アビシン
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アビシンは、乾燥した砂漠の惑星ビィス出身の遊牧種族である。身長およそ2メートルの不恰好な体から長い四肢を生やしたアビシンは、黄褐色の顔面に大きな1つの目を持っている。彼らはしばしば原始的で暴力的な人々だと言われており、けちな悪党として働いていることが多い。
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生態と外見
アビシンは長い手足、細い筋肉質の身体、浅黒い日焼けした顔という特徴を持つヒューマノイドである。上下の顎はわずかに突き出ており、口は漠然とした円形をしている。歯は大きく、その白さは顔の中で一際目立っている。彼らは雑食であり、外見上最も顕著な特徴は額の中央にある細長い瞳を持った1つの目である。
アウター・リムの惑星ビィスに原住する他の動物と同様に、アビシンはこの惑星に様々な方法で適応しなければならなかった。そのなかで彼らが身に付けた最も興味深い能力は、自己再生能力である。アビシンは肉体的な損傷を受けても、死なない限りは急速に傷を回復させることができるのだ。回復に必要となる時間は傷の程度にもよるが、軽傷であれば数分、手足を完全に失った場合でも数日で蘇生してしまう。この素早い再生能力は傷を負った場合でも体内の貴重な水分を失わないように適応したものだと考えられており、砂漠地帯での有益な特性となっている。
アビシンの再生能力は細胞の成長率と交換率の高さによるものである。彼らの肉体は絶えず自分自身を消費しており、次々と新しい細胞が作られている。その結果、アビシンの体内では各細胞が80標準時間以内に新しいものと交換されるのだ。古い細胞は消化器系でリサイクルされ、原材料として新しい細胞の形成に使用されている。
アビシンの持つもう1つの興味深い特徴は、他の同じ大きさの生物と比べて体内器官の大きさが小さいことと、余計な器官を持っていないことである。アビシンは目、肺、腎臓などを1つずつしか持っていない。確かに各器官が1つでも、傷つけば再生能力によって急速に修復されるので構わないというのは事実である。しかし、これには2重化された器官で水を無駄にせず、水分を大切に使えるようにするための進化の手法という意味もあるのだ。
一般に、アビシンは1つしか器官を持たなくても、2つずつの器官を持つ種族と同じように働くことができる。例えばその目には2つのレンズと2重の焦点面があり、物体間の相対距離を掴むこともできる。しかし、こうした補正があっても、本当に2つの目を持った大抵の種族と比べた場合、認識力の点でやや劣るのは事実である。
社会と文化
遊牧民族であるアビシンの社会において最も顕著な特徴の1つは、かなりの割合で暴力が容認されることである。暴力が容認され、ときには奨励されるという事実は、アビシンの持つ自己再生能力によってもたらされる直接的な結果であると言える。かなりの深手を負っても数日で完治してしまうため、暴力による肉体的な損傷はアビシンにとってどうでもいいことなのだ。
アビシンの哲学における基本的信条は、宇宙が基本的に普遍であるということである。彼らは起こり得る現象に関係なく、最終的にはあらゆるものが適切な状態に戻るであろうと考えている。結果として、彼らは変化を扇動こそしないが、それを受け入れることに関しては寛容である。なぜなら、彼らは変化が永続するとは思ってもいないのだ。
アビシンの出身惑星であるビィスは、ビィスとアビスの2連星系に属する惑星であり、乾燥してはいるが、所々に肥沃な土地も存在している。惑星ビィスは2つの太陽の間を特殊な8字型の軌道を描いて回っており、それぞれの太陽との距離はビィスが巨大な引力によって破壊されてしまわないほどに離れている。ビィスが2つの太陽に挟まれた位置にくると、アビシンたちはこのときを「バーニング」と呼ぶ。バーニングのときには夜が訪れず、天気は不安定になり、耐えがたいほどに暑くなる。
アビシンの住むビィスは、パルパティーン皇帝が個人的に所有していた休息地と噂される惑星とは別物であり、銀河系の全く異なる場所にある乾燥した灼熱の砂漠惑星である。ビィスに存在する植物の多くは地中深くにある水分を吸収するために、大きな主根を発達させている。事実、これらの植物にとっては「バーニング」が有益に働いており、2つの太陽から発せられる激しい陽光を受け、急速かつ自由な成長を遂げている。
ビィスの動物にとっての主要な水源は、砂漠全体に散在する自噴泉である。もちろんこうしたオアシスを巡る縄張り争いは非常に激しいため、大部分の動物たちは保管用のこぶや脂肪分を閉じ込める液体層などの洗練された水分保持機能を発達させている。そのため、彼らは頻繁にオアシスを訪れたり、水を巡って争ったりすることなしに、長期間生き延びることができるのである。
