ファリーン
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ファリーンは、惑星ファリーンに原住する爬虫類型知的種族である。
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生態と外見
ファリーンは同名の星系および同名の惑星出身の爬虫類型種族である。エキゾチックな容姿と体色を変化させる能力を持ち、強力なフェロモンを生み出す彼らは、銀河系で最も美意識の高い種族の1つとして広く認識されていた。ファリーンの皮膚はウロコに覆われており、背中には尖った起伏が縦に並んでいるが、この小さいが鋭利な起伏は彼らが知的種族へと進化する前の祖先からの名残りとなっている。彼らの皮膚は一般に深緑色あるいは灰緑色だが、気に入った異性を惹き付けるためフェロモンを発散させると、オレンジ色や赤色へと変わっていく。このフェロモンは他の多くのヒューマノイド種族に対して絶対的な効果を持っており、ファリーンは「事実上抵抗不可能」とさえ語っている。一方で、ファリーンの女性は背中の突起がやや小さいという顕著な例外を除けば外見的に男性とほとんど同一だが、体色は男性より明るい緑色である。また、女性は気分の変化に応じた体色の変化はそれほど顕著ではないが、やはり多くの種族の男性に等しく作用するフェロモンを発散させることができる。
彼らは爬虫類から進化したにも関わらず、頭髪を生やしている(顔には髭がない)。女性は美しい櫛や色鮮やかなビーズ、他の装飾品などを使って、長いストレートな髪を一定の形に保たせていることが多く、男性はきちんと結ばれた一本の弁髪を生やしていることが多い。また、ファリーンの体格は逞しく優雅だが、貴族の中には厳しい訓練によって筋力を上げている者もいる。さらに、彼らは平均寿命が約250年と長命な種族であり、例外的に400歳まで生きたファリーンも知られている。
通常、彼らはフェロモンを抑え込んでいるが、望みどおりの結果を得るために意図的にこの能力を発揮することも可能である。例えば、ファリーンの女性と仕事の報酬に関する取引きをしていると、彼女の体色は次第に鮮やかになり、微量のフェロモンが発散され、取引相手は簡単に彼女の願望に屈してしまう。逆に、男性のファリーンが個人的に帝国の女性執政官を誘惑しようとする場合、彼は体色をより魅力的な薄い赤やオレンジに変化させ、空気中に大量のフェロモンを発散させるだけでよい。多くのファリーンはこうした力を制御する基本的な方法を知っているが、最大限の効果を発揮させるには、瞑想や訓練が必要とされる。このフェロモンはファリーンの文化における重要なコミュニケーション手段でもあるが、多くのファリーンは他人からの暗示に対抗できるよう訓練を積んでおり、自分が最も強い関心を抱いた者からしか影響を受けない。
社会と文化
ファリーンは、特に人前では感情を表に出さないことで知られている。冷血動物から進化した彼らは、文化や生理機能によって激しい感情や怒りを示す外見上の兆候を強く制御できるのだ。また、ファリーンは温血動物を起源に持つ人間などの、感情に左右されやすい種族を自分たちより劣る存在だと考えている。彼らは情報を考慮し、言動を明確にすることがより安全だと考えているため、感情に支配されるよりむしろ、計算し、注意深く行動することを好み、その自己制御能力の優位性は、自らの意思による体色の変化とフェロモンの発散によっても見ることができる。
惑星ファリーンでは小さいながらも最新設備の整った宇宙港によって近代的な貿易が支えられていたが、彼らは自分たちの惑星で取引きの契約を行うことが多かったため、一般のファリーンが惑星を離れることはほとんどなかった。しかし、これには例外がある。すべての王国の若い貴族が青年期の一部を「巡礼」と呼ばれる遠大な旅に費やし、多くの驚きを経験するために外界へと出て行ったのだ。その中には王の説得を断り、遠くに残る者もいた。銀河系に自分たちの痕跡を残すため故郷を離れた2人の有名なファリーン貴族には、後にブラック・サンの首領となったシーゾーや、未知領域で偵察を行っていたズホールがいる。しかし、ほとんどの者はファリーンに帰還し、学んだことを自分たちの領地をより慎重に統治するために役立てていた。彼らは自分たちを銀河系で最も発達した種族だと考えていたため、銀河系が提供するものすべてを欲しいがままにする必要性をほとんど感じていなかった。いうなれば、彼らは自身の内なる繁栄力に恵まれていたと言える。ファリーンは「打倒した多くの惑星の汚らわしい市民」を支配するよりも、自分たちの惑星内の問題をうまく処理して満足することを好んでおり、したがって銀河系の他の地域にほとんど影響を与えていなかったのである。
テクノロジー
ファリーンのテクノロジー水準は大抵の宇宙文明と同等だが、その社会はやや封建的であり、高貴な家系が芸術家、技術者、一般労働者、奴隷など、下層階級にある人々を支配していた。彼らの惑星には王家によって支配されたいくつかの王国が存在し、多くの王族たちは戦争のような原始的方法によって不和を解決させるよりも、政治的計略や富と影響力の誇示を好んでいた。王家は貿易と産業を発展させ、国境について言い争い、市民の人口を増加させるための独自の計画を推進したが、ファリーンの社会は一般に穏やかなものだった。彼らは外界への旅行や外界の征服には関心を持っておらず、その代わりに既に卓越したものと考えている自分たちの文化を、より優雅な方向へと発展させる道を選んだのである。ファリーンの惑星は自給自足の社会であり、彼らの中には他の「下等種族」の助けがなくとも自分たちは銀河系に存在し得るという傲慢な信念があったのだ。
歴史
ヤヴィンの戦いの7年前に起こったファリーンの惨劇以前には、自由貿易商や少数の小さな運輸企業が独自の芸術品や特別仕様の武器、異国産の果物、植物などを携えて、定期的な取引きのためファリーンを訪れていたこともあった。ファリーンの貴族には貿易商が持ってきた不思議な品々、特に「巡礼」の間に経験した味を持つ品物に大変満足し、代金として自分たちの奴隷を提供した者もいたほどである。確かに、銀河系で最も美しい種族の1つと見なされているファリーンの女性は、奴隷やダンサーとして高く評価されていた。ファリーン女性の奴隷はほとんど取引きに出されたことがなかったが、有力な主人の元へ出された女性たちはその独特の魅力を自らの利益のために使っていることもある。例えば、奴隷の身分からスペコの帝国軍総督の妻となったミアクシ王妃は、ファリーン女性の魅力を駆使して夫を虜とし、自分の意思で星系を動かしているとさえ言われていた。
だがその後の大惨事によって、ファリーンは銀河系の中でさらに影をひそめることとなった。帝国軍による軌道からのターボレーザー砲撃によって、都市やそれを取り囲む田舎町は荒野へと変わり、ファリーンへの出入りも帝国宇宙軍の命令によって厳しく制限されてしまった。この出来事に激怒したファリーンはプライドを深く傷付けられ、ついには帝国のもとから脱退する決意を固めたのである。やがてエンドアの戦いで帝国が崩壊すると、ファリーンの封鎖は緩和され、貴族たちも「巡礼」の伝統を再開させたが、すでに彼らの多くは銀河系への関心を失っていたのだった。