フィグリン・ダンとモーダル・ノーズ
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フィグリン・ダンとモーダル・ノーズは、ビスのみで構成されたジィズとジャッツ専門の楽団である。バンド・リーダー兼創設者は、高圧的で神経質な炎のフィグリン・ダンと名乗るビスだった。モーダル・ノーズはインターギャラクティック・ミュージシャン連合の会員であり、組合内部でも常に高い評価を得ていた。バンドのステージ・コスチュームは地味な色合いをしていたが、これは彼らの好きな音楽スタイルでもある陰鬱の美学を反映させたものだった。モーダル・ノーズは銀河系規模での成功を謳歌していたが、ボーカリストが不在という事実によって、決してアウター・リム以外で大ブームを巻き起こすことはできなかった。
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歴史
素晴らしい音楽は野生の猛獣をも飼いならす力を持つという。しかし、血と金と口論が乱れ飛ぶモス・アイズリーのチャルマンの酒場では、最高の旋律でさえ荒れ狂った客をなだめるには力不足だった。モーダル・ノーズはこうした修羅場で幾度となく最高の音楽を演奏してきたのである。
リーダーを務める炎のフィグリン・ダンはクルー・ホーンとギャサン・ストリング・ドラムの達人であり、スパイスとサバックの魅力に取り付かれた荒々しいカード・プレーヤーとしても知られていた。彼が募った他の6人のメンバーは、ドレニアン・ベシュニケル(別名フィズ)担当のドイック・ナッツ、ファンファー担当のテドン・ダーハイとイカベル・ゴント、ホーン・ベルの付いたバンドフィル担当のナラン・チール、オムニ・ボックス担当のテック・モア、そしてドラム担当のサニル・エイドである。通常、彼らはこの7人のメンバーでバンド演奏を行っていたが、ときおり傭兵のライリン・カーンもクルー・ホーンでバック演奏に参加することがあった。
ヤヴィンの戦いの直前に、モーダル・ノーズはジャバ・ザ・ハットに気に入られ、タトゥイーンにある彼の宮殿へと招待された。彼らはジャバと多額の報酬で専属契約を結び、宮殿バンドとして活躍することになったのだ。しかし、ジャバとの取引きは常に慎重に行う必要があった。この冷酷なハットのお気に入りになることは大変な名誉であり、相応のクレジットが約束されていた。だが、ひとたび逆鱗に触れるようなことがあれば、即座にランコアやサーラックの餌になってしまうのだ。事実、ビスたちは何度も不幸な使用人たちの末路を目の当たりにしていたのである。そして彼らが震え上がる出来事もすぐに訪れたのだった。
ジャバの最大のライバルと目されていたウィフィッドのレディ・ヴァラリアンが、タトゥイーンに新郎を迎えて結婚式を開催することになった。当初、彼女は式でマックス・レボ・バンドに演奏を依頼する予定でいたが、モーダル・ノーズの熱烈なファンだったラブリアからの強力な推薦を受け、一回限りという条件でモーダル・ノーズを引き抜こうと考えたのだった。しかし、実際にはラブリアの推薦よりも、ジャバの専属ミュージシャンだったことが彼らを選んだ第一の理由であったことは間違いない。彼女はモーダル・ノーズを自分の結婚式で演奏させることによって、ジャバの面子を潰すことが楽しみだったのだ。一方で、ラブリアは計画通りジャバにビスたちの裏切りを報告し、過去の失態を帳消しにしてもらったのである。
ジャバの宮殿での死と隣り合わせの演奏に嫌気が差していたモーダル・ノーズは、ヴァラリアンの申し出に飛びついた。彼らは約束の曲を演奏することと引き換えに3,000クレジットの報酬を得ることになっており、その金でタトゥイーンから逃れる計画を立てていたのである。そして結婚式の当日、会場にはジャバの手下が大勢潜り込んでおり、殺伐とした緊張感が漂っていたが、式は意外なほどスムーズに進行する。しかし突然、新郎新婦の口論が始まり、帝国軍のストームトルーパーの乱入も加わって会場は大混乱と化した。皆が大慌てで逃げ惑うなか、フィグリンとドイックは古くから彼らのファンだったというウーハーの命を助けることになる。モス・アイズリーの酒場でバーテンダーを務めていたウーハーは、店のオーナーであるウーキーのチャルマンを説得し、モーダル・ノーズとの契約を持ちかけた。店を活気づけたいというオーナーの意向もあり、一日も早くジャバから逃れるための資金が欲しかったフィグリンは、やむなくこの申し出を承諾したのだった。
モス・アイズリーの酒場での契約期間は2年だったが、その間にフィグリンはラブリアとのサバックの勝負に大敗し、ドイックのフィズとライリンのクルー・ホーンを除くすべての演奏機材を奪われてしまう。これらをラブリアから買い戻さない限り、モーダル・ノーズはタトゥイーンを離れることができなくなってしまったのである。その後、彼らはようやく機材を取り戻し、タトゥイーンからの脱出に成功した。自由になったモーダル・ノーズは銀河系に何百万と存在するラウンジ・ハウスを転々としながらショーを続けたが、その間に過去の名声も廃れる一方となり、かつての人気バンドもやがては落ちぶれた二流のエンターティナー集団へと転落していったのだった。
メンバー
バンドのメンバーは何年もの間に状況に応じて増減していた。ただし、どんなときでも演奏には最低5人のメンバーが必要であり、多いときには7人のメンバーが集まっていた。主なメンバーは以下の通りである。
- フィグリン・ダン (クルー・ホーン、ギャサン・ストリング・ドラム)
- ドイック・ナッツ (ドレニアン・ベシュニケル)
- イカベル・ゴント (ファンファー)
- テドン・ダーハイ (ファンファー)
- テック・モア (オムニ・ボックス)
- ナラン・チール (バンドフィル)
- サニル・エイド (ドラム)
- ライリン・カーン (クルー・ホーン)