ビィスの動物たちは厳しい自然環境に適応するため、さらにいくつかの特殊な能力を発展させている。彼らの多くはバーニングが訪れると一斉に冬眠を開始するが、なかには最初から一生を地中で過ごしている動物もおり、植物の根を掘ってそれを食糧や水源としている。他の多くの動物は、単純に苦しまずに体内水分量の激変に耐えられるようになっているだけである。
アビシンは30から40人の(ほぼ常に最も凶暴かつ利口な戦士にとって導かれた)部族単位でビィスの広大な砂漠を放浪し、あるオアシスから次のオアシスまで、ゴーント(肉、皮、ミルク、骨などを重宝する有益で愚鈍な生物)の群れと共に移動している。2つの部族がお互いに使いたいと思う泉で出会うと、「取引き」または「血闘」のどちらかが発生する。
通常、水や食糧が豊富にあれば、それぞれの部族長は取引きに同意し、ゴーント、武器、若い男女などが部族間で交換される。
だが、水や食糧が乏しい場合には、ほぼ常に血闘が繰り広げられる。血闘は通常、水を得る権利を巡って争われ、どちらかの部族の戦士が全滅するか、あるいは不能になるまで果てしなく続けられる(または追い払われるか、捕らえられた場合にも終結するが、それはアビシンにとって殺されたのと同等である)。そして、勝利した部族長は敗れた部族の生存者に対して好きなことを何でもすることができる。殺すことも、持ち物を奪うことも、釈放することも、自分の部族に組み入れることも、全て思うがままにできるのだ。最も多いケースでは、勇敢に戦った戦士が勝利した部族の一員として迎えられる。他者を自分の部族に加えなければ、部族長(女性も部族長になれるが、極めて少数である)は将来の血闘において自分たちに良い取引きや幸運を期待できないのだ。
しかし、血闘は部族間のみで起こり得るものではない。大抵のアビシンはどちらか一方が意識を失った時点で戦うのを止めるが、ときとして2人のアビシンがお互いに激しい敵意を抱くと、両者は個人間の血闘に合意したことになり、いずれか一方が死ぬまで戦い続ける。そして部族間の血闘と同様に、勝者が敗者の所有物を手に入れるのだ。
おそらくアビシンの一生において暴力に支配されていない唯一の一面は、求愛と結婚である。毎年2回、彼らはジャファイと呼ばれる婚姻競争を開催する。成人への通過儀礼を完了したばかりの女性が自由に走り回らされ、若い独身男性にはそれを追跡する許可が与えられるのだ。女性は最初に捕まえた男性のものとなり、両者は一生連れ添うことになる(しかし実際には、女性は概して男性より足が速く、彼女たちが走る速度は真後ろにいる男性への想いに影響されることが多い)。
アビシンの寿命は300標準年を超えるが、晩年になると再生能力も衰えてくる。通常、再生できなくなったアビシンは自発的に砂漠へ向かい、自殺するが、こうした慣習を頑なに拒否する老アビシンの例も実在する。こうした場合、老人は乱暴かつ儀式的に石を投げつけられ、身体が再生すれば部族に留まることを許される。だがそうでなければ、彼は部族から追放され、彼が荒地に向かう決心をつけるまで、あるいは死ぬまで、定期的に石を投げつけられることになる。
歴史
当初、アビシンたちは外界人を対立する部族と混同し、この惑星への初期の訪問者を大きく混乱させていた。アビシンと外界人が出会った自噴泉が部族長によって水が乏しいと判断された場所であれば、血闘が宣言され、水が豊富であれば取引きが宣言されていたのだ。しかし、ついにはアルコーナの貿易商(彼も砂漠環境における水の重要性については熟知していた)もアビシンの行動の背景にある理論や動機を理解し、水が豊かなオアシスのみに着陸するようになったのである。
しかし、こうした商人たちも、ビィスにはほとんど関心を抱かなかった。残念なことにビィスの主要な輸出品は奴隷であるが、植物学者たちは他の不毛な惑星のものより更に丈夫なビィス産の植物の移植に大きな関心を寄せていた。また、ゴーントの肉も限定的な人気を持つグルメ食材となった。
アビシンは植物を原材料とした原始的な道具を作っていたが、銀河系のテクノロジーを垣間見てもそれらにはほとんど関心を抱かず、何千年も続く今まで通りの生活をより好んでいる。
銀河系におけるアビシン
故郷を離れるアビシンはほとんどいない。したがって、ビィス以外の惑星で見られるアビシンは単純な肉体労働に従事する奴隷か、または元奴隷である。なかには傭兵や闘技場で戦う戦士として働いている者もいるが、より博学なアビシンはボディガードを選ぶことが多い(だが、この仕事は彼らの気性にはあわないことが多い)。
銀河社会へのアビシンの進出は、トラブル続きだった。彼らの暴力志向は無数の誤解を生じさせ、その多くは死を招くことになった。さらに、アビシンを個人的な血闘に駆り立てる最も確実な方法は、彼らをモノックと呼ぶことである。これは「単眼」の略語であり、社会的意識と気品が欠如した2つ目の生物がアビシンに付けた別称なのだ。
また、ビィスを離れたアビシンたちは同じ種族同士で集まることを好んでいる。その主な理由は、再生能力を持った生物同士でなければ攻撃本能を表現することができないと考えているからである。