グリ
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グリは、人間女性をほぼ完璧に再現したヒューマン・レプリカ・ドロイドである。彼女に与えられたただ1つの役割は暗殺者だった。彼女はプリンス・シーゾーにとって、ブラック・サンに最も忠実な愛すべき右腕、そしてボディガードだったのだ。実際にブラック・サンの存在を知る人々の多くも、彼女がシーゾーの代理として組織の表舞台で活躍するようになってからは、彼女をその首領だと思っていたほどである。
特徴
グリは青い瞳、長くしなやかな金髪、プロ・ダンサーを思わせる優雅な身体を持った美しい女性ドロイドである。声は冷ややかかつ滑らかであり、その美しさから彼女が恐怖の殺人兵器であることを想像できる者は1人もいないだろう。しかし、グリは彼女自身がまさしく武器であり、他の武器を持つ必要すらない。彼女は犯罪組織ブラック・サンの首領、プリンス・シーゾーの最強のボディガードであり、また、最高の協力者だったのだ。
グリは一切の感情やためらいを見せることなく、ただひたすらシーゾーの命令を実行に移していた。彼女の冷静さと鋼鉄の神経は訓練によるものではなく、高度な技術によって製造されたドロイドならではの特徴なのだ。
数少ないヒューマン・レプリカ・ドロイドの中で唯一殺人を専門としてプログラムされたグリは、おそらくシーゾーの所有していた最も高価な財産である。彼はこのドロイドを造るために900万クレジットという法外な金を費やすことになったが、シーゾーはその価値が十分にあったと感じていた。彼のように他人を信用しない男にとって、これほどまで完全な忠誠を手にする方法は他に存在しなかったのだ。
グリは呼吸を行い、体には血が流れており、人間と全く同じ行動をとることができた。合成骨格も人間を精巧に真似て造ってあり、バイオ樹脂製の主要な臓器に至っては大雑把なスキャナすら騙してしまうほどだった。また、彼女の完璧な平衡感覚を生み出す超小型ジャイロ装置も厳重にシールドされているため、スキャナーでは発見することができず、傷一つないクローン皮膚はあたかも10歳の少女のように映ってしまう。ただ、その強靭な筋肉だけは隠すことができなかったが、その細胞組織は他に全く例のない新しい種類のものであり、どんなスキャナーにも登録されていないのだ。全体的に見て彼女は完全な20代前半の女性であり、事実、その恐るべき能力を隠すように造られていたのである。
彼女の腕力と敏捷性、スピード、平衡感覚は、まさにグリを効果的な殺人マシンに仕立て上げていた。噂によれば、彼女の中枢となっている装置は高度に改良されたAA-1ヴァーボ=ブレーンであり、これは彼女に人間と同等の振る舞いを与えると同時に、シーゾーからの無数の命令を遵守する手助けにもなっていた。
グリは主な任務の1つとして主人を守ることをプログラムされていた。彼女はシーゾーの立てた計画に潜在する危険性、特にシーゾーの感情的な行動によって引き起こされる予想外の出来事を巧みに分析していたのだ。高度な防衛プログラムは、ときとして彼女にパラノイア気質を生じさせることもあるが、グリの防衛本能はそれがシーゾー自身に対する脅威であろうと、ブラック・サンそのものに対するものであろうと、全く関係なかった。彼女は常に暴力的手段で敵に立ち向かい、あたかも戦いによって成長しているかのようにさえ感じられたのである。
歴史
グリの生みの親であるアウトロー・テク、インゴイアンのシモネールのことはほとんど何も知られていない。天才医師であると同時にドロイド技術者でもあった彼は孤独を好み、ミノス星団に隠れた飛び地領で仕事を行っていた。だが、彼は偶然にも初期の反乱同盟軍が囮計画のために開発した新型ドロイドを入手することに成功した。この計画は、銀河帝国の高官を破壊活動や遅延工作をプログラムされたドロイドとすり替えることによって、帝国内部に混乱を招こうというものだった。しかし、どういうわけか設計図とプロトタイプがシモネールの手を通じてブラック・サンのものとなっていたのである。グリに先立って製造されたヒューマン・レプリカ・ドロイドはごく少数であり、その後に造られたものは1体もない。そして、シモネールはシーゾーから得た900万クレジットを元手にその後もドロイドの研究を続けていたが、グリの最初の獲物となってこの世を去ったのだった。
