山岳地帯用装甲歩行兵器
(MT-ATから転送)
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山岳地帯用装甲歩行兵器(MT-AT)は、8本足のクモ型ウォーカーである。これらは惑星カリダの残存帝国軍の工場で製造されていた。
特徴
その外観からスパイダー・ウォーカーとも称されるMT-ATは、惑星カリダの帝国アカデミーでテストされ、製造された帝国軍の後期型ウォーカーである。開発当時、カリダのファーガン大使はもはや旧式となりつつあったAT-ATの最終的な後継機の製造を命じていた。AT-ATが開発されたのは無限に近い資源に恵まれていた銀河帝国の絶頂期であり、帝国に反対するものに恐怖を浸透させるためにはスター・デストロイヤーやAT-ATに象徴される強大な軍事力がありさえすればよかったのだ。しかし新共和国の時代となり、より実践的な小型兵器が望まれるようになると、帝国軍の技術者たちも素早く4脚型ウォーカーの常識を捨て去り、様々な地形条件の下で最も効率的に移動できるシステムの開発に全力を尽くすようになった。こうして最初に完成したモデルが急勾配での使用を想定して設計されMT-ATである。MT-ATはそれぞれが独立して駆動する8本の多関節脚と険しい岩面に突き刺さる支脚を備えており、8本の脚は4本の場合よりも機体重量の分散性の点で勝っているため、沼沢地や氷雪地帯における使用の際にも優れた才能を発揮することができたのだ。
MT-ATの中央駆動ポッドには8本の脚を動かすためのエンジンと駆動モーターが組み込まれており、その底部には前方にコクピット・ポッド、後方に貨物ポッドが取り付けられた回転板が装着されていた。この回転板は180度回転可能であるため移動中でも素早く方向を変えることができ、機体内部も極めて安定していた。
前方のトランスパリスチールに覆われた操縦ポッドはパイロットと砲手に十分な視界と広さを与えており、一方で後方の貨物ポッドには連射式ブラスターや地上兵用の備品が収納されていた。MT-ATは斜面を登る際にこの貨物ポッドを上方に持ち上げるが、貨物を取り出すときには地面に下ろして保護殻を外し、不必要な場合には取り外すことも可能である。
それぞれの脚の中央部には砲手の操作を援助する高性能コンピューターを内蔵した回転式ツイン・ブラスター・キャノンが装備されており、主に地上にいる敵兵への攻撃に使用された。さらにコクピットの顎部には対戦闘機用のレーザー・キャノンも2基搭載されていた。
歴史
MT-ATはクローン大戦中に独立星系連合が使用していたLM-432クラブ・ドロイドの技術をもとに、惑星カリダの帝国アカデミーによって開発された地上用兵器である。
帝国軍で初めてMT-ATが使用されたのは、ファーガン大使が新共和国の基地があるアノスへの攻撃を命じたときのことである。通常、MT-ATは標準型貨物艇や上陸用バージ、降下船などによって惑星の地表に送り込まれるが、アノスの際には試験的に卵型の耐熱コクーン・ポッドが使用された。このコクーンの内部には流動性のあるゲル状物質が充填されており、MT-ATを大気圏の摩擦熱から保護することができる。さらにコクーンの移動方向と速度はドロイド・ブレーンによって完全制御されているため、衝突直前には非常ブレーキが作動する。同時に内部のゲル物質が硬化し、コクーンの外表からくる衝撃エネルギーを吸収することによってウォーカーを保護するのだ。衝撃がなくなるとコクーンは自動的に開き、MT-ATが戦場に姿を見せることになる。
MT-ATは確かに素晴らしい兵器だが、実際には数百機の試作機しか製造されておらず、さらに製造工場のあったカリダがサン・クラッシャーによって滅ぼされてしまったため、実際にはそれほど普及しなかった。しかし、MT-ATの製造技術はコア・ワールド全域にわたって公表されており、この最新型兵器が実戦投入される可能性は大いに残されていた。