っている。この方法によって、女性たちは地上で狩りや戦いを行う時間を最大限に確保できるのだ。もし母親が死んでも、その子供が悲しむことはない。なぜなら、彼らは数多くの子守女のなかの誰が自分の母親なのかを知らないのだ。
子供たちは手足がしっかり成長するとすぐに地下都市の上に広がる惑星の探索を開始し、託児所には常に新生児だけが残される。思春期のラナットは互いを押し退けたり、蹴ったり、叩いたりしながら遊んでいるが、大人が干渉することは滅多になく、若いラナットが死亡することも珍しくはない。しかし、思春期に達するまでは危険な門歯が生えてくることもないため、噛み付きが致命的な結果をもたらすことは稀である。こうした死亡事故や、少数の短気な子守女によってラナットの人口が減少することはない。
テクノロジー
ラナットは自分たち自身のテクノロジーを一切生み出さず、銀河系の他のテクノロジーもほとんど使用していない(だが、彼らは安っぽい「光り物」に興味深い愛着を示し、伝統的衣装の一部を誇らしげに装飾している)。しかし、極僅かなラナットは彼らの惑星で賞金稼ぎや雇われの殺し屋から手にしたエイリアンのテクノロジーの使い方を学び、極めて危険な存在となっている。
銀河系におけるラナット
銀河系でラナットを見かけることは稀だが、帝国軍や少数の個人警備会社はある種の軍事的才能を求めてラナットの利用の可能性を実験していた。銀河を旅しているラナットはこのようなテクノロジーの使い方を学んだ例外的存在であり、故郷の外でそれを実践しているのだ。