マフタック
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マフタックは、チャルマンの酒場によく訪れていたタルズである。
経歴
マフタックはタトゥイーンで生まれ育ったタルズである。アルゾックIIIの原住種族であるタルズは、その多くが銀河帝国によって強制労働をさせられており、他の星系で自由に生活している者は極わずかしかいなかった。白く強大な毛むくじゃらの姿や、大きな4つの眼、長く鋭い爪などから、彼らを恐ろしい生物であると思う者が多く、自ら話しかけようとする者は非常に少ない。そのため彼らが何者なのかさえ知らない人々も数多く存在していた。
幼い頃に孤児となり、モス・アイズリーのドッキング・ベイ12の通路に捨てられていたマフタックは、1人で逞しく成長していった。マフタックはいたって温厚で、優しい性格であり、誰とでもすぐに友達になるが、なかでもカーベとは特に深い友情を誓っていた。もはや2人の間に愛情が芽生えていることも否定できないだろう。また彼は人々を観察しながら、他の誰よりも宇宙港を行き来する人たちのことを多く学んでいた。しかし、バンド・リーダーのフィグリン・ダンと、スパイのガリンダンだけは例外だったらしい。
事実上、マフタックはカーベの保護者である。奴隷商人に捨てられたカーベを引き取ったマフタックは、彼女にこの危険な街で生き抜く術を可能な限り教え込み、2人でドッキング・ベイ83の破棄された地下通路で生活していた。2人にはこれといった夢も希望もなく、彼女が盗んだ金や、彼が情報を売って稼いだ金で細々とした生活を送れればそれで満足だったのだ。
マフタックは銀河内乱にも全く関心はなく、唯一の楽しみといえば、酒場で交わすモモー・ネイドンとの雑談だった。辺境の惑星で人生の大半を過ごした彼にとって、帝国の残虐性など知るはずもなかったのである。
ある日、酔いつぶれたカーベを寝床へ連れて帰る途中、マフタックはジャバ・ザ・ハットのタウンハウスへ忍び込む決意をした。非常に危険な行為だったが、カーベは既に秘密の入り口を見つけており、莫大な金が手に入るチャンスでもあったのだ。
2人は屋根にある古い穴から中へ進入した。タウンハウスの内部には無数の罠や警報が仕掛けられていたが、カーベの鋭い感覚にはかなわなかった。そのとき偶然、2人は拷問部屋に反乱軍のバリド・メゾリアムが捕らえられているのを発見する。メゾリアムは2人にデータドットを託し、近々モス・アイズリーを訪れるというモン・カラマリに渡してくれと頼んできた。さらに、その報酬として反乱軍から30,000クレジットの大金を受け取れるというのだ。メゾリアムは2人に帝国がエイリアンを迫害している実態について話し、くれぐれもそのデータを帝国軍に渡さないようにと注意したのだった。
脱出の際、マフタックとカーベは2人のガモーリアンに発見されてしまう。この騒動によって、さらに多くの守衛がビブ・フォチューナと共に現れたが、小柄なカーベは1人で小さな穴を通って脱出することができた。しかし逃げる途中、マフタックが庇ってくれたことに気付いた彼女は再び混乱の中に戻り、盗品を放棄して彼を救い出したのである。
その後、約束通り反乱軍のモン・カラマリと接触した2人は、それぞれ15,000クレジットの金と、グランド・モフ・ターキンの署名の入った旅券を手にすることができた。2人は自分たちの運命を求めて、マフタックはアルゾックIIIへ、そしてカーベはチャドへと旅立っていったのである。後にマフタックはこうした一連の出来事を、自伝小説「冬の砂」に書き記している。