シーゾーは彼自身や組織を裏切った者を抹殺するため、グリを幾度となく任務に送り込んでいる。「バラーニ・リスト」、すなわちサイザー・ランで漏洩したブラック・サンの活動に関する詳細なリストを奪回したのもグリだった。また、このリストの流出に関わる陰謀を企てたヴィゴのグリーンを殺害したのもグリである。さらに、ライバルのオロロ輸送会社の幹部全員を殺害したのもグリだった。しかし、さすがの彼女もジェダイに勝つことはできなかった。彼女は友人の救出のためシーゾーの宮殿に潜入したルーク・スカイウォーカーと格闘を行い、初めての敗北を喫したのである。ルークはグリに再プログラミングと、彼女により相応しい仕事の提供を申し出るが、グリはそれを拒否し、シーゾーのもとへと戻ったのだった。
その直後、シーゾーは宿敵ダース・ヴェイダーの逆鱗に触れ、スカイフック<ファリーン・フィスト>ごと滅ぼされてしまう。しかし、グリは爆破を逃れていた。彼女はパラグライダーでシーゾーのスカイフックを脱出し、主人から与えられていた宇宙船<スティンガー>で逃走していたのである。
そしてエンドアの戦いのおよそ1ヵ月後、グリは再び姿を現した。その間もブラック・サンでは正当な後継者が決まっておらず、組織は内部抗争の真っ只中にあった。一方で、長く行方不明だったシーゾーの姪サヴァンが、グリの記憶の中にあるブラック・サンの重要な情報を求めて彼女の捜索を開始していた。サヴァンは賞金稼ぎのカー・ヤングを雇い、グリの追跡を開始したのだった。
グリは目的も宛てもなく銀河系を放浪していたが、やがて元帝国軍のドロイド技師マサド・スランブルを求めてハード・ムーンへと向かう。彼女は再プログラムを希望しており、そのためには彼が最も相応しい人物だったのである。スランブルはハード・ムーンで酒場のオーナーを営んでいた。彼はグリの要望に応じるが、そのためには医療ドロイドA-OICを取り戻す必要があった。このドロイドはグリの複雑な神経網を再構築できる唯一の外科医だったが、パイク姉妹によって盗み出され、マーニンカムのスピンダ・キャヴィールの手に渡っていたのである。
グリはマーニンカムの沼地を進み、獰猛な肉食獣と素手で戦いながらA-OICを捜索する。そして、彼女はついにキャヴィールの屋敷に忍び込み、パイク姉妹を倒して外科医ドロイドを取り戻したのだった。だが、彼女はハード・ムーンに戻る途中、カー・ヤングの追跡を受け、再プログラムに臨んでいたときにこの賞金稼ぎと対面する。彼女はこのとき素手でヤングの心臓を引き裂き、惨殺したのだった。これは彼女のプログラムがさせたことだが、彼女はもはやこのような行動をとりたくないと考えていた。そのため、スランブルとA-OICはグリの暗殺者プログラムを除去するという繊細な作業を開始する。一方で、サヴァンもハード・ムーンに到着していたのだった。
再プログラミングから目覚めたグリは、起動して以来はじめての微笑を経験する。彼女はスランブルとA-OICを覚えていたが、彼らが自分の思い出せない「悪い記憶」を消去したことを知っていた。その直後、サヴァンと彼女の傭兵たちがスランブルの研究所を襲撃する。敵と直面したグリは、彼らを撃退することができた。どこで学んだかは記憶にないが、彼女の戦闘能力は未だ健在だったのだ。
ついにグリと対面したサヴァンは、彼女を服従させることのできるパスコードを使用した。しかし何も起こらず、グリはサヴァンを気絶させる。こうして過去から解放されたグリはハード・ムーンに留まり、恐ろしい暗殺者ではなく、魅力的な若い女性としてスランブルの酒場で働くことになったのだった。