CR90コルヴェット
(レベル・ブロッケード・ランナーから転送)
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一般にコレリアン・コルヴェットやレベル・ブロッケード・ランナーと呼ばれることの多いCR90コルヴェットは、コレリアン・エンジニアリング社製の比較的小さな多目的大型艦船である。
CR90は銀河系全域で海賊、企業、宇宙軍などの様々な組織で使用されており、少なくともヤヴィンの戦いの52年前から40年後まで現役で活躍していた。また、この船はCEC社製の他の宇宙船と同等の素晴らしい適応性を持っており、ありふれた貨物船としての用途から外交などの重要な用途に至るまで、様々な場面で使用されたのだった。
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特徴
CR90コルヴェットは銀河系全域に普及していたが、特にコレリアン星系内では買い手の要求に応じた設計がなされるため、他の星系よりも多く使用されていた。コレリアンのパイロットは高速な亜光速度とハイパースペースへの素早いジャンプが可能であれば、内装の広さ、快適さ、貨物区画の大きさ、船室の広さ、武装の充実度などは特に気にしない。コルヴェットはそのような注文にまさに打ってつけの存在だったのだ。
軍事利用の点では、コルヴェットは貨物区画も小さく、快適ではないが、その代わりに大型亜光速エンジン、シールド発生装置、火力制御防衛コンピューター、燃料貯蔵庫、武装システム、兵員寝台などに区画を割かれている。武装としては6基のダブル・ターボレーザー・キャノンを装備していることが多く、1隻の軍需コルヴェットを効果的に操艦するには約165人の乗員が必要だった。また、海賊と反乱同盟軍で使用されるコルヴェットはほとんど同じ装備をしていたが、これらは一般に使い古されており、帝国軍の攻撃によってかなり傷ついていることが多かった。
輸送船としてのコルヴェットは様々な条件の下で多種多様な貨物を格納することができ、水、食料、酸素などの大規模な輸送を行うための改造も容易である。さらには、異なる種類の貨物を輸送するために区画を分け、それぞれについて気圧や重力を調整することもでき、客船として三等から一等までの船室を用意することも可能だった。実際に、元老院がパルパティーン皇帝によって解散させられる以前は、多くの議員がコルヴェットを外交船として利用していた。
貨物の価格や緊急性、時には違法性にもよるが、輸送船としてのコルヴェットは低速重武装、あるいは高速軽武装の場合が多く、持ち主が十分な投資をしなければ高速性と重武装を併せ持つことはほとんどない。乗員数も貨物の壊れやすさと武装防衛システムの規模によって変化するが、標準的に区画されている場合は45人から60人程度で十分である。
ハイテク設計には思わぬ弱点が付きものだが、コルヴェットも決してその例外ではない。コルヴェットの最大の弱点は船体中央の背部に取り付けられた第一集光器と安定装置であり、攻撃によるダメージを極めて受けやすい。この小さな曲型パネルは艦の大気中における機動性の制御や、二次システムと補助パワー・セルへの太陽エネルギー供給を行うだけだが、比較的もろく造られていた。重兵器による安定板への直撃の第一波はときとして激しい震動を起こし、主反応炉や安定装置直下の補助エンジン区画に大きなダメージを与えることもある。一度このような事態に陥ると艦内の全システムがダウンし、反応炉の爆発の危険性が生じることもある。事実、手負いの海賊船コルヴェットが安定板への度重なる攻撃を受け、崩壊したという記録は数多く存在している。
この弱点を克服するため、一部のコルヴェットで安定板の強固なものへの交換や、背面シールドの強化などが行われたが、経済的な余裕がない場合には現存するシールドを背面に集中させるしかない。この場合、全体的な改良を行った船には劣るものの、本来の高速性や機動性が優れているため、それだけでも戦闘に耐えられる時間が大きく変わってくるのだ。
歴史
艦船の設計思想は周期的に変化している。数十年にわたって様々な用途に適した多目的艦船が製造されてきたが、特に明確な理由もなく、新型艦船の多くはただ1つの目的に特化したものが主流になっていた。多目的艦船が柔軟な使われ方をされている一方で、単一目的の艦船も確実に銀河系全体に普及していったのである。事実、このことは大量の貨物を輸送できる反面、人員を収容できない新型の大型貨物輸送艇や、逆に人員を運べるのに貨物を積み込めないインペリアル・シャトルなどの実例を見れば明らかだろう。特に軍需艦船では、特化型の典型であるデス・スターのように大型化する傾向にあった。
しかし、旧型の多目的艦船はいつの時代にも存在しており、その1つが俗にコレリアン・エンジニアリング社製のコルヴェットである。コルヴェットは兵員輸送艇、軽護衛艦、貨物輸送船、客船としての機能を果たす中型艦であり、内部のモジュール化によって他の用途への改造も容易であるため、汎用性と再販価値が非常に高かった。特定の分野に特化されている艦船にはかなわないが、多くの人々はコルヴェットの適応性がその弱点を補って余りあるほどだと信じており、事実、銀河系全体で最も人気の高い機種の1つとなったのだった。
コレリアン・コルヴェットは旧型艦船だが、帝国の時代になっても多くの宇宙艦隊で使用されており、徐々に新しく高性能な艦船に置き換えられながらも、根強い信頼感を抱かれていた。事実、反乱同盟軍においてコルヴェットは最も一般的な宇宙船であり、さらに他の所有者にも同盟軍の支持者が多かった。そのため、私有セクターにおけるコルヴェットの普及は帝国軍が数多くの民間船から同盟軍の船を見分けることを困難にしていたのである。この状況が戦略上有益であると気付いたモン・モスマは、至る所にあるコルヴェットを内密に輸送船として利用するようにと、同盟セクターの各司令官たちに提案した。コルヴェットと遭遇するたびに検問を行うことは現実的でなく、帝国軍はこの作戦への対抗策に苦慮したのだった。