全地形用装甲歩行兵器
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全地形用装甲歩行兵器(AT-AT)は、銀河帝国の地上軍の主力兵器の1つである。このウォーカーは帝国地上軍で最も強力な装甲地上戦車だが、歩行速度が比較的低速であることでも知られていた。
特徴
地上用兵器および兵員輸送艇として製造されたAT-ATは、地上における戦闘に非常に適した兵器である。全高15.5メートルにもおよぶその巨体は操縦士、砲手、司令官を乗せ、4本の長い脚によってあらゆる地形上を素早く移動することができる。AT-ATの車体は4重のデュラスチール製強化装甲に覆われており、操縦デッキは前方の頭部に格納されている。顎部に搭載された伝説上の怪物の牙を思わせるレーザー・キャノンは、地上でこれらのウォーカーと遭遇した者にAT-ATを巨大な闘獣と思わせることがあるという。しかし、これもAT-ATの設計者が敵に対する恐怖心を煽るために敢えて行ったことなのだ。
AT-ATの製造には多くの企業が協同して携わっていたが、その設計段階から特に大きく貢献したのはクワット・ドライブ・ヤード社であり、実際の製造はクワット、カリダ、ベルデロンなどの重兵器製造工場で行われていた。クローン大戦時の銀河共和国はあらゆる惑星で同じように利用できる戦闘車両を望んでおり、惑星磁場の影響などを考慮して、AT-PTのようなリパルサーリフトを一切使用しない原始的なものを想定していた。KDY社の設計士や開発者たちは、共和国が考案した初期の設計草案から後の帝国で使用される全地域用兵器を造り上げることに成功したのである。
AT-ATは多種多様な地形において展開させることができ、重力や気候、地盤などの変化による影響もほとんど受けない。深い草原や山岳地帯、崖、さらには垂直に近い傾斜でも8メートルほどなら簡単に歩行が可能である。もっとも沼沢地やジャングルなどでは速度低下が避けられないが、このような環境にはより効果的な小型ウォーカーが用意されていた。また、AT-ATはコクピットが高い位置にあることから操縦員の視界も良好であり、遠方の小さな建造物や低く広がる施設なども容易に標的とすることができるため、非常に効果的な攻撃が可能である。さらに、その重装甲による防御力も凄まじく、かなりの猛攻を受けても横転したり破壊されたりすることはない。厚い装甲板はヘヴィ・ブラスターによる攻撃もほとんど無力になるまで吸収してしまい、接近攻撃によるダメージが内部に浸透するようなこともあり得ないのだ。
小さく混み合った頭部には操縦要員が乗り込んでいるが、AT-ATの主な搭載兵器もこの区画に収容されており、砲手もトランスパリスチールで頑丈に造られた視覚窓を通じて標的を多角的に見据えることができるようになっている。また、この頭部は上下に30°まで動かすこともでき、左右にも90°回転させることが可能である。AT-ATの搭載兵器は顎の下部に設置された2基のヘヴィ・レーザー・キャノンと両側頭部に1基ずつ取り付けられたミディアム・ブラスター・キャノンによって構成されており、それぞれが独立して別の標的を捉えることが可能である。他にも操縦区画には電子射程ファインダー、照準コンピューター、センサー・アレイ、ホログラム投影機などが配備されており、360°に設置されたコンピューター設備によって必要なときにいつでも利用することができる。頭部と胴体部にある乗員区画とは伸縮可能でやや装甲の弱い首部の通路で連結されているが、AT-ATはこの唯一の弱点を集中的に攻撃されることが多いため、定期的な修理や交換が必要とされていた。
AT-ATの胴体には、1台当たり5機のスピーダー・バイクと40人のストームトルーパーが乗り込んでおり、彼らは常に完全装備で戦闘準備を行っていた。彼らを地上に降ろすとき、AT-ATは脚をたたんでかがみ込み、地上から3メートルの高さにまで乗員区画を下げて車体後部から降下用の傾斜路を降ろす。さらに、帝国軍基地のプラットフォームでは側面に設置されたハッチを使うこともあった。また、兵員の代わりに2機のAT-STを搭載させることも可能である。
通常、地上攻撃において前線に展開されるAT-ATは軌道上のスター・デストロイヤーから発進した専用大型シャトルや降下船によって戦場に降ろされるか、または帝国軍の駐留基地から直接出動する。一般にウォーカーはその大きさと足音や露骨な攻撃方法から、遠距離にいても敵の防衛部隊にすぐに発見されてしまい、完全な奇襲攻撃は苦手である。しかし、その行く手を遮るものは金属製の巨大な脚で簡単に踏み潰されてしまい、しかも2系統の大型駆動装置を搭載しているためその四脚歩行速度は見かけ以上に素早く、遠くに見えている時間もほんの一瞬でしかない。
AT-ATは前線攻撃におけるまさしく無敵の兵器である。しかし、慎重に防衛部隊を準備し、武器系統と首の部分に集中攻撃を行えば勝利の可能性もわずかに残されている。