ムスタファー・ラーヴァ・フリー
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ムスタファー・ラーヴァ・フリーは、体高4メートルほどの大型節足動物であり、原住種族のムスタファーリアンたちがよく乗用に使っていた。この生物の正式名称はムスタファーリアン以外の人々には発音できない。
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特徴
銀河系における生命の頑強さには目を見張るものがある。その証拠に、ムスタファーのような居住に適さない惑星にも、その厳しい環境によく適応した多くの生命体が存在しているのだ。ムスタファー・ラーヴァ・フリー(溶岩ノミ)という非常に簡単かついい加減な名称は、ムスタファーリアンに固有の言語が多くのヒューマノイドにとってまったく発音できない言葉であるため、外界の人々によって付けられたものである。このような生物がムスタファーリアンのために惑星を開拓したと推測できる人々はほとんどいないだろう。
知的種族のムスタファーリアンと同様に、ラーヴァ・フリーは地下で発達し、地質学上休眠状態にある火山の涼しい空洞の中で生活している。彼らの一生はイモ虫のような幼生期から始まり、その姿は水晶のような外骨格を持つ採掘機に似ている。体長0.5メートルほどの幼生は、身をよじって這い進みながら洞窟の内壁にある鉱物の豊富な岩を摂取し、酸性の酵素を使ってそれらを必要な栄養素へと分解する。そして1年もすると、彼らはおよそ1メートルにまで成長し、硬い水晶の殻に篭って蛹化すると、およそ1ヶ月後に6本脚のフリーとなって姿を現すのだ。
若いラーヴァ・フリーは最初は全高1メートルほどだが、柔らかい岩を摂取し、強固な管を通じて冷えた溶岩から直接栄養素を取得することができる。そして、彼らは成長に応じて保護殻を破り、脱皮を行っている。北に住む原住民のムスタファーリアンは、隔離された洞窟から実験的な最初の第一歩を踏み出したとき、フリーたちが脱ぎ捨てた殻を外装として利用していた。彼らはこの殻によって外部から絶縁かつ保護され、地表を探索することができたのである。極めて可動性の高い動物を飼いならすことによって、ムスタファーリアンは次々と自分たちの領域を拡張していったのだった。
巨大な風貌に反して、ラーヴァ・フリーは機敏である。彼らはゆっくりと流れる溶岩流の冷えた表層の上を歩けるほど軽量であり、さらに、強靭な脚力によって1回の跳躍で30メートル飛び上がることができるため、流れの速い溶岩流でもまったく苦にしないのだ。
歴史
テクノ・ユニオンおよび銀河帝国の好意によって、ムスタファーにも近代テクノロジーがもたらされたが、概してムスタファーリアンは外界人によって提供された機械的なリパルサーリフトによる運搬手段を好まなかった。彼らはラーヴァ・フリーが自分たちを目的地に運んでくれると信じており、事実、多くの機械がムスタファーで壊れていく姿を目の当たりにしていたのである。彼らはそれがいつか必ず致命的な結果をもたらすだろうと考えており、その推論は堅実なものだった。
ラーヴァ・フリーを惑星外に広めようという試みも行われていたが、これまでの成功例はごくわずかしかない。フリーが成長するのに必要となる特殊な鉱物を複製、あるいは惑星外に持ち出すためには莫大なコストがかかり、これらの鉱物を新陳代謝させる生物学的プロセスも、それらを価値のないものにしてしまうばかりか、再利用しようという試みさえままならなくしてしまったのだ。一方で、犯罪王や無法なセクターからは、幼生の採掘器官を取引していたという報告もある。彼らは強酸で満たされたフリーの幼生を、拷問やおぞましい死体処理に利用していたのである。