コロス=ストローナ
(ワールドシップから転送)
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コロス=ストローナ・ワールドシップは、有機工学によって作られたユージャン・ヴォングの巨大な宇宙船である。ワールドシップにはユージャン・ヴォングの社会が完全に収容されており、彼らに食料やシェルターを与えていた。また、この船は彼らの長期にわたる戦いの集結地点としても機能してた。
目次 |
特徴
概要
ユージャン・ヴォングの艦隊の中でも、おそらく最も奇怪な宇宙船である恐ろしいコロス=ストローナ・ワールドシップは、長期におよぶ戦闘で重要な役割を果たす、有機工学的に創造された巨大宇宙船である。その役割は帝国軍のスーパー級スター・ドレッドノートと酷似しており、生きたワールドシップは輸送船、戦艦、そして突如姿を現すことによって心理的な武器としても利用できる。事実、ユージャン・ヴォングは既に滅びた故郷を持つ難民であり、征服するべき新しい惑星を探すためにワールドシップを利用していたのだ。ワールドシップ群はユージャン・ヴォングの全人口を完全に収容しており、事実上、彼らにとっての第2の故郷となっていた。新共和国への侵略戦争に参加したユージャン・ヴォングたちは、ほぼすべてが自分たちのワールドシップで生まれ、同時に我が家によって運ばれていたのである。
大きさ
完全な大きさのワールドシップは、小規模なユージャン・ヴォングの軍隊を丸ごと運ぶことができる。実際に、各ワールドシップには5,000人以上の恐ろしいユージャン・ヴォングの戦士たちと、彼らのコーラルスキッパーを収容することが可能である。だが、ワールドシップはそれ自体が完全な自給自足環境であるため、長期にわたって閉じ込められているユージャン・ヴォングたちは、その閉塞感から発狂してしまうことも多かった。こうした状況を打開するため、ワールドシップ内の大気には特殊な薬品が散布されており、発狂した人々を静めていたのだ。一方で、惑星への着陸準備が整うと、ワールドシップは着陸地点の地表に向かってゴロス・フェンと呼ばれる巨大な筒状のイモ虫のような生物を伸ばす。ユージャン・ヴォングたちはその生物の中を伝って地上に進出し、惑星側に基地を築いて、そこからワールドシップとの接触を維持することになる。
推進システム
基本的なワールドシップの構造は、全長10キロメートルほどのヨリク・コーラルの単一の塊を組み合わせたものである。これらのヨリク・コーラルは武器や推進システム、防衛能力などを提供する何十種類もの他の有機物と共生関係を築いていた。
例えば、あらゆるユージャン・ヴォングの宇宙船と同様に、ワールドシップにもドヴィン・ベイゾル(重力井戸を投影する能力を持った球形の有機器官)は必要不可欠な存在である。各ワールドシップには直径1メートルから3メートルのドヴィン・ベイゾルが数十個共生しており、この脈打つ生物が特定の重力場を掴み、引き寄せることによって、宇宙空間内でワールドシップを動かしていた。この能力は捕捉する重力場の距離に関係なく作用し、ワールドシップに信じられないほどの速度を与えることが可能である。
しかし、銀河系と他の銀河系との間のような重力作用の弱い領域では、ドヴィン・ベイゾルの能力が有効に活かされず、宇宙空間を航行することができない。このような場所にあるワールドシップは、アウトター・ギャングリアと呼ばれる蔓のような膜状生物を展開することによって、別の方法で推力を得ることになる。各蔓状生物の先端部には、パイロットの搭乗した多数のコーラルスキッパーが係留されており、これらが皮膜の開閉を手伝っている。開かれた皮膜は帆のように振る舞い、宇宙空間に吹く光子風を集めてワールドシップの推力に変換することができるのだ。
武器システム
ワールドシップは何百ものマグマ兵器を搭載しており、溶解した火山岩を敵機に向かって排出することができる。これらのマグマ兵器の規模は、従来のブラスター・キャノンと同程度の破壊力を持つ小さなものから、遠距離にある小型貨物船ほどの大きさの岩を蒸発させられる、より大型のエミッターまで様々である。また、ワールドシップの武器は船体表面にばらばらに配置されており、新しいマグマの生成に併わせてゆっくりと充填されるが、これらは特異なテクノロジーであるにも関わらず、信じられないほどの命中精度を誇っていた。
一方で、ドヴィン・ベイゾルも武器として働いていた。これらの有機体は重力井戸を集中させることによって宇宙ステーションを崩壊させたり、あるいは衛星の軌道を変えて主星に衝突させたりすることが可能である。また、ドヴィン・ベイゾルには通常のエネルギー・シールドを破壊する能力もあり、これによってワールドシップは攻撃を行う前に敵の防衛能力を削ぐことが可能になる。同様に、ワールドシップ自身の防衛能力もドヴィン・ベイゾルに依存しており、重力井戸を利用して接近するプロトン魚雷や他の兵器を妨害することができる。
寿命
ワールドシップは生きた生物であるため、ある程度の基本的な意識を持っており、ユージャン・ヴォングのパイロットと会話を行うことも可能である。同様に、全システムを正常に維持するためには定期的な栄養分の補給が必要となり、損傷を受けた場合にはシェイパーによる治療が必要となる。通常、適切に維持されたワールドシップは500年以上の寿命を持ち、年齢を重ねるごとに大きく成長していくが、年老いたワールドシップは他の生物と同様に病で衰え、やがては死亡してしまう。死に瀕した船はドヴィン・ベイゾルや船内を照らす筋組織の色の変化によって識別することが可能である。新共和国の領域に到達したワールドシップは何世代にもわたって宇宙を放浪していたため、年老いた個体が多く、ユージャン・ヴォング大戦の最中に死亡した船も少なくない。なかでも新共和国が遭遇した最大のワールドシップ<バヌー・ミア>は実に1,000年以上生きており、シェイパー・ネン・イェムの努力も虚しく、死亡したのだった。