カル・ヌカイ
(ゴールドアイから転送)
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解説
アルコーナの本来の出身惑星であるコーナで生まれたカル・ヌカイは、気がつくとモス・アイズリーの酒場に入り浸り、他の放浪者たちと自分の不幸を共有していた。常連客たちからゴールドアイと呼ばれていた彼は、人間の標準でいうと16歳という、彼の種族としても若い世代の一員だが、既に一生分の苦痛を経験していたのだ。
彼のグランド・ネストと隣接するもう1つのネストとの間で争われた、長期にわたる血なまぐさい水分戦争のさなか、カル・ヌカイの家族は我が家を捨てて放浪の旅に出ることを余儀なくされた。命を支える水さやを求めて、彼らはより安全な土地を探さなければならなかったのだ。ヌカイの父カル・ムポンは、同族間の戦争は種族にとっての共通の敵である干ばつとの戦いに割く時間を浪費するだけであり、無意味な努力でしかないと確信していた。だが、現実には道を誤った努力の結果に戦争の疲労が加わり、更なる渇きを招いただけだった。そのため、彼らは長年暮らしたネストを捨て、戦いに見舞われない安住の地を求めて旅立ったのである。
当時、まだ幼い子供だったカル・ヌカイは、無害な植物と有毒な植物との違いを理解しておらず、すべてを両親の判断に頼っていた。植物の防衛本能を試す役割は主として父が担当していたが、彼の幅広い経験をもってさえ、荒野で発見した未知の生態系には謎が多かった。この惑星には遊離水が極めて少なく、植物でさえ、それを守るために創造的かつ、ときには致命的な方法で戦っていた。ある種は、刺激を受けると無臭性の神経ガスを発散させたのだ。ヌカイがその恐ろしい植物の傍らで父の死体を発見したのは、彼が行方不明になってから1週間以上経った後のことだった。
水の蓄えもなく、新しい環境で生活する経験にも乏しいヌカイとその母は、ムポンを失ったことに絶望した。だが、ヌカイは近くに外界人たちによる鉱山植民地があることを聞き及び、輸入された水と引き換えに彼らのために働こうと決意した。彼らも荷物運びとしてヌカイを雇うことに同意し、その直後から、彼は一日中配達の仕事に取り込んだのだった。
彼が運んでいる荷物が、コーナで違法な麻薬とされている食塩を満載したものだったことが判明したのは、そのすぐ後のことだった。しかし、ヌカイは母の生活も背負っていたため、何も知らない振りを続けていた。だがすぐに、荷箱や植民地のオフィスで見つかった残留物が皮膚を通じて彼の体内へと浸透し、ヌカイを食塩の誘惑へと駆り立てた。こうして彼は自らすすんで食塩を求めるようになったのだ。
実物を目の前にした彼は、さらに多くの食塩を摂取し続け、同時に常用を否定し続けた。実際に、それが仕事や収入の妨げにならない限りは、特に問題にはならなかったのだ。しかし、ついに採鉱船がこれまでに蓄えた鉱物を持って帰還し、通貨と交換しなければならないときがきた。採鉱者たちは塩水に覆われた驚くべき故郷の話でヌカイを惑わせ、彼の心を駆り立てた。彼は母と短い議論を交わしたが、その内容はすべて、自分が故郷を離れることによる利益を捏造し、強調したものでしかなかった。最終的に母はヌカイとの別れを望むことになる。
銀河系を横断する旅は長く、取引きのための一時停止や途中下車も多かった。ヌカイが母の死の知らせを受けたのは、タトゥイーンで停泊中のことである。最愛の母を失った悲しみから無気力状態となった彼は、船からモス・アイズリーの酒場へと突き動かされ、4日間ほぼ連続で通い詰めていた。植民船の乗員たちは、次の停泊地もあると主張し、力づくでヌカイを船に連れ戻そうとしたが、彼はもはや動ける状態ではなかった。彼はその場から動くこともできず、コーナに帰るつもりもまったくなかったのだ。こうして、船は仕方なく2週間分の食料だけを残し、彼をタトゥイーンに置き去りにして出発したのである。
それ以後、ヌカイは本能的に得意とする労働、すなわち水分農業に従事することを強いられた。アルコーナ特有の熱感知器官と多波長視力によって、彼は多くの農夫たちよりも容易に地下水源を探し出すことができた。だが、彼の目的は成功することではなく、生き残ることだった。彼が手にしたわずかな余剰金は、加工岩塩へと消えていったのである。