ラッツ・ティレル
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ラッツ・ティレルは、ヤヴィンの戦いの32年前にブーンタ・イヴ・クラシックに参加したアリーナのポッドレーサー・パイロットである。惑星アリーンで生まれたラッツは、驚くべき反射神経を持っていたため、有能なポッドレーサー・パイロットとなった。彼は数年で名声を獲得し、他の有名レーサーの間でも特に人気のあるレーサーとなったのだ。彼は反則によって勝ち進んできたセブルバのやり方に激怒し、このダグのレーサーを抹殺しようと決意する。しかし、ティレルのエンジンは狭いラグーナの洞窟を通過するには大きすぎたため、彼はブーンタ・イヴ・クラシックで死亡してしまった。やがて、彼の息子はラッツ・ティレル基金を設立し、ポッドレースの非合法化を推進することになる。
目次 |
経歴
ポッドレーサーとしての人生
ラッツ・ティレルは銀河共和国の晩年に、アリーナの故郷アリーンで生まれた。彼は身長およそ80センチという小柄な体だが、アリーナの中では特に小さい方ではなかった。青い肌をしたティレルには頬と脇の下には黄色い斑点があり、巨大な口はさらに大きく開くことができた。アリーナには戦士の伝統があったが、広大な銀河社会の大半の人々はそれをジョークとして受け止めていた。若い頃、ラッツは故郷で恐ろしい生物に脅かされ、苛酷な環境で育ったため、反射神経を極限にまで発達させた。こうした厳しい生活の結果、アリーナは極めて素早い反射神経を持つ種族となり、多くのアリーナがポッドレース・サーキットで成功を収めるようになったのだ。そのため、ポッドレースが開催される惑星でレギュラー・メンバーの1人になる以前から、ティレルがレースにおける天性の素質を持っていたことも驚くには値しないのだ。
やがて、ティレルは身長の不足を補うために巨大なレーサーを入手した。故郷に生息する獰猛な肉食獣にちなんで名づけられたタイタン2150<スカタルペン>はとても速いレーサーだったが、加速性や操縦性には要望が多かった。しかし、ティレルはこのレーサを愛用し、数年にわたって徐々に名声を獲得していったのである。彼はアンドー・プライムのホーラー・ゴーグでも優勝候補の本命となり、仲間のレーサーたちから尊敬と友情を得ることができた。一方で、ティレルはトラックでは紳士だが、レースの外では自信家だと思われており、威張り散らしていると言われることもあった。また、彼はそれまでに妻と、デランド、ジュラをはじめとする数人の子供を儲けていた。
ティレルはレースにおけるあらゆる反則行為に反対しており、この時代における最も成功したレーサーの1人、セブルバのやり方に怒りを抱いていた。セブルバは非道な方法で成功を収めており、ティレルはこのダグのレーサーの栄光の日々を終わらせようと考えていたのである。彼はセブルバの排除を願う唯一のレギュラー・レーサーではなかったが、「紳士」としての名声を守ることを優先し、他のレーサーとは一切共謀しなかった。彼はアウトロー・テクの名手にを依頼して<スカタルペン>に違法な武器を取り付け、タトゥイーンで開催される予定のブーンタ・イヴ・クラシックでセブルバを奇襲し、自分が優勝しようと考えていたのである。
ブーンタ・イヴ・クラシック
ブーンタ・イヴ・クラシックは銀河系で最も有名な年次開催のポッドレースであり、モス・エスパ大競技場には大勢の観衆が集まっていた。このレースは常に大きなギャンブルと不正行為の対象となっており、ほぼすべてのパイロットたちが優勝することを願って互いに様々な策謀を張り巡らしている。ティレルもまたセブルバを排除するための計画を抱いていたが、彼は単独で動いていた。彼はスタート・グリッドで、オルダー・ビード、マーホニック、そして標的となるセブルバと共に最前列に並んでいた。また、このレースには幼い奴隷のアナキン・スカイウォーカーも参加していたが、彼のブーンタ・イヴ・クラシックへの出場は他の参加者から嘲笑の的になっていた。
ティレルの妻はレースの直前にドビー・ティレルという名の子供を出産したばかりだったが、彼女も他の3人の子供を連れてレースに応援に駆けつけていた。そしてレースが開始されると、ラッツは第1ラップを完走したが、セブルバは遥かに先を行っており、彼を捕らえる機会はまだ得られていなかった。しかし、ティレルのレーサーは第2ラップの、巨大な鍾乳石に覆われた狭いラグーナの洞窟を通過することができなかった。若きアナキン・スカイウォーカーに追い抜かれると思ったティレルは洞窟内で集中力を失い、アクセルを踏んでしまったため、鍾乳石を回避することができなかったのだ。ラッツは巨大な石に激突し、死の絶叫と共に激しい爆発の中で死んでしまった。その後、彼の死はスポーツとしてのポッドレースに多大な影響を与えることになったのだった。
死後
ラッツの家族は彼の死に落胆したが、これは彼らにとって悲劇の始まりでしかなかった。ラッツの兄が彼の娘ジュラを、弟の仇敵であるセブルバに奴隷として売却したのである。その後、ラッツの息子デランド(彼はパブスという愛称で知られていた)が妹の自由を賭けてユースロンでセブルバに勝負を挑んだが、セブルバは卑怯な手段で若きアリーナを打ち破り、デランドの勝利のチャンスは失われてしまった。一方で、ラッツが犠牲となったブーンタ・イヴ・クラシックの優勝者、アナキン・スカイウォーカーがこのとき既にジェダイになっており、平和の守護者としてこの惑星を訪れていた。もう一度セブルバを打ち負かしたいという衝動に耐え切れなかったアナキンは、デランドの代わりにレースを行い、セブルバに勝利する。こうしてジュラは自由を手に入れたのだった。
父の死に突き動かされたデランド・ティレルは、やがてラッツ・ティレル基金を設立した。これは妻子をもつパイロットたちの命を守るため、ポッドレースをより安全なスポーツにしようと推進する組織である。彼らは銀河系全域でポッドレースの非合法化キャンペーンを展開し、多くの惑星で成功を収めた。しかし、著名なレーサーの中にはこの運動に反対する意見もあり、これは非人類の活躍に対する共和国の妨害行為だという非難さえもあった。だが、共和国はこれを否定し、セイト・ペスタージもそれは的外れな意見であるという声明を発表している。