パシスヒップ
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パシスヒップは、惑星シミアに原住する厚皮動物型エイリアンである。アウター・リムに位置するシミアはコレリアン・ランに面した温暖な惑星であり、海にそり出た山脈によって広大な草原が隔てられていた。
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生態と外見
緑灰色の厚い皮膚をしたパシスヒップは、体中にたくさんの細かな皺が刻まれており、後頭部には脳を保護するための堅い隆起した骨が突出している。顔面からは長い幹のような鼻が伸びており、目は頭部の両側に付いているため、360度の視界を見渡すことが可能である。また、彼らは男女共に頭部の隆起の付け根部分から優雅な牙を生やしており、それを顔の前へ伸ばしている。太古の昔には今よりも大きな牙が生えていて、護身用や繁殖の際の闘争用に使われていたのだという。現在はこのような牙も退化し萎縮しているが、それでも鋭敏な感覚器官として役立っているのだ(もちろん、戦闘時に限定的な利用を行う習慣もわずかに残っている)。
パシスヒップを見たことのある他の種族には、彼らをヒューマノイドであると主張する者もいれば、丸いトカゲのような姿をしたエイリアンだと主張する者もいる。だが、これはパシスヒップに体形の大きく異なる2種類の種族が存在するのではなく、彼らの習慣に由来する誤解なのだ。パシスヒップの本来の姿は、丸い体に短い手足を生やした爬虫類のような外見である。だが、人間をはじめとするヒューマノイドの支配する惑星を訪れるときだけは、彼らもヒューマノイド型のボディスーツを着用して本来の姿を偽っているのだ。
パシスヒップの湾曲した牙にはとても重要な意味が込められており、彼らはその形状によって社会的地位を決められる。彼らの牙の形状には3種類しか存在せず、すべてのパシスヒップが遺伝子情報に従ってそのなかの1つの形状を持って生まれてくるのだ(ただし、思春期までに形状が特定できる大きさにまで成長するとは限らない)。そして、子供が成人に達すると、牙の形状によって区分される3つの階級構造、すなわち学者、戦士、農民のいずれかに割り振られる。学者は法を作り、若者たちを教育する。戦士は社会を守り、法を施行する。そして農民は社会に食糧と衣料を供給するのだ。ただし、農民の役割は次第に拡大しつつあり、現代では乗り物やドロイド、武器の製造も彼らの仕事の範疇となっている。それぞれの階級には名誉があり、社会にとって必要不可欠なものである。だが、パシスヒップの社会では禁欲が奨励されているため、自分の運命に失望する者がいたとしても、不満を漏らすものはほとんどいない。
しかし、なかにはこうした階級制度に不満を持つ者も少なくなく、そうしたパシスヒップたちは故郷を離れて他の場所での生活を求める傾向にある。それでも、銀河系を探索しようとする意思によって反逆者扱いされるようなことはなく、むしろ多くの局面で近代パシスヒップ社会は「己の道を切り開く」自立心を奨励している。事実、コレリアン・ラン沿いで商売を行うパシスヒップの商人も数多く存在した。
歴史
銀河帝国が初めてシミアを訪れたとき、パシスヒップたちはまだハイパードライブ、核融合発電、リパルサーリフトなどの基礎技術を手に入れていなかった。しかし、シミアは賑わう交易ルートの近くに位置していたため、彼らは銀河共和国によって作られたいくつかの宇宙港を持っていた。だが、当時の彼らはまさに化石燃料と時代遅れの精密機器の使い方を習得した状態でしかなく、帝国によって容易に征服されてしまったのである。宇宙港もすべて帝国によって管理されるようになったが、幸いなことにパシスヒップは帝国に対して全く関心を抱いておらず、そのため帝国の役人や兵士たちが宇宙港周辺を離れることもほとんどなかった。帝国は原住民が惑星を離れることを妨害していたが、特に禁止していたわけではなく、宇宙船を盗んで他の惑星へ飛び立とうとしているパシスヒップも存在した。彼らは概してより高度な文明を持つ世界を求めており、そこで新しい生活を経験しようと目論んでいたのだ。
やがてエンドアの戦いが終わると、パシスヒップたちは無人と化した帝国軍施設を奪回し、標準技術の習得を開始した。そして新共和国が樹立すると、彼らは銀河系全体でありふれたごく一般的な種族となったのだった。
文化
生来、理性的で寛大な心を持ったパシスヒップは、物事をありのままに受け入れ、権威に対して滅多に異論を唱えることがない。標準的なパシスヒップは公正と平等を謳った学者階層の教えを心に留めているのだ。また、彼らは他種族との取引きを楽しんでおり、変化する気候や習慣にも素早く対応している。
パシスヒップは会話の際に鼻息とトランペット音、複雑な母音を組み合わせたシミア語を使用し、文字としては様々な名詞や動詞、比喩を表す象形文字を使用する。しかし、彼らの多くは楽にベーシックを話すことが可能である。